説明

表示装置のフロントユニット

【課題】油等の液体の浸入を防止した表示装置のフロントユニットを得ること。
【解決手段】表示装置を収容する角筒状の胴部11bと、胴部11bの前端から外側へ張り出し上下の各辺に突起14、15が形成された鍔部11aとを備えたパネル11と、鍔部11aの前面に配置されて表示装置を保護する保護シート2と、鍔部11aを挿入可能な筒状であり、内筒面に突起14、15に対応して凹部が設けられた側面部12bと、開口12cを備えて側面部12bの前端部に設けられ、背面側には開口12cを取り囲むように突起が形成された前面部12aとを有し、鍔部11aの前面との間に保護シート2を挟み込むように鍔部11aに装着されるフランジ12とを備え、鍔部11aの下辺の突起15の高さ寸法は、鍔部11aの上辺の突起14の高さ寸法よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のフロントユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置は、保護シートをフロントパネルの前面に両面テープで貼り付けている。
【0003】
また、フロントパネルとの間に保護シートを挟み込むようにフロントパネルにフランジを装着し、保護シートの端面をフランジで覆う技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。この構造では、フロントパネル、保護シート及びフランジを含むアッシー部品を、フロントユニットとして扱うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−21286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の表示装置は、長期間使用すると、油等の液体が保護シートの端部に溜まり、さらには両面テープに浸透して機器内部に浸入する。機器内部に浸入した油等の液体は、タッチパネルや液晶などの電子機器にかかり、機器が動かなくなるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1のように、保護シートの端面を覆うように表示装置の前面にフランジを装着した構造でも、フランジと保護シートの隙間から油等の液体が浸入して保護シートの裏側に回り込み、タッチパネルや液晶などの電子機器を故障させることがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、油等の液体の浸入を防止した表示装置のフロントユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示装置を収容する角筒状の胴部と、胴部の前端から外側へ張り出し上下の各辺に第1の突起が少なくとも一つ形成された鍔部とを備えたパネルと、鍔部の前面に配置されて表示装置を保護する保護シートと、鍔部を挿入可能な筒状であり、内筒面に第1の突起の各々に対応して凹部が設けられた側面部と、開口を備えて側面部の前端部に設けられ、背面側には開口を取り囲むように第2の突起が形成された前面部とを有し、鍔部の前面との間に保護シートを挟み込むように鍔部に装着されるフランジとを備え、鍔部の下辺の第1の突起の高さ寸法は、鍔部の上辺の第1の突起の高さ寸法よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フランジと保護シートの隙間から油等の液体が浸入して保護シートの裏側に回り込み、タッチパネルや液晶などの電子機器を故障させることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明にかかる表示装置のフロントユニットの実施の形態の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、フランジを背面側から見た斜視図である。
【図3】図3は、フランジの部分拡大図である。
【図4】図4は、フロントユニットの垂直断面図である。
【図5】図5は、フロントユニットの部分拡大図である。
【図6】図6は、フランジをパネルから取り外した状態のフロントユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる表示装置のフロントユニットの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態.
図1は、本発明にかかる表示装置のフロントユニットの実施の形態の構成を示す分解斜視図である。フロントユニットは、フランジ12、保護シート2及びパネル11のアッシー部品として構成される。パネル11は、図1では不図示の表示装置を収容される角筒状の胴部11bと、胴部11bの前端から外側へ張り出した鍔部11aとを有する。鍔部11aの上辺には突起14が、下辺には突起15が、左右の辺には突起13がそれぞれ設けられている。フランジ12は、鍔部11aを挿入可能な筒状である側面部12bと、開口12cを備えて側面部12bの前端部に設けられた前面部12aとを有する。保護シート2は、両面テープ5によってパネル11に貼り付けられている。フランジ12は保護シート2とラップ(重なる)する寸法となっている。フランジ12は、保護シート2の上からパネル11に被せられており、突起(第1の突起)13〜15によってパネル11に固定される。
【0013】
図2はフランジ12を背面側から見た斜視図である。図3は、フランジ12の部分拡大図であり、図2のA部を示している。前面部12aの背面側には、保護シート2と接する部分には開口12cを取り囲むように全周におよぶ突起(第2の突起)24が設けられている。また、側面部12bの内筒面には、突起13、14、15の各々に対応して凹部17が設けられている。さらに、フランジ12には、下部側の凹部17から側面部12bの背面側の端に達する溝18が形成されている。フランジ12は、凹部17に突起13〜15が入ることでパネル11に固定される。
【0014】
図4は、フロントユニットの垂直断面図である。図5は、フロントユニットの部分拡大図であり、図4のB部を示している。胴部11bには表示装置10が収容されており、表示装置10の前面にはタッチパネル9が配置されている。保護シート2は、タッチパネル9及び表示装置10を保護している。パネル11に設けられている突起13、14、15がフランジ12の凹部17と嵌合することにより、パネル11に貼られている保護シート2の表面を突起24が押さえ付ける。突起24は、二色成型にてゴム材とするか、又は柔らかいゴムのような材料を貼り付けることで、突起24を保護シート2の表面と密着させ、前面からの油等の液体が浸入することを防止する構造を実現することが容易となる。ただし、これらの手法は一例であり、異なる手法で突起24を形成することも可能である。突起24を二色成型で形成することにより、図5(a)に示すように二重突起のような複雑な形状で形成することが容易となる。また、柔らかい材料を貼り付けて突起24とする場合には、図5(b)に示すように、突起24とする部材を単純な形状とすることで貼り付け作業が容易となる。二色成型を行う場合には、1回目の成型の材料としてはプラスチック(例えば、PBT(polybutylene terephthalate)系のプラスチック)、2回目の成型の材料としてはエラストマーなどを適用可能であるが、これらの材料に限定されることはない。
【0015】
また、フロントユニットの上部に関しても図5と同様に前面部12aの背面側と保護シート2との隙間22が突起24で塞がれた状態となるため、隙間22から浸入することは防止される。
【0016】
図6は、フランジ12をパネル11から取り外した状態のフロントユニットを示す断面図である。突起14の寸法a、突起15の寸法b及び凹部17の寸法cの関係をc>a、c<bとすることで、図4に示したように下部側ではフランジ12とパネル11との間に隙間20が形成され、隙間19から浸入した油等の液体が隙間20を通ってフロントユニットの外部へ排出される。すなわち、フランジ12及びパネル11の寸法設定により、フロントユニット下部に隙間20ができ、矢印C方向へ油等の液体を排出できる。
【0017】
さらに、パネル11の鍔部11aの上部側の寸法dを、下部側の寸法eよりも(b−a)だけ短くし、胴部11bから突起14の先端までの寸法(a+d)と胴部11bから突起15の先端までの寸法(b+e)とが等しくなるようにすれば、フランジ12の開口でパネル11の前面部が露出する部分の寸法f、gは、突起14、15の高さa、bの違いに関わらず上下ともに同じ長さとなり、パネル11の上下方向の中心とフランジ12の上下方向の中心とを揃えることができる。
【0018】
また、油等の液体を排出しやすいように、凹部17に溝18を設け、フランジ12の側面部12bの背面側の端には面取り27を形成している。溝18及び面取り27を設けることにより、フランジ12とパネル11との間に油等の液体が滞留しないため、保護シート2の下方が油等の液体に浸ることはなく、両面テープ5に浸透して油が浸入することを抑制できる。
【0019】
溝18や面取り27は、表示装置の前面や上下面には露出しないため、フランジ12の美観を損なうことがなく、意匠性を高めることができる。
【0020】
このように本実施の形態によれば、保護シートの貼り付け端面に油等の液体が溜まらないため、保護シートの端部から機器内部への油等が浸入することを防止できる。
【0021】
また、突起の凹部との嵌合によってフランジとパネルとを結合するため、組立作業時に工具が不要であり生産性に優れる。また、構造がシンプルであるため、部品の製造コストを低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる表示装置のフロントユニットは、油等の液体に対する耐性を要する箇所へ設置する表示装置へ用いるのに適している。
【符号の説明】
【0023】
2 保護シート
5 両面テープ
9 タッチパネル
10 表示装置
11 パネル
12 フランジ
13、14、15、24 突起
17 凹部
18 溝
19、20、22 隙間
25 ゴム材
26 ゴム
27 面取り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を収容する角筒状の胴部と、該胴部の前端から外側へ張り出し上下の各辺に第1の突起が少なくとも一つ形成された鍔部とを備えたパネルと、
前記鍔部の前面に配置されて前記表示装置を保護する保護シートと、
前記鍔部を挿入可能な筒状であり、内筒面に前記第1の突起の各々に対応して凹部が設けられた側面部と、開口を備えて前記側面部の前端部に設けられ、背面側には前記開口を取り囲むように第2の突起が形成された前面部とを有し、前記鍔部の前面との間に前記保護シートを挟み込むように前記鍔部に装着されるフランジとを備え、
前記鍔部の下辺の前記第1の突起の高さ寸法は、前記鍔部の上辺の前記第1の突起の高さ寸法よりも大きいことを特徴とする表示装置のフロントユニット。
【請求項2】
前記フランジは、前記側面部の下部側の前記凹部から前記側面部の背面側の端まで達する溝を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置のフロントユニット。
【請求項3】
前記側面部の背面側の端に面取りが施されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置のフロントユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101218(P2013−101218A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244636(P2011−244636)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】