説明

表示装置および電子機器

【課題】4色のサブ画素を用いて映像表示を行う際に、高画質化を実現することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応する第1〜第3のサブ画素と、第1〜第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備える。各画素では、第1〜第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有する。第1〜第3のサブ画素では、一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、第4のサブ画素では、発光素子から発せられた光の透過率が、第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成される。カラーフィルタを有する第1〜第3のサブ画素とカラーフィルタを有さない第4のサブ画素との間の透過率差が軽減され、輝度バランスが良好となり、所望の色度を表現し易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つのピクセル(画素)に、例えば赤(R),緑(G),青(B),白(W)の4色のサブピクセル(サブ画素)が用いられた表示装置、およびそのような表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素を有する表示装置においてカラー映像表示を行う場合、最も一般的な手法は、R(赤),G(緑),B(青)の3原色に対応する3つのサブ画素を各画素内に配置し、各サブ画素での輝度レベルを個別に調整するというものである。これにより、画素全体としての色度点および輝度を任意に設定することが可能となり、カラー映像表示が実現される。
【0003】
このようなカラー映像表示が可能な表示装置の一例として、液晶表示装置が挙げられる。液晶表示装置は一般に、白色光を照射するバックライトと液晶表示パネルとを備えている。液晶表示パネルでは、通常、サブ画素ごとにR,G,Bの各色のカラーフィルタが設けられると共に、入射側および出射側のそれぞれに偏光板が貼り合わせられている。このため、バックライトからの照射光の強度が、偏光板およびカラーフィルタにおいて低減し、液晶表示装置全体での光利用効率が低下してしまう。これは、液晶表示装置において大幅なエネルギーロスとなり、消費電力の増大を招く。
【0004】
そこで、低消費電力化を図るため、液晶表示パネルにおける各画素に4色のサブ画素を用いた構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、上記したR,G,Bの3色のサブ画素に加え、これらの3色よりも高輝度を示す白(W)や黄(Y)などのサブピクセルを用いて映像表示を行い、これにより輝度効率を向上させて、低消費電力化を図っている。
【0005】
このような4色のサブ画素を用いた表示装置としては、上記した液晶表示装置の他にも、有機EL(Electro Luminescence)表示装置が挙げられる(例えば、特許文献2〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平4−54207号公報
【特許文献2】特開2006−309118号公報
【特許文献3】特開2005−12905号公報
【特許文献4】特表2007−26867号公報
【特許文献5】特表2008−518400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記4色のサブ画素を有する有機EL表示装置では、各サブ画素に白色有機EL素子が用いられることが多い。このため、R,G,Bのサブ画素には、白色光から各色光を選択的に取り出すためのカラーフィルタが設けられる一方で、Wのサブ画素には、カラーフィルタが設けられず、白色発光素子から発せられた白色光が直接取り出されるようになっている。このような4色のサブ画素を用いて例えば映像表示を行う場合、高画質化を実現するためには、例えばR,G,Bの3色のサブ画素のみを用いる場合とは異なる、新たな輝度調整あるいは色度設計が要求される。
【0008】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、4色のサブ画素を用いて映像表示を行う際に、高画質化を実現することが可能な表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の表示装置は、各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応する第1ないし第3のサブ画素と、第1ないし第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備えている。複数の画素ではそれぞれ、第1ないし第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有し、第1ないし第3のサブ画素では、一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、第4のサブ画素では、発光素子から発せられた光の透過率が、第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成されている。
【0010】
本開示の電子機器は、上記本開示の表示装置を備えたものである。
【0011】
本開示の表示装置および電子機器では、各画素が、R,G,Bに対応する第1ないし第3のサブ画素と、これら3つのサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有し、第1ないし第3のサブ画素にはカラーフィルタが設けられている。第4のサブ画素において、発光素子から発せられた光の透過率が、その一部または全部において低減するように構成されていることにより、カラーフィルタを有する第1ないし第3のサブ画素とカラーフィルタを有さない第4のサブ画素との間の透過率差が軽減される。これにより、輝度バランスが良好となり、所望の色度を表現し易くなる。
【0012】
例えば、一対の基板として、画素駆動回路を有する駆動基板と、透明基板よりなる封止基板とが設けられ、これらのうちの封止基板側にカラーフィルタが設けられている場合には、次のような構成となっていることが望ましい。即ち、カラーフィルタが、ブラックマトリクスの第1ないし第3のサブ画素に対向する開口にそれぞれ設けられ、第4のサブ画素では、ブラックマトリクスの開口幅が、他のサブ画素における各開口幅よりも小さくなっている。第4のサブ画素では、上記開口のエッジ部分における白色光のけられ(ケラレ)が、他のサブ画素よりも多く生じ、特に斜め方向へ出射する光の透過率が低減される。ここで、上記のようなサブ画素間における透過率差は視野角変化に伴って大きくなる傾向を有するが、そのような開口幅制御を行うことにより、特に斜め方向からみた場合に、所望の色度を表現し易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の表示装置および電子機器によれば、各画素が、R,G,Bに対応すると共に所定のカラーフィルタを有する第1ないし第3のサブ画素と、これら3つのサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有している。第4のサブ画素において、発光素子から発せられた光の透過率を、その一部または全部において低減するように構成することにより、第1ないし第3のサブ画素と第4のサブ画素との間の透過率差を軽減でき、所望の色度を表現することができる。よって、4色のサブ画素を用いて映像表示を行う際に、高画質化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した表示装置の駆動回路を表すブロック図である。
【図3】サブ画素のレイアウト例について説明するための模式図である。
【図4】サブ画素の回路構成例を表す等価回路図である。
【図5】(A)はサブ画素(青)、(B)はサブ画素(白)の詳細構成を表す断面図である。
【図6】ブラックマトリクスの開口の一構成例について説明するための平面模式図である。
【図7】ブラックマトリクスの開口の他の構成例について説明するための平面模式図である。
【図8】変換処理動作の一例を説明するためのフロー図である。
【図9】(A)はサブ画素(青),(B)はサブ画素(白)における作用を説明するための断面模式図である。
【図10】視野角に対する透過率変化を示す特性図である。
【図11】視野角に対する色度変化を示す特性図である。
【図12】本開示の第2の実施の形態に係る表示装置の概略構成を表す断面図である。
【図13】視野角に対する透過率変化を示す特性図である。
【図14】NDフィルタの他の構成例を示す模式図である。
【図15】変形例2に係る開口形状を説明するための平面模式図である。
【図16】変形例3に係るサブ画素の構成およびレイアウト例を表す模式図である。
【図17】実施の形態および変形例の表示装置が用いられるモジュールの一例を表す模式図である。
【図18】適用例1の外観を表す斜視図である。
【図19】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図20】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図21】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図22】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(BM開口を、RGBよりもWのサブ画素において小さくした例)
2.第2の実施の形態(Wのサブ画素にNDフィルタを設けた例)
3.変形例1(ボトムエミッション方式に適用した場合の例)
4.変形例2(BM開口形状の他の例)
5.モジュールおよび適用例
【0016】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示における第1の実施の形態に係る表示装置(有機EL表示装置1)の断面構成を表したものである。有機EL表示装置1は、例えば上面発光方式(いわゆるトップエミッション方式)により、フルカラーの映像表示を行うものである。この有機EL表示装置1は、赤(R),緑(G),B(青)の3原色のサブピクセル(サブ画素10R,10G,10B)に加え、高輝度を示すサブピクセル(例えば白(W)のサブ画素10W)を含めた4色のサブ画素を用いて上記映像表示を行う。このような有機EL表示装置1は、例えば、各々が、上記4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wにより構成された複数の画素(後述の画素P)を備えている。これらのサブ画素10R,10G,10B,10Wは、駆動基板10上に例えばマトリクス状に配設され、いずれも発光素子として例えば有機EL素子(白色有機EL素子10a)を含んでいる。これらの白色有機EL素子10aは、封止基板20によって駆動基板10上に封止されている。
【0017】
駆動基板10は、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコン、プラスチック等からなる基板上に、TFT(後述のTr1,Tr2等)を含む画素駆動回路(駆動回路30)等が配設されたものである。この駆動基板10の表面は、図示しない平坦化膜によって平坦化されている。以下、画素駆動回路10の詳細構成の一例について述べる。
【0018】
(画素駆動回路)
図2は、各画素Pの駆動回路の一構成例を表すブロック図である。駆動基板10上には、サブ画素10R,10G,10B,10Wを含む画素Pが、マトリクス状に複数設けられており、これら複数の画素Pが配設される表示部Sの周辺領域(額縁領域)に、各サブ画素10R,10G,10B,10Wを駆動するための駆動回路30が配設されている。表示部Sでは、複数の走査線WSLおよび電源線DSLが行状に配置され、複数の信号線DTL(後述のDTLr,DTLg,DTLb,DTLwのいずれかに相当)が列状に配置されている。これらの走査線WSL、信号線DTLおよび電源線DSLがそれぞれ、上記駆動回路30に接続されている。尚、駆動回路30は、駆動基板10上に直に設けられていてもよいし、あるいは駆動基板10の周辺領域に接続されたプリント配線基板(FPC)等に集積されたものであってもよい。
【0019】
各画素Pにおいて、サブ画素Wは、3原色のサブ画素10R,10G,10Bよりも高輝度を示す(表示装置全体の輝度向上もしくは電力低減を目的として設けられた)サブピクセルである。画素Pでは、これら4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wが、例えば図3(A)に示したように、2×2の行列状に設けられていてもよいし、図3(B)に示したように、1方向(行方向または列方向)に沿って配列して設けられていてもよい。このように、4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wの配置レイアウトは特に限定されないが、図1の断面図では、説明上、これらの4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wを1方向に並列させたものを例示している。
【0020】
駆動回路30は、複数の画素Pを順次選択しつつ、選択された画素P内のサブピクセル10R,10B,10G,10Wに対して映像信号30Aに基づく映像信号電圧を書き込むことにより、複数の画素Pの表示駆動を行うものである。この駆動回路30は、映像信号処理回路31、タイミング生成回路32、走査線駆動回路33、信号線駆動回路34および電源線駆動回路35を有している。
【0021】
映像信号処理回路31は、外部から入力されるデジタルの映像信号30Aに対して所定の映像信号処理(例えば、ガンマ補正処理,オーバードライブ処理等)を行うと共に、そのような映像信号処理後の映像信号31Aを信号線駆動回路34に出力するものである。本実施の形態では、4色のサブ画素を用いて映像表示に行うため、この映像信号処理回路31が、更に所定の変換処理部310を有している。変換処理部310は、例えばR,G,Bの3色に対応する映像信号を、例えばR,G,B,Wの4色に対応する映像信号へ変換する変換処理(RGB/RGBW変換処理)を行うものである。この変換処理部310は、例えば、複数の乗算器および加算器を用いて構成されている。
【0022】
タイミング生成回路32は、外部から入力される同期信号30Bに基づいて制御信号32Aを生成し出力することにより、走査線駆動回路33、信号線駆動回路34および電源線駆動回路35がそれぞれ、連動して動作するように制御するものである。
【0023】
走査線駆動回路33は、制御信号32Aに基づいて複数の走査線WSLに対して選択パルスを順次印加することにより、複数の画素P(詳細にはサブ画素10R,10B,10G,10W)を順次選択するものである。信号線駆動回路34は、制御信号32Aに基づいて、映像信号処理回路31から入力される映像信号21Aに対応するアナログの映像信号を生成し、各信号線DTL(詳細には後述のDTLr,DTLg,DTLb,DTLw)に印加するものである。電源線駆動回路35は、制御信号32Aに基づいて複数の電源線DSLに対して制御パルスを順次印加することにより、各画素P内のサブ画素10R,10B,10G,10Wにおける白色有機EL素子10aの発光(点灯)動作および消光(消灯)動作の制御を行うものである。
【0024】
(画素回路)
図4は、サブ画素10R,10G,10B,10Wの回路構成の一例を表したものである。各サブ画素10R,10G,10B,10W内には、白色有機EL素子10aと共に、画素回路36が設けられている。
【0025】
画素回路36は、例えば書き込み(サンプリング用)トランジスタTr1、駆動トランジスタTr2および保持容量素子Csを含んで構成されている。書き込みトランジスタTr1は、ゲートが走査線WSL、ドレインが信号線DTL(DTLr,DTLg,DTLb,DTLw)にそれぞれ接続され、ソースは、駆動トランジスタTr2のゲートおよび保持容量素子Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr2のドレインは電源線DSLに接続され、ソースは、保持容量素子Csの他端および白色有機EL素子10aのアノードに接続されている。白色有機EL素子10aのカソードは、固定電位VSS(例えば、接地電位)に設定されている。書き込みトランジスタTr1および駆動トランジスタTr2はそれぞれ、例えば、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)である。
【0026】
尚、図4には、4つのサブ画素10R,10G,10B,10Wを纏めて示しているが、サブ画素10R,10G,10B,10Wには、走査線WSLおよび発光制御線DSLがそれぞれ各サブ画素に共通して接続されている。一方、信号線DTLについては、サブ画素10R,10G,10B,10Wのそれぞれに個別に接続されている(信号線DTLr,DTLg,DTLb,DTLw)。
【0027】
(有機EL素子の構成)
白色有機EL素子10aは、駆動基板10上において、例えば第1電極11と第2電極14との間に発光層を含む有機層13を有するものである。具体的には、白色有機EL素子10aでは、サブ画素10R,10G,10B,10W毎に駆動基板10上に第1電極11が設けられており、駆動基板10および第1電極11は、各第1電極11に対向して開口を有する画素間絶縁膜12によって覆われている。画素間絶縁膜12の開口において、第1電極11上に有機層13が形成されており、この有機層13上に、第2電極14が表示領域の全域にわたって設けられている。
【0028】
第1電極11は、例えば陽極として機能すると共に、例えば光反射性に優れた導電性材料を用いて構成される。この第1電極11は、例えば、クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W),アルミニウム(Al)あるいは銀(Ag)等の金属元素の単体または合金よりなる。あるいは、第1電極11は、それらの金属元素の単体または合金よりなる金属膜(ミラーとして機能する部分)と、ITO、InZnO、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金等の透明導電膜との積層構造を有していてもよい。本実施の形態では、封止基板20の上方から光取り出しがなされるトップエミッション方式において、第1電極11の一部または全部がミラーとして機能し、白色発光素子10aから発せられた光が上方へ向けて反射されるようになっている。第1電極11の膜厚は、所望の反射率(例えば80%〜90%の反射率)が得られるように設定されることが望ましい。
【0029】
画素間絶縁膜12は、各サブ画素10R,10G,10B,10Wの発光領域を電気的に分離し、画素間リークを抑制する機能を有するものである。この画素間絶縁膜12は、例えばポリイミド,アクリル系樹脂またはノボラック系樹脂などの有機絶縁膜により構成されている。
【0030】
有機層13は、有機電界発光層(ここでは、白色発光層)を含んでおり、電界をかけることにより電子と正孔との再結合を生じて、白色光(白色と見做せる疑似白色光も含む)を発生するようになっている。このような白色発光層は、例えば赤色光を発する赤色発光層、緑色光を発する緑色発光層および青色光を発する青色発光層を厚み方向に積層した構造を有している。赤色発光層は、例えば赤色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6−ビス[(4'−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を混合したものから構成されている。緑色発光層は、例えば、緑色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、ADNやDPVBiにクマリン6を混合したものから構成されている。青色発光層は、例えば、青色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、DPVBiに4,4'−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を混合したものから構成されている。
【0031】
このような有機層13は、また、上記のような発光層の他にも、例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などを含んでいてもよい。具体的には、第1電極11が陽極として機能する場合には、この第1電極11側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、白色発光層および電子輸送層を積層した構造であってもよい。また、白色発光層または電子輸送層と、第2電極14との間には、更に、例えばLiFよりなる電子注入層が設けられていてもよい。また、上記白色発光層と、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層とは、サブ画素10R,10G,10B,10Wに共通して形成されていてもよいし、サブ画素10R,10G,10B,10W毎に設けられていてもよい。また、それらの層のうちの一部がサブ画素毎に設けられ、その他の層が全サブ画素に共通して設けられていてもよい。
【0032】
尚、ここでは、白色発光層として、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層を積層したものを例示したが、白色発光層の構成はこれに限定されず、混色により白色光を生成可能な構造であればよい。例えば、青色発光層と黄色発光層とを積層した構造、または青色発光層と橙色発光層とを積層した構造であってもよい。
【0033】
第2電極14は、例えば陰極として機能し、例えばサブ画素10R,10G,10B,10Wに共通して設けられ、するものである。この第2電極14は、例えばアルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),銀(Ag)およびITO,InZnO,ZnO等の透明導電膜等のうちの少なくとも1種よりなる単体金属、それらのうちの2種以上を含む合金、もしくは金属酸化物から構成されている。第2電極14は、そのような単体金属および合金のうちのいずれかよりなる単層膜であってもよいし、それらのうちの2種以上を積層した積層膜であってもよい。この第2電極14は、第1電極11と絶縁された状態で設けられると共に、保護膜15によって覆われている。
【0034】
保護層15は、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が好ましい。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。この保護層15上に、図示しない接着層を介して封止基板20が貼り合わせられている。
【0035】
封止基板20は、各白色有機EL素子10aを封止するものである。本実施の形態では、上述のようにトップエミッション方式を用いているため、この封止基板20が、サブ画素10R,10G,10B,10Wで発生した各色光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。この封止基板20には、カラーフィルタ層16が設けられている。
【0036】
(カラーフィルタ層16)
カラーフィルタ層16は、各サブ画素10R,10G,10B,10Wに対向して開口(開口M1,Mw)を有するブラックマトリクス16Mを有する。詳細には、カラーフィルタ層16において、ブラックマトリクス16Mは、サブ画素10R,10G,10Bに対向して開口M1を有し、サブ画素10Wに対向して開口Mwを有している。このブラックマトリクス16Mは、例えば黒色の顔料または染料を混入した樹脂よりなる。あるいは、ブラックマトリクス16Mは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層した薄膜フィルタにより構成されていてもよい。
【0037】
ブラックマトリクス16Mの開口M1,Mwのうち、サブ画素10R,10G,10Bに対向する開口M1にのみ、カラーフィルタ(赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16B)が形成されている。即ち、サブ画素10R,10G,10Bにはそれぞれ、対応する色のカラーフィルタ(赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16B)が設けられる一方、サブ画素10Wには、カラーフィルタが設けられていない。
【0038】
赤色フィルタ16Rは、白色光のうち赤色光を選択的に透過させる(例えば波長620nm〜750nmの範囲に透過帯域を有する)ものである。緑色フィルタ16Gは、白色光のうち緑色光を選択的に透過させる(例えば波長495nm〜570nmの範囲に透過帯域を有する)ものである。青色フィルタ16Bは、白色光のうち青色光を選択的に透過させる(例えば波長450nm〜495nmの範囲に透過帯域を有する)ものである。これらの赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16Bはそれぞれ、例えば顔料または染料を混入した樹脂よりなる。尚、このようなカラーフィルタ層16の表面が有機絶縁材料よりなるオーバーコート膜により覆われていてもよい。
【0039】
このような構成により、白色有機EL素子10a側からの白色光は、サブ画素10R,10G,10Bでは、それぞれR,G,Bの各色光に変換されて表示光として取り出される一方、サブ画素10Wでは、白色光がそのまま(色変換されることなく)開口Mwを通過して表示光として取り出される。本実施の形態では、このようなカラーフィルタ層16のブラックマトリクス16Mにおける開口M1,Mwの開口幅が所定の大小関係となるように設計されている。
【0040】
(ブラックマトリクスの開口設計)
図5(A)は、サブ画素10B、図5(B)はサブ画素10Wの詳細な断面構成を表したものである。図6および図7は、開口の形状およびレイアウトの一例を模式的に表したものである。
【0041】
本実施の形態では、サブ画素10Wに対向する開口Mwの幅(開口幅LBM(W))が、サブ画素10R,10G,10Bに対向する開口M1の幅(開口幅LBM)よりも小さくなるように設計されている。具体的には、サブ画素10R,10G,10B(以下、サブ画素10Bを例にして説明する)では、図5(A)に示したように、白色有機EL素子10a上に、開口M1が設けられ、この開口M1に青色フィルタ16Bが形成されている。ここで、開口M1は、一般に、画素開口(第1電極11に対応する部分)よりも大きくなるように設けられる。これは、以下のような理由による。
【0042】
即ち、トップエミッション方式の有機EL表示装置1では、封止基板20側にブラックマトリクス16Mを含むカラーフィルタ層16が設けられる。このような構成において、駆動基板10との貼り合せ時のアライメント精度を保持する(位置ずれの影響を吸収するマージンを確保する)と共に、表示面(ここでは、封止基板20の上面)を斜め方向から見た場合の遮光(いわゆるケラレ)を抑制して、各サブ画素での視野角特性を向上させるためである。ここで、ある観察方向(基板法線方向から角度θ1(0°≦θ1<90°)傾いた斜め方向)における遮光率Zは、例えば以下の式(1)と式(2)によって決まる。つまり、R,G,Bの3色に対応するサブ画素10R,10G,10Bでは、ブラックマトリクス16Mにおいて、遮光率Zが最小限となるように開口幅LBMが設計されている。詳細には、隣接画素からの色光のクロストークや、外光反射等を抑制できる程度の遮光性能を保持しつつ、ケラレの影響を抑えることができる遮光率Zとなるような設計がなされている。
【0043】
shadow=Σi[ti・tan{sin-1(nair・sinθair/nsub(i))]] ………(1)
Z=(LP+d−Lshadow)/LP ………(2)
但し、
shadow:遮光幅
i:第1電極11の金属反射面とブラックマトリクス16Mとの間に積層された各層の厚み
sub(i):第1電極11の金属反射面とブラックマトリクス16Mとの間に積層された各層の屈折率
air:大気の屈折率
P:第1電極11の幅(画素幅)
d:開口幅LBMと画素幅LPとの差(開口マージン)
【0044】
一方、斜め方向におけるカラーフィルタ透過率Tは、スネルの法則およびランバートベールの法則により、式(A),(B)のように表される。尚、式(A)における記号「^」は「べき乗」を表し、例えば「B^2」は「B2」を意味する。つまり、カラーフィルタの透過率が異なる場合、観測角度θ1が大きくなるほど透過率の差異が大きくなり、斜め方向における色度変化が生じる。
T=T0^(1/cosθ2) ………(A)
sinθ1/sinθ2=nCF ………(B)
但し、
0:カラーフィルタ(16R,16G,16B)の正面での透過率
θ2:カラーフィルタ(16R,16G,16B)中の光線透過角度
θ1:観察角度(視野角)
CF:観察環境とカラーフィルタ(16R,16G,16B)との屈折率比
を示す。
【0045】
一方、図5(B)に示したように、サブ画素10Wでは、他のサブ画素(ここでは、サブ画素10B)と同様、白色有機EL素子10a上に開口Mwが設けられ、この開口Mwについても、上記と同様の理由から、画素幅LPよりも大きくなるように設けられる。但し、サブ画素10Wに対向する開口Mwの開口幅LBM(W)は、上記開口幅LBMよりも小さくなっている。
【0046】
このように、本実施の形態では、サブ画素10Wにおいて、開口幅LBM(W)が他のサブ画素の開口幅LBMよりも小さく設定されることにより、遮光率Zが大きくなり、透過率が低減されている。但し、この際、サブ画素10R,10G,10Bにおける、赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16G,青色フィルタ16Bの各透過率Tを考慮して(サブ画素10Wにおける透過率が、各カラーフィルタの透過率Tと同等となるように)、開口幅LBM(W)が設定されることが望ましい。尚、上記式(A)における透過率T0は、カラーフィルタ材料の濃度および厚み等に応じて変化するものであり、各サブ画素10R,10G,10B毎に異なるものである。
【0047】
ここでは、4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wの各画素幅LPは互いに同一であることから、サブ画素10Wにおける開口マージンdWが、サブ画素10Bの開口マージンdよりも小さく(狭く)設計されている。これにより、サブ画素10Wでは、上述の式(1),(2)によって定められる遮光率Zが、サブ画素10Bのそれよりも大きくなり、この傾向は、詳細は後述するが、特に観察角度θ1が大きくなるほど増す。
【0048】
実際には、画素の形状(第1電極11の面形状)は、図6および図7に示したように、例えば方形(矩形または正方形)となっている。このように、サブ画素10R,10G,10Bにおいて、X方向およびY方向の各方向に沿って開口マージンdを有する場合、サブ画素10Wにおいても、X方向およびY方向の各方向に沿って、開口マージンdWを設けるとよい。具体的には、サブ画素10R,10G,10Bでは、X方向において、画素幅LP1に対して開口マージンdを考慮した開口幅LBM1、Y方向において、画素幅LP2に対して開口マージンdを考慮した開口幅LBM2にそれぞれ設計される。一方、サブ画素10Wでは、X方向において、画素幅LP1に対して開口マージンdwを考慮した開口幅LBM(W)1、Y方向において、画素幅LP2に対して開口マージンdwを考慮した開口幅LBM(W)2にそれぞれ設計される。尚、X方向およびY方向は、表示面(基板面)に平行な面内において互いに直交する2方向とする。
【0049】
尚、ここでは、R,G,Bの3色に対応するサブ画素10R,10G,10Bについては、互いに同一の開口幅LBMおよび開口マージンdとなるように設定したが、これらの開口幅LBMおよび開口マージンdは、各サブ画素間において必ずしも同一でなくともよい。赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16Gおよび青色フィルタ16Bの間でも、透過帯域が互いに異なると共に、顔料の濃度等の他の設計条件に依存して、サブ画素間で透過率(特に斜め方向における透過率)に差が生じる場合もある。このため、そのような透過率差を軽減するために、サブ画素10R,10G,10Bのいずれかにおいて他のサブ画素よりも開口幅が小さく(または大きく)なるように、あるいはサブ画素10R,10G,10B,10Wにおける各開口幅が互いに異なるように(透過波長毎に)、設計されていてもよい。例えば、RGBの各透過波長帯域における透過率を、各カラーフィルタの濃度に相関させて(各カラーフィルタ濃度を考慮して)調整したものが挙げられる。これにより、サブ画素10R,10G,10B間において各透過率に差がある場合にも、それを低減して、より所望の色度を得易くなる。
【0050】
また、X方向とY方向との各方向において、開口マージンd,dwを同一幅としたが、各方向において異なるようにしてもよい。例えば、X,Y方向のうちの選択的な一方向(例えば水平方向に一致する方向)における開口幅のみを調整し、もう一方の方向(例えば垂直方向に一致する方向)では4つのサブ画素間で同一の開口幅となるようにしてもよい。あるいは、X方向とY方向とにおいて、開口幅の調整比率が異なっていてもよい。これにより、特に良好な視野角特性(色度)が必要となる方向においてのみ選択的に開口制御(透過率制御)を行うことができ、他の方向では、サブ画素10Wの開口幅を小さくすることなく反射率抑制の効果を得られるようにすることができる。
【0051】
[作用・効果]
有機EL表示装置1では、図2および図4に示したように、駆動回路30が、映像信号30Aおよび同期信号30Bに基づき、表示部S内の各画素Pを駆動し、4色のサブ画素10R,10B,10G,10Wを用いて表示駆動を行う。この際、映像信号処理回路30は、各サブピクセル10R,10B,10G,10Wへ供給する映像信号を生成するために、R,G,Bの3色に対応する映像信号30Aに対し、以下に説明するような変換処理を施す。
【0052】
(R,G,B,Wの映像信号への変換処理)
ここで一般に、入力される映像信号30Aは、R,G,Bの3色に対応するものであるため、映像信号処理回路30は、まず、入力された映像信号30A(R,G,Bの3色に対応する映像信号)に対して、以下のような変換処理(RGB/RGBW変換処理)を行う。図8に、この変換処理部310における処理フローを示す。
【0053】
即ち、変換処理部310は、まず、R,G,Bの3色に対応する映像信号(入力映像信号(R,G,B))を取得する(ステップS101)。次いで、変換処理部310は、この入力映像信号(R,G,B)を、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)により規定される表色系である3刺激値に対応する映像信号(X,Y,Z)に変換する(ステップS102)。
【0054】
具体的には、パネル固有のR,G,Bの飽和色を予め測定しておき、その測定結果に基づき、例えば以下の式(3)により規定される変換マトリクス(変換行列)Mを求める。次いで、この変換マトリクスMの逆行列M-1を用いて、以下の式(4)に基づき、色域を決定する画素(サブ画素10R,10G,10B)を用いた場合の所望の白色点(白色点Aとする)における混合比率(r,g,b)を求める。このようにして求めた混合比率(r,g,b)を用い、以下の式(5),(6)に基づき、入力映像信号(R,G,B)を、映像信号(X,Y,Z)に変換する。
【0055】
【数1】

【0056】
尚、上記式中のRx,Gx,Bx,Wxは、サブ画素10R,10G,10B,10Wの飽和色を示す色度のx座標に対応する値であり、Ry,Gy,By,Wyは、サブ画素10R,10G,10B,10Wの飽和色を示す色度のy座標に対応する値であり、Rz,Gz,Bz,Wzは、サブ画素10R,10G,10B,10Wの飽和色を示す色度のz座標(即ち、1−x−y)に対応する値を示す。
【0057】
また、入力映像信号(R,G,B)は、例えば各色について8ビットまたは16ビットの映像信号であり、例えば2.2乗等のガンマ関数に従ってその強度を表したものであるが、各サブ画素の発光色度点および輝度を規定するものであれば、これには限られない。更に、入力映像信号(R,G,B)から映像信号(X,Y,Z)への変換手法については、上記した手法には限られず、他の公知の手法を用いてもよい。加えて、上記白色点Aは1つに限らず、複数点設定することができ、それら複数の白色点Aに対する変換マトリクスMを求めておいてもよい。また、変換マトリクスMは、パネル内の表示部S全域の画素Pを対象として求めてもよいし、画素Pあるいは選択的な領域(複数の画素Pを含む)を対象としてもよい。
【0058】
次に、変換処理部310は、3刺激値に対応する映像信号(X,Y,Z)によって表現される色度を、サブ画素10Wを含めたR,G,B,Wの4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wにより表現し得る映像信号(変換映像信号(r,g,b,w))を生成する。
【0059】
具体的には、まず、上記R,G,Bに加えて、Wについてのパネル固有の飽和色を予め測定しておき、その測定結果に基づいて、以下の式(7)〜(9)により規定される変換マトリクスMr,Mg,Mbを求める。尚、これらの変換マトリクスMr,Mg,Mbは、R,G,B,Wの各飽和色のうち、(W,G,B)、(R,W,B)および(R,G,W)の各組み合わせによって得られるものである。
【0060】
【数2】

【0061】
次いで、この変換マトリクスMr,Mg,Mbの逆行列Mr-1,Mg-1,Mb-1と、映像信号(X,Y,Z)を用いて、以下の式(10)〜(15)に基づき、(Wp,Gp,Bp)、(Rp,Wp,Bp)および(Rp,Gp,Wp)の各組み合わせのうち、いずれの値も0(ゼロ)以上になる組み合わせを求める。そして、この組み合わせに含まれない色の映像信号(R,G,Bのいずれか)を0として、R,G,B,Wの4色に対応する変換映像信号(r,g,b,w)を生成する。
【0062】
【数3】

【0063】
例えば、まず、式(10),(13)〜(15)に基づいて、(Wp,Gp,Bp)を求め、これらのWp,Gp,Bpの各値が0以上であるか否かを判定し、Wp,Gp,Bpのいずれの値も0以上となる場合には(ステップS103:Y)、Rの映像信号を0と置き換えた映像信号(0,Gp,Bp,Wp)を、変換映像信号(r,g,b,w)とする(ステップS104)。
【0064】
一方、Wp,Gp,Bpの各値のいずれかが0未満である場合には(ステップS103:N)、式(11),(13)〜(15)に基づいて、(Rp,Wp,Bp)を求め、これらのRp,Wp,Bpの各値が0以上であるか否かを判定する(ステップS105)。この結果、Rp,Wp,Bpのいずれの値も0以上である場合には(ステップS105:Y)、Gの映像信号を0と置き換えた映像信号(Rp,0,Bp,Wp)を、変換映像信号(r,g,b,w)とする(ステップS106)。一方、Rp,Wp,Bpの各値のいずれかが0未満の場合には(ステップS105:N)、式(12),(13)〜(15)に基づいて、(Rp,Gp,Wp)を求め、Bの映像信号を0と置き換えた映像信号(Rp,Gp,0,Wp)を変換映像信号(r,g,b,w)とする(ステップS107)。
【0065】
【数2】

【0066】
【数3】

【0067】
次いで、上記のようにして生成した変換映像信号(r,g,b,w)を、例えば所定のルックアップテーブル(LUT)を用いて、所望の値(発光強度)に変換する(ステップS108)。このようにして、各サブ画素10R,10G,10B,10Wへの供給用の映像信号(出力映像信号(R,G,B,W))を生成し、出力する(ステップS109)。但し、このような発光強度の変換は、LUTを用いて行うのではなく、ガンマカーブや近似式を用いた演算によって行うようにしてもよい。また、このステップS108の変換処理を行わないようにしてもよい。以上により、変換処理部310における変換処理が終了となる。
【0068】
(発光駆動動作)
次に、上記のような映像信号に基づく発光駆動動作について説明する。即ち、上記変換処理によって生成された4色のいずれかに対応する映像信号電圧が信号線DTLに印加され、かつ電源線DSLに所定の電圧が印加されている期間中に、走査線駆動回路33が、走査線WSLの電圧をオフ電圧からオン電圧へ上げる。これにより、書き込みトランジスタTr1がオン状態となり、駆動トランジスタTr2のゲート電位Vgが映像信号電圧へと上昇する。その結果、補助容量素子Csに対して映像信号電圧が書き込まれ、保持される。尚、この段階では、まだ、白色有機EL素子10aのアノード−カソード間には電流が流れない(白色有機EL素子10aが発光しない)。駆動トランジスタTr2から供給される電流Idは、白色有機EL素子10aのアノード−カソード間に並列に存在する素子容量(図示せず)へと流れ、この素子容量が充電される。
【0069】
続いて、走査線駆動回路33が、走査線WSLの電圧をオン電圧からオフ電圧へと下げると、書き込みトランジスタTr1がオフ状態となり、駆動トランジスタTr2のゲートがフローティングとなる。これにより、駆動トランジスタTr2のドレイン−ソース間に電流Idが流れ、ソース電位Vsおよびゲート電位Vgが上昇する。これにより、白色有機EL素子10aでは、アノード電圧が上昇し、アノード−カソード間に、補助容量素子Csに保持された映像信号電圧(ゲート−ソース間電圧Vgs)に応じた駆動電流(電流Id)が流れる。
【0070】
この結果、各サブ画素10R,10B,10G,10W内の白色有機EL素子10aへ駆動電流が注入され、有機層13内の発光層(白色発光層)において正孔と電子とが再結合し、白色光が生じる。この白色光のうち上方(封止基板20側)へ発せられた光は、そのままカラーフィルタ層16へ向かい、下方(駆動基板10側)へ発せられた光は、第1電極11において上方へ反射された後、カラーフィルタ層16へ向かう。これにより、サブ画素110R,10B,10G,10Wのそれぞれにおいて、白色光がカラーフィルタ層16へ入射する。
【0071】
ここで、カラーフィルタ層16では、ブラックマトリクス16Mに、サブ画素110R,10B,10Gに対向して開口M1および対応色のフィルタ(赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16G,青色フィルタ16B)を有し、サブ画素10Wに対向して開口Mw(カラーフィルタなし)を有している。このため、サブ画素10R,10G,10Bでは、白色有機EL素子10a側からの白色光が、赤色フィルタ16R,緑色フィルタ16Gまたは青色フィルタ16Bをそれぞれ通過して、赤,緑,青の各色光が表示光として上面側(封止基板20側)から取り出される。一方、サブ画素10Wでは、上記白色光が、そのまま表示光として上面側から取り出される。このようにして、有機EL表示装置1では、フルカラーの映像表示がなされる。また、4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wを用いて上記のように映像表示を行うことにより、R,G,Bの3色のサブ画素のみを用いる場合と比べ、輝度効率が向上し、低消費電力化が図られる。
【0072】
(ブラックマトリクス開口形状による作用)
上述のように、白色有機EL素子10a側からの白色光は、サブ画素10R,10G,10Bでは、対応するカラーフィルタ(16R,16G,16B)を透過して、それぞれR,G,Bの表示光として取り出される一方、サブ画素10Wでは、白色光がそのまま表示光として取り出される。
【0073】
そのため、白色有機EL素子10aからの白色光のうち、サブ画素10R,10G,10Bでは、カラーフィルタ(16R,16G,16B)により特定の帯域の色光のみが選択的に取り出されることになり、カラーフィルタを有さない高輝度を示すサブ画素10Wに比べ表示光の透過率(輝度)が低くなる。即ち、R,G,Bのサブ画素10R,10G,10Bと、Wのサブ画素10Wとの間で透過率に差が生じる。具体的には、サブ画素10R,10G,10Bでは、透過率が約75〜85%程度となり、サブ画素10Wでは、100%に近くなる。このような透過率差が生じると、各色間での輝度バランスが崩れ、所望の色度を表現しにくくなる。
【0074】
また、ブラックマトリクス開口M1に形成されるカラーフィルタ(16R,16G,16B)では、光の透過方向(フィルタ内を通過する光の進行方向)によって、光路長が異なる。このため、光路長がより長くなる斜め方向(正面方向(基板法線方向)から傾いた方向)では、正面方向に比べ、透過光量が減少し易い。従って、サブ画素10R,10G,10Bでは、特に斜め方向において透過率が低くなる傾向がある。一方、サブ画素10Wでは、そのようなカラーフィルタが設けられていないために、斜め方向においても透過率はそれほど低下しない。つまり、特に斜め方向において、サブ画素10R,10G,10Bとサブ画素10Wとの間の透過率差が顕著となり、色度点が正面方向の色度点から更にずれたものとなり、視野角特性の低下を招く。
【0075】
他方、上述したように、斜め方向における透過率は、サブ画素10R,10G,10Bでは、上記式(1),(2)で表される遮光率Zと、カラーフィルタ(16R,16G,16B)の材料,濃度等とにより概ね決定され、サブ画素10Wでは、遮光率Zにより概ね決定される。
【0076】
ここで、本実施の形態では、図5〜図7に示したように、カラーフィルタ層16に配置されるブラックマトリクス16Mにおいて、サブ画素10Wに対向する開口Mwの開口幅LBM(W)が、サブ画素10R,10G,10Bの開口M1の開口幅LBMよりも小さくなるように設計されている。これにより、図9(A)に示したように、サブ画素10R,10G,10B(ここではサブ画素10Bを例示する)では、斜め方向へ向かって透過(出射)する色光(図中破線矢印)の光量がより多くなるように、上述したような観点から最適な開口幅LBMおよび開口マージンdが設定されている。一方、図9(B)に示したように、サブ画素10Wでは、開口Mwが、そのような開口幅LBMよりも小さな開口幅LBM(W)を有することにより、サブ画素10Bよりも斜め方向へ向かって透過する色光がブラックマトリクスMwによって遮光され易くなる(ケラレが生じ易い)。このように、サブ画素10Bの一部、即ちブラックマトリクス16Mの開口Mwのエッジ付近におけるケラレを利用することにより、サブ画素10Wでは、斜め方向における透過率が軽減される。よって、特に透過率差が顕著となる斜め方向において、サブ画素間での透過率差が軽減され、視野角全体において良好な輝度バランスが保持される。
【0077】
また、本実施の形態では、開口幅LBM(W)は、開口幅LBMと同様、画素幅Lpよりも大きくなるように設計されているため、正面方向における透過率については低下しない。上述したように、各サブ画素間での透過率差は、斜め方向において顕著にあらわれるため、正面方向よりも斜め方向における透過率差を軽減することにより、各サブ画素間における透過率の近似を効率的に行うことができる。
【0078】
例えば、図10に、帯域透過率0.8を有する青色フィルタ16Bが設けられたサブ画素10Bと、透過率が0.99である(高透過率フィルタを設けた)サブ画素10Wとの視野角に対する透過率変化について示す。具体的には、実施例として、サブ画素10B(画素幅LP:50μm,開口幅LBM:70μm,開口マージンd:10μm)の透過率B1と、サブ画素10W(画素幅LP:50μm,開口幅LBM(W):65μm,開口マージンdw:7.5μm)の透過率W1について示す。また、比較例として、サブ画素10Bと同様の画素幅LP,開口幅LBM,開口マージンdで設計したサブ画素10Wについての透過率W100についても示す。
【0079】
このように、開口幅および開口マージンを同一とした場合、サブ画素10Bの透過率B1と、サブ画素10Wの透過率W100との間に透過率差が生じ、特に観察角度θ1が大きくなる斜め方向においてその差が大きくなることがわかる。これに対し、開口幅および開口マージンをサブ画素10Bよりも小さくなるように設計したサブ画素10Wの透過率W1は、比較例の透過率W100に比べ、サブ画素10Bの透過率B1に近似することがわかる。
【0080】
また、一定の発光スペクトル下において、上記実施例に係るサブ画素10B,10Wを、混合させて点灯した場合の視野角に対する色度変化について、図11に示す。また、比較例として、上記のようにそれぞれを同一の開口幅および開口マージンで設計したサブ画素10B,10Wを混色させた場合の色度変化について示す。開口幅および開口マージンをサブ画素10Bよりも小さく設計したサブ画素10Wを用いた実施例では、それらを同一に設計した比較例に比べ、観察角度θ1が増しても、色度変化がほとんどみられなかった。これにより、サブ画素間の透過率差によって生じる色度変化(特に視野角の変化に伴って変化する色度変化)が、サブ画素10Wの開口幅制御によって抑制されることがわかる。
【0081】
以上のように本実施の形態では、各画素Pが、R,G,Bに対応するサブ画素10R,10G,10Bと、これらよりも高輝度を示すサブ画素10Wとを有し、サブ画素10R,10G,10Bにはカラーフィルタ(16R,16G,16B)が設けられている。サブ画素10Wにおいて、白色有機EL素子10aから発せられた白色光の透過率が、その一部または全部において低減するように構成されている。具体的には、本実施の形態では、トップエミッション方式による有機EL表示装置1において、サブ画素10Wでは、ブラックマトリクス16Mの開口幅LBM(W)が、他のサブ画素における各開口幅LBMよりも小さくなっている。これにより、サブ画素10Wの一部において白色光のけられ(ケラレ)が、他のサブ画素よりも多く生じ、特に斜め方向へ出射する光の透過率が低減される。従って、カラーフィルタ(16R,16G,16B)を有するサブ画素10R,10G,10Bとカラーフィルタを有さないサブ画素10Wとの間の透過率差が軽減される。ここで、上記のようなサブ画素間における透過率差は視野角変化に伴って大きくなる傾向を有するが、そのような開口幅制御を行うことにより、特に斜め方向からみた場合に、所望の輝度および色度を表現できる。よって、4色のサブ画素を用いて映像表示を行う際に、高画質化を実現することが可能となる。
【0082】
次に、第2の実施の形態および変形例について説明する。以下では、各形態における概略構成または要部構成のみを示し、また、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0083】
<第2の実施の形態>
図12は、本開示における第2の実施の形態に係る表示装置(有機EL表示装置2)の断面構成を表したものである。有機EL表示装置2は、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様、いわゆるトップエミッション方式により、フルカラーの映像表示を行うものである。この有機EL表示装置2は、また、4色のサブ画素10R,10G,10B,10Wを用いて上記映像表示を行うものであり、これらのサブ画素10R,10G,10B,10Wはいずれも、発光素子として白色有機EL素子10aを含んでいる。また、この白色有機EL素子10aは、駆動基板10および封止基板20間に設けられると共に、封止基板20側にカラーフィルタ層16が形成されている。
【0084】
また、本実施の形態においても、カラーフィルタ層16が、各サブ画素10R,10G,10B,10Wに対向して開口M1を有するブラックマトリクス16Mを有すると共に、サブ画素10R,10G,10Bでは、その開口M1にカラーフィルタ(16R,16G,16B)が形成されている。
【0085】
但し、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、カラーフィルタ層16において、ブラックマトリクス16Mの開口M1の開口幅LBMおよび開口マージンd(図12には図示せず)が各サブ画素間において互いに同一となっている。また、サブ画素10Wでは、NDフィルタ17(減光フィルタ)が形成されている。このNDフィルタ17は、例えばサブ画素10Wの全域において透過光量を低減させる機能フィルタである。このNDフィルタ17の透過率は、他のサブ画素10R,10G,10Bと同等に設定されていることが望ましい。
【0086】
本実施の形態のように、サブ画素10Wに透過率制御機能を有するNDフィルタ17を設けることによっても、ブラックマトリクス16Mの開口幅制御を行う上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0087】
例えば、図13に、帯域透過率0.8を有する青色フィルタ16Bが設けられたサブ画素10Bの視野角に対する透過率変化(透過率B2)と、全可視波長帯域において概ね0.8の透過率を有するNDフィルタ17を設けたサブ画素10Wの視野角に対する透過率変化(透過率W2)について示す。この際、サブ画素10B,10Wのいずれにおいても、画素幅LPを50μm,開口幅LBMを70μmとした。
【0088】
このように、NDフィルタ17を有するサブ画素10Wを用いた場合、サブ画素10B,10Wの透過率B2,W2は略一致し、視野角変化に伴う透過率の差異はほとんど存在しないことがわかった。尚、ここでは、NDフィルタ17として、サブ画素10Wの全域にわたって透過率を低減するものを例示したが、このNDフィルタ17の透過率はサブ画素10W全域において一律であってもよいし、領域毎に異なっていてもよい。例えば、図14(A)に示したように、中央領域d1よりも端部領域d2において低透過率となるように構成されたNDフィルタ17Aであってもよい。また、図14(B)に示したように、中央領域d1から領域d2,d3,端部領域d4にかけて段階的に透過率が低減するように構成されたNDフィルタ17Bであってもよい。更には、図14(C)に示したように、中央部から端部に向かって徐々に(連続的に)透過率が低くなるように構成されたNDフィルタ17Cであってもよい。尚、図14(A)〜(C)において左図は、NDフィルタ17A〜17CのXY平面構成、右図は、XY面形状の中央部から端部までの領域における透過率変化を表す概念図である。また、図14(C)の左図では、色の濃淡により透過率分布を表しており、白に近い程透過率が相対的に高く、黒に近い程透過率が相対的に低いことを示している。このような構成により、よりきめ細やかな透過率制御が可能となり、斜め方向においても所望の色度を得易くなる。
【0089】
尚、上述のNDフィルタ17の透過率およびNDフィルタ17A〜17Cの領域毎の透過率は、サブ画素10R,10G,10Bの間で互いに同一であってもよいし、サブ画素10R,10G,10B毎(透過波長毎)に異なっていてもよい。例えば、サブ画素自体が視野角方向(斜め方向)に色度変化を生じる(例えば、概ね黄色方向に変化する)場合、その変化している色の補色(例えば、黄色方向に変化している場合には青色)に対応するサブ画素における透過率を高めるとよい。これにより、視野角方向における色度をバランスよく維持することができる。また、サブ画素10R,10G,10Bのうち高透過率に設定されたサブ画素での透過率をより高くすることにより、視野角方向の色度を維持するようにしてもよい。
【0090】
<変形例1>
尚、上記第1,第2の実施の形態では、トップエミッション方式による発光方式を用いた有機EL表示装置を例に挙げて説明したが、本開示における表示装置は、下面発光型(いわゆるボトムエミッション方式)の有機EL表示装置にも適用可能である。この場合、封止基板20ではなく、駆動基板10上にカラーフィルタ層が形成される。このため、上述のようなブラックマトリクス16Mを設ける必要はないが(発光点からカラーフィルタまでの距離が近いため不要)、R,G,Bのサブ画素ではカラーフィルタが形成される一方、Wのサブ画素ではそのようなカラーフィルタが設けられない。従って、上記第1の実施の形態と同様に、Wのサブ画素と、他のサブ画素との間において、透過率差が生じ、色度変化が生じてしまう。
【0091】
そこで、本変形例のようなボトムエミッション方式の有機EL表示装置では、駆動基板10上のWのサブ画素に対応する領域に、上記第2の実施の形態で説明したようなNDフィルタを設けるとよい。これにより、ボトムエミッション方式においても、Wのサブ画素では、駆動基板10の下方から取り出される表示光(白色光)の透過率を低減して、上記サブ画素間での透過率差を軽減することができる。これにより、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0092】
尚、ボトムエミッション方式では、上記第1の実施の形態において説明した第1電極11が、透明導電膜により構成され、第2電極14が反射性金属よりなるか、あるいは透明導電膜と反射金属膜との積層膜により構成される。
【0093】
<変形例2>
図15は、上記第1の実施の形態において説明したブラックマトリクス16Mの開口形状の他の例を模式的に表したものである。本変形例では、Wのサブ画素に対向する開口Mw1が、例えば円形となっている。尚、画素幅LPについては、各サブ画素間で同一であり、R,G,Bのサブ画素における開口M1では開口マージンdとなるように設計されている。一歩、開口Mw1では、開口形状が円形であるため、開口マージンが変化するが、最も大きな箇所で開口マージンdwとなっている。
【0094】
このように、Wのサブ画素における開口形状を円形のような形状(等方的な形状)としてもよい。これにより、等方的に透過率を制御することができる。尚、円形の他にも、楕円形や多角形等であってもよい。
【0095】
<変形例3>
図16(A),(B)は、変形例3に係るサブ画素のレイアウトについて説明するための模式図である。上記実施の形態等では、高輝度を示すサブ画素として、白色光を発するサブ画素10Wを設け、R,G,B,Wの4色を用いて映像表示を行う場合を例示したが、高輝度画素としては、Wに限らずY(黄)のサブ画素11Yを用いてもよい。このサブ画素11Yは、上記実施の形態等と同様の白色有機EL素子10aと、黄色フィルタとを組み合わせて実現してもよいし、あるいは発光素子として黄色有機EL素子を用いて、カラーフィルタを形成しないようにしてもよい。黄色有機EL素子としては、発光層として、例えば緑色発光層および赤色発光層を積層したもの等を用いることができる。尚、各サブ画素のレイアウトとしては、上記第1の実施の形態と同様、2×2の行列状であってもよいし、行方向または列方向に沿って一列に設けられていてもよい。
【0096】
<モジュールおよび適用例>
続いて、図17〜図22を参照して、上記実施の形態および変形例で説明した有機EL表示装置1等(以下では、有機EL表示装置1を例に挙げる)の適用例について説明する。上記のような有機EL表示装置1は、例えば以下に説明するようなテレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、この有機EL表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0097】
(モジュール)
表示装置1は、例えば、図17に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動基板10の一辺に、封止基板20から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、駆動回路30の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0098】
(適用例1)
図18は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が有機EL表示装置1により構成されている。
【0099】
(適用例2)
図19は、デジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が有機EL表示装置1により構成されている。
【0100】
(適用例3)
図20は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が有機EL表示装置1により構成されている。
【0101】
(適用例4)
図21は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。そして、この表示部640が有機EL表示装置1により構成されている。
【0102】
(適用例5)
図22は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、有機EL表示装置1により構成されている。
【0103】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本開示を説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記第1の実施の形態では、サブ画素10Wにおけるブラックマトリクス16Mの開口幅のみを変更した構成を例示したが、このような構成に限定されず、サブ画素10Wの開口幅が他のサブ画素に比べ、相対的に小さくなっていれば、本開示における効果と同等の効果を得ることができる。例えば、サブ画素10W以外のサブ画素における開口幅を変更してもよいし、サブ画素10Wにおける画素開口幅(第1電極の幅)を変更して透過率を制御するようにしてもよいし、それらの変更制御を組み合わせてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態等では、各サブ画素が発光素子として、白色発光層を有する白色有機EL素子10aを有する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、サブ画素10R,10G,10B内の発光素子としてR,G,Bの各色光を個別に発するものを用いてもよい。また、白色発光層についても、発光色が異なる複数の発光層が積層された構造ではなく、面内方向に複数の発光層を配置した構造であってもよい。更に、上記実施の形態等では、発光素子の一例として自発光型の有機EL素子を挙げて説明したが、自発光型の発光素子に限定されず、例えば液晶表示素子などの発光素子(表示素子)を用いてもよい。
【0105】
更に、上記実施の形態等では、上記実施の形態等では、第1電極11が陽極(アノード)として機能すると共に第2電極14が陰極(カソード)として機能する場合を例に挙げて説明したが、逆に、第1電極11が陰極として機能すると共に第2電極14が陽極として機能するようにしてもよい。
【0106】
加えて、上記実施の形態等では、有機EL表示装置1がアクティブマトリクス型である場合について説明したが、アクティブマトリクス駆動のための画素回路の構成は、上記実施の形態等で説明したものに限られない。例えば画素回路において、必要に応じて、容量素子やトランジスタ等を追加したり置き換えたりするようにしてもよい。また、その場合には、画素回路の変更に応じて、上述した走査線駆動回路33、信号線駆動回路34および電源線駆動回路35の他に、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0107】
また、上記実施の形態等では、走査線駆動回路33、信号線駆動回路34および電源線駆動回路35における駆動動作を、タイミング生成回路32が制御する場合について説明したが、他の回路がこれらの駆動動作を制御するようにしてもよい。また、このような走査線駆動回路33、信号線駆動回路34および電源線駆動回路35に対する制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。
【0108】
尚、本開示の表示装置および電子機器は、以下の(1)〜(20)に記載したような構成であってもよい。
(1)各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応すると共に、第1ないし第3のサブ画素と、前記第1ないし第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備え、前記複数の画素ではそれぞれ、前記第1ないし第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有し、前記第1ないし第3のサブ画素では、前記一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、前記第4のサブ画素では、前記発光素子から発せられた光の透過率が、前記第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成されている表示装置。
(2)前記一対の基板は、画素駆動回路を有する駆動基板と、透明基板よりなる封止基板とであり、前記カラーフィルタは、前記封止基板側に設けられている上記(1)に記載の表示装置。
(3)前記第1ないし第4のサブ画素に対向して開口を有するブラックマトリクスを備え、前記カラーフィルタは、前記ブラックマトリクスの前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口にそれぞれ設けられ、前記第4のサブ画素では、前記ブラックマトリクスの開口幅が、前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅よりも小さくなっている上記(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)前記ブラックマトリクスでは、前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口の形状が方形であり、前記第4のサブ画素に対向する開口の形状が、円形、楕円形またはn角形(nは5以上の整数)である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示装置。
(5)前記第1ないし第4のサブ画素はいずれも、前記駆動基板上に互いに同一形状の画素電極を有し、前記ブラックマトリクスの各開口の形状は、前記画素電極の基板面に平行な面形状よりも大きくなっている上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示装置。
(6)前記第1ないし第3のサブ画素ではそれぞれ、その透過波長毎に各開口幅が設定されている上記(1)〜(5)のいずれかに記載の表示装置。
(7)前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅が、カラーフィルタ濃度を考慮して設定されている上記(1)〜(6)のいずれかに記載の表示装置。
(8)前記複数の画素は直交する2方向に沿って2次元的に配列され、前記2方向のうちの選択的な一方向において、前記第4のサブ画素における開口幅が、前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅よりも小さくなっている上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表示装置。
(9)前記第1ないし第4のサブ画素に対向して開口を有するブラックマトリクスを備え、前記カラーフィルタは、前記ブラックマトリクスの前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口にそれぞれ設けられ、前記ブラックマトリクスの前記第4のサブ画素に対向する開口には、減光フィルタ(Neutral Density filter)が設けられている上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表示装置。
(10)前記減光フィルタの透過率は、前記第1ないし第3のサブ画素の各カラーフィルタにおける透過帯域の透過率と同等に設定されている上記(1)〜(9)のいずれかに記載の表示装置。
(11)前記減光フィルタの透過率は、中央部よりも端部においてより低透過率となるように構成されている上記(1)〜(10)のいずれかに記載の表示装置。
(12)前記減光フィルタの透過率は、中央部から端部に向かって段階的に透過率が低くなるように構成されている上記(1)〜(11)のいずれかに記載の表示装置。
(13)前記減光フィルタの透過率は、中央部から端部に向かって連続的に透過率が低くなるように構成されている上記(1)〜(12)のいずれかに記載の表示装置。
(14)前記第1ないし第3のサブ画素ではそれぞれ、その透過波長毎に透過率が設定されている上記(1)〜(13)のいずれかに記載の表示装置。
(15)前記一対の基板は、透明基板上に画素駆動回路を有する駆動基板と、封止基板とであり、前記カラーフィルタは、前記駆動基板側に設けられている上記(1)〜(14)のいずれかに記載の表示装置。
(16)前記駆動基板上の、前記第1ないし第3のサブ画素に対応する領域には前記カラーフィルタ、前記第4のサブ画素に対応する領域には、減光フィルタ(Neutral Density filter)がそれぞれ設けられている上記(1)〜(15)のいずれかに記載の表示装置。
(17)前記第4のサブ画素は、白(W)または黄(Y)の色に対応するものである上記(1)〜(16)のいずれかに記載の表示装置。
(18)前記発光素子は有機電界発光素子である上記(1)〜(17)のいずれかに記載の表示装置。
(19)前記有機電界発光素子は白色光を発する上記(1)〜(18)のいずれかに記載の表示装置。
(20)各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応する第1ないし第3のサブ画素と、前記第1ないし第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備え、前記複数の画素ではそれぞれ、前記第1ないし第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有し、前記第1ないし第3のサブ画素では、前記一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、前記第4のサブ画素では、前記発光素子から発せられた光の透過率が、前記第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成されている表示装置を有する電子機器。
【符号の説明】
【0109】
1,2…有機EL表示装置、10…駆動基板、10a…白色有機EL素子、10R,10G,10B,10W…サブ画素、30…駆動回路,30A,31A…映像信号、30B…同期信号、31…映像信号処理回路、310…変換処理部、32…タイミング生成回路、32A…制御信号、33…走査線駆動回路、34…信号線駆動回路、35…電源線駆動回路、11…第1電極、12…画素間絶縁膜、13…有機層、14…第2電極、15…保護膜、16…カラーフィルタ層、16M…ブラックマトリクス、M1,Mw…開口、16R…赤色フィルタ、16G…緑色フィルタ、16B…青色フィルタ、17…NDフィルタ、LBM,LBM(W)…開口幅、LP…開口幅、d,dw…開口マージン、WSL…走査線、DTL,DTLr,DTLg,DTLb,DTLw…信号線、DSL…電源線、Tr1…書き込みトランジスタ、Tr2…駆動トランジスタ、Cs…保持容量素子、Id…電流、Vg…ゲート電位、Vs…ソース電位、Vgs…ゲート−ソース間電圧、VSS…固定電位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応すると共に、第1ないし第3のサブ画素と、前記第1ないし第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備え、
前記複数の画素ではそれぞれ、
前記第1ないし第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有し、
前記第1ないし第3のサブ画素では、前記一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、
前記第4のサブ画素では、前記発光素子から発せられた光の透過率が、前記第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成されている
表示装置。
【請求項2】
前記一対の基板は、画素駆動回路を有する駆動基板と、透明基板よりなる封止基板とであり、
前記カラーフィルタは、前記封止基板側に設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1ないし第4のサブ画素に対向して開口を有するブラックマトリクスを備え、
前記カラーフィルタは、前記ブラックマトリクスの前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口にそれぞれ設けられ、
前記第4のサブ画素では、前記ブラックマトリクスの開口幅が、前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅よりも小さくなっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ブラックマトリクスでは、
前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口の形状が方形であり、
前記第4のサブ画素に対向する開口の形状が、円形、楕円形またはn角形(nは5以上の整数)である
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1ないし第4のサブ画素はいずれも、前記駆動基板上に互いに同一形状の画素電極を有し、
前記ブラックマトリクスの各開口の形状は、前記画素電極の基板面に平行な面形状よりも大きくなっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1ないし第3のサブ画素ではそれぞれ、その透過波長毎に各開口幅が設定されている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅が、カラーフィルタ濃度を考慮して設定されている
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素は直交する2方向に沿って2次元的に配列され、
前記2方向のうちの選択的な一方向において、前記第4のサブ画素における開口幅が、前記第1ないし第3のサブ画素における各開口幅よりも小さくなっている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1ないし第4のサブ画素に対向して開口を有するブラックマトリクスを備え、
前記カラーフィルタは、前記ブラックマトリクスの前記第1ないし第3のサブ画素に対向する開口にそれぞれ設けられ、
前記ブラックマトリクスの前記第4のサブ画素に対向する開口には、減光フィルタ(Neutral Density filter)が設けられている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項10】
前記減光フィルタの透過率は、前記第1ないし第3のサブ画素の各カラーフィルタにおける透過帯域の透過率と同等に設定されている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記減光フィルタの透過率は、中央部よりも端部においてより低透過率となるように構成されている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記減光フィルタの透過率は、中央部から端部に向かって段階的に透過率が低くなるように構成されている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記減光フィルタの透過率は、中央部から端部に向かって連続的に透過率が低くなるように構成されている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1ないし第3のサブ画素ではそれぞれ、その透過波長毎に透過率が設定されている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項15】
前記一対の基板は、透明基板上に画素駆動回路を有する駆動基板と、封止基板とであり、
前記カラーフィルタは、前記駆動基板側に設けられている
請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
前記駆動基板上の、前記第1ないし第3のサブ画素に対応する領域には前記カラーフィルタ、前記第4のサブ画素に対応する領域には、減光フィルタ(Neutral Density filter)がそれぞれ設けられている
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第4のサブ画素は、白(W)または黄(Y)の色に対応するものである
請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
前記発光素子は有機電界発光素子である
請求項1に記載の表示装置。
【請求項19】
前記有機電界発光素子は白色光を発する
請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
各々が、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応する第1ないし第3のサブ画素と、前記第1ないし第3のサブ画素よりも高輝度を示す第4のサブ画素とを有する複数の画素を備え、
前記複数の画素ではそれぞれ、
前記第1ないし第4のサブ画素が、対向配置された一対の基板間に発光素子を有し、
前記第1ないし第3のサブ画素では、前記一対の基板のうちの一方の基板側に、対応する色光を選択的に透過させるカラーフィルタが設けられ、
前記第4のサブ画素では、前記発光素子から発せられた光の透過率が、前記第4のサブ画素の一部または全部の領域において低減するように構成されている
表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−80584(P2013−80584A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219054(P2011−219054)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】