表示装置及びその駆動方法
【課題】パネル毎に現れる色調のばらつきを補正可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上でパネル1に出力する色補正回路5を備えている。色補正回路5は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正する。
【解決手段】表示装置は、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上でパネル1に出力する色補正回路5を備えている。色補正回路5は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型のカラー表示装置及びその駆動方法に関する。より詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子によって代表される発光素子を画素に用いたカラー表示装置の色度調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」と略称)として有機EL表示装置に関心が高まっている。現在、FPDでは液晶表示装置(以下、「LCD」と略称)が主流を占めているが、これは自発光型のデバイスではなく、バックライトや偏光板などの部材を必要とするため、装置の薄型化や高輝度化を図る上で不利になる。
【0003】
一方、有機EL表示装置は、自発光型のデバイスであり、バックライトなどの部材が原理的に不要であるため、LCDと比較すると、装置の薄型化や高輝度化を図るうえで有利である。特に、各画素にスイッチング素子を形成したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置では、各画素をホールド点灯させることで消費電流を低く抑えることができ、大画面化及び高精細化が比較的容易に行える。こうした優位点もあって、アクティブマトリクス型有機EL表示装置は盛んに開発が進められており、次世代FPDの主流になると期待されている。
【0004】
また、近年ではデジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダーなどに代表される個人用撮影機器が発達している。それらのファインダー表示素子としては、結晶珪素基板上に画素回路及び駆動回路が形成されたLCOS(Liquid Crystal on Silicon)、あるいは高温又は低温多結晶シリコンLCDが用いられている。LCDを用いたファインダー素子では、透過型ではバックライトが、反射型ではフロントライトが必要である。したがって、必然的にモジュール厚が増加し、機器の薄型化に不利となる。また、個人用撮影機器の小型化とともにファインダー自体も小型化され、それに伴って画素自体も縮小されつつある。このため、透過型LCDでは表示部の開口率を十分に確保できず、性能限界に近づきつつある。また、反射型LCDではLCOSが主流になりつつあるが、やはり照明系は必要であるため、機器の薄型化に不利である。
【0005】
一方、有機ELをビューファインダー表示素子として用いた場合は、自発光型である故にLCDのような照明系を必要としないため、機器の薄型化に寄与することができる。また、有機ELの素子構造として上面発光の素子を用いることにより、表示部の開口率も十分に確保できる。
【0006】
RGB三原色発光を用いたカラー表示に好適な素子構造として、光共振型の有機EL素子が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。光共振型の有機EL素子では、有機EL層の上層及び下層に、それぞれ所定の反射率で光を反射する反射膜を形成し、有機EL層で発光させた光を上下の反射膜の間で共振させて光強度を増幅させることにより、一方の反射膜を通して特定の波長(色)成分の光を取り出すようになっている。
【0007】
こうした光共振型の有機EL素子を備える有機EL表示装置では、マトリクス状に配列されるR(赤)、G(緑)、B(青)の画素(サブピクセル)ごとに、有機EL層を挟む上下2つの反射膜の対向距離を個別に設定(調節)することにより、各色の光を画素単位(サブピクセル単位)で取り出すことができる。なぜなら光共振器の特性は、各々の反射膜の反射率及び対向距離によって決定されるからである。
【0008】
【特許文献1】特開2004−127588号公報
【特許文献2】特開2005−108644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光共振型の有機EL素子では、RGB各色を得るために白色有機EL層で発光した白色光を、一対の反射電極で構成された光共振器によりフィルタリングして、特定波長の成分のみを出力している。一対の電極間の光学距離を変えることで、RGB各色に対応した波長成分のみを選択的に取り出すことが出来る。この為、原理的にはカラーフィルタを用いることなくRGB色光を得ることが出来るので、低コストなカラー有機EL表示装置を得ることが出来る。しかしながら、互いに対向する電極間の光学距離をRGB各波長に合わせて正確に設定することは困難であり、パネル毎にばらつきが生じる。したがって製品レベルで見ると、個々のパネル毎に色調が異なってしまい、解決すべき課題となっている。
【0010】
図13は、個々のパネルに現れる色度のばらつきを表したグラフである。このグラフはCIE−XYZ表色系のxy色度図であり、3個のパネルについて実際に測定した色度をグラフに載せてある。グラフから明らかなように、個々のパネルの色度は製造工程などで大きくばらつく。
【0011】
ここで本発明の背景として、RGB色度及びXYZ色度につき簡単に説明しておく。色を表すために、人間の感覚的な三原色であるRGBの色光の強さをそのまま使えば、一つの色を表すのに3つの数値が必要になる。しかし、色そのものはRGBの光の混合比で決まるので、RGB全部の光の強さの和を1としてRとGの光の相対比を使えば、残りのBの相対比は自動的に決まり、2つの数値で色を決めることが出来る。実際には感覚的な三原色RGBだけでは表せない色もあるので、機械による測色や表色や目の波長感度特性を詳しく調べて数値化した(表色上の三原色)である3刺激値XYZを使う。そして3刺激値XYZに基づいて、上記の考え方に従い、2つの数値(x,y)を使ってxy座標空間で色を表したものを、xy色度図と呼ぶ。3刺激値XYZに基づく表色系は国際照明委員会CIEが作成した国際表示法で、CIE−XYZ表色系という。またこの表色系によるxy色度図は、CIEシステムあるいはCIE色度図と呼ばれる。色度図では全ての色が表現されている。ほぼ中央の点が白色(無彩色)に対応し、周辺に行くほど鮮やかさが増して、色度図周囲の境界で単色光(純色または飽和色)になる。
【0012】
色光を見たときの感覚的三原色RGBと、3刺激値に基づく表色上の三原色XYZは、一対一に対応しているわけではない。人間の目やRGB感度曲線は、あくまでも特徴的な波長(赤緑青)でひとつのピークを持つ曲線になる。人間の目では、主に感度領域の中央(緑色の光)で明るさを捉え、感度領域の両端(青や赤)で色合いを決めている。一方、XYZ表色系はRGBでは再現出来ない色をも表現するシステムなので、XYZ表色系などにおける3色の感度曲線は、RGB感度曲線とは異なる形状になっている。
【0013】
3刺激値をXYZとしたとき、CIEシステムではRGB光と白色光に対する各刺激値を図14のように決めている。この3刺激値XYZを用いると、
Xの相対比率xはx=X/(X+Y+Z)
Yの相対比yはy=Y/(X+Y+Z)
Zの相対比Zはz=Z/(X+Y+Z)=1−x−yになる。
またRGB値とxy値の関係式として、
x=0.6R−0.28G−0.32B
y=0.2R−0.52G+0.31Bとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はパネル毎に現れる色調のばらつきを補正可能な表示装置を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置であって、前記パネルは、各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路は、RGB画素に対応して、RGB三色に分かれたRGB映像信号を供給するとともに、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力する色補正回路を備えており、前記色補正回路は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器及び加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換する。或いは、前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム及びアンプを備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換する。場合によっては、前記色補正回路は、RGB三色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減する。RGB三色に発光する発光素子は、各々アノード電極とカソード電極と有機エレクトロルミネッセンス層とを備えた有機EL素子からなり、基板上に、第1金属反射膜、第1絶縁膜、第2金属反射膜、第2絶縁膜、第3金属反射膜及び第3絶縁膜を順に積層することにより、絶縁膜中に3層の金属反射膜を光共振用のミラーとして埋め込んだ構造で、第3絶縁膜の上にはRGB各色の発光素子ごと第1、第2及び第3金属反射膜に対向してアノード電極を形成し、これらのアノード電極の上に有機エレクトロルミネッセンス層を介して、各色共通の反射膜を兼ねるカソード電極を形成したものである。各画素は、各色の発光素子を駆動する複数のMOSトランジスタを含んであり、MOSトランジスタと第1、第2及び第3金属反射膜と第1、第2及び第3絶縁膜は、シリコン基板上にMOSプロセスを用いて形成されている。
【0016】
又本発明は、発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、前記パネルは各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路はRGB画素に対応してRGB三色に分かれたRGB映像信号を供給し、以って各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置の駆動方法であって、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力するため、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める手順と、あらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める手順と、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換する手順とを行い、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、個々のパネルによって異なる固有の飽和色及び白色をXYZ色度で計測しておく。この測定結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める。また、パネルの設計仕様により統一的に設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める。これらの予め求めた第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて、外部から供給された入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、これをパネルに供給する。かかる構成により、個々の製造工程によってパネル毎に現れる飽和色及び白色のばらつきをパネルの製品仕様にしたがって補正することが可能になる。
【0018】
例えば有機EL表示装置、特にMOSプロセスで形成された埋め込みミラー構造を有する光共振型有機EL表示装置において、デジタルの入力映像信号を、パネルで出力したい飽和色及び白色の色度座標に変換するデジタル乗算器と加算器を用いて変換することで、色度が補正された高画質で低コストの表示装置を得ることが出来る。
【0019】
また本発明によれば、例えば光共振型で埋め込みミラー構造を有する有機EL表示装置において、アナログの入力映像信号をボリュームやアンプで構成されるアナログ変換回路にて補正し、予め製品仕様で決められた飽和色及び白色を再現し、以って高画質で低コストの有機EL表示装置を実現している。
【0020】
なお場合によっては、RGB三原色間で色度ずれの程度に差がでることがある。例えばG飽和色の色度ずれが大きく、他の飽和色の色度ずれが小さい場合、特に第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いた変換プロセスを色度ずれの大きい色成分にのみ適用することで、実用上パネル全体の色調を顕著に改善することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。図示するように、本表示装置は基本的にパネル1と行駆動回路(2)と列駆動回路(3,4)と色補正回路5とで構成されている。パネル1は行状の走査線WSと列状の信号線SIGと、両者が交差する部分に配される画素100とで構成されている。画素100は発光素子を含んでいる。行駆動回路はVスキャナー2からなり、走査線WSを介して画素100の行を順次選択する。列駆動回路はHスキャナー3とサンプリングスイッチ4とで構成されている。外部から供給される映像信号はサンプリングスイッチ4を介して各信号線SIGに分配される。Hスキャナー3はサンプリングスイッチ4を開閉制御することで、映像信号を各信号線SIGに供給する。なお、本表示装置はパネル1の外部にVスキャナー2、Hスキャナー3及びサンプリングスイッチ4が配されている。但し本発明はこれに限られるものではなく、これら周辺駆動回路の少なくとも一部をパネル1の内部に内蔵させることは出来る。
【0022】
本表示装置はカラー表示が出来る。この為、パネル1は、各画素100がRGB3色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されている。また列駆動回路(3,4)は、RGB画素100に対応して、RGB3色に分かれたRGB映像信号を供給する。本発明の特徴事項として色補正回路5が備えられており、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で、列駆動回路(3,4)に出力している。この色補正回路5は、予めパネル1固有の飽和色及び白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、さらに予めパネル1の仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に現れる飽和色及び白色のばらつきをパネルの仕様に従って補正する。
【0023】
一態様では、色補正回路5は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器および加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換する。他の態様では、色補正回路5は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム(可変抵抗器)及びアンプ(増幅器)を備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換する。さらに別の態様では、色補正回路5は、RGB3色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色(例えばR)の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色(例えばB,R)の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減している。
【0024】
図2は、図1に示した各画素100に含まれるRGB3色のいずれかに発光する発光素子の具体例を示す模式的な断面図である。この断面図は理解を容易にするためRGB3色で1セットの発光素子3個を表してある。これらの発光素子は光共振型であり且つ金属反射膜を埋め込んだ埋め込みミラー構造となっている。図において、基板6は、例えば、シリコン基板等の半導体基板やガラス基板からなるものである。基板6の一方の面上には、第1金属反射膜7、第1絶縁膜8、第2金属反射膜9、第2絶縁膜10、第3金属反射膜11、第3絶縁膜12、アノード電極13、有機EL層14、カソード電極15が順に積層した状態で形成されている。なお、ここでは基板6に近い方の電極(下部電極)をアノード電極13、遠い方の電極(上部電極)をカソード電極15としているが、これらの電極の位置関係は上下逆であってもかまわない。
【0025】
各々の金属反射膜7,9,11は、例えば、アルミニウム、銀等の単体金属あるいはそれらを含む合金など、光の反射率の高い金属材料によって形成されるものである。第1金属反射膜7は、Gの光が取り出される画素位置に形成されている。また、第2金属反射膜9は、Bの光が取り出される画素位置に形成され、第3金属反射膜11は、Rの光が取り出される画素位置に形成されている。各々の金属反射膜7,9,11は、それぞれに対応するRGBの画素位置でカソード電極15と対向し、このカソード電極15を一方の反射膜(ミラー)として光共振器を構成するものである。このため、各々の金属反射膜7,9,11の膜厚は、所望の反射率(一般的には80〜90%の範囲内に設定)が得られるように、例えば5〜50nmの範囲内に設定されている。
【0026】
各々の絶縁膜8,10,12は、光透過性を有するもので、例えば、酸化シリコン(SiO2)によって形成されている。第1絶縁膜8は、第1金属反射膜7を覆う状態で基板6上に形成されている。また、第2絶縁膜10は、第2金属反射膜9を覆う状態で第1絶縁膜8上に形成され、第3絶縁膜12は、第3金属反射膜11を覆う状態で第2絶縁膜10上に形成されている。これにより、基板6の厚み方向(積層方向)においては、第1絶縁膜8が第1金属反射膜7と第2金属反射膜9との間に介在し、第2絶縁膜10が第2金属反射膜9と第3金属反射膜11との間に介在した状態になっている。
【0027】
また、各々の絶縁膜8,10,12の膜厚は、Gの画素位置で光共振器を構成する第1金属反射膜7とカソード電極15との間の対向距離L1と、Bの画素位置で光共振器を構成する第2金属反射膜9とカソード電極15との間の対向距離L2と、Rの画素位置で光共振器を構成する第3金属反射膜12とカソード電極15との間の対向距離L3が、それぞれに対応する色光の波長に適合した値となるように設定されている。すなわち、対向距離L1は、Gの光を共振させるのに適した値に設定され、対向距離L2は、Bの光を共振させるのに適した値に設定され、対向距離L3は、Rの光を共振させるのに適した値に設定されている。ちなみに、対向距離L1,L2,L3の相対的な大小関係は、L1>L2>L3となっている。また、基板6の面方向における各々の金属反射膜7,9,11の端部は、カソード電極15成膜のカバレッジ性を考慮して、各層で例えば50nm以上ずつずらして、各々の端部段差を金属反射膜1層分程度に抑えることが望ましい。
【0028】
アノード電極13は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の透明導電材料を用いて形成されたものである。アノード電極13は、基板6の面方向でRGBの画素(サブピクセル)ごとに1つずつ設けられている。
【0029】
有機EL層14は、少なくとも発光層(有機材料)を含む光源体を構成するもので、例えば、3層型であれば、ホール輸送層、発光層、電子輸送層を順に積層してなり、4層型であれば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子注入層を順に積層してなるものである。この有機EL層14の発光層は、白色の光を発光するものとなっている。
【0030】
カソード電極15は、上記金属反射膜7,9,11と同様に、例えば、アルミニウム、銀等の単体金属あるいはそれらを含む合金など、光の反射率の高い金属材料によって形成されるものである。カソード電極15は、RGBの各色共通の電極として、パネル1の表示部全域に一様な膜厚で形成されるものである。また、カソード電極15は、RGBの画素ごとに形成された各々の金属反射膜7,9,11を他方の反射膜(ミラー)として光共振器を構成するものである。このため、カソード電極15の膜厚は、各々の金属反射膜7,9,11と同等の反射率(厳密には若干低い反射率)が得られるように、例えば5〜50nmの範囲内に設定されている。
【0031】
かかる有機EL素子の構成において、アノード電極13とカソード電極15との間に所定の電圧を印加すると、有機EL層14に対して、アノード電極13側からホールが、カソード電極15側から電子がそれぞれ送り込まれ、それらが発光層で結合(再結合)することにより、有機EL層14が発光状態となる。このとき、有機EL層14では白色の光を発光する。
【0032】
こうして有機EL層14が発光すると、第1金属反射膜7とカソード電極15との間ではGの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたGの光が、第1金属反射膜7から遠ざかる方向でカソード電極15側(基板6と反対側)から取り出される。また、第2金属反射膜9とカソード電極15との間ではBの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたBの光が、第2金属反射膜9から遠ざかる方向でカソード電極15側から取り出される。同様に、第3金属反射膜11とカソード電極15との間ではRの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたRの光が、第3金属反射膜11から遠ざかる方向でカソード電極15側から取り出される。これにより、有機EL表示パネル1の表示部においては、上部電極から光を取り出す「上面発光方式」にしたがって、RGBの画素位置でそれぞれ所望の光が選択的に取り出されることになる。
【0033】
図3は、図1の表示装置に含まれる画素100の構成例を示す模式的な回路図である。図は、RGBで1セットになった赤色画素100R、青色画素100B及び緑色画素100Gの回路構成を表している。赤色画素100Rは走査線WSとR映像信号を供給する信号線SIG−Rとが交差する部分に配されている。同様に青色画素100Bは走査線WSとB映像信号を供給する信号線SIG−B等が交差する部分に配されている。緑色画素100Gは走査線WSとG映像信号を供給する信号線SIG−Gとが交差する部分に配されている。各画素100R,100B及び100Gは全て同じ構成となっており、対応する発光色の発光素子ELR,ELB及びELGを各々サンプリングトランジスタT1、ドライブトランジスタT2及び画素容量Csで駆動する。例えば赤色画素100Rに注目すると、サンプリングトランジスタT1のゲートは走査線WSに接続し、ソース/ドレインの一方は信号線SIG−Rに接続し、他方は画素容量Csの一端に接続している。画素容量Csの他端は接地電位Vssに接続している。ドライブトランジスタT2のゲートは画素容量Csの一端に接続し、ソース/ドレインの一方は電源電位Vccに接続し、他端は発光素子ELRのアノードに接続している。発光素子ELRのカソードは所定のカソード電位Vkに接続している。
【0034】
かかる構成において、サンプリングトランジスタT1は走査線WSによって選択されたとき、信号線SIG−Rから供給されるR映像信号をサンプリングして、画素容量Csに保持する。ドライブトランジスタT2は画素容量Csに保持されたR映像信号に応じて動作し、ドレイン電流IRを発光素子ELRに供給する。これにより発光素子ELRはR映像信号に応じた輝度で赤色発光する。
【0035】
ここでサンプリングトランジスタT1及びドライブトランジスタT2は、例えばシリコンウェハなどからなる基板6にMOSプロセスを用いて集積形成される。画素容量Csも同時にMOSプロセスで集積形成可能である。さらに発光素子ELもMOSプロセスを応用した技術で、トランジスタT,T2,画素容量Csの上に重ねて形成可能である。上側の発光素子ELのアノードは、コンタクトを介して下側のドライブトランジスタT2に接続する。なお、図3に示した回路構成は一例に過ぎず、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0036】
図4は、本発明にかかる表示装置の駆動方法を模式的に表したフローチャートである。主として色補正回路5に関連して行われる色補正用のアルゴリズムを示している。まずステップS1で、入力映像RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対応するパネル固有の飽和色と白色の色度座標を計測する。次にステップS2でこの計測結果から色変換行列(RGB→XYZ)Mcを決定する。続いてステップS3で、出力したい色度座標の色変換行列(XYZ→RGB)Mpから、実際にパネルで出力するRGBデータを求める。最後にステップS4で、パネルに対し変換されたRGB信号を出力し、カラー表示を行う。
【0037】
図5は、図4に示したフローチャート形式のアルゴリズムを、ブロック図に表現したものである。まず、個々のパネルが表示する飽和色色度は製造工程によりばらつくので、パネル固有の飽和色及び白色色度(XYZ)を計測する。この計測されたXYZと入力RGBデータより、変換マトリクスMcを得る。この変換マトリクスは3×3行列となる。この変換行列を予めメモリに記憶しておく。さらにパネルで実際に出力したい飽和色色度から変換マトリクスMpを得る。この変換マトリクスMpも3×3行列であり、XYZからRGBに変換するものである。変換マトリクスMpは予め製品仕様で決定されるもので、個々のパネルによらず一定である。よって、本アルゴリズムで変換されたRGB信号により、個々のパネルで飽和色及び白色色度が入力RGB信号によらず一定にすることが出来る。実際の変換演算は、まず第1変換マトリクスMcと第2変換マトリクスMpの積を求めて合成された変換マトリクスMtを得る。この合成変換マトリクスも3×3行列である。入力RGBデータ(Ri,Gi,Bi)にこの3×3行列Mtを作用させて、出力RGBデータ(Ro,Go,Bo)を得る。この出力RGBデータ(Ro,Go,Bo)がパネル側に供給されることになる。
【0038】
図6は、変換結果を示すグラフである。変換前と変換後で個々のパネルに現れる色度分布の変化をxy色度図に示している。図から明らかなように、変換される前は各色の飽和色度が製造工程によりばらつき、同じ入力に対して違う色度の色を出力してしまう。これに対し色補正回路で映像信号を変換することにより、同じ入力RGBデータで同じ色を個々のパネルによらず出力することができ、製造工程起因の色度ばらつきを補正することが可能である。グラフから明らかなように、変換後ではどのパネルも色度分布が中央のハッチングを付した領域に収まっている。
【0039】
図7は、図1に示した色補正回路5の具体的な構成例を示すブロック図である。本実施形態の色補正回路はデジタル方式で図5に示した入力映像データ(Ri,Gi,Bi)から出力映像データ(Ro,Go,Bo)への変換演算を実行するものである。図示するように、デジタル色補正回路は、18個のデジタル乗算器と6個のデジタル加算器により構成されている。入力されたNビットRGB信号は、まず第1の乗算器群にて、パネル固有の飽和色及び白色色度座標から得られるパネル変換係数データと乗算され、その出力が第1加算器群に渡される。この第1加算器群で演算され出力された信号は、入力RGBデータに相当するパネルの色度XYZになる。このXYZ信号が第2の乗算器群に渡される。第2乗算器群ではパネルで出力したい飽和色および白色色度データから求めた仕様変換係数と、色度XYZとが掛け合わされる。この出力が第2の加算器群に渡されその出力がパネル側に供給される。最終的な出力はXYZ色度データからRGBデータに変換されたものである。上記説明中パネル変換係数は図5に示したマトリクスMcから得られるものであり、仕様変換係数は同じくマトリクスMpから得られるものである。以上のデジタル演算により、デジタルの入力データ(Ri,Gi,Bi)は同じくデジタルの出力映像データ(Ro,Go,Bo)となって、パネル側に供給される。
【0040】
図8は、図1に示した色補正回路の他の実施形態を示す模式的な回路図である。この実施形態は、ボリューム(可変抵抗器)及びオペアンプ(演算増幅器)を備えており、これらを用いてアナログの入力RGB映像信号(Ri,Gi,Bi)をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号(Ro,Go,Bo)に変換する。図示の例では、色補正回路は3個の演算増幅器と12個の抵抗とで構成されており、このうち9個は可変抵抗となっている。入力RGB信号(Ri,Gi,Bi)を各可変抵抗により決定される係数で掛け合わせ、その総和を取ることで、出力映像信号(Ro,Go,Bo)を得ている。可変抵抗の値は、パネル固有の最大色再現範囲とパネルの仕様により決定される色再現範囲とに基づいて与えられる。具体的には、これらの可変抵抗器に設定される係数は、第1変換マトリクスMcと第2変換マトリクスMpを合成した変換マトリクスMtの3×3行列係数により決まる。
【0041】
ところで、図2に示した光共振型でミラー埋め込み構造の発光素子ではGBRに対応した光路長L1,L2,L3は、埋め込んだ金属反射膜を被覆する酸化膜の膜厚により決定される。製造工程のばらつきで酸化膜厚は変動するため、光路長L1,L2,L3も一定にならず、この結果パネル毎に色調が異なってしまう。パネルに固有の色度ずれは場合により特定の色のみ強く発生することがある。例えば図9に示した例では、xy色度座標上で、特にG色度のずれが製造ばらつきなどで大きくなっている。これに比べ、他のB色度及びR色度のばらつきは小さい。
【0042】
この様な場合、RGB3色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減することが出来る。この目的で構成された色補正回路を図10に示す。この色補正回路は、1個のデジタル乗算器により形成されている。この色補正回路は、特に緑の色度ずれが顕著なパネルに適用されるものである。入力されるNビットRGB信号のうちGデータのみ、パネル本来のG飽和色から得られる変換係数データと乗算され、その出力がパネル側に渡される。他の色の入力データRi及びBiは、そのまま出力映像信号Ro,Boとしてパネル側に渡される。
【0043】
図10に示した色補正回路の動作原理を、図11に基づき説明する。図11は本方式のアルゴリズムを表すものである。まず個々のパネルが出力する固有の飽和色色度は製造工程などによりばらつくので、パネル固有の飽和色及び白色色度(XYZ)を計測する。この計測されたXYZ色度と入力RGBデータにより変換マトリクスMcを得る。この変換マトリクスは3×3行列であり、これをメモリに記憶しておく。さらにパネルで本来出力したい飽和色色度から変換マトリクスMpを得る。Mpも3×3行列であり、XYZからRGBに変換するものである。この変換マトリクスMpはパネルの製品仕様で決定されるもので、個々のパネルによらず一定である。ここで第1変換マトリクスMc及び第2変換マトリクスMpを掛け合わせて、入出力変換に用いる合成マトリクスMtを得る。この合成変換マトリクスMt=Mc×Mpも3×3行列となる。ここでは、特にばらつきの大きいG色度を補正しようとしているので、入力データ中RiとBiは0とする。
【0044】
ここで変換演算(Ri,Gi,Bi)×Mt=(Ro,Go,Bo)を実行するが、Ri=Bi=0なので、Ro=K12・Gi、Go=K22・Gi、Bo=K32・Giとなる。ここでKijは合成変換マトリクスMtのi行j列の要素である。個々のパネル間でG色以外のB色及びR色の色度ずれは小さく、行列要素K12及びK32の数値は無視できるほど低い。したがって(Ri,Gi,Bi)×Mt=(Ro,Go,Bo)の演算結果は結局緑色成分だけでGo=K22・Giで表現できる。この演算を実行しているのが、図10に示した色補正回路である。
【0045】
図10に示した補正回路により緑色を補正した結果が図12のグラフに示されている。変換される前は各色の飽和色度が製造工程によりばらつき、同じ映像入力であってもパネル毎に異なる色度の色を表示してしまう。これに対し図10で示した色補正回路によりデジタルRGB映像信号を変換することで、特にばらつきの大きいG色成分を一定にすることが出来る。この様に同じ入力RGBデータで色度ずれの大きいG色をパネルによらず一定に出力することが出来、製造工程ばらつき起因の色調の違いを修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したパネルに含まれるRGB発光素子の構成例を示す模式的な断面図である。
【図3】図1に示したパネルに含まれるRGB画素の回路構成を示す回路図である。
【図4】図1に示した表示装置によって実行される色補正アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】同じく色補正アルゴリズムを示すブロック図である。
【図6】色補正結果を示すグラフである。
【図7】図1に示した色補正回路の実施形態を示すブロック図である。
【図8】同じく他の実施形態を示す回路図である。
【図9】パネルの色度のばらつきを示すグラフである。
【図10】図1に示した色補正回路の別の実施形態を示す模式図である。
【図11】図10に示した実施形態で実行される色補正アルゴリズムを示すブロック図である。
【図12】図10に示した色補正回路で補正された結果を示す色度図である。
【図13】個々のパネルの色調のばらつきを示したグラフである。
【図14】RGB表色系とXYZ表色系の関係を示す表図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・パネル、2・・・Vスキャナー、3・・・Hスキャナー、4・・・サンプリングスイッチ、5・・・色補正回路、100・・・画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型のカラー表示装置及びその駆動方法に関する。より詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子によって代表される発光素子を画素に用いたカラー表示装置の色度調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」と略称)として有機EL表示装置に関心が高まっている。現在、FPDでは液晶表示装置(以下、「LCD」と略称)が主流を占めているが、これは自発光型のデバイスではなく、バックライトや偏光板などの部材を必要とするため、装置の薄型化や高輝度化を図る上で不利になる。
【0003】
一方、有機EL表示装置は、自発光型のデバイスであり、バックライトなどの部材が原理的に不要であるため、LCDと比較すると、装置の薄型化や高輝度化を図るうえで有利である。特に、各画素にスイッチング素子を形成したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置では、各画素をホールド点灯させることで消費電流を低く抑えることができ、大画面化及び高精細化が比較的容易に行える。こうした優位点もあって、アクティブマトリクス型有機EL表示装置は盛んに開発が進められており、次世代FPDの主流になると期待されている。
【0004】
また、近年ではデジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダーなどに代表される個人用撮影機器が発達している。それらのファインダー表示素子としては、結晶珪素基板上に画素回路及び駆動回路が形成されたLCOS(Liquid Crystal on Silicon)、あるいは高温又は低温多結晶シリコンLCDが用いられている。LCDを用いたファインダー素子では、透過型ではバックライトが、反射型ではフロントライトが必要である。したがって、必然的にモジュール厚が増加し、機器の薄型化に不利となる。また、個人用撮影機器の小型化とともにファインダー自体も小型化され、それに伴って画素自体も縮小されつつある。このため、透過型LCDでは表示部の開口率を十分に確保できず、性能限界に近づきつつある。また、反射型LCDではLCOSが主流になりつつあるが、やはり照明系は必要であるため、機器の薄型化に不利である。
【0005】
一方、有機ELをビューファインダー表示素子として用いた場合は、自発光型である故にLCDのような照明系を必要としないため、機器の薄型化に寄与することができる。また、有機ELの素子構造として上面発光の素子を用いることにより、表示部の開口率も十分に確保できる。
【0006】
RGB三原色発光を用いたカラー表示に好適な素子構造として、光共振型の有機EL素子が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。光共振型の有機EL素子では、有機EL層の上層及び下層に、それぞれ所定の反射率で光を反射する反射膜を形成し、有機EL層で発光させた光を上下の反射膜の間で共振させて光強度を増幅させることにより、一方の反射膜を通して特定の波長(色)成分の光を取り出すようになっている。
【0007】
こうした光共振型の有機EL素子を備える有機EL表示装置では、マトリクス状に配列されるR(赤)、G(緑)、B(青)の画素(サブピクセル)ごとに、有機EL層を挟む上下2つの反射膜の対向距離を個別に設定(調節)することにより、各色の光を画素単位(サブピクセル単位)で取り出すことができる。なぜなら光共振器の特性は、各々の反射膜の反射率及び対向距離によって決定されるからである。
【0008】
【特許文献1】特開2004−127588号公報
【特許文献2】特開2005−108644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光共振型の有機EL素子では、RGB各色を得るために白色有機EL層で発光した白色光を、一対の反射電極で構成された光共振器によりフィルタリングして、特定波長の成分のみを出力している。一対の電極間の光学距離を変えることで、RGB各色に対応した波長成分のみを選択的に取り出すことが出来る。この為、原理的にはカラーフィルタを用いることなくRGB色光を得ることが出来るので、低コストなカラー有機EL表示装置を得ることが出来る。しかしながら、互いに対向する電極間の光学距離をRGB各波長に合わせて正確に設定することは困難であり、パネル毎にばらつきが生じる。したがって製品レベルで見ると、個々のパネル毎に色調が異なってしまい、解決すべき課題となっている。
【0010】
図13は、個々のパネルに現れる色度のばらつきを表したグラフである。このグラフはCIE−XYZ表色系のxy色度図であり、3個のパネルについて実際に測定した色度をグラフに載せてある。グラフから明らかなように、個々のパネルの色度は製造工程などで大きくばらつく。
【0011】
ここで本発明の背景として、RGB色度及びXYZ色度につき簡単に説明しておく。色を表すために、人間の感覚的な三原色であるRGBの色光の強さをそのまま使えば、一つの色を表すのに3つの数値が必要になる。しかし、色そのものはRGBの光の混合比で決まるので、RGB全部の光の強さの和を1としてRとGの光の相対比を使えば、残りのBの相対比は自動的に決まり、2つの数値で色を決めることが出来る。実際には感覚的な三原色RGBだけでは表せない色もあるので、機械による測色や表色や目の波長感度特性を詳しく調べて数値化した(表色上の三原色)である3刺激値XYZを使う。そして3刺激値XYZに基づいて、上記の考え方に従い、2つの数値(x,y)を使ってxy座標空間で色を表したものを、xy色度図と呼ぶ。3刺激値XYZに基づく表色系は国際照明委員会CIEが作成した国際表示法で、CIE−XYZ表色系という。またこの表色系によるxy色度図は、CIEシステムあるいはCIE色度図と呼ばれる。色度図では全ての色が表現されている。ほぼ中央の点が白色(無彩色)に対応し、周辺に行くほど鮮やかさが増して、色度図周囲の境界で単色光(純色または飽和色)になる。
【0012】
色光を見たときの感覚的三原色RGBと、3刺激値に基づく表色上の三原色XYZは、一対一に対応しているわけではない。人間の目やRGB感度曲線は、あくまでも特徴的な波長(赤緑青)でひとつのピークを持つ曲線になる。人間の目では、主に感度領域の中央(緑色の光)で明るさを捉え、感度領域の両端(青や赤)で色合いを決めている。一方、XYZ表色系はRGBでは再現出来ない色をも表現するシステムなので、XYZ表色系などにおける3色の感度曲線は、RGB感度曲線とは異なる形状になっている。
【0013】
3刺激値をXYZとしたとき、CIEシステムではRGB光と白色光に対する各刺激値を図14のように決めている。この3刺激値XYZを用いると、
Xの相対比率xはx=X/(X+Y+Z)
Yの相対比yはy=Y/(X+Y+Z)
Zの相対比Zはz=Z/(X+Y+Z)=1−x−yになる。
またRGB値とxy値の関係式として、
x=0.6R−0.28G−0.32B
y=0.2R−0.52G+0.31Bとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はパネル毎に現れる色調のばらつきを補正可能な表示装置を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明は、発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置であって、前記パネルは、各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路は、RGB画素に対応して、RGB三色に分かれたRGB映像信号を供給するとともに、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力する色補正回路を備えており、前記色補正回路は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器及び加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換する。或いは、前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム及びアンプを備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換する。場合によっては、前記色補正回路は、RGB三色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減する。RGB三色に発光する発光素子は、各々アノード電極とカソード電極と有機エレクトロルミネッセンス層とを備えた有機EL素子からなり、基板上に、第1金属反射膜、第1絶縁膜、第2金属反射膜、第2絶縁膜、第3金属反射膜及び第3絶縁膜を順に積層することにより、絶縁膜中に3層の金属反射膜を光共振用のミラーとして埋め込んだ構造で、第3絶縁膜の上にはRGB各色の発光素子ごと第1、第2及び第3金属反射膜に対向してアノード電極を形成し、これらのアノード電極の上に有機エレクトロルミネッセンス層を介して、各色共通の反射膜を兼ねるカソード電極を形成したものである。各画素は、各色の発光素子を駆動する複数のMOSトランジスタを含んであり、MOSトランジスタと第1、第2及び第3金属反射膜と第1、第2及び第3絶縁膜は、シリコン基板上にMOSプロセスを用いて形成されている。
【0016】
又本発明は、発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、前記パネルは各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路はRGB画素に対応してRGB三色に分かれたRGB映像信号を供給し、以って各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置の駆動方法であって、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力するため、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める手順と、あらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める手順と、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換する手順とを行い、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、個々のパネルによって異なる固有の飽和色及び白色をXYZ色度で計測しておく。この測定結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める。また、パネルの設計仕様により統一的に設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める。これらの予め求めた第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて、外部から供給された入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、これをパネルに供給する。かかる構成により、個々の製造工程によってパネル毎に現れる飽和色及び白色のばらつきをパネルの製品仕様にしたがって補正することが可能になる。
【0018】
例えば有機EL表示装置、特にMOSプロセスで形成された埋め込みミラー構造を有する光共振型有機EL表示装置において、デジタルの入力映像信号を、パネルで出力したい飽和色及び白色の色度座標に変換するデジタル乗算器と加算器を用いて変換することで、色度が補正された高画質で低コストの表示装置を得ることが出来る。
【0019】
また本発明によれば、例えば光共振型で埋め込みミラー構造を有する有機EL表示装置において、アナログの入力映像信号をボリュームやアンプで構成されるアナログ変換回路にて補正し、予め製品仕様で決められた飽和色及び白色を再現し、以って高画質で低コストの有機EL表示装置を実現している。
【0020】
なお場合によっては、RGB三原色間で色度ずれの程度に差がでることがある。例えばG飽和色の色度ずれが大きく、他の飽和色の色度ずれが小さい場合、特に第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いた変換プロセスを色度ずれの大きい色成分にのみ適用することで、実用上パネル全体の色調を顕著に改善することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。図示するように、本表示装置は基本的にパネル1と行駆動回路(2)と列駆動回路(3,4)と色補正回路5とで構成されている。パネル1は行状の走査線WSと列状の信号線SIGと、両者が交差する部分に配される画素100とで構成されている。画素100は発光素子を含んでいる。行駆動回路はVスキャナー2からなり、走査線WSを介して画素100の行を順次選択する。列駆動回路はHスキャナー3とサンプリングスイッチ4とで構成されている。外部から供給される映像信号はサンプリングスイッチ4を介して各信号線SIGに分配される。Hスキャナー3はサンプリングスイッチ4を開閉制御することで、映像信号を各信号線SIGに供給する。なお、本表示装置はパネル1の外部にVスキャナー2、Hスキャナー3及びサンプリングスイッチ4が配されている。但し本発明はこれに限られるものではなく、これら周辺駆動回路の少なくとも一部をパネル1の内部に内蔵させることは出来る。
【0022】
本表示装置はカラー表示が出来る。この為、パネル1は、各画素100がRGB3色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されている。また列駆動回路(3,4)は、RGB画素100に対応して、RGB3色に分かれたRGB映像信号を供給する。本発明の特徴事項として色補正回路5が備えられており、外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で、列駆動回路(3,4)に出力している。この色補正回路5は、予めパネル1固有の飽和色及び白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、さらに予めパネル1の仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に現れる飽和色及び白色のばらつきをパネルの仕様に従って補正する。
【0023】
一態様では、色補正回路5は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器および加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換する。他の態様では、色補正回路5は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム(可変抵抗器)及びアンプ(増幅器)を備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換する。さらに別の態様では、色補正回路5は、RGB3色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色(例えばR)の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色(例えばB,R)の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減している。
【0024】
図2は、図1に示した各画素100に含まれるRGB3色のいずれかに発光する発光素子の具体例を示す模式的な断面図である。この断面図は理解を容易にするためRGB3色で1セットの発光素子3個を表してある。これらの発光素子は光共振型であり且つ金属反射膜を埋め込んだ埋め込みミラー構造となっている。図において、基板6は、例えば、シリコン基板等の半導体基板やガラス基板からなるものである。基板6の一方の面上には、第1金属反射膜7、第1絶縁膜8、第2金属反射膜9、第2絶縁膜10、第3金属反射膜11、第3絶縁膜12、アノード電極13、有機EL層14、カソード電極15が順に積層した状態で形成されている。なお、ここでは基板6に近い方の電極(下部電極)をアノード電極13、遠い方の電極(上部電極)をカソード電極15としているが、これらの電極の位置関係は上下逆であってもかまわない。
【0025】
各々の金属反射膜7,9,11は、例えば、アルミニウム、銀等の単体金属あるいはそれらを含む合金など、光の反射率の高い金属材料によって形成されるものである。第1金属反射膜7は、Gの光が取り出される画素位置に形成されている。また、第2金属反射膜9は、Bの光が取り出される画素位置に形成され、第3金属反射膜11は、Rの光が取り出される画素位置に形成されている。各々の金属反射膜7,9,11は、それぞれに対応するRGBの画素位置でカソード電極15と対向し、このカソード電極15を一方の反射膜(ミラー)として光共振器を構成するものである。このため、各々の金属反射膜7,9,11の膜厚は、所望の反射率(一般的には80〜90%の範囲内に設定)が得られるように、例えば5〜50nmの範囲内に設定されている。
【0026】
各々の絶縁膜8,10,12は、光透過性を有するもので、例えば、酸化シリコン(SiO2)によって形成されている。第1絶縁膜8は、第1金属反射膜7を覆う状態で基板6上に形成されている。また、第2絶縁膜10は、第2金属反射膜9を覆う状態で第1絶縁膜8上に形成され、第3絶縁膜12は、第3金属反射膜11を覆う状態で第2絶縁膜10上に形成されている。これにより、基板6の厚み方向(積層方向)においては、第1絶縁膜8が第1金属反射膜7と第2金属反射膜9との間に介在し、第2絶縁膜10が第2金属反射膜9と第3金属反射膜11との間に介在した状態になっている。
【0027】
また、各々の絶縁膜8,10,12の膜厚は、Gの画素位置で光共振器を構成する第1金属反射膜7とカソード電極15との間の対向距離L1と、Bの画素位置で光共振器を構成する第2金属反射膜9とカソード電極15との間の対向距離L2と、Rの画素位置で光共振器を構成する第3金属反射膜12とカソード電極15との間の対向距離L3が、それぞれに対応する色光の波長に適合した値となるように設定されている。すなわち、対向距離L1は、Gの光を共振させるのに適した値に設定され、対向距離L2は、Bの光を共振させるのに適した値に設定され、対向距離L3は、Rの光を共振させるのに適した値に設定されている。ちなみに、対向距離L1,L2,L3の相対的な大小関係は、L1>L2>L3となっている。また、基板6の面方向における各々の金属反射膜7,9,11の端部は、カソード電極15成膜のカバレッジ性を考慮して、各層で例えば50nm以上ずつずらして、各々の端部段差を金属反射膜1層分程度に抑えることが望ましい。
【0028】
アノード電極13は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の透明導電材料を用いて形成されたものである。アノード電極13は、基板6の面方向でRGBの画素(サブピクセル)ごとに1つずつ設けられている。
【0029】
有機EL層14は、少なくとも発光層(有機材料)を含む光源体を構成するもので、例えば、3層型であれば、ホール輸送層、発光層、電子輸送層を順に積層してなり、4層型であれば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子注入層を順に積層してなるものである。この有機EL層14の発光層は、白色の光を発光するものとなっている。
【0030】
カソード電極15は、上記金属反射膜7,9,11と同様に、例えば、アルミニウム、銀等の単体金属あるいはそれらを含む合金など、光の反射率の高い金属材料によって形成されるものである。カソード電極15は、RGBの各色共通の電極として、パネル1の表示部全域に一様な膜厚で形成されるものである。また、カソード電極15は、RGBの画素ごとに形成された各々の金属反射膜7,9,11を他方の反射膜(ミラー)として光共振器を構成するものである。このため、カソード電極15の膜厚は、各々の金属反射膜7,9,11と同等の反射率(厳密には若干低い反射率)が得られるように、例えば5〜50nmの範囲内に設定されている。
【0031】
かかる有機EL素子の構成において、アノード電極13とカソード電極15との間に所定の電圧を印加すると、有機EL層14に対して、アノード電極13側からホールが、カソード電極15側から電子がそれぞれ送り込まれ、それらが発光層で結合(再結合)することにより、有機EL層14が発光状態となる。このとき、有機EL層14では白色の光を発光する。
【0032】
こうして有機EL層14が発光すると、第1金属反射膜7とカソード電極15との間ではGの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたGの光が、第1金属反射膜7から遠ざかる方向でカソード電極15側(基板6と反対側)から取り出される。また、第2金属反射膜9とカソード電極15との間ではBの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたBの光が、第2金属反射膜9から遠ざかる方向でカソード電極15側から取り出される。同様に、第3金属反射膜11とカソード電極15との間ではRの光が共振し、この共振によって光強度が増幅されたRの光が、第3金属反射膜11から遠ざかる方向でカソード電極15側から取り出される。これにより、有機EL表示パネル1の表示部においては、上部電極から光を取り出す「上面発光方式」にしたがって、RGBの画素位置でそれぞれ所望の光が選択的に取り出されることになる。
【0033】
図3は、図1の表示装置に含まれる画素100の構成例を示す模式的な回路図である。図は、RGBで1セットになった赤色画素100R、青色画素100B及び緑色画素100Gの回路構成を表している。赤色画素100Rは走査線WSとR映像信号を供給する信号線SIG−Rとが交差する部分に配されている。同様に青色画素100Bは走査線WSとB映像信号を供給する信号線SIG−B等が交差する部分に配されている。緑色画素100Gは走査線WSとG映像信号を供給する信号線SIG−Gとが交差する部分に配されている。各画素100R,100B及び100Gは全て同じ構成となっており、対応する発光色の発光素子ELR,ELB及びELGを各々サンプリングトランジスタT1、ドライブトランジスタT2及び画素容量Csで駆動する。例えば赤色画素100Rに注目すると、サンプリングトランジスタT1のゲートは走査線WSに接続し、ソース/ドレインの一方は信号線SIG−Rに接続し、他方は画素容量Csの一端に接続している。画素容量Csの他端は接地電位Vssに接続している。ドライブトランジスタT2のゲートは画素容量Csの一端に接続し、ソース/ドレインの一方は電源電位Vccに接続し、他端は発光素子ELRのアノードに接続している。発光素子ELRのカソードは所定のカソード電位Vkに接続している。
【0034】
かかる構成において、サンプリングトランジスタT1は走査線WSによって選択されたとき、信号線SIG−Rから供給されるR映像信号をサンプリングして、画素容量Csに保持する。ドライブトランジスタT2は画素容量Csに保持されたR映像信号に応じて動作し、ドレイン電流IRを発光素子ELRに供給する。これにより発光素子ELRはR映像信号に応じた輝度で赤色発光する。
【0035】
ここでサンプリングトランジスタT1及びドライブトランジスタT2は、例えばシリコンウェハなどからなる基板6にMOSプロセスを用いて集積形成される。画素容量Csも同時にMOSプロセスで集積形成可能である。さらに発光素子ELもMOSプロセスを応用した技術で、トランジスタT,T2,画素容量Csの上に重ねて形成可能である。上側の発光素子ELのアノードは、コンタクトを介して下側のドライブトランジスタT2に接続する。なお、図3に示した回路構成は一例に過ぎず、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0036】
図4は、本発明にかかる表示装置の駆動方法を模式的に表したフローチャートである。主として色補正回路5に関連して行われる色補正用のアルゴリズムを示している。まずステップS1で、入力映像RGBデータ(Ri,Gi,Bi)に対応するパネル固有の飽和色と白色の色度座標を計測する。次にステップS2でこの計測結果から色変換行列(RGB→XYZ)Mcを決定する。続いてステップS3で、出力したい色度座標の色変換行列(XYZ→RGB)Mpから、実際にパネルで出力するRGBデータを求める。最後にステップS4で、パネルに対し変換されたRGB信号を出力し、カラー表示を行う。
【0037】
図5は、図4に示したフローチャート形式のアルゴリズムを、ブロック図に表現したものである。まず、個々のパネルが表示する飽和色色度は製造工程によりばらつくので、パネル固有の飽和色及び白色色度(XYZ)を計測する。この計測されたXYZと入力RGBデータより、変換マトリクスMcを得る。この変換マトリクスは3×3行列となる。この変換行列を予めメモリに記憶しておく。さらにパネルで実際に出力したい飽和色色度から変換マトリクスMpを得る。この変換マトリクスMpも3×3行列であり、XYZからRGBに変換するものである。変換マトリクスMpは予め製品仕様で決定されるもので、個々のパネルによらず一定である。よって、本アルゴリズムで変換されたRGB信号により、個々のパネルで飽和色及び白色色度が入力RGB信号によらず一定にすることが出来る。実際の変換演算は、まず第1変換マトリクスMcと第2変換マトリクスMpの積を求めて合成された変換マトリクスMtを得る。この合成変換マトリクスも3×3行列である。入力RGBデータ(Ri,Gi,Bi)にこの3×3行列Mtを作用させて、出力RGBデータ(Ro,Go,Bo)を得る。この出力RGBデータ(Ro,Go,Bo)がパネル側に供給されることになる。
【0038】
図6は、変換結果を示すグラフである。変換前と変換後で個々のパネルに現れる色度分布の変化をxy色度図に示している。図から明らかなように、変換される前は各色の飽和色度が製造工程によりばらつき、同じ入力に対して違う色度の色を出力してしまう。これに対し色補正回路で映像信号を変換することにより、同じ入力RGBデータで同じ色を個々のパネルによらず出力することができ、製造工程起因の色度ばらつきを補正することが可能である。グラフから明らかなように、変換後ではどのパネルも色度分布が中央のハッチングを付した領域に収まっている。
【0039】
図7は、図1に示した色補正回路5の具体的な構成例を示すブロック図である。本実施形態の色補正回路はデジタル方式で図5に示した入力映像データ(Ri,Gi,Bi)から出力映像データ(Ro,Go,Bo)への変換演算を実行するものである。図示するように、デジタル色補正回路は、18個のデジタル乗算器と6個のデジタル加算器により構成されている。入力されたNビットRGB信号は、まず第1の乗算器群にて、パネル固有の飽和色及び白色色度座標から得られるパネル変換係数データと乗算され、その出力が第1加算器群に渡される。この第1加算器群で演算され出力された信号は、入力RGBデータに相当するパネルの色度XYZになる。このXYZ信号が第2の乗算器群に渡される。第2乗算器群ではパネルで出力したい飽和色および白色色度データから求めた仕様変換係数と、色度XYZとが掛け合わされる。この出力が第2の加算器群に渡されその出力がパネル側に供給される。最終的な出力はXYZ色度データからRGBデータに変換されたものである。上記説明中パネル変換係数は図5に示したマトリクスMcから得られるものであり、仕様変換係数は同じくマトリクスMpから得られるものである。以上のデジタル演算により、デジタルの入力データ(Ri,Gi,Bi)は同じくデジタルの出力映像データ(Ro,Go,Bo)となって、パネル側に供給される。
【0040】
図8は、図1に示した色補正回路の他の実施形態を示す模式的な回路図である。この実施形態は、ボリューム(可変抵抗器)及びオペアンプ(演算増幅器)を備えており、これらを用いてアナログの入力RGB映像信号(Ri,Gi,Bi)をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号(Ro,Go,Bo)に変換する。図示の例では、色補正回路は3個の演算増幅器と12個の抵抗とで構成されており、このうち9個は可変抵抗となっている。入力RGB信号(Ri,Gi,Bi)を各可変抵抗により決定される係数で掛け合わせ、その総和を取ることで、出力映像信号(Ro,Go,Bo)を得ている。可変抵抗の値は、パネル固有の最大色再現範囲とパネルの仕様により決定される色再現範囲とに基づいて与えられる。具体的には、これらの可変抵抗器に設定される係数は、第1変換マトリクスMcと第2変換マトリクスMpを合成した変換マトリクスMtの3×3行列係数により決まる。
【0041】
ところで、図2に示した光共振型でミラー埋め込み構造の発光素子ではGBRに対応した光路長L1,L2,L3は、埋め込んだ金属反射膜を被覆する酸化膜の膜厚により決定される。製造工程のばらつきで酸化膜厚は変動するため、光路長L1,L2,L3も一定にならず、この結果パネル毎に色調が異なってしまう。パネルに固有の色度ずれは場合により特定の色のみ強く発生することがある。例えば図9に示した例では、xy色度座標上で、特にG色度のずれが製造ばらつきなどで大きくなっている。これに比べ、他のB色度及びR色度のばらつきは小さい。
【0042】
この様な場合、RGB3色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減することが出来る。この目的で構成された色補正回路を図10に示す。この色補正回路は、1個のデジタル乗算器により形成されている。この色補正回路は、特に緑の色度ずれが顕著なパネルに適用されるものである。入力されるNビットRGB信号のうちGデータのみ、パネル本来のG飽和色から得られる変換係数データと乗算され、その出力がパネル側に渡される。他の色の入力データRi及びBiは、そのまま出力映像信号Ro,Boとしてパネル側に渡される。
【0043】
図10に示した色補正回路の動作原理を、図11に基づき説明する。図11は本方式のアルゴリズムを表すものである。まず個々のパネルが出力する固有の飽和色色度は製造工程などによりばらつくので、パネル固有の飽和色及び白色色度(XYZ)を計測する。この計測されたXYZ色度と入力RGBデータにより変換マトリクスMcを得る。この変換マトリクスは3×3行列であり、これをメモリに記憶しておく。さらにパネルで本来出力したい飽和色色度から変換マトリクスMpを得る。Mpも3×3行列であり、XYZからRGBに変換するものである。この変換マトリクスMpはパネルの製品仕様で決定されるもので、個々のパネルによらず一定である。ここで第1変換マトリクスMc及び第2変換マトリクスMpを掛け合わせて、入出力変換に用いる合成マトリクスMtを得る。この合成変換マトリクスMt=Mc×Mpも3×3行列となる。ここでは、特にばらつきの大きいG色度を補正しようとしているので、入力データ中RiとBiは0とする。
【0044】
ここで変換演算(Ri,Gi,Bi)×Mt=(Ro,Go,Bo)を実行するが、Ri=Bi=0なので、Ro=K12・Gi、Go=K22・Gi、Bo=K32・Giとなる。ここでKijは合成変換マトリクスMtのi行j列の要素である。個々のパネル間でG色以外のB色及びR色の色度ずれは小さく、行列要素K12及びK32の数値は無視できるほど低い。したがって(Ri,Gi,Bi)×Mt=(Ro,Go,Bo)の演算結果は結局緑色成分だけでGo=K22・Giで表現できる。この演算を実行しているのが、図10に示した色補正回路である。
【0045】
図10に示した補正回路により緑色を補正した結果が図12のグラフに示されている。変換される前は各色の飽和色度が製造工程によりばらつき、同じ映像入力であってもパネル毎に異なる色度の色を表示してしまう。これに対し図10で示した色補正回路によりデジタルRGB映像信号を変換することで、特にばらつきの大きいG色成分を一定にすることが出来る。この様に同じ入力RGBデータで色度ずれの大きいG色をパネルによらず一定に出力することが出来、製造工程ばらつき起因の色調の違いを修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかる表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したパネルに含まれるRGB発光素子の構成例を示す模式的な断面図である。
【図3】図1に示したパネルに含まれるRGB画素の回路構成を示す回路図である。
【図4】図1に示した表示装置によって実行される色補正アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図5】同じく色補正アルゴリズムを示すブロック図である。
【図6】色補正結果を示すグラフである。
【図7】図1に示した色補正回路の実施形態を示すブロック図である。
【図8】同じく他の実施形態を示す回路図である。
【図9】パネルの色度のばらつきを示すグラフである。
【図10】図1に示した色補正回路の別の実施形態を示す模式図である。
【図11】図10に示した実施形態で実行される色補正アルゴリズムを示すブロック図である。
【図12】図10に示した色補正回路で補正された結果を示す色度図である。
【図13】個々のパネルの色調のばらつきを示したグラフである。
【図14】RGB表色系とXYZ表色系の関係を示す表図である。
【符号の説明】
【0047】
1・・・パネル、2・・・Vスキャナー、3・・・Hスキャナー、4・・・サンプリングスイッチ、5・・・色補正回路、100・・・画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置であって、
前記パネルは、各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、
前記列駆動回路は、RGB画素に対応して、RGB三色に分かれたRGB映像信号を供給するとともに、
外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力する色補正回路を備えており、
前記色補正回路は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、
更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、
これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器及び加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム及びアンプを備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記色補正回路は、RGB三色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
RGB三色に発光する発光素子は、各々アノード電極とカソード電極と有機エレクトロルミネッセンス層とを備えた有機EL素子からなり、
基板上に、第1金属反射膜、第1絶縁膜、第2金属反射膜、第2絶縁膜、第3金属反射膜及び第3絶縁膜を順に積層することにより、絶縁膜中に3層の金属反射膜を光共振用のミラーとして埋め込んだ構造で、
第3絶縁膜の上にはRGB各色の発光素子ごと第1、第2及び第3金属反射膜に対向してアノード電極を形成し、これらのアノード電極の上に有機エレクトロルミネッセンス層を介して、各色共通の反射膜を兼ねるカソード電極を形成したものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
各画素は、各色の発光素子を駆動する複数のMOSトランジスタを含んであり、MOSトランジスタと第1、第2及び第3金属反射膜と第1、第2及び第3絶縁膜は、シリコン基板上にMOSプロセスを用いて形成されていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、前記パネルは各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路はRGB画素に対応してRGB三色に分かれたRGB映像信号を供給し、以って各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置の駆動方法であって、
外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力するため、
あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める手順と、
あらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める手順と、
これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換する手順とを行い、
以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項1】
発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置であって、
前記パネルは、各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、
前記列駆動回路は、RGB画素に対応して、RGB三色に分かれたRGB映像信号を供給するとともに、
外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力する色補正回路を備えており、
前記色補正回路は、あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求めておき、
更にあらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求めておき、
これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換し、以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数の乗算器及び加算器を備えており、これらの乗算器及び加算器を用いて、デジタルの入力RGB映像信号をデジタル的に演算処理して、デジタルの出力RGB映像信号に変換することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記色補正回路は、第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスによる変換を実行するために複数のボリューム及びアンプを備えており、これらのボリューム及びアンプを用いて、アナログの入力RGB映像信号をアナログ的に処理して、アナログの出力RGB映像信号に変換することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記色補正回路は、RGB三色の入力映像信号のうち、ばらつきの大きな色の入力映像信号について変換処理を行って対応する色の出力映像信号を生成し、残るばらつきの小さい色の入力映像信号については、変換を省略してそのまま出力映像信号とし、以って変換処理に要する負荷を軽減することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
RGB三色に発光する発光素子は、各々アノード電極とカソード電極と有機エレクトロルミネッセンス層とを備えた有機EL素子からなり、
基板上に、第1金属反射膜、第1絶縁膜、第2金属反射膜、第2絶縁膜、第3金属反射膜及び第3絶縁膜を順に積層することにより、絶縁膜中に3層の金属反射膜を光共振用のミラーとして埋め込んだ構造で、
第3絶縁膜の上にはRGB各色の発光素子ごと第1、第2及び第3金属反射膜に対向してアノード電極を形成し、これらのアノード電極の上に有機エレクトロルミネッセンス層を介して、各色共通の反射膜を兼ねるカソード電極を形成したものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
各画素は、各色の発光素子を駆動する複数のMOSトランジスタを含んであり、MOSトランジスタと第1、第2及び第3金属反射膜と第1、第2及び第3絶縁膜は、シリコン基板上にMOSプロセスを用いて形成されていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
発光素子を含む画素が行列状に配列したパネルと、画素の行を順次選択する行駆動回路と、選択された画素に映像信号を供給する列駆動回路とを有し、前記パネルは各画素がRGB三色に発光する発光素子のいずれかを含むRGB画素で構成されており、前記列駆動回路はRGB画素に対応してRGB三色に分かれたRGB映像信号を供給し、以って各画素に含まれる発光素子を該映像信号に応じた輝度で発光させる表示装置の駆動方法であって、
外部から入力されたRGB映像信号を色補正した上で該列駆動回路に出力するため、
あらかじめパネル固有の飽和色および白色をXYZ色度で計測しその結果に基づいて、入力RGB映像信号のRGB色度をXYZ色度に変換する第1変換マトリクスを求める手順と、
あらかじめパネルの仕様により設定された飽和色のXYZ色度をRGB色度に変換する第2変換マトリクスを求める手順と、
これら第1変換マトリクス及び第2変換マトリクスを用いて入力RGB映像信号を出力RGB映像信号に変換する手順とを行い、
以ってパネル毎に表われる飽和色および白色のばらつきをパネルの仕様にしたがって補正することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−108249(P2007−108249A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296862(P2005−296862)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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