説明

表示装置及びそれを備えた電子または電気機器

【課題】発光体の光を日中または夜間、屋内または屋外を問わずはっきりと視認することができる表示装置を提供することである。
【解決手段】表示板6と、同表示板6を支える取付パネル2を備え、同取付パネル2の背面側に突出する光案内筒部23の先端付近に発光体4を配置し、前記発光体4の対面にあたる前記光案内筒部23の光出口24を覆う前記表示板6の裏面に、印刷抜き部70aを施した光拡散印刷70を設け、前記印刷抜き部70aは、四角形または円形の連続からなるドットのパターンで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に注意を喚起する発光部を有する表示装置及びそれを備えた電子または電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる表示装置は、例えば消防車両や救急車両用の車載型無線装置に使われる。この車載型無線装置は消防車両や救急車両のダッシュボードや座席等に搭載し、複数の基地局や移動局と無線通信を介して指令や車両の状況などを送受信するものである。そのため車載型無線装置には各種操作ボタン、マイク接続部およびスピーカーと共に、基地局との通信状態や、通話状態、指令内容を表示するための表示装置がある。
【0003】
図8に示す従来例1の車載型無線装置100では、表示装置110の表示にドットマトリックスで表示するLCD120を使用していることで、表示装置110に適時情報を表示することが可能である。しかし、LCDは輝度や色に変化がないため緊急の連絡時に即時に注意を喚起することが困難である。(特許文献1参照)。
【0004】
注意を即時に喚起できるように、基地局との通話、通信時に発光するLEDを表示装置に備えた従来例2の車載型無線装置もある。例えば出願人が先に出願した特願2010−38044号の車載型無線装置の表示装置は、図9に示すように、表示装置200に透明樹脂材でなる表示板210と、同表示板210を支える取付パネル220を備え、同取付パネル220の背面側に突出する光案内筒部230内にLED240を配置し、前記光案内筒部230の光出口に当接する前記表示板210の裏面に、光拡散印刷250を設け、光拡散印刷250以外の面に暗色印刷260を設けることにより、前記LED240から発光した光は光案内筒部230内を反射、通過して光拡散印刷250で拡散し、光出口全体を面発光させることで、注意を喚起しやすくなるものである。
【0005】
しかし、従来例2の車載型無線装置は車両内に限らず、緊急時や野外活動用として車両の外に持ち出し、日光直下や消防現場に携帯し使用することもある。日光直下や消防現場では、周囲の環境が明るすぎるため、従来例2にあるLEDの発光を拡散して面発光した表示では、周囲の環境の明るさに馴染んで見えずらくなることがあり、緊急の連絡を受け損ねる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】意匠登録第1022177の類似1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような点に鑑みてなされたもので、LEDから発光された光を日中または夜間、屋内または屋外を問わずはっきりと視認することができる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、表示板と、同表示板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内の先端付近に発光体を配置し、前記発光体の対面にあたる前記光案内筒部の光出口を覆う前記表示板の裏面に、印刷抜き部を施した光拡散印刷を設ける表示装置である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、前記印刷抜き部は、四角形または円形の連続からなるドットのパターンである。
【0010】
請求項3にかかる発明は、前記印刷抜き部は、前記表示板を正面から見た場合に前記発光体が前記表示板に投影する中心位置から四方に向けて四角形または円形のドットの間隔を徐々に広く開けたグラデーションパターンである。
【0011】
請求項4にかかる発明は、前記表示装置は電子または電気機器に使われるものである。

【発明の効果】
【0012】
請求項1にかかる発明によれば、表示板と、同表示板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内の先端付近に発光体を配置し、前記発光体の対面にあたる前記光案内筒部の光出口を覆う前記表示板の裏面に、印刷抜き部を施した光拡散印刷を設けることにより、屋内や夜間では光拡散印刷によって面発光した発光体の光が視認されるとともに、屋外や日中では印刷抜き部から直接輝度の高い発光体の光を視認することができる表示装置となる。
【0013】
また、請求項2にかかる発明によれば、前記印刷抜き部は、四角形または円形の連続からなるドットのパターンであり、前記発光体の消灯時は前記印刷抜き部から内部の前記発光体本体が見えず、点灯時は前記印刷抜き部から前記発光体の光だけが視認できる表示装置となる。
【0014】
また、請求項3にかかる発明によれば、前記印刷抜き部は、前記表示板を正面から見た場合に前記発光体が前記表示板に投影する中心位置から四方に向けて四角形または円形のドットの間隔を徐々に広く開けたグラデーションパターンであり、印刷抜き部から直接発光体の光を視認することとともに、光拡散印刷で拡散された面発光部分が広くなり、より見やすい表示となる。
【0015】
さらに、請求項4にかかる発明によれば、本発明の表示装置は電子または電気機器に広く応用されるものである。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明を適用した車載型無線装置の斜視図である。
【図2】は本発明を適用した車載型無線装置の表示装置の正面図である。
【図3】は(図2)で図示されたA−A断面図である。
【図4】は(図2)の発光表示部拡大図であり、(A)、(B)はパターンのバリエーションである。
【図5】は(図2)で図示されたX部の発光表示部の発光体が発光した状態の拡大図である。
【図6】は本発明を適用した車載型無線装置の使用状態を示す図である。
【図7】は本発明の第2の実施例で、(図2)で図示されたX部の発光表示部を拡大した詳細図である。
【図8】は従来例1の車載型無線装置である。
【図9】は従来例2の表示部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈第1の実施例〉
図1は本発明を適用した消防車両や救急車両用の車載型無線装置1の斜視図である。車載型無線装置1は消防車両や救急車両のダッシュボードおよび座席等に搭載し、複数の基地局や移動局と無線通信を介して指令や車両の状況などを送受信するものである。そのため車載型無線装置1には取付パネル2にマイクジャック20やスピーカー21、多数の操作ボタン22と、基地局との通信状態や、通話状態、指令内容を表示するための表示装置3を備えている。
【0018】
図2の表示装置3の正面図に示すように、表示装置3には発光体に後述するLED4を使用した発光表示部31、32、33と、ドットマトリックスで表示するLCD5を使用したLCD表示部34が横並びに配置されている。
表示装置3の表面には、取付パネル2の表面と面一になるように透明樹脂材でなる表示板6が備えられている。図2および図3のA−A断面図に示すように、表示板6の裏面には印刷層7が形成されている。印刷層7において、表示板6での発光表示部31、32、33に当たる面にはLED4の光を面発光で表示させるように矩形の光拡散印刷70を施し、LCD表示部34に当たる面にはLCDの表示画面に合わせて印刷を施さず、発光表示部31、32、33とLCD表示部34以外の面には、光を遮る効果のある暗色印刷71を施し、暗色印刷71と表示板6の間に発光表示部31、32、33の機能を示す表示文字色印刷72を施す。表示文字色印刷72は白色、表示文字色印刷72aは緑色、表示文字色印刷72bは赤色である。また、表示板6を取付パネル3に貼付する接着印刷73を暗色印刷71の裏側に施す。接着印刷73は両面テープでもよく、両面テープの場合は、両面テープが防水の役割を兼ね本体への水の浸入を防ぐことができる。
【0019】
発光表示部31のLED4は、車載型無線装置1の操作ボタン22を操作して情報を発信している時に白色に発光し、発光表示部32のLED4は、基地局や他の車両からの情報を受信した際に白色に発光する。また、発光表示部33のLED4は、車載型無線装置1が基地局のサービスエリア圏内にあり、通話が可能である場合は緑色に発光し、圏外で通話が規制中の時は赤色に発光する。
これにより、発光色を見ただけで、通話と通信の状況を即座に判断でき、適時アクションが取れるようになる。
【0020】
図3に示すように、発光表示部31には、表示板6と、同表示板6を支える取付パネル2を備え、同取付パネル2の背面側に突出する光案内筒部23内の先端付近に基板8に立設するLED4を配置し、LED4の対面にあたる光案内筒部23の光出口24を覆う表示板6の裏に光拡散印刷70が印刷されている。光拡散印刷70は光案内筒部23の光出口24と同じ面積でもよいし、光出口24よりもひとまわり大きく設けると光出口24から発光される光を漏れなく拡散することができるのでなお良い。また、光拡散印刷70は暗色印刷71に若干オーバーラップする方が印刷ズレを防ぐことができる。
【0021】
図4は図2における発光表示部31を拡大したものである。発光表示部31に施された光拡散印刷70には印刷抜き部70aが施されている。図4(a)の印刷抜き部70aは一辺をaとする正方形のドットが、隙間bを開けて均一に配置されたパターンで構成されている。なお、ドットの一片であるaと隙間bは使用者がパターンを認識せずに単色の面として視認できるように、シルク印刷の細かさの限界である0.2mmとしている。
【0022】
さらに、印刷抜き部70aのドットのパターンが微細なパターンで構成されていることで、LED4の消灯時には印刷抜き部70aから内部が暗い面に見えてLED4が分からなくなる効果がある。
【0023】
また印刷抜き部70aは正方形のドットパターンに限らず、図4(b)のように丸形状からなるドットのパターンでもよく、光拡散印刷部70と印刷抜き部70aのバランスを考慮してパターンを決定すればよい。
【0024】
上記構成により、発光表示部31のLED4の点光源から発光された光は、光案内筒部23内を通過、反射して光拡散印刷70に至り拡散されて発光表示部31全体を面発光させることになる。また、印刷抜き部70aに至った光は印刷抜き部70aから表示板6を通過して直接、使用者の視界に届くことになる。
【0025】
これにより図5に示すように、光拡散印刷70で面発光された光により表示部31全体が明るく視認できるとともに、日光直下の明るい環境で面発光では視認しづらかった表示が、印刷抜き部70aからLED4で最も明るい点光源の発光素子そのものが直接見えるため、良好に視認できるようになる。
【0026】
図6に示すように、車載型無線装置1を車両の外に持ち出す時は、車載型無線装置1の取付パネル2を上にしてショルダーケース9に収納し、使用者Hが肩から下げて使用するため、使用者Hが表示装置3を見る視線Eは上から直接発光表示部31、32、33を見下げることになり、印刷抜き部70aからLED4で最も明るい点光源の発光素子そのものが直接見えるため、日光直下や消防現場でも、通信や通話可能状態を確認することができ、適時アクションが取れるようになる表示装置となる。
【0027】
また、消防車両や救急車両のダッシュボードおよび座席等に搭載している場合は、暗い環境内で正面よりも運転席や側方から視認するため、光拡散印刷70で拡散された面発光が有効となる。
【0028】
〈第2の実施例〉
図7は光拡散印刷70において、印刷抜き部70aは、表示板6を正面から見た場合にLED4が表示板6に投影する中心位置から四方に向けて四角形または円形のドットの間隔を徐々に広く開けたグラデーションのパターン印刷にしたものである。これにより直接発光表示部31を正面から見た場合は印刷抜き部70aからLED4で最も明るい点光源の発光素子そのものが直接見えるため、日光直下の明るい環境でも見やすくなるとともに、車両内の運転席などの側方から視認する場合も、光拡散印刷70で拡散された面発光面が広くなることで見やすい表示となる。
【0029】
なお、実施例において、本発明の表示装置を備えた機器として、車載型無線装置を例に説明したが、それに限るものではなく、エアコン、テレビ、情報機器等の表示装置を備えた電子または電気機器に広く応用が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1:車載型無線装置
2:取付パネル
23:光案内筒部
24:光出口
3:表示装置
31:発光表示部(LED)
32:発光表示部(LED)
33:発光表示部(LED)
34:発光表示部(LCD)
4:発光体
6:表示板
7:印刷層
70:光拡散印刷
70a:印刷抜き部
71:暗色印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示板と、同表示板を支える取付パネルを備え、同取付パネルの背面側に突出する光案内筒部内の先端付近に発光体を配置し、前記発光体の対面にあたる前記光案内筒部の光出口を覆う前記表示板の裏面に、印刷抜き部を施した光拡散印刷を設けることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記印刷抜き部は、四角形または円形の連続からなるドットのパターンであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記印刷抜き部は、前記表示板を正面から見た場合に前記発光体が前記表示板に投影する中心位置から四方に向けて四角形または円形のドットの間隔を徐々に広く開けたグラデーションパターンであることを特徴する請求項1、2記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3に係る表示装置を備えた電子または電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113179(P2012−113179A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263043(P2010−263043)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】