説明

表示装置の制御装置

【課題】 バッテリを有する表示装置において、バッテリの状態を考慮して表示装置の表示作動を制御する表示装置の制御装置を提供すること。
【解決手段】 表示装置10はマルチディスプレイ画面を構成して画像を表示する表示部11に対して電力を供給するバッテリ12を備えている。制御装置20の電子制御ユニット21は、充電状態検出センサ14から複数の表示装置10に設けられたバッテリ12のSOCを取得し、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置10のうち、SOCが予め設定された所定のSOCrよりも大きいバッテリ12の設けられた表示装置10の表示部11がマルチディスプレイ画面上にて画像を表示することを許容し、SOCが所定のSOCr以下のバッテリ12の設けられた表示装置10の表示部11がマルチディスプレイ画面上にて画像を表示することを禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の画像を表示する表示装置の表示作動を制御する制御装置に関し、特に、複数の表示装置の表示作動を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているような表示装置、マルチディスプレイシステム、マルチディスプレイ方法、及びその方法を実現するためにコンピュータにより実行されるプログラムは知られている。この従来の表示装置等は、マルチディスプレイ画面を構成する1つの表示装置と代表として設定し、この代表の表示装置に他の表示装置で検出された照度を収集し、この代表の表示装置においてマルチディスプレイ画面を構成する各表示装置で検出された照度の平均値を求めて、この平均値に対応する輝度を求め、この求めた輝度に各表示装置の画面の輝度を調節して、各表示装置の画面の輝度を均一化するようになっている。これにより、マルチディスプレイ画面の輝度ムラを生じることがないようにしている。
【0003】
又、従来から、例えば、下記特許文献2に示されているようなバッテリ搭載型携帯用電子機器も知られている。この従来のバッテリ搭載型携帯用電子機器は、バッテリにより供給される電流でLCDや操作キーのバックライトを点灯及び駆動するものであり、バッテリの残量が多い場合には、操作性を重視してLCDや操作キーのバックライトを点灯させて輝度を明るく保持しつつ照明するように制御し、バッテリの残量が少ない場合には、バッテリから供給される電流を低減させるためにバックライトを消灯或いは輝度を低下させて照明を暗くするように制御するようになっている。これにより、消費電流を低減させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216809号公報
【特許文献2】特開2003−195990号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示された従来の車両用画像表示装置等を上記特許文献2に示された従来のバッテリ搭載型携帯用電子機器に適用することを想定すると、バッテリ搭載型携帯用電子機器(例えば、携帯電話等)を複数用いてマルチディスプレイ画面を構成する場合において、その画面における輝度を一定に保つことは可能となる。
【0006】
しかしながら、例えば、複数のバッテリ搭載型携帯用電子機器によって構成されたマルチディスプレイ画面上にて画像(映像)を表示(再生)しているときには、このマルチディスプレイ画面を構成している複数のバッテリ搭載型携帯用電子機器のうちのいずれかに、搭載しているバッテリに充電されている電力量(供給可能な電力量)が著しく低下する状況が生じる可能性がある。このような状況が生じた場合、搭載しているバッテリが過放電となって電力の供給が不能となってマルチディスプレイ画面の一部に輝度の低下が発生したり、マルチディスプレイ画面の一部にて画像(映像)の表示(再生)ができなくなったりする可能性があり、その結果、表示が安定しない、或いは、見栄えが悪化するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、バッテリを有する表示装置において、バッテリの状態を考慮して表示装置の表示作動を制御する表示装置の制御装置を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイにおける画像の表示を制御する制御手段を備えた表示装置の制御装置において、前記複数の表示装置には、前記マルチディスプレイの画面を構成して画像を表示する表示部に対して電力を供給するバッテリがそれぞれ設けられており、前記制御手段は、前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを取得し、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置のうち、前記取得した前記バッテリの供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさよりも大きいバッテリの設けられた表示装置の表示部には前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示させ、前記取得した前記バッテリの供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量の大きさ以下のバッテリの設けられた表示装置の表示部には前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示させないことにある。尚、この場合、前記制御手段が、前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを検出して出力する充電状態検出手段と、前記充電状態検出手段によって検出された前記バッテリのそれぞれの供給可能な電力量の大きさを予め設定された所定の電力量の大きさと比較して判定する比較判定手段と、前記比較判定手段による判定に基づき、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置のうち、前記供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量の大きさよりも大きいと判定したバッテリの設けられた表示装置の表示部が前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示することを許容し、前記供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量の大きさ以下と判定したバッテリの設けられた表示装置の表示部が前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示することを禁止する画像表示許容禁止手段とを備えることも可能である。
【0009】
これによれば、制御手段は、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置のうち、バッテリの供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさ以下である表示装置の表示部にはマルチディスプレイの画面上にて画像を表示させない(表示することを禁止し)、バッテリの供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさよりも大きい表示装置の表示部のみでマルチディスプレイの画面上にて画像を表示させることができる。このように、バッテリの供給可能な電力量の大きさに応じて、供給可能な電力量の小さい表示装置の表示部にマルチディスプレイの画面上にて画像を表示させないことによって、マルチディスプレイの画面上にて画像や映像を表示しているときに、表示装置に設けられたバッテリの電力量が著しく低下してマルチディスプレイの一部の画像を表示することができなくなかったり、或いは、バッテリに過放電が生じるといった不具合を未然に防止することができる。従って、例えば、マルチディスプレイの画面上に画像や映像を安定して表示させることができる。
【0010】
又、本発明の他の特徴は、前記制御手段は、更に、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記取得した供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量よりも大きな電力量に予め設定された第2の所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更することにもある。尚、この場合、前記制御手段が、更に、前記取得した前記バッテリのそれぞれの供給可能な電力量の大きさを前記所定の電力量よりも大きな電力量に予め設定された第2の所定の電力量の大きさと比較して判定する第2の比較判定手段と、前記第2の比較判定手段による判定に基づき、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記供給可能な電力量の大きさが前記第2の所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更する輝度変更手段とを備えることが可能である。
【0011】
又、本発明の他の特徴は、画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイにおける画像の表示を制御する制御手段を備えた表示装置の制御装置において、前記複数の表示装置には、前記マルチディスプレイの画面を構成して画像を表示する表示部に対して電力を供給するバッテリがそれぞれ設けられており、前記制御手段は、前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを取得し、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記取得した供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更することにもある。尚、この場合、前記制御手段が、前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを検出して出力する充電状態検出手段と、前記充電状態検出手段によって検出された前記バッテリのそれぞれの供給可能な電力量の大きさを予め設定された所定の電力量の大きさと比較して判定する比較判定手段と、前記比較判定手段による判定に基づき、前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記供給可能な電力量の大きさが前記第2の所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更する輝度変更手段とを備えることが可能である。
【0012】
これらによれば、制御手段は、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置のうちのいずれかに設けられたバッテリの供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさ(第2の所定の電力量の大きさ)未満となったときに、マルチディスプレイの画面を構成する表示装置の表示部の輝度を所定の低い輝度となるように変更することができる。これにより、バッテリから表示部に供給される電力量、言い換えれば、表示部によって消費されるバッテリの電力量を抑えることができ、表示装置に設けられたバッテリの電力量が著しく低下してマルチディスプレイの一部の画像を表示することができなくなかったり、或いは、バッテリに過放電が生じるといった不具合を効果的に防止することができる。従って、例えば、マルチディスプレイの画面上に画像や映像を安定して表示させることができ、又、途中で画像や映像が急に表示されなくなることがないため見栄えの悪化を最小限に抑えることができる。
【0013】
更に、本発明の他の特徴は、前記マルチディスプレイを構成する前記表示装置が車両に搭載されており、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられたことにもある。これによれば、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち表示部が極めて容易に大規模なマルチディスプレイの画面を構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち表示部の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大規模かつ高精細なマルチディスプレイの画面を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の各実施形態に共通の表示装置及び制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の表示装置における表示部を車両の外板の外表面上に設けた状態を説明するための概略図である。
【図3】図1の表示装置(車両)によってマルチディスプレイが構成された状態を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係り、図1の制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係り、図1の制御装置における電子制御ユニットによって実行される表示制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態に係る表示装置の制御装置について図面を用いて説明する。表示装置10は、図1に概略的に示すように、画像(映像)を表示する表示部11を備えている。表示部11は、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライトを有する液晶表示パネル等)を備えるとともに、これら表示パネルを作動させるための周知の駆動回路(図示省略)を備えている。
【0016】
ここで、表示部11について、本実施形態においては、車両の外板の外表面上に、例えば、上述した薄板状の自発光型表示パネルや透過光型表示パネルを貼付するように設け、車両外に向けて画像(映像)表示が可能となるように構成する。具体的には、図2に概略的に示すように、車両の外形を形成するフード(ボンネット)、左右のサイドパネル(フェンダやドアパネル、ピラー等)、ルーフやトランクリッド(リアゲート)、或いは、必要な透明性を確保できる場合にはフロント、リア及びサイドガラスに対して、薄板状に形成された表示部11を貼付するとともにこの貼付した表示部11の外表面に透明な保護層(例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料)を設ける。これにより、貼付された表示部11は、後述するように電子制御ユニット21によって表示作動が制御されることにより、種々の画像(映像)を車両外部に向けて表示(再生)することができる。
【0017】
又、表示装置10は、表示部11を作動(駆動)させるための電力を供給する電源としてのバッテリ12を備えている。バッテリ12は、後述する電子制御ユニット21による指令に基づき、表示部11に対して所定の電力を供給したり、表示部11への電力の供給を遮断したりする。このため、図示を省略するが、表示部11とバッテリ12との間には、スイッチング素子やコンデンサ等からなり、後述する電子制御ユニット21によって作動制御される電力供給遮断回路が設けられている。尚、本実施形態においては、バッテリ12及び電力供給遮断回路は、例えば、車両に搭載されている。
【0018】
又、表示装置10は、照度センサ13及び充電状態検出センサ14を備えている。照度センサ13は、表示部11の周辺の明るさを検出し、この検出した明るさを表す照度情報を出力する。充電状態検出センサ14は、バッテリ12の温度や、電流値、電圧値等に基づいてバッテリ12に充電されていて供給可能な電力量(すなわち、バッテリ残量)を表すSOC(State Of Charge)を検出し、この検出したSOCを表すSOC情報を出力する。
【0019】
更に、表示装置10には、本発明に係る表示装置の制御装置に対応する制御装置20(以下、単に本装置20とも称呼する。)が設けられている。制御装置20は、図1に概略的に示すように、電子制御ユニット21、通信ユニット22及び記憶ユニット23を必要最小限の構成として備えている。従って、図1に示すように、必要に応じて、制御装置20がGPS(Global Positioning System)ユニット24を備えるように構成することも可能である。
【0020】
電子制御ユニット21は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、表示装置10の表示作動を統括的に制御する。このため、電子制御ユニット21には、照度センサ13及び充電状態検出センサ14が電気的に通信可能に接続されている。
【0021】
通信ユニット22は、外部との間における種々の通信を可能とするものである。尚、通信ユニット22による通信方法自体は、本発明に直接関係するものではなく、周知の通信方法(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を利用した近距離通信、携帯電話回線及びインターネット回線網を利用した通信等)を採用することができる。これにより、例えば、複数の表示装置10が協働してマルチディスプレイ画面を構成する際に電子制御ユニット21が通信ユニット22を利用して他の表示装置10と通信したり、外部(例えば、情報提供センタ等)と通信したりすることができる。
【0022】
記憶ユニット23は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット21が表示装置10及び本装置20の作動を統括的に制御するために必要な各種プログラム及び各種データを予め或いは更新可能に記憶している。ここで、記憶ユニット23に記憶される各種データとしては、例えば、後述するように複数の表示装置10によってマルチディスプレイ画面が構成される際に必要な情報テーブルがある。この情報テーブルは、従来からよく知られているように、例えば、マルチディスプレイ画面の構成に必要な表示装置10の数(言い換えれば、各表示装置10によって形成されるマルチディスプレイ画面の大きさ)を示す構成数情報や、各表示装置10の位置を示す表示位置情報、マルチディスプレイ画面によって画像(映像)を表示するときの各表示装置10に要求される輝度を表す輝度値情報、マルチディスプレイ画面上に画像(映像)を表示するときに代表して全体を統括する表示装置10(より詳しくは、制御装置20)を表す代表情報等から構成されるものである。
【0023】
又、記憶ユニット23の所定記憶位置には、表示装置10の表示部11に表示すべき画像(映像)データが検索可能に記憶されている。ここで、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶される画像(映像)データとしては、予め記憶されている特定の画像(映像)データであったり、ネットワーク(例えば、インターネット回線網等)を介して通信可能に接続された外部(具体的には、各種情報を提供する情報提供センタやユーザが所有する携帯情報端末(携帯電話、スマートフォン等)から提供される更新可能な画像(映像)データである。GPSユニット24は、GPS衛星から送出されるGPS信号を取得し、制御装置20が設けられる表示装置10(言い換えれば、車両)の現在位置を検出し、この検出した現在位置を表す現在位置情報を電子制御ユニット21に出力するようになっている。
【0024】
次に、上記のように構成した制御装置20の作動を詳細に説明する。制御装置20が設けられることにより、表示装置10は、種々の画像(映像)を表示することができる。ここで、本実施形態においては、表示装置10の表示部11が車両の外板上に設けられている。このため、制御装置20において、電子制御ユニット21が記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている画像(映像)データを取得し、この取得した画像(映像)データを表示装置10(車両)の表示部11に供給することにより、表示部11はバッテリ12からの電力の供給を受けて画像(映像)データに基づく種々の画像(映像)やメッセージを車両外部に向けて表示することができる。
【0025】
又、表示装置10に制御装置20が設けられることにより、上述したような単独の表示装置10(車両)による種々の画像(映像)やメッセージの表示に加えて、或いは、代えて、複数の表示装置10(車両)が連携してマルチディスプレイ(より詳しくは、マルチディスプレイ画面)を構成することができ、このように構成されるマルチディスプレイ画面上に種々の画像(映像)やメッセージを表示することができる。この場合、マルチディスプレイ画面を構成する複数の表示装置10のうちから任意の1つの表示装置10が代表として選択され、この代表として選択された表示装置10の制御装置20が他の表示装置10の表示作動を制御する。以下、この代表として選択された表示装置10の制御装置20がマルチディスプレイ画面による画像(映像)の表示を制御する状況を簡単に説明しておく。
【0026】
代表として選択された表示装置10(車両)の制御装置20においては、電子制御ユニット21が、照度センサ13によって検出された表示部11周辺(すなわち、車両周辺)の照度を表す照度情報を取得し、取得した照度情報によって表される表示部11周辺の照度を記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている情報テーブルに書き込む。一方で、電子制御ユニット21は、通信ユニット22を介して、他の表示装置10(車両)に照度情報を要求する要求情報を送信する。尚、マルチディスプレイ画面を構成する場合、各表示装置10は、それぞれ、GPSユニット24によって検出された現在位置情報を通信ユニット22を介して、代表として選択された表示装置10に送信するようになっている。これに対応して、代表として選択された表示装置10においては、制御装置20の電子制御ユニット21が、自身の表示装置10を起点として、例えば、構成するマルチディスプレイ画面の横方向にて直列的な番号を他の表示装置10に対して順に付し、この付した順番を表す順番情報を他の表示装置10に送信するようになっている。
【0027】
そして、マルチディスプレイ画面を構成する他の表示装置10(車両)においては、これらの表示装置10における制御装置20の電子制御ユニット21が通信ユニット22を介して要求情報を取得し、順番情報とともに照度センサ13によって検出された表示部11周辺(すなわち、車両周辺)の照度を表す照度情報を通信ユニット22を介して送信する。これにより、代表として選択された表示装置10の制御装置20においては、電子制御ユニット21が、通信ユニット22を介して、他の表示装置10から送信された照度情報及び順番情報を受信して取得し、この取得した照度情報及び順番情報を互いに関連付けて記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。
【0028】
続いて、代表として選択された表示装置10の制御装置20においては、電子制御ユニット21が、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶した照度情報及び順番情報を読み出し、例えば、照度情報によって表される他の表示装置10の表示部11周辺の照度、及び、情報テーブルに書き込んだ自己の照度のうちから最大値及び最小値を除去した照度の平均値(平均の照度値)を決定する。そして、電子制御ユニット21は、この決定した平均の照度値に対応する輝度値を決定し、この決定した輝度値を表す輝度値情報を記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている情報テーブルに書き込むとともに、通信ユニット22を介して、輝度値情報を他の表示装置10に対して送信する。これにより、他の表示装置10の制御装置20においては、電子制御ユニット21が通信ユニット22を介して送信された輝度値情報を受信して取得し、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶する。
【0029】
このように、マルチディスプレイ画面を構成する全ての表示装置10(車両)の制御装置20が輝度値情報を共有すると、各表示装置10の制御装置20における電子制御ユニット21は、それぞれ、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶した輝度値情報(情報テーブル)に基づいて、表示部11の輝度を調節する。具体的に、各電子制御ユニット21は、表示部11の輝度を検出する図示省略の輝度センサによる検出値に基づき、例えば、輝度を大きくする必要がある場合にはバッテリ12から表示部11に供給される電力を増大させ、又、輝度を小さくする必要がある場合にはバッテリ12から表示部11に供給される電力を減少させる。これにより、複数の表示装置10が連携してマルチディスプレイ画面を構成して画像(映像)を表示する場合であっても、各表示装置10における表示部11の輝度が均一化され、マルチディスプレイ画面の輝度ムラが生じることによる見栄えの悪化を効果的に防止することができる。
【0030】
ところで、上述したように、複数の表示装置10(車両)が互いに連携してマルチディスプレイ画面を構成する場合、各表示装置10の表示部11においては、それぞれのバッテリ12から供給される電力を用いて画像(映像)を表示する。言い換えれば、表示装置10は、それぞれのバッテリ12のSOCの大きさ(すなわち、供給可能な電力量であるバッテリ残量)に依存して画像(映像)を表示するため、バッテリ12のSOCの大きさは表示装置10によって表示される画像(映像)の輝度ムラを含む表示品質に影響を与える。具体的には、制御装置20の電子制御ユニット21が輝度値情報に従って表示部11の輝度が大きくなるように調節しているにもかかわらず、バッテリ12のSOCの大きさが小さい表示装置10においては表示部11に供給される電力を増加させることができない(減少させる)ために輝度が低下したり、画像(映像)を表示している最中にバッテリ12のSOCが低下して過放電が生じて電力の供給が遮断されて表示されなくなったりして、表示が安定しない或いは見栄えが悪化したりする可能性がある。そこで、本実施形態においては、制御装置20(本装置20)が、各表示装置10に搭載されているバッテリ12の状態を把握することによりマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加させるか否かを判定し、マルチディスプレイ画面にて適切な画像(映像)が表示されるように各表示装置10を制御する。
【0031】
尚、以下の説明においては、理解を容易とするために、N台の表示装置10(車両)が連携して、図3に概略的に示すように、表示装置10_1,10_2,…,10_N−1,10_Nによるマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)が構成されている状況を想定する。そして、この想定においては、構成されるマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の任意位置(例えば、図3に示すように構成される画面左上の位置)の表示装置10_1(車両)が代表として選択されるものとし、この表示装置10_1に設けられている制御装置20(本装置20)が他の表示装置10_2,…,10_N−1,10_Nの表示作動を制御してマルチディスプレイ画面に画像(映像)を表示させるものとする。ここで、代表として選択された表示装置10_1(車両)においては、便宜上、搭載されているバッテリ12のSOCの大きさが十分に大きいものとする。
【0032】
代表として表示装置10_1(車両)が選択されると、この表示装置10_1の制御装置20(本装置20)における電子制御ユニット21は、図4に示す表示制御プログラムの実行を開始する。すなわち、電子制御ユニット21は、図4に示すフローチャートにおけるステップS10にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS11にて、他の表示装置10_2,…,10_Nからそれぞれに搭載されたバッテリ12のSOCを取得する。具体的に説明すると、本装置20の電子制御ユニット21は、通信ユニット22を介して、他の表示装置10_2,…,10_N(車両)にSOC情報の提供を要求する要求情報を送信する。他の表示装置10_2,…,10_N(車両)においては、これら表示装置10_2,…,10_Nにおける制御装置20の電子制御ユニット21が、それぞれ、通信ユニット22を介して要求情報を受信して取得する。そして、各電子制御ユニット21は、受信した要求情報に従って、充電状態検出センサ14によって検出されたSOCを表すSOC情報を順番情報とともに通信ユニット22を介して表示装置10_1の本装置20に送信する。
【0033】
本装置20の電子制御ユニット21においては、他の表示装置10_2,…,10_Nから送信されたSOC情報及び順番情報を通信ユニット22を介して受信し、この受信したSOC情報及び順番情報を互いに関連付けてそれぞれ記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。このように、電子制御ユニット21は、SOC情報すなわち同情報によって表されるSOCを取得すると、ステップS12に進む。
【0034】
ステップS12においては、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS11にて他の表示装置10_2,…,10_Nから取得したそれぞれのSOC情報によって表されるSOCの大きさすなわち他の表示装置10_2,…,10_N(車両)にそれぞれ搭載されたバッテリ12のバッテリ残量の大きさが予め設定されている所定のSOCrの大きさよりも大きいか否かを判定する。言い換えれば、本装置20の電子制御ユニット21は、マルチディスプレイ画面を構成する全表示装置10_1,…,10_Nに搭載されているそれぞれのバッテリ12のSOCの大きさ(%)が所定の電力量としての所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きいか否かを判定する。
【0035】
具体的に、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS11にて記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶したSOC情報によって表される各表示装置10(車両)に搭載されているバッテリ12のSOCを取得し、それぞれのSOCの大きさと所定のSOCrの大きさとを比較する。そして、電子制御ユニット21は、比較したSOCの大きさ(%)が全て所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きければ、ステップS12にて「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、所定のSOCrの大きさ(%)以下となるSOCの大きさ(%)が存在するときには、電子制御ユニット21はステップS12にて「No」と判定してステップS14に進む。
【0036】
ステップS13においては、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS12における判定処理に従い、SOCの大きさ(%)が所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きい表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加して画像(映像)を表示することを許可する。すなわち、この場合においては、表示装置10のバッテリ12のSOCの大きさ(%)は所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きいため、バッテリ12から表示部11に供給される電力を適切に増減することができて画像(映像)を輝度調節を含め高品位により安定して表示することができる。従って、本装置20の電子制御ユニット21は、SOCの大きさ(%)が所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きい表示装置10をマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加させる。そして、本装置20の電子制御ユニット21は、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶されている画像(映像)データを取得し、この取得した画像(映像)データを通信ユニット22を介して参加を許可した他の表示装置10_2,…,10_Nに送信する。これにより、表示装置10_1,10_2,…,10_N−1、10_Nは、送信された画像(映像)データに従い、自身の表示部11によって表示すべき画像(映像)を表示することにより、マルチディスプレイ画面全体として、任意の画像、映像、メッセージ等を高品位に表示することができる。
【0037】
そして、本装置20の電子制御ユニット21は、SOCの大きさ(%)が所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きい表示装置10についてマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加して画像(映像)を表示することを許可すると、ステップS15に進む。そして、電子制御ユニット21は、表示制御プログラムの実行を一旦終了し、短い時間の経過後、再び、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
【0038】
一方で、前記ステップS12における判定処理により、所定のSOCrの大きさ(%)以下となるSOCの大きさ(%)が存在するときには、本装置20の電子制御ユニット21は、ステップS14にて、SOCの大きさ(%)が所定のSOCrの大きさ(%)以下である表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加して画像(映像)を表示することを拒否する(禁止する)。すなわち、この場合においては、バッテリ12のSOCの大きさ(%)は所定のSOCrの大きさ(%)以下となっている表示装置10が存在しており、このような表示装置10においてはバッテリ12から表示部11に供給される電力を適切に増減することができず画像(映像)を輝度調節を含め高品位により安定して表示することができない。従って、本装置20の電子制御ユニット21は、記憶ユニット23の所定記憶位置を検索し、所定のSOCrの大きさ(%)以下となるSOCの大きさ(%)と関連付けられた順番情報を抽出する。そして、電子制御ユニット21は、この抽出した順番情報に対応する表示装置10を特定し、この特定した表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加して画像(映像)を表示することを拒否する(禁止する)。
【0039】
このように、バッテリ12のSOCの大きさが小さい表示装置10を特定しマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成への参加を禁止することにより、より具体的に、バッテリ12のSOCの大きさが著しく小さい、或いは、バッテリ12のSOCの大きさが所定のSOCrを下回る表示装置10をマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成から積極的に排除することにより、画像(映像)を表示している最中にバッテリ12のSOCが低下して輝度が低下したり、過放電が生じて電力の供給が遮断されて表示されなくなったり等、表示が安定しない或いは見栄えが悪化したりすることを未然に防止することができる。尚、本装置20の電子制御ユニット21は、バッテリ12のSOCの大きさが小さい表示装置10を特定したときには、例えば、特定した表示装置10の制御装置20に対して、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加できない旨の情報を送信する。これにより、バッテリ12のSOCの大きさが小さい表示装置10の制御装置20においては、電子制御ユニット21が、例えば、図示しない報知手段(具体的には、ユーザに向けた表示パネルやスピーカ等)を利用して、ユーザに「バッテリを充電してください。」や「バッテリ残量が少ないため、画像を表示できません。」等のアラートを出力する。
【0040】
そして、本装置20の電子制御ユニット21は、SOCの大きさ(%)が所定のSOCrの大きさ(%)以下である表示装置10を特定してマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成に参加して画像(映像)を表示することを拒否すると、ステップS15に進む。そして、電子制御ユニット21は、表示制御プログラムの実行を一旦終了し、短い時間の経過後、再び、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
【0041】
以上の説明からも理解できるように、上記第1実施形態によれば、制御装置20(本装置20)の電子制御ユニット21は、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置10のうち、バッテリ12のSOCの大きさ(%)が予め設定された所定のSOCrの大きさ(%)以下である表示装置10の表示部11がマルチディスプレイ画面上にて画像を表示することを禁止し、バッテリ12のSOCの大きさ(%)が予め設定された所定のSOCrの大きさ(%)よりも大きい表示装置10の表示部11のみでマルチディスプレイの画面上にて画像を表示させることができる。このように、バッテリ12のSOCすなわち供給可能な電力量の大きさを判定しておき、SOCの大きさの小さい表示装置10の表示部11がマルチディスプレイ画面上にて画像を表示することを禁止する(排除する)ことによって、マルチディスプレイ画面上にて画像や映像を表示しているときに、表示装置11に設けられたバッテリ12のSOCが著しく低下してマルチディスプレイの一部の画像を表示することができなくなかったり、或いは、バッテリ12に過放電が生じるといった不具合を未然に防止することができる。従って、例えば、マルチディスプレイ画面上に画像や映像を安定して表示させることができる。
【0042】
又、表示装置10の表示部11を車両の外板の外表面上に設置(貼付)し、車両全体があたかも表示装置10の表示部11であるかのように構成することにより、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち表示装置10の表示部11が極めて容易に大規模なマルチディスプレイの画面を構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち表示装置10の表示部11の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大規模かつ高精細なマルチディスプレイの画面を容易に構成することができる。
【0043】
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、本装置20の電子制御ユニット21がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する各表示装置10(車両)について、それぞれに搭載されているバッテリ12のSOCの大きさを事前に判定しておき、所定のSOCrの大きさよりも大きなSOCの大きさを有するバッテリ12から電力の供給を受ける表示装置10のみがマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成するように実施した。すなわち、上記第1実施形態においては、本装置20の電子制御ユニット21がマルチディスプレイ画面に画像(映像)を表示しているときに、バッテリ12のSOCが著しく低下することによって、画面の一部の輝度が低下したり、画像(映像)が急に表示されなくなったり等、表示が安定しない或いは見栄えが悪化したりすることを未然に防止するために、所定のSOCr以下となっているSOCの大きさを有するバッテリ12から電力の供給を受ける表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成することを拒否する(禁止する)ように実施した。
【0044】
しかし、画像(映像)の表示開始時点においては、バッテリ12のSOCが十分であっても、表示時間やバッテリ12の個体差等により、一部のバッテリ12のSOCの大きさが他のバッテリ12のSOCの大きさに比して小さくなる状況が生じ得る。この場合、上記第1実施形態のように、バッテリ12のSOCの大きさが所定のSOCrの大きさ未満となった時点でこのバッテリ12から電力の供給を受けている表示装置10をマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)の構成から除外することも可能であるが、表示部11によるバッテリ12の消費電力を抑制する、具体的には、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10の輝度を全体的に低下させることにより、画面の一部の輝度が低下したり、画像(映像)が急に表示されなくなったり等、表示が安定しない或いは見栄えが悪化したりすることを防止することができる。以下、この第2実施形態を詳細に説明するが、上記第1実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、図3に概略的に示したように、N台の表示装置10(車両)が連携して、表示装置10_1,10_2,…,10_N−1、10_Nによるマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)が構成されている状況を想定する。そして、この第2実施形態においても、例えば、図3に示すように構成される画面左上に位置する表示装置10_1(車両)が代表として選択されるものとし、この表示装置10_1に設けられている制御装置20(本装置20)が他の表示装置10_2,…,10_N−1、10_Nの表示作動を制御してマルチディスプレイ画面に画像(映像)を表示させるものとする。
【0046】
そして、この第2実施形態においては、代表として表示装置10_1(車両)が選択されると、この表示装置10_1の制御装置20(本装置20)における電子制御ユニット21は、図5に示す表示制御プログラムの実行を開始する。すなわち、電子制御ユニット21は、図5に示すフローチャートにおけるステップS30にて表示制御プログラムの実行を開始し、続くステップS31にて、自身の表示装置10_1及び他の表示装置10_2,…,10_Nからそれぞれに搭載されたバッテリ12のSOCを取得する。すなわち、本装置20の電子制御ユニット21は、充電状態検出センサ14から出力されるSOC情報を取得する。そして、電子制御ユニット21は、取得した自身の表示装置10_1に搭載されたバッテリ12のSOC情報を記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。
【0047】
又、本装置20の電子制御ユニット21が、通信ユニット22を介して、他の表示装置10_2,…,10_N(車両)にSOC情報を要求する要求情報を送信することにより、他の表示装置10_2,…,10_Nにおける制御装置20の電子制御ユニット21が、それぞれ、充電状態検出センサ14によって検出されたSOCを表すSOC情報を順番情報とともに通信ユニット22を介して表示装置10_1の本装置20に送信する。これにより、本装置20の電子制御ユニット21においては、他の表示装置10_2,…,10_Nから送信されたSOC情報及び順番情報を通信ユニット22を介して受信し、この受信したSOC情報及び順番情報を互いに関連付けてそれぞれ記憶ユニット23の所定記憶位置に検索可能に記憶する。このように、電子制御ユニット21は、SOC情報すなわち同情報によって表されるSOCを取得すると、ステップS32に進む。
【0048】
ステップS32においては、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS31にて自身の表示装置10_1から取得したSOC情報によって表されるSOCの大きさ及び他の表示装置10_2,…,10_Nから取得したそれぞれのSOC情報によって表されるSOCに基づき、全表示装置10_1,…,10_Nに搭載されたバッテリ12のいずれかのSOCの大きさが予め設定されている所定の電力量(或いは、第2の所定の電力量)としての所定のSOCsの大きさ未満となっているか否かを判定する。言い換えれば、本装置20の電子制御ユニット21は、マルチディスプレイ画面を構成する全表示装置10_1,…,10_Nに搭載されているそれぞれのバッテリ12のうち、SOCの大きさ(%)が所定のSOCsの大きさ(%)未満となっているバッテリ12が存在しているか否かを判定する。ここで、この第2実施形態においては、所定のSOCsの大きさは、第1実施形態において説明した所定のSOCrの大きさよりも大きく設定されている。
【0049】
具体的に、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS31にて記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶したSOC情報によって表される各表示装置10(車両)に搭載されているバッテリ12のSOCを取得し、それぞれのSOCの大きさと所定のSOCsの大きさとを比較する。そして、本装置20の電子制御ユニット21は、比較したSOCの大きさ(%)のうちで所定のSOCsの大きさ(%)未満となるものが存在するときには、ステップS32にて「Yes」と判定してステップS33に進む。一方、所定のSOCrの大きさ(%)未満となるSOCの大きさ(%)が存在しない、すなわち、比較したSOCの大きさ(%)が全て所定のSOCsの大きさ(%)以上であれば、電子制御ユニット21はステップS32にて「No」と判定してステップS34に進む。
【0050】
ステップS33においては、本装置20の電子制御ユニット21は、現在、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成している全表示装置10_1,…,10_N(車両)における表示部11の輝度を所定の輝度まで低下させる(変更する)。すなわち、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS32における判定処理に従い、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10(車両)に搭載されているバッテリ12からそれぞれの表示部11を作動(駆動)させるために供給される電力すなわち表示部11によるバッテリ12の消費電力を低減するために、輝度値情報を現在の輝度よりも低い輝度として予め設定された所定の輝度に書き換える。そして、本装置20の電子制御ユニット21は、通信ユニット22を介して、他の表示装置10_2,…,10_N(車両)に対して所定の輝度に書き換えた輝度値情報を送信する。これにより、他の表示装置10_2,…,10_N(車両)の制御装置20においては、それぞれの電子制御ユニット21が通信ユニット22を介して送信された輝度値情報を受信して取得し、記憶ユニット23の所定記憶位置に記憶する。
【0051】
そして、このように、マルチディスプレイ画面を構成する全ての表示装置10_1,…,10_N(車両)の各制御装置20が所定の輝度に書き換えられた輝度値情報を共有すると、各制御装置20の電子制御ユニット21が、それぞれ、輝度を低下させる輝度値情報に基づいて、表示部11の輝度を調節する。具体的には、各電子制御ユニット21は、表示部11の輝度を検出する輝度センサによる検出値に基づき、現在の輝度を所定の輝度まで低下させるために、バッテリ12から表示部11に供給されている電力を減少させる。これにより、表示部11によるバッテリ12の消費電力を適切に低減させることができ、バッテリ12のSOCの大きさが、例えば、上記第1実施形態にて説明した所定のSOCrの大きさ以下となるまで急激に低下することを抑制することができる。従って、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10_1,…,10_N(車両)の輝度を全体的に低下させることにより、画面の一部の輝度が低下したり、画像(映像)が急に表示されなくなったり等、表示が安定しない或いは見栄えが悪化したりすることを防止することができる。
【0052】
そして、前記ステップS33におけるステップ処理後又は前記ステップS32における判定処理によって「No」と判定すると、本装置20の電子制御ユニット21は、ステップS34に進む。この場合、前記ステップS33におけるステップ処理後においては、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10_1,…,10_N(車両)の輝度を全体的に低下させて表示制御プログラムの実行を一旦終了し、短い時間の経過後、再び、ステップS30にて同プログラムの実行を開始する。
【0053】
一方、前記ステップS32における判定処理にて「No」と判定した場合においては、比較したSOCの大きさ(%)が全て所定のSOCsの大きさ(%)以上である。これにより、この場合においては、各バッテリ12は、未だ、充分に表示部11に電力を供給することができ、マルチディスプレイ画面全体として、任意の画像、映像、メッセージ等を高品位に表示することができる状況である。従って、本装置20の電子制御ユニット21は、前記ステップS32における判定処理にて「No」と判定する場合には、全表示装置10_1,…,10_N(車両)が共有する輝度値情報を書き換えることなく、言い換えれば、マルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成する全表示装置10_1,…,10_N(車両)の輝度を全体的に低下させることなく、表示制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、本装置20の電子制御ユニット21は、短い時間の経過後、再び、ステップS30にて同プログラムの実行を開始する。
【0054】
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によれば、制御装置20(本装置20)の電子制御ユニット21は、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置10のうちのいずれかに設けられたバッテリ12のSOCの大きさが予め設定された所定のSOCs(より具体的には、SOCrの大きさよりも大きなSOCs)の大きさ未満となったときに、マルチディスプレイ画面を構成する表示装置10の表示部11の輝度値(輝度)を所定の輝度値まで低下させる(低い輝度となるように変更する)ことができる。これにより、バッテリ12から表示部11に供給される電力量、言い換えれば、表示部11によって消費されるバッテリ12の電力量を抑えることができ、表示装置10に設けられたバッテリ12のSOCが著しく低下してマルチディスプレイの一部の画像を表示することができなくなかったり、或いは、バッテリ12に過放電が生じるといった不具合を効果的に防止することができる。従って、例えば、マルチディスプレイ画面上に画像や映像を安定して表示させることができ、又、途中で画像や映像が急に表示されなくなることがないため見栄えの悪化を最小限に抑えることができる。
【0055】
本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、上記各実施形態においては、薄板状とされた周知の自発光型表示パネルや透過光型表示パネル等からなる表示部11を車両の外板の外表面上に設置(貼付)し、車両全体があたかも表示装置10の表示部11であるかのように実施した。これにより、例えば、駐車場に車両を並べる(駐車する)ことによって、車両すなわち表示装置10がマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成することができるように実施した。この場合、表示装置10が車両自体であるため、例えば、大規模な駐車場に車両を並べる(駐車する)ことにより、極めて容易に大規模なマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成することができる。又、並べる(駐車する)車両すなわち表示装置10の数を増加させることにより、所謂、表示における解像度が向上することになり、大規模かつ高精細なマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を容易に構成することができる。
【0057】
ところで、バッテリ12を搭載した表示装置10としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末やノートパソコン等を採用することができる。これらを採用する場合であっても、表示装置10を複数並べることによってマルチディスプレイ(マルチディスプレイ画面)を構成することができ、このとき、上記各実施形態と同様に、代表として選択された表示装置10の制御装置20が図4又は図5に示した表示制御プログラムを実行することによって、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
又、上記各実施形態においては、薄板状の表示部11を車両の外板の外表面上に貼付するように設けて実施した。この場合、例えば、車両の前後左右及びルーフに、周知の自発光型表示パネル(例えば、プラズマ表示パネルや有機EL表示パネル等)や透過光型表示パネル(例えば、バックライト有する液晶表示パネル等)からなり車両のバッテリから電力が供給される所謂筐体を有するディスプレイ装置を設けて実施可能であることは言うまでもない。この場合であっても、上記各実施形態と同様に、代表として選択された表示装置10の制御装置20が図4又は図5に示した表示制御プログラムを実行することによって、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
更に、上記各実施形態においては、表示装置10に対して制御装置20を一体的に設けて実施した。しかし、表示装置10に対して制御装置20を一体的に設けることに限定されるものではなく、表示装置10と制御装置20とを別体として構成して実施可能であることは言うまでもない。そして、このように、表示装置10と制御装置20とを別体として設けて実施する場合には、例えば、1つの制御装置20が複数の表示装置10の表示作動を制御するように実施することも可能である。すなわち、1つの制御装置20における電子制御ユニット21が複数の表示装置10の表示部11の作動を制御したり、各表示装置10に搭載されているバッテリ12のSOC(バッテリ残量)を把握したりして実施することが可能である。このように、表示装置10と制御装置20とを別体として設けて実施する場合であっても、制御装置20が上記各実施形態と同様に図4又は図5に示した表示制御プログラムを実行することによって、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
10…表示装置、11…表示部、12…バッテリ、13…照度センサ、14…充電状態検出センサ、20…制御装置、21…電子制御ユニット、22…通信ユニット、23…記憶ユニット、24…GPSユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイにおける画像の表示を制御する制御手段を備えた表示装置の制御装置において、
前記複数の表示装置には、前記マルチディスプレイの画面を構成して画像を表示する表示部に対して電力を供給するバッテリがそれぞれ設けられており、
前記制御手段は、
前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを取得し、
前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置のうち、前記取得した前記バッテリの供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさよりも大きいバッテリの設けられた表示装置の表示部には前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示させ、前記取得した前記バッテリの供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量の大きさ以下のバッテリの設けられた表示装置の表示部には前記マルチディスプレイの画面上にて画像を表示させないことを特徴とする表示装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載した表示装置の制御装置において、
前記制御手段は、更に、
前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記取得した供給可能な電力量の大きさが前記所定の電力量よりも大きな電力量に予め設定された第2の所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更することを特徴とする表示装置の制御装置。
【請求項3】
画像を表示する複数の表示装置によって構成されるマルチディスプレイにおける画像の表示を制御する制御手段を備えた表示装置の制御装置において、
前記複数の表示装置には、前記マルチディスプレイの画面を構成して画像を表示する表示部に対して電力を供給するバッテリがそれぞれ設けられており、
前記制御手段は、
前記複数の表示装置に設けられたそれぞれの前記バッテリの供給可能な電力量の大きさを取得し、
前記マルチディスプレイを構成する前記複数の表示装置にそれぞれ設けられたバッテリのうちのいずれかのバッテリの前記取得した供給可能な電力量の大きさが予め設定された所定の電力量の大きさ未満となっているとき、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記複数の表示装置のそれぞれの前記表示部の輝度を予め設定された所定の低い輝度に変更することを特徴とする表示装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した表示装置の制御装置において、
前記マルチディスプレイを構成する前記表示装置が車両に搭載されており、前記マルチディスプレイの画面を構成する前記表示部が前記車両の外板の外表面上に設けられたことを特徴とする表示装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64922(P2013−64922A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204378(P2011−204378)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】