説明

表示装置及び電子機器

両面表示および縦横表示切替が可能な表示装置およびその駆動方法を提供する。1画素は、第1の発光素子を有する第1の領域と、第2の発光素子を有する第2の領域とを有し、第1の領域を下方出射、第2の領域を上方出射とする。前記画素を駆動するソース信号線駆動回路と、前記ソース信号線駆動回路と垂直の走査方向を有する第1のゲート信号線駆動回路と、前記第1のゲート信号線駆動回路と垂直の走査方向を有する第2のゲート信号線駆動回路を有し、通常表示においては、第1のゲート信号線駆動回路によって垂直走査を行い、縦横切り替え表示は、第2のゲート信号線駆動回路によって垂直走査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、発光素子を備えた表示装置、特に、携帯電話、PDA等の携帯情報機器に関する。
【背景技術】
近年、液晶素子を用いた画素を有する液晶ディスプレイ(LCD)に代わり、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等を代表とする自発光素子を用いた表示装置の研究開発が進められている。自発光素子を用いた表示装置は、自発光型ゆえの高画質、広視野角、バックライトを必要としないことによる薄型、軽量等の利点を活かして、携帯電話の表示画面やディスプレイ装置として幅広い利用が期待されている。
また、携帯情報機器においては、その使用目的の多角化によって高付加価値が求められ、最近では、通常の表示面の裏側にサブ表示面を設けたものが提供されている。
さらに最近では、携帯情報機器でWebページの閲覧が可能であり、各種アプリケーションも充実しているため、用途に応じて画面を縦、横の両方に切り替えて使用出来るものも提案されている。
本来の表示面に加え、サブ表示面を設けた携帯情報機器は、バックライト等を含むモジュールが占める容積に加え、それらを駆動するコントロールIC等を実装した基板等が占める容積も無視できないものになる。特に最近提供されている携帯情報機器は、軽薄短小化が著しく、高付加価値化とのトレードオフとなっている。例えば、液晶ディスプレイを用いて両面表示が可能な携帯情報機器を作製しようとした場合、2つの画面の間にバックライト等を配置しなければならず、表示部を薄型にするのは非常に困難であった。
さらに、縦、横の表示の切り替えを行う際、通常の表示装置においては、縦、横の画素数が異なるため、別途フレームメモリを設け、例えば1フレーム分の映像信号を一度フレームメモリに格納した後、フォーマット変換によって縦、横の画素数に合わせた映像信号に変換する必要があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、薄型で両面表示が可能であり、かつ容積の小さいモジュール化の可能な表示装置を提供することを課題とする。
【発明の開示】
前述の課題を解決するために、本発明においては以下のような手段を講じた。
EL素子等を代表とする自発光素子を画素部に用い、表示装置を上面と下面の両方に発光可能な両面発光型とする。1画素を例えば第1の発光素子を有する第1の領域と第2の発光素子を有する第2の領域とに分割し、第1の発光素子においては、EL素子の第1の電極を透明電極、第2の電極を反射電極とする。第2の発光素子においては、EL素子の第1の電極を反射電極、第2の電極を透明電極とする。つまり、第1の発光素子と第2の発光素子とでは、出射方向が表裏逆となる構成とする。
使用者は通常、同時に両面を見ることはないため、用途に応じて表示面を選択出来るようにしても良い。例えば、EL素子に供給する電流経路のいずれかにスイッチ素子を設け、第1の発光素子の発光を用いる際には、第2の発光素子には電流の供給が遮断され、第2の発光素子の発光を用いる際には、第1の発光素子には電流の供給が遮断されるような構成としても良い。
本発明は、基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子とを有し、前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発することを特徴とする表示装置を提供する。
また本発明は、基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子を有し、前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子がそれぞれ光を発する2方向のうち、いずれか1方向にのみ光を発するように選択する手段と、前記2方向のどちらにも光を発するようにする手段とを有することを特徴とする表示装置を提供する。
さらに、本発明は、基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子とを有し、前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、前記基板上の前記画素部が形成された面に、ソース信号線駆動回路と、第1のゲート信号線駆動回路と、第2のゲート信号線駆動回路とを有し、前記第1のゲート信号線駆動回路の走査方向と、前記第2のゲート信号線駆動回路の走査方向とが直交することを特徴とする表示装置を提供する。
また、本発明は、基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子を有し、前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子がそれぞれ光を発する2方向のうち、いずれか1方向にのみ光を発するように選択する手段と、前記2方向のどちらにも光を発するようにする手段とを有し、前記基板上の前記画素部が形成された面に、ソース信号線駆動回路と、第1のゲート信号線駆動回路と、第2のゲート信号線駆動回路とを有し、前記第1のゲート信号線駆動回路の走査方向と、前記第2のゲート信号線駆動回路の走査方向とが直交することを特徴とする表示装置を提供する。
本発明により、従来、スペースやコストの関係上、サイズの小さいサブ画面しか搭載できなかった携帯情報機器に、大画面のサブ画面を搭載することが可能となり、さらに縦・横の表示切り替え機能の実装が容易となったことで、携帯情報機器のさらなる高付加価値化が実現する。
また、バックライトを必要としない自発光素子を用いることにより、非常に薄型、軽量である表示装置の作製が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表示装置における発光部の断面を示す図。
【図2】 本発明の表示装置の回路構成例を示す図。
【図3】 本発明の表示装置の回路構成例を示す図。
【図4】 本発明の表示装置の回路構成例を示す図。
【図5】 本発明の表示装置の回路構成例を示す図。
【図6】 本発明の表示装置の動作タイミングを説明する図。
【図7】 携帯情報機器に内蔵されたモジュールと表示装置のブロック図。
【図8】 本発明の用途の一例を示す図。
【図9】 液晶を用いた携帯電話機の断面を示す図。
【図10】 本発明の表示装置を用いた携帯電話機の断面を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明をより詳細に説術するために、添付の図面に従って以下に説明する。
(実施の形態1)
本発明の一実施形態を図2に示す。なお、ここではスイッチ素子や駆動素子として、薄膜トランジスタ(TFT)を用いているが、特に限定はしない。例えば、MOSトランジスタ、有機トランジスタ、分子トランジスタ等が挙げられるが、いずれも同様に用いて良い。また、TFTにおいては、ソース領域とドレイン領域とは、その構造や動作条件によって、区別が難しいため、一方を第1の電極、他方を第2の電極として表記する。
図2において、点線枠200で囲まれた領域が1画素を示しており、ソース信号線201、ゲート信号線202、電流供給線203、スイッチング用TFT204、第1の駆動用TFT205、第2の駆動用TFT206、第1の発光素子207、第2の発光素子208を有する。各画素において、第1の発光素子207の出射光が得られる領域を第1の領域、第2の発光素子208の出射光が得られる領域が第2の領域であり、いずれも1画素に含まれる。
スイッチング用TFT204のゲート電極は、ゲート信号線202と電気的に接続され、第1の電極は、ソース信号線201と電気的に接続され、第2の電極は、第1、第2の駆動用TFT205、206のゲート電極と電気的に接続されている。第1の駆動用TFT205の第1の電極は、電流供給線203と電気的に接続され、第2の電極は、第1の発光素子207の第1の電極と電気的に接続されている。第2の駆動用TFT206の第1の電極は、電流供給線203と電気的に接続され、第2の電極は、第2の発光素子208の第1の電極と電気的に接続されている。第1の発光素子207の第2の電極および、第2の発光素子208の第2の電極は、それぞれ、電流供給線203と互いに電位差を有する対向電極209、電流供給線203と互いに電位差を有する対向電極210と電気的に接続されている。
ソース信号線201に出力された映像信号は、スイッチング用TFT204がONするタイミングで、第1、第2の駆動用TFT205、206のゲート電極へと入力され、映像信号にしたがって、第1、第2の発光素子207、208に電流が供給されて発光する。前述のとおり、第1の領域、第2の領域は、それぞれ基板表裏から出射光が得られる。
この構成によると、第1の発光素子207、第2の発光素子208の発光、非発光の制御は、第1、第2の駆動用TFT205、206によってなされるが、例えば、図3に示すように、電流供給線303と、第1、第2の駆動用TFT305、306の第1の電極との間に、それぞれ排他的に動作するアナログスイッチ311、312を設け、表示面制御信号によってON・OFFを制御することにより、ある期間ではアナログスイッチ311がONし、第1の発光素子307に電流が供給されると、第1の領域には映像が表示される。一方、アナログスイッチ311と排他的に動作するアナログスイッチ312は、この時はOFFしており、第2の発光素子308への電流供給経路を遮断する。よって第2の領域は発光しない。反対に、アナログスイッチ312がONし、第2の発光素子308に電流が供給され、第2の領域に映像が表示されている期間では、アナログスイッチ311はOFFし、第1の発光素子307への電流供給経路を遮断する。よって第1の領域は発光しない。このとき、表示面制御信号は、使用者が何らかの操作を行うことによって出力され、表示面の切り替えを行っても良いし、使用している状態(例えば機器を折りたたんだ状態か開いている状態かなど)によって、自動的に切り替え動作が行われるようにしても良い。
また、アナログスイッチ311、312を排他的に動作させるのではなく、表示面制御信号1、表示面制御信号2を用いてアナログスイッチ311、312を独立に制御した場合を図4に示す。図4で示した構成によると、第1の領域、第2の領域はいずれも任意に表示・非表示を切り替えることが出来る。なお、図3において、301はソース信号線、302はゲート信号線、304はスイッチング用TFT、313はインバータを示しており、図4において、413はインバータ、414はインバータを示しており、図3と同一の箇所には同一の符号を用いている。
図3、図4に示した構成を用いて、第1の領域と第2の領域とで互いに異なる映像を表示させる方法としては、例えば1フレーム期間において、奇数フレームで第1の領域の表示を行い、偶数フレームで第2の領域の表示を行うなどといった方法が挙げられる。このとき、表示面制御信号は、1フレーム期間ごとに反転させ、アナログスイッチ311、312が互いに1フレームごとにON・OFFを切り替えられれば良い。
(実施の形態2)
本実施形態においては、主に回路構成について説明する。
図5(A)に、本発明の表示装置の一構成例を示す。基板500上に、画素部501が形成され、周辺部には、ソース信号線駆動回路502、第1のゲート信号線駆動回路503、第2のゲート信号線駆動回路504が設けられている。各駆動回路の制御信号の入力および、電流供給線505への電流供給は、フレキシブルプリント基板(FPC)506によって行われる。図5(A)中、510で示される部分が1画素であり、詳細を図5(B)に示す。
図5(B)において、点線枠520で示される部分が1画素であり、ソース信号線521、第1のゲート信号線522、第2のゲート信号線523、電流供給線524、第1のスイッチング用TFT525、第2のスイッチング用TFT526、第1の駆動用TFT527、第2の駆動用TFT528、保持容量529、第1の発光素子530、第2の発光素子531を有する。各画素において、第1の発光素子530の出射光が得られる領域を第1の領域、第2の発光素子531の出射光が得られる領域が第2の領域であり、いずれも1画素に含まれる。
第1のスイッチング用TFT525のゲート電極は、第1のゲート信号線522と電気的に接続され、第1の電極はソース信号線521と電気的に接続され、第2の電極は第2のスイッチング用TFT526の第1の電極と電気的に接続されている。第2のスイッチング用TFT526のゲート電極は、第2のゲート信号線523と電気的に接続され、第2の電極は、第1、第2の駆動用TFT527、528のゲート電極のそれぞれと電気的に接続されている。第1の駆動用TFT527の第1の電極は、電流供給線524と電気的に接続され、第2の電極は、第1の発光素子530の第1の電極と電気的に接続されている。第2の駆動用TFT528の第1の電極は、電流供給線524と電気的に接続され、第2の電極は、第2の発光素子531の第1の電極と電気的に接続されている。第1の発光素子530の第2の電極および、第2の発光素子531の第2の電極は、電流供給線524と互いに電位差を有する対向電極532、電流供給線524と互いに電位差を有する対向電極533とそれぞれ電気的に接続されている。保持容量529は、第1、第2の駆動用TFT527、528のゲート・ソース間電圧を保持するために設けられており、図5(B)においては、第1、第2の駆動用TFT527、528のゲート電極と、電流供給線524との間に設けられているが、接続箇所はこれに限定しない。
回路動作について説明する。なお、本明細書においては、画素数をm×n画素とするが、映像信号のフォーマット変換方法についてはその方法を問わない。よって、説明を簡単にするため、m=nとした場合を例に挙げて説明する。図5(A)、(B)および図6を参照する。
第1の表示、すなわち画素部が横m×縦n画素である通常表示を行う場合、第2のゲート信号線駆動回路504は、第2のスイッチング用TFT526が全画面にわたりONとなる状態としておく。これにより、画素は第1のスイッチング用TFT525と、第1、第2の駆動用TFT527、528のみによって制御されることになる。あとは、ソース信号線駆動回路502と、第1のゲート信号線駆動回路503とを、通常の方法で駆動することによって映像の表示を行う。図6(A)に示すように、画素への映像信号の書き込みの順序は、(1,1)(2,1)・・・(m,1)、(1,2)(2,2)・・・(m,2)、・・・、(1,n)(2,n)・・・(m,n)となる。
次に、第2の表示、すなわち画面の縦・横を切り替えた場合について説明する。図6(B)は、図6(A)を時計回りに90°回転させた様子を示している。本発明の表示装置は、映像信号の入力順序を変える必要がない。よって、図6(B)に示す状態での画素への書き込みの順序は、(1,n)(1,n−1)・・・(1,1)、(2,n)(2,n−1)・・・(2,1)、・・・、(m,n)(m,n−1)・・・(m,1)となる。
よって、第2の表示を行っている間は、ソース信号線駆動回路502は、通常よりも低速で動作し、1水平期間ずつサンプリングパルスを出力する。これにより、ソース信号線1本ごとに、1水平期間分の映像信号が連続的に出力されていく。一方、第1のゲート信号線駆動回路503は、通常よりも高速に動作し、1ドットサンプリング期間ずつゲート信号線選択パルスを出力する。これにより、各画素では、1ドットサンプリング期間だけ第1のスイッチング用TFT525がONし、そのときソース信号線521に出力されている映像信号が書き込まれる。また、第2のゲート信号線駆動回路504は、ソース信号線駆動回路502に同期して動作する。つまり、ソース信号線駆動回路502からサンプリングパルスが出力されて、ある列のソース信号線521に映像信号が連続的に出力されるとき、その列においては第2のゲート信号線523が選択され、選択された第2のゲート信号線523に接続されている第2のスイッチング用TFT526は全てONとなることにより、その列にのみ映像信号の書き込みが許可される。
以上の動作により、映像信号の画素への書き込みを行うことが出来る。よって、フレームメモリを用いることなく、表示装置の縦・横の切り替えが可能となり、モジュールの小型化が実現する。
なお、縦・横の切り替えは、使用者が何らかの操作を行うことによって、各駆動回路の制御信号の切り替えを行っても良いし、使用している状態(例えば機器を折りたたんだ状態か開いている状態かなど)によって、自動的に切り替え動作が行われるようにしても良い。
【実施例】
【実施例1】
図1を用いて、本発明の表示装置の画素の構成について説明する。
図1において、基板6000上に、下地膜6001が形成されており、当該下地膜6001上に第1の駆動用TFT6002および第2の駆動用TFT6021が形成されている。
第1の駆動用TFT6002は、活性層6003と、ゲート電極6005と、活性層6003とゲート電極6005の間に挟まれたゲート絶縁膜6004を有している。なお、ゲート電極6005は図1において、幅の異なる上層と下層からなる2層で形成されているが、これに限定されず、単層または複数層で形成してもよい。
また、第1の駆動用TFT6002は、第1の層間絶縁膜6006で覆われており、第1の層間絶縁膜6006上には第2の層間絶縁膜6007と、第3の層間絶縁膜6008とが積層形成されている。
なお、第1の駆動用TFT6002と第2の駆動用TFT6021とは同じ構成になっている。
また図1において6010および6030はそれぞれ、第1、第2の発光素子の陽極、6011は電界発光層、6012は陰極であり、陽極6010と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が第1の発光素子6013に、陽極6030と電界発光層6011と陰極6012が重なっている部分が第2の発光素子6023に相当する。第1の駆動用TFT6002は、第1の発光素子6013に供給する電流を制御するものであり、第1の発光素子6013と直接、または他の素子を介して電気的に接続されている。また第2の駆動用TFT6021は、第2の発光素子6023に供給する電流を制御するものであり、第2の発光素子6023と直接、または他の素子を介して電気的に接続されている。
なお、陽極6010は、反射性または光遮断性が高く、仕事関数の大きい(好ましくは、4.2eVより大きい)材料を用いて形成するのが望ましい。具体的には、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、窒化チタン(TiN)などが挙げられる。あるいはまた、反射性(または光遮断性)の膜を形成し、当該膜上に仕事関数の大きい導電膜を形成することで、陽極6010とする手法も有効である。例えば、Alのような金属膜を形成し、当該金属膜と積層するように酸化インジウム・スズ(ITO)などを形成すればよい。なお、Al膜上に形成するITOは、ELの陽極として機能しうる膜厚であればよく、干渉によるEL層からの出射光の光ずれを防ぐため、薄くするのが望ましい。一方、陽極6030は、光透過性が高い材料を用いて形成するのが望ましい。例えば、ITO、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いればよい。陰極6012は、仕事関数が小さく(好ましくは、4.2eV以下)、光透過性が高い構造となるように形成するのが望ましい。例えば、Mg:Ag合金のような金属膜を、光が透過する程度(好ましくは、10nm以下)に形成し、当該金属膜と積層するようにITOなどを形成すればよい。金属薄膜の厚さが減少することにより当該金属薄膜の抵抗は増加するが、導電率を充分確保できれば、ITOは必ずしも形成しなくてもよい。また、特に仕事関数に関係なく、単にITOなどの光透過性が高い導電性材料を陰極6012として用いてもよい。この場合、電子注入性を高めるために、電界発光層6011の陰極6012と接する領域付近に、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の仕事関数の小さい金属、またはそれら金属原子を含む合金を添加する手法が好ましい。
電界発光層6011は、発光層単独かもしくは発光層を含む複数の層が積層された構成を有している。
陽極6010および陽極6030は第3の層間絶縁膜6008上に形成されている。また第3の層間絶縁膜6008上には隔壁として用いる樹脂膜6014が形成されている。
そして樹脂膜6014及び陰極6012上に、保護膜6016が形成されている。保護膜6016の上には、反射膜6024が形成されており、第2の発光素子6023からの出射光を反射し、光を基板側にのみ透過させる役割を果たす。
また、第1の発光素子6013より発せられる光は、陽極6010で反射し、基板に対して上向きの方向にのみ透過する。
本実施例に示すように表示装置として自発光素子を用いることにより、従来のバックライトを必要とする表示装置では成し得なかった、パネルの厚さが2mm以下(好ましくは1mm以下)の両面表示が可能である薄型の表示装置が実現できる。
【実施例2】
図7(A)に示すように、携帯電話等の電子機器の表示部として表示装置が使用される場合は、モジュール701という形で内蔵される。ここで、モジュール701とは、表示装置と、表示装置を駆動するための信号処理用LSI、メモリ等を実装した基板とを接続した形態を指す。
モジュール701をブロック図として、図7(B)に示す。モジュール701は、電源部711、信号制御部712、FPC713、表示装置714を有する。電源部711は、外部バッテリーより供給される電源より、ソース信号線駆動回路、ゲート信号線駆動回路、発光素子等に、それぞれ所望の複数の電圧値の電源を生成し、供給する。信号制御部712には、映像信号、同期信号が入力され、表示装置714にて処理が出来るように、各種信号の変換を行う他、ソース信号線駆動回路、ゲート信号線駆動回路を駆動するためのクロック信号等を生成する。
本実施例にて示したモジュール701は、表示装置714と、電源部711および信号制御部712とは独立して作製されているが、これらを基板上に一体形成して作製しても良い。
【実施例3】
本発明の表示装置を、携帯情報機器において代表的な携帯電話に適用した例を図8(A)、図8(B)に示す。1枚の表示装置で基板表・裏の2方向への表示が可能なため、図8(A)に示すように、両面に表示部を設けた場合にも、筐体800の厚さを抑えることが可能となる。
使用例として、機器を開いた場合、第1の表示面801を主に表示面として使用する。画面操作は、操作ボタン802によって行う。機器を閉じている状態において主に用いる第2の表示面803は、従来はスペースの関係上、サイズの小さなものしか内蔵出来なかったが、本発明によって、第1の表示面801と同等の表示サイズを有する第2の表示面803を用いて、メール、Webページ等の閲覧が可能となる。閉じた状態での操作は、操作ボタン804によって行う。
また、最近ではデジタルカメラ搭載の携帯電話等が普及しているが、レンズ805を手前に向けた状態での撮影時にも、表示領域の広い第2の表示面803でモニタしながらの撮影が可能となる。
また、図8(B)に示すように、使用者が任意に、表示の縦・横を切り替えて用いることも可能である。実施の形態2においても述べたが、このような縦・横表示の切り替えは、アプリケーションによって自動的に切り替わるようにしても良いし、使用者の操作によって適宜切り替えが出来るようにしても良い。
また、ここでは代表的な例として、携帯電話を図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、PDA、サブノートPC、電子辞書等、広い用途での適用が容易であることは言うまでもない。
【実施例4】
図9に、従来の液晶表示装置を用いて、両面表示を行うことの出来る携帯電話機の例を、図10に、本発明の表示装置を用いて、両面表示を行うことのできる携帯電話機の例を示す。なお、両者の違いを端的に表現できるように共通部分については同じ構成として図示した。
図9に示す携帯電話機は、第1の筐体1101、第2の筐体1108を有し、折りたたみが可能な形状となっている。第1の筐体1101には、第1の表示装置(メイン表示用)1102、第2の表示装置(サブ表示用)1103が内蔵され、それぞれの表示装置は、表示コントローラ1104、1105によって制御されている。さらに第1の筐体1101には、スピーカ1106、アンテナ1107が設けられている。
第2の筐体1108には、本体駆動用モジュール1109、操作ボタンモジュール1110、マイクロホン1112、バッテリー1113が内蔵されている。第1の筐体1101と第2の筐体1108は、互いがヒンジ1111を介して接続されている。
このとき、第1の表示装置1103および第2の表示装置1102は、バックライトを含んでいる。また、第1の表示領域は1151で示され、第2の表示領域は1152で示される。表示装置が設けられた側の筐体、すなわち第1の筐体1101の厚さをT1で示している。
図10に示す携帯電話機は、同じく第1の筐体1131、第2の筐体1108を有する。第2の筐体1108側の構成は、図11に示した従来例と同様であるので説明は省略する。本発明の表示装置1132は、両面に発光可能な自発光素子が2つの基板に挟まれており、唯1つの表示コントローラ1133によって制御されている。また、第1の表示領域は1161で示され、第2の表示領域は1162で示されている。また、表示装置が設けられた側の筐体、すなわち第1の筐体1131の厚さをT2で示している。
両者において、第1の筐体の厚さを比較すると、はるかに本発明の表示装置を用いた方が薄型を達成することができる。従来例では、メイン表示とサブ表示とを、バックライトを含む独立した2つの表示装置によって提供しているため、両面を表示する場合にT1は厚くなってしまう。一方、本発明の表示装置は自発光素子を用いているので、バックライトなしで両面発光が可能であり、従来例に比べてはるかに薄型を達成出来ることがわかる。
また、両者において、第2の表示領域のサイズを比較すると、本発明の表示装置を用いた場合の方が大画面化に適しているといえる。
以上のように、本発明の表示装置は、特に携帯電話機等の携帯情報端末の小型化、高機能化に大きく貢献することが出来る。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明により、従来、スペースやコストの関係上、サイズの小さいサブ画面しか搭載できなかった携帯情報機器に、大画面のサブ画面を搭載することが可能となり、さらに縦・横の表示切り替え機能の実装が容易となったことで、携帯情報機器のさらなる高付加価値化が実現する。
また、バックライトを必要としない自発光素子を用いることにより、非常に薄型、軽量である表示装置の作製が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、
前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子とを有し、
前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、
前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、
前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子を有し、
前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、
前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子がそれぞれ光を発する2方向のうち、いずれか1方向にのみ光を発するように選択する手段と、
前記2方向のどちらにも光を発するようにする手段とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、
前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子とを有し、
前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、
前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、
前記基板上の前記画素部が形成された面に、ソース信号線駆動回路と、第1のゲート信号線駆動回路と、第2のゲート信号線駆動回路とを有し、
前記第1のゲート信号線駆動回路の走査方向と、前記第2のゲート信号線駆動回路の走査方向とが直交することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
基板上に画素がマトリクス状に配置された画素部を有し、
前記画素は第1の発光素子と、第2の発光素子を有し、
前記第1の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直な1方向にのみ光を発し、
前記第2の発光素子は、前記基板の前記画素部が形成された面に対し垂直かつ前記1方向と逆の1方向にのみ光を発し、
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子がそれぞれ光を発する2方向のうち、いずれか1方向にのみ光を発するように選択する手段と、
前記2方向のどちらにも光を発するようにする手段とを有し、
前記基板上の前記画素部が形成された面に、ソース信号線駆動回路と、第1のゲート信号線駆動回路と、第2のゲート信号線駆動回路とを有し、
前記第1のゲート信号線駆動回路の走査方向と、前記第2のゲート信号線駆動回路の走査方向とが直交することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4において、
前記第1の発光素子は、第1の画素電極と、有機化合物層と、対向電極とを有し、
前記第2の発光素子は、第2の画素電極と、前記有機化合物層と、前記対向電極とを有していることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1の発光素子の発光状態または非発光状態を選択する手段と、前記第2の発光素子の発光状態または非発光状態を選択する手段とを有する表示装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2のいずれか一項において、
前記基板上の前記画素部が形成された面に、ソース信号線駆動回路と、第1のゲート信号線駆動回路と、第2のゲート信号線駆動回路とを有し、
前記第1のゲート信号線駆動回路の走査方向と、前記第2のゲート信号線駆動回路の走査方向とが直交することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の前記表示装置を用いることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2004/049285
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531656(P2004−531656)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014665
【国際出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】