説明

表示装置並びに発光素子の製造方法

【課題】 見る角度によって発光の輝度が変わらない立体情報表示装置の実現。
【解決手段】 3次元情報表示装置は、発光ユニット、発光制御装置(ドライバー)、表示制御装置、CPU、メモリを含む。発光ユニットは、3次元に配置された多数の発光素子によって構成される。発光素子は、有機EL(OLED : Organic Light Emitting Diode)薄膜で構成され、赤色、緑色、青色のそれぞれインコヒレントな(干渉性のない)光を発光する。その構造は各色のOLEDと透明電極が重ねられている。発光素子の表面は視点によらず均一な輝度を確保するため球形もしくは球の一部の形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元に配置された多数の発光素子の中から適当な発光素子を発光させることによって3次元形状を表現する3次元情報表示装置並びにその発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
描画の手法として3次元描画がさまざまな場面で用いられるようになってきている。多くの場合、視差等を利用して、左右の視覚に入力する2次元平面画像に僅かな角度を違えて表示し、一種の錯視によって立体感を認知させる方法が採られている。固定した位置から眺める観察者に2次元平面画像に対して立体感を感じさせる立体映画や立体TV等の映像技術である。この方法では、眼鏡等の特別な用具を用いることを強い、観察者に生理的な疲労感を与えることがある。
3次元描画された像を観察者が像の周囲を移動し、異なった角度から観察しても常にその角度からの立体像を視覚できる電子描画の試みがなされている。空中に立体像を形成する立体ホログラムの手法がその1つであるが、この方法は大がかりの仕掛けを必要とする。
特許公報1には、固体表示装置による立体映像表示装置が開示されている。この立体映像表示装置は、三次元ディスプレイユニットとディスプレイユニット内に現れる映像を表示制御する映像表示制御装置とからなる。ディスプレイユニットは、前後に発光表示する平板状の表示パネルを所定の間隔で複数枚配置して全体の発光体が立方体を形成するように構成されている。映像表示制御装置は表示駆動部を有し、表示駆動部は、XYドライバーと、Zドライバーとからなる。XYドライバーは表示制御信号を基に表示パネル上の発光体をXY軸方向で選択駆動し、Zドライバーは、表示パネルをZ軸方向に選択駆動する。表示点の集合及び表示点の変化が3次元の動的な映像描画を行うものである。この立体映像表示装置は、街中や屋外におけるイルミネーション等への利用が想定されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−016113号公報(第3−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公知文献に記載された立体映像表示装置では、各発光体が次のような構成をしている。それぞれが透明樹脂モールドでパッケージされた3色の発光ダイオード(LED)素子を各々3つづつ計9つのLEDを有している。そして、9つのLEDを平面に格子状に配列し、配列したLEDのユニットを光散乱体のドームで覆って観察者からは1つの輝点として見えるように構成している。従って、1つの輝点の直径は数cmの大きさとなる。この輝点をXYZ3軸方向に立方格子状に多数配列して表示ユニット全体を構成している。
この立体映像表示の表示ユニットは、輝点のサイズが上記のように大きいために、輝点の数を増やせば全体の表示サイズが長大となる。また、輝点の構成から前面に位置する発光しない輝点は、その背後の輝点からの光を遮るため、表示効率を落とし、立体表示の効果を妨げる。このため、表示性能は、せいぜい仕掛け花火や電飾による立体形状の模擬的な表示程度の粗い表示品質であって、自然の映像を表現可能なほど精細度高く表示を行うことは困難である。
本発明は、このような従来の立体表示装置のもつ難点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、3次元に配置された多数の発光素子によって描画され、精細度が高く、かつ見る角度によって輝度の変化が少ない3次元情報表示装置ならびに、表示パネル技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置であって、発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする。
また、本発明の表示装置は、2次元に発光素子を配列した表示パネルを3次元に多層に配置し、発光素子を電気的に選択駆動して3次元形状を描画する表示装置であって、発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする。
また、本発明の表示装置は、曲面を成して2次元に発光素子を配列した表示パネルを3次元に多層に配置し、発光素子を電気的に選択駆動して3次元形状を描画する表示装置であって、発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする。
発光の方位特性を表す指向性関数の大きさが緯度と経度に対してそれぞれほぼ180度に亘って一定であってよい。
発光の方位特性を表す指向性関数の大きさが緯度と経度に対してそれぞれほぼ360度に亘って一定であってよい。
発光素子は、平面より突出した突起部に配設されていてもよい。
発光素子は、平面より両面に突出した突起部に配設されていてもよい。
発光素子は、薄膜発光層を有し、薄膜発光層は基板に形成された突起部に設けられていてもよい。
薄膜発光層は、突起部の突出した表面に形成されていてもよい。
突起部は中空の突出部であり、薄膜発光層は、中空突出部の内面に形成されていてもよい。
基板は、可視光に対して透明であってもよい。
薄膜発光層は、有機EL薄膜であってもよい。
発光は、カラーRGB発光であり、有機EL薄膜は、各色を発光する異なる組成の薄膜であり、各層は透明電極によってそれぞれ挟まれて積層されていてもよい。
発光は、白色発光であり、薄膜発光層は、それぞれの色を発光する異なる組成の有機EL薄膜が積層された構成であり、発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有していてもよい。
発光は、白色発光であり、薄膜発光層は、白色発光する組成の有機EL薄膜であり、発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有していてもよい。
【0006】
また、本発明の発光素子の製造方法は、2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の発光素子の製造方法であって、可視光に対して透明で片方の主面に多数の突起部を有する基板を作製する工程と、突起部の突出した表面に、発光層と、発光層を駆動し、可視光に対して透明な透明電極とを形成する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の発光素子の製造方法は、2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の発光素子の製造方法であって、可視光に対して透明で両方の主面に多数の突起部を有する基板を作製する工程と、突起部の突出した表面に、発光層と、発光層を駆動し、可視光に対して透明な透明電極とを形成する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の発光素子の製造方法は、2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の発光素子の製造方法であって、可視光に対して透明な基板の主面に多数の中空の突起部を形成する工程と、突起部の突出した表面または中空の内面に、発光層と、発光層を駆動し、可視光に対して透明な電極とを形成する工程を含むことを特徴とする。
さらに、突起部が鏡映対称となるように基板を2枚貼り合わせる工程を含んでもよい。
発光層は、有機EL(Electro Luminescence)薄膜であってもよい。
発光は、カラーRGB発光であり、有機EL薄膜は、各色を発光する異なる組成の薄膜であり、各層は透明電極によってそれぞれ挟まれて積層されていてもよい。
発光は、白色発光であり、薄膜発光層は、それぞれの色を発光する異なる組成の有機EL薄膜が積層された構成であり、発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有していてもよい。
発光は、白色発光であり、薄膜発光層は、白色発光する組成の単一の有機EL薄膜であり、発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有していてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の表示装置並びに発光素子の製造方法は、2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して領域内にそれぞれ2次元または3次元の形状を描画する。加えて、発光素子は発光の指向性が無指向性の表示装置であるため、見る角度によって輝度の変化が少ない3次元情報表示装置ならびにその発光素子の製造方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願の3次元情報表示装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の3次元情報表示装置は、発光ユニット1、発光制御装置(ドライバー)2、表示制御装置3、CPU4、メモリ5を含む。
発光ユニット1は、3次元に配置された多数の発光素子によって構成される。表示制御装置3は、多数の発光素子の中から3次元形状を表示するのに適切な位置にある発光素子とその発光色を指定する。発光制御装置2は、発光すべき発光素子の発光色に対応する電極を駆動する。
発光ユニット1を構成する発光素子は、有機EL(OLED : Organic Light Emitting Diode)薄膜で構成され、赤色、緑色、青色のそれぞれインコヒーレントな(干渉性のない)光を発光することが可能である。その構造はSOLED(Stacked OLED)という方式を用いて各色のOLEDと透明電極が重ねられている。発光素子の表面は視点によらず均一な輝度を確保するため球形もしくは球の一部の形状を有している。
【0009】
本実施の形態の動作を説明する。
CPU4の処理によりメモリ5からデータバス6を介して表示制御装置3へ3次元形状の情報である座標と色の情報群が入力される。(ステップ1)
表示制御装置3は入力された情報を解析し、発光ユニット1を構成する発光素子のうち駆動する発光素子を決定する。(ステップ2)
また、表示制御装置3は色情報に基づいて発光素子の赤色、緑色、青色のそれぞれのOLEDに対していずれを駆動するかを決定する。(ステップ3)
発光制御装置2は表示制御装置3から入力された情報に基づいて発光素子を駆動し、赤色、緑色、青色の光を制御する。(ステップ4)
3次元に多数配置された発光素子100を擁する発光ユニット1と、これを制御する発光制御装置2、表示制御装置3、CPU4、メモリ5からなる3次元情報表示装置は、上記の動作によって立体形状を表示する。観察者は見る角度に応じた立体の形を認識することができる。図2は、10×10×10の発光素子を立方体で表し、視点A(左側面)、B(正面)、C(右側面)から見た時の視点の位置による発光素子の見え方の違いを表した図である。発光ユニットの視点Aから見て右から左へ2列目と5列目と9列目が異なる色で発光するように制御された場合を示す。視点Bからは、2列目の色のみが全面に見え、視点Aからは右側から2、5、9列の順の表示された縦線の並びが見え、視点Cからは左側から2、5、9列の順の表示された縦線の並びが見える。表示ユニットに対して視点Bの反対側からは、9列目の色のみが全面に見える。
この3次元情報表示装置の構成により、10×10×10の発光素子のうち任意の発光素子を発光させることによって、発光ユニットの3次元領域内に3次元像を浮き上がらせて描画することができる。観察者は発光ユニットを巡る任意の方向からの立体像を認識することができる。
[実施例1]
発光素子100の構成の第1の実施例について、図3を参照して説明する。
図3(A)は、1つの発光素子(画素)100の断面構造を示し、図3(B)は、発光素子の突起部での層構造を、図3(C)は、突起部間での層構造を示す。
図3(A)を参照すると、発光素子は、突起11を有する透明な基板10上に形成されている。突起部11は、基板表面に稠密に設けられている。突起の基板上の配列は、正方格子配列や市松模様配列、俵積み配列など適宜選ぶことができる。
突起部の形状は、半球状、円錐状、角錐状など適宜選ぶことができる。また、その平面形状も円、楕円、正方形、長方形、楕円など適宜選ぶことができる。基板は、必ずしも平板である必要はなくこのような基板は、ポリカーボネート等の透明高分子樹脂基板を用いることができる。突起部の成形も、基板の加熱成形やインジェクション成形等の光ディスク基板の製造においてすでに確立している製法を用いることができる。基板は、必ずしも平板である必要はなく円筒面や球面を含む任意の形状の曲面を形成していてもよい。曲面へのパターン形成には、インクジェット技術を用いて行ってもよい。
突起部11の表面には、下部の透明電極(ITO)12と上部の透明電極15に挟まれて積層された有機ELの発光層20が設けられている。突起部間では、下部の透明電極12と上部の透明電極15に挟まれて透明電極と誘電体絶縁膜が積層された配線層16が設けられている。
図3(B)の突起部での層構造を参照すると、発光素子は、基板突起部11の表面に下部透明電極12、赤色発光の有機EL層21、第1の中間の透明電極13、緑色発光の有機EL層22、第2の中間の透明電極14、青色発光の有機EL層23、上部透明電極15がこの順序で積層されて構成されている。3色の有機EL層を積層して任意のカラー色を発光させる技術は開発されていて、例えば特開2000−133449号公報に開示されている。また、有機EL材料についても高発光効率と長寿命を達成した各色の材料は開発されており、現在もさらに高性能化を目指した開発が進められている。
図3(C)の突起部間での層構造を参照すると、発光素子間では、透明電極12、13、14、15の間を透明な誘電体絶縁膜17が積層されて配線の層が形成されている。
【0010】
本実施例の発光素子(画素)は、基板に突起部を設け、その上に3色の発光層を積層して形成されている。このため、発光素子の発光指向性は無指向性に近い。この発光素子を用いた発光ユニットは、斜めから発光ユニットを観察した場合でも、各画素の発光輝度の低下が起こり難く、視認性に優れる。また、画素の稠密度を高め、画素数の増大化を図ることができる。
また、図2の3次元の情報表示ユニットでの使用だけではなく、2次元表示に用いた場合でも視野角が広くまた曲面表示が可能なため、携帯端末やTVに限らず屋外を含めた各種のディスプレイに用いるのに好適である。
【0011】
[実施例2]
発光素子100の構成の第2の実施例について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、1つの発光素子(画素)100の構造を示し、図4(B)は、発光素子の突起部での層構造を示す。
図4(A)を参照すると、発光素子は、突起11を有する透明な基板10上に形成されている。突起部11は、ここでは、かまぼこ形状を有し、基板表面に稠密に設けられている。突起の基板上の配列、突起部の錐形状、またその平面形状も、実施例1と同様適宜選ぶことができる。基板の材質、突起部の成形法も実施例1と同様である。また、基板は、実施例1と同様必ずしも平板である必要はなく曲面を形成していてもよい。曲面へのパターン形成には、インクジェット技術等を用いて行ってもよい。
突起部11の突出した表面には、下部の透明電極(ITO)12と上部の透明電極15に挟まれて積層された白色発光有機EL層60が設けられている。15は、かまぼこの軸方向に3分割されている。各上部の透明電極の上には赤色透過フィルタ30、緑色透過フィルタ40、青色透過フィルタ50をそれぞれ設けてある。
図4(B)の突起部での層構造を参照すると、発光素子は、基板突起部11の表面に下部透明電極12と、白色発光有機EL層60と、上部透明電極15と、白色光を色分解するフィルタ層が積層されている。白色発光有機EL層60は、ここでは赤色発光の有機EL層21、緑色発光の有機EL層22、青色発光の有機EL層23が電極を挟まずに積層して構成されている。白色光を色分解するフィルタ層は、赤色透過フィルタ30と、緑色透過フィルタ40と、青色透過フィルタ50が、かまぼこ状の突起部の分割された上部透明電極の上にそれぞれ配設されている。
各上部透明電極15と下部透明電極12との間で電気的に駆動すると電極間の白色発光有機EL層が発光し、対応するフィルタによって透過光色が選択される。フィルタは、図4では、上面だけに設けてしめしているが、上下両面に設けてもよい。
3色の有機EL層を電極層を挟まずに積層して白色を発光させる技術は開発されている。また、有機EL材料を選ぶことによって、単一のEL材料による発光層で白色光を発光させることもできる。
【0012】
本実施例の発光素子(画素)は、基板に突起部を設け、突出面上に白色の発光層を積層し、さらに白色光を色分解するフィルタが形成されている。このため、この発光素子を用いた発光ユニットは、斜めから発光ユニットを観察した場合でも、視認される各画素の発光輝度の低下が起こり難く、視認性に優れる。また、色フィルタによる色鮮明度の高い表示を得ることができる。
また、図2の3次元の情報表示ユニットでの使用だけではなく、2次元表示に用いた場合でも視野角が広くまた曲面表示が可能なため、携帯端末やTVに限らず屋外を含めた各種のディスプレイに用いるのに好適である。
【0013】
[実施例3]
発光素子100の構成の第3の実施例について、図5を参照して説明する。
図5は、1つの発光素子(画素)100の突起部での層断面構造を示す。図3(A)の実施例1の基板突起部11は中実突起であるのに対して、図5の実施例3では、基板の突起部が中空部18を有した中空突起である。突起面上に図3の実施例1と同じ積層構造を持っている。実施例2の白色発光有機EL層を設けることもできる。
本実施例の発光素子(画素)は、突起部が中空であるため、基板の厚さの薄いフレキシブルな基板に対して好都合な構造である。
【0014】
[実施例4]
発光素子100の構成の第4の実施例について、図6を参照して説明する。
図6は、1つの発光素子(画素)100の断面構造を示し、発光素子の突起部での層構造を示す。中実突起を透明基板の両面に設けた場合の構造である。突起凸面上に図3の実施例1と同じ積層構造を持っている。
この形態は、図7に示すように、片面に突起をもった基板を透明に接着する工法を用いて背中合わせに貼り合わすことによっても実現できる。
また、この形態は、実施例3の図5に示した基板が中空突起を有し、突起部凸面上に発光層構造をもった発光素子の場合も、図8に示すように、可能である。
図6〜7のいずれの場合も、発光層には、実施例2の白色発光有機EL層を設けることもできる。
本実施例の発光素子(画素)は、擬似的に無指向性の発光輝点を実現できる。このため、この発光素子を用いた発光ユニットは、あらゆる角度から発光ユニットを観察した場合でも、視認される各画素の発光輝度の低下が起こり難く、視認性に優れる。
【0015】
[実施例5]
発光素子100の構成の第5の実施例について、図9を参照して説明する。
図9は、1つの発光素子(画素)100の断面構造を示し、発光素子の突起部での層構造を示す。中空突起を透明基板の片面に設け、突起凹面上に図3の実施例1と同じ積層構造を持った構成である。
また、片面に突起をもった2つの基板を透明に接着する工法を用いて鏡映対称となるように貼り合わすことによって図7に示したのと同様の球形発光素子が実現できる。構成を図10に示す。
図9、10のいずれの場合も、発光層には、実施例2の白色発光有機EL層を設けることもできる。
本実施例の発光素子(画素)は、基板に中空突起部を設け、その凹面上に発光層を積層して形成されている。このため、この発光素子を用いた発光ユニットは、実施例1と同様、斜めから発光ユニットを観察した場合でも、各画素の発光輝度の低下が起こり難く、視認性に優れる。また、画素の稠密度を高め、画素数の増大化を図ることができる。
また基板の貼り合わせによって、擬似的に無指向性の発光輝点を実現できる。このため、この発光素子を用いた発光ユニットは、あらゆる角度からも視認性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の3次元情報表示装置の構成ブロックダイアグラム示す図である。
【図2】本発明の3次元情報表示装置を構成する表示ユニットの見え方を説明する図である。
【図3】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第1の実施例の構造を説明する図である。
【図4】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第2の実施例の構造を説明する図である。
【図5】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第3の実施例の構造を説明する図である。
【図6】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第4の実施例の構造を説明する図である。
【図7】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第4の実施例の別なる構造を説明する図である。
【図8】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第4の実施例のさらに別なる構造を説明する図である。
【図9】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第5の実施例の構造を説明する図である。
【図10】本発明の表示ユニットを構成する表示素子の第5の実施例の別なる構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
1 発光ユニット
2 発光制御装置
3 表示制御装置
4 CPU
5 メモリ
6 データバス
10 基板
11 突起
12 透明電極
13 透明電極
14 透明電極
15 透明電極
16 配線層
18 中空部
20 発光層
21 赤色発光の有機EL層
22 緑色発光の有機EL層
23 青色発光の有機EL層
30 赤色透過フィルタ
40 緑色透過フィルタ
50 青色透過フィルタ
60 白色発光有機EL層
100 発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して前記領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置であって、
前記発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
2次元に発光素子を配列した表示パネルを3次元に多層に配置し、前記発光素子を電気的に選択駆動して3次元形状を描画する表示装置であって、
前記発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
曲面を成して2次元に発光素子を配列した表示パネルを3次元に多層に配置し、前記発光素子を電気的に選択駆動して3次元形状を描画する表示装置であって、
前記発光素子は、全方位に亘って発光することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記発光の方位特性を表す指向性関数の大きさが緯度と経度に対してそれぞれほぼ180度に亘って一定であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光の方位特性を表す指向性関数の大きさが緯度と経度に対してそれぞれほぼ360度に亘って一定であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光素子は、平面より突出した突起部に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子は、平面より両面に突出した突起部に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光素子は、薄膜発光層を有し、前記薄膜発光層は基板に形成された突起部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記薄膜発光層は、前記突起部の突出した表面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記突起部は中空の突出部であり、前記薄膜発光層は、前記中空突出部の内面に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記基板は、可視光に対して透明であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記薄膜発光層は、有機EL(Electro Luminescence)薄膜であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項13】
前記発光は、カラーRGB発光であり、有機EL薄膜は、各色を発光する異なる組成の薄膜であり、前記各層は透明電極によってそれぞれ挟まれて積層されていることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光は、白色発光であり、前記薄膜発光層は、それぞれの色を発光する異なる組成の有機EL薄膜が積層された構成であり、前記発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、前記それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有することを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
前記発光は、白色発光であり、前記薄膜発光層は、白色発光する組成の有機EL薄膜であり、前記発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、前記それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有することを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項16】
2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して前記領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の前記発光素子の製造方法であって、
可視光に対して透明で片方の主面に多数の突起部を有する基板を作製する工程と、
前記突起部の突出した表面に、発光層と、前記発光層を前記駆動し、前記可視光に対して透明な透明電極とを形成する工程、
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項17】
2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して前記領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の前記発光素子の製造方法であって、
可視光に対して透明で両方の主面に多数の突起部を有する基板を作製する工程と、
前記突起部の突出した表面に、発光層と、前記発光層を前記駆動し、前記可視光に対して透明な透明電極とを形成する工程、
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項18】
2次元または3次元空間領域に多数配置した発光素子を電気的に選択駆動して前記領域内にそれぞれ2次元または3次元形状を描画する表示装置の前記発光素子の製造方法であって、
可視光に対して透明な基板の主面に多数の中空の突起部を形成する工程と、
前記突起部の突出した表面または中空の内面に、発光層と、前記発光層を前記駆動し、前記可視光に対して透明な電極とを形成する工程、
を含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記突起部が鏡映対称となるように前記基板を2枚貼り合わせる工程、
を含むことを特徴とする請求項16または18のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記発光層は、有機EL(Electro Luminescence)薄膜であることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の表示方法。
【請求項21】
前記発光は、カラーRGB発光であり、前記有機EL薄膜は、前記各色を発光する異なる組成の薄膜であり、前記各層は前記透明電極によってそれぞれ挟まれて積層されていることを特徴とする請求項20に記載の発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記発光は、白色発光であり、前記薄膜発光層は、それぞれの色を発光する異なる組成の有機EL薄膜が積層された構成であり、前記発光層は電気的に独立に駆動できる前記透明電極によって挟まれて積層されており、前記それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有することを特徴とする請求項20に記載の発光素子の製造方法。
【請求項23】
前記発光は、白色発光であり、前記薄膜発光層は、白色発光する組成の単一の有機EL薄膜であり、前記発光層は電気的に独立に駆動できる透明電極によって挟まれて積層されており、前記それぞれの透明電極は、赤色または緑色または青色の何れかを透過する色フィルタを有することを特徴とする請求項20に記載の発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−267390(P2006−267390A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83824(P2005−83824)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】