説明

表示装置および電子機器

【課題】視認性を向上させることが可能な表示装置等を提供する。
【解決手段】表示装置は、発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子とを備えている。光透過領域を有する画素内の発光素子における発光状態(発光時または非発光時)に応じた光透過率制御が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子を有する表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AR(Augmented Reality:拡張現実)技術が盛んに検討されている。このAR技術とは、現実の環境(の一部)に対して付加情報(電子情報)としてバーチャル(仮想的)な物体を合成提示することを特徴とする技術であり、バーチャルリアリティ(仮想現実:VR)と対比をなす技術である。AR技術では、現実環境中の特定の物体に関する説明や関連情報を含ませ、説明対象となる実物体近くに提示されることが多い。このため、ARを実現するための技術として、使用者が対象を観察する位置などの現実環境の情報を取得するための技術が、基礎技術として重要視されている。
【0003】
また、最近では、スマートフォンやタブレットと呼ばれる、比較的大型な表示装置(ディスプレイ)を備えた電子機器が商品化されている。このような電子機器に搭載された撮像素子(カメラ)によって現実環境を取り込んだ後にディスプレイに映し出し、その画面上にバーチャルな物体を合成表示することにより、手軽にARを実現することが可能となってきている。
【0004】
このようなARにおけるリアリティ(臨場感)をより高める手法の1つとして、例えば、裏面側を視認可能な(光透過領域を有する画素を備えた)表示装置(いわゆる透明ディスプレイ)が挙げられる。この透明ディスプレイでは、上記したように撮像素子により取り込んだ映像ではなく、ディスプレイを通した実際の現実環境を視認することができる。このため、その現実環境に関する電子情報をディスプレイ上に映し出すことで、より臨場感の高いARを実現することが可能となる。
【0005】
このような透明ディスプレイとしては、以下の透明材料(光透過性材料)を半導体材料や配線材料として用いた有機EL表示装置が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。この有機EL表示装置では、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)において、酸化物半導体(例えば、アルミニウム(Al)および錫(Sn)を添加したZn(鉛)−In(インジウム)−O(酸素))を半導体材料として用いている。また、配線材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)を用いている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Doo-Hee Cho et.al,“Al and Sn-doped Zinc Indium Oxide Thin film Transistors for AMOLED Back-Plane”,SID2009 proceedings,p.280-283
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、このような透明ディスプレイを、上記したようにAR用のディスプレイとして用いる場合、その臨場感の更なる向上を図るため、視認性を向上させることが望まれる。
【0008】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、視認性を向上させることが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の表示装置は、発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子とを備えたものである。
【0010】
本開示の電子機器は、上記本開示の表示装置を備えたものである。
【0011】
本開示の表示装置および電子機器では、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子が設けられていることにより、光透過領域を有する画素内の発光素子における発光状態(発光時または非発光時)に応じた光透過率制御が実現される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の表示装置および電子機器によれば、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子を設けるようにしたので、光透過領域を有する画素内の発光素子における発光状態に応じた光透過率制御を実現することができる。よって、そのような光透過領域を有する画素を備えた表示装置における視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した各画素内のサブピクセル構造例を表す模式図である。
【図3】図2に示した各サブピクセルの内部構成例を表す回路図である。
【図4】図3に示したサブピクセルの平面構成例を比較例1とともに表す図である。
【図5】図1に示した表示パネルの断面構成例を表す模式図である。
【図6】比較例2に係る表示パネルの断面構成例を表す模式図である。
【図7】比較例2に係る画素における発光時および非発光時の視認状態を模式的に表す平面図である。
【図8】図5に示した透過率制御素子における光透過状態および光吸収状態について説明するための模式図である。
【図9】第1の実施の形態の画素における発光時および非発光時の視認状態を模式的に表す平面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る表示パネルの断面構成例を表す模式図である。
【図11】図10に示した透過率制御素子における光透過状態および光反射状態について説明するための模式図である。
【図12】第2の実施の形態の画素における発光時および非発光時の視認状態を模式的に表す平面図である。
【図13】第3の実施の形態に係る表示パネルの断面構成例を表す模式図である。
【図14】図13に示した透過率制御素子における光吸収状態について説明するための模式断面図である。
【図15】図13に示した透過率制御素子における光透過状態について説明するための模式断面図である。
【図16】変形例1,2に係る各サブピクセルの内部構成例を透過率制御素子とともに表す回路図である。
【図17】変形例1,2に係る表示パネルにおける透明領域および非透明領域の配置例を表す模式図である。
【図18】変形例3,4に係る各画素内のサブピクセル構造例を表す模式図である。
【図19】変形例3の画素における発光時および非発光時の視認状態を模式的に表す平面図である。
【図20】実施の形態および変形例の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図21】実施の形態および変形例の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図22】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図23】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図24】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図25】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(光の透過・吸収を行うエレクトロクロミック素子を用いた例)
2.第2の実施の形態(光の透過・反射を行うエレクトロクロミック素子を用いた例)
3.第3の実施の形態(エレクトロウェッティング素子を用いた例)
4.第1〜第3の実施の形態に共通の変形例
変形例1(水平ライン単位で透過率制御素子を配置した例)
変形例2(サブピクセル(画素)単位で透過率制御素子を配置した例)
変形例3,4(各サブピクセルに対して透過率制御素子を並設させた例)
5.モジュールおよび適用例
6.その他の変形例
【0015】
<第1の実施の形態>
[表示装置1の構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の概略構成をブロック図で表したものである。この表示装置1は、表示パネル10(表示部)および駆動回路20(駆動部)を備えており、後述するように画素の少なくとも一部が光透過領域(透明領域)となっていることにより、裏面側を視認可能となっている(いわゆる透明ディスプレイとして機能するようになっている)。
【0016】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11がマトリクス状に配置された画素アレイ部13を有しており、外部から入力される映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づいて、アクティブマトリクス駆動により画像表示を行うものである。各画素11は、後述する複数の色(ここでは3色)に対応する複数のサブピクセル(各色用のサブ画素)を含んで構成されている。
【0017】
画素アレイ部13は、行状に配置された複数の走査線WSLと、列状に配置された複数の信号線DTLと、走査線WSLに沿って行状に配置された複数の電源線DSLとを有している。これらの走査線WSL、信号線DTLおよび電源線DSLの一端側はそれぞれ、後述する駆動回路20に接続されている。また、上記した各画素11は、各走査線WSLと各信号線DTLとの交差部に対応して、行列状に配置(マトリクス配置)されている。なお、図1では、以下説明する複数の色に対応する複数の信号線(各色用の信号線)DTLr,DTLg,DTLbを、簡略化して1つの信号線DTLとして示している。
【0018】
この画素アレイ部13にはまた、そのほぼ全面に、入射光の透過率(光透過率)を制御可能な透過率制御素子15が配設されている。すなわち、透過率制御素子15は、ここでは、画素アレイ部13内の全ての画素11に対して共通化された1つだけ設けられている。換言すると、透過率制御素子15の解像度が、画素11の解像度よりも低くなっている(透過率制御素子15が、複数の画素11(ここでは全ての画素11)に対して1つの割合で配設されている)。また、本実施の形態では、透過率制御素子15は、各画素11(後述する有機EL素子12)に対して対向配置(積層配置)されている。この透過率制御素子15は、ここでは、入射光の透過動作と入射光の吸収動作とを切換可能な素子である。詳細には、後述する有機EL素子12の発光時および非発光時(消光時)の各々のときに、そのような透過動作と吸収動作とを切換可能となっている。このような透過率制御素子15は、ここでは、後述するエレクトロクロミック(Electro Chromic:EC)素子からなる。
【0019】
図2は、各画素11の内部構成(サブピクセル構造)の一例を、平面図で模式的に表したものである。
【0020】
各画素11は、赤(R),緑(G),青(B)の3原色のサブピクセル11R,11G,11Bにより構成されている。すなわち、各画素11は、R,G,Bの3色に対応する3つのサブピクセル11R,11G,11Bからなるサブピクセル構造となっている。ここでは、各画素11内において、3つのサブピクセル11R,11G,11BWが水平ライン方向(Hライン方向)に沿って一列に並んで配置されている。ただし、各画素11内での各サブピクセルル11R,11G,11Bの配置構成はこの例には限られず、他の配置構成であってもよい。
【0021】
なお、図2中には図示していないが、サブピクセル11Rには、信号線DTLr、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Bには、信号線DTLb、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。サブピクセル11Gには、信号線DTLg、走査線WSLおよび発光制御線DSLが接続されている。すなわち、各サブピクセル11R,11G,11Bには、各色に対応する信号線DTLr,DTLb,DTLgがそれぞれ個別に接続されている一方、走査線WSLおよび電源線DSLは共通して接続されている。
【0022】
図3は、各サブピクセル11R,11G,11Bの内部構成(回路構成)の一例を表したものである。各サブピクセル11R,11G,11B内には、有機EL素子12(発光素子)および画素回路14が設けられている。
【0023】
画素回路14は、書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Csを用いて構成されている。すなわち、この画素回路14は、いわゆる「2Tr1C」の回路構成となっている。ここで、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2はそれぞれ、例えば、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)により形成されている。なお、TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(いわゆるトップゲート型)であってもよい。
【0024】
画素回路14では、書き込みトランジスタTr1のゲートが走査線WSLに接続され、ドレインが信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb)に接続され、ソースが、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr2のドレインは電源線DSLに接続され、ソースは、保持容量素子Csの他端および有機EL素子12のアノードに接続されている。有機EL素子12のカソードは、例えば水平ライン方向に沿って延在する配線上の固定電位VSS(例えば、接地電位)に設定されている。
【0025】
ここで、本実施の形態のサブピクセル11R,11G,11Bでは、例えば図4(A),(B)に示したように、その少なくとも一部の領域が光透過領域(図4(B)中の破線で示した領域)となっている。具体的には、詳細は後述するが、サブピクセル11R,11G,11B内の画素回路12において、駆動素子(書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Cs)の半導体層および電極層や配線層のうちの少なくとも一部が、光透過性材料(透明材料)を用いて構成されている。これにより、サブピクセル11R,11G,11Bでは、例えば77%程度の高開口率を示すことが可能となっている。これに対して、図4(C)に示した比較例1に係るサブピクセル101R,101G,101B(上記した駆動素子の半導体層に非透明材料であるシリコン(Si)を用いると共に、電極層および配線層に非透明金属を用いた従来例)では、例えば36%程度の低い開口率となっている。すなわち、少なくとも一部に透明材料を用いて構成されたサブピクセル11R,11G,11Bでは、非透明材料だけを用いて構成されたサブピクセル101R,101G,101Bと比べて高い開口率が実現されており、裏面側の視認が可能となっている。
【0026】
図4は、表示パネル10の断面構成例を模式的に表したものである。この表示パネル10は、表示装置1の前面(表面)側から背面(裏面)側へ向かって、TFT基板4、画素間絶縁膜51、有機層52、電極層53、平坦化膜54および透過率制御素子15をこの順に有している。
【0027】
TFT基板4は、表示装置1の前面側から背面側へ向かって、基板41と、電極層421、ゲート電極422および配線層423Aと、金属層423Bと、ゲート絶縁膜43と、酸化物半導体層44と、保護層46と、電極層451および配線層452と、電極層471および金属層472と、保護層48とをこの順に有している。このTFT基板4は、前述した駆動素子(書き込みトランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Cs)等が形成されてなる基板である。
【0028】
基板41は、光透過性を有する基板であり、例えばガラス材料や樹脂材料などからなる。なお、この基板41上に、例えばシリコン酸化物(SiO2)やシリコン窒化物(SiN)等からなるバッファ層を予め設けておき、基板41から駆動素子への汚染物質の浸入を防止するようにしてもよい。
【0029】
電極層421は、保持容量素子Csを構成する一方の電極であり、ゲート電極422は、ここでは書き込みトランジスタTr1のゲート電極であり、配線層423Aは、画素回路14内の配線等を構成するものである。これらの電極層421、ゲート電極422および配線層423Aはそれぞれ、基板41上に形成されており、例えば、ITO,IZO(Indium Zink Oxide:酸化インジウム亜鉛),AZO(Aluminum Zink Oxide:酸化亜鉛アルミニウム)等の透明酸化物半導体や、透明炭素等の光透過性材料からなる。このような材料からなる電極層421、ゲート電極422および配線層423Aは、例えばスパッタ法などにより形成することができる。
【0030】
金属層423Bは、配線層423A上で電気的に接続されるように形成されており、例えば信号線DTL等の配線全体の抵抗(配線抵抗)を下げるためのものである。このような金属層423Bとしては、例えば、配線層423A側の金属層(モリブデン(Mo),チタン(Ti),マンガン(Mn)等)と、その上層の金属層(アルミニウム(Al),銅(Cu)等)との積層構造を用いることが可能である。
【0031】
ゲート絶縁膜43は、電極層421、ゲート電極422、配線層423Aおよび金属層423Bを覆うように設けられており、例えばプラズマ化学気相成長(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成されたSiO2からなる。ただし、その代替として、例えばSi34や、酸化アルミニウム(Al23)あるいはそれらの積層膜を用いてもよい。
【0032】
酸化物半導体層44は、例えばIn,Ga(ガリウム),Zn,Snなどの元素の複合酸化物からなり、例えば、DCスパッタ法やRFスパッタ法などを用いて形成することが可能である。特に、堆積速度の観点からは、DCスパッタ法を用いることが望ましい。
【0033】
保護層46は、酸化物半導体層44における書き込みトランジスタTr1等のチャネル領域上に設けられており、チャネル保護膜として機能するものである。この保護層46は、例えばPECVD法により形成されたSiO等からなる。
【0034】
電極層451は、保持容量素子Csにおける他方の電極、書き込みトランジスタTr1におけるソース・ドレイン電極および有機EL素子12におけるアノード電極(画素電極)等を構成するものである。配線層452は、画素回路14内の配線等を構成するものである。これらの電極層451および配線層452もまた、例えば前述した透明酸化物半導体や透明炭素等の光透過性材料からなる。
【0035】
電極層471は、電極層451のうちの書き込みトランジスタTr1におけるソース・ドレイン領域上に設けられ、金属層472は、配線層452上に設けられている。これらの電極層471および金属層472はそれぞれ、ソース・ドレイン電極や配線の電気抵抗を下げるためのものであり、例えばAl,Cu等からなる。
【0036】
保護層48は、保持容量素子Cs、書き込みトランジスタTr1および配線等を覆うように設けられており、いわゆるパッシベーション膜として機能するものである。この保護層48は、例えば、スパッタ法やALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法により形成されたAl23や、スパッタ法やPECVD法により形成されたSiO2やSi34、あるいはそれらの積層膜など、ガスバリア性の高い材料からなる。
【0037】
画素間絶縁膜51は、各サブピクセル11R,11G,11Bにおける有機EL素子12同士を分離するように設けられており、例えばポリイミドやアクリル等の有機系の絶縁材料からなる。このような画素間絶縁膜51は、例えばスピンコート法やスリットコート法、ダイコート法などを用いて形成することが可能である。
【0038】
有機層52は、例えば、発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層(いずれも図示せず)とが積層された構造となっている。
【0039】
電極層53は、有機EL素子12におけるカソード電極(共通電極)を構成するものであり、有機層52および画素間絶縁膜51上を覆うように設けられている。この電極層53もまた、例えば前述した透明酸化物半導体や透明炭素等、あるいは薄膜の金属層からなる光透過性材料からなる。なお、この電極層53、有機層52および電極層451により、有機EL素子12が形成されるようになっている。
【0040】
平坦化膜54は、電極層53上を覆うように設けられており、例えば、上記した画素間絶縁膜51と同様の材料(ポリイミドやアクリル等の有機系の絶縁材料)からなる。
【0041】
透過率制御素子15は、表示装置1の前面側から背面側へ向かって、透明電極151C、EC材料層152C、誘電体膜153、EC材料層152Aおよび透明電極151Aをこの順に有している。このような積層構造により、エレクトロクロミック(EC)素子からなる透過率制御素子15が形成されるようになっている。
【0042】
透明電極151C,151Aはそれぞれ、エレクトロクロミック素子の駆動用電極(カソード電極およびアノード電極)として機能するものであり、例えば前述した透明酸化物半導体や透明炭素等の光透過性材料からなる。なお、これらの透明電極151C,151Aはそれぞれ、例えば互いに直交する櫛形状となっている。
【0043】
EC材料層152Cは、カソーディックなエレクトロクロミック材料(EC材料)である、酸化タングステン(WO3),酸化バナジウム(V25),酸化モリブデン(MoO3)等からなり、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などを用いて形成することが可能である。
【0044】
EC材料層152Aは、アノーディックなEC材料である、酸化ニッケル(NiO),酸化イリジウム(IrO),酸化コバルト(CoO)等からなり、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などを用いて形成することが可能である。
【0045】
誘電体膜153は、例えば金属酸化物である酸化タンタル(Ta25)等の誘電体や多孔性高分子などからなる。
【0046】
(駆動回路20)
図1に示した駆動回路20は、画素アレイ部13(表示パネル10)を駆動する(表示駆動を行う)ものである。具体的には、画素アレイ部13における複数の画素11を順次選択しつつ、選択された画素11内の各サブピクセル11R,11G,11Bに対して映像信号20Aに基づく映像信号電圧を書き込むことにより、複数の画素11に対する表示駆動を行っている。すなわち、駆動回路20は、映像信号20Aに基づいて各サブピクセル11R,11G,11Bに対する表示駆動を行うようになっている。また、駆動回路20は、上記した透過率制御素子15を駆動する機能も有している。この駆動回路20は、映像信号処理回路21、タイミング生成回路22、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24、電源線駆動回路25および制御素子駆動回路26を有している。
【0047】
映像信号処理回路21は、外部から入力されるデジタルの映像信号20Aに対して所定の映像信号処理を行うと共に、そのような映像信号処理後の映像信号21Aを信号線駆動回路24に出力するものである。この所定の映像信号処理としては、例えば、ガンマ補正処理やオーバードライブ処理などが挙げられる。
【0048】
タイミング生成回路22は、外部から入力される同期信号20Bに基づいて制御信号22Aを生成し出力することにより、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24、電源線駆動回路25および制御素子駆動回路26がそれぞれ、連動して動作するように制御するものである。
【0049】
走査線駆動回路23は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の走査線WSLに対して選択パルスを順次印加することにより、複数の画素11を順次選択するものである。具体的には、書き込みトランジスタTr1をオン状態に設定するときに印加する電圧Vonと、書き込みトランジスタTr1をオフ状態に設定するときに印加する電圧Voffとを選択的に出力することにより、上記した選択パルスを生成するようになっている。ここで、電圧Vonは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧以上の値(一定値)となっており、電圧Voffは、書き込みトランジスタTr1のオン電圧よりも低い値(一定値)となっている。
【0050】
信号線駆動回路24は、制御信号22Aに従って(同期して)、映像信号処理回路21から入力される映像信号21Aに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb)に印加するものである。具体的には、この映像信号21Aに基づく各色用のアナログの映像信号電圧を、各信号線DTLr,DTLg,DTLbに対して個別に印加する。これにより、走査線駆動回路23により選択された画素11内の各サブピクセル11R,11G,11Bに対して、映像信号の書き込みを行うようになっている。なお、映像信号の書き込みとは、補助容量素子Csに対して上記映像信号電圧をプログラムし、駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間に所定の電圧を印加することを意味している。
【0051】
電源線駆動回路25は、制御信号22Aに従って(同期して)複数の電源線DSLに対して制御パルスを順次印加することにより、各画素11内の各サブピクセル11R,11G,11Bにおける有機EL素子12の発光(点灯)動作および非発光(消光,消灯)動作の制御を行うものである。言い換えると、上記制御パルスの幅(パルス幅)を調整することにより、各画素11内の各サブピクセル11R,11G,11Bにおける発光期間および非発光期間(消光期間)の長さを制御する(PWM(Pulse Width Modulation)制御を行う)ようになっている。
【0052】
制御素子駆動回路26は、後述する駆動電圧(駆動電圧Vd1等)を透過率制御素子15における透明電極151A,151C間に印加する駆動動作を行うことにより、透過率制御素子15の動作の制御(入射光の透過動作と入射光の吸収動作との切換制御)を行う回路である。
【0053】
[表示装置1の作用・効果]
(1.基本動作)
この表示装置1では、図1〜図3に示したように、駆動回路20が、表示パネル10(画素アレイ部13)内の各画素11(各サブピクセル11R,11G,11B)に対し、映像信号20Aおよび同期信号20Bに基づく表示駆動を行う。これにより、図5に示したように、各サブピクセル11R,11G,11B内の有機EL素子12へ駆動電流が注入され、有機層52内の発光層において正孔と電子とが再結合し、発光が起こる。そして、各サブピクセル11R,11G,11Bでは、この有機層52(発光層)からの発光光Lout1が、表示光として前面側(基板41側)へ出射されると共に、発光光Lout2が背面側(透過率制御素子15側)へ出射される。このようにして、表示パネル10において、映像信号20Aに基づく画像表示がなされる。
【0054】
ここで図3を参照すると、各サブピクセル11R,11G,11Bでは、以下のようにして映像信号の書き込み動作が行われる。まず、信号線DTLの電圧が映像信号電圧となっており、かつ電源線DSLの電圧が電圧VH(「H(ハイ)」状態)となっている期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Voffから電圧Vonに上げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオン状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが、このときの信号線DTLの電圧に対応する映像信号電圧へと上昇する。その結果、補助容量素子Csに対して映像信号電圧が書き込まれ、保持される。
【0055】
このとき、有機EL素子12のアノード電圧は、この段階ではまだ、有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vca(=VSS)とを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さく、有機EL素子12はカットオフ状態となっている。すなわち、この段階では、有機EL素子12のアノード−カソード間には電流が流れない(有機EL素子12が発光しない)。したがって、駆動トランジスタTr2から供給される電流Idは、有機EL素子12のアノード−カソード間に並列に存在する素子容量(図示せず)へと流れ、この素子容量が充電される。
【0056】
次に、信号線DTLおよび電源線DSLの電圧がそれぞれ、映像信号電圧および電圧VH(「H」状態)のまま保持されている期間中に、走査線駆動回路23が、走査線WSLの電圧を電圧Vonから電圧Voffへと下げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となるため、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなる。すると、この駆動トランジスタTr2のゲート−ソース間電圧Vgsが一定に保持された状態で、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Idが流れる。その結果、この駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが上昇すると共に、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgもまた、保持容量素子Csを介した容量カップリングにより、連動して上昇する。これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも大きくなる。よって、有機EL素子12のアノード−カソード間には、補助容量素子Csに保持された映像信号電圧、すなわち駆動トランジスタTr2におけるゲート−ソース間電圧Vgsに応じた電流Idが流れ、有機EL素子12が所望の輝度で発光する。
【0057】
次に、駆動回路20は、所定の期間が経過したのち、有機EL素子12の発光期間を終了させる。具体的には、電源線駆動回路25が、電源線DSLの電圧を電圧VHから電圧VLへと下げる(「H」状態から「L(ロー)」状態へと移行させる)。すると、駆動トランジスタTr2のソース電位Vsが下降していく。これにより、有機EL素子12のアノード電圧が、この有機EL素子12における閾値電圧Velとカソード電圧Vcaとを足し合わせた電圧値(Vel+Vca)よりも小さくなり、アノード−カソード間に電流Idが流れなくなる。その結果、これ以降は有機EL素子12が消光する(消光期間へと移行する)。このようにして、電源線DSLに対して印加する制御パルスの幅(ここでは、「H」状態の期間の長さ)に応じて、各画素11内の各サブピクセル11R,11G,11Bにおける発光期間の長さを制御することが可能となっている。
【0058】
なお、その後は、駆動回路20は、これまで説明した発光動作および消光動作がフレーム期間(1垂直期間、1V期間)ごとに周期的に繰り返されるように、表示駆動を行う。また、それと共に、駆動回路20は、例えば1水平期間(1H期間)ごとに、電源線DSLに印加する制御パルスおよび走査線WSLに印加する選択パルスをそれぞれ、行方向に走査させる。以上のようにして、表示装置1における表示動作(駆動回路20による表示駆動)がなされる。
【0059】
(2.透過率制御素子15の作用)
次に、本実施の形態の表示装置1における特徴的部分の1つである透過率制御素子15の作用について、比較例(比較例2)と比較しつつ詳細に説明する。
【0060】
(比較例2)
まず、図6に示した比較例2に係る表示パネル(表示パネル200)では、本実施の形態とは異なり、透過率制御素子15が設けられていない。具体的には、表示パネル200では、平坦化膜54上において、透過率制御素子15の代わりに封止基板202(カバーガラス等)が設けられている。
【0061】
したがってこの比較例2では、画素201内の各サブピクセル11R,11G,11B(有機EL素子12)における発光時(図7(A))および非発光時(図7(B))にはそれぞれ、例えば図7(A),(B)に示したような視認状態となる。すなわち、まず図7(A)に示した発光時には、各サブピクセル11R,11G,11Bからの発光光(発光光Lout1,Lout2)が、表面側(ユーザ側)および裏面側の双方に出射される。一方、図7(B)に示した非発光時には、各サブピクセル11R,11G,11Bから発光光が出射されないため、例えば外光の透過状態となる。
【0062】
ここで、この比較例2では、各サブピクセル11R,11G,11Bが常に光の透過状態となっていることに起因して、視認性が低下してしまうという問題がある。具体的には、例えば通常の表示用途の場合に、図7(B)に示した非発光時においても、外光(裏面側からの透過光等)の存在によって黒表示状態が得られないことになり、視認性の向上が妨げられてしまう。また、AR用途の場合においても、例えば光量(外光)の多い屋外で用いる場合等には、図7(A)に示した発光時において視認性が著しく低下してしまうおそれがある。
【0063】
(本実施の形態の作用)
これに対して本実施の形態の表示パネル10では、図1および図5に示したように、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子15が設けられている。これにより以下詳述するように、光透過領域を有する画素11内の有機EL素子12における発光状態(発光時または非発光時)に応じた光透過率制御が実現される。
【0064】
まず、この透過率制御素子15では、図8(A)に示したように、透明電極151A,151C間に駆動電圧Vd1が印加されていないときには、EC材料層152A,152Cがそれぞれ、光透過性を示す。このため、透過率制御素子15全体としても光透過性を示すことになり、有機EL素子12から背面側へ出射された発光光Lout2および外光等が透過可能となる(透明(光透過)状態となる)。
【0065】
一方、図8(B)に示したように、透明電極151A,151C間に駆動電圧Vd1が印加されているときには、EC材料層152A,152Cがそれぞれ着色され、光透過性を示さなくなる。このため、透過率制御素子15全体としても光透過性を示さなくなり、発光光Lout2および外光等が透過できなくなる(着色(光吸収)状態となる)。
【0066】
このようにして透過率制御素子15では、駆動電圧Vd1の印加の有無に応じて、入射光(発光光Lout2および外光等)の透過動作と入射光の吸収動作とが切換可能となっている。このことを利用して本実施の形態では、このような透過動作と吸収動作との切換制御を、有機EL素子12の発光時および非発光時の各々のときに行う。
【0067】
したがって本実施の形態では、画素11内の各サブピクセル11R,11G,11B(有機EL素子12)における発光時および非発光時においてそれぞれ、上記した透過率制御素子15における光透過状態および光吸収状態との組み合わせにより、例えば図9(A)〜(D)に示したような視認状態となる。
【0068】
具体的には、まず図9(A)に示したように、有機EL素子12の発光時において透過率制御素子15が光透過状態となっているときには、比較例2における図7(A)の場合と同様の視認状態となる。すなわち、各サブピクセル11R,11G,11Bからの発光光(発光光Lout1,Lout2)が、表示装置1の表面側および裏面側の双方に出射される。
【0069】
また、図9(B)に示したように、有機EL素子12の非発光時において透過率制御素子15が光透過状態となっているときには、比較例2における図7(B)の場合と同様の視認状態となる。すなわち、各サブピクセル11R,11G,11Bから発光光が出射されないため、例えば外光の透過状態となる。
【0070】
一方、図9(C)に示したように、有機EL素子12の非発光時において透過率制御素子15が光吸収状態となっているときには、以下のような視認状態となる。すなわち、図9(B)の場合と同様に、各サブピクセル11R,11G,11Bから発光光が出射されないものの、透過率制御素子15が光吸収状態となっているため、外光等が透過できない。したがって、図9(C)に示したように黒表示状態が実現されることになり、例えば通常の表示用途の場合における視認性が、図7(B)および図9(B)の場合と比べて向上する。
【0071】
また、図9(D)に示したように、有機EL素子12の発光時において透過率制御素子15が光吸収状態となっているときには、以下のような視認状態となる。すなわち、図9(A)の場合と同様に、各サブピクセル11R,11G,11Bからの発光光が表面側および裏面側の双方に出射されるものの、透過率制御素子15が光吸収状態となっているため、裏面側への発光光Lout2および外光等が透過できない(背面側が黒くなる)。したがって、図9(D)に示したように、例えばAR用途の際に外光が強い場合等においても、図7(A)および図9(A)の場合と比べて視認性が向上する。
【0072】
以上のように本実施の形態では、入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子15を設けるようにしたので、光透過領域を有する画素11内の有機EL素子12における発光状態に応じた光透過率制御を実現することができる。よって、そのような光透過領域を有する画素11を備えた表示装置1における視認性を向上させる(例えば、裏面側の視認性を確保しつつ、情報表示の際の視認性も向上させる)ことが可能となる。したがって、この表示装置1を、例えばAR用のディスプレイとして用いた場合には、その臨場感を向上させることが可能となる。
【0073】
また、透過率制御素子15が、画素アレイ部13内の全ての画素11に対して共通化された1つだけ設けられているようにしたので、表示パネル10および制御素子駆動回路26の構成(駆動するための配線等)を簡素化することが可能となる。
【0074】
続いて、本開示の他の実施の形態(第2,第3の実施の形態)について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0075】
<第2の実施の形態>
[表示パネル10Aの構成]
図10は、第2の実施の形態に係る表示パネル(表示パネル10A)の断面構成例を模式的に表したものである。本実施の形態の表示パネル10Aは、第1の実施の形態の表示パネル10において、透過率制御素子15の代わりに透過率制御素子15Aを設けたものに対応しており、他の構成は同様となっている。
【0076】
透過率制御素子15Aは、表示装置1の前面側から背面側へ向かって、透明電極151C、EC材料層152C、誘電体膜153、バッファ層154、触媒層155および調光ミラー層156をこの順に有している。すなわち、この透過率制御素子15Aは、透過率制御素子15において、EC材料層152Aおよび透明電極151Aの代わりに、バッファ層154、触媒層155および調光ミラー層156を設けた構成となっている。
【0077】
このような構成により本実施の形態の透過率制御素子15Aでは、後述するように、透過率制御素子15とは異なり、入射光の透過動作と入射光の反射動作とを切換可能なエレクトロクロミック素子となっている。すなわち、この透過率制御素子15Aでは、有機EL素子12の発光時および非発光時の各々のときに、そのような透過動作と反射動作とを切換可能となっている。
【0078】
ここで、バッファ層154は、例えばAl等からなる。触媒層155は、例えばパラジウム(Pd)等からなる。調光ミラー層156は、例えばマグネシウム(Mg)−ニッケル(Ni)系合金等からなり、透明電極151Cに対する対向電極(カソード電極)としても機能するようになっている。したがって、この調光ミラー層156と透明電極151Cとはそれぞれ、例えば互いに直交する櫛形状となっている。
【0079】
[表示パネル10Aの作用・効果]
この透過率制御素子15Aでは、図11(A)に示したように、制御素子駆動回路26によって透明電極151Cと調光ミラー層156との間に駆動電圧Vd2が印加されているときには、調光ミラー層156が光透過性を示す。このため、透過率制御素子15A全体としても光透過性を示すことになり、有機EL素子12から背面側へ出射された発光光Lout2および外光等が透過可能となる(透明(光透過)状態となる)。
【0080】
一方、図11(B)に示したように、透明電極151Cと調光ミラー層156との間に駆動電圧Vd2が印加されていないときには、調光ミラー層156が光反射性を示すようになる(光透過性を示さなくなる)。このため、透過率制御素子15A全体としても光反射性を示すようになり(光透過性を示さなくなり)、発光光Lout2および外光等が表示装置1の前面側へと反射される結果、裏面側へ透過できなくなる(鏡(光反射)状態となる)。
【0081】
このようにして透過率制御素子15Aでは、駆動電圧Vd2の印加の有無に応じて、入射光(発光光Lout2および外光等)の透過動作と入射光の反射動作とが切換可能となっている。このことを利用して本実施の形態では、このような透過動作と反射動作との切換制御を、有機EL素子12の発光時および非発光時の各々のときに行う。
【0082】
したがって本実施の形態では、画素11A内の各サブピクセル11R,11G,11B(有機EL素子12)における発光時および非発光時においてそれぞれ、上記した透過率制御素子15における光透過状態および光反射状態との組み合わせにより、例えば図12(A)〜(D)に示したような視認状態となる。
【0083】
具体的には、まず図12(A)に示したように、有機EL素子12の発光時において透過率制御素子15Aが光透過状態となっているときには、第1の実施の形態における図9(A)の場合と同様の視認状態となる。すなわち、各サブピクセル11R,11G,11Bからの発光光(発光光Lout1,Lout2)が、表示装置1の表面側および裏面側の双方に出射される。
【0084】
また、図12(B)に示したように、有機EL素子12の非発光時において透過率制御素子15Aが光透過状態となっているときには、図9(B)の場合と同様の視認状態となる。すなわち、各サブピクセル11R,11G,11Bから発光光が出射されないため、例えば外光の透過状態となる。
【0085】
一方、図12(C)に示したように、有機EL素子12の非発光時において透過率制御素子15Aが光反射状態となっているときには、以下のような視認状態となる。すなわち、図12(B)の場合と同様に、各サブピクセル11R,11G,11Bから発光光が出射されないものの、透過率制御素子15Aが光反射状態となっているため、裏面側からの外光等が透過できない。一方で、前面側からの入射光(外光)は、透過率制御素子15Aが光反射状態となっているため、前面側に反射される。
【0086】
また、図12(D)に示したように、有機EL素子12の発光時において透過率制御素子15Aが光反射状態となっているときには、以下のような視認状態となる。すなわち、図12(A)の場合と同様に、各サブピクセル11R,11G,11Bからの発光光が表面側および裏面側の双方に出射されるものの、透過率制御素子15Aが光反射状態となっているため、裏面側への発光光Lout2は前面側へ反射され、発光強度が高まる。一方、前面側からの外光は反射されるものの発光強度が高まっているため、視認性が向上する。したがって、図12(D)に示したように、例えばAR用途の際に外光が強い場合等においても、図7(A)および図12(A)の場合と比べて視認性が向上する。
【0087】
以上のように本実施の形態では、透過率制御素子15Aを設けるようにしたので、第1の実施の形態と同様に、光透過領域を有する画素11を備えた表示装置1における視認性を向上させる(例えば、周囲が暗い環境下で光反射状態とすることにより、裏面側に抜けてしまう発光光Lout等を前面側に取り出すことができ、視認性を向上させる)ことが可能となる。したがって、この表示装置1を、例えばAR用のディスプレイとして用いた場合には、その臨場感を向上させることが可能となる。
【0088】
<第3の実施の形態>
[表示パネル10Bの構成]
図13は、第3の実施の形態に係る表示パネル(表示パネル10B)の断面構成例を模式的に表したものである。本実施の形態の表示パネル10Bは、第1の実施の形態の表示パネル10において、透過率制御素子15の代わりに透過率制御素子16を設けると共に封止基板55を更に設けたものに対応しており、他の構成は同様となっている。
【0089】
透過率制御素子16は、表示装置1の前面側から背面側へ向かって、透明電極161Aと、疎水性絶縁膜162および隔壁165と、無極性液体163と、極性液体164と、透明電極161Bとをこの順に有している。
【0090】
このような構成により本実施の形態の透過率制御素子16では、後述するように、透過率制御素子15,15Aとは異なり、入射光の透過動作と入射光の吸収動作とを切換可能なエレクトロウェッティング素子となっている。すなわち、この透過率制御素子16では、有機EL素子12の発光時および非発光時の各々のときに、そのような透過動作と吸収動作とを切換可能となっている。
【0091】
透明電極161A,161Bはそれぞれ、エレクトロウェッティング素子の駆動用電極として機能するものであり、例えば前述した透明酸化物半導体や透明炭素等の光透過性材料からなる。なお、これらの透明電極161A,161Bはそれぞれ、例えば互いに直交する櫛形状となっている。
【0092】
隔壁165は、各サブピクセル11R,11G,11Bにおける疎水性絶縁膜162、無極性液体163および極性液体164をそれぞれ分離するための壁部であり、例えばポリイミドやアクリル等の有機系の絶縁材料からなる。
【0093】
疎水性絶縁膜162は、極性液体164に対して疎水性(撥水性)を示す(より厳密には無電界下において無極性液体163に親和性を示す)と共に、電気的絶縁性に優れた性質を有する材料からなるものである。具体的には、フッ素系の高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、あるいはシリコーンなどが挙げられる。
【0094】
無極性液体163は、ほとんど極性を有さず、かつ、電気絶縁性を示す液体材料であり、非透明性を示す(光透過性を示さない)ようになっている。このような無極性液体163としては、例えばデカン、ドデカン、ヘキサデカンもしくはウンデカンなどの炭化水素系材料のほか、着色したオイル(シリコンオイル等)などが好適である。
【0095】
極性液体164は、極性を有する液体材料であり、透明性(光透過性)を示すようになっている。このような極性液体164としては、例えば水のほか、塩化カリウムや塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させた水溶液が好適である。ここで、この極性液体164に対して電圧が印加されると、疎水性絶縁膜162(隔壁165の内表面)に対する濡れ性(極性液体164と内表面との接触角)が、無極性液体163と比べて大きく変化するようになっている。
【0096】
封止基板55は、表示パネル10B全体を封止するための基板(カバーガラス等)であり、透明基板からなる。
【0097】
[表示パネル10Bの作用・効果]
この透過率制御素子16では、図14に示したように、透明電極161A,161B間に駆動電圧Vd3が印加されていないときには、無極性液体163と極性液体164との界面が、平面状となる。このため、非透明性を示す無極性液体163が各サブピクセル11R,11G,11Bのほぼ全体に配置される結果、透過率制御素子16全体として光透過性を示さなくなり、発光光Lout2および外光等が透過できなくなる(着色(光吸収)状態となる)。
【0098】
一方、図15に示したように、透明電極161A,161B間に駆動電圧Vd3が印加されているときには、上記したように、極性液体164の濡れ性が極性液体163と比べて大きく変化することにより、無極性液体163と極性液体164との界面が、背面側への凸形状となる。このため、非透明性を示す無極性液体163が各サブピクセル11R,11G,11Bの一部分にのみ配置される結果(図15中の破線の矢印参照)、透過率制御素子16全体として光透過性を示すようになり、発光光Lout2および外光等が透過可能となる(透明(光透過)状態となる)。
【0099】
このようにして透過率制御素子16では、駆動電圧Vd3の印加の有無に応じて、入射光(発光光Lout2および外光等)の透過動作と入射光の吸収動作とが切換可能となっている。このことを利用して本実施の形態では、このような透過動作と吸収動作との切換制御を、有機EL素子12の発光時および非発光時の各々のときに行う。
【0100】
したがって本実施の形態では、画素内の各サブピクセル11R,11G,11B(有機EL素子12)における発光時および非発光時においてそれぞれ、上記した透過率制御素子16における光透過状態および光吸収状態との組み合わせにより、例えば第1の実施の形態における図9(A)〜(D)に示したものと同様の視認状態となる。
【0101】
これにより本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、光透過領域を有する画素を備えた表示装置1における視認性を向上させる(例えば、裏面側の視認性を確保しつつ、情報表示の際の視認性も向上させる)ことが可能となる。したがって、この表示装置1を、例えばAR用のディスプレイとして用いた場合には、その臨場感を向上させることが可能となる。
なお、反射動作
【0102】
また、本実施の形態では、透過率制御素子16をエレクトロウェッティング素子により構成するようにしたので、応答速度を比較的早くすることが可能となる。
【0103】
なお、本実施の形態では、入射光の透過動作と入射光の吸収動作とが切換可能なエレクトロウェッティング素子を透過率制御素子16として用いた場合について説明したが、これには限られない。すなわち、例えば、入射光の透過動作と入射光の反射動作とが切換可能なエレクトロウェッティング素子を、透過率制御素子として用いるようにしてもよい。
【0104】
<変形例>
続いて、上記第1〜第3の実施の形態に共通の変形例(変形例1〜4)について説明する。なお、各実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0105】
[変形例1]
図16(A)は、変形例1に係る各サブピクセル(サブピクセル11R,11G,11B)の内部構成例(回路構成例)を、透過率制御素子15(または透過率制御素子15A,16)とともに表したものである。本変形例では、上記各実施の形態とは異なり、透過率制御素子15等が複数の画素11に対して1つの割合で配設されており、特にここでは、水平ライン単位で透過率制御素子15等が配置されている。
【0106】
具体的には、ここでは、透過率制御素子15等と有機EL素子12との間で、少なくとも一部の電極(ここではカソード電極を構成する固定電位線VSS)が共通化されている。ただし、水平ライン単位で透過率制御素子15等が配設されている場合において、これらの間の電極が共通化されていなくてもよい。なお、図中のDLは、透過率制御素子15等の駆動線を表している。
【0107】
このような構成により本変形例では、例えば図17(A)に示したように、表示パネル10,10A,10Bにおいて、例えばAR用途の際のアプリケーション等に応じて、水平ライン単位での透明領域(光透過領域)10−1と不透明領域(光非透過領域)10−2とを構築することができるようになる。また、カソード配線を透過率制御素子15等の電極と共有することにより、配線数を減らして駆動回路を簡易化することが可能となる。なお、水平ライン単位の代わりに、例えば垂直ライン単位で透過率制御素子15等を配設するようにしてもよい。
【0108】
[変形例2]
図16(B)は、変形例2に係る各サブピクセル(サブピクセル11R,11G,11B)の内部構成例(回路構成例)を、透過率制御素子15等とともに表したものである。本変形例では、上記各実施の形態および変形例1とは異なり、サブピクセル(画素)単位で透過率制御素子15等が配置されている。
【0109】
具体的には、ここでは、透過率制御素子15等と有機EL素子12との間で、少なくとも一部の電極(ここではカソード電極を構成する固定電位線VSS)が共通化されている。ただし、サブピクセル単位で透過率制御素子15等が配設されている場合において、これらの間の電極が共通化されていなくてもよい。また、ここでは、透過率制御素子15等をサブピクセル11R,11G,11B単位で選択的に駆動するためのトランジスタ(選択トランジスタ)Tr3および走査線WSL2が設けられると共に、透過率制御素子15等の両端間の電位を保持するための保持容量素子Cs2が設けられている。なお、図16(B)中のVSS1,VSS2はそれぞれ、固定電位線である。
【0110】
したがって本変形例では、例えば図17(B)に示したように、表示パネル10,10A,10Bにおいて、例えばAR用途の際のアプリケーション等に応じて、サブピクセル(画素)単位での透明領域10−1と不透明領域10−2とを構築することができるようになる。具体的には、例えば、文字の輪郭領域を強調して表示するといったことなども可能となる。また、カソード配線を透過率制御素子15等の電極と共有することにより、配線数を減らして駆動回路を簡易化することが可能となる。
【0111】
[変形例3,4]
図18(A),(B)はそれぞれ、変形例3,4に係る各画素(画素11−1,11−2)の内部構成(サブピクセル構造)の一例を、平面図で模式的に表したものである。これらの変形例3,4の画素11−1,11−2ではそれぞれ、上記各実施の形態の画素11,11Aとは異なり、各サブピクセル11R,11G,11Bに対して透過率制御素子15等が並設されている。
【0112】
具体的には、図18(A)に示した変形例3の画素11−1では、各画素11−1内において、3つのサブピクセル11R,11G,11Bと1つの透過率制御素子15等とが、マトリクス状(2×2の行列状)に配置(いわゆる田の字配列)されている。
【0113】
また、図18(B)に示した変形例4の画素11−2では、各画素11−2内において、3つのサブピクセル11R,11G,11Bと1つの透過率制御素子15等とが、水平ライン方向に沿って一列に並んで配置されている。
【0114】
なお、サブピクセル11R,11G,11Bと透過率制御素子15等とにおいて、電極の一部を互いに共通化することが可能であり、またそれぞれインクジェット印刷やフレキソ印刷などを用いて形成することが可能である。
【0115】
このような構成により、これらの変形例3,4では、例えば図19(A)〜(D)に示した変形例3のようにして、画素11−1,11−2における発光時および非発光時の視認状態が得られる。すなわち、画素11−1内の各サブピクセル11R,11G,11B(有機EL素子12)における発光時および非発光時においてそれぞれ、透過率制御素子15等における光透過状態および光吸収状態(または光反射状態)との組み合わせにより、上記各実施の形態と同様の視認状態となる。
【0116】
したがって、これらの変形例3,4においても、上記各実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、光透過領域を有する画素を備えた表示装置1における視認性を向上させることが可能となる。したがって、この表示装置1を、例えばAR用のディスプレイとして用いた場合には、その臨場感を向上させることが可能となる。
【0117】
<モジュールおよび適用例>
続いて、図20〜図25を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置1は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、この表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0118】
(モジュール)
表示装置1は、例えば、図20に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板31の一辺に、封止用基板32から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、駆動回路20の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0119】
(適用例1)
図21は、表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が表示装置1により構成されている。
【0120】
(適用例2)
図22は、表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が表示装置1により構成されている。
【0121】
(適用例3)
図23は、表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が表示装置1により構成されている。
【0122】
(適用例4)
図24は、表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が表示装置1により構成されている。
【0123】
(適用例5)
図25は、表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、表示装置1により構成されている。
【0124】
<その他の変形例>
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0125】
例えば、上記実施の形態等では、透過率制御素子の一例として、エレクトロクロミック素子やエレクトロウェッティング素子を用いて構成した場合について説明したが、これには限られず、他の素子を用いて透過率制御素子を構成してもよい。また、上記実施の形態等では、発光素子の一例として有機EL素子を挙げて説明したが、有機EL素子以外の発光素子(例えば、無機EL素子やLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等)を用いるようにしてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態等では、下面発光型(いわゆるボトムエミッション型)の表示パネルを例に挙げて説明したが、これには限られず、例えば、表示パネルが上面発光型(いわゆるトップエミッション型)のものであってもよい。
【0127】
更に、上記実施の形態等では、透過率制御素子において、光透過率を2段階(透過または非透過)で制御する(切り換える)場合について説明したが、これには限られず、光透過率を多段階に制御する(切り換える)ようにしてもよい。
【0128】
加えて、上記実施の形態等では、表示装置1がアクティブマトリクス型である場合について説明したが、アクティブマトリクス駆動のための画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明したものに限られない。すなわち、画素回路14の構成は、上記実施の形態等で説明した「2Tr1C」の回路構成には限られず、例えば必要に応じて、容量素子やトランジスタ等を画素回路14に追加したり置き換えたりするようにしてもよい。その場合、画素回路14の変更に応じて、上述した走査線駆動回路23、信号線駆動回路24および電源線駆動回路25の他に、必要な駆動回路を追加するようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態等では、走査線駆動回路23、信号線駆動回路24、電源線駆動回路25および制御素子駆動回路26における駆動動作を、タイミング生成回路22が制御する場合について説明したが、他の回路がこれらの駆動動作を制御するようにしてもよい。また、このような走査線駆動回路23、信号線駆動回路24、電源線駆動回路25および制御素子駆動回路26に対する制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0130】
更に、上記実施の形態等では、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2等がそれぞれ、nチャネルトランジスタ(例えば、nチャネルMOS型のTFT)により形成されている場合について説明したが、この場合には限られない。すなわち、書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2等がそれぞれ、pチャネルトランジスタ(例えば、pチャネルMOS型のTFT)により形成されていてもよい。
【0131】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、
入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子と
を備えた表示装置。
(2)
前記透過率制御素子は、入射光の透過動作と、入射光の吸収動作または反射動作とを切換可能な素子である
上記(1)に記載の表示装置。
(3)
前記透過率制御素子は、前記発光素子の発光時および非発光時の各々のときに、前記透過動作と前記吸収動作または反射動作とを切換可能となっている
上記(2)に記載の表示装置。
(4)
前記透過率制御素子が、前記発光素子に対して対向配置されている
上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の表示装置。
(5)
前記透過率制御素子が、前記発光素子に対して並設されている
上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の表示装置。
(6)
前記透過率制御素子が、複数の画素に対して1つの割合で配設されている
上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の表示装置。
(7)
前記透過率制御素子が、全ての画素に対して共通化された1つだけ設けられている
上記(6)に記載の表示装置。
(8)
前記透過率制御素子が、水平ライン単位または垂直ライン単位で配設されている
上記(6)に記載の表示装置。
(9)
前記透過率制御素子が、前記画素ごとに配設されている
上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の表示装置。
(10)
前記透過率制御素子と前記発光素子との間で、少なくとも一部の電極が共通化されている
上記(1)ないし(9)のいずれか1項に記載の表示装置。
(11)
前記透過率制御素子が、エレクトロクロミック素子またはエレクトロウェッティング素子である
上記(1)ないし(10)のいずれか1項に記載の表示装置。
(12)
前記画素は、前記発光素子と駆動素子とを含む画素回路を有し、
前記画素回路において、前記駆動素子の半導体層および電極層ならびに配線層のうちの少なくとも一部が、光透過性材料を用いて構成されている
上記(1)ないし(11)のいずれか1項に記載の表示装置。
(13)
前記発光素子が、有機EL素子である
上記(1)ないし(12)のいずれか1項に記載の表示装置。
(14)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、
入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子と
を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0132】
1…表示装置、10,10A,10B…表示パネル、10−1…透明領域、10−2…不透明領域、11,11A,11−1,11−2…画素、11R,11G,11B…サブピクセル、12…有機EL素子、13…画素アレイ部、14…画素回路、15,15A,16…透過率制御素子、151A,151C…透明電極、152A,152C…EC材料層、153…誘電体膜、154…バッファ層、155…触媒層、156…調光ミラー層、161A,161B…透明電極、162…疎水性絶縁膜、163…無極性液体、164…極性液体、165…隔壁、20…駆動回路、20A,21A…映像信号、20B…同期信号、21…映像信号処理回路、22…タイミング生成回路、22A…制御信号、23…走査線駆動回路、24…信号線駆動回路、25…電源線駆動回路、26…制御素子駆動回路、4…TFT基板、41…基板、421…電極層、422…ゲート電極、423A…配線層、423B…金属層、43…ゲート絶縁膜、44…酸化物半導体層、451…電極層、452…配線層、461…電極層、462…金属層、471…電極層、472…金属層、48…保護層、51…画素間絶縁膜、52…有機層、53…電極層、54…平坦化膜、55…封止基板、WSL,WSL1,WSL2…走査線、DTL,DTLr,DTLg,DTLb…信号線、DSL…電源線、DL…駆動線、Tr1…書き込みトランジスタ、Tr2…駆動トランジスタ、Tr3…トランジスタ、Cs,Cs1,Cs2…保持容量素子、Id…電流、Vg…ゲート電位、Vs…ソース電位、Vgs…ゲート−ソース間電圧、Vd1,Vd2,Vd3…駆動電圧、VSS,VSS1,VSS2…固定電位、Lout1,Lout2…発光光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、
入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記透過率制御素子は、入射光の透過動作と、入射光の吸収動作または反射動作とを切換可能な素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記透過率制御素子は、前記発光素子の発光時および非発光時の各々のときに、前記透過動作と前記吸収動作または反射動作とを切換可能となっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記透過率制御素子が、前記発光素子に対して対向配置されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記透過率制御素子が、前記発光素子に対して並設されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記透過率制御素子が、複数の画素に対して1つの割合で配設されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記透過率制御素子が、全ての画素に対して共通化された1つだけ設けられている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記透過率制御素子が、水平ライン単位または垂直ライン単位で配設されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記透過率制御素子が、前記画素ごとに配設されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透過率制御素子と前記発光素子との間で、少なくとも一部の電極が共通化されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記透過率制御素子が、エレクトロクロミック素子またはエレクトロウェッティング素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記画素は、前記発光素子と駆動素子とを含む画素回路を有し、
前記画素回路において、前記駆動素子の半導体層および電極層ならびに配線層のうちの少なくとも一部が、光透過性材料を用いて構成されている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記発光素子が、有機EL素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
発光素子を含み、少なくとも一部に光透過領域を有する複数の画素と、
入射光の透過率を制御可能な透過率制御素子と
を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−3480(P2013−3480A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136929(P2011−136929)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】