説明

表示装置および電子機器

【課題】防湿性の向上と共に狭額縁化された表示装置を提供する。
【解決手段】表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、前記表示領域に設けられた表示層と、前記表示層の表示面に対向配置された表面膜と、前記表示層と前記表面膜との間に介在し、前記接着領域において前記駆動基板に接すると共に前記駆動基板との間で前記表示層を封止する防湿膜とを備えた表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表示層に対して防湿膜を備えた表示装置、およびこの表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在テレビジョンなどの平面表示装置として液晶表示装置が幅広く利用されているが、更に薄型化・低消費電力化の可能な表示装置が注目されている。
【0003】
このような表示装置では、表示層が水分によって劣化しやすいことから表示層への水分の浸入を防止する技術がいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献2では最表面に配置された膜(基板から積層方向に最も離間した膜)により表示層を基板に封止する構成を採用し、表示装置の防湿性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−114820号公報
【特許文献2】特表2009−529711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最表面に配置される膜は、外力から表示層等を保護するために膜厚が厚く、表示層等の積層構造の側面に沿うよう急な角度で折り曲げることが難しい。つまり、当該膜と基板とを密着させる際に、表示領域から表示領域以外の領域(額縁領域)にかけて当該膜の形状をなだらかにする必要があり、その結果額縁領域の面積が大きくなる。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、防湿性に優れると共に狭額縁化の可能な表示装置、およびこの表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の表示装置は、表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、表示領域に設けられた表示層と、表示層の表示面に対向配置された表面膜と、表示層と表面膜との間に介在し、接着領域において駆動基板に接すると共に駆動基板との間で表示層を封止する防湿膜とを備えたものである。
【0008】
本技術の電子機器は、本技術の表示装置を備えたものである。
【0009】
本技術の表示装置または電子機器では、表示層上の膜が、表示層を封止する防湿膜と、最表面の表面膜とに分離されているので、防湿膜自体の膜厚を薄くし容易に変形可能とすることができる。このため防湿膜を表示層の形状に倣って変形させることができ、よって表示領域に近い領域において防湿膜と駆動基板とが接着され、その接着領域と表示領域との間隔が狭まる。
【発明の効果】
【0010】
本技術の表示装置および電子機器によれば、表示層を封止する防湿膜と、最表面に配置される表面膜とを分離するようにしたので、防湿性が向上すると共に、表示領域と接着領域との間の距離を小さくして狭額縁化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した駆動基板の構成を表す平面図である。
【図3】図1に示した表示装置の製造方法の工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】比較例1に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図6】比較例2に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図7】変形例1に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図8】変形例2に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図9】図8に示した表示装置の製造方法の工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く工程を表す断面図である。
【図11】紫外線遮断機能を有する膜の波長と透過率との関係を表す図である。
【図12】変形例3に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図13】図12に示した表示装置の製造方法の工程を表す断面図である。
【図14】図13に続く工程を表す断面図である。
【図15】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図16】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図17】(A)は適用例3の表側から見た外観を表す斜視図、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図18】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図19】適用例5の外観を表す斜視図である。
【図20】(A)は適用例6の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以
下の順序で行う。
1.実施の形態
表示層の側面を防湿膜で覆った表示装置
2.変形例1
表示層の側面に密着する水分遮断部を有する表示装置
3.変形例2
駆動基板に回路基板を備えた表示装置
4.変形例3
ドライバICが直接駆動基板に搭載された表示装置
5.適用例
【0013】
<実施の形態>
[表示装置1の構成]
図1は本開示の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の断面構成を表すものである。この表示装置1は、駆動基板10上に、表示層11、対向基板12、防湿膜13および光学機能膜14をこの順に有している。なお、図1は表示装置1の形状を模式的に表したものであり、実際の寸法、形状とは異なる。
【0014】
駆動基板10には、図2に示したように、中央領域(表示領域10−1)の周囲にこの表示領域10−1を完全に取り囲むように接着領域10−2が設けられている。表示領域10−1上には表示層11が設けられ、接着領域10−2には、防湿膜13の端部が接着されている。表示領域10−1と接着領域10−2との間の距離をD1とする。
【0015】
駆動基板10は、基体10a上にバリア層10bおよびTFT(Thin Film Transistor)回路10cをこの順に積層させたものである。基体10aは、例えば、ガラス、石英、シリコン、ガリウム砒素等の無機材料、ステンレス等の金属材料あるいは、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等のプラスチック材料等からなる。この基体10aは、ウェハなどの剛性を有するものであってもよく、薄層ガラス、フィルムまたは金属箔など可撓性を有するものであってもよい。基体10aが可撓性を有するものであれば、折り曲げ可能な表示装置を実現できる。基体10aの厚み(積層方向の厚み。以下単に厚みという。)は、例えば10μm〜100μmである。
【0016】
バリア層10bは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されたAlOx1-X(ただし、X=0.01〜0.2)膜または窒化シリコン(Si34)膜であり、水分や有機ガスによるTFT回路10cおよび表示層11の劣化を防止する。バリア層10bは、CVD法により成膜される場合がほとんどであり、蒸着法により成膜した場合と比較すると緻密で、透湿性がより低くなる。本実施の形態では、このようなバリア層10bと防湿膜13との間に表示層11を封止するようにしているので、外部からの水分の浸入をより効果的に遮断することができる。
【0017】
TFT回路10cは画素を選択するためのスイッチング機能を有している。このTFT回路10cは、チャネル層として無機半導体層を用いた無機TFTあるいは、有機半導体層を用いた有機TFTのどちらにより構成されていてもよい。
【0018】
表示層11は、例えば、画素電極と共通電極との間に、液晶層、有機EL(Electroluminescence)層、無機EL層あるいは電気泳動型等の表示体を有するものである。画素電極はTFT回路10c、共通電極は対向基板12にそれぞれ接している。表示層11の積層方向の厚みは、例えば40μm〜165μm程度である。画素電極は画素ごとに設けられており、例えばクロム(Cr)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)あるいは銀(Ag)などの金属元素の単体または合金からなる。共通電極は、対向基板12の一面に亘り設けられており、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の透光性導電材料(透明電極材料)により構成されている。
【0019】
対向基板12は、表示層11と同様に表示領域10−1上に設けられており例えば125μm程度の厚みを有する。本実施の形態では、対向基板12側において画像が表示されるため、対向基板12には光透過性の材料が用いられるが、この点を除き、基体10aと同様の材料を用いることができる。
【0020】
防湿膜13はこの対向基板12に対して透明接着剤16aにより固定されている。この透明接着剤16aは、例えば、25μmの厚みのOCA(Optical Clear Adhesive)等からなる。基体10aを可撓性基板により構成するときには、透明接着剤16aも可撓性であることが好ましい。後述の透明接着剤16b、接着剤17も同様である。
【0021】
防湿膜13は、表示層11と光学機能膜14との間に介在して表示層11への水分の浸入を防止するものである。防湿膜13の面積は、表示領域10−1の面積よりも大きく、表示層11の上面および側面を覆っている。防湿膜13は、接着領域10−2において表示層11の下面を覆う駆動基板10に接着剤17で固定されている。すなわち、防湿膜13は表示層11を駆動基板10に封止している。これにより、表示装置1の外部、特に側面から表示層11への水分の浸入を防ぐことができ、防湿性が向上する。
【0022】
防湿膜13は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルスルホン等により構成されている。なお、この防湿膜13は上記のような樹脂膜に蒸着法やCVD法によりAlOx膜や窒化シリコン膜が形成されたものであってもよく、複数の樹脂膜からなる積層構造であってもよい。防湿膜13は、例えば0.01g/m2/日〜0.1g/m2/日、好ましくは0.05g/m2/日以下の透湿度を有し、かつ光透過性の高いものであることが好ましい。防湿膜13の膜厚は、例えば50μm以下であり、特に10μm〜40μmであることが好ましい。
【0023】
本実施の形態では、防湿膜13と表面の光学機能膜14とが分離されているため、表示層11に沿って設けられる防湿膜13を薄くすることができ、柔軟性を持たせることができる。よって、表示領域10−1に近い領域で防湿膜13と駆動基板10とを接着することができる。すなわち、表示領域10−1と接着領域10−2との間隔が狭くなり、距離D1(図1)を小さくすることができる。距離D1は例えば10μm〜500μmである。
【0024】
接着剤17の透湿度は、防湿効果を高めるため50g/m2/日以下であることが好ましい。接着剤17の厚みは、例えば1μm以上30μm以下であり、接着剤17の幅(接着領域10−2の幅)は0.5mm以下である。接着剤17の可視光透過率が高い場合、接着剤17と同様の材料により透明接着剤16aを構成してもよい。
【0025】
光学機能膜14(表面膜)は、例えば反射防止機能あるいは防眩機能を有し、防湿膜13を間にして、表示層11の表示面(上面)と対向するように配置されている。光学機能膜14は単層構造あるいは複数の膜からなる積層構造のどちらであってもよく、駆動基板10と略同一の大きさを有する。例えば光学機能膜14が反射防止機能を有する場合には、光学機能膜14は屈折率の異なる複数の薄膜の積層体であり、これらの薄膜の界面で発生する反射光の干渉を利用して反射光を減衰する。また、例えば光学機能膜14が防眩機能を有する場合には、光学機能膜14の表面には、塗料により凹凸面が形成され、この凹凸面により外光を乱反射させる。なお、光学機能膜14に代えて、表面膜として、ハードコート等の表示面を物理的な刺激(外力)から保護する膜、紫外光遮断機能を有する膜あるいは指紋の付着を防止または指紋の拭き取りを容易にする膜を形成してもよい。また、表面膜が、それぞれの機能を有する複数の膜からなる積層体であってもよい。光学機能膜14の厚みは、例えば80μmである。この光学機能膜14と防湿膜13とを接着するための透明接着剤16bは、例えば25μmの厚みで透明接着剤16aと同様の材料により構成される。
【0026】
平坦化層15は、光学機能膜14の表面を、駆動基板10上の全面に亘り平らにするために設けられたものであり、表示領域10−1の外側の領域において防湿膜13と光学機能膜14との間に配置されている。換言すれば、防湿膜13を駆動基板10と接着することにより生じた、防湿膜13と光学機能膜14との間の間隙部分に平坦化層15が設けられている。平坦化層15は、例えば光硬化性樹脂、熱硬化樹脂あるいは室温硬化性樹脂等の種々の樹脂から選択して用いることができる。表示装置1の防湿性を高めるためには平坦化層15は透湿度の低いものが好ましい。例えば、平坦化層15の透湿度は40℃で50g/m2/日以下であることが好ましい。具体的には、例えばエポキシ樹脂を使用することができる。基体10aが可撓性基板により構成されている場合は、平坦化層15も可撓性を有していることが好ましい。
【0027】
防湿膜13により封止された表示領域10−1と接着領域10−2との間(表示層11および対向基板12の側面と防湿膜13との間)は空隙18となっており、表示層11および対向基板12の側面は空隙18により囲まれている。
【0028】
[表示装置1の製造方法]
この表示装置1は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0029】
図3および図4は表示装置1の製造工程を順に表したものである。まず、図3(A)に示したように、基体10aに例えばCVD法により窒化シリコンからなるバリア層10bを形成した後、上述のTFT回路10cを形成して駆動基板10とする。
【0030】
駆動基板10を形成した後、例えばクロム、金、白金、ニッケル、銅、タングステン、アルミニウムあるいは銀からなる金属膜を駆動基板10の全面に形成し、これをパターニングすることにより、画素電極を形成する。次いで図3(B)に示したように、駆動基板10上に表示層11および対向基板12を形成する。
【0031】
対向基板12を貼合した後、透明接着剤16aにより防湿膜13を対向基板12上に固定する。このとき、防湿膜13には、その全ての辺において表示領域10−1の辺よりも大きく、その面積が表示領域10−1の面積よりも大きいものを用いる。これにより、防湿膜13に表示領域10−1の外側に張り出す部分が形成される。次いで、図4(A)に示したように、防湿膜13の表示領域10−1から張り出した部分を駆動基板10側に折り曲げ、表示層11の側面を覆うようにして駆動基板10の接着領域10−2に接着剤17により固定する。
【0032】
防湿膜13を駆動基板10に接着させた後、図4(B)に示したように、防湿膜13に光学機能膜14を透明接着剤16bにより貼り合わせる。光学機能膜14が複数の膜から構成された積層体であれば、積層構造の光学機能膜14を形成した後、防湿膜13に貼り合わせてもよく、あるいは、順次防湿膜13に貼り合わせて、光学機能膜14を形成してもよい。次いで、表示領域10−1の外側の領域に形成された、防湿膜13と光学機能膜14との間の間隙に、例えば光硬化性樹脂を充填し、これに光を照射させて平坦化層15を形成する。以上により、図1に示した表示装置1が完成する。
【0033】
[表示装置1の作用・効果]
本実施の形態の表示装置1では、表示層11上の膜が、この表示層11を覆う防湿膜13と表面の光学機能膜14とに分離されているため、防湿性が向上すると共に、狭額縁化が可能になる。以下、比較例を用いつつこれについて詳細に説明する。
【0034】
図5は比較例1としての表示装置101を表したものである。この表示装置101は、表面に配置された保護膜113により表示層11を駆動基板10に封止している。保護膜113は、防湿機能に加え、反射防止機能あるいは防眩機能等の光学機能、更には外力に対する保護機能を兼ねたものであり、その膜厚は、例えば数百μm程度と厚くなる。このように保護膜113の膜厚が厚いと、表示層11への影響を考慮した場合、保護膜113を表示層11の表面から側面の角度に沿って急な角度で折り曲げることができない。すなわち表示層11を封止する際の保護膜113の曲率は大きくなる。そのため表示領域10−1と接着領域10−2との間の距離D101が大きくなり、額縁面積が広くなってしまう。
【0035】
図6は、比較例2として、防湿膜113が折り曲げられていない表示装置102の断面構成を表したものである。この表示装置102では、表示層11および対向基板12の側面を水分遮断部119で覆うことにより、防湿性の向上を図っている。水分遮断部119は、その外端から表示領域10−1までの距離D102が長くなるにつれて、防湿効果が向上する。すなわち、防湿性を向上させると表示装置102の額縁面積が広くなってしまう。
【0036】
これに対し、本実施の形態の表示装置1では、防湿膜13により表示層11が駆動基板10に封止されている。これにより、外部から表示装置1への水分の浸入経路、特に側面からの浸入経路が遮断され、防湿性が向上する。
【0037】
また、この表示装置1では、防湿膜13と最表面の光学機能膜14とが別部材となっているので、防湿膜13の膜厚は薄くし、表示層11を封止する際の防湿膜13の曲率を小さくすることができる。よって、表示領域10−1と接着領域10−2との間の距離D1および額縁面積は小さくなる。
【0038】
以上のように本実施の形態の表示装置1では、表示層11を封止する薄い防湿膜13と、最表面の光学機能膜14というように機能別に2つの部材に分離するようにしたので、防湿性が向上すると共に、表示領域10−1と接着領域10−2との間の距離D1を小さくして狭額縁化を実現できる。
【0039】
また、平坦化層15を設けることにより光学機能膜14の表面を平らにすることができる。よって、表示部周辺の設計上の制約が減り、デザイン上の自由度を向上させることができる。
【0040】
以下、上記実施の形態の変形例について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0041】
<変形例1>
図7は変形例1に係る表示装置1Aの断面構成を表したものである。この表示装置1Aは、表示装置1の空隙18に代えて水分遮断部19を設けたものである。その点を除き、表示装置1Aは上記実施の形態の表示装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0042】
水分遮断部19は、表示領域10−1と接着領域10−2との間に表示層11および対向基板12の各側面に密着して設けられている。換言すれば、表示層11および対向基板12の周囲を囲むように水分遮断部19が設けられ、表示層11と共に防湿膜13により駆動基板10に封止されている。この表示装置1Aでは、側面からの水分の浸入をより効果的に防止することができ、表示装置1よりも防湿性が向上する。また、表示層11および対向基板12の側面と防湿膜13との間に空隙18(図1)を有しないため、表示装置1Aの機械的強度も向上する。水分遮断部19は、例えば透湿度の低い、熱または紫外線硬化性のアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、シリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂等により構成される。水分遮断部19の透湿度は50g/m2/日未満であることが好ましい。
【0043】
<変形例2>
図8は変形例2に係る表示装置1Bの断面構成を表したものである。この表示装置1Bは、ドライバIC21を実装した回路基板20を駆動基板10と平坦化層15との間に設けたものである。その点を除き、表示装置1Bは上記変形例1の表示装置1Aと同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0044】
回路基板20は駆動基板10の表示層11側の面から駆動基板10の側面を介して反対側の面へと折り曲げられている。このように回路基板20を光学機能膜14よりも下側(駆動基板10側)に配置することにより、表示装置1Bの表示面を全面に亘り平面にすることができる。回路基板20は、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板またはCOF(Chip On Film)基板等であり、ドライバIC21を実装している。回路基板20と駆動基板10に設けられた電極(図示せず)とが例えばACF(Anisotropic Conductive Film;異方性導電膜)を介して電気的に接続され、表示層11が駆動される。表示装置1Bでは、この回路基板20と電極との接続部分が平坦化層15により覆われているため、接続部分への水分の浸入を防ぐことができ、別途、防湿コート剤等のコーティング剤を設ける必要がない。なお、回路基板20が接続される分、額縁面積は広くなるものの、回路基板20が接続される以外の領域については上記実施の形態と同様に狭額縁化が可能である。
【0045】
この表示装置1Bは、例えば以下のようにして製造することができる。
【0046】
まず、上記実施の形態と同様にして対向基板12まで形成した後(図3(B))、防湿膜13を対向基板12に透明接着剤16aにより貼り合わせ、続いて、駆動基板10への接着前に水分遮断部19を形成する。水分遮断部19は例えば、光硬化性樹脂を水分遮断部19の形成予定領域に塗布し、これを硬化させることにより形成する。このとき防湿膜13の全面あるいは少なくとも光硬化性樹脂と接触する部分に予め例えば酸素等のプラズマ処理を行っておくことが好ましい。防湿膜13の濡れ性が向上し、光硬化性樹脂の塗布が容易となるためである。
【0047】
また、例えば防湿膜13が紫外線遮断機能を有する場合は、遮断される紫外線の波長範囲外の光により硬化可能な樹脂材料を用いて、水分遮断部19を形成すればよい。図11は、紫外線遮断機能を有する防湿膜13における波長と光の透過率との関係の一例を示したものである。このような防湿膜13を使用する場合は、380nmより長波長の光(可視光)の照射により硬化可能な樹脂材料を用いればよい。
【0048】
水分遮断部19を形成した後、図9(A)に示したように接着剤17により防湿膜13を駆動基板10に固定する。接着剤17は、水分遮断部19と同一の樹脂材料により構成することも可能である。防湿膜13を駆動基板10に固定した後、図9(B)に示したように、ドライバIC21を実装した回路基板20を、例えばACFにより、駆動基板10上の電極(図示せず)に接続する。
【0049】
回路基板20を接続した後、図10(A)に示したように光学機能膜14を透明接着剤16bにより防湿膜13上に固定し、次いで、図10(B)に示したように平坦化層15を形成する。平坦化層15を形成した後、回路基板20を折り曲げることにより表示装置1Bが完成する。
【0050】
<変形例3>
図12は変形例3に係る表示装置1Cの断面構成を表したものである。この表示装置1Cは、ドライバIC21を直接、駆動基板10上に搭載したものである。その点を除き、表示装置1Cは上記変形例2の表示装置1Bと同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0051】
ドライバIC21は、例えばCOG(Chip On Glass)またはCOF等の方法により駆動基板10に実装されている。ドライバIC21とは別に、制御信号を入力するため、駆動基板10に回路基板20が接続されている。
【0052】
この表示装置1Cは、例えば以下のようにして製造することができる。
【0053】
上記変形例2と同様にして、防湿膜13と駆動基板10とを接着した後(図9(A))、図13(A)に示したように、ドライバIC21を駆動基板10上に例えばCOFにより実装する。次いで、図13(B)に示したように、回路基板20を例えばACFにより、駆動基板10上の電極(図示せず)に接続する。
【0054】
回路基板20を接続した後、図14(A)に示したように光学機能膜14を透明接着剤16bにより防湿膜13上に固定し、次いで、図14(B)に示したように平坦化層15を形成する。平坦化層15を形成した後、回路基板20を折り曲げることにより表示装置1Cが完成する。
【0055】
上記表示装置1、1A、1B、1Cは、額縁面積を狭くすると共に、最表面を平面に維持することができるため、例えば電子ブックと呼ばれる電子書籍を表示する電子機器やタッチパネルを内蔵させた電子機器に適用できる。また、その他、上記表示装置1、1A、1B、1Cは、次の適用例1〜6に示した電子機器にも搭載することができる。このとき、駆動基板10の下面(表示層11と反対側の面)に例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる支持基板を備えた状態で搭載してもよい。
【0056】
<適用例1>
図15(A)および図15(B)は、電子ブックの外観を表したものである。この電子ブックは、例えば、表示部210、非表示部220および操作部230を有している。操作部230は、図15(A)に示したように表示部210と同じ面(前面)に形成されていても、図15(B)に示したように表示部210とは異なる面(上面)に形成されていてもよい。
【0057】
<適用例2>
図16は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有している。
【0058】
<適用例3>
図17は、デジタルスチルカメラの外観を表したものである。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有している。
【0059】
<適用例4>
図18は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510、文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有している。
【0060】
<適用例5>
図19は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610、この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620、撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。
【0061】
<適用例6>
図20は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。
【0062】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等では、防湿膜が表示層の側面を覆う場合について説明したが、駆動基板が可撓性材料から構成されている場合には、駆動基板により表示層の側面を覆うようにしてもよい。
【0063】
また、例えば、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0064】
更に、上記実施の形態等では、表示装置1、1A、1B、1Cの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。
【0065】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、前記表示領域に設けられた表示層と、前記表示層の表示面に対向配置された表面膜と、前記表示層と前記表面膜との間に介在し、前記接着領域において前記駆動基板に接すると共に前記駆動基板との間で前記表示層を封止する防湿膜とを備えた表示装置。
(2)前記防湿膜が前記表示層の上面および側面、前記駆動基板が前記表示層の下面をそれぞれ覆っている前記(1)に記載の表示装置。
(3)前記表示領域の外側の前記防湿膜と前記表面膜との間に、平坦化層を有する前記(2)に記載の表示装置。
(4)前記平坦化層は樹脂により構成されている前記(3)に記載の表示装置。
(5)前記表示領域と前記接着領域との間に前記表示層の側面に密着した水分遮断部を有する前記(1)乃至(4)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(6)前記表面膜は、反射防止機能、防眩機能、紫外線遮断機能あるいは外力に対する保護機能を有する前記(1)乃至(5)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(7)前記駆動基板に前記表示層駆動用の回路基板を備えた前記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の表示装置。
(8)表示装置を備え、前記表示装置は、表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、前記表示領域に設けられた表示層と、前記表示層の表示面に対向配置された表面膜と、
前記表示層と前記表面膜との間に介在し、前記接着領域において前記駆動基板に接すると共に前記駆動基板との間で前記表示層を封止する防湿膜とを備えた電子機器。
【符号の説明】
【0066】
1、1A、1B、1C・・・表示装置、10・・・駆動基板、10a・・・基体、10b・・・バリア層、10c・・・TFT回路、10−1・・・表示領域、10−2・・・接着領域、11・・・表示層、12・・・対向基板、13・・・防湿膜、14・・・光学機能膜、15・・・平坦化層、16a、16b・・・透明接着剤、17・・・接着剤、18・・・空隙、19・・・水分遮断部、20・・・回路基板、21・・・ドライバIC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、
前記表示領域に設けられた表示層と、
前記表示層の表示面に対向配置された表面膜と、
前記表示層と前記表面膜との間に介在し、前記接着領域において前記駆動基板に接すると共に前記駆動基板との間で前記表示層を封止する防湿膜と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記防湿膜が前記表示層の上面および側面、前記駆動基板が前記表示層の下面をそれぞれ覆っている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示領域の外側の前記防湿膜と前記表面膜との間に、平坦化層を有する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記平坦化層は樹脂により構成されている
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域と前記接着領域との間に前記表示層の側面に密着した水分遮断部を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表面膜は、反射防止機能、防眩機能、紫外線遮断機能あるいは外力に対する保護機能を有する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記駆動基板に前記表示層駆動用の回路基板を備えた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
表示領域の周囲に接着領域を有する駆動基板と、
前記表示領域に設けられた表示層と、
前記表示層の表示面に対向配置された表面膜と、
前記表示層と前記表面膜との間に介在し、前記接着領域において前記駆動基板に接すると共に前記駆動基板との間で前記表示層を封止する防湿膜とを備えた
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−105144(P2013−105144A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250716(P2011−250716)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】