説明

表示装置及びプログラム

【課題】表示装置においてプライバシー保護のための物理的な構成を設けなくても状況に応じてプライバシー保護の程度を変更する。
【解決手段】制御部11は、実行したアプリにより生成されるアプリ画像を表示部14に表示させるとともに、記憶部12に記憶されている保護画像122をアプリ画像が表示された層よりも下層に配置する。操作部13が操作子132の操作を受け付けると、制御部11は、保護画像122が描かれた層よりも上にある全ての層の透過係数を下げる。ユーザは混合の割合が増加した保護画像122によりアプリ画像が見え難くなった画面を見ることとなる。一方、操作部13が操作子132の操作を受け付けていないときに、検知部131による位置の指定を伴う操作を受け付けると、制御部11は、この操作に応じてアプリに用いられるパラメータを生成するため、アプリ画像は、検知された位置の指定を伴う操作に応じた画像となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置におけるプライバシーの保護に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置に個人情報を表示させる場合にはプライバシーの保護が問題となる。例えば、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等においては、プライバシーを保護するために、表示画面上に貼り付ける保護シール等が多く流通している。このような保護シールは、着色された半透明の樹脂等で形成されているため、表示画面を見え難くすることができる。
【0003】
しかし、保護シールは接着剤により表示画面に貼り付けるので、一般に何度も張ったり剥がしたりすることができず、一度貼り付けるとずっと貼り付けられたままとなる。そのため、覗き見される可能性がない状況下においても、表示画面は保護シールによって見え難くなってしまう。例えば、在宅中のユーザが携帯情報端末で動画等を視聴するような状況では、一般にその動画等が不特定の他者に覗き見される虞はない。それにも関わらず、携帯情報端末に保護シールが貼り付けられていると表示画面が見え難くなるので、ユーザは、その動画等の本来の色合いや画質を楽しめないこととなる。つまり、保護シールの貼付では、ユーザは状況に応じてプライバシー保護の程度を変更することができない。
【0004】
このような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1には、プライバシー保護のための物理的な構成として、3種類の偏光板とスイッチングパネルにより配向を制御される液晶層とを備えることにより、斜め方向(横方向)からの視線に対し、表示画像を視認されにくくすることのできる表示画像を実現する表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−288856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、偏光板のように特殊な構成を備えなくてはならず製造コストが嵩む。
本発明の目的は、プライバシー保護のための物理的な構成を設けなくても状況に応じてプライバシー保護の程度を変更する表示装置およびそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る表示装置は、複数の画像を重ねて得られる画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、アプリケーションプログラムに記述された手順に従って、ユーザに提示される第1画像を生成するとともに、前記表示手段における位置の指定を伴う操作が操作手段により受け付けられると当該操作に応じた処理を行う処理手段とを具備し、前記表示制御手段は、前記第1画像を前記表示手段に表示させるとともに、当該第1画像とは異なる画像であって前記第1画像を保護するための第2画像を前記表示手段において当該第1画像よりも下層に配置し、予め定められた条件が満たされたときに、当該第1画像を透過させることにより、前記下層に配置された当該第2画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記条件が満たされたときに自装置が在る場所、または当該条件が満たされたときの時刻の少なくともいずれか一方を示す情報を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記情報に応じた画像を取得する取得手段とを備え、前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記画像を前記第2画像として前記表示手段に表示させるとよい。
【0009】
また、好ましくは、前記第1画像に関する情報を解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果に応じた画像を取得する取得手段とを具備し、前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記画像を前記第2画像として前記表示手段に表示させるとよい。
【0010】
また、好ましくは、決められた領域を前記第1画像ごとに対応づけて記憶する領域記憶手段を備え、前記表示制御手段は、前記表示手段において前記第1画像よりも下層であって、且つ、前記領域記憶手段により当該第1画像に対応づけて記憶された前記領域に、前記第2画像を配置するとよい。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、アプリケーションプログラムに記述された手順に従って、ユーザに提示される第1画像を生成するとともに、表示手段における位置の指定を伴う操作が操作手段により受け付けられると当該操作に応じた処理を行う処理手段を備えるコンピュータを、複数の画像を重ねて得られる画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段であって、前記第1画像を前記表示手段に表示させるとともに、当該第1画像とは異なる画像であって前記第1画像を保護するための第2画像を前記表示手段において当該第1画像よりも下層に配置し、予め定められた条件が満たされたときに、当該第1画像を透過させることにより、前記下層に配置された当該第2画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
この発明により、物理的な構成を設けなくても状況に応じてプライバシー保護の程度を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る表示装置の外観を示す図である。
【図2】本実施形態に係る表示装置の構成を示す図である。
【図3】制御部により実現される機能的構成を示す図である。
【図4】表示装置の動作の一例を示すフロー図である。
【図5】変形例における表示装置の構成を示す図である。
【図6】変形例における表示装置、および制御部の機能的構成を示す図である。
【図7】変形例における表示装置、および制御部の機能的構成を示す図である。
【図8】変形例における保護領域を説明するための図である。
【図9】変形例に係る表示装置の表示内容を説明するための図である。
【図10】変形例における表示装置の構成を示す図である。
【図11】変形例における表示装置、および制御部の機能的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
1.構成
1−1.表示装置の構成
以下に図1および図2を参照して、本実施形態に係る表示装置1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置1の外観を示す図である。図1(a)に示すように、表示装置1は、平板状の筐体を有しており、この筐体の一方の面には、矩形の表示部14と、ボタン状の操作子132とが設けられている。
【0015】
図2は、本実施形態に係る表示装置1の構成を示す図である。表示装置1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、および通信部15を有し、これらはバスを介して互いに接続されている。この表示装置1は通信回線を介して他の端末と通信を行う通信端末である。表示装置1は、他の端末との間で例えば電子メールの遣り取りをすることができる。
【0016】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、記憶部12やROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、表示装置1の各部について、バスを介して制御し、通信機能のほか後述する機能等を実現する。また、RAMは、CPUが各データの加工等を行う際のワークエリアとして機能する。なお、RAMは、表示部14に画像を表示するために必要なデータを記憶するVRAM(Video RAM)を含む。
【0017】
記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ等の大容量記憶手段であって、上述した制御プログラムを含む複数のアプリケーションプログラム(以下、アプリという)であるアプリ群121、保護画像122およびフィルターアプリ129を記憶している。アプリ群121に含まれるアプリは、制御部11に読み込まれて実行される。アプリに記述された手順に従って制御部11により生成される画像を、アプリ画像という。すなわち、アプリ画像は、アプリケーションプログラムに記述された手順に従って、ユーザに提示される第1画像の一例である。保護画像122は、このアプリ画像を状況に応じて保護するための画像であり、アプリ画像に描かれた内容とは異なる模様、文字列等が記述された画像である。ここで、「画像を保護する」とは、覗き見を防ぐために、その画像を見え難くすることをいう。すなわち、保護画像122は、アプリ画像(第1画像)とは異なる画像であってアプリ画像(第1画像)を保護するための第2画像の一例である。フィルターアプリ129は、アプリの一種であるが便宜上、アプリ群121に含まれるアプリと区別する。フィルターアプリ129は、制御部11に読み込まれて実行されるアプリであり、制御部11が保護画像122を読み込んでアプリ画像の下層に配置するための手順等が記述されている。
【0018】
なお、アプリ画像および保護画像122は、時間変化をしない静止画像であってもよいが、時間変化をする動画であってもよく、HTML(Hypertext Markup Language)文書等のように点滅したり移動したりする部分的な画像を含むものであってもよい。また、この記憶部12は、外付けの不揮発性メモリ等の記録媒体であってもよい。この場合、図示しない接続インターフェイス等を介して記憶部12が表示装置1に接続されている。
【0019】
操作部13は、指示された位置を検知する検知部131と、上述したボタン状の操作子132を有し、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部11へ出力する。検知部131は、表示部14に重ねて設けられた静電容量方式のタッチパネルであり、表示部14における位置の指定を伴う操作を受け付ける。すなわち、ユーザが表示部14により表示される画像内の位置を指先等で指示すると、検知部131はこの指先による静電容量の変化を検知し、指示された位置を特定する。そして、検知部131は、特定した位置を示すデータを制御部11に送り、これを受け取った制御部11は、指示された位置に応じた処理を行う。
【0020】
通信部15は、制御部11の制御に応じて、図示しない通信回線を介して他の表示装置1と通信を行う。
【0021】
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであり、制御部11の制御により画像を表示する。表示部14に表示される画像は、操作に応じた表示やメニュー表示等の各種表示である。表示部14は、複数の画像を層状に重ねて表示する。具体的には、図1(b)に示すように、表示部14は、複数の層L1、L2、L3…(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「層L」と記す)をこの順に重ねて矢線D方向から見たときの画像(以下、重畳画像という)を表示する。なお、矢線D方向を各層Lにおける下向きの方向と定める。したがって、矢線D方向における最も手前にある層は最上層であり、最も奥にある層は最下層である。
【0022】
ここで、制御部11が重畳画像を表示部14に表示させる処理の詳細について説明する。この処理は、フィルターアプリ129に記述された手順に従って制御部11により実行される。各層Lの画像は、それぞれVRAM上の個別の領域に記憶される。制御部11は、最下層を除く各層Lの透過係数をそれぞれ決定して、これらの透過係数に応じた割合で各層Lの画像を混合し、新たな画像を生成する。ここで、層Lの透過係数とは、一般にアルファ値と呼ばれている0以上1以下の数値であり、この層Lよりも下層の画像がこの層Lを透過する割合を示す。具体的には、透過係数が1のときには、層Lは完全に不透明であり、層Lよりも下層の画像は、層Lよりも上層に透過されることはない。透過係数が0のときには、層Lは完全に透明であり、層Lよりも下層の画像は、全てそのまま層Lよりも上層に透過される。
【0023】
例えば、図1(b)に示すように、層L1、L2、L3の三層を矢線D方向から見た重畳画像を生成する際に、制御部11は、次の式(1)、(2)に沿った演算を行う。
ここで、各画像は、表示部14の表示画面における画素ごとに階調値が混合されるので、以下では、表示画面上の或る画素の階調値(画素値)について説明する。
【0024】
M2=α2×V2+(1−α2)×V3 ・・・(1)
M1=α1×V1+(1−α1)×M2
=α1×V1+(1−α1)×(α2×V2+(1−α2)×V3)・・・(2)
【0025】
V1、V2、およびV3は、それぞれ層L1、L2、L3に描かれる画素値である。
α1、およびα2は、それぞれ層L1、L2の透過係数である。
M2は層L2および層L3を重ねて矢線D方向から見たときの画素値である。
M1は重畳画像の画素値である。
このようにして、各層Lの画像における各画素値は透過係数に応じて混合されて、重畳画像において対応する各画素値となる。
【0026】
例えば、α1およびα2がいずれも0であると、M1はV3になる。α1が0でα2が1であると、M1はV2になる。α1が0.6でα2が0.75であると、M1はV1:V2:V3を6:3:1の比率で混合した値になる。
【0027】
1−2.制御部の機能的構成
図3は、制御部により実現される機能的構成を示す図である。
制御部11は、表示制御部111および処理部112として機能する。処理部112は、制御部11が記憶部12のアプリ群121から指定されたアプリを読み出して実行することにより実現する機能である。処理部112は、アプリに記述された手順に従ってアプリ画像を生成し、表示制御部111に引き渡す。また、処理部112は、操作部13の検知部131が表示部14における位置の指定を伴う操作を受け付けると、アプリに記述された手順に従ってその操作に応じた処理を行う。具体的には、処理部112は、この受け付けた操作に応じてこのアプリを実行する際に用いるパラメータを生成する。そして、生成されたパラメータを用いてアプリを実行することにより処理部112は、上記した「位置の指定を伴う操作」に応じたアプリ画像を新たに生成して表示制御部111に引き渡す。
【0028】
表示制御部111は、制御部11が記憶部12のフィルターアプリ129を読み出して実行することにより実現する機能である。表示制御部111は、記憶部12に記憶された保護画像122を読み出す。そして、表示制御部111は、処理部112から引き渡されたアプリ画像を表示部14に表示させるとともに、読み出した保護画像122をアプリ画像よりも下層に配置する。平常状態においては、アプリ画像が表示部14に表示され、保護画像122は表示部14に表示されないか、表示されたとしてもユーザに目立たない程度である。したがってこのとき、アプリ画像が描かれる層Lの透過係数α(以下、常態透過係数という)は例えば1である。
【0029】
表示制御部111は、操作部13の操作子132が押されると、予め定められた条件が満たされたと判断し、上記のアプリ画像を透過させる。具体的には、制御部11が、アプリ画像が描かれる層Lの透過係数αを、操作子132が押される前よりも低い値(以下、特定透過係数という)に設定し、層Lよりも下層に配置された保護画像122とアプリ画像とに基づいて重畳画像を生成する。生成された重畳画像は表示部14によって表示される。上記の特定透過係数は、常態透過係数が1である場合に、例えば0.3である。
【0030】
2.動作
次に、図4を参照して表示装置1の動作を説明する。
図4は、表示装置1の動作の一例を示すフロー図である。制御部11は、指定されたアプリを実行し、実行したアプリによりアプリ画像を生成する。そして、制御部11は、フィルターアプリ129を実行してこのアプリ画像を表示部14に表示させる(ステップS101)とともに、記憶部12に記憶されている保護画像122を読み出してアプリ画像が表示された層Lよりも下層に配置する(ステップS102)。なお、制御部11が実行するアプリには、このアプリが実行される際に必要なパラメータの初期値が予め記述されている。
【0031】
次に、制御部11は、フィルターアプリ129を実行し、操作部13が、操作子132を用いた操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS103)。操作子132を用いた操作を受け付けたと判断すると(ステップS103;YES)、制御部11は、保護画像122が描かれた層よりも上にある全ての層の透過係数を下げる(ステップS104)。これにより、アプリ画像は透過されるため、重畳画像におけるアプリ画像の割合は低下し、保護画像122の割合が上昇するので、ユーザは混合の割合が増加した保護画像122によりアプリ画像が見え難くなった画面を見ることとなる。
【0032】
一方、操作子132を用いた操作を受け付けていないと判断すると(ステップS103;NO)、制御部11は、操作部13が、検知部131により位置の指定を伴う操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS105)。検知部131により位置の指定を伴う操作を受け付けていないと判断すると(ステップS105;NO)、制御部11は、処理をステップS103に戻す。検知部131により位置の指定を伴う操作を受け付けたと判断すると(ステップS105;YES)、制御部11は、この操作に応じてアプリの実行に用いられるパラメータを生成し(ステップS106)、その後、処理をステップS101に戻す。このため、生成されたパラメータがアプリの実行に用いられることとなる。したがって、生成されるアプリ画像は、検知部131により検知された位置の指定を伴う操作に応じた画像となる。
【0033】
以上、説明したように、表示装置1の制御部11は、アプリを実行することにより表示部14に表示させるアプリ画像よりも下層に保護画像122を配置するので、アプリ画像を配置する層Lの透過係数を1または1に近い数値(例えば、0.5以上の数値)に設定しておくことで、操作子132を用いた操作を受け付けるまでは、アプリ画像は保護画像122によって保護されず、アプリ画像を配置する層Lの透過係数を0または0に近い数値(例えば、0.5未満の数値)に変更することで、保護画像122によりアプリ画像を保護することができる。
【0034】
そして、例えば、制御部11が実行するアプリAのアプリ画像を状況に応じて隠したい場合に、別途、アプリBを実行してそのアプリ画像を、アプリAのアプリ画像の上に重ねるといった表示装置を検討すると、この表示装置では、検知部131が位置の指定を伴う操作を検知したときに、その操作内容は、アプリAよりも先にアプリBに引き渡されることとなる。したがって、この場合には、アプリBがこの操作をアプリAにそのまま伝達する必要がある。
【0035】
一方、本発明に係る表示装置1は、アプリに記述された手順に従ってユーザに提示されるアプリ画像を、上記アプリとは別のアプリによって提示されるアプリ画像を上記アプリ画像の上層に配置することによって保護するのではなく、別途用意された保護画像122を予めアプリ画像が表示される層よりも下層に配置し、アプリ画像の透過係数を変化させることにより上記アプリ画像を保護する。この場合には、上記の操作を一旦、上層のアプリが受け付けて、受け付けたその操作を下層のアプリへ伝達するというような構成を敢えて設ける必要がない。したがって、上記の構成に比べると、アプリに対する操作の伝達を簡素にすることができ、また、操作対象でないアプリを介して操作が伝達される時間を要しないので、ユーザの操作に対するアプリの応答性を高めることができる。
【0036】
3.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0037】
(1−1)上述の実施形態において、表示装置1は、通信回線を介して他の端末と通信を行う通信端末であったが、携帯電話機、PDA、携帯音楽再生機、携帯動画再生機、ゲーム機、電子書籍の閲覧装置、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0038】
(1−2)例えば、表示装置1が携帯電話機である場合、表示装置1は、音声処理部を備える。この音声処理部は、マイクロフォン、スピーカ、およびDSP(Digital Signal Processor)等の音声処理回路を有し、マイクロフォンによる収音内容を示す収音信号を音声処理回路により生成して出力するとともに、制御部11の制御により入力される音声信号に対し音声処理回路により音声処理を行って、その音声信号に応じた音をスピーカから出力させればよい。
【0039】
(1−3)また、上述の実施形態において、表示装置1は、通信部15により通信回線に接続して他の端末と通信を行う通信端末であったが、表示装置1が、例えば、アプリに記述された手順に従ってゲームを行うゲーム機や、電子書籍の閲覧装置等である場合には、通信部15はなくてもよい。
【0040】
(2−1)上述の実施形態において、記憶部12は、1つの保護画像122を記憶していたが、複数の保護画像122を記憶していてもよい。この場合、制御部11は、記憶部12に記憶された複数の保護画像122から、特定の保護画像122を取得すればよい。また、操作部13は1つの操作子132を備えていたが、複数の操作子を備えていてもよい。この場合、例えば、制御部11は、各操作子を各保護画像122にそれぞれ割り当てておき、操作された操作子に割り当てられた保護画像122を取得してもよい。これにより、ユーザは好みに応じて操作子を選ぶことで保護画像122を選択することができる。
【0041】
(2−2)また、表示装置1の制御部11は、時刻を計測するタイマを備え、予め定められた条件が満たされたときの時刻に応じて、上述した複数の保護画像122から特定の保護画像122を取得してもよい。また、表示装置1は、所定の基準測地系において自装置が存在する位置(以下、緯度・経度という)を測定する、いわゆるGPS(Global Positioning System)受信機である測位部16を備え、制御部11は、測位部16によって測定された緯度・経度に応じて、上述した複数の保護画像から特定の保護画像を取得するようにしてもよい。この場合、特定の保護画像には、時刻や位置に応じて予め定められた広告が描かれていてもよい。
【0042】
(2−3)また、表示装置1の制御部11は、時刻または緯度・経度のいずれか一方に応じて保護画像122を取得することに代えて、時刻と緯度・経度との組み合わせに応じて保護画像122を取得するようにしてもよい。
図5は、この変形例における表示装置1aの構成を示す図である。制御部11aは、タイマが備えられている点において、上述の実施形態における制御部11と異なっている。記憶部12aは、複数の保護画像122a、122b、…(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「保護画像122」と記す)が保護画像群123として記憶されている点において、上述の実施形態における記憶部12と異なっている。また、表示装置1aは、制御部11a、記憶部12aに加えて、上記の測位部16を備えている点においても、表示装置1と異なっている。
【0043】
図6は、この変形例における表示装置1a、および制御部11aの機能的構成を示す図である。制御部11aは、表示制御部111および処理部112として機能するほか、上述した制御プログラムを実行することにより特定部113、および取得部114として機能する。記憶部12aは、1日の時刻を予め複数の期間に区分けした時刻区分と、上述の基準測地系における緯度・経度を複数の領域に区分けした位置区分とを記憶している。時刻区分は、例えば具体的には、1日の時刻を予め1時間ごとに区分けした期間等である。位置区分は、例えば具体的には、緯度が35度39分30秒から35度39分31秒までで、且つ、経度が139度44分43秒から139度44分44秒までの範囲等である。ここでは、時刻は、時刻区分t0、t1、t2、…、t23に区分けされており、緯度・経度は、位置区分Q1、Q2、…に区分けされている。
【0044】
そして、記憶部12aの保護画像群123に含まれる各保護画像122は、データベースにより時刻区分と位置区分との組み合わせにそれぞれ対応付けられている。例えば、時刻区分t7に区分される午前7時から午前8時までの或る時刻において、位置区分Q1に区分される或る位置に表示装置1が存在しているときに、上記の条件が満たされたとすると、特定部113は、保護画像群123から時刻区分t7と位置区分Q1との組み合わせを特定し、この組み合わせを示す情報を取得部114に引き渡す。取得部114は、引き渡された情報により示される組み合わせに基づいて、これに対応する保護画像122bを保護画像群123から取得する。
【0045】
この構成であれば、例えば、朝の通勤ラッシュ時に駅構内において、予め定められた条件が満たされると、取得部114は保護画像122として語学教材の内容等が記述された画像を取得するように設定することができる。また、夕方の帰宅時に自宅近辺の食料品店において、予め定められた条件が満たされると、取得部114は料理のレシピ等が記述された画像を取得するように設定することもできる。これにより、プライバシーを保護したいときに表示される保護画像を時や場所に応じたものにすることができる。なお、保護画像に時と場所に応じた広告を含ませるようにしてもよい。
【0046】
なお、特定部113および取得部114は、制御部11aが制御プログラムを実行することにより実現されていたが、制御部11aがアプリ群121に含まれるアプリまたはフィルターアプリ129を実行することにより実現されてもよく、また、制御部11aがこれらのいずれとも異なるアプリを実行することにより実現されてもよい。
【0047】
(2−4)また、表示装置1の制御部11は、表示部14に表示されているアプリ画像に関する情報(以下、アプリ画像情報という)を解析し、解析結果に応じた保護画像122を保護画像群123から取得するようにしてもよい。ここで、アプリ画像情報とは、例えば制御部11がアプリを実行することにより、HTML文書等のマークアップ言語を解釈し、その内容に応じたアプリ画像を生成する場合に、上述のHTML文書そのものや、HTML文書においてリンク先として記述されたURL(Uniform Resource Locator)を含む。また、この場合、アプリ画像情報は、URLが示す画像等のリソースそのものや、そのリソースに含まれているメタデータやコメント部分のように、そのリソースに関する情報であって、アプリ画像に直接反映されない種々の情報等を含んでいてもよい。また、アプリ画像情報は、たとえばサイト検索のために入力された文字列等、制御部11がアプリ画像を生成する際にアクセスした全ての情報を含んでいてもよい。
【0048】
図7は、この変形例における表示装置1b、および制御部11bの機能的構成を示す図である。表示装置1bは、測位部16を備えていないほか、記憶部12aに代えて保護画像群123bを記憶する記憶部12bを備えている点、および、制御部11aに代えて制御部11bを備えている点において、図6に示した表示装置1aと異なっている。制御部11bは、特定部113に代えて解析部115を備えている点において、図6に示した表示装置1aと異なっている。制御部11bは、表示制御部111、処理部112、および制御プログラムを実行することにより取得部114として機能するほか、制御プログラムを実行することにより解析部115として機能する。
【0049】
記憶部12bの保護画像群123bに含まれる各保護画像122は、データベースにより予めアプリ画像情報の解析結果に対応付けられている。
解析部115は、処理部112がアプリを実行することによりアプリ画像を生成する際に、そのアプリ画像に関するアプリ画像情報を解析する。具体的には、解析部115は、アプリ画像において使用されている色の種類、色の分布、文字の数、文字の種類、文字から推察される使用言語等、を特定したり、色数や色の分布等から文字以外の表示が写真とイラストのいずれであるかを特定したりする。そして、特定された内容を解析結果として取得部114に引き渡す。取得部114は、引き渡された解析結果に基づいて、これに対応する保護画像122bを保護画像群123bから取得する。
【0050】
例えば、アプリが文字を多く使用するものである場合には、アプリ画像には文字が多く現れる。このとき、文字が描かれた保護画像を用いると、これらがアプリ画像に含まれる文字と混じり合うためプライバシー保護の効果を高める場合がある。同様に、アプリが模様を多く使用するものである場合には、模様が描かれた保護画像を用いるとプライバシー保護の効果を高める場合がある。特に、アプリ画像と保護画像とにそれぞれ描かれた文字同士または模様同士が類似している場合には、プライバシー保護の効果が高まる傾向がある。上述のように構成することにより、表示装置1bは、アプリ画像を保護する保護画像として、多様な状況のそれぞれに適したものを使うことができる。なお、ここでいう「類似」とは、例えば、文字サイズや文字間隔、文字の配列の向き、模様の線の曲がり具合、線の太さ、線の間隔等が共通しているか、またはその差が或る範囲内にあることをいう。
【0051】
また、解析部115は、アプリ画像において使用されている文字、写真またはイラストの各内容やこれらに関する情報を解析して、取得部114に、その解析結果に対応する保護画像122bを保護画像群123bから取得させるようにしてもよい。例えば、アプリ画像において自動車の型番や愛称または「自動車」の文字等や、自動車の写真、イラスト等が使用されている場合には、解析部115はアプリ画像情報の解析結果として「自動車」を示す情報を取得部114に引き渡す。そして、これを受けて取得部114は、自動車の広告を表した保護画像122を保護画像群123bから取得すればよい。なお、この場合、記憶部12には、アプリ画像と比較する文字、写真等を記憶したデータベースを有しており、制御部11がアプリ画像とこのデータベースの記憶内容とを照合すればよい。
【0052】
また、取得部114は、記憶部12に記憶された保護画像群123bからではなく、外部のサーバから通信部15を介して保護画像を取得してもよい。この場合、例えば解析部115が通信部15を介して上記のサーバである広告画像サーバにアプリ画像情報の解析結果を送信し、取得部114は、この解析結果に応じて広告画像サーバが送信した保護画像を取得すればよい。このようにして取得された保護画像は、保護画像群123bに含まれる保護画像122として記憶部12に記憶されてもよい。
【0053】
アプリ画像で頻繁に使用される文字や写真等はユーザの関心が向いている事物を表していることが多い。例えばユーザの使用するアプリがwebサイトを閲覧するためのアプリである場合、自動車を好む人は自動車に関連するサイトを閲覧することが多く、電化製品を好む人は電化製品に関連するサイトを閲覧することが多い。上述のように、アプリ画像で使用される文字や写真等を解析することで、解析部115の解析結果としてユーザが関心を向けている可能性が高い事物が特定されるため、この事物に応じた広告が含まれている保護画像122を表示させることにより、より効果の高い広告を行うことができる場合がある。
【0054】
なお、解析部115は、制御部11bが制御プログラムを実行することにより実現されていたが、制御部11bがアプリ群121に含まれるアプリまたはフィルターアプリ129を実行することにより実現されてもよく、また、制御部11bがこれらのいずれとも異なるアプリを実行することにより実現されてもよい。
【0055】
(2−5)制御部11は、記憶部12に記憶された複数の保護画像から、特定の保護画像を取得する際に擬似乱数を発生させて、この乱数に基づいて保護画像を特定してもよい。
【0056】
(3−1)上述の実施形態において、アプリ画像と保護画像のそれぞれの大きさについては特に言及しなかったが、表示装置1は、保護画像をアプリ画像の一部を保護するように用いてもよい。
図8は、この変形例における保護領域を説明するための図である。保護領域とは、表示部14においてアプリ画像を保護する領域であり、例えば、保護領域がXY座標における矩形である場合、その矩形の4頂点のうち、対角位置にある1組の点で(左上の点と右下の点等)表される。
【0057】
表示装置1の制御部11が実行するアプリ群121には、図8(a)に示すように、複数のアプリA1、A2(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「アプリA」と記す)が含まれている。各アプリAには、1または複数のアプリ画像と、そのアプリ画像に固有の保護領域とが対応付けられて記述されている。例えば、図8(a)に示すように、アプリA1においては、アプリ画像G1が保護領域R1に対応づけられており、アプリA2においては、アプリ画像G21が保護領域R21に、アプリ画像G22が保護領域R22に、それぞれ対応づけられている。
【0058】
処理部112がアプリA1を実行すると、表示部14には、図8(b)に示すように、アプリ画像G1が表示される。アプリA1は電子メールの編集アプリであり、「メール編集アプリ」という文字列が記述されたタイトルバーの下に、「宛先:」という文字列が表示される。そしてこの文字列の右側には、電子メールを送る相手のメールアドレスを記入する欄(以下、アドレス記入欄という)が設けられている。また、その下には電子メール本文を表示する欄が設けられている。
【0059】
アプリ画像G1に対応付けられた保護領域は、図8(c)に示すように、上述のアドレス記入欄に相当する領域として定められている。制御部11により実現される処理部112は、生成したアプリ画像G1に加えて、このアプリ画像に対応づけられている保護領域を表示制御部111に引き渡す。表示制御部111は、アプリ画像が描かれる層Lより下の層において、上記の保護領域に保護画像122を配置しており、操作子132が押されると、アプリ画像が描かれる層Lの透過係数を下げる。これにより、上記の保護領域に保護画像が現れた重畳画像が表示部14に表示される。
これにより、表示装置1は保護する必要がある部分だけを保護することができる。
【0060】
(3−2)また、処理部112は、アプリA1を実行すると、表示制御部111にアプリ画像G1を引き渡すとともに、保護画像群123の中から1つの保護画像122を選択するための情報(以下、選択情報という)を引き渡すようにしてもよい。この選択情報とは、例えば、選択されるべき保護画像122が属する分類等であり、具体的には、画像に文字が描かれているか、模様が描かれているかの区別、また、文字が描かれている画像であればフォント、言語や文字の大きさの指定、模様が描かれている画像であれば、線の太さや間隔、色合い等である。この場合、このアプリ画像G1と上記の選択情報とが対応付けられていればよく、表示制御部111は、選択情報に基づいてアプリ画像G1の下層に配置する保護画像122を取得すればよい。なお、選択情報としては、アプリ画像において使用されている文字、写真またはイラストの内容を示す情報であってもよいし、これらのメタデータ等を含むアプリ画像情報であってもよい。
【0061】
(4−1)上述の実施形態において、制御部11により実現される表示制御部111は、操作部13の操作子132が押されると、予め定められた条件が満たされたと判断し、上記のアプリ画像を透過させていたが、予め定められた条件は、これに限られない。例えば、操作部13は、加速度センサや角速度センサ等を備えており、表示装置1がユーザによって揺らされたときや、或る角度に傾けられたとき等を、これらのセンサが検知したときに、表示制御部111は、上記の条件が満たされたと判断するようにしてもよい。また、予め定められた条件は、操作部13を介したユーザの操作を契機としたものに限られない。例えば、表示装置1に備えられた電子マネー決済装置により支払いが行われたことを契機として、表示制御部111は、上記の条件が満たされたものと判断してもよい。他にも、電子乗車券による改札通過を検知して、ユーザが駅構内にいると判断されるとき、表示装置1に備えられたGPSにより表示装置1が予め定められた地域に存在すると判断されるとき、表示装置1に電子メールが着信したとき、表示装置1が携帯電話機である場合に記憶部12に記憶されたアドレス帳において予め定められた通信相手から電話をかけられたとき、記憶部12に記憶されたスケジュールに示す時刻になったとき、等を、上述した条件としてもよい。
【0062】
(4−2)また、カメラ等のように周囲を撮影する撮影部を表示装置1に設けて、この撮影部が撮影した撮影データを解析した結果について、上記の条件を定めてもよい。具体的には、制御部11の制御の下、表示装置1に設けられた撮影部が周囲を撮影し、撮影データを生成する。表示制御部111は、撮影部が生成した撮影データを取得すると、この撮影データを解析して、例えば、撮影データに表示装置1の所有者であるユーザの顔が含まれているか否かを判定し、含まれていないと判定されたときに、上記の条件が満たされたと判断するようにしてもよい。また、表示制御部111は、上記の撮影データを解析して、ユーザの顔が含まれていると判定した場合であっても、そのユーザの瞳の解析結果などから視線がどの方向を向いているかを特定し、ユーザの視線が表示部14に向いていない、すなわち、ユーザが表示部14を閲覧していないと判定した場合には、上記の条件が満たされたと判断するようにしてもよい。これにより、ユーザが見ていない可能性が高い場合において表示装置1はアプリ画像を見え難くしてプライバシーの保護を図ることができる。なお、この閲覧の有無を判断するための構成は、特開2001−350549号公報等に開示されているものと同じでよく、公知の方法で構わない。
【0063】
(4−3)また、上述の実施形態において、操作部13の検知部131が表示部14における位置の指定を伴う操作を受け付けると、処理部112は、アプリに記述された手順に従ってその操作に応じた処理を行っていたが、検知部131が受け付けた操作により指定される位置が、表示部14における或る範囲内にある場合に、表示制御部111が上記の条件が満たされたと判断して上記のアプリ画像が描かれる層の透過係数を下げるようにしてもよい。
【0064】
図9は、この変形例に係る表示装置1の表示内容を説明するための図である。図9(a)に示すように、表示部14は、複数の層L1、L2、L3を矢線D方向に順に重ねて重畳画像を表示する。最上層である層L1には、アプリA1が実行されることにより表示画面の一部分に矩形状のアプリ画像G1が配置される。層L1の直ぐ下の層である層L2には、アプリA2が実行されることによりアプリ画像G2が配置される。層L3の直ぐ下の層である層L3には、フィルターアプリ129が実行されることにより保護画像122が配置される。ここで、表示制御部111は、層L1のように表示画面の一部分にアプリ画像を配置する場合には、その部分の内側と外側とで異なる透過係数を定める。具体的には、その部分の内側には透過係数として1を、その部分の外側には透過係数として0を設定する。これにより、層L1においてアプリ画像G1が配置される矩形領域にはアプリ画像G1のみが表示され、層L2、L3に配置された画像は混合されない。一方、層L1の上記矩形領域の外側は、完全に透過しているため、層L2に配置されたアプリ画像G2と層L3に配置された保護画像122が、それぞれの透過係数に応じて混合されて表示される。
【0065】
図9(b)に示すように、アプリ画像G1には、棒グラフw2の上に操作ポイントw1が重ねられた図形が表示されている。棒グラフw2の長手方向のいずれかの位置に操作ポイントw1は重ねられており、棒グラフw2のうち、操作ポイントw1よりも右側の部分は白色に塗られ、操作ポイントw1よりも左側の部分は黒色に塗られる。ユーザが操作ポイントw1に指等で触れて、触れている位置を棒グラフw2の長手方向に沿って移動させると、操作ポイントw1は、その指の位置に従って移動し、棒グラフw2は、その結果に応じて塗り替えられるように構成されている。そして、層L2の透過係数は、棒グラフw2の全体に対する、黒色の領域の割合になるように構成されている。この場合、ユーザによって位置を指示する操作がなされても、指示されたその位置がアプリ画像G1の操作ポイントw1の位置、すなわち或る範囲内の位置であるため、この操作は、アプリ画像G2を配置させたアプリA2の処理に影響を与えない。特に棒グラフw2の全体に対する黒色の領域の割合が減少するように操作された場合には、この操作は、表示制御部111によって「予め定められた条件を満たす操作」として判断され、層L2の透過係数が上記割合に応じて下げられる。その結果、層L3に配置された保護画像122が表示部14に表示されることとなる。なお、ユーザに指示された位置がアプリ画像G1の外側、すなわち上記の或る範囲外(図9(b)において平行斜線を描画した領域内)の位置である場合には、検知部131の検知した「位置を指示する操作」はアプリA2の処理に用いられるパラメータを生成する契機として処理部112に受け取られる。
【0066】
この構成によれば、本発明に係る表示装置1は、検知部131の検知する位置を区分けするため、透過係数を決定して保護画像122が表示される割合を変更する処理と、アプリ画像を表示させたアプリを実行する際に用いるパラメータを生成する処理の2種類の処理を行うことができる。
【0067】
(5)表示装置1の制御部11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。また、このプログラムは、制御部11のROMに予め記憶させた状態で提供してもよい。なお、上記制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【0068】
(6)上述の実施形態において、検知部131は、静電容量方式のタッチパネルであったが、検知部131が表示部14における位置の指定を伴う操作を受け付ける手段はこれに限られない。検知部131は、例えば、抵抗膜方式や電磁誘導方式のタッチパネルであってもよい。検知部131は、指先ではなく、専用のスタイラスペン等により指示された位置を検知してもよい。
【0069】
(7)上述の変形例において、測位部16はGPS受信機であったが、条件が満たされたときの自装置の位置を検知する構成は、GPS受信機に限られない。例えば、表示装置1が携帯電話機である場合には、最も近くに存在する中継基地局の識別情報によって自装置の位置を検知してもよい。また、RFID(Radio Frequency Identification)技術によって得られる情報に基づいて自装置の位置を検知してもよい。例えば、周囲に分散配置されたICタグが発信する識別情報を、表示装置1に備えられたタグリーダが読み取って制御部11に送り、制御部11が、識別情報に応じて自装置の位置を特定するようにしてもよい。
【0070】
(8)ステップS101とステップS102の順番は逆でもよい。すなわち、制御部11は、保護画像122を或る層に配置してからアプリを実行し、実行したアプリにより生成されるアプリ画像をこの層よりも上の層に表示させてもよい。
【0071】
(9)上述の実施形態において、アプリ画像と保護画像122とを重ねて得られる画像である重畳画像を表示部14に表示させる処理は、フィルターアプリ129に記述された手順に従って制御部11により実行されていたが、この処理は、アプリ群121に含まれるアプリに記述された手順に従って制御部11により実行されてもよい。
【0072】
図10は、この変形例における表示装置1cの構成を示す図である。表示装置1cは、上述の表示装置1の記憶部12に代えて記憶部12cを具備している。記憶部12cは、フィルターアプリ129を記憶しておらず、フィルタールーチンFRがそれぞれ組み込まれている複数のアプリを含んだアプリ群121cを記憶しているという点において、上述の実施形態における記憶部12と異なっている。また、表示装置1cの制御部11cは、機能的構成が表示装置1の制御部11と異なっている。
【0073】
図11は、この変形例における表示装置1c、および制御部11cの機能的構成を示す図である。制御部11cは、表示制御部111および処理部112として機能するが、いずれも、制御部11が記憶部12cのアプリ群121から指定されたアプリ(図11においてはアプリA3)を読み出して実行することにより実現する機能である。処理部112は、アプリA3に記述された手順に従ってアプリ画像を生成し、操作部13の検知部131が表示部14における位置の指定を伴う操作を受け付けると、その操作に応じた処理を行う。これに加えて、処理部112は、アプリA3に含まれるフィルタールーチンFRを呼び出して、これに記述された手順に従って処理を行うことにより、表示制御部111として機能する。具体的には、処理部112は、生成したアプリ画像を表示部14に表示させるとともに、記憶部12cから読み出した保護画像122をアプリ画像よりも下層に配置する。そして、処理部112(すなわち、表示制御部111)は、アプリ画像および保護画像122から、各層Lの透過係数に応じた重畳画像を生成する。
【0074】
要するに、アプリごとに、表示制御部111の処理が記述されたフィルタールーチンFRが記述されているため、制御部11cは、1つのアプリを実行することで重畳画像を生成することができる。このように構成されていることにより、表示装置1cは、複数のアプリを並列的に実行することができない非マルチタスク型のOS(Operating System)によって制御されている場合であっても、1つのアプリを実行することで、アプリ画像と保護画像とを重畳した重畳画像を表示させることができるので、これを利用するユーザは、状況に応じてプライバシー保護の程度を変更することができる。
【0075】
(10)上述の実施形態において、制御部11が実行するアプリは1つであったが、複数のアプリを並行して実行してもよい。この場合、制御部11は、実行するアプリごとに固有のフィルターアプリ129を並列処理により実行するとよい。例えば、複数のアプリはそれぞれ実行されると表示部14の表示領域にそれぞれのアプリ画像を表示するが、表示領域には限りがあるため、各アプリ画像が重なっている部分については最も上層に表示されたアプリ画像がユーザに見られることとなる。ここで、予め定められた条件が満たされると、このアプリ画像を保護画像122が保護する。このとき、保護画像122が表示装置1において1つだけ、例えば最下層に配置されているとすると、上述した最上層のアプリ画像が透過したとしても、次に重ねられているアプリ画像が見えることになるので、予期せぬ情報が覗き見されてしまうことがある。一方、この変形例においては、アプリごとに固有のフィルターアプリ129を実行することで、各アプリ画像の直ぐ下の層に固有の保護画像122がそれぞれ配置される。したがって、これにより、覗き見から保護したいアプリ画像を確実に保護するとともに、その他のアプリ画像が覗き見されることを防止することができる。特に、各アプリが表示するアプリ画像のそれぞれのアプリ画像情報は異なっていることが多いので、このようにアプリ画像ごとに、そのそれぞれの下層に保護画像122を配置することは、上述したように保護の効果を高めるとともに、広告効果を高めることに寄与し得る。
【0076】
(11−1)上述の、予め定められた条件は複数種類設けられていてもよい。この場合、その各条件につき特定透過係数が定められていてもよい。例えば、操作子132を1回押したときの特定透過係数は0.9であり、2回、3回と操作子132を押す回数が増えるごとに、特定透過係数が0.1ずつ減少するといった具合である。これによりユーザは、状況に応じて操作を選ぶことによりプライバシー保護の程度を調節することができる。
【0077】
(11−2)また、1または複数の特定透過係数は、アプリ画像ごとに定められていてもよく、また、アプリ画像と保護画像122との組み合わせごとに定められていてもよい。予め定められた条件が満たされたときであっても、アプリ画像は、ユーザが見ることができる程度に表示されていることが望ましく、この程度を決定するのは特定透過係数と、アプリ画像および保護画像122の内容であるからである。例えば、アプリ画像の輝度の差(コントラスト)が大きいものほど、アプリ画像が目立ちやすいため、特定透過係数を低く設定するといった具合である。なお、常態透過係数も、アプリ画像ごと、またはアプリ画像と保護画像122との組み合わせごとに定められていてもよい。
【0078】
(11−3)表示制御部111が記憶部12から読み出す保護画像122は、ユーザによって設定することができるように構成されていてもよい。例えば、ユーザがフィルターアプリ129の実行に用いられるパラメータを設定するためのアプリを起動し、これにより、記憶部12において保護画像122が記憶されている領域に好みの画像を記憶させればよい。
【0079】
(11−4)また、表示制御部111は、記憶部12に記憶された保護画像122ではなく、外部のサーバから通信部15を介して保護画像を取得してもよい。この場合には、保護画像の内容は、ユーザではなく、外部のサーバによって設定することができるように構成されていてもよい。また、このサーバは、上述した広告画像サーバに限られず、このサーバから取得する保護画像の内容は、広告に限られない。保護画像の内容は、例えば、災害の詳細を伝える災害情報や、時事を報道するニュース等であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1a,1b,1c…表示装置、11,11a,11b,11c…制御部、111…表示制御部、112…処理部、113…特定部、114…取得部、115…解析部、12,12a,12b,12c…記憶部、121,121c…アプリ群、122,122a,122b…保護画像、123,123b…保護画像群、129…フィルターアプリ、13…操作部、131…検知部、132…操作子、14…表示部、15…通信部、16…測位部、A,A1,A2,A3,B…アプリ、FR…フィルタールーチン、G1,G2,G21,G22…アプリ画像、L1,L2,L3…層、R1,R21,R22…保護領域、w1…操作ポイント、w2…棒グラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を重ねて得られる画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
アプリケーションプログラムに記述された手順に従って、ユーザに提示される第1画像を生成するとともに、前記表示手段における位置の指定を伴う操作が操作手段により受け付けられると当該操作に応じた処理を行う処理手段と
を具備し、
前記表示制御手段は、前記第1画像を前記表示手段に表示させるとともに、当該第1画像とは異なる画像であって前記第1画像を保護するための第2画像を前記表示手段において当該第1画像よりも下層に配置し、予め定められた条件が満たされたときに、当該第1画像を透過させることにより、前記下層に配置された当該第2画像を前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記条件が満たされたときに自装置が在る場所、または当該条件が満たされたときの時刻の少なくともいずれか一方を示す情報を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記情報に応じた画像を取得する取得手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記画像を前記第2画像として前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1画像に関する情報を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じた画像を取得する取得手段と
を具備し、
前記表示制御手段は、前記取得手段により取得された前記画像を前記第2画像として前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
決められた領域を前記第1画像ごとに対応づけて記憶する領域記憶手段を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段において前記第1画像よりも下層であって、且つ、前記領域記憶手段により当該第1画像に対応づけて記憶された前記領域に、前記第2画像を配置する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
アプリケーションプログラムに記述された手順に従って、ユーザに提示される第1画像を生成するとともに、表示手段における位置の指定を伴う操作が操作手段により受け付けられると当該操作に応じた処理を行う処理手段を備えるコンピュータを、
複数の画像を重ねて得られる画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段であって、前記第1画像を前記表示手段に表示させるとともに、当該第1画像とは異なる画像であって前記第1画像を保護するための第2画像を前記表示手段において当該第1画像よりも下層に配置し、予め定められた条件が満たされたときに、当該第1画像を透過させることにより、前記下層に配置された当該第2画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−242452(P2011−242452A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112243(P2010−112243)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(304027534)株式会社アイ・エス・ビー (2)
【Fターム(参考)】