表示装置
【課題】表示パネルの前面に保護板を有し、保護板と表示パネルの間に透明層を有する表示装置において、一般的な表示装置の作製法では、保護板と表示パネルの間に透明層のみが存在するので、外部から機械的な力が作用したときの耐久性が低下してしまう。
【解決手段】表示パネルと、その前面側に透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に透明層を有する表示装置であって、筐体が分離し、保護板が筐体にスライドしながら表示装置に設置できることを特徴とする。この場合、表示パネルと一体化している保護板は表示装置の筐体よりも上側に来るために、前面板に機械的な力が作用した場合、その力が筐体でも支えることができる。
【解決手段】表示パネルと、その前面側に透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に透明層を有する表示装置であって、筐体が分離し、保護板が筐体にスライドしながら表示装置に設置できることを特徴とする。この場合、表示パネルと一体化している保護板は表示装置の筐体よりも上側に来るために、前面板に機械的な力が作用した場合、その力が筐体でも支えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの前面に透明な保護板を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯機器に搭載される表示装置としては、液晶表示装置や、有機エレクトロルミネッセンス表示装置がある。これらの表示装置にはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでその説明はここでは省略する。
【0003】
このような表示装置が携帯電話や携帯ゲーム機器などの携帯装置に搭載される場合には、外部からの機械的な力の作用により表示が乱れること、さらには破壊してしまうことを防止するため、表示パネルの前面に透明な保護板を設ける。このとき、外部からの機械的な力が直接表示パネルに作用しないように、保護板は表示装置の筐体に固定されている。
【0004】
保護板は空気と異なる屈折率を有するため、保護板と空気との界面では反射が生じる。つまり、保護板を備える表示パネルでは、保護板の前面と背面で不要な界面反射が生じるため、特に周囲の環境が明るい場合には表示装置の視認性が著しく損なわれてしまう。
【0005】
保護板を備えることにより生じる不要な反射を抑制する方法として、例えば特許文献1には、保護板と表示パネルとの間に保護板と略同一の屈折率の液状材料で構成される外光反射防止層を設ける表示装置が開示されている。
【0006】
この場合、保護板と外光反射防止層との間の境界面や外光反射防止層と表示パネルとの間の境界面での反射を抑制することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平5−11239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置を作製する際、一般的には背面側の筐体に表示パネルを固定した後、前面側の筐体を固定する。ここで、前面側はメインの表示パネルが表示する側とし、背面側とはその反対側と定義する。このような配置にすることで、保護板は必ず前面側の筐体の上部に配置される。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1のように保護板と表示パネルの間に不要な界面反射を抑制するための外光反射防止層を設ける場合、前面側の筐体は必ず保護板の上側に配置されてしまう。これは表示パネルと保護板を一体化しているためである。このような配置では保護板に機械的な力が作用した場合、その力は直接表示パネルに作用してしまい、表示パネルの耐久性が低下してしまう課題が生じる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は保護板と表示パネルの間に不要な界面反射を抑制するための外光反射防止層をもうける場合に、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、表示パネル及び保護板の間に配置された透明層と、表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、第1の筐体が2つ以上に分離する構成とする。
【0012】
また、表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、表示パネル及び保護板の間に配置された透明層と、表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、第2の筐体は、保護板を支持する支持部材を有する構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の表示装置を示す概略図である。以下、表示装置として携帯電話についてのみ述べるが、本発明はこれに限ったものではなく、例えばPDA(Personal Digital
Assistance),携帯ゲーム機なども含む。
【0016】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と、表示パネル10の一方面側である前面に配置され、それを保護するための透明な保護板11と、表示パネル10の一方面側である前面側に配置された第1の筐体(前面側の筺体12,19)と、これら前面側の筐体12,19と分離可能で、表示パネル10の他方面側である背面側に配置された第2の筐体(背面側の筺体13)と、によって構成されている。また第1の筐体は2つ以上に分離可能であり、図1では前面側の筐体12と(第1の前面側の筐体)と前面側の筐体19(第2の前面側の筐体)とに2つに分離できる構造である。このとき図示していないが、表示パネル10と保護板11の間には外光反射防止するための透明層が設けられ、表示パネル10と保護板11と透明層は一体化している。また、図1には表示部分のみを示しているが、実際には、携帯電話であるため、表示を駆動する駆動部,電話番号を押す電話番号ボタン,音声の入出力を行う入出力部、などの機能が設置されている。
【0017】
このように、表示パネル10と保護板11間に透明層を有する場合、前面側と背面側で筐体が分離でき、且つ前面側の筐体を2つ以上に分離できる構造とすることで、背面側の筐体に表示パネル10,透明層,保護板11とを配置し、その上に分離された前面側の筐体をスライドさせて、分離されたもう1つの前面側筐体に差し込むことができるので、表示画質を劣化させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現できる。さらに表示パネルと、透明層と、保護板とを容易に筐体に収めることができる効果をも達成できる。詳細は後述する。
【0018】
以下順次具体的に説明する。図2は一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14を示す概略図である。
【0019】
表示パネル10は、液晶パネルや、有機エレクトロルミネッセンスパネルなどを用いることができる。また、これらの表示パネルにはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。表示パネル10の表面には、例えば液晶パネルであれば偏光板の保護部材等であり、エレクトロルミネッセンスパネルであれば、ガラスやプラスティック,ポリエーテルサルホン等が用いられる。それらいずれの物も屈折率は1.4から1.6程度である。
【0020】
保護板11は外部からの機械的な力から表示パネル10を保護するために取り付けられている。保護板11としては可視領域に吸収がほとんど無い透明な板を用いることができる。具体的にはアクリルやポリカーボネートなどの透明な樹脂からなる板やガラス板を使用することができる。それらいずれの物も屈折率は表示パネルと同じ1.4から1.6程度である。
【0021】
透明層14は外光反射防止をするために取り付けられている。透明層14の屈折率を
1.4から1.6程度にすることで、表示パネル10の表面層の屈折率と保護板11の表面の屈折率の間でマッチングを取ることができ、外光の反射を防止することができる。
【0022】
この透明層としては、例えばモノマーを熱硬化,光硬化することにより重合させる熱硬化樹脂や、光硬化樹脂、或いはすでに重合が完了している熱可塑性の樹脂を挙げることができる。
【0023】
保護板11と表示パネル10の間に透明層14を充填する方法としては、透明層14が接する部材(保護板、或いは表示パネル)の周縁部に必要に応じて図示しない土手を設け、透明層14としての熱硬化樹脂や光硬化樹脂のモノマーを保護板11と表示パネル15との隙間に充填後、適切な熱、或いは光を与えることにより硬化させるという方法がある。これら樹脂のモノマーとしては、モノマー内の2重結合を用いて重合させるもの、脱水反応により重合させるもの、脱アルコール反応等が挙げられる。
【0024】
モノマー内の2重結合を用いて重合させるものとしてスチレン,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,イソプロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,ヘキシルメタクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,イソプロピルアクリレート,ブチルアクリレート,イソブチルアクリレート等が挙げられる。これらを単独、或いは複数種用いることで透明層を形成する。
【0025】
脱水反応により重合させるモノマーとしては、末端に2個以上の水酸基、或いはグリシジル基、2個以上のアミノ基を有するものと、末端に2個以上のカルボキシル基、或いはカルボン酸無水物構造を有するものが縮重合するものが挙げられる。
【0026】
末端に水酸基を有するものとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール、1,3−ジヒドロキシシクロブタン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5−ジヒドロキシシクロオクタン等、末端にグリシジル基を有するものとしては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル,エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0027】
末端にアミノ基を有するものとしては、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノベンゼン、2,6−ジアミノナフタレン,メラミン等が挙げられる。
【0028】
末端にカルボキシル基を有するものとしては、アジピン酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸,フマル酸,マレイン酸,トリメリト酸,ピロメリト酸等が挙げられる。
【0029】
末端にカルボン酸無水物構造を有するものとしては、無水マレイン酸,無水フタル酸,無水ピロメリト酸等が挙げられる。
【0030】
脱アルコール反応により重合させるものとしては、アルコキシシラン基を有する化合物,アルコキシチタン基を有する化合物が挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,エトキシトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,1−アミノプロピルトリエトキシシラン,1−クロルプロピルトリエトキシシラン,1−グリシジルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
また、ポリイソブチレンのように弾性の高い材料を用いることで、透明層は衝撃に対する緩衝作用を向上させることも可能である。透明層14の硬さとしては、ゴム硬度測定の規格JIS K 6253において、硬度5から硬度40が好適である。これは硬度5未満の場合は長期にわたって透明層14を保持する際の信頼性が下がるおそれがあり、また硬度40を超えると、衝撃に対する緩衝効果が低下する傾向があることを実験,計算等により発見できた。
【0032】
また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン,スチレン/アクリル樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリプロピレン,ポリイソブチレン等が挙げられる。これらはTg以上に加温することにより液状化して充填することができる。
【0033】
尚、本実施例は透明層が液体の場合を除外するものではない。この場合、以下のような方法で透明層を充填することができる。まず透明層の接する部材(保護板、或いは液晶セル)の周囲に図示しないバンクを設け、次に液状の透明層組成物を注入し、気泡が入っている場合は、オートクレーブ等の装置で加圧、或いは加圧・加熱したり、バイブレータ等で振動を与えたり、吸引する等して気泡を除去する。透明層が液状の場合、例えばアルコール(炭素数6以上),ジオール(エチレングリコール,プロピレングリコール等),炭化水素(炭素数10以上),エチレングリコールのモノアルキルエーテル,エチレングリコールのモノアルキルエステル,ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル,ジエチレングリコールのモノアルキルエステル,トリエチレングリコールのモノアルキルエーテル,トリエチレングリコールのモノアルキルエステル等を用いることができる。
【0034】
透明層の厚さは、液体の場合、バンクを形成する際の精度を確保するため、或いは気泡を抜けやすくするため、少なくとも0.1mm 以上が望ましい。また、厚すぎると、外部からの機械的な力から表示パネル10を保護することも可能だが、特に液体の場合、液体の重量が増加するためバンクの液体保持が困難になってくる。
【0035】
このように、透明層を液状として充填する場合、工程や構造が煩雑になる。このため、透明層として液状素材の代わりにシート状の素材を適用することが、その扱い易さと加工性が良いことから望ましい。この場合、シート状の透明層としては、いわゆる透明なエラストマーを用いればよく、その弾性率は1×105〜3×105Paとし、厚さは0.1mm 〜1mm程度とすることが扱い易さの面から望ましい。
【0036】
透明層14は少なくとも表示パネル10の表示領域(画面)を全て覆うように配置される。
【0037】
通常、携帯電話等の表示装置は、表示パネル10と保護板11は独立であるが、外光反射防止をするための透明層14を設置すると、表示パネル10と保護板11は一体化した状態で筺体に設置しなければならない。
【0038】
前面側の筺体12は、表示パネル10および保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに図示はしていないが、前面側の筺体12に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。前面側の筺体12は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0039】
背面側の筺体13は、表示パネル10を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに図示はしていないが、背面側の筺体13に、携帯電話を駆動するための回路やサブディスプレイ等を設置しても良い。背面側の筺体13は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0040】
分離可能な前面側の筺体19は、表示パネル10と保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに、図示はしていないが、分離可能な前面側の筺体19に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。分離可能な前面側の筺体19は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0041】
従来の携帯電話の表示部分の断面構造は、例えば、背面側の筺体に表示パネルが設置され、背面側の筐体と接続された前面側の筺体が設置され、さらにその上に保護板が設置されている。保護板と表示パネルとの間には空気層が存在する。しかしながら、図2に示した外光の反射を防止する層である透明層14を用いた場合、従来の携帯電話を作製する方法では上記のような構成にならない。
【0042】
よって本発明の構成に基づく作製方法について以下説明する。
【0043】
図3に、図1に示したA−A′間の透明層14を用いた携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0044】
透明層14を用いた携帯電話は、背面側の筐体13に、一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14が設置され、背面側の筐体13と接続された前面側の筺体12が設置されている。上述した従来の構成の場合は、保護板11に外部から機械的な力が作用した場合、直接表示パネル10に力は作用せずに、保護板11の縁を前面側の筺体12と空気層15によって支えることができる。一方、図3に示したような構成の場合、保護板11の縁は、前面側の筺体12によって支えられていないために、外部から機械的な力が作用した場合、その力は直接表示パネルに作用する。つまり、保護板の効果が半減してしまう。
【0045】
この課題を解決する方法として、図1を用いて説明した前面側の筐体が分離するような構成が考えられる。図2に示したように、保護板11は表示パネル10よりも大きく、分離可能な前面側の筺体19に差し込めるような構造をしている。このとき、透明層14の大きさは、表示パネル10の大きさ以上であり、保護板11の大きさ以下であればよい。
【0046】
図4に、透明層14を用いながら、分離可能な前面側の筺体19を用いた携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0047】
透明層14を用いながら、分離可能な前面側の筺体19を用いた携帯電話は、背面側の筐体13に、一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14が設置されている。前面側の筐体19には、もう一方の前面側の筐体12を差し込む差込構造、例えば溝部が形成され、スライドさせながら、前面側の筐体12に差し込めるように設置することができる。このような構成にすることで、保護板11の縁は前面側の筐体12もしくは分離可能な前面側の筐体19によって、支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、通常は筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12と分離可能な前面側の筐体19の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0048】
上記課題を解決するために用いることができる構成は図1示された構成だけではなく、保護板11を前面側の筐体12に差し込むような差込構造、例えば溝部が前面側の筐体
12に形成してあっても良く、例えば図5に示されたような構成でも良い。
【0049】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図6に示した。ここで、図6
(a)は図1の構成で、前面側の筐体12と19との接合部20が表示パネル10のほぼ中央部に位置した構造で、図6(b)は図5の構成で、前面側の筐体12と19との接合部20が表示パネル10の端部に位置した構造となっている。
【0050】
このように本実施例の構造によれば、表示パネルの前面に保護板を有し、保護板と表示パネルの間に透明層を有する表示装置において、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0051】
図7は本発明に係る表示装置を他の実施例を示す概略図である。
【0052】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と、表示パネル10の一方面側である前面に配置され、それを保護するための透明な保護板11と、表示パネル10の一方面側である前面側に配置された第1の筐体(前面側の筺体12)と、これら前面側の筐体12に対応する分離可能で、表示パネル10の他方面側である背面側に配置された第2の筐体(背面側の筺体13)と、これら第1の筐体及び第2の筐体と分離可能で、前面及び背面が一体化した第3の筐体(一体化された前面側と背面側の筐体16)と、によって構成されている。このとき図示していないが、表示パネル10と保護板11の間には外光反射防止するための透明層が設けられ、表示パネル10と保護板11と透明層は一体化している。また、図7には表示部分のみを示しているが、実施例1と同様、実際には様々な機能が設置されている。
【0053】
一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14は、実施例1の図2と同様である。また、他の基本的な構成部材は実施例1と同様である。
【0054】
分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16は、表示パネル10と保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに、図示はしていないが、分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0055】
また一体化された前面側と背面側の筐体16は、第1の筐体及び第2の筐体に差し込む差込構造、例えば溝部、または接続構造が形成されている。
【0056】
上記のような構成によって、表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化している場合に、分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16を差し込むことによって、実施例1の図5に示したような、保護板の縁を前面側の筐体12で支えることが可能になる。このような構成にすることで、保護板11の縁は前面側の筐体12もしくは分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16によって、支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、通常は筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12と分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0057】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図8に示した。
【0058】
本実施例は、表示パネル10の前面に保護板11を有し、保護板11と表示パネル10の間に透明層を有する表示装置において、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【実施例3】
【0059】
次に、図9は本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【0060】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化した表示部17と、表示部17の一方面側である背面側の筐体13(第2の筐体)と、その背面側の筐体に接続され、保護板11を支持する支持部材18と、図示されていないが前面側の筐体12(第1の筐体)と、によって構成されている。また、図9には表示部分のみを示しているが、実際には実施例1,2と同様に、様々な機能が設置されている。
【0061】
一体化された表示部17は、実施例1の図2と同様な構成である。また、他の基本的な構成部材は実施例1と同様である。
【0062】
保護板を支持する支持部材18は、本実施例では保護板11の縁を支持するために設置されている。保護板の支持部材18は、保護板11の縁を支持できれば部材は特に限定されず、例えば、プラスティックや金属、もしくはゴムのような弾性体でもかまわない。また、保護板の支持部材18は背面側の筐体13と完全に一体化されていても良い。また、保護板の支持部材18は、図9に示されているように外周すべてを覆い尽くす必要はなく、ある一部だけでもかまわない。
【0063】
図10に図9に示したB−B′間の本実施例によって構成された携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0064】
表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化している場合に、保護板11は背面側の筐体13に設置されている保護板の支持部材18によって支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0065】
上記課題を解決するためには、保護板の支持部材18の形状は図10のようなものだけに限ったわけではなく、例えば図11のように、前面側の筐体12に保護板の支持部材
18と背面側の筐体13の両方が設置されても良い。
【0066】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図12に示した。このようにすれば、前面側の筐体と背面側の筐体との接続部20のみだけで接続できるので、部品点数を少なくすることができる。
【0067】
本実施例は、表示パネルの前面に保護板を有し、保護板と表示パネルの間に透明層を有する表示装置において、表部品点数を抑え、且つ表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の表示パネルと保護板と透明層の一断面例を示す図である。
【図3】本発明に係る表示装置の表示部分の一断面例を示す図である。
【図4】本発明に係る表示装置の表示部分の他の断面例を示す図である。
【図5】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図6】図5の表示装置の一完成例を示す図である。
【図7】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図8】図7の表示装置の一完成例を示す図である。
【図9】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図10】図9の表示パネルと保護板と透明層の一断面例を示す図である。
【図11】図9の表示パネルと保護板と透明層の他の断面例を示す図である。
【図12】図9の表示装置の一完成例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10…表示パネル、11…保護板、12…前面側の筺体、13…背面側の筺体、14…透明層、16…一体化された前面側と背面側の筐体、17…表示部、18…支持部材、
19…前面側の筺体、20…接合部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの前面に透明な保護板を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯機器に搭載される表示装置としては、液晶表示装置や、有機エレクトロルミネッセンス表示装置がある。これらの表示装置にはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでその説明はここでは省略する。
【0003】
このような表示装置が携帯電話や携帯ゲーム機器などの携帯装置に搭載される場合には、外部からの機械的な力の作用により表示が乱れること、さらには破壊してしまうことを防止するため、表示パネルの前面に透明な保護板を設ける。このとき、外部からの機械的な力が直接表示パネルに作用しないように、保護板は表示装置の筐体に固定されている。
【0004】
保護板は空気と異なる屈折率を有するため、保護板と空気との界面では反射が生じる。つまり、保護板を備える表示パネルでは、保護板の前面と背面で不要な界面反射が生じるため、特に周囲の環境が明るい場合には表示装置の視認性が著しく損なわれてしまう。
【0005】
保護板を備えることにより生じる不要な反射を抑制する方法として、例えば特許文献1には、保護板と表示パネルとの間に保護板と略同一の屈折率の液状材料で構成される外光反射防止層を設ける表示装置が開示されている。
【0006】
この場合、保護板と外光反射防止層との間の境界面や外光反射防止層と表示パネルとの間の境界面での反射を抑制することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平5−11239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置を作製する際、一般的には背面側の筐体に表示パネルを固定した後、前面側の筐体を固定する。ここで、前面側はメインの表示パネルが表示する側とし、背面側とはその反対側と定義する。このような配置にすることで、保護板は必ず前面側の筐体の上部に配置される。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1のように保護板と表示パネルの間に不要な界面反射を抑制するための外光反射防止層を設ける場合、前面側の筐体は必ず保護板の上側に配置されてしまう。これは表示パネルと保護板を一体化しているためである。このような配置では保護板に機械的な力が作用した場合、その力は直接表示パネルに作用してしまい、表示パネルの耐久性が低下してしまう課題が生じる。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は保護板と表示パネルの間に不要な界面反射を抑制するための外光反射防止層をもうける場合に、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、表示パネル及び保護板の間に配置された透明層と、表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、第1の筐体が2つ以上に分離する構成とする。
【0012】
また、表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、表示パネル及び保護板の間に配置された透明層と、表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、第2の筐体は、保護板を支持する支持部材を有する構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の表示装置を示す概略図である。以下、表示装置として携帯電話についてのみ述べるが、本発明はこれに限ったものではなく、例えばPDA(Personal Digital
Assistance),携帯ゲーム機なども含む。
【0016】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と、表示パネル10の一方面側である前面に配置され、それを保護するための透明な保護板11と、表示パネル10の一方面側である前面側に配置された第1の筐体(前面側の筺体12,19)と、これら前面側の筐体12,19と分離可能で、表示パネル10の他方面側である背面側に配置された第2の筐体(背面側の筺体13)と、によって構成されている。また第1の筐体は2つ以上に分離可能であり、図1では前面側の筐体12と(第1の前面側の筐体)と前面側の筐体19(第2の前面側の筐体)とに2つに分離できる構造である。このとき図示していないが、表示パネル10と保護板11の間には外光反射防止するための透明層が設けられ、表示パネル10と保護板11と透明層は一体化している。また、図1には表示部分のみを示しているが、実際には、携帯電話であるため、表示を駆動する駆動部,電話番号を押す電話番号ボタン,音声の入出力を行う入出力部、などの機能が設置されている。
【0017】
このように、表示パネル10と保護板11間に透明層を有する場合、前面側と背面側で筐体が分離でき、且つ前面側の筐体を2つ以上に分離できる構造とすることで、背面側の筐体に表示パネル10,透明層,保護板11とを配置し、その上に分離された前面側の筐体をスライドさせて、分離されたもう1つの前面側筐体に差し込むことができるので、表示画質を劣化させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を実現できる。さらに表示パネルと、透明層と、保護板とを容易に筐体に収めることができる効果をも達成できる。詳細は後述する。
【0018】
以下順次具体的に説明する。図2は一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14を示す概略図である。
【0019】
表示パネル10は、液晶パネルや、有機エレクトロルミネッセンスパネルなどを用いることができる。また、これらの表示パネルにはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。表示パネル10の表面には、例えば液晶パネルであれば偏光板の保護部材等であり、エレクトロルミネッセンスパネルであれば、ガラスやプラスティック,ポリエーテルサルホン等が用いられる。それらいずれの物も屈折率は1.4から1.6程度である。
【0020】
保護板11は外部からの機械的な力から表示パネル10を保護するために取り付けられている。保護板11としては可視領域に吸収がほとんど無い透明な板を用いることができる。具体的にはアクリルやポリカーボネートなどの透明な樹脂からなる板やガラス板を使用することができる。それらいずれの物も屈折率は表示パネルと同じ1.4から1.6程度である。
【0021】
透明層14は外光反射防止をするために取り付けられている。透明層14の屈折率を
1.4から1.6程度にすることで、表示パネル10の表面層の屈折率と保護板11の表面の屈折率の間でマッチングを取ることができ、外光の反射を防止することができる。
【0022】
この透明層としては、例えばモノマーを熱硬化,光硬化することにより重合させる熱硬化樹脂や、光硬化樹脂、或いはすでに重合が完了している熱可塑性の樹脂を挙げることができる。
【0023】
保護板11と表示パネル10の間に透明層14を充填する方法としては、透明層14が接する部材(保護板、或いは表示パネル)の周縁部に必要に応じて図示しない土手を設け、透明層14としての熱硬化樹脂や光硬化樹脂のモノマーを保護板11と表示パネル15との隙間に充填後、適切な熱、或いは光を与えることにより硬化させるという方法がある。これら樹脂のモノマーとしては、モノマー内の2重結合を用いて重合させるもの、脱水反応により重合させるもの、脱アルコール反応等が挙げられる。
【0024】
モノマー内の2重結合を用いて重合させるものとしてスチレン,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,イソプロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,ヘキシルメタクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,イソプロピルアクリレート,ブチルアクリレート,イソブチルアクリレート等が挙げられる。これらを単独、或いは複数種用いることで透明層を形成する。
【0025】
脱水反応により重合させるモノマーとしては、末端に2個以上の水酸基、或いはグリシジル基、2個以上のアミノ基を有するものと、末端に2個以上のカルボキシル基、或いはカルボン酸無水物構造を有するものが縮重合するものが挙げられる。
【0026】
末端に水酸基を有するものとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール、1,3−ジヒドロキシシクロブタン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5−ジヒドロキシシクロオクタン等、末端にグリシジル基を有するものとしては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル,エチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0027】
末端にアミノ基を有するものとしては、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノベンゼン、2,6−ジアミノナフタレン,メラミン等が挙げられる。
【0028】
末端にカルボキシル基を有するものとしては、アジピン酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸,フマル酸,マレイン酸,トリメリト酸,ピロメリト酸等が挙げられる。
【0029】
末端にカルボン酸無水物構造を有するものとしては、無水マレイン酸,無水フタル酸,無水ピロメリト酸等が挙げられる。
【0030】
脱アルコール反応により重合させるものとしては、アルコキシシラン基を有する化合物,アルコキシチタン基を有する化合物が挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,メチルトリメトキシシラン,エトキシトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,1−アミノプロピルトリエトキシシラン,1−クロルプロピルトリエトキシシラン,1−グリシジルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
また、ポリイソブチレンのように弾性の高い材料を用いることで、透明層は衝撃に対する緩衝作用を向上させることも可能である。透明層14の硬さとしては、ゴム硬度測定の規格JIS K 6253において、硬度5から硬度40が好適である。これは硬度5未満の場合は長期にわたって透明層14を保持する際の信頼性が下がるおそれがあり、また硬度40を超えると、衝撃に対する緩衝効果が低下する傾向があることを実験,計算等により発見できた。
【0032】
また、熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン,スチレン/アクリル樹脂,アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリプロピレン,ポリイソブチレン等が挙げられる。これらはTg以上に加温することにより液状化して充填することができる。
【0033】
尚、本実施例は透明層が液体の場合を除外するものではない。この場合、以下のような方法で透明層を充填することができる。まず透明層の接する部材(保護板、或いは液晶セル)の周囲に図示しないバンクを設け、次に液状の透明層組成物を注入し、気泡が入っている場合は、オートクレーブ等の装置で加圧、或いは加圧・加熱したり、バイブレータ等で振動を与えたり、吸引する等して気泡を除去する。透明層が液状の場合、例えばアルコール(炭素数6以上),ジオール(エチレングリコール,プロピレングリコール等),炭化水素(炭素数10以上),エチレングリコールのモノアルキルエーテル,エチレングリコールのモノアルキルエステル,ジエチレングリコールのモノアルキルエーテル,ジエチレングリコールのモノアルキルエステル,トリエチレングリコールのモノアルキルエーテル,トリエチレングリコールのモノアルキルエステル等を用いることができる。
【0034】
透明層の厚さは、液体の場合、バンクを形成する際の精度を確保するため、或いは気泡を抜けやすくするため、少なくとも0.1mm 以上が望ましい。また、厚すぎると、外部からの機械的な力から表示パネル10を保護することも可能だが、特に液体の場合、液体の重量が増加するためバンクの液体保持が困難になってくる。
【0035】
このように、透明層を液状として充填する場合、工程や構造が煩雑になる。このため、透明層として液状素材の代わりにシート状の素材を適用することが、その扱い易さと加工性が良いことから望ましい。この場合、シート状の透明層としては、いわゆる透明なエラストマーを用いればよく、その弾性率は1×105〜3×105Paとし、厚さは0.1mm 〜1mm程度とすることが扱い易さの面から望ましい。
【0036】
透明層14は少なくとも表示パネル10の表示領域(画面)を全て覆うように配置される。
【0037】
通常、携帯電話等の表示装置は、表示パネル10と保護板11は独立であるが、外光反射防止をするための透明層14を設置すると、表示パネル10と保護板11は一体化した状態で筺体に設置しなければならない。
【0038】
前面側の筺体12は、表示パネル10および保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに図示はしていないが、前面側の筺体12に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。前面側の筺体12は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0039】
背面側の筺体13は、表示パネル10を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに図示はしていないが、背面側の筺体13に、携帯電話を駆動するための回路やサブディスプレイ等を設置しても良い。背面側の筺体13は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0040】
分離可能な前面側の筺体19は、表示パネル10と保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに、図示はしていないが、分離可能な前面側の筺体19に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。分離可能な前面側の筺体19は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0041】
従来の携帯電話の表示部分の断面構造は、例えば、背面側の筺体に表示パネルが設置され、背面側の筐体と接続された前面側の筺体が設置され、さらにその上に保護板が設置されている。保護板と表示パネルとの間には空気層が存在する。しかしながら、図2に示した外光の反射を防止する層である透明層14を用いた場合、従来の携帯電話を作製する方法では上記のような構成にならない。
【0042】
よって本発明の構成に基づく作製方法について以下説明する。
【0043】
図3に、図1に示したA−A′間の透明層14を用いた携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0044】
透明層14を用いた携帯電話は、背面側の筐体13に、一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14が設置され、背面側の筐体13と接続された前面側の筺体12が設置されている。上述した従来の構成の場合は、保護板11に外部から機械的な力が作用した場合、直接表示パネル10に力は作用せずに、保護板11の縁を前面側の筺体12と空気層15によって支えることができる。一方、図3に示したような構成の場合、保護板11の縁は、前面側の筺体12によって支えられていないために、外部から機械的な力が作用した場合、その力は直接表示パネルに作用する。つまり、保護板の効果が半減してしまう。
【0045】
この課題を解決する方法として、図1を用いて説明した前面側の筐体が分離するような構成が考えられる。図2に示したように、保護板11は表示パネル10よりも大きく、分離可能な前面側の筺体19に差し込めるような構造をしている。このとき、透明層14の大きさは、表示パネル10の大きさ以上であり、保護板11の大きさ以下であればよい。
【0046】
図4に、透明層14を用いながら、分離可能な前面側の筺体19を用いた携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0047】
透明層14を用いながら、分離可能な前面側の筺体19を用いた携帯電話は、背面側の筐体13に、一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14が設置されている。前面側の筐体19には、もう一方の前面側の筐体12を差し込む差込構造、例えば溝部が形成され、スライドさせながら、前面側の筐体12に差し込めるように設置することができる。このような構成にすることで、保護板11の縁は前面側の筐体12もしくは分離可能な前面側の筐体19によって、支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、通常は筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12と分離可能な前面側の筐体19の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0048】
上記課題を解決するために用いることができる構成は図1示された構成だけではなく、保護板11を前面側の筐体12に差し込むような差込構造、例えば溝部が前面側の筐体
12に形成してあっても良く、例えば図5に示されたような構成でも良い。
【0049】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図6に示した。ここで、図6
(a)は図1の構成で、前面側の筐体12と19との接合部20が表示パネル10のほぼ中央部に位置した構造で、図6(b)は図5の構成で、前面側の筐体12と19との接合部20が表示パネル10の端部に位置した構造となっている。
【0050】
このように本実施例の構造によれば、表示パネルの前面に保護板を有し、保護板と表示パネルの間に透明層を有する表示装置において、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0051】
図7は本発明に係る表示装置を他の実施例を示す概略図である。
【0052】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と、表示パネル10の一方面側である前面に配置され、それを保護するための透明な保護板11と、表示パネル10の一方面側である前面側に配置された第1の筐体(前面側の筺体12)と、これら前面側の筐体12に対応する分離可能で、表示パネル10の他方面側である背面側に配置された第2の筐体(背面側の筺体13)と、これら第1の筐体及び第2の筐体と分離可能で、前面及び背面が一体化した第3の筐体(一体化された前面側と背面側の筐体16)と、によって構成されている。このとき図示していないが、表示パネル10と保護板11の間には外光反射防止するための透明層が設けられ、表示パネル10と保護板11と透明層は一体化している。また、図7には表示部分のみを示しているが、実施例1と同様、実際には様々な機能が設置されている。
【0053】
一体化された表示パネル10と保護板11と透明層14は、実施例1の図2と同様である。また、他の基本的な構成部材は実施例1と同様である。
【0054】
分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16は、表示パネル10と保護板11を固定し、携帯電話としての形を成すために設置されている。さらに、図示はしていないが、分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16に、携帯電話を駆動するための回路等を設置しても良い。分離可能な一体化された前面側と背面側の筐体16は、落としても破壊しない程度に丈夫であればよく、プラスティックや金属などが使用できる。
【0055】
また一体化された前面側と背面側の筐体16は、第1の筐体及び第2の筐体に差し込む差込構造、例えば溝部、または接続構造が形成されている。
【0056】
上記のような構成によって、表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化している場合に、分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16を差し込むことによって、実施例1の図5に示したような、保護板の縁を前面側の筐体12で支えることが可能になる。このような構成にすることで、保護板11の縁は前面側の筐体12もしくは分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16によって、支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、通常は筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12と分離可能な一体化した前面側と背面側の筐体16の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0057】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図8に示した。
【0058】
本実施例は、表示パネル10の前面に保護板11を有し、保護板11と表示パネル10の間に透明層を有する表示装置において、表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【実施例3】
【0059】
次に、図9は本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【0060】
本実施例の表示装置は、表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化した表示部17と、表示部17の一方面側である背面側の筐体13(第2の筐体)と、その背面側の筐体に接続され、保護板11を支持する支持部材18と、図示されていないが前面側の筐体12(第1の筐体)と、によって構成されている。また、図9には表示部分のみを示しているが、実際には実施例1,2と同様に、様々な機能が設置されている。
【0061】
一体化された表示部17は、実施例1の図2と同様な構成である。また、他の基本的な構成部材は実施例1と同様である。
【0062】
保護板を支持する支持部材18は、本実施例では保護板11の縁を支持するために設置されている。保護板の支持部材18は、保護板11の縁を支持できれば部材は特に限定されず、例えば、プラスティックや金属、もしくはゴムのような弾性体でもかまわない。また、保護板の支持部材18は背面側の筐体13と完全に一体化されていても良い。また、保護板の支持部材18は、図9に示されているように外周すべてを覆い尽くす必要はなく、ある一部だけでもかまわない。
【0063】
図10に図9に示したB−B′間の本実施例によって構成された携帯電話の表示部分の断面図について一例を示した。
【0064】
表示パネル10と保護板11と透明層14が一体化している場合に、保護板11は背面側の筐体13に設置されている保護板の支持部材18によって支えられているため外部から機械的な力が作用したとしても、直接表示パネル10に機械的な力が作用することはない。さらに、透明層14によっても力が吸収されるので、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を作ることができる。また、筐体に表示パネル10を保持するための部分は非表示領域になってしまうが、前面側の筐体12の保護板11を支えている部分を透明にすることで、有効表示領域にすることができる。
【0065】
上記課題を解決するためには、保護板の支持部材18の形状は図10のようなものだけに限ったわけではなく、例えば図11のように、前面側の筐体12に保護板の支持部材
18と背面側の筐体13の両方が設置されても良い。
【0066】
実際に本実施例によって形成される携帯電話の形態例を図12に示した。このようにすれば、前面側の筐体と背面側の筐体との接続部20のみだけで接続できるので、部品点数を少なくすることができる。
【0067】
本実施例は、表示パネルの前面に保護板を有し、保護板と表示パネルの間に透明層を有する表示装置において、表部品点数を抑え、且つ表示画質を低下させずに、外部から機械的な力が作用しても不具合が生じにくい表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る表示装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1の表示パネルと保護板と透明層の一断面例を示す図である。
【図3】本発明に係る表示装置の表示部分の一断面例を示す図である。
【図4】本発明に係る表示装置の表示部分の他の断面例を示す図である。
【図5】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図6】図5の表示装置の一完成例を示す図である。
【図7】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図8】図7の表示装置の一完成例を示す図である。
【図9】本発明に係る表示装置の他の実施例を示す概略図である。
【図10】図9の表示パネルと保護板と透明層の一断面例を示す図である。
【図11】図9の表示パネルと保護板と透明層の他の断面例を示す図である。
【図12】図9の表示装置の一完成例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10…表示パネル、11…保護板、12…前面側の筺体、13…背面側の筺体、14…透明層、16…一体化された前面側と背面側の筐体、17…表示部、18…支持部材、
19…前面側の筺体、20…接合部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、
前記表示パネル及び前記保護板の間に配置された透明層と、
前記表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、
前記表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、
前記第1の筐体が2つ以上に分離することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示パネルと、
前記表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、
前記表示パネル及び前記保護板の間に配置された透明層と、
前記表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、
前記表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、
前記第2の筐体は、前記保護板を支持する支持部材を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記保護板は、前記表示パネルよりも大きな面を有することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置において、
前記2つ以上に分離された第1の筐体のうち、少なくとも1つの第1の筐体は、他の第1の筐体に差し込む差込構造を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記表示パネルは、一対の基板に液晶層が挟持された液晶パネルであることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記表示パネルは、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルであることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、
前記表示パネル及び前記保護板の間に配置された透明層と、
前記表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、
前記表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、
前記第1の筐体が2つ以上に分離することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示パネルと、
前記表示パネルの一方面側に配置された透明な保護板と、
前記表示パネル及び前記保護板の間に配置された透明層と、
前記表示パネルの一方面側に配置された第1の筐体と、
前記表示パネルの他方面側に配置された第2の筐体と、を有し、
前記第2の筐体は、前記保護板を支持する支持部材を有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記保護板は、前記表示パネルよりも大きな面を有することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置において、
前記2つ以上に分離された第1の筐体のうち、少なくとも1つの第1の筐体は、他の第1の筐体に差し込む差込構造を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記表示パネルは、一対の基板に液晶層が挟持された液晶パネルであることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2記載の表示装置において、
前記表示パネルは、発光層を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルであることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−140220(P2007−140220A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335114(P2005−335114)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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