説明

表示装置用フェースプレートとその製造方法及びそれらを用いた表示装置及び物品

【課題】加工時や廃棄時に環境負荷が少なく、かつ安価に製造できる撥水撥油防汚性部及びその製造方法並びにそれらを用いた物品を提供する。
【解決手段】表示装置用フェースプレート10は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基14のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基11を基材12の外側表面に有する。表示装置用フェースプレート10は、フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で、表面に炭化水素基を有する基材12の外側表面を低圧プラズマ処理することにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用フェースプレートとその製造方法及びそれらを用いた表示装置及び物品に係る。さらに詳しくは、耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高く視認性が高い表示装置用フェースプレートとその製造方法及びそれらを用いた表示装置及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活レベルの向上及び衛生意識の高揚に伴い、身の回りの物品の汚れ対策が要望されている。各種情報機器や操作端末に用いられている表示装置についても、視認性の向上、メンテナンスコストの低減、特にタッチパネルにおける公衆衛生上の要請等の理由から防汚性の向上が求められている。
【0003】
部材表面の汚れを防止する手段として、部材表面に表面エネルギーが小さな被膜を形成する方法や部材そのものの表面の表面エネルギーを小さくする表面処理方法があるが、それらの中でも、加工時の環境負荷が少ない技術、また、製品を廃棄する際の、環境破壊が少ない製造技術が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、部材の表面に、省資源かつ省エネルギーで表面エネルギーの小さな単分子膜を形成する技術として、フロートガラスのトップ面上にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する膜を形成したガラスを窓ガラスとして、膜面が調理側になるように設置したことを特徴とする調理器が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、フッ素ガスを用いて部材表面そのものを防汚処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−137132号公報
【特許文献2】特開2005−290118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、表面に膜を形成する基材が、表面に活性水素基を有しない樹脂等の場合、予め表面を酸化して活性水素を導入する必要がある。また、被膜形成時に溶媒を必要とするため、環境負荷が大きいという問題を有している。
一方、特許文献2に記載の方法では、被膜形成時に溶媒を必要としないが、反応に長時間(数時間)を必要とするので効率が悪いという問題を有している。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、加工時や廃棄時に環境負荷が少なく、かつ安価に製造できる表示装置用フェースプレートとその製造方法及びそれらを用いた表示装置及び物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基を基材の外側表面に有することを特徴とする表示装置用フェースプレートを提供することにより上記課題を解決するものである。
なお、本発明において「表示装置」には、表示機能と操作機能を併せ持つ機器操作用のタッチパネルも含まれる。さらにまた、「物品」には、携帯電話、電子計算機、PDA(携帯情報端末)、GPS端末、テレビジョン受像器、キャッシュディスペンサー(CD)装置、現金自動預け払い機(ATM)等が含まれる。
【0010】
なお、「フェースプレート」とは、表示装置の表示面上の最も外側を覆う透明な板状部材をいい、表示面の保護のみならず入力機能も兼ね備えたタッチパネル等も本発明における「フェースプレート」に含まれる。また、「基材の外側表面」とは、表示装置にフェースプレートとして組み込んだ際に外側となる表面をいう。
【0011】
基材の外側表面に、水素原子の一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基を有するため、表面エネルギーが低下し、撥水撥油性を向上できると共に、汚れの元となる有機物等も付着しにくくなるため、防汚性も併せて向上できる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る表示装置用フェースプレートにおいて、前記基材が透明樹脂であってもよい。
【0013】
第1の態様に係る表示装置用フェースプレートにおいて、前記外側表面の表面粗さが10nm以上900μm以下であることが好ましい。
表面粗さを上記範囲内とすることにより、平坦な表面の場合よりもフェースプレート表面の見かけ上の表面エネルギーを大幅に低減でき、高い撥水撥油防汚性を付与できる。
【0014】
或いは、本発明の第1の態様に係る表示装置用フェースプレートにおいて、前記外側表面の表面粗さが10nm以上400nm以下であってもよい。
フェースプレートの表面粗さが可視光の最短波長である400nm以下であれば、フェースプレートの透明度を損なうことなく高い撥水撥油防汚性を付与できる。
【0015】
本発明の第2の態様は、フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で、少なくともフェースプレートの外側表面となる側の表面に炭化水素基を有する基材の該外側表面となる側の表面を低圧プラズマ処理することを特徴とする表示装置用フェースプレートの製造方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
フッ化炭素基を含む化合物は、プラズマ処理条件下で、フッ素ラジカル(・F)又は・CF等のフッ化炭素ラジカルを発生する。これが基材の表面に存在する炭化水素基の水素原子と置換することにより、溶媒を用いることなく、基材の表面にフッ化炭素基を導入し、基材の外側表面における表面エネルギーを低減できる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る表示装置用フェースプレートの製造方法において、前記フッ化炭素基を含む化合物のガスと酸素ガスの混合雰囲気中で前記基材の外側表面を低圧プラズマ処理してもよい。
フッ化炭素基を含む化合物のガスと酸素ガスの混合雰囲気中で基材の外側表面を低圧プラズマ処理すると、より効率よく、かつ耐久性の高い表示装置を提供できる。
【0017】
或いは、本発明の第2の態様に係る表示装置用フェースプレートの製造方法において、あらかじめ、酸素ガス雰囲気中で前記基材の外側表面の低圧プラズマ処理を行った後、前記フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で前記基材の外側表面を低圧プラズマ処理してもよい。
あらかじめ、酸素ガス雰囲気中で、次いでフッ化炭素基を含むガス雰囲気中で基材の外側表面を低圧プラズマ処理すると、防汚性が高く、かつ耐久性の高い表示装置を効率よく提供できる。
【0018】
本発明の第2の態様に係る表示装置の製造方法において、前記フッ化炭素基を含む化合物として、テトラフルオロメタン(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、テトラフルオロエチレン(C)、及びトリフルオロメタン(CHF)のうち1又は複数を用いることが好ましい。
これらのフッ化炭素基を含む化合物は比較的安価に入手可能であるため、表示装置の製造コストを低減できる。
【0019】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る表示装置用フェースプレートを用いた表示装置を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0020】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様に係る表示装置を用いた物品を提供することにより上記課題を解決するものである。
【0021】
本発明の第4の態様に係る物品が、携帯電話、電子計算機又は電子計算機用表示装置、携帯情報端末、GPS端末、テレビジョン受像器、キャッシュディスペンサー装置及び現金自動預け払い機のいずれかであってもよい。
これらの物品は、いずれも人体に接触することの多い物品に用いられるものであり、衛生上の観点から防汚性が強く求められており、本発明を好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、加工時や廃棄時に環境負荷が少なく、かつ安価に製造できるフェースプレートを有する表示装置用フェースプレートとその製造方法及びそれらを用いた表示装置及び物品が提供される。また、本発明の方法によると、表面に炭化水素基を有するフェースプレートの最表面にのみ、省資源、省エネルギー、かつ低コストで撥水撥油防汚機能を付与することが可能である。
【0023】
本発明に係る表示装置及びそれを用いた物品は、高い防汚性、耐久性、人体及び環境に対する安全性を併せ持ち、半永久的に防汚性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置用フェースプレートの断面構造の説明図である。
【図2】同表示装置用フェースプレートの製造方法の説明図で、(a)及び(b)は、それぞれ、フッ化炭素基を有する化合物のガス雰囲気中での低圧プラズマ処理前及び処理後のフェースプレートの外側表面近傍を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
【0026】
本発明の一実施の形態に係る表示装置用フェースプレート(以下、「フェースプレート」と略称することがある。)10は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基11(図1中では、模式的に網かけを付している)を基材の一例であるUV硬化樹脂でハードコートされたアクリル基材(以下「アクリル基材」と略称する。)12の表面に有する。アクリル基材12は、図2(a)に示すように、表面が炭化水素基13で被われている。低圧プラズマ処理後のフェースプレート10の表面において、図2(b)に示すように、低圧プラズマ処理前のアクリル基材12の表面を被う炭化水素基13の水素原子の一部が、フッ化炭素基の一例であるトリフルオロメチル基14で置換されている。
【0027】
フェースプレート10は、フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で、アクリル基材12の基材外側表面を低圧プラズマ処理することにより製造される。
フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で高周波放電によりプラズマを発生させると、フッ素ラジカル(・F)や、トリフルオロメチルラジカル(・CF)等のフッ化炭素ラジカルが生成する。これらのラジカルが、アクリル基材12の表面の炭化水素基の水素原子をトリフルオロメチル基14で置換する(図2(b))。或いは、テトラフルオロエチレン等の不飽和結合を有する化合物を含むガスを用いる場合には、プラズマ重合により炭素数の大きいパーフルオロアルキル基も生成しうる。
【0028】
低圧プラズマ処理には、プラズマ表面処理や低温灰化等に使用可能な任意のプラズマ処理装置を用いることができる。チャンバーの形態の具体例としては、流通管型、ベルジャー型等が挙げられ、講習は放電のための電極の形態としては、平行平板型、同軸円筒型、円筒、球等の曲面対向平板型、双曲面対向平板型、複数の細線対向平板型等の電極が挙げられる。高周波電流は、容量結合形式、外部電極を用いた誘導形式のいずれによっても印加可能である。高周波電源の出力は、基材の材質及び大きさ、用いられるフッ化炭素基を含む化合物の種類、添加されるガスの種類及び体積分率、チャンバーの容量及び圧力等によって適宜調節されるが、例えば10〜250Wである。
【0029】
なお、使用可能なことを確認できたフッ化炭素基を含む化合物としては、CF、C,C、CHF等がある。原理的には、CF基を含み常温常圧で液体である化合物であっても、低圧プラズマ処理条件下でガス化できれば使用可能である。なお、このとき、微量(0.1〜5体積%)のArやHe等を混合しておくと、放電を安定化させる効果がある。
【0030】
また、酸素を微量(0.1〜15体積%)含ませておくと、樹脂表面を酸化しながらCF基で置換することになり、処理効率を上げる効果がある。或いは、予め酸素ガス雰囲気中で低圧プラズマ処理を行い、表面の酸化エッチングを行った後にフッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で低圧プラズマ処理を行ってもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、基材としてUV硬化樹脂でハードコートされたアクリル基材12を例に挙げて説明したが、基材としては、表面に炭化水素基を含む樹脂を有するものであればどのようなものでも使用可能である。基材の表面に存在する樹脂は、表面保護膜、偏光フィルター等としての機能を有するものであってもよい。また、タッチパネルとして用いる場合には、可撓性を有するように厚みを小さくし、裏面側にITO等の透明導電体層を有していてもよい。或いは、これらの樹脂が、ガラス等の透明基材の外側表面上に貼着されたものを基材として用いてもよい。
【0032】
樹脂の具体例としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリマーアロイ、ポリメチルペンテン、アイオノマー樹脂、アクリル樹脂、アセチルセルロース、アルキド樹脂、AS樹脂、液晶ポリマー、エチレンプロピレンゴム、ABS樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、その他エンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
【0033】
フェースプレート10の外側表面の表面粗さは、10nm以上900μm以下である。フェースプレート10表面の凹凸の形状は、入射光の回折や乱反射等によりアクリル基材12の光学的特性を損なわない限り特に制限されず、規則的な形状であっても、不規則な形状であってもよい。一般に表面粗さが前記範囲内であれば、アクリル基材12の表面特性を悪化させることなく、低圧プラズマ処理後の表面の疎水性を更に向上できる。アクリル基材12の表面粗さは、好ましくは可視光の最短波長以下の400nm以下、より好ましくは360nm以下、更により好ましくは300nm以下である。表面粗さが前記範囲内であれば、アクリル基材12の透明度等の可視光に対する光学特性を損なうことがない。表面粗さは、表面粗さ計、3次元計測器等の任意の公知の方法を用いて測定することができる。また、凹凸の大きさについては、実体顕微鏡又は電子顕微鏡写真を用いた画像解析により測定することもできる。
【0034】
アクリル基材12の外側表面を、上記範囲内の表面粗さ及び凹凸の大きさを有するように粗面化する方法としては、サンドブラスト、機械研磨、及びクロム酸混液、リン酸、アルカリ等による化学処理等の任意の公知の方法を用いて予め粗面化しておいてもよいが、酸素ガスを含む雰囲気中で低圧プラズマ処理を行う際に、所望の表面粗さ及び凹凸の大きさを有する表面が得られるようにプラズマ処理の条件を適宜調節してもよい。
【0035】
フェースプレート10が用いられる表示装置としては、CRT(陰極線管、ブラウン管)、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、有機及び無機EL表示装置等が挙げられる。
フェースプレート10を組み込んだ表示装置が用いられる物品としては、携帯電話、電子卓上計算機、電子計算機又は電子計算機用ディスプレイ、PDA(携帯情報端末)、携帯用ゲーム機、携帯GPS端末、カーナビゲーションシステム、テレビジョン受像器、携帯用DVDプレーヤ、デジタルカメラ、ビデオ録画装置、キャッシュディスペンサー(CD)装置、現金自動預け払い機(ATM)、自動券売機等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
本発明の特徴及び作用効果を確認するために行った実施例について以下に説明する。
実施例1:透明アクリル樹脂基板を基材とする表示装置用フェースプレートの製造
まず、最表面に紫外線硬化型ハードコート膜が形成された透明アクリル樹脂基板をエタノールで洗浄後、表1に示す条件(条件1)の下で、酸素ガス雰囲気中での低圧プラズマ処理(Oプラズマ処理)を行った。次いで、表2に示す条件(条件2)の下で、酸素を含むテトラフルオロメタン(CF)雰囲気中でプラズマ処理を行った。なお、表1及び表2において流量の単位として用いているsccmは非SI単位であり、1sccm=1.69×10−4Pa・m/secである。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
このようにして得られたフェースプレートの水滴接触角を測定した。測定は、同一サンプル上の異なる5点(I〜V)で行った。測定結果は下記の表3に示すとおりである。なお、表3において、「C.A.」は接触角(contact angle)を意味し、「Avg.」及び「S.D.」はそれぞれ、平均値及び標準偏差を意味する。なお、処理前のアクリル樹脂基板の水滴接触角は75.0度であった。
【0040】
【表3】

【0041】
全てのサンプルについて水滴接触角の著しい増大が観測された。これは、図2(b)に示した様に、アクリル樹脂基板表面の炭化水素基が、プラズマ中で発生した・CFラジカルと反応して、水素原子が−CF基と置換され、表面に多数のCF基が結合したことにより、表面の撥水性が向上したことによると考えられる。
【0042】
なお、ここで、Oプラズマ処理は、アクリル樹脂基板表面をクリーニングする作用と、部材表面を粗面化する作用があり、高周波電源のパワーや処理時間を任意に制御することで、表面粗さを数ナノメートルから数百ミクロンの範囲で制御でき、それによっても最終の水滴接触角を165〜100度程度まで制御できた。特に、水滴接触角を150度以上になる様に制御しておけば、極めて表面エネルギーが低く、高性能な撥油防汚性部材を製造できた。また、表面粗さを、可視光の波長以下(例えば、400nm)にしておくと、基材として用いたアクリル樹脂基板の透明度を損なうことはなかった。
【0043】
また、CF以外にも、C、C、CHF等のCF基又はCF基を含む化合物が同様に使用できた。
【0044】
実施例2:透明ポリエチレンテレフタレート樹脂基板を基材とする表示装置用フェースプレートの製造
実施例1と同様に、まず、透明PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂基板をエタノールで洗浄後、表1に示した条件(条件1)の下で、Oプラズマ処理を行った。次いで、フッ化炭素基を含む化合物としてヘキサフルオロエタン(C)を用い、高周波電源のパワーを250W、処理時間を5分とした以外は、表2に示したのと同様の条件下で、低圧プラズマ処理を行った。その後、接触角を測定してみると、サンプルの水滴接触角は、147度であった。
なお、他のフッ化炭素基を含む化合物を用いた場合でも、CF基又はCF基を含めば、同様の効果があることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明を適用できる物品は、表示装置であれば、どのような形態の物でもよい。具体的には、携帯電話、電子計算機、PDA、GPS、テレビジョン受像器、キャッシュディスペンサー(CD)装置、ATM装置のいずれかに設置されている表示装置、又はそれらに使用される部材に使用できる。
【符号の説明】
【0046】
10:表示装置用フェースプレート
11:水素原子の一部一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基
12:UV硬化樹脂でハードコートされたアクリル基材
13:炭化水素基
14:トリフルオロメチル基

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素原子の一部又は全部がフッ素原子及びフッ化炭素基のいずれか一方又は双方で置換された炭化水素基を基材の外側表面に有することを特徴とする表示装置用フェースプレート。
【請求項2】
前記基材が透明樹脂である請求項1記載の表示装置用フェースプレート。
【請求項3】
前記外側表面の表面粗さが10nm以上900μm以下であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載の表示装置用フェースプレート。
【請求項4】
前記外側表面の表面粗さが10nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載の表示装置用フェースプレート。
【請求項5】
フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で、少なくともフェースプレートの外側表面となる側の表面に炭化水素基を有する基材の該外側表面となる側の表面を低圧プラズマ処理することを特徴とする表示装置用フェースプレートの製造方法。
【請求項6】
前記フッ化炭素基を含む化合物のガスと酸素ガスの混合雰囲気中で前記基材の外側表面を低圧プラズマ処理することを特徴とする請求項5記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
あらかじめ、酸素ガス雰囲気中で前記基材の外側表面の低圧プラズマ処理を行った後、前記フッ化炭素基を含む化合物のガス雰囲気中で前記基材の外側表面を低圧プラズマ処理することを特徴とする請求項5記載の表示装置用フェースプレートの製造方法。
【請求項8】
前記フッ化炭素基を含む化合物として、CF、C、C、及びCHFのうち1又は複数を用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の表示装置用フェースプレートの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項記載の表示装置用フェースプレートを用いた表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の表示装置を用いた物品。
【請求項11】
前記物品が、携帯電話、電子計算機又は電子計算機用表示装置、携帯情報端末、GPS端末、テレビジョン受像器、キャッシュディスペンサー装置及び現金自動預け払い機のいずれかであることを特徴とする請求項10記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−175657(P2010−175657A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16039(P2009−16039)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】