説明

表示装置及びその製造方法

【課題】機械式のシャッタが配置されたセルを満たすオイルを注入するときにシャッタに与えるダメージを減らすことを目的とする。
【解決手段】表示装置は、切れ目46を有して空間を囲むシール材44と、シール材44の切れ目46を塞いで封止空間を形成するエンドシール50と、封止空間に満たされたオイル52と、一対の光透過性基板10,12間の間隔を保持するスペーサ54と、シャッタ14と、シャッタ14を機械的に駆動するための、オイル52内に配置された駆動部38と、一対の光透過性基板10,12の対向面の少なくとも一方上に形成された壁部60と、を有する。壁部60は、シール材44の切れ目46と表示領域48との最短経路を遮る位置に配置された部分を有し、スペーサ54、シャッタ14及び駆動部38を構成する材料から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSディスプレイ(Micro Electro Mechanical System Display)は、液晶ディスプレイに取って代わると期待されているディスプレイである(特許文献1参照)。このディスプレイは、偏光を利用した液晶シャッタ方式とは異なり、機械シャッタ方式によって光の透過窓を開閉することで画像を表示する。シャッタは薄膜からなり、1画素を構成するシャッタの縦横サイズは数100μmオーダで厚みが数μmオーダである。1シャッタの開閉により、1画素のオンオフ動作が可能となる。シャッタは、静電引力によって動作するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−197668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャッタは一対の光透過性基板の間にシールで囲まれたスペースに配置され、このスペースはオイルで満たされている。オイルは、シャッタの駆動のためのバネのくっつきを防止し、光透過性基板との光屈折率の差を小さくしている。
【0005】
オイルは、シールの切れ目からなる注入口から注入され、注入口はオイルの注入後に樹脂で封止される。シャッタの開閉動作を高速化するため、低粘度のオイルが望まれるが、そうするとオイルが注入口を通過するときのスピードが速くなってシャッタにダメージを与えるという問題があった。
【0006】
本発明は、機械式のシャッタが配置されたセルを満たすオイルを注入するときにシャッタに与えるダメージを減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る表示装置は、間隔をあけて配置された一対の光透過性基板と、前記一対の光透過性基板の対向面同士に密着し、切れ目を有して空間を囲むシール材と、前記シール材の前記切れ目を塞いで、前記空間を封止して封止空間を形成するエンドシールと、前記封止空間に満たされたオイルと、前記オイル内に配置され、前記一対の光透過性基板間の前記間隔を保持するスペーサと、一方の前記光透過性基板に形成された、開口部を有する遮光膜と、前記オイル内に配置されたシャッタと、前記開口部への光の通過及び遮断を制御するように、前記シャッタを機械的に駆動するための、前記オイル内に配置された駆動部と、前記一対の光透過性基板の前記対向面の少なくとも一方上に形成された壁部と、を有し、前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部は、前記開口部を通過する光の有無及び強弱によって画像を表示する表示領域に配置され、前記壁部は、前記シール材の前記切れ目と前記表示領域との最短経路を遮る位置に配置された部分を有し、前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部を構成する材料から形成されていることを特徴とする。本発明によれば、シール材の切れ目からオイルを注入するときに、オイルの流れを壁部で弱めることができ、シャッタに与えるダメージを減らすことができる。また、壁部は、スペーサ、シャッタ及び駆動部を構成する材料から形成されるので、これらを同時に形成することで工程数の増加を避けることができる。
【0008】
(2)(1)に記載された表示装置において、前記壁部は、前記一対の光透過性基板の前記対向面同士に密着していることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された表示装置において、前記壁部は、前記表示領域を囲むように配置され、前記最短経路を遮る前記位置を除いてスリットが形成されていることを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(2)に記載された表示装置において、前記壁部は、前記切れ目と前記表示領域との間で、前記最短経路を遮る前記位置を通って直線状に延びるように形成されていることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(4)に記載された表示装置において、前記壁部は、複数の平行な直線に沿って延び、それぞれの前記直線に沿って延びる部分がスリットを有するように形成されていることを特徴としてもよい。
【0012】
(6)本発明に係る表示装置の製造方法は、間隔をあけて配置された一対の光透過性基板と、前記一対の光透過性基板の対向面同士に密着し、切れ目を有して空間を囲むシール材と、前記オイル内に配置され、前記一対の光透過性基板間の前記間隔を保持するスペーサと、一方の前記光透過性基板に形成された、開口部を有する遮光膜と、前記空間内に配置されたシャッタと、前記開口部への光の通過及び遮断を制御するように、前記シャッタを機械的に駆動するための、前記空間内に配置された駆動部と、前記一対の光透過性基板の前記対向面の少なくとも一方上に形成された壁部と、を有し、前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部は、前記開口部を通過する光の有無及び強弱によって画像を表示する表示領域に配置され、前記壁部は、前記シール材の前記切れ目と前記表示領域との最短経路を遮る位置に配置された部分を有するように、空セルを組み立てる工程と、前記シール材の前記切れ目から前記空セルにオイルを注入する工程と、を含み、前記空セルを組み立てる工程で、前記スペーサ、前記シャッタ、前記駆動部及び前記壁部を、薄膜の成膜及びエッチングを含む複数回のプロセスで同時に形成し、前記オイルを注入する工程で、前記空間の内部を外部よりも低気圧にして、前記シール材の前記切れ目から前記オイルを注入することを特徴とする。本発明によれば、シール材の切れ目からオイルを注入するときに、オイルの流れを壁部で弱めることができ、シャッタに与えるダメージを減らすことができる。また、壁部を、スペーサ、シャッタ及び駆動部を同時に形成するので、工程数の増加を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の側面図である。
【図2】図1に示す表示装置の平面図である。
【図3】シャッタ及びその駆動部の斜視図である。
【図4】図2に示す表示装置のIV−IV線断面の拡大図である。
【図5】空セルの内部の一部を示す平面図である。
【図6】図5に示す構造のVI−VI線断面図である。
【図7】第2壁部、第2スペーサ部及び第2アンカー部を形成する工程を説明するための図である。
【図8】第2壁部、第2スペーサ部及び第2アンカー部を形成する工程を説明するための図である。
【図9】第2壁部、第2スペーサ部及び第2アンカー部を形成する工程を説明するための図である。
【図10】第2壁部、第2スペーサ部及び第2アンカー部を形成する工程を説明するための図である。
【図11】空セルにオイルを注入する工程を説明する図である。
【図12】空セルにオイルを注入する工程を説明する図である。
【図13】空セルにオイルを注入する工程を説明する図である。
【図14】空セルにオイルを注入する工程を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態に係る表示装置の変形例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る表示装置の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置の側面図である。表示装置は、一対の光透過性基板10,12(例えばガラス基板)を有する。一対の光透過性基板10,12は、間隔(図4参照)をあけて対向するように配置されている。図2は、図1に示す表示装置の平面図である。図2では、上側の光透過性基板12を仮想線で示して内部構造を示してある。図2に示すように、下側の光透過性基板10には、複数(多数)のシャッタ14が設けられている。
【0016】
図3は、シャッタ14及びその駆動部の斜視図である。シャッタ14は、半導体又は金属などの無機材料からなり、開口部16を有するプレートである。開口部16を光が通過し、開口部16以外の部分で光を遮断する。開口部16は一方向に長い形状になっている。なお、光は、図1に示すように、光透過性基板10に重ねられたバックライト18から供給される。
【0017】
シャッタ14は、第1バネ20に支持されて光透過性基板10から浮くようになっている。複数(図2では4つ)の第1バネ20によってシャッタ14が支持されている。第1バネ20は、第1アンカー部22で光透過性基板10に固定されている。詳しくは、第1アンカー部22は、光透過性基板10に形成された第1配線24上に設けられ、両者は電気的に接続されている。
【0018】
第1バネ20は、弾性変形可能な材料からなり、シャッタ14の板面に平行な方向に変形できるように配置されている。詳しくは、第1バネ20は、シャッタ14から離れる方向(開口部16の長さ方向に交差(例えば直交)する方向)に延びる第1部26と、開口部16の長さ方向に沿った方向であって開口部16の長さ方向の中央から外方向に向かって延びる第2部28と、さらにシャッタ14から離れる方向(開口部16の長さ方向に交差(例えば直交)する方向)に延びる第3部30と、を有する。そして、シャッタ14は、図3に矢印で示すように、開口部16の長さ方向に交差(例えば直交)する方向に移動できるように第1バネ20に支持されている。
【0019】
光透過性基板10には、第2アンカー部32に支持された第2バネ34が設けられている。第2アンカー部32は、光透過性基板10に形成された第2配線36上に設けられ、両者は電気的に接続されている。第2バネ34は、第1バネ20の第2部28よりもシャッタ14から離れた側で、この第2部28に対向するようになっている。第2アンカー部32に電圧を印加し、第1バネ20の第2部28との電位差によって生じる静電引力によって、第2部28が第2アンカー部32に引き寄せられるようになっている。第2部28が引き寄せられると、第2部28と一体的な第1部26を介して、シャッタ14も引き寄せられる。つまり、第1バネ20及び第2バネ34は、シャッタ14を機械的に駆動するための駆動部38を構成するためのものである。駆動部38も、半導体又は金属などの無機材料から構成されている。
【0020】
図4は、図2に示す表示装置のIV−IV線断面の拡大図である。上側の光透過性基板12には遮光膜40が形成されている。遮光膜40には、開口部42が形成されている。シャッタ14の上述した開口部16と遮光膜40の開口部42は、対向する位置に配置されており、両者が連通すれば光が通過し、シャッタ14の移動によって遮光膜40の開口部42が遮蔽されると光が遮断される。言い換えると、遮光膜40の開口部42への光の通過及び遮断を制御するように、シャッタ14は機械的に駆動される。対応する1つの開口部16及び1つの開口部42によって1画素が構成され、多数の画素によって画像が表示されるようになっている。そのため、複数(多数)のシャッタ14が設けられている。シャッタ14及び駆動部38は、開口部16,42を通過する光の有無及び強弱によって画像を表示する表示領域(図2参照)に配置されている。
【0021】
図4に示すように、一対の光透過性基板10,12は、シール材44によって間隔をあけて固定されている。シール材44は一対の光透過性基板10,12の対向面同士に密着している。また、シール材44は、図2に示すように、切れ目46を有して空間を囲むように形成されている。詳しくは、シール材44は、矩形の表示領域48を囲む矩形輪郭に沿って延びる部分を有する。なお、矩形の表示領域48に対応して一対の光透過性基板10,12も矩形になっている。そして、エンドシール50が、シール材44の切れ目46を塞いで、シール材44が囲む空間を封止して封止空間を形成している。
【0022】
図4に示すように、封止空間にはオイル52(例えばシリコーンオイル)が満たされている。シャッタ14及び駆動部38は、オイル52内に配置されている。オイル52によってシャッタ14及び駆動部38の動きによる振動を抑えることができ、第1バネ20と第2バネ34のくっつきも防止することができる。光透過性基板10,12がガラスからなる場合、ガラスと屈折率の近いオイル52を使用すれば、オイル52を満たすことで、一対の光透過性基板10,12との界面での光の反射を減らすことができる。
【0023】
表示装置は、一対の光透過性基板10,12間の間隔を保持するスペーサ54を有する。スペーサ54も、オイル52内に配置され、図2に示す表示領域48に配置されている。図4に示すスペーサ54は、上側の光透過性基板12に設けられた第1スペーサ部56と、下側の光透過性基板10に設けられた第2スペーサ部58と、が接合されて構成されている。第1スペーサ部56は樹脂からなる。第2スペーサ部58は、2層の樹脂部58a,58bと、その表面を覆う半導体膜や金属膜からなる無機部58cと、を有する。
【0024】
表示装置は、一対の光透過性基板10,12の対向面の少なくとも一方上に形成された壁部60を有する。図4に示す例では、壁部60は、一対の光透過性基板10,12の対向面同士に密着している。詳しくは、壁部60は、上側の光透過性基板12に設けられた第1壁部62と、下側の光透過性基板10に設けられた第2壁部64と、が接合されて構成されている。壁部60は、スペーサ54、シャッタ14及び駆動部38を構成する材料から形成されている。図4に示す例では、第1壁部62は樹脂からなる。第2壁部64は、2層の樹脂部64a,64bと、その表面を覆う半導体膜や金属膜からなる無機部64cと、を有する。
【0025】
図2に示すように、壁部60は、表示領域48を囲むように配置されている。詳しくは、壁部60は、矩形の表示領域48を囲む矩形の輪郭上に配置されている。壁部60は、シール材44の切れ目46と表示領域48との最短経路を遮る位置に配置された部分を有している。すなわち、シール材44の切れ目46と表示領域48との直線経路を遮るように壁部60の少なくとも一部がある。言い換えると、シール材44の切れ目46と表示領域48との間に壁部60の少なくとも一部がある。壁部60は、最短経路を遮る位置を除いてスリット66が形成されている。
【0026】
図2の例では、矩形の表示領域48を囲む矩形輪郭において、シール材44の切れ目46に対向する直線上にはスリットは形成されない。壁部60は、その直線上に延びる部分60aから、間隔をあけて、直交方向(シール材44の切れ目46から離れる方向)に延びる部分60bを有しており、両者間にスリット66が形成されている。また、シール材44の切れ目46から離れる方向に延びる部分60b自体にもスリット66が形成されている。さらに、シール材44の切れ目46から離れる方向に延びる部分60bと、表示領域48を挟んでシール材44の切れ目46とは反対側に形成された部分60cとの間(つまり角部)にもスリット66が形成されている。また、表示領域48を挟んでシール材44の切れ目46とは反対側に形成された部分60c自体にもスリット66が形成されている。このように、壁部60には複数のスリット66が形成されている。スリット66を通って、壁部60で囲まれた領域の内外をオイル52が流動できるようになっている。
【0027】
表示装置は、空セルにオイル52を充填した構造を有している。図5は、空セルの内部の一部を示す平面図である。図6は、図5に示す構造のVI−VI線断面図である。空セルは、上述したように、図1で下側に配置された光透過性基板10上に設けられた第2壁部64、第2スペーサ部58及び第2アンカー部32を含む。第2アンカー部32は、第2壁部64及び第2スペーサ部58の表層と同じ無機材料(半導体又は金属)からなる。第2アンカー部32は、立体的に立ち上がって光透過性基板10から浮いた部分を有する。第2アンカー部32の下には第2配線36があり、両者の電気的な接続が図られている。なお、第2スペーサ部58も第2配線36上に配置されている。
【0028】
図7〜図10は、第2壁部64、第2スペーサ部58及び第2アンカー部32を形成する工程を説明するための図である。
【0029】
図7に示すように、図1で下側に配置された光透過性基板10上に、第1樹脂層68を形成する。例えば、フォトレジストなどの感光性樹脂をリソグラフィによってパターニングし、紫外線等で硬化させて第1樹脂層68を形成する。第1樹脂層68は、第2壁部64の下層の樹脂部64a及び第2スペーサ部58の下層の樹脂部58aを構成する部分と、第2アンカー部32の下側部分をかたどる部分と、を含む。第1樹脂層68は、第2配線36に載るように形成するが、第2アンカー部32の第2配線36との電気的接続部を避けて、つまり第2配線36の一部を露出させるように形成する。
【0030】
図8に示すように、第1樹脂層68上に第2樹脂層70を形成する。第2樹脂層70も、フォトレジストなどの感光性樹脂をリソグラフィによってパターニングして形成する。第2樹脂層70は、第2壁部64の上層の樹脂部64b及び第2スペーサ部58の上層の樹脂部58bを構成する部分と、第2アンカー部32の上側部分をかたどる部分と、を含む。第2樹脂層70も、第2アンカー部32の第2配線36との電気的接続部を避けて、つまり第2配線36の一部を露出させるように形成する。
【0031】
図9に示すように、光透過性基板10並びにその上に形成された部材(第2配線36、第1樹脂層68及び第2樹脂層70)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)やスパッタリングなどによって無機層72(例えばa−SiN/Al膜)を形成し、これを、図10に示すようにエッチングする。無機層72は単層であってもよいし複数層であってもよい。エッチングによって、第2壁部64の無機部64c、第2スペーサ部58の無機部58c及び第2アンカー部32が得られる。さらに、第2アンカー部32の下に存在する第1樹脂層68及び第2樹脂層70を除去することで、図6に示す構造が得られる。
【0032】
第2アンカー部32の形成と同じプロセスで、シャッタ14、第1アンカー部22、第1バネ20及び第2バネ34も形成する。さらに、反対側の光透過性基板12には、第1壁部62及び第1スペーサ部56を同時に形成する(図4参照)。
【0033】
以上の工程で、スペーサ54、シャッタ14、駆動部38及び壁部60は、薄膜の成膜及びエッチングを含む複数回のプロセスで同時に形成される。
【0034】
本実施形態に係る表示装置の製造方法は、上記工程を含み、その後に続く空セルの組み立て工程を含む。空セルは、間隔をあけて配置された一対の光透過性基板10,12を有し、両者間の構造は、オイル52を有していない点を除き、上記表示装置の内容が該当する。つまり、空セルは、オイル52を注入する前の状態である。
【0035】
図11〜図14は、空セルにオイル52を注入する工程を説明する図である。本実施形態では、オイル52を注入する工程で、空間の内部を外部よりも低気圧にして、シール材44の切れ目46からオイル52を注入する。
【0036】
具体的には、図11に示すように、シール材44が空間を囲む空セル74を用意する。また、真空槽76に、オイル52の入った容器78を用意する。図12に示すように、真空槽76の内部を真空状態にした後に、シール材44の切れ目46(注入口)をオイル52に接触させる。図13に示すように、真空槽76の密閉状態を解除して空気をリークすると、空セル74の内部(シール材44によって囲まれた空間)に、シール材44の切れ目46からオイル52が充填される。オイル52は、粘性が低いほど流入速度が速くなる。
【0037】
本実施形態によれば、シール材44の切れ目46から表示領域48にオイル52を注入するときに、オイル52の流れを壁部60で弱めることができ、表示領域48に配置されたシャッタ14(図2参照)に与えるダメージを減らすことができる。また、壁部60を、スペーサ54、シャッタ14及び駆動部38と同時に形成するので、工程数の増加を避けることができる。こうして、図14に示すようにオイル52を充填する。その後、図2に示すように、切れ目46をエンドシール50で塞ぐ。
【0038】
図15及び図16は、本発明の実施形態に係る表示装置の変形例を示す図である。
【0039】
図15に示す例では、壁部160は、切れ目46と表示領域48との間で、最短経路を遮る位置を通って直線状に延びるように形成されている。壁部160は、この位置にのみ形成され、表示領域48を囲まないようになっている。少なくとも切れ目46から流入したオイル52(図14参照)が表示領域48に流入する手前で壁部160に当たるので、上述した効果を達成することができる。また、壁部160は、表示領域48の幅を超える長さで連続的に形成されているので、オイル52は表示領域48の横から回り込むように流れるので、流路が長くなることでも流速を遅くすることもできる。
【0040】
図16に示す例では、壁部260は、複数の平行な直線に沿って延び、それぞれの直線に沿って延びる部分がスリット266を有するように形成されている。スリット266は互い違いに形成されているので、オイル52(図14参照)がジグザグに流れるようになっている。これにより、オイル52の流路を長くすることができ、流速を遅くすることができる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 光透過性基板、12 光透過性基板、14 シャッタ、16 開口部、18 バックライト、20 第1バネ、22 第1アンカー部、24 第1配線、26 第1部、28 第2部、30 第3部、32 第2アンカー部、34 第2バネ、36 第2配線、38 駆動部、40 遮光膜、42 開口部、44 シール材、46 切れ目、48 表示領域、50 エンドシール、52 オイル、54 スペーサ、56 第1スペーサ部、58 第2スペーサ部、58a 樹脂部、58b 樹脂部、58c 無機部、60 壁部、60a 壁部の一部、60b 壁部の一部、60c 壁部の一部、62 第1壁部、64 第2壁部、64a 樹脂部、64b 樹脂部、64c 無機部、66 スリット、68 第1樹脂層、70 第2樹脂層、72 無機層、74 空セル、76 真空槽、78 容器、160 壁部、260 壁部、266 スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配置された一対の光透過性基板と、
前記一対の光透過性基板の対向面同士に密着し、切れ目を有して空間を囲むシール材と、
前記シール材の前記切れ目を塞いで、前記空間を封止して封止空間を形成するエンドシールと、
前記封止空間に満たされたオイルと、
前記オイル内に配置され、前記一対の光透過性基板間の前記間隔を保持するスペーサと、
一方の前記光透過性基板に形成された、開口部を有する遮光膜と、
前記オイル内に配置されたシャッタと、
前記開口部への光の通過及び遮断を制御するように、前記シャッタを機械的に駆動するための、前記オイル内に配置された駆動部と、
前記一対の光透過性基板の前記対向面の少なくとも一方上に形成された壁部と、
を有し、
前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部は、前記開口部を通過する光の有無及び強弱によって画像を表示する表示領域に配置され、
前記壁部は、前記シール材の前記切れ目と前記表示領域との最短経路を遮る位置に配置された部分を有し、前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部を構成する材料から形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記壁部は、前記一対の光透過性基板の前記対向面同士に密着していることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された表示装置において、
前記壁部は、前記表示領域を囲むように配置され、前記最短経路を遮る前記位置を除いてスリットが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載された表示装置において、
前記壁部は、前記切れ目と前記表示領域との間で、前記最短経路を遮る前記位置を通って直線状に延びるように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載された表示装置において、
前記壁部は、複数の平行な直線に沿って延び、それぞれの前記直線に沿って延びる部分がスリットを有するように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
間隔をあけて配置された一対の光透過性基板と、
前記一対の光透過性基板の対向面同士に密着し、切れ目を有して空間を囲むシール材と、
前記オイル内に配置され、前記一対の光透過性基板間の前記間隔を保持するスペーサと、
一方の前記光透過性基板に形成された、開口部を有する遮光膜と、
前記空間内に配置されたシャッタと、
前記開口部への光の通過及び遮断を制御するように、前記シャッタを機械的に駆動するための、前記空間内に配置された駆動部と、
前記一対の光透過性基板の前記対向面の少なくとも一方上に形成された壁部と、
を有し、
前記スペーサ、前記シャッタ及び前記駆動部は、前記開口部を通過する光の有無及び強弱によって画像を表示する表示領域に配置され、
前記壁部は、前記シール材の前記切れ目と前記表示領域との最短経路を遮る位置に配置された部分を有するように、空セルを組み立てる工程と、
前記シール材の前記切れ目から前記空セルにオイルを注入する工程と、
を含み、
前記空セルを組み立てる工程で、前記スペーサ、前記シャッタ、前記駆動部及び前記壁部を、薄膜の成膜及びエッチングを含む複数回のプロセスで同時に形成し、
前記オイルを注入する工程で、前記空間の内部を外部よりも低気圧にして、前記シール材の前記切れ目から前記オイルを注入することを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−252162(P2012−252162A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124625(P2011−124625)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】