説明

表示装置及び仕分システム

【課題】コンパクトに収納できる仕分システム用の表示装置を提供する。
【解決手段】仕分システムでは、同一の高さの複数の表示器台1を回転可能に連結して表示装置10が構成される。このため、表示器11の配置高さを一定とすることができる。これとともに、表示装置10を、直線的に配置することも折り畳んで配置することも可能である。したがって、仕分け作業を行わない場合には表示装置10を折り畳んでコンパクトに収納することができ、仕分け作業の前後に必要な作業の効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を仕分るための仕分システムに用いられる表示器を有する表示装置に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店舗向けの物流センター(配送センターや出荷センター等)においては、各店舗へ発送すべき個数の商品を取り揃える仕分け作業を仕分けシステムを用いて行うことが多い。
【0003】
このような仕分システムとしては、商品をカートで搬送しつつそれぞれ店舗に対応する複数のカゴ車に必要な仕分個数の商品を投入していくソーティングシステムや、逆に、店舗に対応するコンテナをカートで搬送しつつ複数のカゴ車から必要な仕分個数の商品を取り出していくピッキングシステムなどが知られている。
【0004】
いずれのタイプの仕分システムの場合も、複数のカゴ車のそれぞれに対応して表示器が設けられ、当該表示器に仕分個数が表示される。作業者は、この表示器の表示内容に基づいて作業を行うことになる。
【0005】
一般に、このような表示器は、天井からの吊り下げ等により固定的に配置される。しかし、このように固定配置された表示器は、カゴ車の移動作業を行う場合などにおいては障害物となり、作業効率低下の原因となる。このため、カゴ車を内側に収納可能で、かつ、移動可能なコの字状の構造体を用い、その構造体の水平板に表示器を取り付けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−187613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の仕分システムでは、構造体の水平板の下方内側にカゴ車を収納するため、構造体の水平板よりも高いカゴ車は利用できず、カゴ車の高さが制限されていた。この制限を緩和するには、水平板の位置がより高い構造体が必要となるが、その場合には構造体の安定性が損なわれることになる。
【0008】
また、複数の構造体を収納する際には、一の構造体の水平板の下方内側に他の構造体を重ねて組み入れるようになっている。このことから、構造体の相互間で水平板の高さが相違するため、表示器の高さが一定とならずその視認性が悪化することとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表示器を一定の高さに配置できるとともに、コンパクトに収納できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、仕分システムに用いられ、仕分用の表示器を有する表示装置であって、それぞれが前記表示器を固定するフレームと、該フレームを略水平に支持する脚部とを有する複数の表示器台、を直列的に配列して備え、隣接する表示器台同士は、略鉛直に延びる少なくとも1つ以上の回転軸を有する連結部材を介して連結される。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記表示器は、電気的に仕分個数を表示する電気的表示装置である。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の表示装置において、前記表示器への電気的な配線は、前記フレームの内部に敷設される。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の表示装置において、前記連結部材は、複数のサブ部材を直列的に配列して備えるものであり、隣接するサブ部材同士は、略鉛直に延びる回転軸を介して連結され、かつ、その回転角度が所定角度に制限される。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置において、前記フレームの高さは、200mm以上600mm以下である。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の表示装置において、前記表示器は、その表示面を上側に向けた状態で前記フレームに固定される。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置において、隣接する表示器台の相互間で、前記フレームに対する前記脚部の相対配置位置が異なる。
【0017】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置において、直列的に配列した前記複数の表示器台の一の端部は固定配置される。
【0018】
また、請求項9の発明は、商品を仕分るための仕分システムであって、請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置と、仕分け作業を行う作業者から操作を受け付ける操作装置と、を備えている。
【0019】
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の仕分システムにおいて、前記操作装置は、車輪を備える移動台車に載置され、直列的に配列した前記複数の表示器台の一の端部は固定配置され、他の端部は前記移動台車と接続される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし10の発明によれば、複数の表示器台を、略鉛直に延びる回転軸を中心に回転可能に連結して表示装置が構成される。このため、表示器を一定の高さに配置することができる。これとともに、表示装置を直線的に配置することも折り畳んで配置することも可能であることから、仕分け作業を行わない場合には表示装置を折り畳んでコンパクトに収納することができ、仕分け作業の前後に必要な作業の効率を向上できる。
【0021】
また、特に請求項2の発明によれば、表示器が電気的表示装置であっても、表示器台同士が連結されており分離していないため、その配線が容易である。
【0022】
また、特に請求項3の発明によれば、表示器への配線が外部に露出しないため、配線を保護でき、仕分け作業の邪魔にもならない。
【0023】
また、特に請求項4の発明によれば、サブ部材同士が所定角度までしか曲げられないことから、連結部材全体としては緩やかに屈曲する。このため、連結部材の内部に敷設された配線の屈曲による劣化を防止できる。
【0024】
また、特に請求項5の発明によれば、フレームの高さを200mm以上600mm以下とすることで、フレームが作業の邪魔とならず、かつ、表示器台の安定性を確保できる。
【0025】
また、特に請求項6の発明によれば、表示器が表示面を上側に向けた状態で固定されるため、視認性を確保することができる。
【0026】
また、特に請求項7の発明によれば、表示装置を折り畳んだときに、隣接する表示器台の脚部の接触が防止される。
【0027】
また、特に請求項8の発明によれば、複数の表示器台の一の端部が固定配置されるため、表示装置の所定位置への収納や展開を容易に行うことができる。
【0028】
また、特に請求項10の発明によれば、操作装置も、表示装置とともに収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
<1.システム概要>
図1は、本発明に係る仕分システム100が適用される作業スペースの一部を表す上面図である。また、図2は、図1中に示す領域Aの拡大図であり、図3は領域Aの正面図である。
【0031】
この仕分システム100は、仕分け作業を行う作業者Pが、仕分け対象となる商品をカート6で搬送しつつ、複数のカゴ車3のそれぞれに必要な個数の商品を投入していくタイプのものであり、「ソーティングシステム」とも呼ばれる。図1に示す領域は、作業領域としての一の単位となり、「ゾーン」Zと呼ばれる。作業スペースには、同様のゾーンZが複数形成されている。
【0032】
図1に示すように、一のゾーンZには、作業者Pが仕分作業を行うための一の通路Wが形成されている。そして、この通路Wを挟むようにして、複数のカゴ車3が略直線的に2列に配置される。カゴ車3は、「ロールボックスパレット」とも呼ばれる一の側面が開放したカゴを備えて構成される移動可能な台車であり、その開放された側面を通路Wに向けて配置される。作業スペースの床面には枠線4が形成されており、この枠線4の各枠内にカゴ車3を納めることにより、カゴ車3が作業スペースの所定の位置に配置されるようになっている。本実施の形態では、各列に15台のカゴ車3が配置される。
【0033】
また、一のゾーンZには、作業者Pから操作を受け付ける一の操作装置2が設けられている。この操作装置2は、通路Wの一方の側に配置される。以下、通路Wに対して操作装置2が配置される側を「第1サイド」、逆の側を「第2サイド」という。
【0034】
図2及び図3に示すように、操作装置2は、各種情報を表示するディスプレイ21と、ユーザの操作を受け付ける各種のボタン22と、バーコードを読み取るバーコードスキャナ23とを備えている。仕分対象となる各商品には商品コードを示すバーコードが予め付されている。このバーコードをバーコードスキャナ23により読み取ることにより、その商品に係る商品コードが操作装置2に取得される。操作装置2は、キャスタ29を有して自由に移動可能な移動台車20に載置されている。
【0035】
図1に戻り、第1及び第2サイドの双方においては、カゴ車3の列の通路Wの側に隣接して、仕分個数を表示する表示器11を有する表示装置10が直線的に配置されている。各表示装置10は、15台のカゴ車3にそれぞれ対応するように、15個の表示器11を備えている。表示装置10の一端は、作業スペースに固定的に配置されて回転可能な回転支柱5に接続されている。
【0036】
<2.表示装置の構成>
表示装置10は、5つの表示器台1を直列的に配列して構成されている。図4は、隣接して配置される2つの表示器台1を示す斜視図である。図4に示すように、表示器台1は、表示器11を固定するためのフレーム12と、そのフレーム12を略水平に支持する2つの脚部13とを備えている。脚部13にはそれぞれ、キャスタ14が設けられており、表示器台1は容易に移動することが可能とされている。
【0037】
フレーム12は、断面矩形の長尺棒材であり、その長手方向の長さは複数の表示器台1の相互間で同一となっている。フレーム12の上面側には、凹んだ溝である固定溝17が形成されている。表示器11は、この固定溝17に対してはめ込まれ、所定の位置に固定されることになる。各表示器11は、発光ダイオード等により仕分個数としての数値を表示する数値表示部11aと、作業者からの作業完了を受け付ける完了ボタン11bと備えている。数値表示部11aと完了ボタン11bとは表示器11の同一の面である表示面に形成されている。表示器11は、上部から作業者が視認できるように、この表示面を上側に向けた状態でフレーム12に固定される。
【0038】
本実施の形態では、一の表示器台1に3つの表示器11が固定されるようになっている。これらの表示器11は、それぞれカゴ車3に対応して配置されることになる(図2も参照。)。作業者は、このような表示器11の数値表示部11aに表示された数値を参照して、当該表示器11に対応するカゴ車3に投入すべき商品の仕分個数を把握することになる。
【0039】
ところで、床面からフレーム12の上面(表示器11の表示面)までの高さHは(図3も参照。)、表示器台1の脚部13の長さによって規定されるが、この高さHは複数の表示器台1の相互間で同一とされている。
【0040】
作業者は、フレーム12の上部空間を超えるようにして、商品をカゴ車3に投入することになる。このため、作業において邪魔とならないためには、フレーム12の高さHはより低い方が望ましい。また、フレーム12の高さHは低い方が、表示器台1の安定性は増加することになる。その一方で、フレーム12の高さHを極端に低くすると、作業者にとっては表示器11に表示された数値の把握が困難となる。
【0041】
したがって、フレーム12が作業の邪魔とならず、表示器台1の安定性を確保し、かつ、表示器11の視認性を確保するという各要請を満たすためには、フレーム12の高さHは、200mm以上600mm以下であることが望ましい。本実施の形態では、フレーム12の高さHは500mmとされている。なお、図3に示すように、本実施の形態においては、操作装置2が載置される移動台車20の上面までの床面からの高さも、この高さHと一致されている。
【0042】
表示装置10を構成する5つの表示器台1は独立して存在しているわけではなく、図4に示すように、隣接する表示器台1に関しては、その水平端同士が連結部材16によって連結されている。図5は、連結部材16の周辺の構成を示す上面図である。
【0043】
連結部材16は、例えば金属で構成された板材16aと、その板材16aの端部に形成された回転軸16bとで構成される。表示器台1の水平端となるフレーム12の角部分には開口したスリット12aが形成されている。板材16aの2つの端部はそれぞれ、隣接するフレーム12のスリット12aに挿入され、回転軸16bを介して回転可能にフレーム12に接続される。
【0044】
これら2つの回転軸16bは略鉛直に延びるものであるため、隣接する表示器台1同士はこの回転軸16bを中心に水平面内にて回転して相互の相対位置を変更することが可能である。したがって、隣接する表示器台1は、図4及び図5に示す直線状態から水平面内において相対的に180度回転させ、図6及び図7に示すように、おおよそ隙間のない並列状態に配置することが可能である。
【0045】
なお、図5及び図6に示すように、フレーム12の端部には留具15がそれぞれ設けられており、隣接する表示器台1を直線状態に配置した場合には、それらの留具15同士が相互に接触するようになっている。接触する2つの留具15のうち、一方の留具15にはフック15aが設けられ、このフック15aを他方の留具15に引っ掛けることでこれらは固定されるようになっている。このような留具15によって、隣接する表示器台1の直線状態が保持されるようになっている。なお、磁石により付着する留具など、他のタイプの留具を採用してもよい。
【0046】
また、隣接する表示器台1の相互間では、フレーム12に対する脚部13の相対配置位置が異なっている。すなわち、図5に示すように、隣接する表示器台1のうち、一方の表示器台1においては脚部13が比較的端部よりに形成され(図5中の右側の表示器台1)、他方の表示器台1においては脚部13が比較的中央部よりに形成されている(図5中の左側の表示器台1)。このような脚部13の配置により、図6及び図7に示すように、隣接する表示器台1を折り畳んで並列状態にしたとしても、それらの脚部13同士が接触することはない。
【0047】
表示装置10において隣接する表示器台1同士は、同様にして連結部材16によって接続されている。ここで、表示装置10において端部でない一の表示器台1に注目すると、上面からみて互いに対角となるフレーム12の2つの角に関して連結部材16が形成されるようになっている。
【0048】
したがって、図8に示すように、表示装置10全体としては蛇腹状に折り曲げることができる。そしてさらに、図9に示すように、全ての表示器台1を並列的に配置して、表示装置10全体をコンパクトに折り畳むことも可能である。
【0049】
なお、前述のように、直列的に配列した5台の表示器台1の一の端部(表示装置10全体としての一の端部)は、回転支柱5に接続され、回転可能に固定配置される。このため、表示装置10を折り畳む場合は、表示装置10全体を回転支柱5の近傍に容易に集めることができる。また逆に、表示装置10を展開する場合にも、固定された回転支柱5から離れるように表示装置10を伸ばしていけば、容易に表示装置10を直線状態にすることが可能である。
【0050】
また、第1サイドの表示装置10においては、直列的に配列した5台の表示器台1の回転支柱5に固定されない端部(表示装置10全体としての他の端部)は、表示器台1同士の連結方法と同様にして、操作装置2が載置される移動台車20と連結部材によって接続されている。したがって、第1サイドにおいては、表示装置10とともに操作装置2もまとめて収納することが可能となっている。
【0051】
<3.電気的構成>
また、仕分システム100は、表示器11の表示制御などの制御を行う制御系統を備えている。図10は、仕分システム100の制御系統の概略を示すブロック図である。
【0052】
図10に示すように、仕分システム100は、制御系統の最上流部にホストコンピュータ71を備えている。ホストコンピュータ71は、仕分システム100を統括的に制御するものであり、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、ディスプレイ等を備えた一般的なコンピュータで構成される。ホストコンピュータ71の不揮発性メモリには、予め制御用プログラムが記憶されており、当該制御用プログラムに従ってCPUが演算処理を行うことにより仕分システム100の各種制御が実現される。ホストコンピュータ71の不揮発性メモリには、店舗から受注した商品名やその個数等の仕分け作業に係る各種のデータが記憶される。
【0053】
また、仕分システム100はゾーンZごとに各種信号を中継する中継器72を備えており、この中継器72に各表示器11の動作を制御する表示コントローラ73が電気的に接続される。表示コントローラ73は、第1サイド及び第2サイドの双方の表示装置10に設けられる表示器11のそれぞれと電気的な配線L1を介して電気的に接続されている。また、中継器72には、電気的な配線L2を介して操作装置2も電気的に接続される。
【0054】
表示コントローラ73から各表示器11への配線L1、及び、中継器72から操作装置2までの電気的な配線L2の双方は、表示器台1のフレーム12の内部に敷設されている。表示器台1同士は連結されており、また、表示装置10全体の一の端部は回転支柱5において固定配置されるため、それらの配線L1,L2の敷設は比較的容易に行うことができる。また、配線L1,L2がフレーム12の内部に敷設されて外部に露出しないため、配線L1,L2を保護できるとともに、仕分け作業の邪魔になることもない。
【0055】
<4.作業の流れ>
次に、上記のように構成される仕分システム100を用いた作業の流れについて説明する。図11は、この作業の流れを示す図である。
【0056】
作業の開始時点では、表示装置10は図9に示す如く収納されている。したがって、作業スペースは、おおよそ障害物のない空間となっている。作業者は、この状態でカゴ車3を枠線4に従って配置することになる。障害物が存在しないことから、効率よくカゴ車3を配置することが可能である(ステップS1)。
【0057】
作業者は、カゴ車3を配置すると、次に、収納された表示装置10を展開して直線状に配置する。この際、隣接する表示装置10を留具15によって固定することで、表示装置10の直線状態を保持することができる。カゴ車3は枠線4に従って所定位置に配置されており、また、表示装置10は回転支柱5を基準として所定位置に配置される。したがって、図1に示す如く、表示装置10の表示器11のそれぞれは、通路Wからみて対応するカゴ車3の正面に正しく配置されることになる(ステップS2)。これにより、仕分作業に必要な準備作業が完了する。
【0058】
次に、作業者は、仕分対象となる商品をカート6に載せて搬送し、その商品のバーコードを操作装置2に読み取らせる。これにより、操作装置2に商品の商品コードが取得され、その情報がホストコンピュータ71に送信される。これを受けてホストコンピュータ71では、当該商品に係るデータが読み出され、各店舗(すなわち、カゴ車3)に対応する仕分個数を示す情報が表示コントローラ73に送信される。表示コントローラ73では、この情報に基づいて、表示器11に仕分個数としての数値を表示させる。これにより、仕分け作業が必要なカゴ車3に対応する表示器11が一斉に数値表示することになる(ステップS3)。
【0059】
作業者は、表示器11が数値を表示したことを確認すると、各表示器11の数値に従い対応するカゴ車3にその個数の商品を投入していくことになる。作業者は、一のカゴ車3への商品の投入が完了すると、対応する表示器11の完了ボタン11bを押下する。この押下により、当該表示器11の数値の表示は消去される。同様の作業を、数値が表示された全ての表示器11に関して繰り返すことにより、仕分け作業が必要な全てのカゴ車3に係る仕分け作業が完了する(ステップS4)。
【0060】
一の商品について仕分け作業が完了すると、作業者は、次の商品をカート6に載せて同様の作業を繰り返す(ステップS3〜S5)。そして、全ての商品に関しての仕分け作業が完了した場合は(ステップS5にてYes)、次に、表示装置10の留具15を外し、図8に示すように表示装置10を蛇腹状に折り曲げ、さらに、図9に示すように表示装置10全体を折り畳んで収納する(ステップS6)。
【0061】
これにより、作業スペースは再び、カゴ車3以外の障害物が存在しないない空間となる。作業者は、この状態でカゴ車3を搬出することになる。障害物が存在しないことから、効率よくカゴ車3を搬出することが可能である(ステップS7)。
【0062】
以上のように、本実施の形態の仕分システム100では、同一の高さの複数の表示器台1を回転可能に連結して表示装置10が構成される。このため、表示器11の配置高さを一定とすることができる。これとともに、表示装置10を、直線的に配置することも折り畳んで配置することも可能である。したがって、仕分け作業を行わない場合には表示装置10を折り畳んでコンパクトに収納することができ、仕分け作業の前後に必要な作業の効率を向上できる。また、仕分け作業を行う場合には、表示装置10はカゴ車3の列に隣接して配置されることから、カゴ車3の高さが制限されることもない。
【0063】
<5.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「代表形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0064】
<5−1.多回転軸>
上記代表形態では、隣接する表示器台1同士を連結する連結部材16は2つの回転軸16bを有していたが、より多くの回転軸を有するようにして構成してもよい。図12は、この場合における表示装置10cの一部の構成を示す上面図である。
【0065】
この表示装置10cも、複数の表示器台8を備えて構成されており、各表示器台8は、表示器11を固定するフレーム81と、そのフレーム81を略水平に支持する脚部82とを備えている。ただし、一の表示器台8には一の表示器11のみが固定され、フレーム81の長さは代表形態と比較して短くなっている。また、これらの表示器台8同士は連結部材9によって接続されるが、この連結部材9は、直列的に配列された同一形状の3つのサブ部材91を有している。
【0066】
図13は、一のサブ部材91の様子を示す図である。図に示すように、サブ部材91は、傾斜部93bを有する第1部分93と、略半円形状の第2部分94とを接続した形状を有している。第1部分93と第2部分94との相互間には段差95があり、第1部分93は第2部分94よりも外側に配置されている。また、第1部分93は円形に開口した嵌合部93aを有する一方、第2部分94は円形に凸起した嵌合部94aを有している。
【0067】
このようなサブ部材91同士は、図14に示すように、第2部分94を第1部分93の内側に挿入し、それらの嵌合部93a,94bを嵌め込むことで、順次に連結することが可能となっている。嵌め込まれた嵌合部93a,94bは回転軸92として機能し、隣接するサブ部材91同士は、この回転軸92を介して相対的に回転することが可能となる。
【0068】
ただし、図15に示すように、このサブ部材91同士を回転させると、一方の傾斜部93bが他方の段差95に接触することから、回転角度が所定の角度θに制限されるようになっている。この回転角度の最大の角度θとしては60°以下であることが望ましく、図15の例では45°となっている。
【0069】
図12に示すように、表示器台8のフレーム81の一方の端部には、サブ部材91の第1部分93と同一形状の接続部83が形成される。また、フレーム81の他方の端部には、サブ部材91の第2部分94と同一形状の接続部84が形成されている。そして、隣接する表示器台8の接続部83と接続部84との相互間に、3つのサブ部材91が接続される。したがって、これら接続部83、84、及び、3つのサブ部材91が、連結部材9として機能し、それらを接続する各部分となる回転軸92は、それぞれ略鉛直方向に延びることになる。
【0070】
これにより、図16に示すように、隣接する表示器台8同士においては、4つの回転軸92を介して水平面内において相対的な位置関係を変更することができ、表示装置10cの全体としては、渦巻き状に折り畳んでコンパクトに収納することができることになる。この際、各回転軸92においては、回転角度が45°までに制限される。したがって、連結部材9を屈曲させたとしても、連結部材9の全体としては比較的緩やかに屈曲することになる。
【0071】
代表形態では、表示装置10を収納する状態においては、隣接する表示器台1同士が連結部分において180°屈曲することになり、連結部材16やスリット12aの付近に敷設された配線は屈曲による劣化が生じる可能性がある。これに対して、この例では、表示器台1同士の連結部分における屈曲の程度が緩和されるため、その内部に敷設された電気的な配線については屈曲による劣化の程度は低くなり、劣化を有効に防止できることになる。
【0072】
<5−2.その他の変形例>
上記では、隣接する表示器台1同士を連結する連結部材は複数の回転軸を備えて構成されていたが、例えば、図17に示すように回転軸18aを1つのみ有する一軸ヒンジ18を連結部材として採用してもよい。すなわち、表示器台1同士を連結する連結部材は、略鉛直に延びる少なくとも1つ以上の回転軸を有していればよい。
【0073】
また、上記では仕分システム100を「ソーティングシステム」であるとして説明したが、作業者が店舗に対応するコンテナをカートで搬送しつつ、複数のカゴ車から必要な仕分個数の商品を取り出していくタイプの「ピッキングシステム」であっても上記で説明した技術を好適に適用することが可能である。
【0074】
また、上記では表示器11は、電気的に仕分個数を表示する電気的表示装置であるとしていたが、カゴ車3の位置を単なる印刷文字にて示す表示板などであってもよい。この場合、作業者が利用するカートの側に電気的表示装置が設けられ、その電気的表示装置に仕分個数等が表示されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る仕分システムの概要を表す上面図である。
【図2】領域Aの拡大図である。
【図3】領域Aの正面図である。
【図4】隣接して配置される2つの表示器台を示す斜視図である。
【図5】連結部材の周辺の様子を示す上面図である。
【図6】連結部材の周辺の様子を示す上面図である。
【図7】隣接して配置される2つの表示器台を示す斜視図である。
【図8】蛇腹状に折り曲げた表示装置の様子を示す図である。
【図9】折り畳んで収納した表示装置の様子を示す図である。
【図10】仕分システムの制御系統の概略を示すブロック図である。
【図11】作業の流れを示す図である。
【図12】変形例の表示装置の一部の構成を示す図である。
【図13】サブ部材の様子を示す図である。
【図14】連結したサブ部材の様子を示す図である。
【図15】連結したサブ部材の様子を示す図である。
【図16】表示装置を折り曲げた様子を示す図である。
【図17】一軸ヒンジを接続部材として採用した例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 表示器台
2 操作装置
3 カゴ車
6 カート
10 表示装置
11 表示器
12 フレーム
13 脚部
16 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分システムに用いられ、仕分用の表示器を有する表示装置であって、
それぞれが前記表示器を固定するフレームと、該フレームを略水平に支持する脚部とを有する複数の表示器台、
を直列的に配列して備え、
隣接する表示器台同士は、略鉛直に延びる少なくとも1つ以上の回転軸を有する連結部材を介して連結されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示器は、電気的に仕分個数を表示する電気的表示装置であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記表示器への電気的な配線は、前記フレームの内部に敷設されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記連結部材は、複数のサブ部材を直列的に配列して備えるものであり、
隣接するサブ部材同士は、略鉛直に延びる回転軸を介して連結され、かつ、その回転角度が所定角度に制限されることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置において、
前記フレームの高さは、200mm以上600mm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置において、
前記表示器は、その表示面を上側に向けた状態で前記フレームに固定されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置において、
隣接する表示器台の相互間で、前記フレームに対する前記脚部の相対配置位置が異なることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置において、
直列的に配列した前記複数の表示器台の一の端部は固定配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
商品を仕分るための仕分システムであって、
請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置と、
仕分け作業を行う作業者から操作を受け付ける操作装置と、
を備えることを特徴とする仕分システム。
【請求項10】
請求項9に記載の仕分システムにおいて、
前記操作装置は、車輪を備える移動台車に載置され、
直列的に配列した前記複数の表示器台の一の端部は固定配置され、他の端部は前記移動台車と接続されることを特徴とする仕分システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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