説明

表示装置及びその制御方法

【課題】複数のユーザが画像を視認している場合であっても、画像の画質が低下するのを抑制することができる表示装置を提供すること。
【解決手段】光を発する光源101と、光源101からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域121を有する光偏向器102と、光偏向器102からの光によって画像を形成する液晶パネル103と、一又は複数のユーザ106の右目106a及び左目106bの総数を検出し、検出した右目106a及び左目106bの総数に基づいて光偏向器102の動作を制御する制御部105と、を備える。制御部105は、検出した右目106a及び左目106bの総数に基づいて、偏向領域121を複数の分割偏向領域121a,121bに分割し、複数の分割偏向領域121a,121bにおいて光源101からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を自在に偏向することができる光偏向器を用いた表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示する表示装置の一つに、液晶表示装置がある。液晶表示装置は、空間変調素子としての液晶パネルと、液晶パネルの背面に向けて光を照射する面状の光源(バックライト)と、を備えている。液晶パネルを透過する光が空間変調されることにより、液晶パネルにおいて画像が形成される。
【0003】
液晶表示装置で表示される画像の臨場感をより向上させるために、3D(Three Dimensions)画像を表示可能な3Dディスプレイの開発が進められている。この3Dディスプレイでは、ユーザの左右の目にそれぞれ異なる画像を見せて視差を与えることにより、ユーザに3D画像を視認させることができる。
【0004】
例えば、ユーザが特殊な光学作用を有する専用のメガネを掛けることにより、3D画像を視認することができるメガネ式の3Dディスプレイが提案されている。しかしながら、このメガネ式の3Dディスプレイでは、ユーザが3D画像を視認しようとする度にメガネを掛けるのはユーザにとって煩わしく、利便性が良いとは言えない。そのため、近年では、メガネを掛けずに3D画像の視認が可能な、裸眼式の3Dディスプレイが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示された裸眼式の3Dディスプレイでは、特殊な形状を有する導光板の両側面にそれぞれ、右側光源及び左側光源が配置されている。右側光源及び左側光源は、交互に点灯される。右側光源が点灯した際には、右側光源からの光は導光板の一側面に入射され、導光板から出射した光は、ユーザの右目に集光される。左側光源が点灯した際には、左側光源からの光は導光板の他側面に入射され、導光板から出射した光は、ユーザの左目に集光される。右側光源が点灯している間に液晶パネルに右目用画像を表示させ、左側光源が点灯している間に液晶パネルに左目用画像を表示させることにより、ユーザは裸眼で3D画像を視認することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の3Dディスプレイでは、3D画像を視認するためには、ユーザの左右の目の位置はそれぞれ所定の位置に固定されている必要がある。ユーザの左右の目がそれぞれ上記所定の位置からずれた場合には、導光板からの光がユーザの左右の目に集光されないため、ユーザは3D画像を視認することができない。
【0007】
このような問題を解消するため、特許文献2に開示された裸眼式の3Dディスプレイが提案されている。この3Dディスプレイでは、光を自在に偏向することができる光偏向器が用いられる。光偏向器は、例えば、電圧の印加により液晶の屈折率が変調することを利用して光を偏向する。光偏向器に入射した光は、所定のタイミングにおいて、ユーザの右目に集光されるように偏向される。このタイミングに同期して、液晶パネルには右目用の画像が表示される。上記所定のタイミングの後に、光偏向器に入射した光は、ユーザの左目に集光されるように偏向される。このタイミングに同期して、液晶パネルには左目用の画像が表示される。液晶パネルに表示される画像が所定の周期で右目用の画像と左目用の画像とに交互に切り替えられることにより、ユーザは、液晶パネルに表示される画像を3D画像として認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2010−524047号公報
【特許文献2】特開平7−98439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の3Dディスプレイでは、液晶パネルを視認するユーザが複数存在する場合には、液晶パネルにおける画像のフレームの表示速度に対して、光偏向器における光の偏向速度が不足するおそれがある。これにより、液晶パネルに表示される画像の画質が低下するという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、その目的は、複数のユーザが画像を視認している場合であっても、画像の画質が低下するのを抑制することができる表示装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する表示装置であって、光を発する光源と、前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、前記光偏向器からの光によって前記画像を形成する表示パネルと、前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出し、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記一又は複数のユーザの各々の右目及び左目に交互に光が集光されるように前記光偏向器の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割し、前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向させる。
【0012】
なお、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表示装置では、複数のユーザが画像を視認している場合であっても、画像の画質が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置を示す図である。
【図2A】図2Aは、光源からの光が光偏向器により偏向される様子を模式的に示す斜視図である。
【図2B】図2Bは、偏向領域が第1の分割偏向領域及び第2の分割偏向領域に分割された状態を模式的に示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、複数の光偏向素子と複数の画素との配置関係を示す平面図である。
【図3B】図3Bは、複数の光偏向素子と複数の画素との配置関係を示す側面図である。
【図4】図4は、制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、3人のユーザが液晶パネルを視認している場合における、液晶パネルに表示される画像のフレームと光偏向器により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。
【図7A】図7Aは、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置において、偏向領域が第1の分割偏向領域及び第2の分割偏向領域に分割された状態を模式的に示す平面図である。
【図7B】図7Bは、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置において、偏向領域が第1の分割偏向領域及び第2の分割偏向領域に分割された状態を模式的に示す平面図である。
【図8】図8は、3人のユーザが液晶パネルを視認している場合における、液晶パネルに表示される画像のフレームと光偏向器により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置における制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、光偏向器により偏向された光の輝度分布を示す図である。
【図11】図11は、光偏向器により偏向された光がユーザの左目に適切に入射している状態を示す図である。
【図12A】図12Aは、光偏向器により偏向された光がユーザの左目に適切に入射していない状態を示す図である。
【図12B】図12Bは、光偏向器により偏向された光がユーザの左目に適切に入射していない状態を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置を示す図である。
【図14】図14は、光偏向器により光を偏向することが可能な範囲を概念的に示す図である。
【図15】図15は、ユーザの右目及び左目の各々が偏向可能範囲の内部に位置している状態を示す図である。
【図16】図16は、ユーザの左目が偏向可能範囲の外部に位置している状態を示す図である。
【図17】図17は、従来の液晶表示装置を示す図である。
【図18】図18は、2人のユーザが液晶パネルを視認している場合における、光偏向器による光の偏向制御を説明するための図である。
【図19】図19は、2人のユーザが液晶パネルを視認している場合における、液晶パネルに表示される画像のフレームと光偏向器により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。
【図20】図20は、3人のユーザが液晶パネルを視認している場合における、液晶パネルに表示される画像のフレームと光偏向器により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した液晶表示装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0016】
図17は、従来の液晶表示装置50を示す図である。図示の液晶表示装置50は、光源501、光偏向器502及び液晶パネル503を備えている。光偏向器502としては、例えば、電圧の印加により液晶の屈折率が変調することを利用して光を偏向する光偏向素子、或いは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーで構成される素子等が用いられる。
【0017】
光源501からの光は、所定の時間の間、図17中の実線の矢印505aで示すように、光偏向器502によりユーザ504の右目504aに対して偏向される。このタイミングで、液晶パネル503には右目用の画像が表示される。上記所定の時間が経過した後に、光源501からの光は、図17中の破線の矢印505bで示すように、光偏向器502によりユーザ504の左目504bに対して偏向される。このタイミングで、液晶パネル503には左目用の画像が表示される。このように、光偏向器502からの光をユーザ504の右目504a及び左目504bに時系列で交互に集光させることにより、ユーザ504は、液晶パネル503に表示される画像を3D画像として認識することができる。
【0018】
なお、液晶パネル503に表示される右目用の画像と左目用の画像とが同じ画像である場合には、ユーザ504は液晶パネル503に表示される画像を2D(Two Dimensions)画像として認識することができるが、ユーザ504以外の人は、液晶パネル503に表示される画像を視認することができない。この場合には、液晶表示装置50は、第三者により画像を覗き見されるのを防止するためのプライバシーディスプレイとして機能する。以下では、液晶表示装置50がプライバシーディスプレイとして機能する場合について説明する。
【0019】
図18は、2人のユーザ505及びユーザ506が液晶パネル503を視認している場合における、光偏向器502による光の偏向制御を説明するための図である。図18に示すように、2人のユーザ505及びユーザ506が液晶パネル503を視認している場合には、光源501からの光は、光偏向器502によりユーザ505の右目505a、ユーザ505の左目505b、ユーザ506の右目506a及びユーザ506の左目506bに対して、この順に繰り返し偏向される。
【0020】
図19は、2人のユーザA及びユーザBが液晶パネル503を視認している場合における、液晶パネル503に表示される画像のフレームと光偏向器502により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。図19に示すように、2人のユーザA及びユーザBが液晶パネル503を視認している場合には、光偏向器502により偏向された光が向けられる位置は、ユーザAの右目、ユーザAの左目、ユーザBの右目及びユーザBの左目の順に繰り返し切り替えられる。また、図19に示すように、液晶パネル503に表示される画像のフレームは、画像Aのフレーム、画像Bのフレーム及び画像Cのフレームの順に切り替えられる。
【0021】
画像Aのフレームが表示される期間T1では、光偏向器502により偏向された光がユーザA及びユーザBの各々の右目及び左目に対して向けられる。これにより、ユーザA及びユーザBの各々は、期間T1において画像Aを視認することができる。画像Bのフレームが表示される期間T2及び画像Cのフレームが表示される期間T3の各々においても同様に、光偏向器502により偏向された光がユーザA及びユーザBの各々の右目及び左目に対して向けられる。これにより、ユーザA及びユーザBの各々は、期間T2において画像Bを、期間T3において画像Cを視認することができる。
【0022】
しかしながら、液晶パネル503を視認するユーザの数が比較的多い場合には、次のような問題が生じる。図20は、3人のユーザA、ユーザB及びユーザCが液晶パネル503を視認している場合における、液晶パネル503に表示される画像のフレームと光偏向器502により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。図20に示すように、3人のユーザA、ユーザB及びユーザCが液晶パネル503を視認している場合には、光偏向器502により偏向された光が向けられる位置は、ユーザAの右目、ユーザAの左目、ユーザBの右目、ユーザBの左目、ユーザCの右目及びユーザCの左目の順に繰り返し切り替えられる。また、図20に示すように、液晶パネル503に表示される画像のフレームは、画像Aのフレーム、画像Bのフレーム及び画像Cのフレームの順に切り替えられる。
【0023】
画像Aのフレームが表示される期間T1では、光偏向器502により偏向された光は、ユーザA及びユーザBの各々の右目及び左目に対してのみ向けられ、ユーザCの右目及び左目に対しては向けられない。そのため、期間T1においては、ユーザA及びユーザBの各々は画像Aを視認することができるが、ユーザCは画像Aを視認することができない。同様に、画像Bのフレームが表示される期間T2においては、光偏向器502により偏向された光は、ユーザBの右目及び左目に対して向けられず、画像Cのフレームが表示される期間T3においては、光偏向器502により偏向された光は、ユーザAの右目及び左目に対して向けられない。そのため、期間T2においては、ユーザBは画像Bを視認することができず、期間T3においては、ユーザAは画像Cを視認することができない。
【0024】
このような問題が生じる原因としては、液晶パネル503を視認するユーザの数が比較的多い場合には、全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向するのに要する時間が増大するためである。ユーザの1つの目に向けて光を偏向するのに要する単位偏向時間をΔTとし、液晶パネル503を視認しているユーザの数をNとし、全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向するのに要する時間をT_ALLとしたとき、T_ALL=2×N×ΔTの関係式が成立する。液晶パネル503において画像のフレームが表示される表示時間をFrame_Tとしたとき、表示時間Frame_Tが時間T_ALLよりも短い場合に、上述したように画像を視認することができないユーザが発生してしまう。この場合には、液晶パネル503に表示される画像のフレームレートが低下するため、画像の画質の低下(例えば、画像のちらつき等)が生じるという問題が生じる。
【0025】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、画像を表示する表示装置であって、光を発する光源と、前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、前記光偏向器からの光によって前記画像を形成する表示パネルと、前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出し、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記一又は複数のユーザの各々の右目及び左目に交互に光が集光されるように前記光偏向器の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割し、前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向させる。
【0026】
本態様によれば、複数のユーザが画像を視認している場合であっても、画像の画質が低下するのを抑制することができる。
【0027】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記光偏向器が前記光源からの光を前記ユーザの1つの目に向けて偏向するのに要する単位偏向時間をΔTとし、前記表示パネルにおいて前記画像のフレームが表示される表示時間をFrame_Tとし、前記制御部により検出された前記右目及び左目の総数をNとし、前記複数の分割偏向領域の数をMとしたとき、前記制御部は、前記複数の分割偏向領域の数Mを、次の関係式、(N×ΔT)/M≦Frame_Tを満たすように設定するように構成してもよい。
【0028】
本態様によれば、表示時間Frame_Tの間に、検出した右目及び左目の全てに対して光を偏向することができる。
【0029】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記制御部は、前記表示時間Frame_Tの間に、前記一又は複数のユーザの各々の右目及び左目に向けて光が偏向されるように、前記複数の分割偏向領域の各々における光の偏向を制御するように構成してもよい。
【0030】
本態様によれば、表示時間Frame_Tの間に、検出した右目及び左目の全てに対して光を偏向することができる。
【0031】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記複数の分割偏向領域の各々は、インターレース状に配置された非連続な領域であるように構成してもよい。
【0032】
本態様によれば、偏向領域を複数の分割偏向領域に分割した場合であっても、ユーザにとって違和感の少ない画像の表示を行うことができる。
【0033】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記偏向領域には、光の偏向方向を制御可能な最小単位である光偏向素子が複数設けられ、前記複数の光偏向素子は、所定の方向に並べて配置され、前記表示パネルは、前記所定の方向に並べて配置された複数の画素を有しており、前記複数の光偏向素子の各々の前記所定の方向における大きさは、前記複数の画素の各々の前記所定の方向における大きさよりも小さいように構成してもよい。
【0034】
本態様によれば、全ての画素に対して複数の光偏向素子からの光を入射させることができ、いわゆる画素抜けの発生を抑制することができる。
【0035】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記制御部は、前記複数のユーザの中から特定のユーザを判定し、前記特定のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度が、前記特定のユーザ以外の他のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度よりも多くなるように、前記複数の分割偏向領域の各々における光の偏向を制御するように構成してもよい。
【0036】
本態様によれば、複数のユーザのうちの特定のユーザに対して、光偏向器により光源からの光を優先的に偏向することができる。
【0037】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記制御部は、前記偏向領域を第1の分割偏向領域及び第2の分割偏向領域に分割した際に、前記第1の分割偏向領域において前記光源からの光を前記ユーザの右目に向けて偏向させ、前記第2の分割偏向領域において前記光源からの光を前記ユーザの左目に向けて偏向させるように構成してもよい。
【0038】
本態様によれば、光の融像効果によってユーザに画像を認識させることができる。
【0039】
例えば、本発明の一態様に係る表示装置において、前記制御部は、検出した前記右目及び左目の総数が所定の数以下である場合には、前記偏向領域を前記複数の分割偏向領域に分割しないように構成してもよい。
【0040】
本態様によれば、比較的少人数のユーザが画像を視認している場合には、偏向領域を複数の分割偏向領域に分割することなく、光偏向器により光源からの光を少人数のユーザに対して偏向することができる。
【0041】
本発明の一態様に係る表示装置の制御方法は、光を発する光源と、前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、前記光偏向器からの光によって画像を形成する表示パネルと、を備える表示装置の制御方法であって、前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出するステップと、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割するステップと、前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向するステップと、を含む。
【0042】
本態様によれば、複数のユーザが画像を視認している場合であっても、画像の画質が低下するのを抑制することができる。
【0043】
なお、これらの全般的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0044】
(実施の形態)
以下、本発明の一態様に係る表示装置及びその制御方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0045】
(実施の形態1)
[液晶表示装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置10を示す図である。図示の液晶表示装置10(表示装置を構成する)は、光源101、光偏向器102、液晶パネル103(表示パネルを構成する)、一対のアイカメラ104a,104b及び制御部105を備えている。なお、液晶表示装置10は、例えば、裸眼式の3Dディスプレイとしての機能及びプライバシーディスプレイとしての機能を有するテレビジョンセットである。
【0046】
光源101は、面状に光を発する光源であり、光偏向器102の入射端面に対向して配置されている。光源101からの光は、光偏向器102の入射端面に入射する。光源101は、例えば、白色のLED(Light Emitting Diode)を平面状に多数配置することにより構成される。或いは、光源101は、例えば、赤色のLED、青色のLED及び緑色のLEDをそれぞれ平面状に多数配置することにより構成される。
【0047】
なお、図示しないが、光源101は、導光板を有するように構成することもできる。この場合には、光源101は、例えば、導光板と、導光板の一側面に配置されたLED、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)及びレーザ等とで構成される。
【0048】
光偏向器102は、その入射端面に入射した光を偏向させ、且つ、光の偏向方向を変調する機能を有している。図2Aは、光源101からの光が光偏向器102により偏向される様子を模式的に示す斜視図である。図2Aに示すように、光偏向器102は、光源101からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域121を有している。偏向領域121には、光の偏向方向を制御可能な最小単位である光偏向素子120がマトリクス状に複数配置されている(後述する図3A参照)。複数の光偏向素子120の各々は、電圧の印加により液晶の屈折率が変調することを利用して光を偏向する素子である。
【0049】
偏向領域121は、さらに、後述する制御部105によって複数の分割偏向領域に分割される。図2Aに示すように、偏向領域121が分割されていない状態では、光源101からの光は、図2A中の矢印123で示すように、偏向領域121に対して略垂直に入射する。偏向領域121に入射した光は、図2A中の矢印124で示すように、所定の位置(例えば、液晶パネル103に表示された画像を視認しているユーザ106の右目106a)に向けて偏向される。
【0050】
図2Bは、偏向領域121が第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bに分割された状態を模式的に示す斜視図である。例えば、偏向領域121が2つの分割偏向領域に分割される場合には、偏向領域121は、図2Bに示すように、偏向領域121の上半分の連続した領域である第1の分割偏向領域121aと、偏向領域121の下半分の連続した領域である第2の分割偏向領域121bとに分割される。光源101からの光は、図2B中の矢印125で示すように、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bの各々に対して略垂直に入射する。第1の分割偏向領域121aに入射した光は、図2B中の矢印126で示すように、第1の位置(例えば、ユーザ106の右目106a)に向けて偏向される。第2の分割偏向領域121bに入射した光は、図2B中の矢印127で示すように、上記第1の位置とは異なる第2の位置(例えば、ユーザ106とは異なるユーザの右目)に向けて偏向される。このように、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bの各々に入射した光は、互いに異なる位置に向けて同時に偏向されることが可能である。
【0051】
液晶パネル103は、光偏向器102の出射端面に対向して設けられている。液晶パネル103の表示領域には、複数の画素130がマトリクス状に配置されている(後述する図3A参照)。液晶パネル103には、光偏向器102の出射端面から出射した光によって画像が形成される。
【0052】
図3Aは、複数の光偏向素子120と複数の画素130との配置関係を示す平面図である。図3Bは、複数の光偏向素子120と複数の画素130との配置関係を示す側面図である。図3Aに示すように、複数の光偏向素子120及び複数の画素130はそれぞれ、図3Aにおける縦方向及び横方向(以下、これら2つの方向のいずれか一方を「所定の方向」という)にマトリクス状に配置されている。複数の光偏向素子120の各々の上記所定の方向における大きさW1は、複数の画素130の各々の上記所定の方向における大きさW2の約2分の1の大きさである。これにより、全ての画素130に対して複数の光偏向素子120からの光が入射するので、いわゆる画素抜けの発生を抑制することができる。
【0053】
一対のアイカメラ104a,104bはそれぞれ、液晶パネル103を視認しているユーザ106の右目106a及び左目106bを撮影する。一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号は、制御部105に送信される。
【0054】
制御部105は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、後述するように光偏向器102の動作を制御する。さらに、制御部105は、光源101の点灯状態を制御するとともに、液晶パネル103に表示される画像を制御する。
【0055】
図4は、制御部105の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部105は、検出部151、判定部152及び表示管理部153を有している。
【0056】
検出部151は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、液晶パネル103を視認している一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出する。例えば、図1に示すように、1人のユーザ106が液晶パネル103を視認している場合には、検出部151により検出される右目及び左目の総数は2個である。
【0057】
判定部152は、検出部151により検出された右目及び左目の総数に基づいて、偏向領域121を複数の分割偏向領域に分割する。判定部152の具体的な動作については後述する。
【0058】
表示管理部153は、判定部152により分割された複数の分割偏向領域の数に基づいて、光源101、光偏向器102及び液晶パネル103の各々の動作を制御する。
【0059】
[液晶表示装置の機能]
液晶表示装置10が裸眼式の3Dディスプレイとして機能する場合には、表示管理部153は、右目用の画像と左目用の画像とを時系列で交互に液晶パネル103に表示させる。また、表示管理部153は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、次のように光偏向器102における光の偏向制御を行う。
【0060】
光偏向器102は、所定の時間の間、光源101からの光をユーザ106の右目106aに向けて偏向させる。これにより、光偏向器102からの光は、図1中の実線の矢印107aで示すように、ユーザ106の右目106aに集光される。このタイミングで、液晶パネル103には右目用の画像が表示される。
【0061】
上記所定の時間が経過した後に、光偏向器102は、光源101からの光をユーザ106の左目106bに向けて偏向させる。これにより、光偏向器102からの光は、図1中の破線の矢印107bで示すように、ユーザ106の左目106bに集光される。このタイミングで、液晶パネル103には左目用の画像が表示される。
【0062】
以上のように、光偏向器102からの光をユーザ106の右目106a及び左目106bに時系列で交互に集光させることにより、ユーザ106は、液晶パネル103に表示される画像を3D画像として認識することができる。
【0063】
一方、液晶表示装置10がプライバシーディスプレイとして機能する場合には、表示管理部153は、液晶パネル103に表示される右目用の画像と左目用の画像とを同じ画像に設定する。これにより、ユーザ106は液晶パネル103に表示される画像を2D画像として認識することができるが、ユーザ106以外の人は、液晶パネル103に表示される画像を視認することができない。本実施の形態では、以下、液晶表示装置10がプライバシーディスプレイとして機能する場合について説明する。
【0064】
[液晶表示装置の制御方法]
以下、図5を参照しながら、複数のユーザが液晶パネル103を視認している場合における、液晶表示装置10の制御方法について説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置10の制御方法の流れを示すフローチャートである。なお、液晶表示装置10の制御が開始される段階において、偏向領域121が複数の分割偏向領域に分割されていない場合について説明する。
【0065】
まず、検出部151は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、液晶パネル103を視認している複数のユーザの右目及び左目の総数を検出する(S11)。例えば、3人のユーザが液晶パネル103を視認している場合には、検出部151により検出される右目及び左目の総数は6個である。
【0066】
なお、検出部151による右目及び左目の総数の検出方法としては、種々の方法を採用することができ、特定の方法には限定されない。例えば、検出部151は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に含まれる特徴量に基づいて、複数のユーザの各々の右目及び左目の形状を抽出することにより、右目及び左目の総数を検出することができる。或いは、検出部151は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に含まれる特徴量に基づいて、複数のユーザの各々の顔の輪郭を抽出することによって複数のユーザの顔の総数を検出した後に、顔の総数を2倍することにより右目及び左目の総数を検出することもできる。
【0067】
次に、判定部152は、検出部151により検出された右目及び左目の総数に基づいて、全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができるか否かを判定する(S12)。具体的には、判定部152は、次式1に基づいて、全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向するのに要する偏向時間と、液晶パネル103において画像のフレームが表示される表示時間との大小関係を判定する。
【0068】
N×ΔT>Frame_T (式1)
【0069】
上式1において、Nは、検出部151により検出された右目及び左目の総数であり、ΔTは、光偏向器102が光源101からの光をユーザの1つの目に向けて偏向するのに要する現在の単位偏向時間であり、Frame_Tは、液晶パネル103において画像のフレームが表示される表示時間である。なお、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔT及び表示時間Frame_Tに関するデータをそれぞれ保持している。本実施の形態では、表示管理部153は、複数の光偏向素子120の各々に印加する電圧を調節することにより、単位偏向時間ΔTを調節することができる。
【0070】
上式1が成立しない場合には(S12でYES)、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTを調節することなく、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができると判定する。なお、上式1が成立しない場合としては、例えば1〜2人程度のユーザが液晶パネル103を視認している場合が相当する。この場合には、表示管理部153は、現在の単位偏向時間ΔTを保持した状態で、且つ、偏向領域121を複数の分割偏向領域に分割しない状態で、上述したように光偏向器102における光の偏向制御を行う(S13)。
【0071】
一方、上式1が成立する場合には(S12でNO)、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTでは、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができないと判定する。なお、上式1が成立する場合としては、例えば3〜4人程度のユーザが液晶パネル103を視認している場合が相当する。この場合には、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTを調節することにより、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができるか否かを判定する(S14)。具体的には、判定部152は、次式2に基づいて、単位偏向時間ΔTを最小値に調節した場合において全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向するのに要する偏向時間と、液晶パネル103において画像のフレームが表示される表示時間Frame_Tとの大小関係を判定する。なお、単位偏向時間ΔTを最小値に調節することは、光偏向器102における光の偏向速度を最大値に調節することと同じ意味である。
【0072】
N×ΔT_MIN>Frame_T (式2)
【0073】
上式2において、ΔT_MINは、単位偏向時間の調整可能な範囲のうち最小値である。なお、単位偏向時間の最小値ΔT_MINは、例えば、あるユーザの右目及び左目に向けてそれぞれ光を偏向した際に、ユーザが画像を認識することができるために最低限必要な時間に設定される。
【0074】
上式2が成立しない場合には(S14でYES)、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTを最小値ΔT_MINに調節することにより、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができると判定する。この場合には、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTを減少させることにより、上式1が成立しないような単位偏向時間ΔT’(ΔT_MIN≦ΔT’<ΔT)を算出する(S15)。その後、表示管理部153は、現在の単位偏向時間ΔTを単位偏向時間ΔT’に減少させ、且つ、偏向領域121を複数の分割偏向領域に分割しない状態で、上述したように光偏向器102における光の偏向制御を行う(S13)。
【0075】
上式2が成立しない場合には(S14でNO)、判定部152は、現在の単位偏向時間ΔTを最小値ΔT_MINに調節した場合であっても、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光を偏向することができないと判定する。なお、上式2が成立しない場合としては、例えば5人以上のユーザが液晶パネル103を視認している場合が相当する。この場合には、判定部152は、検出部151により検出された右目及び左目の総数Nに基づいて、偏向領域121を複数の分割偏向領域に分割する(S16)。具体的には、判定部152は、次式3の関係式を満たすように、複数の分割偏向領域の数を設定する。
【0076】
(N×ΔT_MIN)/M≦Frame_T (式3)
【0077】
上式3において、Mは、複数の分割偏向領域の数である。
【0078】
例えば、表示時間Frame_Tが16msec、単位偏向時間の最小値ΔT_MINが4msec、検出された右目及び左目の総数Nが6個である場合には、上式3の関係式を満たすような複数の分割偏向領域の数Mは2個である。この場合には、偏向領域121は、2個の分割偏向領域、例えば図2Bに示すように、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bに分割される。その後、表示管理部153は、現在の単位偏向時間ΔTを最小値ΔT_MINに減少させ、且つ、複数の分割偏向領域の数Mを2個に設定した状態で、上述したように光偏向器102における光の偏向制御を行う(S13)。
【0079】
上述したように、偏向領域121が第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bに分割されることにより、表示管理部153は、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bにおいて光源101からの光を互いに異なる2つの位置に向けて同時に偏向することができる。従って、表示時間Frame_Tの間に、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bの各々において偏向された光を全てのユーザの各々の右目及び左目に対して入射することができる。
【0080】
なお、判定部152は、偏向領域121を複数の分割偏向領域に分割した後に、表示時間Frame_Tの間に全てのユーザの各々の右目及び左目に対して光が偏向されるように、複数の分割偏向領域の各々における偏向順序を決定する。なお、偏向順序とは、複数の位置の各々に向けて光を偏向する際の順序である。偏向順序については、特定の偏向順序に限定されないが、例えば、複数の位置1〜Nに対して複数の分割偏向領域1〜M(但し、2M=N)が存在する場合には、分割偏向領域1〜Mにおいて偏向された光がそれぞれ位置1〜Mに向けられた後に、位置M+1〜2Mに向けられるようにしてもよい。
【0081】
本実施の形態では、判定部152は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、複数のユーザの中から特定のユーザを判定する。その後、判定部152は、特定のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度が、特定のユーザ以外の他のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度よりも多くなるように、複数の分割偏向領域の各々における光の偏向を制御する。特定のユーザを判定する方法としては、例えば、液晶パネル103の中央に対応する位置に存在するユーザを特定のユーザとして判定する方法、或いは、予め登録された瞳の形状(例えば、液晶表示装置10の所有者であるユーザの瞳の形状)と同じ瞳の形状を有するユーザを特定のユーザとして判定する方法等を採用することができる。
【0082】
ここで、図6を参照しながら、検出された右目及び左目の総数Nが6個、複数の分割偏向領域の数Mが2個である場合での、光偏向器102における光の偏向制御について説明する。図6は、3人のユーザA、ユーザB及びユーザCが液晶パネル103を視認している場合における、液晶パネル103に表示される画像のフレームと光偏向器102により偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。なお、図2Bに示すように、偏向領域121が第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bに分割される場合について説明する。また、判定部152がユーザA、ユーザB及びユーザCの中からユーザAを特定のユーザとして判定する場合について説明する。
【0083】
画像Aのフレームが表示される期間T1では、第1の分割偏向領域121aにおいて偏向された光がユーザA及びユーザBの各々の右目及び左目に対して向けられるとともに、第2の分割偏向領域121bにおいて偏向された光がユーザA及びユーザCの各々の右目及び左目に対して向けられる。これにより、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々は、期間T1において画像Aを視認することができる。同様に、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々は、期間T2において画像Bを視認することができ、期間T3において画像Cを視認することができる。
【0084】
なお、ユーザB及びユーザCの各々の右目及び左目には、第1の分割偏向領域121a及び第2の分割偏向領域121bのいずれか一方において偏向された光のみが入射する。このような光の偏向制御であっても、期間T1〜T3の各々において、ユーザB及びユーザCの各々の右目及び左目に全く光が入射しない期間が発生するのを回避することができ、フレームレートの低下によるフリッカー(ちらつき)の発生を抑制することができる。
【0085】
上述したステップS11〜S16の処理が所定の周期で繰り返し実行されることにより、複数のユーザが液晶パネル103を視認している場合であっても、光偏向器102における光の偏向速度の不足により画像の画質が低下するのを抑制することができる。
【0086】
なお、上式3の関係式において、単位偏向時間の最小値ΔT_MINを現在の単位偏向時間ΔTに置き換えることもできる。この場合には、光偏向器102における光の偏向速度を小さく抑えることができるので、光偏向器102の駆動電圧を低く抑えることができ、省電力化を図ることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、ユーザAの右目及び左目に向けて優先的に光が偏向されるように制御したが、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々の右目及び左目に向けて光が偏向される頻度が等しくなるように制御することもできる。
【0088】
なお、本実施の形態では、液晶パネル103に画像のフレームが表示される表示時間Frame_Tが一定である場合について説明したが、表示管理部153が表示時間Frame_Tを調節することができるように構成することもできる。この場合には、上述したステップS15において、現在の単位偏向時間ΔTを調節することに代えて、表示時間Frame_Tを調節することができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、偏向領域121を2個の分割偏向領域に分割する場合について説明したが、例えば多人数のユーザが液晶パネル103を視認している場合には、偏向領域121を3個以上の分割偏向領域に分割することもできる。複数の分割偏向領域の配置については、特に限定されない。
【0090】
なお、判定部152が複数の分割偏向領域の各々における偏向順序を決定する際には、光の融像効果を考慮することもできる。光の融像効果とは、ユーザの右目及び左目にそれぞれ異なる像を入射した場合に、ユーザがそれらを重ね合わせることにより一つの像として認識する現象をいう。この場合には、表示管理部153は、例えば液晶パネル103に画像Aが表示されている期間T1において、第1の分割偏向領域121aにおいて光源101からの光をユーザの右目に向けて偏向させ、第2の分割偏向領域121bにおいて光源101からの光をユーザの左目に向けて偏向させる。これにより、ユーザの右目には画像Aの上半分が入射し、ユーザの左目には画像Aの下半分が入射するので、光の融像効果によってユーザは画像Aを認識することができる。
【0091】
なお、図示しないが、光偏向器102と液晶パネル103との間に、光偏向器102からの光をさらに偏向するためのレンズを設けることもできる。これにより、液晶パネル103とユーザ106との距離が比較的短い場合であっても、視野角を拡大することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、光偏向器102を構成する素子として光偏向素子120を用いたが、MEMSミラーで構成される素子を用いることもできる。これにより、光偏向器102における光の偏向角度を比較的大きくすることができるので、ユーザ106の頭部が液晶パネル103に対して大きく動いた場合であっても、ユーザ106は、3D画像等を視認し続けることができる。
【0093】
(実施の形態2)
図7A及び図7Bはそれぞれ、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置において、偏向領域121Aが第1の分割偏向領域121Aa及び第2の分割偏向領域121Abに分割された状態を模式的に示す平面図である。以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
図7A及び図7Bに示すように、光偏向器102Aの偏向領域121Aは、2つの分割偏向領域、すなわち、第1の分割偏向領域121Aa及び第2の分割偏向領域121bに分割される。本実施の形態では、第1の分割偏向領域121Aa及び第2の分割偏向領域121bの各々は、インターレース状に配置された非連続な領域である。第1の分割偏向領域121Aaは、偏向領域121Aにおける奇数行の位置に配置され、第2の分割偏向領域121Abは、偏向領域121Aにおける偶数行の位置に配置されている。
【0095】
図8は、3人のユーザA、ユーザB及びユーザCが液晶パネル103(図1参照)を視認している場合における、液晶パネル103に表示される画像のフレームと光偏向器102Aにより偏向された光が向けられる位置との関係を示す図である。なお、本実施の形態では、液晶表示装置が裸眼式の3Dディスプレイである場合について説明する。また、判定部152がユーザA、ユーザB及びユーザCの中からユーザAを特定のユーザとして判定する場合について説明する。
【0096】
右目用の画像A1のフレームが表示される期間では、第1の分割偏向領域121Aaにおいて偏向された光がユーザA及びユーザBの各々の右目に対して向けられるとともに、第2の分割偏向領域121Abにおいて偏向された光がユーザA及びユーザCの各々の右目に対して向けられる。これにより、右目用の画像A1のフレームが表示される期間において、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々の右目には右目用の画像A1が入射される。
【0097】
その後、左目用の画像A2のフレームが表示される期間では、第1の分割偏向領域121Aaにおいて偏向された光がユーザA及びユーザBの各々の左目に対して向けられるとともに、第2の分割偏向領域121Abにおいて偏向された光がユーザA及びユーザCの各々の左目に対して向けられる。これにより、左目用の画像A2のフレームが表示される期間において、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々の左目には左目用の画像A2が入射される。
【0098】
以上のようにして、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々は、右目用の画像A1及び左目用の画像A2に対応する画像Aを3D画像として認識することができる。
【0099】
同様に、ユーザA、ユーザB及びユーザCの各々は、右目用の画像B1及び左目用の画像B2に対応する画像Bを3D画像として認識することができ、右目用の画像C1及び左目用の画像C2に対応する画像Cを3D画像として認識することができる。従って、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置20における制御部205の機能的構成を示すブロック図である。図9に示すように、制御部205は、検出部251、判定部252及び表示管理部253を有している。
【0101】
検出部251は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、液晶パネル103を視認している一又は複数のユーザの各々の右目及び左目の位置を検出するとともに、光偏向器102により偏向された光により照射される範囲(以下、「偏向範囲」という)210(後述する図11参照)を検出する。
【0102】
ここで、検出部251による偏向範囲210の検出方法について説明する。図10は、光偏向器102により偏向された光の輝度分布を示す図である。図10において、縦軸は、光偏向器102により偏向された光の輝度を表し、横軸は、偏向中心からの距離を表している。なお、偏向中心とは、光偏向器102により偏向された光の輝度が最大となる光軸である。
【0103】
図10に示すように、検出部251は、偏向中心における輝度に対して所定の割合以上の輝度を有する範囲を偏向範囲210として検出する。例えば、検出部251が偏向中心における輝度に対して3%以上の輝度を有する範囲を偏向範囲210として検出した場合に、この偏向範囲210は、偏向中心から距離±1cmの範囲である。従って、検出部251は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて輝度が最も高い位置を検出することにより、当該位置から距離±1cmの範囲を偏向範囲210として検出することができる。
【0104】
判定部252は、検出部251により検出された、一又は複数のユーザの各々の右目及び左目の位置と偏向範囲210との位置関係に基づいて、光偏向器102により偏向された光がユーザの右目又は左目に適切に入射しているか否かを判定する。判定部252による具体的な判定方法については後述する。
【0105】
表示管理部253は、判定部252の判定結果に基づいて、光源101、光偏向器102及び液晶パネル103の各々の動作を制御する。
【0106】
次に、図11、図12A及び図12Bを参照しながら、判定部252の判定方法について説明する。図11は、光偏向器102により偏向された光がユーザ106の左目106bに適切に入射している状態を示す図である。図12A及び図12Bはそれぞれ、光偏向器102により偏向された光がユーザ106の左目106bに適切に入射していない状態を示す図である。
【0107】
図11に示すように、例えばユーザ106の左目106bが偏向範囲210に完全に含まれている場合には、判定部252は、光偏向器102により偏向された光がユーザ106の左目106bに適切に入射していると判定する。この場合には、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像を正しく視認することができるので、表示管理部253は、光偏向器102の動作を変更しない。
【0108】
図12Aに示すように、例えばユーザ106の左目106bが偏向範囲210から完全に外れている場合には、判定部252は、光偏向器102により偏向された光がユーザ106の左目106bに適切に入射していないと判定する。この場合には、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像を正しく視認することができないので、表示管理部253は、光偏向器102の動作を変更する。具体的には、表示管理部253は、複数の光偏向素子120(図3A参照)の各々に印加される電圧を調節することにより、偏向範囲210をユーザ106の左目106bに近付く方向(図12Aにおいて左方向)に移動させる。ユーザ106の左目106bが偏向範囲210に完全に含まれた時点で、表示管理部253は、電圧の調節を終了する。これにより、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像を正しく視認することができる。
【0109】
図12Bに示すように、例えばユーザ106の右目106a及び左目106bの各々の一部が偏向範囲210に含まれている場合には、判定部252は、光偏向器102により偏向された光がユーザ106の左目106bに適切に入射していないと判定する。この場合には、左目用の画像がユーザ106の左目106bだけでなく右目106aにも入射する、いわゆるクロストークが生じている。そのため、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像(3D画像)を正しく視認することができないので、表示管理部253は、光偏向器102の動作を変更する。具体的には、表示管理部253は、複数の光偏向素子120の各々に印加される電圧を調節することにより、偏向範囲210をユーザ106の右目106aから離れる方向(図12Bにおいて右方向)に移動させる。ユーザ106の左目106bが偏向範囲210に完全に含まれた時点で、表示管理部253は、電圧の調節を終了する。これにより、クロストークの発生が解消され、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像を正しく視認することができる。
【0110】
以上説明したように、ユーザ106の右目106a及び左目106bの一方と偏向範囲210とが重複するように、表示管理部253は、光偏向器102の動作を制御する。これにより、ユーザ106は、液晶パネル103に表示された画像を正しく視認することができる。
【0111】
なお、検出部251がユーザ106の右目106a及び左目106bの位置を検出する方法は、特定の方法及びアルゴリズムに限定する必要はなく、種々の方法を採用することができる。
【0112】
なお、偏向範囲210を検出する方法についても、特定の方法及びアルゴリズムに限定する必要はなく、種々の方法を採用することができる。例えば、光偏向器102により偏向された光をユーザ106の左目106bに対して照射する直前に撮影した画像と、光偏向器102により偏向された光をユーザ106の左目106に対して照射している際に撮影した画像との差分を検出することにより、偏向範囲210を検出することもできる。
【0113】
なお、検出部251による検出が行われるタイミングについては、任意のタイミングでよい。例えば、光偏向器102によるある位置に向けた光の偏向が終了したタイミングで、検出部251による検出が行われるように構成してもよい。この場合には、光を偏向する毎に偏向範囲210の位置の調節を行うことができるので、クロストークの発生等を効果的に抑制することができる。或いは、液晶表示装置20の使用開始時にのみ、検出部251による検出が行われるように構成してもよい。この場合には、偏向範囲210の位置の調節に要する処理の負担を低減することができる。
【0114】
なお、例えば光偏向器102が光の波長依存性を有し、光源101から異なる波長の光(例えば、赤色の光、青色の光及び緑色の光)が順次発するフィールドシーケンシャル表示を行う場合には、光源101から発する光の波長が変化する毎に検出部251による検出が行われるように構成してもよい。これにより、光源101から発する光の波長が変化する毎に偏向範囲210の位置がずれるのを抑制することができ、液晶パネル103に表示される画像の画質が低下するのを抑制することができる。
【0115】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置30を示す図である。図示の液晶表示装置30では、光偏向器102と液晶パネル103との間に可変拡散素子301が設けられている。この可変拡散素子301は、乳白色となって光偏向器102からの光を拡散させる拡散状態と、透明となって光偏向器102からの光を拡散させずに透過させる非拡散状態とに切り替え可能である。制御部305は、可変拡散素子301に印加される電圧を制御する。制御部305によって可変拡散素子301に電圧が印加されていない状態では、可変拡散素子301は拡散状態に保持される。制御部305によって可変拡散素子301に電圧が印加されることにより、可変拡散素子301は拡散状態から非拡散状態に切り替えられる。なお、可変拡散素子301は、例えば、電圧の印加によって干渉縞の有効及び無効を切り替えることが可能な動的ホログラム等で構成することができる。
【0116】
次に、図14〜図16を参照しながら、制御部305による可変拡散素子301の制御方法について説明する。図14は、光偏向器102により光を偏向することが可能な範囲(以下、「偏向可能範囲」という)310を概念的に示す図である。本実施の形態では、制御部305は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて、偏向可能範囲310の位置を検出するとともに、液晶パネル103を視認しているユーザ106の右目106a及び左目106bの位置を検出する。その後、制御部305は、偏向可能範囲310とユーザ106の右目106a及び左目106bの位置との位置関係に基づいて、可変拡散素子301を拡散状態又は非拡散状態に切り替える。
【0117】
図15は、ユーザ106の右目106a及び左目106bの各々が偏向可能範囲310の内部に位置している状態を示す図である。図15に示すように、ユーザ106の右目106a及び左目106bの各々が偏向可能範囲310の内部に位置している場合には、制御部305は、可変拡散素子301を非拡散状態に設定するとともに、液晶パネル103に表示する画像を3D画像に設定する。光偏向器102により偏向された光は、可変拡散素子301において拡散されることなく可変拡散素子301を透過した後に、液晶パネル103に入射する。これにより、液晶パネル103からの光をユーザ106の右目106a及び左目106bに時系列で交互に集光させることができる。従って、この場合には、液晶表示装置30を裸眼式の3Dディスプレイ(又はプライバシーディスプレイ)として機能させることができる。
【0118】
図16は、ユーザ106の左目106bが偏向可能範囲310の外部に位置している状態を示す図である。図16に示すように、ユーザ106の右目106a及び左目106bの少なくとも一方が偏向可能範囲310の外部に位置している場合には、制御部305は、可変拡散素子301を非拡散状態から拡散状態に切り替えるとともに、液晶パネル103に表示する画像を3D画像から2D画像に切り替える。光偏向器102により偏向された光は、可変拡散素子301において拡散された後に、液晶パネル103に入射する。これにより、液晶パネル103からの光が拡散しながら偏向可能範囲310の内部及び外部に向けて照射されるので、液晶パネル103からの光をユーザ106の右目106a及び左目106bに入射させることができる。従って、この場合には、液晶表示装置30を、通常の2D画像を表示する2Dディスプレイとして機能させることができる。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態では、視野角の広い液晶表示装置30を実現することができる。なお、本実施の形態では、1人のユーザ106が液晶パネル103を視認している場合について説明したが、複数のユーザが液晶パネル103を視認している場合でも同様である。すなわち、複数のユーザのうち少なくとも1人のユーザの右目又は左目が偏向可能範囲310の外部に位置している場合には、制御部305は、可変拡散素子301を非拡散状態から拡散状態に切り替えるとともに、液晶パネル103に表示する画像を3D画像から2D画像に切り替える。
【0120】
なお、本実施の形態では、制御部305は、一対のアイカメラ104a,104bの各々からの画像信号に基づいて可変拡散素子301の動作を制御したが、他の方法を用いて可変拡散素子301の動作を制御することもできる。例えば、液晶表示装置30がタブレット等の持ち運び可能なディスプレイである場合には、制御部305は、ディスプレイの傾きを検知する加速度センサ又はディスプレイの背面に設けられた背面センサ等からの検出信号に基づいて、可変拡散素子301の動作を制御する。具体的には、ディスプレイが机等の上に倒されたことが検出されたときには、制御部305は、可変拡散素子301を拡散状態に切り替える。ディスプレイが机等の上から起こされたことが検出されたときには、制御部305は、可変拡散素子301を非拡散状態に切り替える。これにより、机等の上にディスプレイを置いた場合に、複数のユーザが液晶パネル103に表示された画像を視認することができる。
【0121】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の表示装置等を実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0122】
すなわち、このプログラムは、光を発する光源と、前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、前記光偏向器からの光によって画像を形成する表示パネルと、を備える表示装置の制御方法における、前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出するステップと、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割するステップと、前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0123】
以上、本発明の一つ又は複数の態様に係る表示装置及びその制御方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の表示装置は、例えば、裸眼式の3Dディスプレイ、プライバシーディスプレイ及び省電力ディスプレイ等の液晶表示装置として用いることができる。なお、省電力ディスプレイとは、画像を視認可能な範囲(すなわち、視野角)を限定することにより、バックライトの光量を低減することが可能なディスプレイである。
【符号の説明】
【0125】
10,20,30,50 液晶表示装置
101,501 光源
102,102A,502 光偏向器
103,503 液晶パネル
104a,104b アイカメラ
105,205,305 制御部
106,504,505,506 ユーザ
106a,504a,505a,506a 右目
106b,504b,505b,506b 左目
120 光偏向素子
121,121A 偏向領域
121a,121Aa 第1の分割偏向領域
121b,121Ab 第2の分割偏向領域
130 画素
151,251 検出部
152,252 判定部
153,253 表示管理部
210 偏向範囲
301 可変拡散素子
310 偏向可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置であって、
光を発する光源と、
前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、
前記光偏向器からの光によって前記画像を形成する表示パネルと、
前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出し、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記一又は複数のユーザの各々の右目及び左目に交互に光が集光されるように前記光偏向器の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割し、前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向させる
表示装置。
【請求項2】
前記光偏向器が前記光源からの光を前記ユーザの1つの目に向けて偏向するのに要する単位偏向時間をΔTとし、
前記表示パネルにおいて前記画像のフレームが表示される表示時間をFrame_Tとし、
前記制御部により検出された前記右目及び左目の総数をNとし、
前記複数の分割偏向領域の数をMとしたとき、
前記制御部は、前記複数の分割偏向領域の数Mを、以下の関係式を満たすように設定する
請求項1に記載の表示装置。
(N×ΔT)/M≦Frame_T
【請求項3】
前記制御部は、前記表示時間Frame_Tの間に、前記一又は複数のユーザの各々の右目及び左目に向けて光が偏向されるように、前記複数の分割偏向領域の各々における光の偏向を制御する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の分割偏向領域の各々は、インターレース状に配置された非連続な領域である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記偏向領域には、光の偏向方向を制御可能な最小単位である光偏向素子が複数設けられ、
前記複数の光偏向素子は、所定の方向に並べて配置され、
前記表示パネルは、前記所定の方向に並べて配置された複数の画素を有しており、
前記複数の光偏向素子の各々の前記所定の方向における大きさは、前記複数の画素の各々の前記所定の方向における大きさよりも小さい
請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のユーザの中から特定のユーザを判定し、前記特定のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度が、前記特定のユーザ以外の他のユーザの右目及び左目に向けて光が偏向される頻度よりも多くなるように、前記複数の分割偏向領域の各々における光の偏向を制御する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記偏向領域を第1の分割偏向領域及び第2の分割偏向領域に分割した際に、前記第1の分割偏向領域において前記光源からの光を前記ユーザの右目に向けて偏向させ、前記第2の分割偏向領域において前記光源からの光を前記ユーザの左目に向けて偏向させる
請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、検出した前記右目及び左目の総数が所定の数以下である場合には、前記偏向領域を前記複数の分割偏向領域に分割しない
請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
光を発する光源と、
前記光源からの光を所定の位置に向けて偏向する偏向領域を有する光偏向器と、
前記光偏向器からの光によって画像を形成する表示パネルと、を備える表示装置の制御方法であって、
前記表示パネルに表示された前記画像を視認する一又は複数のユーザの右目及び左目の総数を検出するステップと、
検出した前記右目及び左目の総数に基づいて、前記偏向領域を複数の分割偏向領域に分割するステップと、
前記複数の分割偏向領域において前記光源からの光を互いに異なる位置に向けて同時に偏向するステップと、を含む
表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−101308(P2013−101308A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188121(P2012−188121)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】