説明

表示装置及びその表示方法

【課題】 視覚的演出効果のある表示装置及びその表示方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示手段130と、前記選択メニューの選択項目を選択するための入力手段110と、を備える表示装置100であって、表示手段130は、所定領域に前記選択メニューの複数の選択項目を列状に表示し、また、前記選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、前記入力手段からの操作入力信号に応じて前記選択項目を所定方向に徐々に移動させて前記選択項目の表示を切り換える際に、前記各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する前記選択項目を切り換えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示装置及びその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、上位階層メニューとこの上位階層メニューの下位の階層となる2つの下位階層メニューとを表示可能な表示手段と、この表示手段を動作させるマイクロコンピュータからなる制御手段とを備え、ユーザーが表示手段に表示されている上位階層メニューの選択項目を所定の入力手段を利用して選択すると、この選択された上位階層メニューの選択項目に加えて、かかる選択項目に関連する円筒形を模した2つの下位階層メニューが表示手段に同時に表示されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−258947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように階層メニューの選択項目の切り換え時に階層メニューの選択項目が動くだけでは面白みのない単調な表示演出となってしまい、視覚的演出効果が不十分であり、この点で更なる改良の余地が残されていた。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、視覚的演出効果のある表示装置及びその表示方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、
少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示手段と、前記選択メニューの選択項目を選択するための入力手段と、を備える表示装置であって、
前記表示手段は、所定領域に前記選択メニューの複数の選択項目を列状に表示し、また、前記選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、
前記入力手段からの操作入力信号に応じて前記選択項目を所定方向に徐々に移動させて前記選択項目の表示を切り換える際に、前記各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する前記選択項目を切り換えることを特徴とする。
【0006】
また、前記選択項目は文字及び/あるいは図形で表示され、前記他の選択項目は、文字及び/あるいは図形の一部が表示されることを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、
少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示手段と、前記選択メニューの選択項目を選択するための入力手段と、を備える表示装置の表示方法であって、
前記表示手段の所定領域に前記選択メニューの複数の選択項目を列状に表示し、また、前記選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、
前記入力手段からの操作入力信号に応じて前記選択項目を所定方向に徐々に移動させて前記選択項目の表示を切り換える際に、前記各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する前記選択項目を切り換えることを特徴とする。
【0008】
また、前記選択項目は文字及び/あるいは図形で表示され、前記他の選択項目は、文字及び/あるいは図形の一部が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、視覚的演出効果のある表示装置及びその表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態である表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における表示例を示す図。
【図3】同実施形態における表示例を示す図。
【図4】本発明の他の実施形態である表示装置における表示例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態である表示装置における表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図3に基づいて本発明の実施形態を車載用の表示装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0012】
図1において、本実施形態による表示装置100は、操作手段(入力手段)110と、制御手段120と、表示手段130と、から主に構成されている。
【0013】
表示装置100は、制御対象機器200と接続されている。制御対象機器200は、本実施形態の場合、ラジオチューナーやCD、HDD、USBメモリあるいは車内に持ち込まれた携帯デジタルオーディオプレーヤーなどの複数のオーディオソースから選択して音声信号をスピーカーに出力するオーディオ機器である。制御対象機器200は、操作手段110の操作に応じて表示手段130の選択メニュー画面の状態と連動してその動作や設定内容が制御される。
【0014】
操作手段110は、例えば静電容量式のタッチパッドからなり、車両の運転席に着座したユーザーが把持するステアリングの所定箇所に設けられている。操作手段110は、タッチパッド上で感知した指の位置や動きを制御対象機器200の動作状態や設定内容を決定するために後述する選択メニュー画面を操作する操作入力信号に変換して制御手段120に入力するものである。なお、操作手段110は、タッチパッドではなく、押しボタン式やジョイスティック型スイッチあるいはこれらの組み合わせからなる操作スイッチを採用することも可能である。
【0015】
制御手段120は、ROM、CPU、RAM及び入出力インターフェイス等を有するマイクロコンピュータからなり、本実施形態の場合、詳細図示は省略するが、表示装置100に備えられる回路基板に実装され、操作手段110のジェスチャー操作に伴う前記操作入力信号を受信可能に設けられ、前記操作入力信号に基づいて表示画像データを生成し、前記表示画像データに基づき表示手段130を表示動作させる。つまり、制御手段120は、前記操作入力信号に基づいて表示手段130の表示内容を切り換える制御を行う。
【0016】
また、制御手段120は、前記操作入力信号に基づいて制御対象機器200の動作をも変更することが決定された場合、制御手段120は表示手段130への前記表示画像データの出力に加えて、制御対象機器200への制御信号の出力も行う。
【0017】
表示手段130は、各種情報を表示する受光型の液晶表示パネルや自発光型の有機ELパネル等からなり、例えば車両のインストルメントパネル(以下、インパネと言う)上に載置されている。そして、本実施形態の場合、表示手段130には、図2に示すような前記表示画像データに基づく選択メニュー画面が表示される。
【0018】
選択メニュー画面は、本実施形態の場合、3つの円筒形を模した3つの階層の選択メニューによって構成されており、具体的には上位選択メニュー131と、この上位選択メニュー131の下位の階層となる中位選択メニュー132と、この中位選択メニュー132の下位の階層となる下位選択メニュー133と、を含む。ここで、個々の選択メニュー131〜133は、表示手段130の長手方向に沿い、あたかも円筒面があるような画像となっており、各選択メニュー131〜133にはそれぞれ3つの選択項目が上下方向に並んで表示される。なお、本実施形態において選択項目が文字で表示されるが、選択項目は図形あるいは文字と図形の組み合わせで表示されるものであってもよい。また、各選択メニュー131〜133のうち、選択操作の対象とされている選択メニュー(図2においては上位選択メニュー131)の上下には一対のカーソル134が表示される。
【0019】
上位選択メニュー131は、本実施形態においては制御対象機器200のオーディオソースを選択する選択メニューであり、各オーディオソースを示す選択項目を表示する。上位選択メニュー131は、上部領域131a、中央部領域131b、下部領域131cの3つの領域に分割され、中央部領域131bに選択状態にある選択項目を表示し、上部領域131a、下部領域131cにそれぞれその前後の選択項目(他の選択項目)を表示する。図2においては、選択状態にある選択項目として「USB」が表示され、その前後の選択項目として「ラジオ」、「CD」が表示されている。また、中央部領域131bにおいて選択状態にある選択項目は文字の全部が鮮明に表示されるのに対し、上部領域131a、下部領域131cにおいては前後の選択項目は文字の上下方向の一部が中央部領域131bの表示に対してぼかして(濃淡を淡く)表示される。
【0020】
中位選択メニュー132は、本実施形態においては上位選択メニュー131にて選択された選択項目に関する動作や設定を選択する選択メニューであり、図2においては上位選択メニュー131で選択状態にある選択項目「USB」に関しUSBメモリ内に記憶されるアーティスト名を選択項目として表示している。中位選択メニュー132は、上部領域132a、中央部領域132b、下部領域132cの3つの領域に分割され、中央部領域132bに選択状態にある選択項目を表示し、上部領域132a、下部領域132cにそれぞれその前後の選択項目(他の選択項目)を表示する。図2においては、選択状態にある選択項目として「アーティスト2」が表示され、その前後の選択項目として「アーティスト1」、「アーティスト3」が表示されている。また、中央部領域132bにおいて選択状態にある選択項目は文字の全部が鮮明に表示されるのに対し、上部領域132a、下部領域132cにおいては前後の選択項目は文字の上下方向の一部が中央部領域132bの表示に対してぼかして(濃淡を淡く)表示される。
【0021】
下位選択メニュー133は、本実施形態においては中位選択メニュー132にて選択された選択項目に関する動作や設定を選択する選択メニューであり、図2においては中位選択メニュー132で選択状態にある選択項目「アーティスト2」に関しアーティスト2に属する曲名を選択項目として表示している。下位選択メニュー133は、上部領域133a、中央部領域133b、下部領域133cの3つの領域に分割され、中央部領域133bに選択状態にある選択項目を表示し、上部領域133a、下部領域133cにそれぞれその前後の選択項目(他の選択項目)を表示する。図2においては、選択状態にある選択項目として「曲名1」が表示され、その前後の選択項目として「曲名10」、「曲名2」が表示されている。また、中央部領域133bにおいて選択状態にある選択項目は文字の全部が鮮明に表示されるのに対し、上部領域133a、下部領域133cにおいては前後の選択項目は文字の上下方向の一部が中央部領域132bの表示に対してぼかして(濃淡を淡く)表示される。
【0022】
次に、本実施形態における表示装置100の表示切り換え動作について、下位選択メニュー133の選択項目が変更される場合を例に図3に基づいて説明する。
【0023】
制御手段120は、選択対象として下位選択メニュー133が選択された(カーソル134が下位選択メニュー133の上下に表示された)図3(a)の表示状態から、ユーザーが操作手段110に備えられるタッチパッド上を上方向のスライド操作したことを示す操作入力信号を受信すると、この操作入力信号に基づいて下位選択メニュー133の選択項目が上方向に徐々に移動するように、表示手段130を表示動作させる制御を行う。これにより下位選択メニュー133は、あたかも表面に選択項目が表示された円筒図形が回転しているような表現が行われる。
【0024】
このとき、下位選択メニュー133の各選択項目は、切り換え前の領域133a〜133cから切り換え後の領域133a〜133cに移動した時に(切り換え後の領域133a〜133cに入った時に)、鮮明表示とぼかし表示とが切り換えられる。例えば、下位選択メニュー133の全領域の高さをLxとし、中央部領域133bの高さを1/2Lxc、上部領域133a及び下部領域133cの高さをそれぞれ1/4Lxとした場合には、選択項目が所定量として1/4Lx移動した時に選択項目は切り換え後の領域133a〜133cに至り、ぼかして表示する選択項目が切り換えられる。図3(b)は、上方向に徐々に移動した選択項目のうち、「曲名10」が消失し、「曲名1」と「曲名2」が切り換え後の領域133a〜133cに移動した時点を示している。このとき、切り換え前に中央部領域133bにて鮮明表示されていた「曲名1」は上部領域133aに至ってぼかし表示に切り換えられ、切り換え前に下部領域133cにてぼかし表示されていた「曲名2」は中央部領域133bに至って鮮明表示に切り換えられる。そして、図3(c)に示す切り換え完了後の表示状態においては、上部領域133aに「曲名1」が文字の下半分をぼかして表示され、中央部領域133bに「曲名2」が文字の全部を鮮明に表示され、下部領域133cに新たな選択項目として「曲名3」が文字の上半分をぼかして表示される。
【0025】
なお、表示切り換え完了後、制御手段120は制御対象機器200に対して表示内容に応じた制御信号を出力し、これを受信した制御対象機器200は「曲名2」の音楽データに基づいてスピーカー(図示しない)から音声を出力してユーザーはこれを聴取することができる。
【0026】
以上のように本実施形態の表示装置及びその表示方法は、表示手段130は、所定領域に選択メニュー131〜133の複数の選択項目を列状に表示し、また、選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、操作手段110からの操作入力信号に応じて選択項目を所定方向に徐々に移動させて選択項目の表示を切り換える際に、各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する選択項目を切り換えるものである。
【0027】
従って、切換操作前の静止状態にあっては、選択状態にある選択項目の前後の選択項目をぼかして表示することで、ユーザーは選択状態にある選択項目の視認性を損なうことなく前後の選択項目の存在を認識することができ、切換操作後の移動状態にあっては、選択項目の移動に連動して鮮明表示とぼかし表示とが切り換えられるため、鮮明表示をする領域とぼかし表示をする領域とを明確に区別して新たに選択状態となった選択項目を瞬時に把握することができ、かつ、選択項目の移動開始と時間差を有するように濃淡が変化することから視覚的演出効果のある表示装置及びその表示方法を提供することができる。また、前後の選択項目については文字の一部を表示することで選択状態にある選択項目との差異がより明確となり、選択項目の視認性を損なうことなく前後の選択項目の存在を認識することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては下位選択メニュー133の切り換え動作を例に挙げたが、上位選択メニュー131あるいは中位選択メニュー132の切り換え動作に際して、関連する下位の選択メニューの切り換え動作を選択操作された選択メニューの切り換え動作から所定時間遅らせて開始させることで、さらに視覚的演出効果を付与してもよい。
【0029】
また、本実施形態においては各選択メニュー131〜133における選択項目の選択は操作手段110の上下方向のジェスチャー操作で行うものであったが、上下方向のほか、左右方向でも操作可能としてもよい。図4は、かかる他の実施形態を示す表示例であり、中位選択メニュー132の上下のほか左右にもカーソル134が表示されて、上下方向のみならず左右方向でも選択項目の選択が可能となっている。本実施形態においては、例えば、上下方向の操作においては選択項目が1つずつ切り換えられるのに対し、左右方向の操作では選択項目が所定グループ毎の切り換えとして、あ段毎(「あ」行グループ→「か」行グループへの切り換えなど)に切り換えられる。これにより、操作が簡略化でき操作性を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態においては各選択メニュー131〜133は同一の大きさで表示されるものであったが、各選択メニュー131〜133をそれぞれのデータ容量に応じて大きさを変化させるものであってもよい。図5は、かかる他の実施形態を示す表示例であり、各選択メニュー131〜133がそれぞれのデータ容量に応じた大きさで表示されている。かかる表示形態により、瞬時に各階層におけるデータ量を把握することができ視認性を向上させることができる。
【0031】
また本実施形態では、表示手段130が車両のインパネ上に載置された液晶表示パネル等からなる例について説明したが、例えば表示手段130を液晶表示パネルと少なくとも1つの反射ミラー(光学部材)と車両のフロントガラスとからなる投射型表示ユニットとし、液晶表示パネルから発せられる表示光を反射ミラーを通じてフロントガラスに照射し、この照射によって得られた虚像(選択メニュー画面からなる表示像)をユーザーが視認するような構成としてもよいし、あるいは表示手段130をプロジェクターと少なくとも1つの反射ミラー(光学部材)とインパネの開口部に配設された透過型あるいは反射型のスクリーンとからなる投射型表示ユニットとし、プロジェクターから発せられる表示光をスクリーンへと照射し、この照射光がスクリーンに投影されることにより得られる実像(選択メニュー画面からなる表示像)をユーザーが視認するような構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示装置及びその表示方法に好適である。
【符号の説明】
【0033】
100 表示装置
110 操作手段(入力手段)
120 制御手段
130 表示手段
131 上位選択メニュー
132 中位選択メニュー
133 下位選択メニュー
134 カーソル
200 制御対象機器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示手段と、前記選択メニューの選択項目を選択するための入力手段と、を備える表示装置であって、
前記表示手段は、所定領域に前記選択メニューの複数の選択項目を列状に表示し、また、前記選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、
前記入力手段からの操作入力信号に応じて前記選択項目を所定方向に徐々に移動させて前記選択項目の表示を切り換える際に、前記各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する前記選択項目を切り換えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記選択項目は文字及び/あるいは図形で表示され、前記他の選択項目は、文字及び/あるいは図形の一部が表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
少なくとも1階層以上の選択メニューを表示する表示手段と、前記選択メニューの選択項目を選択するための入力手段と、を備える表示装置の表示方法であって、
前記表示手段の所定領域に前記選択メニューの複数の選択項目を列状に表示し、また、前記選択項目のうち選択状態にある選択項目に対して他の選択項目をぼかして表示し、
前記入力手段からの操作入力信号に応じて前記選択項目を所定方向に徐々に移動させて前記選択項目の表示を切り換える際に、前記各選択項目が所定量移動した時にぼかして表示する前記選択項目を切り換えることを特徴とする表示装置の表示方法。
【請求項4】
前記選択項目は文字及び/あるいは図形で表示され、前記他の選択項目は、文字及び/あるいは図形の一部が表示されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置の表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−61825(P2013−61825A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200187(P2011−200187)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】