説明

表示装置及び表示装置の制御方法

【課題】表示装置において、消費電力を好適に低減する。
【解決手段】表示装置(1)は、画像を表示する第1表示部(110)及び第2表示部(120)と、第1表示部及び第2表示部の動作を制御する制御手段(300)と、第1表示部に表示すべき画像及び第2表示部に表示すべき画像を1つの結合画像として記憶する記憶手段(400)とを備える。制御手段は、結合画像を第1表示部及び第2表示部にそれぞれ分割して供給することで、第1表示部及び第2表示部における画像の書き換えを行う書換手段(340,350)と、結合画像に基づいて、第1表示部及び第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する判定手段(320)と、第1表示部及び第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、一方への電源電位の供給を停止する電源供給停止手段(360)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の表示装置、及び該表示装置の制御方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として、例えば電子書籍等の画像データを2画面で表示するものが知られている。このような装置は、携帯性を高めるために比較的小型の電池で駆動することが一般的であり、動作時間を長くするためにも表示中の消費電力を低減することが求められる。このため、例えば特許文献1では、2つの画面のうち非選択の画面の駆動を停止する、或いは非選択の画面の照明(即ち、バックライト)をオフとするという技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−284883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている技術では、2つの画面で表示する画像を別々のメモリで管理するため、ソフトウェアによる処理が煩雑になってしまう。また、2つの画面の選択/非選択を個別に制御し、それぞれの電源制御を行うため、電源制御が非効率となり、その分、消費電力が大きくなってしまう。このように、特許文献1に記載されている技術には、仮に消費電力を低減できたとしても、他の解消し得ない不具合を有するという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば前述した問題点に鑑みなされたものであり、消費電力を好適に低減することが可能な表示装置、及び該表示装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は上記課題を解決するために、画像を表示する第1表示部及び第2表示部と、
前記第1表示部及び前記第2表示部の動作を制御する制御手段と、前記第1表示部に表示すべき画像及び前記第2表示部に表示すべき画像を1つの結合画像として記憶する記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記結合画像を前記第1表示部及び前記第2表示部にそれぞれ分割して供給することで、前記第1表示部及び前記第2表示部における画像の書き換えを行う書換手段と、前記結合画像に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する判定手段と、前記第1表示部及び前記第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、前記一方への電源電位の供給を停止する電源供給停止手段とを備える。
【0007】
本発明に係る表示装置は、例えば電子書籍や楽譜等の画像を表示する第1表示部及び第2表示部を備えている。第1表示部及び第2表示部は、例えばマイクロカプセル中に電気泳動素子を含んでなる電気泳動表示装置や、基板中に液晶を挟持してなる液晶表示装置等として構成される。なお、本発明に係る第1表示部及び第2表示部は、互いに独立して電源制御が行えるように構成されている。
【0008】
第1表示部及び第2表示部は、例えばコントローラー等として構成される制御手段によって、その動作が制御される。例えば、第1表示部及び第2表示部は、複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応して例えばマトリクス状に配列された複数の画素を有するように構成され、制御手段は、第1表示部及び第2表示部の各画素の画素電極に画像データに応じたデータ電位を供給する。より具体的には、制御手段が所定のフレーム期間中に、複数の画素の各々における画素電極に画像データに応じたデータ電位を供給する(具体的には、所定のフレーム期間中に、複数の走査線を所定の順番で1回ずつ選択するとともに、該選択した走査線に対応する画素における画素電極にデータ電位を複数のデータ線を介して供給する)電位供給(言い換えれば、所定のフレーム期間中に画像データに応じたデータ電位を複数の画素の各々の画素電極に書き込む書き込み動作)を複数回行うことにより、第1表示部及び第2表示部の各々に画像データに応じた画像が表示される。
【0009】
本発明に係る表示装置は更に、第1表示部に表示すべき画像及び第2表示部に表示すべき画像をそれぞれ記憶する記憶手段を備えている。記憶手段は、例えばバッファメモリとして構成され、第1表示部及び第2表示部で表示すべき2つの画像を1つの結合画像として一時的に記憶する。即ち、第1表示部及び第2表示部で表示すべき画像は互いに異なる2つの記憶手段に別々に記憶されるのではなく、1つの記憶手段にまとめて記憶される。これにより、装置を動作させるソフトウェアから見た場合の処理を簡単にすることができる。
【0010】
本発明に係る表示装置の動作時には、制御手段における書換え手段によって、記憶手段に記憶されている結合画像が第1表示部及び第2表示部にそれぞれ分割して供給される。これにより、第1表示部及び第2表示部における画像の書き換えが行われる。
【0011】
上述した画像書き換え時には、判定手段によって、第1表示部及び第2表示部のいずれの画像を書き換えるかが判定される。判定手段は、記憶手段に記憶されている結合画像(即ち、第1表示部及び第2表示部で表示すべき画像)に基づいて、画像を書き換える表示部を判定する。例えば判定手段は、結合画像が第1表示部及び第2表示部の両方にまたがる画像である場合には、第1表示部及び第2表示部のいずれも画像を書き換えると判定する。一方で判定手段は、結合画像が第1表示部及び第2表示部のいずれか一方のみで表示される画像である場合には、第1表示部及び第2表示部の一方の画像のみを書き換えると判定する。
【0012】
ここで本発明では特に、第1表示部及び第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合、電源供給停止手段によって、第1表示部及び第2表示部のうち画像を書き換えないと判定された一方への電源電位の供給が停止される。このようにすれば、第1表示部及び第2表示部のうち画像を書き換える必要のない一方での消費電力をなくすことができるため、効果的に消費電力を低減することができる。
【0013】
なお、電源供給停止手段は、電源電位の供給を停止した後、判定手段によって電源電位の供給を停止した表示部の画像を書き換えると判定された場合には、電源電位の供給を再開するよう制御する。
【0014】
以上説明したように、本発明に係る表示装置によれば、消費電力を好適に低減することが可能である。
【0015】
本発明に係る表示装置の一態様では、前記判定手段は、前記第1表示部及び前記第2表示部に対応する座標情報を有しており、前記結合画像を表示すべき座標に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する。
【0016】
この態様によれば、判定手段には、第1表示部及び第2表示部に対応する座標情報が記憶されている。なお、ここでの「座標情報」とは、第1表示部及び第2表示部の各々における詳細な画像表示位置(例えば、画素単位での表示位置)を示すパラメータであり、例えば設計時に第1表示部及び第2表示部のサイズ等に応じて設定される。
【0017】
本態様では特に、判定手段は、上述した座標情報を利用して、第1表示部及び第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する。具体的には、判定手段は、結合画像を表示すべき座標が、第1表示部及び第2表示部の両方にまたがる座標である場合には、第1表示部及び第2表示部のいずれも画像を書き換えると判定する。一方で判定手段は、結合画像を表示すべき座標が、第1表示部及び第2表示部のいずれか一方のみに対応する座標である場合には、第1表示部及び第2表示部の一方の画像のみを書き換えると判定する。
【0018】
このように、座標情報を用いて判定を行うことにより、より容易且つ的確に画像を書き換える表示部を判定することが可能となる。従って、電源制御をより好適に行うことが可能となる。
【0019】
本発明に係る表示装置の他の態様では、前記第1表示部及び前記第2表示部は記憶性を有する。
【0020】
この態様によれば、第1表示部及び第2表示部は、例えば電気泳動表示装置や、コレステリック液晶示装置、電子粉流型表示装置等の記憶性を有するものとして構成される。記憶性を有する表示部では、電源電位が供給されていなくとも、それまで表示していた画像を表示し続けることができる。よって本態様では、電源供給停止手段によって電源電位の供給が停止された表示部においても、画像は表示され続ける。従って、画像の表示性能を損なうことなく、好適に消費電力を低減することが可能となる。
【0021】
本発明に係る表示装置の制御方法は上記課題を解決するために、画像を表示する第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部の動作を制御する制御手段と、前記第1表示部に表示すべき画像及び前記第2表示部に表示すべき画像を1つの結合画像として記憶する記憶手段とを備える表示装置の制御方法であって、前記結合画像を前記第1表示部及び前記第2表示部にそれぞれ分割して供給することで、前記第1表示部及び前記第2表示部における画像の書き換えを行う書換工程と、前記結合画像に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する判定工程と、前記第1表示部及び前記第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、前記一方への電源電位の供給を停止する電源供給停止工程とを含む。
【0022】
本発明に係る表示装置の制御方法によれば、前述した本発明に係る表示装置と同様に、第1表示部及び第2表示部のうち画像の書き換えを行わない一方の表示部への電源電位の供給が停止される。この結果、好適に消費電力を低減することが可能となる。
【0023】
なお、本発明に係る表示装置の制御方法においても、前述した本発明に係る表示装置における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係る表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る表示部の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【図4】実施形態に係る表示部の部分断面図である。
【図5】実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態に係る表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0027】
<装置構成>
先ず、本実施形態に係る表示装置の全体構成ついて、図1を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【0029】
図1において、本実施形態に係る表示装置1は、主に表表紙部51と、裏表紙部52と、表表紙部51及び裏表紙部52とを連結する蝶番部55とを備えて構成されている。
【0030】
表表紙部51は左画面110を有している。裏表紙部52は右画面120を有している。左画面110及び右画面120は、それぞれ電気泳動素子を制御して画像を表示する電気泳動表示装置として構成されている。なお、左画面110及び右画面120は、それぞれ本発明の「第1表示部」及び「第2表示部」の一例である。
【0031】
次に、本実施形態に係る表示装置の表示部の具体的な構成について、図2から図4を参照して説明する。なお、上述した左画面110及び右画面120は互いに同様の構成であるため、以下では左画面110の構成のみを説明し、右画面の構成については説明を省略する。
【0032】
図2は、本実施形態に係る表示部の構成を示すブロック図である。
【0033】
図2において、本実施形態に係る表表紙部51は、アクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置であり、左画面110と、コントローラー10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、共通電位供給回路250とを備えている。
【0034】
左画面110には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、左画面110には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本のデータ線50(即ち、データ線X1、X2、…、Xn)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本のデータ線50は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本のデータ線50との交差に対応して画素20が配置されている。
【0035】
コントローラー10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路250の動作を制御する。コントローラー10は、例えば、クロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。
【0036】
走査線駆動回路60は、コントローラー10による制御下で、所定のフレーム期間中に、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0037】
データ線駆動回路70は、コントローラー10による制御下で、データ線X1、X2、…、Xnにデータ電位を供給する。データ電位は、基準電位GND(例えば0ボルト)、高電位VH(例えば+15ボルト)又は低電位VL(例えば−15ボルト)のいずれかの電位をとる。
【0038】
共通電位供給回路250は、共通電位線93に共通電位Vcom(本実施形態では、基準電位GNDと同一の電位)を供給する。なお、共通電位Vcomは、共通電位Vcomが供給された対向電極22と基準電位GNDが供給された画素電極21との間に電圧が実質的に生じない範囲内で、基準電位GNDとは異なる電位であってもよい。
【0039】
なお、コントローラー10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70及び共通電位供給回路250には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0041】
図3において、画素20は、画素スイッチング用トランジスター24と、画素電極21と、対向電極22と、電気泳動素子23と、保持容量27とを備えている。
【0042】
画素スイッチング用トランジスター24は、例えばN型トランジスターで構成されている。画素スイッチング用トランジスター24は、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21及び保持容量27に電気的に接続されている。画素スイッチング用トランジスター24は、データ線駆動回路70(図2参照)からデータ線50を介して供給されるデータ電位を、走査線駆動回路60(図2参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21及び保持容量27に出力する。
【0043】
画素電極21には、データ線駆動回路70からデータ線50及び画素スイッチング用トランジスター24を介して、データ電位が供給される。画素電極21は、電気泳動素子23を介して対向電極22と互いに対向するように配置されている。
【0044】
対向電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。
【0045】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0046】
保持容量27は、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなり、一方の電極が、画素電極21及び画素スイッチング用トランジスター24に電気的に接続され、他方の電極が共通電位線93に電気的に接続されている。保持容量27によってデータ電位を一定期間だけ維持することができる。
【0047】
図4は、本実施形態に係る表示部の部分断面図である。
【0048】
図4において、左画面110は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。なお、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0049】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図3を参照して前述した画素スイッチング用トランジスター24、保持容量27、走査線40、データ線50、共通電位線93等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0050】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、対向電極22が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0051】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。なお、左画面110は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されて構成されている。
【0052】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び対向電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0053】
マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0054】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0055】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0056】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0057】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0058】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と対向電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0059】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0060】
図4において、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に対向電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられるとともに、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、対向電極22側)には白色粒子82が集まることになり、左画面110の表示面にはこの白色粒子82の色(即ち、白色)が表示されることとなる。逆に、画素電極21と対向電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられるとともに、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって対向電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側には黒色粒子83が集まることになり、左画面110の表示面にはこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)が表示されることとなる。
【0061】
なお、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等を表示することができる。
【0062】
次に、上述した右画面110及び左画面120の動作を制御する制御部の構成について、図5を参照して説明する。
【0063】
図5は、本実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【0064】
図5において、制御部300は、本発明の「制御手段」の一例であり、VRAM(Video Random Access Memory)コントローラー310と、座標領域判定部320と、座標設定部330と、駆動制御部340と、タイミング制御部350と、電源制御部360とを備えて構成されている。なお、制御部300は、コントローラー10(図2参照)の一部として構成されてもよいし、他の回路として構成されてもよい。
【0065】
VRAMコントローラー310は、本発明の「記憶手段」の一例であるVRAM400の動作を制御する。具体的には、VRAMコントローラー310は、メインメモリ260からホストCPU(Central Processing Unit)250を介して制御部300に入力される画像データを、VRAM400に記憶させる。またVRAMコントローラー310は、VRAM400に記憶された画像データを読み出して、駆動制御部340へと出力する。
【0066】
なお、本実施形態に係るVRAM400には、図に示すように、左画面110及び右画面120に表示すべき画像データが、本発明の「結合画像」の一例である1枚の画像データとして記憶される。
【0067】
座標領域判定部320は、本発明の「判定手段」の一例であり、ホストCPU250から入力された画像データが、左画面110及び右画面120のいずれの画像書き換えを伴うものかを判定する。座両領域判定部340は、座標設定部330に設定された座標情報を用いて左画面110及び右画面120のいずれの画像書き換えを行うかを判定する。具体的には、座標領域判定部320は、画像を表示すべき座標が、左画面110及び右画面120の両方にまたがる座標である場合には、左画面110及び右画面120のいずれも画像を書き換えると判定する。一方で座標領域判定部320は、画像を表示すべき座標が、左画面110及び右画面120のいずれか一方のみに対応する座標である場合には、左画面110及び右画面120の一方の画像のみを書き換えると判定する。
【0068】
駆動制御部340は、VRAMコントローラー310から入力された画像データを、左画面110及び右画面120にそれぞれ供給する。なお、駆動制御部340から出力された画像データは、先ずタイミング制御部350に供給され、タイミング制御部350から適切なタイミングで左画面110及び右画面120にそれぞれ供給される。なお、ここでの駆動制御部340及びタイミング制御部350は、本発明の「書換手段」の一例である。
【0069】
電源制御部360は、本発明の「電源供給停止手段」の一例であり、左画面110の第1電源部510及び右画面120の第2電源部520の動作を制御することで、左画面110及び右画面120への電源電位の供給を制御する。なお、電源電位の供給の制御方法については以下に詳述する。
【0070】
<制御方法>
次に、本実施形態に係る表示装置の制御方法について、図6を参照して説明する。なお、以下では、本実施形態に特有の制御部300における動作について詳細に説明し、一般的な他の部位における動作については適宜説明を省略するものとする。
【0071】
図6は、実施形態に係る表示装置の動作を示すフローチャートである。
【0072】
図6において、本実施形態に係る表示装置1の動作時には、制御部300にホストCPU250から画像データが入力されると(ステップS101:YES)、座標領域判定部320において、まず左画面110及び右画面120の両方の画像を書き換えるか否かが判定される(ステップS102)。即ち、入力された画像データの座標が、左画面110及び右画面120の両方にまたがるものであるか否かが判定される。
【0073】
ここで、左画面110及び右画面120の両方の画像を書き換えると判定された場合(ステップS102)、電源制御部360は、左画面110の第1電源部510及び右画面120の第2電源部520を両方オンとする(ステップS103)。これにより表示装置1は、左画面110及び右画面120の両方の画像を書き換えることが可能な状態となる。
【0074】
他方で、左画面110及び右画面120の両方の画像を書き換えない(即ち、左画面110及び右画面120のいずれか一方の画像のみを書き換える)と判定された場合(ステップS102:NO)、座標領域判定部320において、書き換えるべき表示部が左画面110であるか否かが判定される(ステップS104)。
【0075】
ここで、左画面110の画像のみを書き換えると判定された場合(ステップS104:YES)、電源制御部360は、左画面110の第1電源部510をオンとして、右画面120の第2電源部520をオフとする(ステップS105)。これにより表示装置1は、左画面110の画像を書き換えることが可能であると共に、画像を書き換えない右画面120への電源電位の供給は停止された状態となる。
【0076】
一方、右画面110の画像のみを書き換えると判定された場合(ステップS104:NO)、電源制御部360は、左画面110の第1電源部510をオフとして、右画面120の第2電源部520をオンとする(ステップS106)。これにより表示装置1は、右画面120の画像を書き換えることが可能であると共に、画像を書き換えない左画面110への電源電位の供給は停止された状態となる。
【0077】
上述したステップS103、ステップS105及びステップS106において、第1電源部510及び第2電源部520のオンオフが切替えられた後には、駆動制御部340からタイミング制御部350を介して、左画面110及び右画面120の各々に、画像を書き換えるための画像データが供給される(ステップS107)。これにより、左画面110及び右画面120のうち、画像が書き換えられるべき表示面の画像が書き換えられ、新たな画像が表示される。
【0078】
本実施形態では特に、左画面110及び右画面120の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、電源制御部360によって、画像を書き換えないと判定された一方の表示面への電源電位の供給が停止される。このようにすれば、左画面110及び右画面120のうち画像を書き換える必要のない一方での消費電力をなくすことができるため、効果的に消費電力を低減することができる。
【0079】
また本実施形態では特に、VRAM400において、左画面110及び右画面120に表示すべき画像を1枚の画像として管理しているため、左画面110に表示すべき画像及び右画面120に表示すべき画像を別々に管理する場合と比べて、装置を動作させるソフトウェアから見た場合の処理を比較的簡単なものとすることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1によれば、消費電力を好適に低減することが可能である。
【0081】
なお、本実施形態では表示装置1の一例として電気泳動表示装置を挙げて説明したが、例えばコレステリック液晶表示装置、電子粉流型表示装置等の記憶性表示装置や、液晶表示装置、有機EL表示装置等の他の方式の表示装置として構成することも可能である。
【0082】
また、本実施形態では2画面の表示装置について説明しているが、3画面以上の表示装置であったとしても、同様の制御により、上述した効果を得ることが可能である。即ち、画像を書き換えないと判定された表示面に対する電源電位の供給を停止させることで、その分の消費電力を低減させることができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う表示装置、及び表示装置の制御方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1…表示装置、10…コントローラー、20…画素、21…画素電極、22…対向電極、24…画素スイッチング用トランジスター、28…素子基板、29…対向基板、40…走査線、50…データ線、51…表表紙部、52…裏表紙部、55…蝶番部、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、82…白色粒子、83…黒色粒子、110…左画面、120…右画面、220…共通電位供給回路、250…ホストCPU、260…メインメモリ、300…制御部、310…VRAMコントローラー、320…座標領域判定部、330…座標設定部、340…駆動制御部、350…タイミング制御部、360…電源制御部、400…VRAM、510…第1電源部、520…第2電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する第1表示部及び第2表示部と、
前記第1表示部及び前記第2表示部の動作を制御する制御手段と、
前記第1表示部に表示すべき画像及び前記第2表示部に表示すべき画像を1つの結合画像として記憶する記憶手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記結合画像を前記第1表示部及び前記第2表示部にそれぞれ分割して供給することで、前記第1表示部及び前記第2表示部における画像の書き換えを行う書換手段と、
前記結合画像に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する判定手段と、
前記第1表示部及び前記第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、前記一方への電源電位の供給を停止する電源供給停止手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1表示部及び前記第2表示部に対応する座標情報を有しており、前記結合画像を表示すべき座標に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1表示部及び前記第2表示部は記憶性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
画像を表示する第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部の動作を制御する制御手段と、前記第1表示部に表示すべき画像及び前記第2表示部に表示すべき画像を1つの結合画像として記憶する記憶手段とを備える表示装置の制御方法であって、
前記結合画像を前記第1表示部及び前記第2表示部にそれぞれ分割して供給することで、前記第1表示部及び前記第2表示部における画像の書き換えを行う書換工程と、
前記結合画像に基づいて、前記第1表示部及び前記第2表示部のいずれの画像を書き換えるかを判定する判定工程と、
前記第1表示部及び前記第2表示部の一方の画像を書き換えないと判定した場合に、前記一方への電源電位の供給を停止する電源供給停止工程と
を含むことを特徴とする表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109291(P2013−109291A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256269(P2011−256269)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】