説明

表示装置及び表示プログラム

【課題】利用者の位置に応じて、表示装置における利用者が入力しやすい位置を入力装置とし、利用者の利便性を高めることを目的とする。
【解決手段】識別子読出部101は、利用者により表示装置1の表示領域の近づけられたICタグからそのICタグの識別子を読み出す。位置特定部111は、識別子読出部101が識別子を読み出したICタグが近づけられた表示領域における位置を特定する。入力画面表示部122は、表示領域における位置特定部111が特定した位置に応じた位置に、情報を入力するための入力画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報を入力可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ショッピングモール等には、ショッピングモール内の店舗に関する情報等が随時切り替わって表示される大型の表示装置(デジタルサイネージ端末)が設置されている。また、ショッピングモールには、表示装置とは別に、そのショッピングモール内の店舗で利用できるポイント残高を表示することや、ポイントに応じたチケットを発券するポイント端末が設置されている。
【0003】
表示装置の表示領域を入力装置として用いることについての提案がされている(特許文献1−3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−74401号公報
【特許文献2】特開2003−162693号公報
【特許文献3】特開2000−66840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1−3に記載された方法は、利用者の位置に応じて、大型の表示装置における利用者が入力しやすい位置を入力装置にするものではない。
この発明は、利用者の位置に応じて、表示装置における利用者が入力しやすい位置を入力装置とし、利用者の利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る表示装置は、
情報を表示領域に表示する表示装置であり、
利用者により前記表示領域に近づけられたICタグからそのICタグの識別子を読み出す識別子読出部と、
前記識別子読出部が識別子を読み出したICタグが近づけられた前記表示領域における位置を特定する位置特定部と、
前記表示領域における前記位置特定部が特定した位置に応じた位置に、情報を入力するための入力画面を表示する入力画面表示部と、
前記入力画面表示部が表示した入力画面を操作することにより入力された情報を取得する入力情報取得部と
を備えることを特徴とする。
【0007】
前記入力情報取得部は、前記利用者が前記入力画面を前記ICタグを近づけて操作することにより入力された情報を取得する
ことを特徴とする。
【0008】
前記表示装置は、さらに、
前記表示装置の周辺の画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部が取得した画像情報に基づき、前記入力画面の周辺の画像情報を、前記表示領域における前記入力画面の周辺に表示する周辺画像表示部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記周辺画像表示部は、前記利用者の画像を表示するとともに、前記利用者以外の画像を、前記利用者の画像と区別して表示する
ことを特徴とする。
【0010】
前記表示装置は、さらに、
前記画像情報取得部が取得した画像情報に基づき、前記利用者以外の人の視線を特定する視線特定部と、
前記視線特定部が特定した視線が前記入力画面に向いている場合に、前記利用者へ警告を出力する警告出力部と
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記表示装置は、さらに、
前記表示領域における前記入力画面を表示した領域以外の少なくとも一部の領域に所定の情報を表示する情報表示部と、
前記表示領域から音を出力する音出力部であって、前記情報表示部が前記所定の情報を表示した領域から前記所定の情報に応じた音を出力し、前記入力画面を表示した領域から前記利用者向けの音を出力する音出力部と
を備えることを特徴とする。
【0012】
前記音出力部は、前記入力画面を表示した領域から前記利用者向けの音とともに、前記所定の情報に応じた音と逆位相の音を出力する
ことを特徴とする。
【0013】
前記表示装置は、さらに、
前記表示領域の一面に配置された複数のアンテナ
を備え、
前記識別子読出部は、前記複数のアンテナのうちいずれかのアンテナにより前記識別子を読み出し、
前記位置特定部は、前記複数のアンテナのうちどのアンテナにより前記識別子が読み出されたかにより、前記ICタグが近づけられた位置を特定する
ことを特徴とする。
【0014】
前記音出力部は、前記アンテナを利用して音を出力する
ことを特徴とする。
【0015】
この発明に係る表示プログラムは、
情報を表示領域に表示する表示装置の表示プログラムであり、
利用者により前記表示領域に近づけられたICタグからそのICタグの識別子を読み出す識別子読出処理と、
前記識別子読出処理で識別子を読み出したICタグが近づけられた前記表示領域における位置を特定する位置特定処理と、
前記表示領域における前記位置特定処理で特定した位置に応じた位置に、情報を入力するための入力画面を表示する入力画面表示処理と、
前記入力画面表示処理で表示した入力画面を操作することにより入力された情報を取得する入力情報取得処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る表示装置は、ICタグが近づけられた位置に応じた位置に入力画面を表示することができる。そのため、利用者が入力しやすい位置に入力画面が表示され、利用者の利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1に係る表示装置1の構成の概要を説明するための図。
【図2】実施の形態1に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図3】実施の形態1に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図4】実施の形態1に係る表示装置1の構成図。
【図5】実施の形態2に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図6】実施の形態2に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図7】実施の形態2に係る表示装置1の構成図。
【図8】実施の形態3に係る表示装置1の構成の概要を説明するための図。
【図9】実施の形態3に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図10】実施の形態3に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図。
【図11】実施の形態3に係る表示装置1の構成図。
【図12】実施の形態4に係る位置特定部111の動作の説明図。
【図13】実施の形態5に係る表示装置1の構成図。
【図14】表示装置1のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図に基づき、この発明の実施の形態について説明する。
以下の説明において、処理装置は後述するCPU91等である。通信装置は後述する通信ボード916等である。つまり、処理装置、通信装置はいずれもハードウェアである。
【0019】
ここでは、ショッピングモールに表示装置1が設置されており、表示装置1が縦1.5メートル横2メートル程度の表示領域2を有する場合を例として説明する。もちろん、表示装置1は、駅、街頭、劇場等の他の場所に設置されていてもよい。また、表示装置1は、表示領域2がもっと大きくてももっと小さくてもよい。
【0020】
実施の形態1.
実施の形態1では、利用者が入力しやすい位置に入力画面を表示する表示装置1について説明する。
【0021】
図1は、実施の形態1に係る表示装置1の構成の概要を説明するための図である。
表示装置1が備える表示領域2には、IC(Integrated Circuit)タグから識別子を読み出す複数のアンテナ3が一面に設けられている。アンテナ3は、表示領域2を構成する複数のパネルの背面側に設けられており、正面からは見えないように設けられている。
【0022】
図2、図3は、実施の形態1に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図である。特に、図2は、ICカード5を有する利用者4を示す図である。図3は、入力画面6を示す図である。
表示装置1は、通常、ショッピングモール内の店舗の情報や、ショッピングモールの案内図等を随時切り替えながら表示領域2に表示している。
ここで、図2に示すように、ICタグを有するICカード5を持った利用者4がICカード5を表示領域2の任意の場所に近づける。すると、表示装置1は、表示領域2に設けられた複数のアンテナ3のうち、いずれかのアンテナ3によってICカード5が有するICタグから識別子を読み取る。例えば、表示装置1は、アンテナ3から発射された電波の反射波に載せたICタグの識別子を読み取る。表示装置1は、どのアンテナ3により識別子を読み取ったかにより、表示領域2のどの辺りにICカード5が近づけられたかを特定する。そして、表示装置1は、図3に示すように、特定した位置に入力画面6を表示する。利用者4は、入力画面6を操作して、所定の情報を入力する。
なお、この際、元々表示していた情報は、入力画面6を表示した部分以外のみ継続して表示させてもよいし、消してしまってもよいし、入力画面6を表示した部分を避け縮小して表示させてもよい。
ICカード5を近づけた位置は、利用者4の手が容易に届く位置であることは明らかである。したがって、ICカード5を近づけた位置に入力画面6を表示することにより、利用者4が入力しやすい位置に入力画面6が表示されることになる。そのため、利用者4の利便性が高い。
【0023】
図4は、実施の形態1に係る表示装置1の構成図である。
表示装置1は、上述した複数のアンテナ3に加え、データ取得部10、特定部11、表示部12を備える。
データ取得部10は、識別子読出部101、入力情報取得部102を備える。識別子読出部101は、いずれかのアンテナ3により、表示領域2に近づけられたICカード5が有するICタグから識別子を読み出す。入力情報取得部102は、表示領域2に表示された入力画面6を利用者4が操作して入力された入力情報を取得する。
特定部11は、位置特定部111を備える。位置特定部111は、識別子読出部101がどのアンテナ3により識別子を読み出したかに応じて、ICカード5が近づけられた位置を処理装置により特定する。例えば、位置特定部111は、予め各アンテナ3の位置を記憶しておき、記憶した位置を利用してICカード5が近づけられた位置を特定する。
表示部12は、情報表示部121、入力画面表示部122を備える。情報表示部121は、ショッピングモール内の店舗の情報や、ショッピングモールの案内図等を随時切り替えながら表示領域2に表示する。入力画面表示部122は、位置特定部111が特定した位置に入力画面6を表示する。
【0024】
以上のように、実施の形態1に係る表示装置1は、ICカード5を近づけた位置に入力画面6を表示するため、利用者4が入力しやすく、利用者4の利便性が高い。
【0025】
実施の形態2.
実施の形態2では、複数の利用者4が同時に表示装置1から情報を入力する場合について説明する。
【0026】
図5、図6は、実施の形態2に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図である。特に、図5は、ICカード5を有する利用者4を示す図である。図6は、入力画面6を示す図である。
表示装置1は、通常、ショッピングモール内の店舗の情報や、ショッピングモールの案内図等を随時切り替えながら表示領域2に表示している。
ここで、図5に示すように、ICタグを有するICカード5aを持った利用者4aがICカード5aを表示領域2の任意の場所に近づける。すると、表示装置1は、いずれかのアンテナ3によってICカード5aが有するICタグから識別子を読み取り、表示領域2のどの辺りに近づけられたかを特定して、図6に示すように特定した位置に入力画面6aを表示する。
また、入力画面6aが表示されている際に、ICタグを有するICカード5bを持った利用者4bがICカード5bを表示領域2の任意の場所に近づける。すると、表示装置1は、いずれかのアンテナ3によってICカード5bが有するICタグから識別子を読み取り、表示領域2のどの辺りに近づけられたかを特定して、図6に示すように特定した位置に入力画面6bを表示する。つまり、入力画面6aと入力画面6bとが同時に表示される。
そして、利用者4aは、入力画面6aをICカード5aにより操作して、所定の情報を入力する。例えば、利用者4aは、入力画面6a内のボタンにICカード5aを近づける、あるいは、触れることにより、入力画面6aをICカード5aにより操作する。同様に、利用者4bは、入力画面6bをICカード5bにより操作して、所定の情報を入力する。
表示装置1は、利用者4が入力画面6をICカード5により操作することで、入力された情報とともに、その情報を入力したICカード5の識別子を取得することができる。そのため、複数の入力画面6を同時に表示している場合であっても、どの利用者4が入力した情報であるかを識別することが可能である。
【0027】
図7は、実施の形態2に係る表示装置1の構成図である。
図7に示す表示装置1は、入力情報取得部102がアンテナ3を介して入力情報とICタグの識別子とを同時に取得している点が、図4に示す表示装置1と異なる。入力情報取得部102は、取得した識別子と、入力画面6の表示前に識別子読出部101が読み出した識別子とを比較することにより、どの入力画面6から入力された入力情報であるかを特定する。他は、図4に示す表示装置1と同じである。
【0028】
以上のように、実施の形態2に係る表示装置1は、入力画面6をICカード5により操作させ、アンテナ3を介して入力情報とICタグの識別子とを同時に取得する。これにより、複数の入力画面6を同時に表示して、複数の利用者4に同時に各入力画面6を操作させることが可能である。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態3では、利用者4が入力画面6から情報を入力する場合に、第三者による覗き込みを防止することについて説明する。
【0030】
図8は、実施の形態3に係る表示装置1の構成の概要を説明するための図である。
図8に示す表示装置1は、図1に示す表示装置1に加え、カメラ等の撮像装置7を備えている。撮像装置7は、表示装置1の正面を周囲所定の範囲まで撮像可能なように設置されている。図8では、1台だけ撮像装置7が示されているが、複数の撮像装置7が設けられていてもよい。
【0031】
図9、図10は、実施の形態3に係る表示装置1の動作の概要を説明するための図である。特に、図9は、ICカード5を有する利用者4と、第三者である他者8を示す図である。図10は、入力画面6と、入力画面6の周囲に表示する情報とを示す図である。
表示装置1は、通常、ショッピングモール内の店舗の情報や、ショッピングモールの案内図等を随時切り替えながら表示領域2に表示している。
ここで、図9に示すように、ICタグを有するICカード5を持った利用者4が表示装置1の近くにおり、利用者4以外の他者8が利用者4の背後にいるとする。このとき、利用者4がICカード5を表示領域2の任意の場所に近づける。すると、表示装置1は、いずれかのアンテナ3によってICカード5が有するICタグから識別子を読み取り、表示領域2のどの辺りに近づけられたかを特定する。そして、図10に示すように、表示装置1は、表示領域2におけるICカード5が近づけられた位置に応じた所定の位置に、入力画面6を表示する。ここで、ICカード5を近づけた位置に応じた所定の位置とは、ICカード5が近づけられた位置の付近であって、利用者4の影となり他者8からは利用者4によって見えづらい位置である。撮像装置7により撮像された利用者4と他者8との画像情報から、利用者4の影となる位置を特定することができる。また、表示装置1は、撮像装置7により撮像された利用者4を示す画像情報と、利用者4の背後にいる他者8を示す画像情報とを表示領域2における利用者4や他者8に対応する位置に表示する。利用者4の画像情報と他者8の画像情報とは、区別されて表示される。そして、利用者4は、入力画面6を操作して、所定の情報を入力する。
なお、この際、元々表示していた情報は、入力画面6を表示した部分や利用者4、他者8の画像情報を表示した表示部分以外のみ継続して表示させてもよいし、消してしまってもよいし、前記表示部分を避け縮小して表示させてもよい。
このように、利用者4の影に隠れるような位置に入力画面6を表示するため、他者8に覗き込みされることを防止でき、暗証番号等の秘匿性の高い情報であっても入力することができる。
【0032】
また、表示装置1は、入力画面6を表示している際、撮像装置7が撮像した画像情報から、他者8の顔の位置や、視線の方向を特定して、他者8が入力画面6を覗き込んでいないか否かを判定する。そして、他者8が入力画面6を覗き込んでいる場合には、警告を表示領域2に表示する。この警告は、入力画面6を表示した位置付近の利用者4にのみ見える位置に表示してもよいし、敢えて他者8にも見える位置に表示してもよい。
これにより、利用者4に暗証番号を覗き見られないように注意を促すことができる。また、他者8にも警告を見せることにより、覗き込みを抑止することができる。
【0033】
図11は、実施の形態3に係る表示装置1の構成図である。
図11に示す表示装置1は、撮像装置7を備える点、データ取得部10が画像取得部103を備える点、特定部11が視線特定部112を備える点、表示部12が周辺画像表示部123、警告表示部124(警告出力部)を備える点が図7に示す表示装置1と異なる。また、入力画面表示部122の動作が異なる。他は、図7に示す表示装置1と同じである。
画像取得部103は、撮像装置7により撮像された画像情報を取得する。視線特定部112は、画像取得部103が取得した画像情報から、他者8の頭の位置や視線の方向を特定して、他者8が入力画面6を覗き込んでいないか否かを処理装置により判定する。周辺画像表示部123は、画像取得部103が取得した画像情報のうち、利用者4や他者8を示す情報を表示領域2に表示する。警告表示部124は、他者8が入力画面6を覗き込んでいると視線特定部112が判定した場合は、警告を表示領域2に表示する。
また、入力画面表示部122は、位置特定部111が特定した位置と、画像取得部103が取得した画像情報とから、他者8から見えづらい位置を特定して、特定した位置に入力画面6を表示する。
【0034】
以上のように、実施の形態3に係る表示装置1は、入力画面6を利用者4の背後にいる他者8から見えづらい位置に表示する。そのため、他者8が覗き込みすることを防止できる。
また、実施の形態3に係る表示装置1は、他者8が入力画面6を覗き込んでいることを検出して、警告を表示する。そのため、他者8が覗き込みすることを防止できる。
また、実施の形態3に係る表示装置1は、入力画面6とともに、利用者4自身と背後にいる他者8との画像情報を表示する。そのため、利用者4が背後にいる他者8の行動を見ながら、他者8に覗き込まれていないか確認しながら、入力画面6を操作できる。したがって、入力情報を他者8に読み取られることを防止できる。
【0035】
なお、上記説明では、警告を表示するとした。しかし、警告を音声等により通知してもよい。この音声は、利用者4だけに聞こえるようにしてもよいし、利用者4だけでなく、他者8にも聞こえるようにしてもよい。
【0036】
また、入力画面6を表示している部分のみ、正面からのみ表示情報が見えるようにして、上下左右からは表示情報が見えないようにしてもよい。
【0037】
実施の形態4.
実施の形態4では、表示装置1が備えるアンテナ3の数を減らす方法について説明する。
【0038】
図1に示すように、多数のアンテナ3を表示領域2全面に設置しておき、位置特定部111はどのアンテナ3が識別子を読み取ったかにより、ICカード5の位置を特定してもよい。しかし、この場合、多くのアンテナ3を表示領域2に設置しなければならない。
【0039】
図12は、実施の形態4に係る位置特定部111の動作の説明図である。
図12では、所定の間隔を開けて、少数のアンテナ3を表示領域2の全面に設置している。そして、位置特定部111は、いくつかのアンテナ3が識別子を読み取った電波の強さによってICカード5の位置を特定する。
例えば、図12では、ICカード5が描かれている位置にICカード5が近づけられたとする。この場合、この位置の周囲にある4つのアンテナ3によってICカード5の識別子が読み取られる。ここでは、4つのアンテナ3にそれぞれA〜Dの符号を付している。この際、アンテナ3からICカード5が近づけられた位置までの距離によって、識別子を乗せた反射波の電波の強度は異なる。ここでは、ICカード5が近づけられた位置は、A〜Dのアンテナ3のうち、Aのアンテナ3に最も近く、次にB及びCのアンテナ3に近く、そしてDのアンテナ3が最も遠い。そのため、反射波の電波の強度は、Aのアンテナ3が6で最も強く、次にB及びCのアンテナ3が3で強く、そしてDのアンテナ3が2で最も弱い。位置特定部111は、この4つのアンテナ3が受信した電波の強度から、ICカード5が近づけられた位置を特定することができる。
【0040】
以上のように、実施の形態4に係る表示装置1は、少ない数のアンテナ3により、ICカード5が近づけられた位置を特定できる。そのため、低コストで表示装置1を製造することが可能となる。
【0041】
実施の形態5.
実施の形態5では、表示装置1を利用して、オペレータ等と通話することについて説明する。
【0042】
ここでは、アンテナ3は、コイルアンテナであり、ICカード5から識別子を読み出すだけでなく、音声を出力するスピーカにも、音声を入力するマイクにもなるとする。
【0043】
図10に示すように、入力画面6が表示されているとする。このとき、例えば、利用者4が入力画面6におけるオペレータへの問合せボタンを操作したとする。すると、表示装置1は、通信装置を介して、オペレータが使用する端末と接続される。そして、オペレータからの音声をアンテナ3がスピーカとなって出力する。特に、この際、元々表示していた店舗の情報等を表示している場合には、入力画面6の部分にあるアンテナ3、あるいは、利用者4の顔の付近にあるアンテナ3(以下、特定アンテナと呼ぶ)からのみオペレータからの音声を出力し、他のアンテナ3からは店舗の情報等についての音声を出力する。さらに、特定アンテナからは、店舗の情報等についての音声と逆の位相の音声を出力し、他のアンテナ3からはオペレータからの音声と逆の位相の音声を出力する。また、利用者4がオペレータに向かって話しかけると、特定アンテナがマイクとなって受け付け、オペレータの端末へ送信する。
【0044】
図13は、実施の形態5に係る表示装置1の構成図である。
図13に示す表示装置1は、通信装置9、音出力部13、音入力部14を備える点が図11に示す表示装置1と異なる。他は、図11に示す表示装置1と同じである。
音出力部13は、通信装置9を介して、オペレータの端末からオペレータの音声を取得して、特定アンテナをスピーカとして出力する。特に、音出力部13は、特定アンテナからはオペレータの音声を出力するとともに、他のアンテナ3から出力される他の音声と逆の位相の音声を出力する。また、音出力部13は、他のアンテナ3からは、前記他の音声を出力するとともに、オペレータの音声と逆の位相の音声を出力する。音入力部14は、利用者4の音声を特定アンテナをマイクとして受け付け、通信装置9を介してオペレータの端末へ送信する。
【0045】
以上のように、実施の形態5に係る表示装置1は、必要に応じて利用者4とオペレータ等との通話を可能にする。特に、表示領域2の全面に設けられたアンテナ3をスピーカやマイクとして利用するため、別途スピーカやマイクを設ける必要がない。
また、実施の形態5に係る表示装置1は、オペレータの音声を出力するアンテナ3と、他の音声を出力するアンテナ3とを分け、互いに他方の音声と逆位相の音声も合わせて出力する。そのため、クリアな音声を利用者4に聞かせることができるとともに、オペレータの音声を他者8に聞かせることがない。
【0046】
なお、アンテナ3をスピーカやマイクとせず、別途表示領域2の全面にスピーカやマイクを設けてもよい。
【0047】
以上の実施の形態に係る表示装置1は、単に情報を表示するだけでなく、入力画面6から様々な情報を入力することができるので、様々な機能を合わせて持たせることができる。
例えば、表示装置1に発券機を加えることにより、デジタルサイネージ端末と、ショッピングモールで利用できるポイントに応じたチケットを発券するポイント端末とを兼ねた端末とすることができる。また、表示装置1に現金の入出力口を設けることにより、デジタルサイネージ端末と、銀行のATM(Automated Teller Machine)とを兼ねた端末とすることもできる。
【0048】
図14は、表示装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図14に示すように、表示装置1は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD915(Liquid Crystal Display)(表示領域2の一例)、通信ボード916(通信装置9の一例)、コイルアンテナ917(アンテナ3の一例)、カメラ918(撮像装置7の一例)、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920(固定ディスク装置)の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。磁気ディスク装置920は、所定の固定ディスクインタフェースを介して接続される。
【0049】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0050】
プログラム群923には、上記の説明において「データ取得部10」、「特定部11」、「表示部12」、「音出力部13」、「音入力部14」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「識別子」、「入力情報」、「画像情報」等の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0051】
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 表示装置、2 表示領域、3 アンテナ、4 利用者、5 ICカード、6 入力画面、7 撮像装置、8 他者、9 通信装置、10 データ取得部、11 特定部、12 表示部、13 音出力部、14 音入力部、101 識別子読出部、102 入力情報取得部、103 画像取得部、111 位置特定部、112 視線特定部、121 情報表示部、122 入力画面表示部、123 周辺画像表示部、124 警告表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示領域に表示する表示装置であり、
利用者により前記表示領域に近づけられたICタグからそのICタグの識別子を読み出す識別子読出部と、
前記識別子読出部が識別子を読み出したICタグが近づけられた前記表示領域における位置を特定する位置特定部と、
前記表示領域における前記位置特定部が特定した位置に応じた位置に、情報を入力するための入力画面を表示する入力画面表示部と、
前記入力画面表示部が表示した入力画面を操作することにより入力された情報を取得する入力情報取得部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記入力情報取得部は、前記利用者が前記入力画面を前記ICタグを近づけて操作することにより入力された情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、さらに、
前記表示装置の周辺の画像情報を取得する画像情報取得部と、
前記画像情報取得部が取得した画像情報に基づき、前記入力画面の周辺の画像情報を、前記表示領域における前記入力画面の周辺に表示する周辺画像表示部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記周辺画像表示部は、前記利用者の画像を表示するとともに、前記利用者以外の画像を、前記利用者の画像と区別して表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は、さらに、
前記画像情報取得部が取得した画像情報に基づき、前記利用者以外の人の視線を特定する視線特定部と、
前記視線特定部が特定した視線が前記入力画面に向いている場合に、前記利用者へ警告を出力する警告出力部と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示装置は、さらに、
前記表示領域における前記入力画面を表示した領域以外の少なくとも一部の領域に所定の情報を表示する情報表示部と、
前記表示領域から音を出力する音出力部であって、前記情報表示部が前記所定の情報を表示した領域から前記所定の情報に応じた音を出力し、前記入力画面を表示した領域から前記利用者向けの音を出力する音出力部と
を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記音出力部は、前記入力画面を表示した領域から前記利用者向けの音とともに、前記所定の情報に応じた音と逆位相の音を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、さらに、
前記表示領域の一面に配置された複数のアンテナ
を備え、
前記識別子読出部は、前記複数のアンテナのうちいずれかのアンテナにより前記識別子を読み出し、
前記位置特定部は、前記複数のアンテナのうちどのアンテナにより前記識別子が読み出されたかにより、前記ICタグが近づけられた位置を特定する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記音出力部は、前記アンテナを利用して音を出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
情報を表示領域に表示する表示装置の表示プログラムであり、
利用者により前記表示領域に近づけられたICタグからそのICタグの識別子を読み出す識別子読出処理と、
前記識別子読出処理で識別子を読み出したICタグが近づけられた前記表示領域における位置を特定する位置特定処理と、
前記表示領域における前記位置特定処理で特定した位置に応じた位置に、情報を入力するための入力画面を表示する入力画面表示処理と、
前記入力画面表示処理で表示した入力画面を操作することにより入力された情報を取得する入力情報取得処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−203610(P2012−203610A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67020(P2011−67020)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】