表示装置用基板
【課題】 高い生産性を確保しつつ、光抜け、混色、表示ムラ等の不良を抑制して良好な表示特性を実現することができ、遮光層(ブラックマトリクス)の形状の高精細化にも対応することができる表示装置用基板、それを備えた液晶表示パネル、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネセンス表示装置、並びに、表示装置用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、上記表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する表示装置用基板である。
【解決手段】 樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、上記表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する表示装置用基板である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用基板、液晶表示パネル、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス表示装置、及び、表示装置用基板の製造方法に関する。より詳しくは、高精細な画像表示が可能な大型の画面を備える表示装置に好適に搭載される表示装置用基板、それを備えた液晶表示パネル、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネセンス表示装置、並びに、表示装置用基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、様々な分野で利用されている。特に、液晶テレビ(TV)は、デジタル放送時代に相応しい表示デバイスとして、本格的な普及期を迎えており、その市場は急速に拡大している。この液晶TVには、カラー表示を実現するべく、通常、カラーフィルタ(CF)基板が搭載されている。一般に、CF基板は、背面側から入射した白色光のうち、所定の波長範囲の可視光のみを選択的に透過させる機能を有する膜(以下、「着色層」ともいう。)が基板上に配列され、その上に保護膜や電極等が積層配置された構造を有するものである。
【0003】
近年、液晶TVの大型化・高精細化が進むにつれ、CF基板の製造コストを下げる方策として、インクジェット(IJ)法を利用した着色層の形成技術が注目されつつある。このIJ法によれば、特性の異なる薄膜をそれぞれ所定のパターンに形成することが可能であり、生産性や材料の利用効率等の点で優れた方法である。しかしながら、高精細な着色層をIJ法により形成する場合には、インク塗布時にインク間の混色等のリーク不良が発生するおそれがあるというプロセス面での弱点も抱えている。一方で、液晶TVに搭載されるCF基板には、液晶TVにおいて高い表示特性を実現するために、高色純度や広い色再現範囲(NTSC規格比:72%以上)等が要求されている。
【0004】
これに対し、IJ法による着色層の形成技術に関し、例えば、プラズマ処理等の撥液化処理が施されたバンクで囲まれる領域に、薄膜材料液を充填して薄膜層(着色層)を形成する表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、撥水性を付与されたバンク(撥水バンク)により、インク塗布時における混色等のリーク不良を抑制することができる。しかしながら、撥水バンク内に充填された薄膜材料液(インク)は、撥水バンクの表面全体で弾かれてしまうため、バンクの近傍で着色層の膜厚が薄くなって色抜けが発生してしまい、更にひどいときには、端部(エッジ部)にインクが充填されずに光抜けが発生してしまう点で改善の余地があった。また、液晶TVの大型化に合わせて、画素ピッチを拡張した場合には、着色層の膜厚が全体的に薄くなるため、上述した光抜け等による表示品位の低下が益々ひどくなってしまう。
【0005】
また、遮光性のバンクとして2層構成のブラックマトリクス(BM)を設けた構成や、BM上にバンクを形成した構成のCF基板も開示されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。これらによれば、バンクにより囲まれる領域にIJ法等により着色層を形成する際に、混色等のリーク不良の抑制に加え、着色層形成用のインクを下層のBMに乗り上げさせることで、バンクの近傍からの光抜けについても抑制することができる。しかしながら、着色層の形状が下層のBMの形状や材質の影響を受けやすく、着色層の形状の安定化に有利なBM材料の選択範囲も限られるため、着色層の形状バラツキによる色ムラの発生を回避することが困難であった。また、着色層の形状バラツキにより、着色層上の電極と対向電極とのリーク(短絡)不良も懸念される。更に、BMを着色層よりも先に形成するため、BM現像時の残渣に起因する色ムラや光抜けが発生するおそれもあった。
【0006】
ところで、近年、液晶TV等で行われる動画表示に好適な液晶駆動モード(表示方式)として、横電界(面内スイッチング;IPS)方式や、その発展形である、いわゆるSuper−IPS方式が注目されている。これらのIPS方式は、従来のツイステッド・ネマチック(TN)方式等の縦電界方式よりも優れた広視野角特性を生み出すことが可能である。しかしながら、IPS方式では、通常、TFTアレイ基板上の電極が櫛歯形状をとるため、これに対向するCF基板の絵素は、IPSスリットを有した複雑な形状をとることになる。
これに対し、特許文献1〜4で提案されるような製造方法を適用してIPS方式のCF基板を製造した場合には、着色層の形状を規定するバンクが着色層よりも先に形成され、IPSスリットを含んで形成されるバンクにより着色層が複雑な形状に仕切られることから、着色層の形状を充分に制御して混色等のリーク不良を抑制することが極めて困難となる。また、インクの塗布領域も複雑になるため、IJ装置による描画データが煩雑になり、生産性が低下するおそれもあった。
【0007】
これに対し、IJ法により透明基板上に着色層を形成した後、BMを画素の境界部に形成するカラーフィルタ(CF基板)の製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。また、受像層に対してIJ法により着色インクを付与して形成したパターン状着色層を透明基板上に有し、更にパターン状着色層の間やその外周上にパターン状遮光層を積層した構成を有するカラーフィルタ(CF基板)が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、これらによれば、異なる色の着色層同士を隔離するバンクがないため、着色層を複雑なパターンにすることはできず、混色等のリーク不良も発生しやすいという点で改善の余地があった。
すなわち、IJ法を利用した大型・高精細のIPS方式のCF基板の製造方法について、技術的な解が見つかっていないのが現状であった。
【特許文献1】特許第3328297号明細書(第1、2頁)
【特許文献2】特許第2952171号明細書(第1、9頁、第1図)
【特許文献3】特開平7−35916号公報(第2頁)
【特許文献4】特許第3147863号明細書(第1、5頁、第3(a)図)
【特許文献5】特開平10−123310号公報(第2、4頁、第1〜3図)
【特許文献6】特開2004−177868号公報(第2、8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高い生産性を確保しつつ、光抜け、混色、表示ムラ等の不良を抑制して良好な表示特性を実現することができ、遮光層(ブラックマトリクス)の形状の高精細化にも対応することができる表示装置用基板、それを備えた液晶表示パネル、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネセンス表示装置、並びに、表示装置用基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板の構成について検討したところ、バンクと樹脂膜との境界領域における光抜けにまず着目した。すなわち、樹脂膜を形成するに際し、インクジェット装置を用いてバンク間に液状の樹脂膜材料(インク)を塗布する方法を用いる場合等では、通常、混色等のリーク不良を防止するべく、バンクの表面に撥水性が付与されるため、塗布されたインクは基板上に拡がる際にバンクの表面で弾かれ、バンクの近傍で光抜けや色抜けが発生することに着目した。これに対し、本発明者らは、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンクを覆うように設けられることにより、主にバンク近傍に形成される樹脂膜の未充填部位の遮光が可能となり、光抜けや色抜けを抑制して、良好な表示特性を実現することができることを見いだした。また、画素ピッチの異なる場合であっても、遮光層やバンクの幅を変更することにより、インク材料の変更等を必要最小限に抑えることができ、高い生産性を実現することができることを見いだした。更に、少なくともバンク上に遮光層を設けることにより、バンクには遮光性が要求されなくなって、バンクの材料やパターンの自由度が向上するため、インクの形状(樹脂膜の形状)の安定化やリーク不良の抑制により有利なバンク材料やパターンを選択することが可能となり、表示品位をより向上させることができることを見出した。加えて、これらの遮光層を形成するに際し、樹脂膜上の適切な位置にIPSスリットを形成することにより、生産性を損なうことなく、IPS方式に対応したカラーフィルタ基板の製造も可能となることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、上記表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する表示装置用基板である。本発明においては、このような構造が、少なくとも一部の画素領域に形成されていればよく、全部の画素領域に形成されていてもよい。上記バンク(土手)としては、樹脂膜を仕切る構造物(仕切り部材)のことであり、IJ法、ディスペンサ法等の塗布法を用いて樹脂膜を形成するに際し、樹脂膜間の混合(混色)等のリーク不良を防止するものである。また、上記樹脂膜としてはバンク間に形成される樹脂材料からなる膜であれば特に限定されず、例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルタ基板の着色層や、有機エレクトロルミネセンス(EL)装置における発光層等の有機層等が挙げられる。なお、上記樹脂膜がバンクにより仕切られた構造としては、例えば、バンクが格子状に形成され、バンク間の四角形の点状開口部毎に樹脂膜が配置された構造、バンクがストライプ状(縞状)に形成され、バンク間のストライプ状開口部毎に樹脂膜が配置された構造等が挙げられる。
【0011】
本発明の表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する。遮光層としては、遮光性を有するものであれば特に限定されず、例えば、黒色顔料を含有するアクリル樹脂からなる層等が好適である。また、遮光層は、バンクを覆うように配置されていれば、バンクや樹脂膜に接していてもよいし、接していなくてもよい。
以下に、このような構造を有することで得られる本発明の作用効果について説明する。
上記樹脂膜の表面形状は、当該膜が形成される領域の濡れ性(表面特性)パターンに依存するが、IJ法等により樹脂膜を形成する場合には、液状の樹脂膜材料(インク)の均一な濡れ広がりの実現及び混色等のリーク不良を防止するべく、通常、基板表面に親液性、バンク表面に撥液性が付与される。その結果、インクはバンクに囲まれた領域全体に広がろうとするものの、バンクの表面では弾かれるため、樹脂膜は、縁部やバンクの近傍では膜厚不足や未充填になる傾向にある。そこで、膜厚不足又は未充填になりやすいバンクの周辺部上に遮光層を形成することにより、当該部位からの光抜けや色抜けを効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、表示装置の大型化に伴う画素ピッチの拡張により、光抜けや色抜けが懸念される部位が広がった場合においても、表示品位の低下を抑制することができる。なお、バンクの周辺部上の遮光層は、樹脂膜の形成後に形成されることから、樹脂膜を形成した後に遮光層を設ける部位が決定することができる。
【0012】
また、本発明の表示装置用基板は、バンク上に遮光層を有するものであることから、バンクには遮光性が要求されなくなり、バンクの材料やパターンの自由度が向上するため、インクの形状(樹脂膜の形状)の安定化や、リーク不良の抑制に有利なバンク材料やパターンを選択することができる。その結果、色ムラや混色等を効果的に防止することができるとともに、厚膜化による高色純度化等といった表示品位の向上を図ることも可能となる。
なお、バンク上の遮光層の形成は、少なくともバンクの形成後に行う限り、バンクの周辺部上とは別に樹脂膜の形成前に行うことも可能であるが、遮光層材料の現像時の残渣による樹脂膜の色ムラや光抜け等を抑制するべく、樹脂膜の形成後に行うことが好ましい。
【0013】
なお、遮光層は、上述した部位のみならず、配線や薄膜トランジスタと対向する部位等の光抜けが危惧される部位に設けられることが好ましい。更に、樹脂膜上の適切な位置に遮光層を設けることでIPSスリットを形成することができ、生産性を損なうことなく、IPS方式のカラーフィルタ(CF)基板を製造することも可能である。
【0014】
上記バンクは、撥水性樹脂により形成されたものであることが好ましい。これにより、IJ法等の塗布法により樹脂膜を形成する際に、各樹脂膜を塗り分けすることが容易となり、混色等のリーク不良を抑制することができる。また、バンクの形成に際し、当該バンクに撥液性を付与する工程を省略することができ、製造コストを削減することができる。なお、本発明においては、遮光層が少なくともバンクを覆うように形成された構成を有することから、従来のようにバンクが撥水性を有していても、バンク近傍等における光抜けや色抜けを充分に防止することが可能である。
【0015】
上記樹脂膜は、インク固化物からなることが好ましい。樹脂膜をIJ法により形成することで、生産性や材料の利用効率等の点で有利な効果を得ることができ、表示装置の大型化・高精細化に生産性を損なうことなく対応することができる。また、IJ法により樹脂膜を形成する場合には、混色等のリーク不良を防止するためにバンクに撥水性を付与することが好ましいが、これにより、インクがバンクの表面で弾かれるため、インク固化物は、中央部では充分な膜厚を有するものの、バンクの近傍では膜厚不足や未充填になる傾向にある。従って、この形態においては、バンクの近傍上に遮光層が設けられることにより、本発明の作用効果をより効果的に発揮することができる。
【0016】
上記遮光層は、樹脂膜の隅部を直線又は曲線で面取りしていることが好ましい。これにより、樹脂膜の隅部で発生しやすい光抜け等が効果的に抑制され、表示品位を向上させることができる。例えば、樹脂膜がバンクにより四角形に仕切られたものであれば、四角形の頂点部分の面取りを行うことになる。なお、樹脂膜の面取り後の輪郭形状は、樹脂膜の等高線パターンの形状と相似していることがより好ましい。
【0017】
上記表示装置用基板の好ましい形態としては、遮光層よりも下層側に電極を有する形態、遮光層よりも上層側に電極を有する形態等が挙げられる。なお、電極を構成要素として含む表示装置用基板は、ツイスト・ネマチック(TN)方式等のいわゆる縦電界方式の液晶表示パネルに好適に用いられるものである。遮光層よりも下層側に電極を有する形態によれば、本発明の表示装置用基板を液晶表示パネルに搭載した場合において、液晶層の両側に位置する駆動用電極間での上下リークを効果的に抑制することができる。また、この形態においては、遮光層は、ポジ型の感光性樹脂からなることが好ましい。これにより、液晶層への遮光層のイオン成分の溶出を抑制し、液晶の焼き付きを抑制することができる。更に、遮光層よりも上層側に電極を有する形態によれば、本発明の表示装置用基板を液晶表示パネルに搭載した場合において、遮光層よりも上層側に電極を有する形態においては、液晶の焼き付きを防止することができる。
なお、上記遮光層は、電極に接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0018】
本発明において、上記バンクは、紫外線透過性樹脂からなり、上記樹脂膜は、紫外線非透過性樹脂からなり、かつ、上記遮光層は、紫外線硬化性樹脂からなることが好ましい。遮光層の形成方法としては、フォトマスクを用いて露光した後、現像を行うフォトリソグラフィ法が一般的に利用されるが、上述の材料の組み合わせにより本発明が構成される場合には、樹脂膜をマスクとして代替利用して露光(裏面露光)を行うことにより、遮光層をセルフアライン(自己整合)により形成することができる。従って、フォトマスクの位置ずれ等に伴う遮光層の位置ずれを防止することができるとともに、通常の露光工程で用いられる高価な露光装置が必要なくなるため、表示装置用基板の製造関連の設備投資額を大幅に削減することができる。
【0019】
上記遮光層の好ましい形態としては、バンクにより仕切られた各領域を複数に分割している形態が挙げられる。このような形態を有する表示装置用基板は、IPS方式等の横電界方式の液晶表示パネルに好適に用いられるものであり、樹脂膜の形成後に遮光層を形成する際、樹脂膜上の適切な位置に遮光層によりIPSスリットを形成することで、樹脂膜により形成される絵素領域の分割を行うことができる。これにより、樹脂膜を形成するに際し、IPSスリットに対応する遮光性のバンクを形成する必要がなく、樹脂膜の形状が縦電界方式の場合以上に複雑化することを防止することができるため、IPSスリット部分の遮光性のバンクに機能膜が乗り上げることに起因するセルばらつきを防止することができる。また、IJ装置の描画データの煩雑化といった不具合も回避することができるため、生産性を維持しながらIPS方式のCF基板を製造することができる。
なお、上述の形態において、遮光層により分割された樹脂膜の開口領域は、「く」の字形等のジグザグ形状により構成されることがより好ましい。これにより、いわゆるSuper−IPS方式に適用することができる。
【0020】
上記樹脂膜の好ましい形態としては、ストライプ状(縞状)に配置されている形態が挙げられる。なお、上記ストライプ状とは、細長形状の樹脂膜が同一方向に多数並設された配列を意味し、例えば、絵素の長辺よりも長い長辺を有する矩形状の樹脂膜が行方向又は列方向に配列された形態等が挙げられる。このような形態によれば、バンクにより仕切られる個々の樹脂膜の面積を大きくすることができるので、特に樹脂膜がIJ法により形成されるような場合に、混色等のリーク不良、樹脂膜形状の不安定化、描画ムラ等を低減することができる。また、樹脂膜がストライプ状に配置された場合には、通常、樹脂膜の膜厚は短辺側の縁部において膜厚過剰になり、長辺側の縁部(特に中央)において膜厚不足や未充填になりやすい傾向にあるが、本発明においては、それらの領域を遮光層により遮光することができるため、表示品位を効果的に向上させることができる。
【0021】
本発明の表示装置用基板の構成としては、上述したようなバンク、樹脂膜及び遮光層を必須部材として基板上に備えるとともに、表示装置用基板が通常有する構成要素を備えたものであればよく、その他の構成において特に限定されるものではない。上記表示装置用基板としては、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板、有機エレクトロルミネセンス表示装置に用いられる有機エレクトロルミネセンスパネル等が挙げられる。中でも、カラーフィルタ基板であることが好ましく、この場合には、液晶表示パネルの大型化・高精細化に対し、生産性及び表示品位に優れたCF基板を提供することができる。カラーフィルタ基板の場合、通常では、基板上にそれぞれ赤色、緑色及び青色の3色の透明着色層(樹脂膜)と、各着色層同士を隔てるバンクとが設けられ、その上層に遮光層、保護膜、共通電極、配向膜等が積層配置された基板構成を有する。
【0022】
本発明はまた、上記表示装置用基板を備えてなる液晶表示パネル及びそれを備えてなる液晶表示装置でもある。このような液晶表示パネル及び液晶表示装置は、本発明の作用効果を奏することができることから、液晶テレビジョン等に好適に用いることができる。本発明の液晶表示パネルの駆動方式としては、面内スイッチング方式が好適である。この場合、本発明の作用効果をより効果的に奏することができる。
【0023】
本発明は更に、上記表示装置用基板を備えてなる有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置でもある。このような有機EL表示装置は、本発明の作用効果を奏することができることから、高生産性及び高表示品位を実現することができる。なお、有機EL表示装置の場合には、通常では、樹脂膜として、電界の印加により発光する機能を有する発光層や、正孔注入輸送層等が用いられる。また、発光層及び正孔注入輸送層の材質としては、IJ法等のウェットプロセスを用いるべく、高分子系の有機材料が好適である。
【0024】
本発明はそして、上記表示装置用基板を製造する方法であって、上記表示装置用基板の製造方法は、基板上にバンクをパターン形成する工程と、インクジェット装置を用いて樹脂膜材料をバンク間に吐出する工程と、樹脂膜材料を硬化させる工程と、遮光層をフォトリソグラフィ法によりパターン形成する工程とを含む表示装置用基板の製造方法でもある。これにより、本発明の表示装置用基板を簡便に製造することができ、コストの削減を図ることができる。また、インクジェット装置によれば、微量のインクの液滴量を高精度で制御することができるため、膜厚ばらつき等が低減された高品位の樹脂膜を基板全面に渡って形成することができる。なお、樹脂膜材料を硬化させる方法としては特に限定されず、光照射、加熱等の方法を用いることができる。
【0025】
上記遮光層をパターン形成する工程は、樹脂膜をフォトマスクとして代用し、紫外線硬化性樹脂からなる遮光層材料を基板側から露光する処理を含むことが好ましい。これによれば、遮光層をセルフアライン(自己整合)にて形成することができるため、遮光層の位置ずれの発生を抑制することができる。また、表示装置用基板の製造コストを削減することも可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の表示装置用基板によれば、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有することから、光抜け等の表示不良が生じやすいバンク近傍が遮光されており、良好な表示特性を実現することができる。また、バンク及び遮光層の本来の機能のみに着目して材質を選択することができることから、材料の自由度が増し、混色やムラ等の表示不良を抑制することができ、更には遮光領域の高精細化や、各種形態の樹脂層形成に際しても、高い生産性を確保しつつ対応することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図1は、実施例1のカラーフィルタ(CF)基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図2及び3はそれぞれ、図1に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
(1)撥水樹脂バンク14の形成(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った。続いて、ポジ型の感光性−撥水性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す。)を100℃前後に昇温しながらガラス基板10上にラミネートし、樹脂(膜厚:略2800nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線(UV光)を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水樹脂バンク14を形成した。なお、撥水樹脂バンク14の幅は、5〜12μmとした。
なお、撥水樹脂バンク14は、遮光性を有する必要がなく、材質選択の自由度が高いことから、(1)遮光性樹脂材料(ネガ型)を用いた場合の熱重合残渣を少なくすること、(2)高いバンクを形成すること、(3)パターン解像度を高くすること等が可能である。
【0029】
(2)着色層13の形成(図1〜3の(b))
次に、インクジェット(IJ)法を用いて着色層形成用インク(赤・緑・青)の塗り分けを行った後、減圧乾燥、80℃で15分間の仮焼成ベーク、240℃で1時間の本焼成ベークを順に行うことにより、着色層13(13a〜13c)を形成した。なお、着色層13の色の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、シアン・イエロー・マゼンタからなる組み合わせであってもよいし、それ以外の3色からなる組み合わせであってもよいし、4色以上からなる組み合わせであってもよい。また、着色層13のパターン配列としては特に限定されず、例えば、ドット配列、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
なお、着色層13の形成に際し、撥水樹脂バンク14を利用することで、(1)バンクを高くして、リークに対するマージンを大きくすること、(2)バンクによりTFT遮光部を形成する必要がないので、着色層13形状を安定化させること等が可能となる。
【0030】
(3)遮光性樹脂膜(ブラックマトリクス、BM)11の形成(図1〜3の(c))
次に、撥水樹脂バンク14上及び着色層13上にシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った後、UV硬化性及び熱硬化性の両特性を有し、かつ遮光性を有する樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら撥水樹脂バンク14上及び着色層13上にラミネートし、樹脂(膜厚:略1600nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、BM11のパターンを形成した。このとき、BM11は、図2(c)に示すように、撥水樹脂バンク14を被覆し、かつ各着色層13の縁部とオーバーラップ(オーバーラップ幅:片側7.5μm)するように形成した。また、図1(c)に示すように、各着色層13の隅部(各着色層13の右上、右下、左下の隅部)の上や、薄膜トランジスタ(TFT)と対向する領域(各着色層13の左上の隅部)にも形成した。
【0031】
(d)ITO透明導電膜15、配向制御用突起16及びPS17の形成(図1〜3の(d))
次に、スパッタ法により、ITO透明導電膜15(膜厚:略150nm)を成膜した。続いて、ITO透明導電膜15上にシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った後、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながらITO透明導電膜15上にラミネートし、樹脂(膜厚:略1400nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、配向制御用突起16及びフォトスペーサ(PS)17を形成した。
【0032】
本実施例によれば、撥水樹脂バンク14間に着色層形成用インクを塗布した際に、撥水樹脂バンク14の近傍でインクの弾きが起こるものの、図2(c)に示すように、当該近傍の着色層13にBM11をオーバーラップさせることで、光抜けを抑制することができた。また、着色層13を形成した後にBM11を形成したため、BM11現像時の熱重合残渣による着色層13の光抜けや色抜けを回避することができた。更に、撥水樹脂バンク14上全体を覆うようにBM11を形成するため、撥水樹脂バンク14の材料を選択するに際し、遮光性を考慮しなくてもよかった。すなわち、インクの形状ばらつき、混色等のリーク不良及び色ムラ等の発生を抑制するのに有利な撥水樹脂バンク14の材料やパターンを選定することにより、高品質のCF基板を作製することができた。更に、このようなCF基板を通常のフォトマスク枚数で、作製することができた。
また、本実施例によれば、撥水樹脂バンク14の近傍の着色層13にBM11をオーバーラップさせるため、画素ピッチの幅が広く、光抜けが起こりやすい機種のCF基板についても、撥水樹脂バンク14やBM11の幅を変更することにより、インク材料等を変更することなく、すなわち生産性を損なうことなく作製することができた。
【0033】
2.液晶表示パネル
図4(a)は、実施例1で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図4(b)に示すCF基板100は、図4(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、高品質なCF基板を有するため、高表示品位を実現することができた。
【0034】
3.実施例1の変形例−撥水樹脂バンク14の他の形成方法
撥水樹脂バンク14の形成方法としては上述したものに限定されず、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法等を用いてもよい。
(i)撥水樹脂バンク14の形成例1(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のポジ型感光性−撥水性樹脂材料(着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す。)をスピンコート法、ダイコート法、又はノズルコート法等の手法を用いて、略2800nmの膜厚で成膜した後、120℃で略5分間のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。最後に、200℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水樹脂バンク14を形成する。
【0035】
(ii)撥水樹脂バンク14の形成例2(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃のベークを行う。続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して撥水性を示す必要はない。)を100℃前後に昇温しながら、ガラス基板10上にラミネートし、樹脂(膜厚:略2800nm)を転写する。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、樹脂バンクを形成する。最後に、下記(1)に示す条件で、フッ素プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す撥水樹脂バンク14を形成する。
【0036】
(iii)撥水樹脂バンク14の形成例3(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のポジ型感光性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して撥水性を示す必要はない。)をスピンコート法、ダイコート法、ノズルコート法等の手法を用いて略2800nmの膜厚で成膜した後、120℃で略5分間のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略100mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。続いて、略220℃で略1時間のベークを行うことにより、樹脂バンクを形成する。最後に、下記(1)に示す条件で、フッ素プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す撥水樹脂バンク14を形成する。
【0037】
(1)フッ素プラズマ処理
上記(ii)及び(iii)で行うフッ素プラズマ処理の方法としては、例えば、図41(a)に示すような真空排気系のドライエッチング装置を用いる方法(導入ガス流量:CF4/He=150〜300/0〜500sccm、ガス圧力:50〜150mTorr、処理電力:200〜300W、処理時間:20〜90sec、処理温度:40℃)や、図41(b)に示すようなダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:CF4/N2=5.0〜15slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、基板搬送速度:0.5〜3.0m/min、処理温度:25〜35℃)等が挙げられる。なお、使用するガスとしては、SF6、CHF3、C2F6等のCF4以外のフッ素系のガスを用いてもよく、それらのガスにHeやN2等の不活性ガスを混合したものを用いてもよい。
【0038】
(2)アッシング処理
上記(1)の処理でより強い撥液性を付与するべく、(1)の処理を行う前に、樹脂バンクの表面に対し、導入ガスにO2を含むガスを用いてアッシング処理を行ってもよい。アッシング処理の方法としては、例えば、図41(a)に示すような真空排気系のドライエッチング装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/He=50〜300/0〜500sccm、ガス圧力:50〜500mTorr、処理電力:300〜500W、処理時間:10〜30sec、処理温度:40℃)や、図41(b)に示すようなダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/N2=1.0〜3.0slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、搬送速度:0.5〜3.0m/min)、図41(c)に示すようなリモートタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/N2=1.0〜3.0slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、搬送速度:0.5〜3.0m/min)等が挙げられる。
【0039】
4.実施例1の好適な形態等
撥水樹脂バンク14の膜厚について、本実施例のように、撥水樹脂材料を利用して、セル厚(T)を制御する場合には、撥水樹脂バンク14の膜厚(T1)、BM11の膜厚(T2)、PS17の膜厚(T3)、ITO透明導電膜15の膜厚(T4)及び着色層13が形成された開口部の平均膜厚(T5)について、下記式を満足するように、それぞれの膜厚を選定すればよい。
設定セル厚(T)≒(T1+T2+T3+T4)−T5
なお、本実施例においては、撥水樹脂バンク14の膜厚(T1)を2.8μm、BM11の膜厚(T2)を1.6μm、PS17の膜厚(T3)を1.4μm、ITO透明導電膜15の膜厚(T4)を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
液晶の配向性を考慮すると、BM11の膜厚(T2)は、略1.0μm以上、1.6μm以下であることが好ましい。また、撥水性を有しない樹脂材料を用いて、撥水樹脂バンク14を形成する場合には、着色層形成用インクの塗り分け時における混色等のリーク不良の発生、図4(b)に示すような液晶表示パネルにおいて懸念されるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300とのリーク(漏電)、及び、液晶の配向不良等を防止するために、樹脂バンクの膜厚(T1’≒T1)は1600Å以上、3500Å以下であることが好ましい。
なお、撥水樹脂バンク14及び樹脂バンクの材料としては、有色、無色のいずれであってもよく、遮光性を有していてもよい。また、BM11、配向制御用突起16及びPS17も、撥水樹脂バンク14等と同様、液状の感光性樹脂を用いて形成してもよい。その他、撥水樹脂バンク14及び樹脂バンクは、レーザ転写法で形成してもよい。
【0040】
〔実施例2〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図5は、実施例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図6及び7はそれぞれ、図5に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例1の製造プロセスフローと同様である。従って、本実施例で作製したCF基板によっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。
【0041】
2.液晶表示パネル
図8(a)は、実施例2で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図8(b)に示すCF基板100は、図8(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例1で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図4(b)に示すように、PS17の形成領域におけるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300との間隔がPS17の高さ分しかなかったのに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図8(b)に示すように、PS17の高さ分にBM11の膜厚分を合わせた距離になっている。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークをより効果的に回避することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0042】
〔実施例3〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図9は、実施例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図10及び11はそれぞれ、図9に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。なお、図10(c)の白抜き矢印は、ガラス基板10側から露光してBM11を形成している様子を示している。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11の樹脂材料の露光工程において裏面露光法を用いたこと、このような裏面露光法を用いるために、撥水樹脂バンク14の材料として波長365nmのUV光を透過する樹脂材料を用いたこと以外は、実施例1と同様である。
【0043】
従って、本実施例の製造プロセスフローにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。更に、着色層13をフォトマスクとして代替利用した裏面露光法により、BM11を形成するため、ステッパ、プロキシミティ露光装置のような高価な装置を使用する必要がなく、また、露光機の台数を低減することができたため、製造コストを大幅に削減することができた。また、BM11と撥水樹脂バンク14とのオーバーラップ幅及び位置関係は自己整合にて制御することができたため、露光時のフォトマスクの位置ずれ等に伴うBM11の位置ズレを回避することができた。
【0044】
2.液晶表示パネル
図12(a)は、実施例3で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図12(b)に示すCF基板100は、図12(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図12(a)及び(b)に示すように、実施例1の液晶表示パネルとほぼ同様の構成を有する。
【0045】
〔実施例4〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図13は、実施例4のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図14及び15はそれぞれ、図13に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例4の製造プロセスフローと同様である。従って、本実施例によれば、実施例3と同様の作用効果が得ることができた。
【0046】
2.液晶表示パネル
図16(a)は、実施例4で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図16(b)に示すCF基板100は、図16(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図16(a)及び(b)に示すように、実施例2の液晶表示パネルと同様の構成を有する。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークを回避することができた。
【0047】
〔実施例5〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図17は、実施例5のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図18及び19はそれぞれ、図17に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、図17(a)に示すように、撥水樹脂バンク14を単純なストライプ状に形成したこと以外は、実施例1の製造プロセスフローと同様である。従って、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。
本実施例で作製したCF基板は、撥水樹脂バンク14が単純なストライプ状に形成されていることから、IJ装置の描画ムラ防止や着色層13の形状安定性において極めて有利な構成であり、実施例1で作製したCF基板に比べ、着色層13における色ムラや混色等の発生を抑えることができた。また、着色層形成用インクの塗り分けを行った際、当該インクが渇く速度が領域によって異なり、その結果、特に着色層13の額縁領域で膜厚の偏りが見られたが、図17(c)に示すように、BM11の形成時にそのような額縁領域をBM11で隠すことができた。
【0048】
2.液晶表示パネル
図20(a)は、実施例5で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図20(b)に示すCF基板100は、図20(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例1〜4で作製した液晶表示パネルは、図4(b)、8(b)、12(b)及び16(b)に示すように、ガラス基板10と対向TFTアレイ基板300との間隔が、撥水樹脂バンク14とBM11とITO透明導電膜15とPS17とによって規定されている。これに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図20(b)に示すように、ガラス基板10と対向TFTアレイ基板300の間隔が、第2色層(着色層)13bとBM11とITO透明導電膜15とPS17とによって規定されている。すなわち、実施例1等で作製した液晶表示パネルのPS17形成部における撥水樹脂バンク14が、第2色層13bに入れ替わっている。第2色層13bは、撥水樹脂バンク14よりも膜厚が安定であることから、実施例1等で作製した液晶表示パネルに比べ、PS17の高さばらつき及びその形成位置の面内ばらつきを減少させることができた。
なお、本実施例においては、BM11の膜厚を2.15μm、PS17の膜厚を1.4μm、ITO透明導電膜15の膜厚を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
【0049】
〔実施例6〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図21は、実施例6のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図22及び23はそれぞれ、図21に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例5と同様である。従って、実施例5と同様の作用効果を得ることができた。
【0050】
2.液晶表示パネル
図24(a)は、実施例6で作製したCF基板のPS周辺領域の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図24(b)に示すCF基板100は、図24(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例5で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図20(b)に示すように、PS17形成部におけるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300との間隔がPS17の高さしかなかったのに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図24(b)に示すように、PS17の高さにBM11の膜厚を合わせた距離になっている。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークをより効果的に回避することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0051】
〔実施例7〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図25は、実施例7のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図26及び27はそれぞれ、図25に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、図25(c)及び26(c)に示すように、配向制御用突起16をBM11の形成時に同時に形成したこと、PS17の代わりに平均粒子径3.7μmの球状のスペーサ(ガラスビーズ)17’をIJ方式により所定の位置に配置したこと以外は、実施例6と同様である。
従って、本実施例によれば、実施例6と同様の作用効果を得ることができた。更に、BM11の形成時に同時に配向制御用突起16を形成することにより、露光工程が一工程減ったため、生産性を向上させることができた。
【0052】
2.液晶表示パネル
図28(a)は、実施例7で作製したCF基板のPS周辺領域の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図28(b)に示すCF基板100は、図28(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図28(b)に示すように、ガラスビーズ17’によりセル厚を保持することから、実施例6の液晶表示パネルに比べ、基板全面に渡って、セル厚を安定に保持することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0053】
〔比較例1〕
図29は、比較例1のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図30及び31はそれぞれ、図29に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
1.カラーフィルタ基板の製造
(1)撥水BMバンク54の形成(図29〜31の(a))
まず、ガラス基板50上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った。続いて、液状の撥水性を発現する基(例えば、フルオロアルキルシラン等)を有するBM材料(着色層形成用のインクに対して略60°の接触角を示す。)をスピンコート法、ダイコート法又はノズルコート法等の手法を用いて、略1600nmの膜厚でガラス基板50上に成膜し、120℃で略5分のベークを行った。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を略100mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水BMバンク54を形成した。なお、撥水BMバンク54の幅は、5〜12μmとした。
【0054】
(2)着色層53の形成(図29〜31の(b))
次に、インクジェット(IJ)法を用いて着色層形成用インク(赤・緑・青)の塗り分けを行った後、減圧乾燥、80℃で15分間の仮焼成ベーク、240℃で1時間の本焼成ベークを順に行うことにより、着色層53(53a〜53c)を形成した。なお、着色層53の色の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、シアン・イエロー・マゼンタからなる組み合わせであってもよいし、それ以外の3色からなる組み合わせであってもよいし、4色以上からなる組み合わせであってもよい。
【0055】
(3)ITO透明導電膜55及び配向制御用突起56の形成(図29〜31の(c))
次に、スパッタ法により、ITO透明導電膜55(膜厚:略150nm)を成膜した。続いて、シランカップリング剤を塗布し、略200℃のベークを行った。続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら、ITO透明導電膜55上にラミネートし、樹脂(膜厚:略400nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を略70mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、配向制御用突起56を形成した。
【0056】
(4)フォトスペーサ57の形成(図29〜31の(d))
続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら、ITO透明導電膜55上にラミネートし、樹脂(膜厚:略4200nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から365nmの光を含む紫外線を略70mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、セルギャップ制御用のPS57を形成した。
【0057】
しかしながら、比較例1で作製したCF基板によれば、以下の問題点(i)及び(ii)があった。
(i)光抜けの発生、画素ピッチが広い機種への適用が困難
比較例1で作製したCF基板では、撥水BMバンク54がインクを弾き、撥水BMバンク54近傍の着色層53の膜厚が薄くなるか、又は、エッジ部にインクが充填されず、色抜けや光抜けが発生した。
図32(a)は、図29(b)に示すCF基板の画素ピッチを拡張したものの構成を示す平面模式図であり、(b)は、(a)に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
特に、画素ピッチが200μmを超えるような機種のCF基板では、図32(b)に示すように、撥水BMバンク54近傍の各着色層53の膜厚が更に薄くなるため、画素ピッチが狭い機種に比べて光抜け等が更に発生し、色純度が低下した。
【0058】
(ii)混色等のリーク不良の発生、色ムラの発生
図33(a)は、比較例1のCF基板の製造プロセスフローにおいて、着色層形成用インクの塗り分け時に混色不良を起こした様子を示す平面模式図であり、(b)は、(a)に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
比較例1の製造プロセスフローでは、撥水BMバンク54の材料として遮光性を有するBM材料を用いることが必要とされ、撥水BMバンク54の厚膜化が困難である(膜厚:略1000〜1500μm)ため、図33(a)及び(b)に示すように、混色等のリーク不良が発生した。また、着色層形成用インクが撥水BMバンク51に乗り上がり、着色層53の色ムラも発生していた。
【0059】
2.液晶表示パネル
図34(a)は、比較例1で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図34(b)に示すCF基板200は、図34(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製した液晶表示パネルは、各着色層53の形状が不安定であったため、ITO透明電導膜55と対向TFTアレイ基板400とのリーク(短絡)が発生した。
なお、本比較例においては、BM54の膜厚を1.6μm、PS57の膜厚を4.2μm、ITO透明導電膜55の膜厚を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
【0060】
3.その他
撥水BMバンク54の形成方法としては、例えば、以下の方法を用いることも考えられる(図29〜31の(a))。
まず、ガラス基板50上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のBM材料(着色層形成用のインクに対して撥水性を示す必要はない。)をスピンコート法、ダイコート法又はノズルコート法等の手法を用いて略1600nmに成膜し、120℃で略5分のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を約100mJ/cm2(検出波長:365nm)程度照射し、樹脂を現像する。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、BMバンクを形成する。続いて、実施例1中の3.(2)記載の条件で、プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用のインクに対して略60°の接触角を示す撥水BMバンク54を形成する。
しかしながら、この方法により、撥水BMバンク54を形成した場合であっても、上述の問題点(i)及び(ii)を有することとなる。
【0061】
〔比較例2〕
図35は、比較例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図であり、図36は、図35に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
まず、図35(a)及び36(a)に示すように、ガラス基板50上に、IJ法にて赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層形成用インクを塗布した後、焼成を行うことによって、着色層53をライン形状に形成した。続いて、図35(b)及び36(b)に示すように、各着色層53の縁部上にBM61を形成した。続いて行ったITO透明導電膜55の形成及び配向制御用突起56等の形成方法については、比較例1の(3)及び(4)の方法と同様である。
【0062】
しかしながら、比較例2のCF基板の製造プロセスフローによれば、以下の問題点(i)及び(ii)があった。すなわち、(i)各色を隔離するバンクがないため、着色層形成用インクの塗布時に混色等のリーク不良が発生した。また、(ii)着色層53の形状がばらつき、色ムラが発生した。
【0063】
〔比較例3〕
図37は、比較例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図であり、図38は、図37に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
まず、図37(a)及び38(a)に示すように、ガラス基板50上にBM51を形成した。続いて、図37(b)及び38(b)に示すように、BM51上に撥水樹脂バンク64を形成した後、図37(c)及び38(c)に示すように、IJ法により、撥水樹脂バンク64間に着色層53を形成した。続いて行ったITO透明導電膜55の形成及び配向制御用突起56等の形成方法については、比較例1の(3)及び(4)の方法と同様である。
【0064】
しかしながら、比較例3のCF基板の製造方法によると、以下の問題点(i)及び(ii)があった。
(i)光抜けの発生
図39は、比較例3のCF基板において、光抜けが発生している様子を示す平面模式図である。
比較例3で作製したCF基板は、バンクとして、BM51の上に撥水樹脂バンク64を重ねた構成であるため、図39に示すように、特にBM51の近傍で、BM51現像時の残渣によるインクの弾きが起こり、光抜けが発生した。
【0065】
(ii)混色等のリーク不良の発生、色ムラの発生、及び、セル厚不良の発生
図40は、図37(c)に示す比較例3のCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
比較例3で作製したCF基板では、着色層53の形状が下地のBM51の形状に影響を受けるため、図40に示すように、着色層53の形状がばらつき、混色等のリーク不良、液晶のセル厚不良の原因となった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1のカラーフィルタ(CF)基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図2】図1に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図3】図1に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図4】(a)は、実施例1のCF基板のフォトスペーサ(PS)周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例1のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図5】実施例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図6】図5示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図7】図5に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図8】(a)は、実施例2のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例2のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図9】実施例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図10】図9に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図11】図9に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図12】(a)は、実施例3のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例3のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図13】実施例4のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図14】図13に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図15】図13に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図16】(a)は、実施例4のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例4のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図17】実施例5のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図18】図17に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図19】図17に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図20】(a)は、実施例5のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例5のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図21】実施例6のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図22】図21に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図23】図21に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図24】(a)は、実施例6のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例6のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図25】実施例7のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図26】図25に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図27】図25に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図28】(a)は、実施例7のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例7のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図29】比較例1のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図30】図29に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図31】図29に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図32】比較例1のCF基板の製造プロセスフローによる画素ピッチを拡張した構成を示す模式図である。
【図33】比較例1のCF基板の製造プロセスフローによる混色不良の発生しやすさを示す模式図である。
【図34】(a)は、比較例1のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、比較例1のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図35】比較例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図36】図35に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図37】比較例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図38】図37に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図39】比較例3のCF基板の製造プロセスによる光抜けの発生しやすさを示す模式図である。
【図40】図37(c)に示す比較例3のCF基板の線分C−Dにおける切断面であり、比較例3のCF基板の製造プロセスによる色ムラの発生しやすさを示す断面模式図である。
【図41】(a)は、真空排気系のドライエッチング装置の構成を示す断面模式図であり、(b)は、ダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を示す断面模式図であり、(c)は、リモートタイプの大気圧プラズマ装置を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0067】
10、50:ガラス基板
11、51(黒塗り部):遮光性樹脂膜(ブラックマトリクス、BM)
13、53:着色層
13a、53a(ドット部):第1色層(赤)
13b、53b(ドット部):第2色層(緑)
13c、53c(ドット部):第3色層(青)
14、64:撥水樹脂バンク
15、55:酸化インジウム錫(ITO)透明導電膜
16、56:配向制御用突起
17、57:フォトスペーサ(PS)
17’:球状スペーサ
20:高周波電源
21:真空チャンバ
22a:上(左)部電極
22b:下(右)部電極
23:被エッチング(プラズマ処理)部材
24:排気ポンプ
25:試料台(ステージ)
40:液晶層
54:撥水BMバンク
59(斜線部):混色層
60:未充填領域(気泡等)
100、200:カラーフィルタ基板
300、400:対向TFTアレイ基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用基板、液晶表示パネル、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス表示装置、及び、表示装置用基板の製造方法に関する。より詳しくは、高精細な画像表示が可能な大型の画面を備える表示装置に好適に搭載される表示装置用基板、それを備えた液晶表示パネル、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネセンス表示装置、並びに、表示装置用基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型・軽量・低消費電力といった特長を活かし、様々な分野で利用されている。特に、液晶テレビ(TV)は、デジタル放送時代に相応しい表示デバイスとして、本格的な普及期を迎えており、その市場は急速に拡大している。この液晶TVには、カラー表示を実現するべく、通常、カラーフィルタ(CF)基板が搭載されている。一般に、CF基板は、背面側から入射した白色光のうち、所定の波長範囲の可視光のみを選択的に透過させる機能を有する膜(以下、「着色層」ともいう。)が基板上に配列され、その上に保護膜や電極等が積層配置された構造を有するものである。
【0003】
近年、液晶TVの大型化・高精細化が進むにつれ、CF基板の製造コストを下げる方策として、インクジェット(IJ)法を利用した着色層の形成技術が注目されつつある。このIJ法によれば、特性の異なる薄膜をそれぞれ所定のパターンに形成することが可能であり、生産性や材料の利用効率等の点で優れた方法である。しかしながら、高精細な着色層をIJ法により形成する場合には、インク塗布時にインク間の混色等のリーク不良が発生するおそれがあるというプロセス面での弱点も抱えている。一方で、液晶TVに搭載されるCF基板には、液晶TVにおいて高い表示特性を実現するために、高色純度や広い色再現範囲(NTSC規格比:72%以上)等が要求されている。
【0004】
これに対し、IJ法による着色層の形成技術に関し、例えば、プラズマ処理等の撥液化処理が施されたバンクで囲まれる領域に、薄膜材料液を充填して薄膜層(着色層)を形成する表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、撥水性を付与されたバンク(撥水バンク)により、インク塗布時における混色等のリーク不良を抑制することができる。しかしながら、撥水バンク内に充填された薄膜材料液(インク)は、撥水バンクの表面全体で弾かれてしまうため、バンクの近傍で着色層の膜厚が薄くなって色抜けが発生してしまい、更にひどいときには、端部(エッジ部)にインクが充填されずに光抜けが発生してしまう点で改善の余地があった。また、液晶TVの大型化に合わせて、画素ピッチを拡張した場合には、着色層の膜厚が全体的に薄くなるため、上述した光抜け等による表示品位の低下が益々ひどくなってしまう。
【0005】
また、遮光性のバンクとして2層構成のブラックマトリクス(BM)を設けた構成や、BM上にバンクを形成した構成のCF基板も開示されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。これらによれば、バンクにより囲まれる領域にIJ法等により着色層を形成する際に、混色等のリーク不良の抑制に加え、着色層形成用のインクを下層のBMに乗り上げさせることで、バンクの近傍からの光抜けについても抑制することができる。しかしながら、着色層の形状が下層のBMの形状や材質の影響を受けやすく、着色層の形状の安定化に有利なBM材料の選択範囲も限られるため、着色層の形状バラツキによる色ムラの発生を回避することが困難であった。また、着色層の形状バラツキにより、着色層上の電極と対向電極とのリーク(短絡)不良も懸念される。更に、BMを着色層よりも先に形成するため、BM現像時の残渣に起因する色ムラや光抜けが発生するおそれもあった。
【0006】
ところで、近年、液晶TV等で行われる動画表示に好適な液晶駆動モード(表示方式)として、横電界(面内スイッチング;IPS)方式や、その発展形である、いわゆるSuper−IPS方式が注目されている。これらのIPS方式は、従来のツイステッド・ネマチック(TN)方式等の縦電界方式よりも優れた広視野角特性を生み出すことが可能である。しかしながら、IPS方式では、通常、TFTアレイ基板上の電極が櫛歯形状をとるため、これに対向するCF基板の絵素は、IPSスリットを有した複雑な形状をとることになる。
これに対し、特許文献1〜4で提案されるような製造方法を適用してIPS方式のCF基板を製造した場合には、着色層の形状を規定するバンクが着色層よりも先に形成され、IPSスリットを含んで形成されるバンクにより着色層が複雑な形状に仕切られることから、着色層の形状を充分に制御して混色等のリーク不良を抑制することが極めて困難となる。また、インクの塗布領域も複雑になるため、IJ装置による描画データが煩雑になり、生産性が低下するおそれもあった。
【0007】
これに対し、IJ法により透明基板上に着色層を形成した後、BMを画素の境界部に形成するカラーフィルタ(CF基板)の製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。また、受像層に対してIJ法により着色インクを付与して形成したパターン状着色層を透明基板上に有し、更にパターン状着色層の間やその外周上にパターン状遮光層を積層した構成を有するカラーフィルタ(CF基板)が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら、これらによれば、異なる色の着色層同士を隔離するバンクがないため、着色層を複雑なパターンにすることはできず、混色等のリーク不良も発生しやすいという点で改善の余地があった。
すなわち、IJ法を利用した大型・高精細のIPS方式のCF基板の製造方法について、技術的な解が見つかっていないのが現状であった。
【特許文献1】特許第3328297号明細書(第1、2頁)
【特許文献2】特許第2952171号明細書(第1、9頁、第1図)
【特許文献3】特開平7−35916号公報(第2頁)
【特許文献4】特許第3147863号明細書(第1、5頁、第3(a)図)
【特許文献5】特開平10−123310号公報(第2、4頁、第1〜3図)
【特許文献6】特開2004−177868号公報(第2、8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高い生産性を確保しつつ、光抜け、混色、表示ムラ等の不良を抑制して良好な表示特性を実現することができ、遮光層(ブラックマトリクス)の形状の高精細化にも対応することができる表示装置用基板、それを備えた液晶表示パネル、液晶表示装置及び有機エレクトロルミネセンス表示装置、並びに、表示装置用基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板の構成について検討したところ、バンクと樹脂膜との境界領域における光抜けにまず着目した。すなわち、樹脂膜を形成するに際し、インクジェット装置を用いてバンク間に液状の樹脂膜材料(インク)を塗布する方法を用いる場合等では、通常、混色等のリーク不良を防止するべく、バンクの表面に撥水性が付与されるため、塗布されたインクは基板上に拡がる際にバンクの表面で弾かれ、バンクの近傍で光抜けや色抜けが発生することに着目した。これに対し、本発明者らは、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンクを覆うように設けられることにより、主にバンク近傍に形成される樹脂膜の未充填部位の遮光が可能となり、光抜けや色抜けを抑制して、良好な表示特性を実現することができることを見いだした。また、画素ピッチの異なる場合であっても、遮光層やバンクの幅を変更することにより、インク材料の変更等を必要最小限に抑えることができ、高い生産性を実現することができることを見いだした。更に、少なくともバンク上に遮光層を設けることにより、バンクには遮光性が要求されなくなって、バンクの材料やパターンの自由度が向上するため、インクの形状(樹脂膜の形状)の安定化やリーク不良の抑制により有利なバンク材料やパターンを選択することが可能となり、表示品位をより向上させることができることを見出した。加えて、これらの遮光層を形成するに際し、樹脂膜上の適切な位置にIPSスリットを形成することにより、生産性を損なうことなく、IPS方式に対応したカラーフィルタ基板の製造も可能となることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、上記表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する表示装置用基板である。本発明においては、このような構造が、少なくとも一部の画素領域に形成されていればよく、全部の画素領域に形成されていてもよい。上記バンク(土手)としては、樹脂膜を仕切る構造物(仕切り部材)のことであり、IJ法、ディスペンサ法等の塗布法を用いて樹脂膜を形成するに際し、樹脂膜間の混合(混色)等のリーク不良を防止するものである。また、上記樹脂膜としてはバンク間に形成される樹脂材料からなる膜であれば特に限定されず、例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルタ基板の着色層や、有機エレクトロルミネセンス(EL)装置における発光層等の有機層等が挙げられる。なお、上記樹脂膜がバンクにより仕切られた構造としては、例えば、バンクが格子状に形成され、バンク間の四角形の点状開口部毎に樹脂膜が配置された構造、バンクがストライプ状(縞状)に形成され、バンク間のストライプ状開口部毎に樹脂膜が配置された構造等が挙げられる。
【0011】
本発明の表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有する。遮光層としては、遮光性を有するものであれば特に限定されず、例えば、黒色顔料を含有するアクリル樹脂からなる層等が好適である。また、遮光層は、バンクを覆うように配置されていれば、バンクや樹脂膜に接していてもよいし、接していなくてもよい。
以下に、このような構造を有することで得られる本発明の作用効果について説明する。
上記樹脂膜の表面形状は、当該膜が形成される領域の濡れ性(表面特性)パターンに依存するが、IJ法等により樹脂膜を形成する場合には、液状の樹脂膜材料(インク)の均一な濡れ広がりの実現及び混色等のリーク不良を防止するべく、通常、基板表面に親液性、バンク表面に撥液性が付与される。その結果、インクはバンクに囲まれた領域全体に広がろうとするものの、バンクの表面では弾かれるため、樹脂膜は、縁部やバンクの近傍では膜厚不足や未充填になる傾向にある。そこで、膜厚不足又は未充填になりやすいバンクの周辺部上に遮光層を形成することにより、当該部位からの光抜けや色抜けを効果的に抑制することができる。また、本発明によれば、表示装置の大型化に伴う画素ピッチの拡張により、光抜けや色抜けが懸念される部位が広がった場合においても、表示品位の低下を抑制することができる。なお、バンクの周辺部上の遮光層は、樹脂膜の形成後に形成されることから、樹脂膜を形成した後に遮光層を設ける部位が決定することができる。
【0012】
また、本発明の表示装置用基板は、バンク上に遮光層を有するものであることから、バンクには遮光性が要求されなくなり、バンクの材料やパターンの自由度が向上するため、インクの形状(樹脂膜の形状)の安定化や、リーク不良の抑制に有利なバンク材料やパターンを選択することができる。その結果、色ムラや混色等を効果的に防止することができるとともに、厚膜化による高色純度化等といった表示品位の向上を図ることも可能となる。
なお、バンク上の遮光層の形成は、少なくともバンクの形成後に行う限り、バンクの周辺部上とは別に樹脂膜の形成前に行うことも可能であるが、遮光層材料の現像時の残渣による樹脂膜の色ムラや光抜け等を抑制するべく、樹脂膜の形成後に行うことが好ましい。
【0013】
なお、遮光層は、上述した部位のみならず、配線や薄膜トランジスタと対向する部位等の光抜けが危惧される部位に設けられることが好ましい。更に、樹脂膜上の適切な位置に遮光層を設けることでIPSスリットを形成することができ、生産性を損なうことなく、IPS方式のカラーフィルタ(CF)基板を製造することも可能である。
【0014】
上記バンクは、撥水性樹脂により形成されたものであることが好ましい。これにより、IJ法等の塗布法により樹脂膜を形成する際に、各樹脂膜を塗り分けすることが容易となり、混色等のリーク不良を抑制することができる。また、バンクの形成に際し、当該バンクに撥液性を付与する工程を省略することができ、製造コストを削減することができる。なお、本発明においては、遮光層が少なくともバンクを覆うように形成された構成を有することから、従来のようにバンクが撥水性を有していても、バンク近傍等における光抜けや色抜けを充分に防止することが可能である。
【0015】
上記樹脂膜は、インク固化物からなることが好ましい。樹脂膜をIJ法により形成することで、生産性や材料の利用効率等の点で有利な効果を得ることができ、表示装置の大型化・高精細化に生産性を損なうことなく対応することができる。また、IJ法により樹脂膜を形成する場合には、混色等のリーク不良を防止するためにバンクに撥水性を付与することが好ましいが、これにより、インクがバンクの表面で弾かれるため、インク固化物は、中央部では充分な膜厚を有するものの、バンクの近傍では膜厚不足や未充填になる傾向にある。従って、この形態においては、バンクの近傍上に遮光層が設けられることにより、本発明の作用効果をより効果的に発揮することができる。
【0016】
上記遮光層は、樹脂膜の隅部を直線又は曲線で面取りしていることが好ましい。これにより、樹脂膜の隅部で発生しやすい光抜け等が効果的に抑制され、表示品位を向上させることができる。例えば、樹脂膜がバンクにより四角形に仕切られたものであれば、四角形の頂点部分の面取りを行うことになる。なお、樹脂膜の面取り後の輪郭形状は、樹脂膜の等高線パターンの形状と相似していることがより好ましい。
【0017】
上記表示装置用基板の好ましい形態としては、遮光層よりも下層側に電極を有する形態、遮光層よりも上層側に電極を有する形態等が挙げられる。なお、電極を構成要素として含む表示装置用基板は、ツイスト・ネマチック(TN)方式等のいわゆる縦電界方式の液晶表示パネルに好適に用いられるものである。遮光層よりも下層側に電極を有する形態によれば、本発明の表示装置用基板を液晶表示パネルに搭載した場合において、液晶層の両側に位置する駆動用電極間での上下リークを効果的に抑制することができる。また、この形態においては、遮光層は、ポジ型の感光性樹脂からなることが好ましい。これにより、液晶層への遮光層のイオン成分の溶出を抑制し、液晶の焼き付きを抑制することができる。更に、遮光層よりも上層側に電極を有する形態によれば、本発明の表示装置用基板を液晶表示パネルに搭載した場合において、遮光層よりも上層側に電極を有する形態においては、液晶の焼き付きを防止することができる。
なお、上記遮光層は、電極に接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0018】
本発明において、上記バンクは、紫外線透過性樹脂からなり、上記樹脂膜は、紫外線非透過性樹脂からなり、かつ、上記遮光層は、紫外線硬化性樹脂からなることが好ましい。遮光層の形成方法としては、フォトマスクを用いて露光した後、現像を行うフォトリソグラフィ法が一般的に利用されるが、上述の材料の組み合わせにより本発明が構成される場合には、樹脂膜をマスクとして代替利用して露光(裏面露光)を行うことにより、遮光層をセルフアライン(自己整合)により形成することができる。従って、フォトマスクの位置ずれ等に伴う遮光層の位置ずれを防止することができるとともに、通常の露光工程で用いられる高価な露光装置が必要なくなるため、表示装置用基板の製造関連の設備投資額を大幅に削減することができる。
【0019】
上記遮光層の好ましい形態としては、バンクにより仕切られた各領域を複数に分割している形態が挙げられる。このような形態を有する表示装置用基板は、IPS方式等の横電界方式の液晶表示パネルに好適に用いられるものであり、樹脂膜の形成後に遮光層を形成する際、樹脂膜上の適切な位置に遮光層によりIPSスリットを形成することで、樹脂膜により形成される絵素領域の分割を行うことができる。これにより、樹脂膜を形成するに際し、IPSスリットに対応する遮光性のバンクを形成する必要がなく、樹脂膜の形状が縦電界方式の場合以上に複雑化することを防止することができるため、IPSスリット部分の遮光性のバンクに機能膜が乗り上げることに起因するセルばらつきを防止することができる。また、IJ装置の描画データの煩雑化といった不具合も回避することができるため、生産性を維持しながらIPS方式のCF基板を製造することができる。
なお、上述の形態において、遮光層により分割された樹脂膜の開口領域は、「く」の字形等のジグザグ形状により構成されることがより好ましい。これにより、いわゆるSuper−IPS方式に適用することができる。
【0020】
上記樹脂膜の好ましい形態としては、ストライプ状(縞状)に配置されている形態が挙げられる。なお、上記ストライプ状とは、細長形状の樹脂膜が同一方向に多数並設された配列を意味し、例えば、絵素の長辺よりも長い長辺を有する矩形状の樹脂膜が行方向又は列方向に配列された形態等が挙げられる。このような形態によれば、バンクにより仕切られる個々の樹脂膜の面積を大きくすることができるので、特に樹脂膜がIJ法により形成されるような場合に、混色等のリーク不良、樹脂膜形状の不安定化、描画ムラ等を低減することができる。また、樹脂膜がストライプ状に配置された場合には、通常、樹脂膜の膜厚は短辺側の縁部において膜厚過剰になり、長辺側の縁部(特に中央)において膜厚不足や未充填になりやすい傾向にあるが、本発明においては、それらの領域を遮光層により遮光することができるため、表示品位を効果的に向上させることができる。
【0021】
本発明の表示装置用基板の構成としては、上述したようなバンク、樹脂膜及び遮光層を必須部材として基板上に備えるとともに、表示装置用基板が通常有する構成要素を備えたものであればよく、その他の構成において特に限定されるものではない。上記表示装置用基板としては、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板、有機エレクトロルミネセンス表示装置に用いられる有機エレクトロルミネセンスパネル等が挙げられる。中でも、カラーフィルタ基板であることが好ましく、この場合には、液晶表示パネルの大型化・高精細化に対し、生産性及び表示品位に優れたCF基板を提供することができる。カラーフィルタ基板の場合、通常では、基板上にそれぞれ赤色、緑色及び青色の3色の透明着色層(樹脂膜)と、各着色層同士を隔てるバンクとが設けられ、その上層に遮光層、保護膜、共通電極、配向膜等が積層配置された基板構成を有する。
【0022】
本発明はまた、上記表示装置用基板を備えてなる液晶表示パネル及びそれを備えてなる液晶表示装置でもある。このような液晶表示パネル及び液晶表示装置は、本発明の作用効果を奏することができることから、液晶テレビジョン等に好適に用いることができる。本発明の液晶表示パネルの駆動方式としては、面内スイッチング方式が好適である。この場合、本発明の作用効果をより効果的に奏することができる。
【0023】
本発明は更に、上記表示装置用基板を備えてなる有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置でもある。このような有機EL表示装置は、本発明の作用効果を奏することができることから、高生産性及び高表示品位を実現することができる。なお、有機EL表示装置の場合には、通常では、樹脂膜として、電界の印加により発光する機能を有する発光層や、正孔注入輸送層等が用いられる。また、発光層及び正孔注入輸送層の材質としては、IJ法等のウェットプロセスを用いるべく、高分子系の有機材料が好適である。
【0024】
本発明はそして、上記表示装置用基板を製造する方法であって、上記表示装置用基板の製造方法は、基板上にバンクをパターン形成する工程と、インクジェット装置を用いて樹脂膜材料をバンク間に吐出する工程と、樹脂膜材料を硬化させる工程と、遮光層をフォトリソグラフィ法によりパターン形成する工程とを含む表示装置用基板の製造方法でもある。これにより、本発明の表示装置用基板を簡便に製造することができ、コストの削減を図ることができる。また、インクジェット装置によれば、微量のインクの液滴量を高精度で制御することができるため、膜厚ばらつき等が低減された高品位の樹脂膜を基板全面に渡って形成することができる。なお、樹脂膜材料を硬化させる方法としては特に限定されず、光照射、加熱等の方法を用いることができる。
【0025】
上記遮光層をパターン形成する工程は、樹脂膜をフォトマスクとして代用し、紫外線硬化性樹脂からなる遮光層材料を基板側から露光する処理を含むことが好ましい。これによれば、遮光層をセルフアライン(自己整合)にて形成することができるため、遮光層の位置ずれの発生を抑制することができる。また、表示装置用基板の製造コストを削減することも可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の表示装置用基板によれば、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有することから、光抜け等の表示不良が生じやすいバンク近傍が遮光されており、良好な表示特性を実現することができる。また、バンク及び遮光層の本来の機能のみに着目して材質を選択することができることから、材料の自由度が増し、混色やムラ等の表示不良を抑制することができ、更には遮光領域の高精細化や、各種形態の樹脂層形成に際しても、高い生産性を確保しつつ対応することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
〔実施例1〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図1は、実施例1のカラーフィルタ(CF)基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図2及び3はそれぞれ、図1に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
(1)撥水樹脂バンク14の形成(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った。続いて、ポジ型の感光性−撥水性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す。)を100℃前後に昇温しながらガラス基板10上にラミネートし、樹脂(膜厚:略2800nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線(UV光)を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水樹脂バンク14を形成した。なお、撥水樹脂バンク14の幅は、5〜12μmとした。
なお、撥水樹脂バンク14は、遮光性を有する必要がなく、材質選択の自由度が高いことから、(1)遮光性樹脂材料(ネガ型)を用いた場合の熱重合残渣を少なくすること、(2)高いバンクを形成すること、(3)パターン解像度を高くすること等が可能である。
【0029】
(2)着色層13の形成(図1〜3の(b))
次に、インクジェット(IJ)法を用いて着色層形成用インク(赤・緑・青)の塗り分けを行った後、減圧乾燥、80℃で15分間の仮焼成ベーク、240℃で1時間の本焼成ベークを順に行うことにより、着色層13(13a〜13c)を形成した。なお、着色層13の色の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、シアン・イエロー・マゼンタからなる組み合わせであってもよいし、それ以外の3色からなる組み合わせであってもよいし、4色以上からなる組み合わせであってもよい。また、着色層13のパターン配列としては特に限定されず、例えば、ドット配列、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
なお、着色層13の形成に際し、撥水樹脂バンク14を利用することで、(1)バンクを高くして、リークに対するマージンを大きくすること、(2)バンクによりTFT遮光部を形成する必要がないので、着色層13形状を安定化させること等が可能となる。
【0030】
(3)遮光性樹脂膜(ブラックマトリクス、BM)11の形成(図1〜3の(c))
次に、撥水樹脂バンク14上及び着色層13上にシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った後、UV硬化性及び熱硬化性の両特性を有し、かつ遮光性を有する樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら撥水樹脂バンク14上及び着色層13上にラミネートし、樹脂(膜厚:略1600nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、BM11のパターンを形成した。このとき、BM11は、図2(c)に示すように、撥水樹脂バンク14を被覆し、かつ各着色層13の縁部とオーバーラップ(オーバーラップ幅:片側7.5μm)するように形成した。また、図1(c)に示すように、各着色層13の隅部(各着色層13の右上、右下、左下の隅部)の上や、薄膜トランジスタ(TFT)と対向する領域(各着色層13の左上の隅部)にも形成した。
【0031】
(d)ITO透明導電膜15、配向制御用突起16及びPS17の形成(図1〜3の(d))
次に、スパッタ法により、ITO透明導電膜15(膜厚:略150nm)を成膜した。続いて、ITO透明導電膜15上にシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った後、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながらITO透明導電膜15上にラミネートし、樹脂(膜厚:略1400nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像した。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、配向制御用突起16及びフォトスペーサ(PS)17を形成した。
【0032】
本実施例によれば、撥水樹脂バンク14間に着色層形成用インクを塗布した際に、撥水樹脂バンク14の近傍でインクの弾きが起こるものの、図2(c)に示すように、当該近傍の着色層13にBM11をオーバーラップさせることで、光抜けを抑制することができた。また、着色層13を形成した後にBM11を形成したため、BM11現像時の熱重合残渣による着色層13の光抜けや色抜けを回避することができた。更に、撥水樹脂バンク14上全体を覆うようにBM11を形成するため、撥水樹脂バンク14の材料を選択するに際し、遮光性を考慮しなくてもよかった。すなわち、インクの形状ばらつき、混色等のリーク不良及び色ムラ等の発生を抑制するのに有利な撥水樹脂バンク14の材料やパターンを選定することにより、高品質のCF基板を作製することができた。更に、このようなCF基板を通常のフォトマスク枚数で、作製することができた。
また、本実施例によれば、撥水樹脂バンク14の近傍の着色層13にBM11をオーバーラップさせるため、画素ピッチの幅が広く、光抜けが起こりやすい機種のCF基板についても、撥水樹脂バンク14やBM11の幅を変更することにより、インク材料等を変更することなく、すなわち生産性を損なうことなく作製することができた。
【0033】
2.液晶表示パネル
図4(a)は、実施例1で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図4(b)に示すCF基板100は、図4(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、高品質なCF基板を有するため、高表示品位を実現することができた。
【0034】
3.実施例1の変形例−撥水樹脂バンク14の他の形成方法
撥水樹脂バンク14の形成方法としては上述したものに限定されず、例えば、以下の(i)〜(iii)の方法等を用いてもよい。
(i)撥水樹脂バンク14の形成例1(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のポジ型感光性−撥水性樹脂材料(着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す。)をスピンコート法、ダイコート法、又はノズルコート法等の手法を用いて、略2800nmの膜厚で成膜した後、120℃で略5分間のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。最後に、200℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水樹脂バンク14を形成する。
【0035】
(ii)撥水樹脂バンク14の形成例2(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃のベークを行う。続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して撥水性を示す必要はない。)を100℃前後に昇温しながら、ガラス基板10上にラミネートし、樹脂(膜厚:略2800nm)を転写する。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略70mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、樹脂バンクを形成する。最後に、下記(1)に示す条件で、フッ素プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す撥水樹脂バンク14を形成する。
【0036】
(iii)撥水樹脂バンク14の形成例3(図1〜3の(a))
まず、ガラス基板10上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のポジ型感光性樹脂フィルム(着色層形成用インクに対して撥水性を示す必要はない。)をスピンコート法、ダイコート法、ノズルコート法等の手法を用いて略2800nmの膜厚で成膜した後、120℃で略5分間のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含むUV光を略100mJ/cm2(検査波長:365nm)照射し、樹脂を現像する。続いて、略220℃で略1時間のベークを行うことにより、樹脂バンクを形成する。最後に、下記(1)に示す条件で、フッ素プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用インクに対して略60°の接触角を示す撥水樹脂バンク14を形成する。
【0037】
(1)フッ素プラズマ処理
上記(ii)及び(iii)で行うフッ素プラズマ処理の方法としては、例えば、図41(a)に示すような真空排気系のドライエッチング装置を用いる方法(導入ガス流量:CF4/He=150〜300/0〜500sccm、ガス圧力:50〜150mTorr、処理電力:200〜300W、処理時間:20〜90sec、処理温度:40℃)や、図41(b)に示すようなダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:CF4/N2=5.0〜15slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、基板搬送速度:0.5〜3.0m/min、処理温度:25〜35℃)等が挙げられる。なお、使用するガスとしては、SF6、CHF3、C2F6等のCF4以外のフッ素系のガスを用いてもよく、それらのガスにHeやN2等の不活性ガスを混合したものを用いてもよい。
【0038】
(2)アッシング処理
上記(1)の処理でより強い撥液性を付与するべく、(1)の処理を行う前に、樹脂バンクの表面に対し、導入ガスにO2を含むガスを用いてアッシング処理を行ってもよい。アッシング処理の方法としては、例えば、図41(a)に示すような真空排気系のドライエッチング装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/He=50〜300/0〜500sccm、ガス圧力:50〜500mTorr、処理電力:300〜500W、処理時間:10〜30sec、処理温度:40℃)や、図41(b)に示すようなダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/N2=1.0〜3.0slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、搬送速度:0.5〜3.0m/min)、図41(c)に示すようなリモートタイプの大気圧プラズマ装置を用いる方法(導入ガス流量:O2/N2=1.0〜3.0slm/20〜50slm、処理電力:300〜800W、搬送速度:0.5〜3.0m/min)等が挙げられる。
【0039】
4.実施例1の好適な形態等
撥水樹脂バンク14の膜厚について、本実施例のように、撥水樹脂材料を利用して、セル厚(T)を制御する場合には、撥水樹脂バンク14の膜厚(T1)、BM11の膜厚(T2)、PS17の膜厚(T3)、ITO透明導電膜15の膜厚(T4)及び着色層13が形成された開口部の平均膜厚(T5)について、下記式を満足するように、それぞれの膜厚を選定すればよい。
設定セル厚(T)≒(T1+T2+T3+T4)−T5
なお、本実施例においては、撥水樹脂バンク14の膜厚(T1)を2.8μm、BM11の膜厚(T2)を1.6μm、PS17の膜厚(T3)を1.4μm、ITO透明導電膜15の膜厚(T4)を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
液晶の配向性を考慮すると、BM11の膜厚(T2)は、略1.0μm以上、1.6μm以下であることが好ましい。また、撥水性を有しない樹脂材料を用いて、撥水樹脂バンク14を形成する場合には、着色層形成用インクの塗り分け時における混色等のリーク不良の発生、図4(b)に示すような液晶表示パネルにおいて懸念されるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300とのリーク(漏電)、及び、液晶の配向不良等を防止するために、樹脂バンクの膜厚(T1’≒T1)は1600Å以上、3500Å以下であることが好ましい。
なお、撥水樹脂バンク14及び樹脂バンクの材料としては、有色、無色のいずれであってもよく、遮光性を有していてもよい。また、BM11、配向制御用突起16及びPS17も、撥水樹脂バンク14等と同様、液状の感光性樹脂を用いて形成してもよい。その他、撥水樹脂バンク14及び樹脂バンクは、レーザ転写法で形成してもよい。
【0040】
〔実施例2〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図5は、実施例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図6及び7はそれぞれ、図5に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例1の製造プロセスフローと同様である。従って、本実施例で作製したCF基板によっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。
【0041】
2.液晶表示パネル
図8(a)は、実施例2で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図8(b)に示すCF基板100は、図8(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例1で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図4(b)に示すように、PS17の形成領域におけるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300との間隔がPS17の高さ分しかなかったのに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図8(b)に示すように、PS17の高さ分にBM11の膜厚分を合わせた距離になっている。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークをより効果的に回避することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0042】
〔実施例3〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図9は、実施例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図10及び11はそれぞれ、図9に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。なお、図10(c)の白抜き矢印は、ガラス基板10側から露光してBM11を形成している様子を示している。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11の樹脂材料の露光工程において裏面露光法を用いたこと、このような裏面露光法を用いるために、撥水樹脂バンク14の材料として波長365nmのUV光を透過する樹脂材料を用いたこと以外は、実施例1と同様である。
【0043】
従って、本実施例の製造プロセスフローにより、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。更に、着色層13をフォトマスクとして代替利用した裏面露光法により、BM11を形成するため、ステッパ、プロキシミティ露光装置のような高価な装置を使用する必要がなく、また、露光機の台数を低減することができたため、製造コストを大幅に削減することができた。また、BM11と撥水樹脂バンク14とのオーバーラップ幅及び位置関係は自己整合にて制御することができたため、露光時のフォトマスクの位置ずれ等に伴うBM11の位置ズレを回避することができた。
【0044】
2.液晶表示パネル
図12(a)は、実施例3で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図12(b)に示すCF基板100は、図12(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図12(a)及び(b)に示すように、実施例1の液晶表示パネルとほぼ同様の構成を有する。
【0045】
〔実施例4〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図13は、実施例4のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図14及び15はそれぞれ、図13に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例4の製造プロセスフローと同様である。従って、本実施例によれば、実施例3と同様の作用効果が得ることができた。
【0046】
2.液晶表示パネル
図16(a)は、実施例4で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図16(b)に示すCF基板100は、図16(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図16(a)及び(b)に示すように、実施例2の液晶表示パネルと同様の構成を有する。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークを回避することができた。
【0047】
〔実施例5〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図17は、実施例5のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図18及び19はそれぞれ、図17に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、図17(a)に示すように、撥水樹脂バンク14を単純なストライプ状に形成したこと以外は、実施例1の製造プロセスフローと同様である。従って、実施例1と同様の作用効果を得ることができた。
本実施例で作製したCF基板は、撥水樹脂バンク14が単純なストライプ状に形成されていることから、IJ装置の描画ムラ防止や着色層13の形状安定性において極めて有利な構成であり、実施例1で作製したCF基板に比べ、着色層13における色ムラや混色等の発生を抑えることができた。また、着色層形成用インクの塗り分けを行った際、当該インクが渇く速度が領域によって異なり、その結果、特に着色層13の額縁領域で膜厚の偏りが見られたが、図17(c)に示すように、BM11の形成時にそのような額縁領域をBM11で隠すことができた。
【0048】
2.液晶表示パネル
図20(a)は、実施例5で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図20(b)に示すCF基板100は、図20(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例1〜4で作製した液晶表示パネルは、図4(b)、8(b)、12(b)及び16(b)に示すように、ガラス基板10と対向TFTアレイ基板300との間隔が、撥水樹脂バンク14とBM11とITO透明導電膜15とPS17とによって規定されている。これに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルは、図20(b)に示すように、ガラス基板10と対向TFTアレイ基板300の間隔が、第2色層(着色層)13bとBM11とITO透明導電膜15とPS17とによって規定されている。すなわち、実施例1等で作製した液晶表示パネルのPS17形成部における撥水樹脂バンク14が、第2色層13bに入れ替わっている。第2色層13bは、撥水樹脂バンク14よりも膜厚が安定であることから、実施例1等で作製した液晶表示パネルに比べ、PS17の高さばらつき及びその形成位置の面内ばらつきを減少させることができた。
なお、本実施例においては、BM11の膜厚を2.15μm、PS17の膜厚を1.4μm、ITO透明導電膜15の膜厚を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
【0049】
〔実施例6〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図21は、実施例6のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図22及び23はそれぞれ、図21に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、BM11とITO透明導電膜15との形成順序を逆にしたこと以外は、実施例5と同様である。従って、実施例5と同様の作用効果を得ることができた。
【0050】
2.液晶表示パネル
図24(a)は、実施例6で作製したCF基板のPS周辺領域の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図24(b)に示すCF基板100は、図24(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
実施例5で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図20(b)に示すように、PS17形成部におけるITO透明導電膜15と対向TFTアレイ基板300との間隔がPS17の高さしかなかったのに対し、本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図24(b)に示すように、PS17の高さにBM11の膜厚を合わせた距離になっている。従って、ITO透明電導膜15と対向TFTアレイ基板300との上下リークをより効果的に回避することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0051】
〔実施例7〕
1.カラーフィルタ基板の製造
図25は、実施例7のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図26及び27はそれぞれ、図25に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
本実施例の製造プロセスフローは、図25(c)及び26(c)に示すように、配向制御用突起16をBM11の形成時に同時に形成したこと、PS17の代わりに平均粒子径3.7μmの球状のスペーサ(ガラスビーズ)17’をIJ方式により所定の位置に配置したこと以外は、実施例6と同様である。
従って、本実施例によれば、実施例6と同様の作用効果を得ることができた。更に、BM11の形成時に同時に配向制御用突起16を形成することにより、露光工程が一工程減ったため、生産性を向上させることができた。
【0052】
2.液晶表示パネル
図28(a)は、実施例7で作製したCF基板のPS周辺領域の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図28(b)に示すCF基板100は、図28(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製したCF基板を搭載した液晶表示パネルでは、図28(b)に示すように、ガラスビーズ17’によりセル厚を保持することから、実施例6の液晶表示パネルに比べ、基板全面に渡って、セル厚を安定に保持することができた。
なお、本実施例で作製されるCF基板では、BM11の溶出による液晶の焼き付きを抑制するべく、BM11の材料はポジ型の感光性樹脂であることが好ましい。
【0053】
〔比較例1〕
図29は、比較例1のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。図30及び31はそれぞれ、図29に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
1.カラーフィルタ基板の製造
(1)撥水BMバンク54の形成(図29〜31の(a))
まず、ガラス基板50上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行った。続いて、液状の撥水性を発現する基(例えば、フルオロアルキルシラン等)を有するBM材料(着色層形成用のインクに対して略60°の接触角を示す。)をスピンコート法、ダイコート法又はノズルコート法等の手法を用いて、略1600nmの膜厚でガラス基板50上に成膜し、120℃で略5分のベークを行った。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を略100mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、撥水BMバンク54を形成した。なお、撥水BMバンク54の幅は、5〜12μmとした。
【0054】
(2)着色層53の形成(図29〜31の(b))
次に、インクジェット(IJ)法を用いて着色層形成用インク(赤・緑・青)の塗り分けを行った後、減圧乾燥、80℃で15分間の仮焼成ベーク、240℃で1時間の本焼成ベークを順に行うことにより、着色層53(53a〜53c)を形成した。なお、着色層53の色の組み合わせとしては特に限定されず、例えば、シアン・イエロー・マゼンタからなる組み合わせであってもよいし、それ以外の3色からなる組み合わせであってもよいし、4色以上からなる組み合わせであってもよい。
【0055】
(3)ITO透明導電膜55及び配向制御用突起56の形成(図29〜31の(c))
次に、スパッタ法により、ITO透明導電膜55(膜厚:略150nm)を成膜した。続いて、シランカップリング剤を塗布し、略200℃のベークを行った。続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら、ITO透明導電膜55上にラミネートし、樹脂(膜厚:略400nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を略70mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、配向制御用突起56を形成した。
【0056】
(4)フォトスペーサ57の形成(図29〜31の(d))
続いて、ポジ型の感光性樹脂フィルムを100℃前後に昇温しながら、ITO透明導電膜55上にラミネートし、樹脂(膜厚:略4200nm)を転写した。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から365nmの光を含む紫外線を略70mJ/cm2(検出波長:365nm)照射し、樹脂の現像を行った。最後に、220℃で略1時間のベークを行うことにより、セルギャップ制御用のPS57を形成した。
【0057】
しかしながら、比較例1で作製したCF基板によれば、以下の問題点(i)及び(ii)があった。
(i)光抜けの発生、画素ピッチが広い機種への適用が困難
比較例1で作製したCF基板では、撥水BMバンク54がインクを弾き、撥水BMバンク54近傍の着色層53の膜厚が薄くなるか、又は、エッジ部にインクが充填されず、色抜けや光抜けが発生した。
図32(a)は、図29(b)に示すCF基板の画素ピッチを拡張したものの構成を示す平面模式図であり、(b)は、(a)に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
特に、画素ピッチが200μmを超えるような機種のCF基板では、図32(b)に示すように、撥水BMバンク54近傍の各着色層53の膜厚が更に薄くなるため、画素ピッチが狭い機種に比べて光抜け等が更に発生し、色純度が低下した。
【0058】
(ii)混色等のリーク不良の発生、色ムラの発生
図33(a)は、比較例1のCF基板の製造プロセスフローにおいて、着色層形成用インクの塗り分け時に混色不良を起こした様子を示す平面模式図であり、(b)は、(a)に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
比較例1の製造プロセスフローでは、撥水BMバンク54の材料として遮光性を有するBM材料を用いることが必要とされ、撥水BMバンク54の厚膜化が困難である(膜厚:略1000〜1500μm)ため、図33(a)及び(b)に示すように、混色等のリーク不良が発生した。また、着色層形成用インクが撥水BMバンク51に乗り上がり、着色層53の色ムラも発生していた。
【0059】
2.液晶表示パネル
図34(a)は、比較例1で作製したCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、当該CF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。なお、図34(b)に示すCF基板200は、図34(a)に示すCF基板の線分E−Fにおける切断面に相当する。
本実施例で作製した液晶表示パネルは、各着色層53の形状が不安定であったため、ITO透明電導膜55と対向TFTアレイ基板400とのリーク(短絡)が発生した。
なお、本比較例においては、BM54の膜厚を1.6μm、PS57の膜厚を4.2μm、ITO透明導電膜55の膜厚を0.15μmとし、設定セル厚(T)を略3.7μmとした。
【0060】
3.その他
撥水BMバンク54の形成方法としては、例えば、以下の方法を用いることも考えられる(図29〜31の(a))。
まず、ガラス基板50上に密着性を上げるためにシランカップリング剤を塗布し、略200℃でベークを行う。続いて、液状のBM材料(着色層形成用のインクに対して撥水性を示す必要はない。)をスピンコート法、ダイコート法又はノズルコート法等の手法を用いて略1600nmに成膜し、120℃で略5分のベークを行う。続いて、フォトマスクを用いて、樹脂側(表側)から波長365nmの光を含む紫外線を約100mJ/cm2(検出波長:365nm)程度照射し、樹脂を現像する。続いて、220℃で略1時間のベークを行うことにより、BMバンクを形成する。続いて、実施例1中の3.(2)記載の条件で、プラズマ処理を行い、樹脂バンクの表面に撥水性を付与することにより、着色層形成用のインクに対して略60°の接触角を示す撥水BMバンク54を形成する。
しかしながら、この方法により、撥水BMバンク54を形成した場合であっても、上述の問題点(i)及び(ii)を有することとなる。
【0061】
〔比較例2〕
図35は、比較例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図であり、図36は、図35に示すCF基板の線分A−B及びC−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
まず、図35(a)及び36(a)に示すように、ガラス基板50上に、IJ法にて赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層形成用インクを塗布した後、焼成を行うことによって、着色層53をライン形状に形成した。続いて、図35(b)及び36(b)に示すように、各着色層53の縁部上にBM61を形成した。続いて行ったITO透明導電膜55の形成及び配向制御用突起56等の形成方法については、比較例1の(3)及び(4)の方法と同様である。
【0062】
しかしながら、比較例2のCF基板の製造プロセスフローによれば、以下の問題点(i)及び(ii)があった。すなわち、(i)各色を隔離するバンクがないため、着色層形成用インクの塗布時に混色等のリーク不良が発生した。また、(ii)着色層53の形状がばらつき、色ムラが発生した。
【0063】
〔比較例3〕
図37は、比較例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図であり、図38は、図37に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
まず、図37(a)及び38(a)に示すように、ガラス基板50上にBM51を形成した。続いて、図37(b)及び38(b)に示すように、BM51上に撥水樹脂バンク64を形成した後、図37(c)及び38(c)に示すように、IJ法により、撥水樹脂バンク64間に着色層53を形成した。続いて行ったITO透明導電膜55の形成及び配向制御用突起56等の形成方法については、比較例1の(3)及び(4)の方法と同様である。
【0064】
しかしながら、比較例3のCF基板の製造方法によると、以下の問題点(i)及び(ii)があった。
(i)光抜けの発生
図39は、比較例3のCF基板において、光抜けが発生している様子を示す平面模式図である。
比較例3で作製したCF基板は、バンクとして、BM51の上に撥水樹脂バンク64を重ねた構成であるため、図39に示すように、特にBM51の近傍で、BM51現像時の残渣によるインクの弾きが起こり、光抜けが発生した。
【0065】
(ii)混色等のリーク不良の発生、色ムラの発生、及び、セル厚不良の発生
図40は、図37(c)に示す比較例3のCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
比較例3で作製したCF基板では、着色層53の形状が下地のBM51の形状に影響を受けるため、図40に示すように、着色層53の形状がばらつき、混色等のリーク不良、液晶のセル厚不良の原因となった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1のカラーフィルタ(CF)基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図2】図1に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図3】図1に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図4】(a)は、実施例1のCF基板のフォトスペーサ(PS)周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例1のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図5】実施例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図6】図5示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図7】図5に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図8】(a)は、実施例2のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例2のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図9】実施例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図10】図9に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図11】図9に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図12】(a)は、実施例3のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例3のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図13】実施例4のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図14】図13に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図15】図13に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図16】(a)は、実施例4のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例4のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図17】実施例5のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図18】図17に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図19】図17に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図20】(a)は、実施例5のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例5のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図21】実施例6のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図22】図21に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図23】図21に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図24】(a)は、実施例6のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例6のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図25】実施例7のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図26】図25に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図27】図25に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図28】(a)は、実施例7のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、実施例7のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図29】比較例1のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図30】図29に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図31】図29に示すCF基板の線分C−Dにおける切断面を示す断面模式図である。
【図32】比較例1のCF基板の製造プロセスフローによる画素ピッチを拡張した構成を示す模式図である。
【図33】比較例1のCF基板の製造プロセスフローによる混色不良の発生しやすさを示す模式図である。
【図34】(a)は、比較例1のCF基板のPS周辺部の構成を示す平面模式図であり、(b)は、比較例1のCF基板を搭載した液晶表示パネルの構成を示す断面模式図である。
【図35】比較例2のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図36】図35に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図37】比較例3のCF基板の製造プロセスフローを示す平面模式図である。
【図38】図37に示すCF基板の線分A−Bにおける切断面を示す断面模式図である。
【図39】比較例3のCF基板の製造プロセスによる光抜けの発生しやすさを示す模式図である。
【図40】図37(c)に示す比較例3のCF基板の線分C−Dにおける切断面であり、比較例3のCF基板の製造プロセスによる色ムラの発生しやすさを示す断面模式図である。
【図41】(a)は、真空排気系のドライエッチング装置の構成を示す断面模式図であり、(b)は、ダイレクトタイプの大気圧プラズマ装置を示す断面模式図であり、(c)は、リモートタイプの大気圧プラズマ装置を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0067】
10、50:ガラス基板
11、51(黒塗り部):遮光性樹脂膜(ブラックマトリクス、BM)
13、53:着色層
13a、53a(ドット部):第1色層(赤)
13b、53b(ドット部):第2色層(緑)
13c、53c(ドット部):第3色層(青)
14、64:撥水樹脂バンク
15、55:酸化インジウム錫(ITO)透明導電膜
16、56:配向制御用突起
17、57:フォトスペーサ(PS)
17’:球状スペーサ
20:高周波電源
21:真空チャンバ
22a:上(左)部電極
22b:下(右)部電極
23:被エッチング(プラズマ処理)部材
24:排気ポンプ
25:試料台(ステージ)
40:液晶層
54:撥水BMバンク
59(斜線部):混色層
60:未充填領域(気泡等)
100、200:カラーフィルタ基板
300、400:対向TFTアレイ基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、
該表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有することを特徴とする表示装置用基板。
【請求項2】
前記バンクは、撥水性樹脂により形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置用基板。
【請求項3】
前記樹脂膜は、インク固化物からなることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用基板。
【請求項4】
前記遮光層は、樹脂膜の隅部を直線又は曲線で面取りしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項5】
前記表示装置用基板は、遮光層よりも下層側に電極を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項6】
前記表示装置用基板は、遮光層よりも上層側に電極を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項7】
前記バンクは、紫外線透過性樹脂からなり、前記樹脂膜は、紫外線非透過性樹脂からなり、かつ、前記遮光層は、紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項8】
前記遮光層は、バンクにより仕切られた各領域を複数に分割していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項9】
前記樹脂膜は、ストライプ状に配置されていることを特徴とする請求項1〜8記載の表示装置用基板。
【請求項10】
前記表示装置用基板は、カラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を備えてなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項12】
前記液晶表示パネルの駆動方式は、面内スイッチング方式であることを特徴とする請求項11記載の液晶表示パネル。
【請求項13】
請求項11又は12記載の液晶表示パネルを備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を備えてなることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を製造する方法であって、
該表示装置用基板の製造方法は、基板上にバンクをパターン形成する工程と、インクジェット装置を用いて樹脂膜材料をバンク間に吐出する工程と、樹脂膜材料を硬化させる工程と、遮光層をフォトリソグラフィ法によりパターン形成する工程とを含む
ことを特徴とする表示装置用基板の製造方法。
【請求項16】
前記遮光層をパターン形成する工程は、樹脂膜をフォトマスクとして代用し、紫外線硬化性樹脂からなる遮光層材料を基板側から露光する処理を含むことを特徴とする請求項15記載の表示装置用基板の製造方法。
【請求項1】
樹脂膜がバンクにより仕切られた構造を基板上に有する表示装置用基板であって、
該表示装置用基板は、バンクよりも大きな幅を有する遮光層が少なくともバンク上に設けられた構造を有することを特徴とする表示装置用基板。
【請求項2】
前記バンクは、撥水性樹脂により形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の表示装置用基板。
【請求項3】
前記樹脂膜は、インク固化物からなることを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用基板。
【請求項4】
前記遮光層は、樹脂膜の隅部を直線又は曲線で面取りしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項5】
前記表示装置用基板は、遮光層よりも下層側に電極を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項6】
前記表示装置用基板は、遮光層よりも上層側に電極を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項7】
前記バンクは、紫外線透過性樹脂からなり、前記樹脂膜は、紫外線非透過性樹脂からなり、かつ、前記遮光層は、紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項8】
前記遮光層は、バンクにより仕切られた各領域を複数に分割していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項9】
前記樹脂膜は、ストライプ状に配置されていることを特徴とする請求項1〜8記載の表示装置用基板。
【請求項10】
前記表示装置用基板は、カラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置用基板。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を備えてなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項12】
前記液晶表示パネルの駆動方式は、面内スイッチング方式であることを特徴とする請求項11記載の液晶表示パネル。
【請求項13】
請求項11又は12記載の液晶表示パネルを備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を備えてなることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の表示装置用基板を製造する方法であって、
該表示装置用基板の製造方法は、基板上にバンクをパターン形成する工程と、インクジェット装置を用いて樹脂膜材料をバンク間に吐出する工程と、樹脂膜材料を硬化させる工程と、遮光層をフォトリソグラフィ法によりパターン形成する工程とを含む
ことを特徴とする表示装置用基板の製造方法。
【請求項16】
前記遮光層をパターン形成する工程は、樹脂膜をフォトマスクとして代用し、紫外線硬化性樹脂からなる遮光層材料を基板側から露光する処理を含むことを特徴とする請求項15記載の表示装置用基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2006−243171(P2006−243171A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56299(P2005−56299)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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