説明

表示装置および電子機器

【課題】共通電極に起因する画質の劣化を抑えることができる表示装置を得る。
【解決手段】一方向に延在するように並設された複数の信号線(画素信号線SGL)と、信号線に沿って延在するように並設された複数の共通駆動電極(駆動電極COML)と、複数の信号線のそれぞれに接続されるとともに、その接続された信号線と互いに対をなす共通駆動電極にも接続され、信号線の方向に走査駆動が行われる複数の表示素子(サブ画素SPix)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係わり、特に液晶表示素子により構成される表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置においては、低消費電力や省スペースなどの観点から、液晶表示装置が主流となってきている。液晶表示装置には、例えば、複数の画素に共通電位を与える共通電極と、液晶層を挟んでその共通電極と対向するように画素ごとに設けられた画素電極とを備えたものがある。このような液晶表示装置では、例えば、画素電極に画素信号を印加するとともに、共通電極に矩形波信号を印加することにより反転駆動が行われ、画素電極の電位と共通電極の電位との差(画素電位)に基づいて液晶分子の向きを変化させることにより表示を行うようになっている。
【0003】
液晶表示装置には、共通電極に工夫を施したものがある。例えば、特許文献1には、表示面の行方向に延伸し、列方向に並んで配置される複数の共通電極を備えた液晶表示装置が提案されている。この液晶表示装置では、例えば反転駆動を行うために共通電極に駆動信号を印加する場合、画素信号の書き込みを行う1水平ラインの画素に係る共通電極に対してのみ駆動信号を印加する。これにより、共通電極を駆動する際の消費電力を低減することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、共通電極は、一般に透光性が必要であり、しばしばITO(Indium Tin Oxide)を用いて形成される。このような共通電極は、例えばアルミニウムなどの金属を用いた場合に比べて抵抗値が大きくなり、その時定数が大きくなってしまう。この場合、画素に対して画素信号を書き込む際、その画素信号が共通電極に伝わり、同じ1水平ライン内の隣接する画素に対する書き込みが乱され、このクロストークにより画質が劣化するおそれがある。
【0006】
また、共通電極を駆動する駆動回路は、共通電極に対して低い出力インピーダンスで駆動することが望まれるが、この駆動回路の配置によっては、例えば、この駆動回路への電源供給配線が長くなるなどにより、その出力インピーダンスが大きくなってしまい、共通電極を駆動しにくくなり、画質が劣化するおそれがある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、共通電極に起因する画質の劣化を抑えることができる表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、複数の信号線と、複数の共通駆動電極と、複数の表示素子とを備えている。ここで、複数の信号線は、一方向に延在するように並設されたものである。複数の共通駆動電極は、信号線に沿って延在するように並設されたものである。複数の表示素子は、複数の信号線のそれぞれに接続されるとともに、その接続された信号線と互いに対をなす共通駆動電極にも接続され、信号線の方向に走査駆動が行われるものである。
【0009】
本発明の電子機器は、上記表示装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0010】
本発明の表示装置および電子機器では、表示素子は、信号線の方向に走査駆動が行われる。その際、同時に駆動される複数の表示素子には、同じ方向に延在する信号線および共通駆動電極から、表示を行うための信号がそれぞれ別々に供給される。
【0011】
本発明の表示装置では、例えば、共通駆動電極の幅を、表示素子の幅に対応したものにしてもよいし、あるいは、所定数の表示素子の幅に対応したものにしてもよい。この場合、所定数の表示素子は、例えば、赤色表示素子、緑色表示素子、および青色表示素子をそれぞれ1つずつ含む表示画素を構成するようにしてもよい。例えば、表示素子は、液晶表示素子を使用可能である。
【0012】
また、例えば、複数の共通駆動電極が延在する方向と交差する辺に配置され、その複数の共通駆動電極を駆動する駆動部と、駆動部が配置された辺に配置され、その駆動部に信号を供給する端子部とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示装置および電子機器によれば、共通駆動電極を信号線に沿って延在するように配置し、信号線の方向に走査駆動することにより表示を行うようにしたので、共通電極に起因する画質の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した選択スイッチ部の一構成例を表すブロック図である。
【図3】図1に示した表示部の概略断面構造を表す断面図である。
【図4】図1に示した表示部の一構成例を表す回路図である。
【図5】図4に示した駆動電極の一構成例を表す説明図である。
【図6】図1に示した表示装置のモジュールへの実装例を表す模式図である。
【図7】図1に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図8】図1に示した表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図9】図1に示した表示装置の動作を説明するための回路図である。
【図10】比較例に係る表示部の一構成例を表す回路図である。
【図11】比較例に係る表示装置のモジュールへの実装例を表す模式図である。
【図12】比較例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図13】比較例に係る表示装置の動作を説明するための回路図である。
【図14】実施の形態および比較例に係る表示装置の特性を表す特性図である。
【図15】変形例に係る駆動電極の一構成例を表す説明図である。
【図16】他の変形例に係る駆動電極の一構成例を表す説明図である。
【図17】他の変形例に係る駆動電極の一構成例を表す説明図である。
【図18】他の変形例に係る表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図19】実施の形態を適用した表示装置のうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
【図20】適用例2の外観構成を表す斜視図である。
【図21】適用例3の外観構成を表す斜視図である。
【図22】適用例4の外観構成を表す斜視図である。
【図23】適用例5の外観構成を表す正面図、側面図、上面図および下面図である。
【図24】他の変形例に係る表示部の概略断面構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.適用例
【0016】
<1.実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すものである。表示装置1は、表示素子として液晶表示素子を用いて構成した液晶表示装置である。表示装置1は、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、選択スイッチ部14と、駆動信号生成部15と、駆動電極ドライバ16と、表示部20とを備えている。
【0017】
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動信号生成部15、および駆動電極ドライバ16に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部11は、ゲートドライバ12に表示走査タイミング制御信号を供給し、ソースドライバ13に映像信号および表示タイミング制御信号を供給し、駆動信号生成部15および駆動電極ドライバ16に駆動信号タイミング制御信号を供給する。
【0018】
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、表示部20の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、後述するように、走査信号Vscanを、走査信号線GCLを介して、画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、表示部20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
【0019】
ソースドライバ13は、制御部11から供給される映像信号および制御信号に基づいて、画素信号Vsigを生成し出力するものである。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、1水平ライン分の映像信号から、表示部20の複数(この例では3つ)のサブ画素SPixの画素信号Vpixを時分割多重した画素信号Vsigを生成し、選択スイッチ部14に供給するようになっている。また、ソースドライバ13は、画素信号Vsigに多重化された画素信号Vpixを分離するために必要なスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBを生成し、画素信号Vsigとともに選択スイッチ部14に供給する。なお、この多重化は、ソースドライバ13と選択スイッチ部14との間の配線数を少なくするために行われるものである。
【0020】
選択スイッチ部14は、ソースドライバ13から供給された画素信号Vsigおよびスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBに基づいて、画素信号Vsigに時分割多重された画素信号Vpixを分離し、表示部20に供給するものである。
【0021】
図2は、選択スイッチ部14の一構成例を表すものである。選択スイッチ部14は、複数のスイッチグループ17を有する。各スイッチグループ17は、この例では、3つのスイッチSWR,SWG,SWBからなり、それぞれの一端は互いに接続されソースドライバ13から画素信号Vsigが供給され、他端は表示部20の画素信号線SGLを介して、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応するサブ画素SPixにそれぞれ接続されている。この3つのスイッチSWR,SWG,SWBは、ソースドライバ13から供給されたスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBによってそれぞれオンオフ制御されるようになっている。この構成により、選択スイッチ部14は、スイッチ制御信号VselR,VselG,VselBに応じてこの3つのスイッチを時分割的に順次切り替えてオン状態にすることにより、多重化された画素信号Vsigから画素信号Vpix(VpixR,VpixG,VpixB)を分離するように機能する。そして、選択スイッチ部14は、これらの画素信号Vpixを、3つのサブ画素SPixにそれぞれ供給するようになっている。
【0022】
駆動信号生成部15は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、交流矩形波形の駆動信号Vcomを生成し、駆動電極ドライバ16に供給するものである。
【0023】
駆動電極ドライバ16は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、表示部20の駆動電極COML(後述)に駆動信号Vcomを供給する回路である。具体的には、駆動電極ドライバ16は、後述するように、隣り合う駆動電極COMLに対して、互いに逆極性の交流矩形波形の駆動信号Vcomを印加するようになっている。これに対応するように、隣り合うサブ画素SPixには、互いに逆極性の画素信号Vpixが印加されるようになっている。つまり、この例では、表示部20は、いわゆるドット反転駆動(サブピクセル反転駆動)により駆動されるものである。
【0024】
表示部20は、液晶表示素子を用いて構成され、後述するように、画素信号Vpix、走査信号Vscan、および駆動信号Vcomに基づいて1水平ラインずつ順次走査して表示を行うものであるである。
【0025】
図3は、表示部20の要部断面構造の例を表すものである。この表示部20は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
【0026】
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリックス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、図示していないものの、各画素の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)や、各画素電極22に画像信号Vpixを供給する画素信号線SGL、各TFTを駆動する走査信号線GCL等の配線が形成されている。
【0027】
対向基板3は、ガラス基板31と、このガラス基板31の一方の面に形成されたカラーフィルタ32と、このカラーフィルタ32の上に形成された複数の駆動電極COMLとを有する。カラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。駆動電極COMLは、表示部20の共通駆動電極として機能するものである。駆動電極COMLは、図示しないコンタクト導電柱によってTFT基板21と連結され、このコンタクト導電柱を介して、TFT基板21から駆動電極COMLに交流矩形波形の駆動信号Vcomが印加されるようになっている。ガラス基板31の他方の面には、偏光板35が配設されている。
【0028】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0029】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0030】
図4は、表示部20における画素構造の構成例を表すものである。表示部20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。各画素Pixは、3つのサブ画素SPixにより構成される。この3つのサブ画素SPixは、図3に示したカラーフィルタ32の3色(RGB)にそれぞれ対応するように配置されている。サブ画素SPixは、TFT素子Tr、液晶素子LC、および保持容量素子Csを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。保持容量素子Csは、液晶素子LCの両端の電位差を保持するためのものであり、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は駆動電極COMLに接続されている。
【0031】
サブ画素SPixは、走査信号線GCLにより、表示部20の同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscanが供給される。また、サブ画素SPixは、画素信号線SGLにより、表示部20の同じ列に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、選択スイッチ部14と接続され、選択スイッチ部14より画素信号Vpixが供給される。
【0032】
さらに、サブ画素SPixは、駆動電極COMLにより、表示部20の同じ列に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ16と接続され、駆動電極ドライバ16より駆動信号Vcomが供給される。
【0033】
図5は、駆動電極COMLの一構成例を表すものである。この例では、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成され、同じ一列に属する複数のサブ画素SPixが、一本の駆動電極COMLを共有するようになっている。各駆動電極COMLは、駆動電極配線部29を介してそれぞれ駆動電極ドライバ16に接続されている。すなわち、駆動電極ドライバ16は、サブ画素SPixを単位として駆動信号Vcomを供給するようになっている。
【0034】
この構成により、表示部20では、ゲートドライバ12が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、選択スイッチ部14が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。
【0035】
図6は、表示装置1の表示モジュールへの実装を模式的に表すものであり、(A)はその一例を示し、(B)は他の一例を示す。
【0036】
図6(A)に示した表示モジュール5Aは、表示部20と、COG(Chip On Glass)19と、ゲートドライバ12A,12Bと、選択スイッチ部14とを有している。図6(A)に模式的に示したように、表示部20では、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成されている。COG19は、TFT基板21に実装されたチップであり、図1に示した、制御部11、ソースドライバ13、駆動信号生成回路15、駆動電極ドライバ16など、表示動作に必要な各回路を内蔵したものである。ゲートドライバ12A,12Bは、図1に示したゲートドライバ12に対応するものであり、表示部20の両側から走査信号線SGLに対して走査信号Vscanを印加するように構成されている。ゲートドライバ12A,12Bおよび選択スイッチ部14は、ガラス基板であるTFT基板21に形成されている。
【0037】
図6(B)に示した表示モジュール5Bは、表示部20の端子部Tとは反対側に駆動電極ドライバ16Bを備えている。この駆動電極ドライバ16Bは、COG19に内蔵された駆動電極ドライバ16を補助する目的で設けられたものである。この構成により、表示モジュール5Bでは、COG19の駆動電極ドライバ16、および駆動電極ドライバ16Bが、表示部20の両側から駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを印加するようになっている。
【0038】
図6に示したように、駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ16が内蔵されたCOG19と短い距離で接続されている。駆動電極ドライバ16は、駆動信号Vcomを生成する駆動信号生成回路15と同じCOG19内に形成されている。COG19は、その電源を供給する端子部Tに近い位置に配置されている。これにより、駆動電極ドライバ16は、低い出力インピーダンスで駆動電極COMLを駆動することができる。
【0039】
ここで、画素信号線SGLは、本発明における「信号線」の一具体例に対応する。駆動電極COMLは、本発明における「共通駆動電極」の一具体例に対応する。液晶素子LCは、本発明における「表示素子」の一具体例に対応する。駆動電極ドライバ16は、本発明における「駆動部」の一具体例に対応する。
【0040】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0041】
(全体動作概要)
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動信号生成部15、および駆動電極ドライバ16に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。ゲートドライバ12は、走査信号Vscanを生成し表示部20に供給する。ソースドライバ13は、画素信号Vpixが多重化された画素信号Vsigと、それに対応したスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBを生成し、選択スイッチ部14に供給する。選択スイッチ部14は、画素信号Vsigおよびスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBに基づいて画素信号Vpixを分離生成し、表示部20に供給する。駆動信号生成部15は、駆動信号Vcomを生成し駆動電極ドライバ16に供給する。駆動電極ドライバ16は、駆動信号Vcomを表示部20の駆動電極COMLに印加する。表示部20は、供給された画素信号Vpix、走査信号Vscan、および駆動信号Vcomに基づいて、1水平ラインずつ線順次走査を行うことにより、映像信号Vdispに対応する画像を表示する。
【0042】
(詳細動作)
次に、いくつかの図を用いて、表示装置1の詳細動作を説明する。
【0043】
図7は、表示装置1のタイミング波形例を表すものであり、(A)は駆動信号Vcomの波形を示し、(B)は走査信号Vscanの波形を示し、(C)は画素信号Vsigの波形を示し、(D)はスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBの波形を示し、(E)は画素信号VpixR,VpixG,VpixBの波形を示す。
【0044】
表示装置1は、駆動信号Vcom、走査信号Vscan、および画素信号Vsigに基づいて、ドット反転駆動(サブピクセル反転駆動)により表示動作を行う。以下にその動作の詳細を説明する。
【0045】
まず、駆動信号生成部15は、タイミングt1において、駆動信号Vcomを反転し、駆動電極ドライバ16は、この駆動信号Vcomを駆動電極COMLに対して印加する(図7(A))。
【0046】
次に、ゲートドライバ12は、タイミングt2において、n行目の画素Pixの走査信号線GCLに対して走査信号Vscan(n)を印加し、走査信号Vscan(n)が低レベルから高レベルに変化する(図7(B))。これにより、n行目の画素PixのTFT素子Trがオン状態になり、表示部20において書き込み動作を行う1水平ラインが選択される。
【0047】
次に、ソースドライバ13は、画素信号Vsigおよびスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBを出力する。具体的には、ソースドライバ13は、まず、タイミングt3において、赤(R)のサブ画素SPix用の電圧VRを出力するとともに(図7(C))、スイッチ制御信号VselRを低レベルから高レベルに変化させる(図7(D))。このとき、選択スイッチ部14の各スイッチグループ17のスイッチSWRがオン状態になり、スイッチSWRに接続された画素信号線SGLに画素信号VpixR(電圧VR)が供給される(図7(E))。その後スイッチ制御信号VselRが高レベルから低レベルに変化すると、スイッチSWRがオフ状態になり、スイッチSWRに接続された画素信号線SGLはフローティング状態になるため、画素信号VpixRは維持される。同様に、ソースドライバ13は、タイミングt4において、緑(G)のサブ画素SPix用の電圧VGを出力するとともに(図7(C))、スイッチ制御信号VselGを低レベルから高レベルに変化させ(図7(D))、スイッチSWGに接続された画素信号線SGLに画素信号VpixG(電圧VG)を供給する(図7(E))。そして、ソースドライバ13は、タイミングt5において、青(B)のサブ画素SPix用の電圧VBを出力するとともに(図7(C))、スイッチ制御信号VselBを低レベルから高レベルに変化させ(図7(D))、スイッチSWBに接続された画素信号線SGLに画素信号VpixB(電圧VB)を供給する(図7(E))。
【0048】
1水平ラインの画素Pixでは、以上のように画素信号線SGLを介して画素信号Vpix(VpixR,VpixG,VpixB)が供給されることにより、書き込みが行われる。
【0049】
その後、ゲートドライバ12は、タイミングt6において、走査信号Vscan(n)を高レベルから低レベルに変化させる(図7(B))。これにより、n行目の画素VpixのTFT素子Trがオフ状態になり、書き込み動作が終了する。
【0050】
これ以降、上述した動作を繰り返すことにより、表示装置1は、表示面全面に対する書き込み動作を行う。
【0051】
図8は、ドット反転駆動を模式的に表すものであり、(A)はあるフレームにおけるサブ画素SPixに対する画素電位の極性を示し、(B)は次のフレームにおける画素電位の極性を示す。ここで、画素電位とは、サブ画素SPixにおける画素信号Vpixと駆動信号Vcomとの電位差である。図8に示したように、ドット反転駆動では、あるフレームにおいて、隣接するサブ画素SPixの画素電位の極性が互いに異なるように駆動される。さらに、あるフレームにおける全てのサブ画素SPixの画素電位の極性は、フレーム毎に反転するようになっている。
【0052】
このドット反転駆動を行う際、駆動電極ドライバ16は、隣り合う駆動電極COMLに対して、互いに逆極性の交流矩形波形の駆動信号Vcomを印加する。そして、ソースドライバ13および選択スイッチ部14は、この駆動電極ドライバ16の動作に対応するように、隣り合う画素信号線SGLに対して、互いに逆極性の画素信号Vpixを印加する。
【0053】
このように、表示装置1では、走査信号Vscanによって選択され、画素信号Vpixの書き込みを行う1水平ラインに係るサブ画素SPixのそれぞれには、異なる駆動電極COMLから駆動信号Vcomが供給される。すなわち、書き込み動作を行う際、その1水平ラインの各サブ画素SPixには、駆動信号Vcomが独立して供給されるため、その1水平ラインの他のサブ画素SPixから、駆動電極COMLを介してノイズが混入するおそれを低減することができる。
【0054】
次に、駆動電極ドライバ16の負荷について説明する。
【0055】
図9は、表示部20の等価回路を表すものであり、(A)はTFT素子Trがオフ状態になっている場合を示し、(B)はTFT素子Trがオン状態になっている場合を示す。ここで、容量素子Clcは液晶素子LCを容量素子として見た時の等価的な素子である。
【0056】
走査信号線GCLに低レベルの走査信号Vscanが印加され、TFT素子Trがオフ状態になっているとき、TFT素子Trは、図9(A)に示したように、ドレイン/ソース間の寄生容量に対応する容量素子Cdsで置き換えることができる。このとき、各サブ画素SPixにおける駆動電極COMLから見た負荷は、容量素子Clc,Csの並列容量(Clc+Cs)と容量素子Cdsとの直列容量となる。一般に、容量Cdsは、容量(Clc+Cs)に比べて十分に小さいため、この直列容量は、容量Cdsと同程度になる。すなわち、TFT素子Trがオフ状態になっているサブ画素SPixにおける、駆動電極COMLから見た負荷は、軽い容量負荷となる。
【0057】
一方、走査信号線GCLに高レベルの走査信号Vscanが印加され、TFT素子Trがオン状態になっているとき、TFT素子Trは、図9(B)に示したように、ドレイン/ソース間のオン抵抗に対応する抵抗素子Ronで置き換えることができる。このオン抵抗は一般に十分に小さいため、各サブ画素SPixにおける駆動電極COMLから見た負荷は、容量(Clc+Cs)が支配的になる。すなわち、TFT素子Trがオン状態になっているサブ画素SPixにおける、駆動電極COMLから見た負荷は、重い容量負荷となる。
【0058】
表示装置1では、各駆動電極COMLに接続されたサブ画素SPixのうち、常に1つのサブ画素SPixのみが書き込みを行う。すなわち、表示部20における、駆動電極COMLから見た全負荷は、その1水平ラインに係るサブ画素SPixの重い容量負荷と、他のサブ画素SPixの軽い容量負荷の和となる。つまり、重い容量負荷となるサブ画素SPixは、各駆動電極COMLにおいて1つのみになるため、駆動電極ドライバ16は、駆動電極COMLを駆動しやすくなる。
【0059】
[比較例との対比]
次に、比較例と対比して、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
まず、比較例に係る表示装置1Rについて説明する。本実施の形態(図4)では、駆動電極COMLを画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成したが、これに代えて、本比較例では、画素信号線SGLと交差する方向に延伸するように形成している。すなわち、表示装置1Rは、このように駆動電極COMLが形成された表示部20Rを用いて構成されたものである。その他の構成は、本実施の形態(図1)と同様である。
【0061】
図10は、表示部20Rにおける画素構造の構成例を表すものである。図10に示したように、表示部20Rでは、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと交差する方向に延伸するように形成され、サブ画素SPixは、駆動電極COMLにより、表示部20Rの同じ行に属する他のサブ画素SPixと互いに接続されている。すなわち、同じ一行に属する複数のサブ画素SPixが、一本の駆動電極COMLを共有するようになっている。
【0062】
図11は、表示装置1Rの表示モジュール5Rへの実装を模式的に表すものである。表示モジュール5Rは、表示部20Rと、駆動電極ドライバ16RA,16RBと、COG19Rとを有している。本比較例に係る表示部20Rでは、図11に模式的に示したように、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと交差する方向に延伸するように形成されている。駆動電極ドライバ16RA,16RB(以下、総称して駆動電極ドライバ16Rともいう)は、図1に示した駆動電極ドライバ16に対応するものであり、表示部20Rの両側から駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを印加するように構成されている。COG19Rは、図1に示した制御部11、ソースドライバ13、駆動信号生成回路15など、表示動作に必要な各回路を内蔵したものである。すなわち、本実施の形態に係る表示装置1(図6(A))では、駆動電極ドライバ16をCOG19内に形成したが、本比較例に係る表示装置1R(図11)では、駆動電極ドライバ16Rと駆動電極COMLとを短い距離で接続するために、駆動電極ドライバ16RをCOG19R内ではなく、表示部20Rの両側のTFT基板21に形成している。
【0063】
(クロストークノイズ)
表示装置1Rでは、走査信号Vscanによって選択され、画素信号Vpixの書き込みを行う1水平ラインに係るサブ画素SPixのそれぞれには、同じ駆動電極COMLから駆動信号Vcomが供給される。すなわち、書き込み動作を行う際、その1水平ラインの各サブ画素SPixには、共通の駆動電極COMLを介して供給されるため、その1水平ラインの他のサブ画素SPixから、駆動電極COMLを介してノイズ(クロストークノイズ)が混入するおそれがある。以下に、その詳細を説明する。
【0064】
図12は、表示装置1Rのタイミング波形例を表すものであり、(A)は走査信号Vscanの波形を示し、(B)はスイッチ制御信号VselR,VselG,VselBの波形を示し、(C)は画素信号VpixR,VpixG,VpixBの波形を示し、(D)は駆動信号Vcomの波形を示す。図12は、表示部20Rのn行目の画素Pixに係る1水平ラインに対して画素信号Vpix(VpixR,VpixG,VpixB)の書き込み動作を行うものである。
【0065】
表示装置1Rでは、タイミングt11において、駆動信号生成部15および駆動電極ドライバ16が、n行目の画素Pixに係る駆動信号Vcom(n)を反転させ低い電圧レベルにした後(図12(D))、タイミングt12〜t16の期間において、ゲートドライバ12がn行目の画素Pixに係る走査信号Vscan(n)を高レベルにすることにより、書き込み動作を行う1水平ラインを選択する(図12(A))。この期間において、ソースドライバ13および選択スイッチ部14は、画素信号線SGLに対して、画素信号VpixR,VpixG,VpixBを順次印加する。この例では、画素信号VpixRは、スイッチ制御信号VselRが高レベルになると同時に高い電圧レベルに変化し、画素信号VpixBは、スイッチ制御信号VserBが高レベルになると同時に高い電圧レベルに変化する一方で、画素信号VpixGは、スイッチ制御信号VselGが高レベルになると同時に少し高い電圧レベルに変化する。すなわち、画素信号Vpix(VpixR,VpixG,VpixB)と駆動信号Vcomとの電位差(画素電位)は、赤(R)および青(B)のサブ画素SPixでは大きく、緑(G)のサブ画素SPixでは小さくなっている。これは、例えば、表示部20Rがノーマリーブラック型であれば、赤(R)および青(B)のサブ画素SPixを高輝度で点灯させ、緑(G)のサブ画素SPixを低輝度で点灯させることに対応している。
【0066】
図12(D)に示したように、駆動信号Vcomは、図7(A)に示したような本来の交流矩形波形に多くのノイズがのったものとなる。例えば、タイミングt12,t16において、走査信号Vscan(n)の遷移が、走査信号線SGLと駆動電極COMLとの間の寄生容量を介して、駆動信号Vcomにノイズとして現れる。また、タイミングt13〜t16の期間において、画素信号Vpix(特に画素信号VpixR,VpixB)の遷移が、例えば画素電極22から容量Clc,Csを介して駆動電極COMLに伝わり、駆動信号Vcomにノイズとして現れる。
【0067】
このノイズの影響により、タイミングt14〜t15の期間において、駆動信号Vcom(n)は、本来の電圧(−Vc)になっていない。すなわち、タイミングt13〜t14の期間における画素信号VpixRの遷移の影響により、駆動信号Vcom(n)の電圧レベルが本来の電圧(−Vc)よりもやや高めになっている(波形部分W1)。よって、この期間において画素信号VpixGを印加しても、書き込み不足となり、緑色(G)のサブ画素SPixの輝度が所望の値よりも低くなってしまう。このように、駆動信号Vcomの電圧レベルが本来の電圧からずれているときに、画素信号Vpixを印加して書き込みを行うと、そのサブ画素SPixの輝度は所望の値からずれてしまう。
【0068】
表示装置1Rでは、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと交差する方向に延伸するように形成され、書き込み動作を行う1水平ラインに係るサブ画素SPixのそれぞれには、同じ駆動電極COMLから駆動信号Vcomが供給される。これにより、書き込み動作の際、その1水平ラインの他のサブ画素SPixから、駆動電極COMLを介してノイズが混入し、輝度が所望の値からずれるおそれがある。すなわち、表示装置1Rでは、このクロストークノイズが発生することにより、画質が低下するおそれがある。
【0069】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、駆動電極COMLは、画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成され、書き込み動作を行う1水平ラインに係るサブ画素SPixのそれぞれには、異なる駆動電極COMLから駆動信号Vcomが供給される。これにより、書き込み動作の際、その1水平ラインの他のサブ画素SPixから、駆動電極COMLを介してノイズが混入するおそれを低減することができ、クロストークノイズによる画質の低下を抑えることができる。
【0070】
(駆動電極ドライバ16Rの負荷)
次に、本比較例における駆動電極ドライバ16Rの負荷について説明する。
【0071】
図13は、比較例に係る表示部20Rの等価回路を表すものであり、(A)はTFT素子Trがオフ状態になっている場合を示し、(B)はTFT素子Trがオン状態になっている場合を示す。
【0072】
各サブ画素SPixにおける駆動電極COMLから見た負荷は、本実施の形態の表示装置1の場合(図9)と同様である。すなわち、TFT素子Trがオフ状態になっているとき(書き込み動作を行わないとき)は、この負荷は、図13(A)に示したように、容量素子Clc,Csの並列容量(Clc+Cs)と容量素子Cdsとの直列容量となり、容量Cdsと同程度の軽い容量負荷となる。また、TFT素子Trがオン状態になっているとき(書き込み動作を行うとき)は、この負荷は、図13(B)に示したように、容量(Clc+Cs)と同程度の重い容量負荷となる。
【0073】
しかしながら、表示装置1Rでは、表示装置1とは異なり、駆動電極COMLを、画素信号線SGLと交差する方向に延伸するように形成したので、書き込み動作を行わない行では、各駆動電極COMLに接続されたサブ画素SPixの全てが書き込みを行わず、書き込み動作を行う行では、各駆動電極COMLに接続されたサブ画素SPixの全てが書き込みを行う。すなわち、図13(A)に示したように、表示部20Rにおける、書き込みを行わない行に係る駆動電極COMLの全負荷は、その行に属する全てのサブ画素SPixの軽い容量負荷の和となる。一方、図13(B)に示したように、表示部20Rにおける、書き込みを行う行に係る駆動電極COMLの全負荷は、その行に属する全てのサブ画素SPixの重い負荷容量の和となる。つまり、この駆動電極COMLの全負荷は、書き込みを行うか否かによって大きく異なるものとなり、特に書き込みを行う場合には、非常に大きな容量負荷となる。駆動電極ドライバ16Rは、書き込みを行う場合の、この非常に大きな容量負荷を駆動できるように構成する必要があるので、強い駆動力を実現するために回路面積や消費電力が増大してしまうおそれがある。
【0074】
また、表示装置1Rでは、図11に示したように、駆動電極ドライバ16Rは、駆動信号生成部15が形成されているCOG19Rや、電源が供給される端子部Tから離れた位置に配置されることとなるため、これらを接続するための配線の時定数により駆動電極ドライバ16Rの出力インピーダンスが増加してしまい、駆動電極ドライバ16Rの駆動力を制限してしまうおそれがある。
【0075】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、駆動電極COMLを、画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成したので、各駆動電極COMLに接続されたサブ画素SPixのうち、常に1つのサブ画素SPixのみが書き込みを行う。よって、表示部20における駆動電極COMLの全負荷は、書き込みを行うか否かによっては変化せず、上述したように、その書き込み動作を行うサブ画素SPixの1つ分の重い容量負荷と、他のサブ画素SPixの軽い容量負荷の和となる。つまり、表示装置1Rの場合に比べて、駆動電極COMLの負荷が小さくなるので、駆動電極ドライバ16は、表示装置1Rの場合ほど強い駆動力を必要とせず、回路面積や消費電力が増大を抑えることができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る表示装置1では、図6に示したように、駆動電極ドライバ16は、駆動信号生成部15とともにCOG19に形成されており、さらに電源が供給される端子部Tに近い位置に配置することができるため、これらを接続するための配線を短くすることができ、駆動電極ドライバ16の駆動力の低下を抑えることができる。
【0077】
図14は、本実施の形態に係る表示装置1と本比較例に係る表示装置1Rにおける、画素への書き込み能力のシミュレーション結果を表すものである。図14では、ソースドライバ13および選択スイッチ部14が画素信号Vpixを画素信号線SGLに印加してから、あるサブ画素SPixにおける画素信号Vpixと駆動信号Vcomとの電位差(画素電位)が所定電位へ到達するまでの到達時間を、書き込み能力を評価するための指標として用いており、図14(A)は、駆動電極ドライバ16の近くのサブ画素SPixでの画素電位の到達時間を示し、図14(B)は、表示面の中央付近のサブ画素SPixでの画素電位の到達時間を示している。この例では、本実施の形態に係る表示装置1は、図6(B)に示したような構成のものであり、表示部20の両側から駆動電極COMLを駆動するものである。すなわち、図14(A)は、最も到達時間が短いサブ画素SPixでのデータを示すものであり、図14(B)は、最も到達時間が長いサブ画素SPixでのデータを示すものである。
【0078】
図14(A),(B)に示したように、本実施の形態に係る表示装置1では、本比較例に係る表示装置1Rに比べ、到達時間が半分になっている。すなわち、表示装置1(図6(B))は、表示装置1R(図11)に比べて駆動電極COMLが長いにも関わらず、到達時間が短い。これは、上述したように、表示装置1では、駆動電極COMLから見た全負荷が表示装置1Rの場合に比べて軽いことと、駆動電極ドライバ16、駆動信号生成部15、および端子部Tの間の各距離が、表示装置1Rの場合に比べて短いためである。これにより、表示装置1では、駆動電極ドライバ16が駆動電極COMLを駆動しやすくなり、到達時間を短くすることができる。
【0079】
[効果]
以上のように本実施の形態では、駆動電極COMLを画素信号線SGLと同じ方向に延伸するように形成し、書き込みを行う1水平ラインに係るサブ画素SPixのそれぞれに対して、異なる駆動電極COMLから駆動信号Vcomを供給するようにしたので、その1水平ラインの他のサブ画素SPixから、駆動電極COMLを介してノイズが混入するおそれを低減することができ、画質の劣化を抑えることができる。
【0080】
また、本実施の形態では、各駆動電極COMLに接続された複数のサブ画素SPixのうち、1つのサブ画素SPixに対してのみ書き込みを行うようにしたので、駆動電極COMLからみた表示部の負荷容量成分を小さくすることができ、駆動電極ドライバによる駆動電極COMLの駆動をしやすくすることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、駆動電極ドライバを、表示部、駆動信号生成部、および端子部Tに近い位置に配置したので、これらの間の配線の時定数を小さくすることができ、駆動電極ドライバが駆動電極COMLを駆動しやすくすることができる。
【0082】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、各駆動電極COMLは、駆動電極配線部29を介して直接それぞれ駆動電極ドライバ16に接続したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図15に示したようにスイッチを介して接続してもよい。図15において、このスイッチ(駆動電極スイッチSWCOM)は、この例では3つのスイッチから構成されており、それぞれの一端は互いに接続され駆動電極ドライバ16から駆動信号Vcomが供給され、他端は表示部20の駆動電極COMLにそれぞれ接続されている。この例では、例えば、各駆動電極スイッチSWCOMの3つのスイッチを、時分割的に順次切り替えてオン状態にすることにより、駆動電極ドライバ16が駆動電極COMLのそれぞれに対して駆動信号Vcomを供給することができる。
【0083】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、サブ画素SPixを単位として駆動信号Vcomを供給したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、複数のサブ画素SPixを単位として駆動信号Vcomを供給してもよい。以下に、いくつかの例を説明する。
【0084】
図16は、画素Pixを単位として駆動信号Vcomを供給する場合の構成例を表すものである。図16(A)は、サブ画素SPixごとに形成された駆動電極COMLのうち、同じ画素Pixに係る3つの駆動電極COMLを互いに接続し(駆動電極配線部29B)、駆動電極ドライバ16に接続したものである。また、図16(B)は、画素Pix(3つのサブ画素SPix)の幅に対応する駆動電極COMLを形成し、駆動電極配線部29Cを介して駆動電極ドライバ16に接続したものである。このように構成することにより、駆動電極ドライバ16は、画素Pixを単位として駆動信号Vcomを供給することができる。この場合、表示部20に対するドット反転駆動は、上記実施の形態で説明したサブ画素SPixごとに極性反転するサブピクセル反転駆動ではなく、画素Pixごとに極性反転するピクセル反転駆動となる。
【0085】
図17は、2つの画素Pixを単位として駆動信号Vcomを供給する場合の一構成例を表すものである。2画素Pixの幅に対応する駆動電極COMLを形成し、駆動電極配線部29Dを介して駆動電極ドライバ16に接続したものである。このように構成することにより、駆動電極ドライバ16は、2つの画素Pixを単位として駆動信号Vcomを供給することができる。この場合、表示部20に対する駆動方法は、2つの画素Pixごとに極性反転する反転駆動となる。
【0086】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、ドット反転駆動により表示部20を駆動したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図18に示したようないわゆるライン反転駆動により駆動するようにしてもよい。図18において、(A)はあるフレームにおけるサブ画素SPixに対する画素電位の極性を示し、(B)は次のフレームにおける画素電位の極性を示す。図18に示したように、ライン反転駆動では、あるフレームにおいて、行方向に隣接するサブ画素SPixの画素電位の極性が互いに同じになり、かつ、列方向に隣接するサブ画素SPixの画素電位の極性が互いに異なるように駆動される。さらに、あるフレームにおける全てのサブ画素SPixの画素電位の極性は、フレーム毎に反転するようになっている。
【0087】
[その他の変形例]
上記実施の形態では、3つのサブ画素SPixの画素信号Vpixを時分割多重して画素信号Vsigを構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば4つ以上、もしくは2つのサブ画素SPixの画素信号Vpixを時分割多重してもよい。この場合、選択スイッチ部14の各スイッチグループ17のスイッチの数を、この多重化するサブ画素SPixの数に等しくなるように構成すればよい。
【0088】
上記実施の形態では、ソースドライバ13が、画素信号Vsigを選択スイッチ部14に対して供給し、選択スイッチ部14が、画素信号Vsigから画素信号Vpixを分離して表示部20に供給するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、選択スイッチ部14を設けずに、ソースドライバが画素信号Vpixを生成し、表示部20に直接供給してもよい。
【0089】
<2.適用例>
次に、図19〜図23を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0090】
(適用例1)
図19は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0091】
(適用例2)
図20は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0092】
(適用例3)
図21は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0093】
(適用例4)
図22は、上記実施の形態等の表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0094】
(適用例5)
図23は、上記実施の形態等の表示装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る表示装置により構成されている。
【0095】
以上、実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0096】
例えば、上記の各実施の形態等では、TNやVA、ECB等の各種モードの液晶を用いて表示部20を構成したが、これに代えて、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いても良い。例えば、横電界モードの液晶を用いた場合には、表示部90を、図24に示したように構成可能である。この図は、表示部90の要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図3の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図3の場合とは異なり、駆動電極COMLは、TFT基板21の直ぐ上に形成され、画素基板2Bの一部を構成する。駆動電極COMLの上方には、絶縁層23を介して画素電極22が配置される。
【0097】
例えば、上記の各実施の形態等では、表示素子として液晶表示素子を用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、EL(Electro Luminescence)素子など、どのような表示素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0098】
1…表示部、2…画素基板、3…対向基板、5A,5B…表示モジュール、6,6B…液晶層、11…制御部、12,12A,12B…ゲートドライバ、13…ソースドライバ、14…選択スイッチ部、15…駆動信号生成部、16,16B…駆動電極ドライバ、17…スイッチグループ、19…COG、20…表示部、21…TFT基板、22…画素電極、29,29B,29C,29D…駆動電極配線、31…ガラス基板、32…カラーフィルタ、35…偏光板、Cds,Clc…容量素子、COML…駆動電極、Cs…保持容量素子、GCL…走査信号線、LC…液晶素子、Pix…画素、Ron…抵抗素子、SGL…画素信号線、SWCOM…駆動電極スイッチ、SWR,SWG,SWB…スイッチ、SPix…サブ画素、T…端子部、Tr…TFT素子、Vcom…駆動信号、Vdisp…映像信号、Vpix,VpixR,VpixG,VpixB,Vsig…画素信号、Vscan…走査信号、VselR,VselG,VselB…スイッチ制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在するように並設された複数の信号線と、
前記信号線に沿って延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
前記複数の信号線のそれぞれに接続されるとともに、その接続された前記信号線と互いに対をなす前記共通駆動電極にも接続され、前記信号線の方向に走査駆動が行われる複数の表示素子と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記共通駆動電極の幅は、前記表示素子の幅に対応したものである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記共通駆動電極の幅は、所定数の前記表示素子の幅に対応し、
前記共通駆動電極は、前記所定数の前記信号線と対をなすように形成された
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記所定数の表示素子は、赤色表示素子、緑色表示素子、および青色表示素子をそれぞれ1つずつ含む表示画素を構成する
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示素子は液晶表示素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の共通駆動電極が延在する方向と交差する辺に配置され、その複数の共通駆動電極を駆動する駆動部と、
前記駆動部が配置された辺に配置され、その駆動部に信号を供給する端子部と
を備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置と、
前記表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記表示装置は、
一方向に延在するように並設された複数の信号線と、
前記信号線に沿って延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
互いに対をなす前記信号線と前記共通駆動電極との間に挿入接続され、前記信号線の方向に走査駆動が行われる表示素子と
を有する
電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−47807(P2012−47807A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187222(P2010−187222)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】