説明

表示装置

【課題】複数方向に異なる表示出力を行なう場合の文字欠けや潰れに対処すること。
【解決手段】運転者用入出力制御手段11aが運転者への表示出力である運転者用表示出力を作成し、非運転者用入出力制御手段11bが非運転者への表示出力である非運転者用表示出力を作成する。この運転者用表示出力および非運転者用表示出力に含まれる文字情報を抽出し、文字情報処理部33が文字の縦横比の変更、フォントの変更、専用表示器であるサブディスプレイ43への表示、音声読み上げによるスピーカ42からの出力を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に車両の乗員に対する表示出力をおこなう車載表示装置に有用で、特に複数の方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員に対して画像や映像の表示出力を行なう車載表示装置が利用されてきた。この車載表示装置は、自車両の経路案内において使用することを目的として採用されたものであるが、近年、経路案内のみならず他の用途、例えば特許文献1に開示されるような車載テレビ装置や、オーディオ装置、DVD再生装置などの表示手段としても使用されている。
【0003】
このように車載表示装置の利用用途が拡大したことで、表示出力が対象とする利用者も変化している。すなわち、経路案内に使用する場合、その利用者は主に運転者となるのであるが、テレビなどの表示出力においては助手席や後部座席などに着座した乗員(非運転者)が利用者となる場合がある。
【0004】
ここで運転者に対する表示出力は、その運転操作を阻害しない範囲で行なう必要があり、車両走行中にテレビ出力やDVDの再生などを行なうことは好ましくない。そこで例えば特許文献2は、液晶シャッターを使用して運転席側からの視認を阻害可能とした車載表示装置を開示している。
【0005】
また、特許文献3および特許文献4は、運転者用と非運転者用にそれぞれ個別の表示出力を行ない、例えば運転者への経路案内の表示と、非運転者への娯楽情報(テレビやDVDなど)を同時に実行する技術を公開している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−244591号公報
【特許文献2】特開2003−15535号公報
【特許文献3】特開2000−13744号公報
【特許文献4】特開2004−206089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献4に示されるような2視野ディスプレイでは、ディスプレイ上の表示素子を運転席側と助手席側とに振り分けて表示を行なうので、視野ごとの表示における解像度は、通常の半分になる(1ラインおきの表示になる)。そのため、文字などが欠けた、もしくは潰れた表示となり、認識しづらくなるという問題点があった。尚、同様の問題はホーム用などの表示装置にもある。
【0008】
この発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、複数方向に異なる表示出力を行なう場合に文字などの欠けや潰れを防止する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る表示装置は、表示出力を行なう表示装置であって、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう表示処理手段と、前記表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更する特定情報処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この請求項1の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更する。
【0011】
また、請求項2の発明に係る表示装置は、請求項1の発明において、前記特定の情報は文字情報であることを特徴とする。
【0012】
この請求項2の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報の出力態様を変更する。
【0013】
また、請求項3の発明に係る表示装置は、請求項2の発明において、前記特定情報処理手段は、予め抽出された文字情報を取得することを特徴とする。
【0014】
この請求項3の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から予め抽出された文字情報の出力態様を変更する。
【0015】
また、請求項4の発明に係る表示装置は、請求項2または3の発明において、前記特定情報処理手段は、表示出力から画像処理によって文字情報を抽出することを特徴とする。
【0016】
この請求項4の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から画像処理によって抽出した文字情報の出力態様を変更する。
【0017】
また、請求項5の発明に係る表示装置は、請求項2,3または4の発明において、前記特定情報処理手段は、前記文字情報を専用フォントによって出力することを特徴とする。
【0018】
この請求項5の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報を専用フォントによって出力する。
【0019】
また、請求項6の発明に係る表示装置は、請求項5の発明において、前記特定情報処理手段は、表示出力に含まれる文字情報について常に専用フォントによる出力を行なうことを特徴とする。
【0020】
この請求項6の発明によれば表示装置は、表示出力に含まれる文字情報を抽出し、常に専用フォントに変更して出力する。
【0021】
また、請求項7の発明に係る表示装置は、請求項5の発明において、前記特定情報処理手段は、前記表示処理手段が複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に前記専用フォントによって前記文字情報を出力し、前記表示処理手段が単一の表示出力を行なう場合には通常のフォントによって前記文字情報を出力することを特徴とする。
【0022】
この請求項7の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に文字情報を専用フォントによって出力し、単一の表示出力を行なう場合は通常のフォントによって文字情報を出力する。
【0023】
また、請求項8の発明に係る表示装置は、請求項2〜7のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、前記文字情報を音声によって出力することを特徴とする。
【0024】
この請求項8の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報を音声によって出力する。
【0025】
また、請求項9の発明に係る表示装置は、請求項1〜8のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、前記特定の情報の縦横比を変化させることを特徴とする。
【0026】
この請求項9の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の縦横比を変化させる。
【0027】
また、請求項10の発明に係る表示装置は、請求項1〜9のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、前記特定の情報のうち、重要度の高い情報を選択的に表示することを特徴とする。
【0028】
この請求項10の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報のうち、重要度の高い情報を選択的に、出力態様を変更して表示する。
【0029】
また、請求項11の発明に係る表示装置は、請求項10の発明において、前記特定情報処理手段は、経路案内に関連するキーワードおよび/または車両に関連するキーワードを重要度の高い情報とすることを特徴とする。
【0030】
この請求項11の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報から経路案内や車両に関連するキーワードを含む情報を選択し、出力態様を変更して表示する。
【0031】
また、請求項12の発明に係る表示装置は、請求項1〜11のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、前記特定の情報を所定表示領域の範囲内で表示することを特徴とする。
【0032】
この請求項12の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更し、所定表示領域の範囲内で表示する。
【0033】
また、請求項13の発明に係る表示装置は、請求項1〜12のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、前記特定の情報を専用の表示器に表示することを特徴とする。
【0034】
この請求項13の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報を専用の表示器に表示する。
【0035】
また、請求項14の発明に係る表示装置は、請求項1〜13のいずれか一つの発明において、前記特定情報処理手段は、他の機器が表示を要求した割り込み表示要求に対して前記出力態様の変更を実行することを特徴とする。
【0036】
この請求項14の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、他の機器からの割り込み要求に基づく表示の出力態様を変更する。
【0037】
また、請求項15の発明に係る表示装置は、請求項14の発明において、前記特定情報処理手段は、前記割り込み表示要求を関連する方向にのみ出力することを特徴とする。
【0038】
この請求項15の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、他の機器からの割り込み要求に基づく表示の出力態様を変更して関連する方向にのみ表示する。
【0039】
また、請求項16の発明に係る表示装置は、請求項1〜15のいずれか一つの発明において、車両に搭載され、運転席方向を含む複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なうことを特徴とする。
【0040】
この請求項16の発明によれば、表示装置は車両に搭載され、運転者や他の乗員に対して個別の表示出力を行なう。
【発明の効果】
【0041】
請求項1の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更するので、微細な形状の欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0042】
また、請求項2の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報の出力態様を変更するので、文字の欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
また、請求項3の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から予め抽出された文字情報の出力態様を変更するので、予め抽出された文字についてその欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0044】
また、請求項4の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から画像処理によって抽出した文字情報の出力態様を変更するので、表示出力内の文字を自動的に抽出し、その欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0045】
また、請求項5の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報を専用フォントによって出力するので、文字の欠け(潰れ)の発生を防止可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0046】
また、請求項6の発明によれば表示装置は、表示出力に含まれる文字情報を抽出し、常に専用フォントに変更して出力するので、文字の欠け(潰れ)の発生を簡易に防止可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0047】
また、請求項7の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に文字情報を専用フォントによって出力し、単一の表示出力を行なう場合は通常のフォントによって文字情報を出力するので、必要に応じて文字の欠け(潰れ)を防止する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0048】
また、請求項8の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報を音声によって出力するので、文字情報を確実に伝達する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0049】
また、請求項9の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の縦横比を変化させるので、文字の欠け(潰れ)の発生を防止する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0050】
また、請求項10の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報のうち、重要度の高い情報を選択的に、出力態様を変更して表示するので、文字欠け(潰れ)の発生を防止し、必要な情報を効果的に伝達する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0051】
また、請求項11の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された文字情報から経路案内や車両に関連するキーワードを含む情報を選択し、出力態様を変更して表示するので、文字欠け(潰れ)の発生を防止し、必要な情報を的確に選択して伝達する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0052】
また、請求項12の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更し、所定表示領域の範囲内で表示するので、かつ他の表示を阻害することなく微細な形状の欠け(潰れ)の発生を防止する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0053】
また、請求項13の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、表示出力から抽出された特定の情報を専用の表示器に表示するので、微細な形状の欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0054】
また、請求項14の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、他の機器からの割り込み要求に基づく表示の出力態様を変更するので、他の車載機器からの情報についても微細な形状の欠け(潰れ)の発生に対処可能な表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0055】
また、請求項15の発明によれば表示装置は、複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に、他の機器からの割り込み要求に基づく表示の出力態様を変更して関連する方向にのみ表示するので、他の機器からの情報についても微細な形状の欠け(潰れ)の発生に適切に対処する表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【0056】
また、請求項16の発明によれば表示装置は、車両に搭載され、運転者や他の乗員に対して個別の表示出力を行なうので、微細な形状の欠け(潰れ)の発生に対処可能な車載用の表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表示装置の好適な実施の形態である車載装置について詳細に説明する。
【実施例】
【0058】
図1は、本発明の実施例である車載装置1の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、車載装置1は、その内部に主制御部11、ナビゲーションユニット12、AV(オーディオ・ビジュアル)ユニット13、操作入力受付部21、車速センサ22、変速機構状態検知部23、ブレーキ状態検知部24、表示処理部31、音声処理部32、文字データ処理部33、ディスプレイ41、スピーカ42およびサブディスプレイ43を有する。
【0059】
操作入力受付部21は、スイッチやタッチパネルなどを用いた乗員からの操作入力を受け付ける処理部である。そして、車速センサ22は、自車両のタイヤ回転速度などから自車両の走行速度を検知するセンサであり、変速機構状態検知部23は、自車両の変速機構の状態を取得するセンサである。また、ブレーキ状態検知部24は、自車両の制動機構の動作状態を検知するセンサである。
【0060】
ナビゲーションユニット12は、自車両の走行経路の設定および誘導を行なうユニットである。具体的には、ナビゲーションユニット12は、GPS(Global Positioning System)によって自車両の現在位置を取得し、地図データを用いて自車両が走行している道路を特定し、ディスプレイ41やスピーカ42を用いて経路誘導を実行する。
【0061】
AVユニット13は、ラジオ放送、テレビ放送などの受信によって取得したコンテンツデータやCD、DVD、HDなどの記録媒体から読み出したコンテンツデータを車両の乗員に提供するユニットである。ここでは、AVユニット13は、その内部にオーディオ機能13a、DVD再生機能13b、テレビ受信機能13cを備えている。
【0062】
主制御部11は、車載装置1を全体制御する制御部であり、操作入力受付部21、車速センサ、変速機状態検知部23、ブレーキ状態検知部24からの入力を受けてナビゲーションユニット12およびAVユニット13の動作を制御する。
【0063】
また、主制御部11は、その内部に運転者用入出力制御部11a、および非運転者用入出力制御部11bを有する。運転者用入出力制御部11aは、運転者からの操作入力の受け付けおよび運転者への出力を制御する制御部であり、非運転者用入出力制御部11bは非運転者(本実施例では助手席に座った乗員)からの操作入力の受け付けおよび非運転者への出力を制御する制御部である。
【0064】
ここで、運転者用入出力制御部11aによる運転者への表示出力と非運転者用入出力制御部11bによる非運転者(助手席の乗員)への表示出力とは、単一のディスプレイ41によって同時に実行する。
【0065】
単一のディスプレイ41に運転者用の画面(運転者用表示出力)と非運転者用の画面(非運転者用表示出力)とを同時に表示する場合、図2−1に示したように表示画面を分割してそれぞれの画面を表示することとすると各表示画面が小さくなるので、図2−2に示すように乗員の視線方向の差を利用し、複数の画面を重ねて表示することが望ましい。
【0066】
複数の画面を重ねる場合、具体的には、図3に示すように運転席側表示と助手席側表示をそれぞれ微細な縦スリットに分割して交互に並べ、視差によって運転者からは運転席側表示のみが視認でき、助手席の乗員からは助手席側表示のみが視認できるようにフィルターをかける。
【0067】
このようにディスプレイ41の表示素子を運転者用表示出力と非運転者用表示出力とに振り分けて表示を行なうこととすると、各表示出力の横方向の解像度はディスプレイ全体の2分の1ずつまで低下するので形状の欠け(潰れ)が発生し、文字などの微細な形状が重要な情報について、運転者による認識が困難となる場合がある。
【0068】
そこで、車載装置1では、表示出力から文字情報を抽出し、文字情報に対して出力態様の変更を実施することで文字情報を確実に伝達可能とする。
【0069】
具体的には、運転者用入出力制御部11aおよび非運転者用入出力制御部11bからの出力のうち、表示出力部分は表示処理部31によって処理され、音声出力部分は音声処理部32によって処理される。そして、表示出力内の文字情報に関する部分は、文字情報処理部33によって処理される。
【0070】
なお、表示出力内の文字情報が予め抽出されているならば、主制御部11はその文字情報を直接文字情報処理部33に出力する。一方、表示出力内の文字情報が予め抽出されていない場合、表示処理部31が画像処理によって文字情報を抽出し、文字情報処理部33に出力する。
【0071】
表示処理部31は、その内部に運転席側表示処理部31aおよび助手席側表示処理部31bを有する。運転席側表示処理部31aは、運転席側に対して表示する出力の内容を作成する。また、必要に応じて作成した運転席側表示の内部における文字情報を抽出し、文字情報処理部33に出力する。
【0072】
同様に助手席側表示処理部31bは、助手席側に対して表示する出力の内容を作成する。また、必要に応じて作成した助手席側表示の内部における文字情報を抽出し、文字情報処理部33に出力する。
【0073】
つぎに文字情報処理部33による処理について、具体例を挙げて説明する。文字情報処理部33による処理(出力態様の変更)には、「表示形状の変更」、「表示手段の変更」、「音声による出力」などを使用することができる。
【0074】
「表示手段の変更」を使用する場合、文字情報処理部33は、文字情報をサブディスプレイ43に表示する。そのため、ディスプレイ41に表示した文字の形状が欠けたり、潰れたとしても、運転者はサブディスプレイ43を確認することで文字情報の示す内容を確認することができる。
【0075】
同様に「音声による出力」を利用する場合、文字情報処理部33は、文字情報に示された内容を音声によって読み上げ、スピーカ42から出力する。したがって、ディスプレイ41に表示した文字の形状が欠けたり潰れたとしても、音声によって文字情報の示す内容を確認することができる。
【0076】
そして「表示形状の変更」では、例えば図4に示すように文字の縦横比を変更(同図では横2倍)して表示する、もしくは専用のフォントセットを用いて表示することで、文字の形状の欠け(潰れ)を防止し、文字情報を確実に伝達可能とすることができる。
【0077】
ここで、専用フォントの利用は複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合にのみ行ない、ディスプレイ41が単一の表示出力を行なう場合(運転席側表示処理部31aと助手席側表示処理部31bとが作成する表示出力か同一である場合)には通常のフォントを用いることとしてもよいし、単一の表示出力を行なうか複数の表示出力を行なうかに関わらず常に専用フォントを使用することとしてもよい。
【0078】
また、文字の縦横比を変更する場合には、文字が横方向に大きくなることによって表示可能な文字数が減少する。そこで、文字情報処理部33は、文字によって示された情報のうち、重要度の高い情報を選択的に表示する。この重要度は、例えば経路案内に関連するキーワード(信号、交差点、右折、左折、など)や車両に関連するキーワード(ガソリン、エンジン、タイヤなど)に対して高く設定すれば良い。
【0079】
このように重要度による選択を行なうことで、表示が必要な文字数を減少させ、所定の表示領域の範囲内、例えば予め文字表示に割り当てられた領域や表示に使用されていない余剰表示領域の範囲内で必要な情報を伝達することができる。
【0080】
さらに、表示が必要な文字数が多く、所定の表示領域の範囲内での表示が不可能である場合には、所定の場所(例えば句読点)で区切って改行して表示すればよい。また、縦横比を横2倍から横1.5倍にするなど、ある程度の間引きを行なって所定の表示領域内に表示するようにしてもよい。
【0081】
なお、余剰表示領域は、例えばDVD再生機能13bによって再生される映像の縦横比が、使用可能な表示領域の縦横比と異なる場合などに発生する。この余剰表示領域は、図5に示すように、通常は画面表示領域の周辺に均等に(同図では上下に均等に)配置することが一般的であるが、文字情報の表示に使用する場合には纏めて(同図では下側に纏めて)表示することが望ましい。
【0082】
また、車載装置1は、他の車載機器からの割り込み表示要求、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)によって取得した渋滞情報などをディスプレイ41に表示する場合があるが、このような他の車載機器が表示を要求した割り込み表示要求に対しても文字情報処理部33による出力態様の変更を適用することができる。
【0083】
なお、割り込み表示要求は、複数の表示方向の全てに出力する必要があるとは限らない。例えば、渋滞情報などの運転に関する情報については運転者にのみ表示すれば足りる。同様に、走行中における娯楽関係の情報は助手席のみに表示すれば足りる。そこで、表示内容に関連する方向にのみ割り込み要求による表示を実行するとともに、文字情報処理部33による処理を施す。
【0084】
つづいて、車載装置1の処理動作について図6のフローチャートを参照して説明する。同図に示す処理フローは、主制御部11が表示出力を行なう場合に開始される。処理が開始されると、まず車載装置1は表示出力から文字を抽出する(ステップS101)。この文字の抽出は既に述べたように文字情報が予め別データとして抽出されている場合にはそのまま利用することができ、また、表示出力から画像処理によって抽出することもできる。
【0085】
そして、表示出力に文字が含まれて居なければ(ステップS102,No)通常の出力を実行し(ステップS103)、表示出力に文字が含まれているならば(ステップS102,Yes)文字情報処理部33による文字情報補正処理、すなわち文字情報の出力態様の変更処理を実行して(ステップS104)、処理を終了する。
【0086】
上述してきたように、本実施例にかかる車載装置1では、運転者用入出力制御部11aが作成した表示出力を運転席側に、非運転者用入出力制御部11bが作成した表示出力を助手席側にそれぞれ出力する場合に、表示出力における文字情報を抽出し、その出力態様を変更することで、文字情報か示す内容を確実に伝達する。
【0087】
なお、本実施例では、出力態様の変更例としてフォントの変更、縦横比の変更、表示手段の変更、音声による読み上げを全て実行可能な構成を例示したが、これらの一部のみを使用する構成で本発明を実施しても良い。
【0088】
また、本実施例では微細な形状が重要な情報として文字情報を例に説明を行ったが、例えば経路案内に使用する図案などにも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる表示装置は、複数方向への異なる表示出力に有用であり、特に文字欠けや潰れの対策に適している。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例である車載装置の概要構成を示す概要構成図である。
【図2−1】運転者用の画面と非運転者用の画面とをディスプレイを分割して表示する方法について説明する説明図である。
【図2−2】運転者用の画面と非運転者用の画面とを重ねて表示する方法について説明する説明図である。
【図3】複数の画面を重ねる場合の表示出力について説明する説明図である。
【図4】文字情報の表示形状の変更について説明する説明図である。
【図5】余剰表示領域について説明する説明図である。
【図6】車載装置1の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 車載装置
11 主制御部
11a 運転者用入出力制御部
11b 非運転者用入出力制御部
12 ナビゲーションユニット
13 AVユニット
13a オーディオ機能
13b DVD再生機能
13c テレビ受信機能
21 操作入力受付部
22 車速センサ
23 変速機構状態検知部
24 ブレーキ状態検知部
31 表示処理部
31a 運転席側表示処理部
31b 助手席側表示処理部
32 音声処理部
33 文字情報処理部
41 ディスプレイ
42 スピーカ
43 サブディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示出力を行なう表示装置であって、
複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう表示処理手段と、
前記表示出力から抽出された特定の情報の出力態様を変更する特定情報処理手段と、
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記特定の情報は文字情報であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記特定情報処理手段は、予め抽出された文字情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記特定情報処理手段は、表示出力から画像処理によって文字情報を抽出することを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記特定情報処理手段は、前記文字情報を専用フォントによって出力することを特徴とする請求項2,3または4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記特定情報処理手段は、表示出力に含まれる文字情報について常に専用フォントによる出力を行なうことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記特定情報処理手段は、前記表示処理手段が複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なう場合に前記専用フォントによって前記文字情報を出力し、前記表示処理手段が単一の表示出力を行なう場合には通常のフォントによって前記文字情報を出力することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記特定情報処理手段は、前記文字情報を音声によって出力することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記特定情報処理手段は、前記特定の情報の縦横比を変化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項10】
前記特定情報処理手段は、前記特定の情報のうち、重要度の高い情報を選択的に表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項11】
前記特定情報処理手段は、経路案内に関連するキーワードおよび/または車両に関連するキーワードを重要度の高い情報とすることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記特定情報処理手段は、前記特定の情報を所定表示領域の範囲内で表示することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項13】
前記特定情報処理手段は、前記特定の情報を専用の表示器に表示することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項14】
前記特定情報処理手段は、他の機器が表示を要求した割り込み表示要求に対して前記出力態様の変更を実行することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項15】
前記特定情報処理手段は、前記割り込み表示要求を関連する方向にのみ出力することを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
車両に搭載され、運転席方向を含む複数方向にそれぞれ異なる表示出力を行なうことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載の表示装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−267437(P2006−267437A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84318(P2005−84318)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】