説明

表示装置及びそれを備えた電子または電気機器

【課題】側方にいる者にも注意を喚起できる表示装置を提供することである。
【解決手段】透明板と、同透明板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内に発光体を配置し、同発光体に対向する前記透明板の表面に第1の光拡散手段を設けた凸部を形成し、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けることにより、前記発光体から発光した光は第2の光拡散手段で一度拡散し、前記透明板を透過して第1の光拡散手段を設けた凸部でさらに拡散して前記凸部全体を立体的に四方に発光させることで、側方からの視認性を高め、注意を喚起しやすくなる表示装置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意を喚起する発光部を有する表示装置及びそれを備えた電子または電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる表示装置は、例えば特許文献1に示す車載型無線装置に使われる。この車載型無線装置は消防車、救急車内のダッシュボードおよび座席等に搭載して、複数の基地局や移動局と無線通信を介して指令や車両の状況などを送受信するものである。そのため車載型無線装置には各種操作ボタン、マイク接続部およびスピーカーと共に、基地局との通信状態や、通話状態、指令内容を表示できる表示装置が必要である。図7に示す従来の車載型無線装置100では、表示装置200の表示にドットマトリックスで表示するLCD210を使用していることで、表示装置200に適時情報を表示することが可能である。
このLCD210には表面を透明材220でカバーして、本体と面一に構成されている。このため、車載型無線装置100の正面側から情報を見る者には表示内容を確認できるが、運転席や助手席などの側方にいる者には表示内容が視界に入らないことから、基地局からの連絡を見落とすことがある。
【0003】
側方にいる者にも注意を喚起する表示装置として、発光体にて表示する表示部を覆う凸状のカバーの側面が拡散透過性の固定壁であり、固定壁が発光するものがある(特許文献2参照)。
確かに凸状のカバーの側面を発光体で光らせて注意を喚起する方法は、側方にいる者にも有効な手段であるが、ケースに別部品からなる凸状の透過部材のカバーを組み合わせていることから、コストが係り、組立作業も発生することになる。
【0004】
また、車載型無線装置の場合は、基地局との通信状態を確認するためにはLED等の発光体による発光色が一瞬で判断でき、注意を喚起するのに有効であるが、指令内容や他車の状況を知るには文字や図形を表示できるLCDが有効である。これら複数の表示手段がそれぞれ見やすいことが必要であり、さらに複数の表示手段を持ちながらも、コストが抑えられ、組立作業も容易なものが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような点に鑑みてなされたもので、その目的は表示装置の側方からも視認性が高く、注意を喚起しやすくなり、さらに複数の表示手段を持ちながらも、コストが抑えられ、組立作業も容易な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、透明板と、同透明板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内に発光体を配置し、同発光体に対向する前記透明板の表面に第1の光拡散手段を設けた凸部を形成し、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設ける表示装置である。
【0007】
請求項2にかかる発明は、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けた凹部を形成する表示装置である。
【0008】
請求項3にかかる発明は、前記光案内筒部の光出口は、前記凸部側から見た場合は前記凸部より小さく構成されている表示装置である。
【0009】
請求項4にかかる発明は、前記透明板は、前記取付パネルに配置されたLCD表示部のカバーを兼ねている表示装置である。
【0010】
請求項5にかかる発明は、請求項1ないし4に係る表示装置を備えた電子または電気機器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1にかかる発明によれば、透明板と、同透明板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内に発光体を配置し、同発光体に対向する前記透明板の表面に第1の光拡散手段を設けた凸部を形成し、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けることにより、前記発光体から発光した光は第2の光拡散手段で一度拡散し、前記透明板を透過して第1の光拡散手段を設けた凸部でさらに拡散して前記凸部全体を立体的に発光させることで、側方からも視認性が高く、注意を喚起しやすくなる表示装置となる。
【0012】
また、請求項2にかかる発明によれば、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けた凹部を形成することにより、前記発光体から発光した光が凹部で全周囲方向に拡散され、その光が凸部でさらに拡散されることになる。
【0013】
また、請求項3にかかる発明によれば、前記光案内筒部の光出口は、前記凸部側から見た場合は前記凸部より小さく構成されているため、前記凸部により前記光案内筒部の光出口が隠れることで、前記光案内筒部内に配置された発光体が視界から隠れ、凸部以外に反射される光も少なく抑えられ、スッキリとした表示が得られる。
【0014】
また、請求項4にかかる発明によれば、前記透明板は、前記筺体内に配置されたLCD表示部のカバーを兼ねていることで、ひとつの透明板で複数の表示方法を同時に兼ねることができ、表示に一体感があり、コストも抑えられる。
【0015】
さらに、請求項5にかかる発明によれば、本発明の表示装置は電子または電気機器に広く応用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明を適用した車載型無線装置の部分斜視図である。
【図2】は本発明を適用した車載型無線装置の表示装置の断面図である。
【図3】は本発明の第1の実施例の表示装置の断面図である。
【図4】(a)〜(f)は本発明の凸部の形態例を示した図である。
【図5】は本発明の第2の実施例の表示装置の断面図である。
【図6】は第2の実施例の表示装置を側方から見た場合の視野範囲を示す断面図である。
【図7】は従来例の車載型無線装置である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈第1の実施例〉
図1は本発明の第1の実施例を適用した車載型無線装置2の部分斜視図である。車載型無線装置2は取付パネル3に表示装置1の他にマイクジャック30やスピーカー31、多数の操作ボタン32を備えている。同表示装置1は、取付パネル3の表面と面一になるように透明板40を貼付し、同透明板40の内側に発光体にLEDを使用した発光表示部11、発光表示部12とドットマトリックスで表示するLCDを使用した発光表示部13が横並びに配置されている。
車載型無線装置2の本体はダーク系の色彩が採用されていることから、取付パネル3の表面もダーク系の色彩となり、透明板40は発光表示部11〜13以外の部分はダーク系の色彩が透けて見える。
また、透明板40の裏面に発光表示部11〜13以外の部分に暗色印刷を施し、暗色印刷の裏に両面テープで取付パネル3に貼付してもよく、その場合は両面テープが防水の役割を兼ね本体への水の浸入を防ぐことができる。
【0018】
車載型無線装置2は、消防車、救急車内のダッシュボードおよび座席等に搭載して現場において複数の基地局や移動局と無線通信を介して指令や車両の状況などの送受信を行うものであり、情報を受信中である時や、情報を送信している時は発光表示部12のLEDが発光して知らせ、指令先や指令内容および受信状態は発光表示部13のLCD上に文字や図形で表示される。
発光表示部11のLEDは、車載型無線装置2が基地局のサービスエリア圏内にあり、通話が可能である場合は緑色に発光し、圏外で通話が規制中の時は赤色に発光する。これにより、発光色を見ただけで、通話の状況を即座に判断でき、適時アクションが取れるようになる。
【0019】
表示装置1の発光表示部11は、図2に示すように、前記取付パネル3の表面と面一になるように前記取付パネル3が一段落ち込んだ中に前記透明板40が貼付されている。また図3に示すように、前記取付パネル3の背面側にはLED50を立設した基板60まで突出する光案内筒部33が設けられ、同LED50は前記光案内筒部33内に配置される。同LED50に対向する透明板40の表面には台形状の凸部41が形成され、同凸部41の表面には第1の光拡散手段42が施されている。同第1の光拡散手段42はエッチングによる加工またはシボ塗装などである。また、前記光案内筒部33の光出口34に当接する前記透明板40の裏面に、第2の光拡散手段43が設けられている。同第2の光拡散手段43はエッチングによる加工、シボ塗装、または拡散シート材を貼付してもよい。前記第2の光拡散手段43は前記光案内筒部33の光出口34と同じ面積でもよいし、光出口34よりもひとまわり大きく設けると光出口34から発光される光を漏れなく拡散することができるのでなおよい。
【0020】
前記凸部41の形状は図4の(a)〜(d)に示すような幾何学的な図形でもよいし、(e)、(f)に示すようにON/OFFを知らせるピクトグラム形状にしてもよいし、立体的な文字形状でもよい。これらの図形を採用することで、前記凸部41側からの正面視での意匠性の高めることができる。
【0021】
これにより表示装置1の発光表示部11のLED50から発光された光は光案内筒部33内を通過、反射しながら第2の光拡散手段43で一度拡散し、透明板40を透過して表面の凸部41の第1の光拡散手段42でさらに拡散して凸部41全体を立体的に発光させることができる。
この発光表示部11が車載型無線装置2の表面よりも突出していることで、運転席や助手席の側方にいる者にも、通話可能の緑の発光色であるか、または規制中の赤の発光色であるかを確認することができ、適時アクションが取れるようになり、側方からも視認性が高く、注意を喚起しやすくなる表示装置となる。
【0022】
〈第2の実施例〉
図5に示すように、前記実施例1の光案内筒部33の光出口34に当接する透明板40の裏面に、第2の光拡散手段43を設けた凹部44を形成する。同凹部44は凸部41に相似したひとまわり小さい形状が好ましい。これにより、LED50から発光した光が凹部44で実施例1以上に周囲へ拡散され、その光が凸部41でさらに拡散されることで、凸部41の側面側に光が広がることから、側方からの視認性が高まり、より注意を喚起しやすくなる表示装置となる。
【0023】
さらに、図6に示すように、前記実施例1および前記実施例2において、凸部側から見た場合は光案内筒部33の光出口34は、凸部41より小さく構成されているため、使用者Yからの視線は、凸部41により光出口34が隠れることで、前2の光拡散手段とLED50が視界Zから隠される。一方、光出口34から出る光が凸部以外への広がりを少なく抑えられ、スッキリとした表示が得られる。
【0024】
また、図2に示したように、表示装置1にはLEDを使用した発光表示部11、12とドットマトリックスで表示するLCDを使用した発光表示部13が横並びに配置されており、前記透明板40は、これら表示部のカバーを兼ねていることで、形態の異なる発光表示部に一体感が生まれ、一枚の透明板40を貼付するだけで組み立てられることで作業が容易となり、コストが抑えられる。また、車載無線装置2がダーク系の色彩であることから、非表示時には発光表示部11、12の光出口34は暗くなり表面からは見えず、点灯時だけ発光色が視認できることで、必要な表示内容だけを得ることができ、これら種類の異なる発光表示を使い分けることで、視認性が高まる。
また、透明板40の裏面に発光表示部11〜13以外の部分に暗色印刷を施し、暗色印刷の裏に両面テープで取付パネル3に貼付してもよく、その場合は両面テープが防水の役割を兼ね本体への水の浸入を防ぐことができる。
【0025】
なお、実施例において、本発明の表示装置を備えた機器として、車載型無線装置を例に説明したが、それに限るものではなく、エアコン、テレビ、情報機器等の表示装置を備えた電子または電気機器に広く応用が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 表示装置
11 発光表示部
12 発光表示部
13 発光表示部
2 車載型無線装置
3 取付パネル
33 光案内筒部
34 光案内筒部の光出口
40 透明板
41 凸部
42 第1の光拡散手段
43 第2の光拡散手段
44 凹部
50 LED
60 基板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】登録意匠第1022177の類似1号公報
【特許文献2】特開平1−260485号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明板と、同透明板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内に発光体を配置し、同発光体に対向する前記透明板の表面に第1の光拡散手段を設けた凸部を形成し、前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けることを特徴する表示装置。
【請求項2】
前記光案内筒部の光出口に当接する前記透明板の裏面に、第2の光拡散手段を設けた凹部を形成することを特徴する請求項1に係る表示装置。
【請求項3】
記光案内筒部の光出口は、前記凸部側から見た場合は前記凸部より小さく構成されていることを特徴とする請求項1、2に係る表示装置。
【請求項4】
前記透明板は、前記取付パネルに配置されたLCD表示部のカバーを兼ねていることを特徴とする請求項1ないし3に係る表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4に係る表示装置を備えた電子または電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−175048(P2011−175048A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38044(P2010−38044)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】