説明

表示装置

【課題】観察側に照明部を備えた表示装置において、明るい環境下及び暗い環境下の両方において、明るく、コントラストの高い表示を実現することができる。
【解決手段】反射液晶表示部300に配置された照明部200を備え、照明部200は、第1の透明基板10と、シール層を介して前記第1の基板に接合された第2の透明基板20と、第1の基板の表面に配置され、透明電極材料からなる陽極層13と、この陽極層を覆って形成された有機層14と、この有機層を介して陽極層に重畳される位置に所定のパターンを有して形成され、前記画素の配置ピッチの方向に対して、配置ピッチが斜め方向に角度を付けて配置された陰極層15と、この陰極層を覆って形成された透明電極層(18)を有する有機エレクトロルミネッセンス素子とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射液晶表示部上に照明部を備えた反射型又は半透過型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以下LCDという)は、薄型で低消費電力であるという特徴を備え、現在コンピュータのモニターや、携帯電話等の携帯情報機器のモニターとして広く用いられている。LCDには、透過型LCD、反射型LCD、半透過型LCDがある。
【0003】
透過型LCDは、液晶に電圧を印加するための画素電極として透明電極を用い、LCDの後方にバックライトを配置し、このバックライトの透過光量を制御することで周囲が暗くても明るい表示ができる。しかし、昼間の屋外のように外光が強い環境では、十分なコントラストが確保できない特性がある。
【0004】
反射型LCDは、太陽光や室内灯などの外光を光源として用い、LCDに入射するこれらの外光を、観察面側の基板に形成した反射層から成る反射画素電極によって反射する。
そして、液晶に入射し、反射画素電極で反射された光のLCDパネルからの射出光量を画素毎に制御することで表示を行う。この反射LCDは、光源として外光を用いるため、外光がない環境では表示を行えないという問題がある。
【0005】
半透過型LCDは、透過機能と反射機能の両方を併せ持ち、周囲が明るい環境にも暗い環境にも対応することができる。しかしながら、この半透過型LCDでは、1つの画素内に、透過領域と反射領域を有するため、1画素当たりの表示効率が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、反射型LCDにフロントライトを設けることで暗い環境下でも表示を可能とすることが考えられた。図18はフロントライトが設けられた反射型LCDを示す図である。反射型LCD100の表示面に対向して透明アクリル板110が配置されている。この透明アクリル板110の反射型LCDと対向する面と反対側の面には複数の逆三角形状の溝111が形成されている。また、透明アクリル板110の側面には光源112が配置されている。光源112から透明アクリル板110に導入された光は、溝111の傾斜面で反射型LCD100の方向に屈折され、反射型LCD100の表示面に入射される。
【特許文献1】特開平5−325586号公報
【特許文献2】特開2003−255375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光源112から透明アクリル板110の中に導入された光は、透明アクリル板110に設けられた溝111の傾斜面で反射型LCD100の方向に屈折されるとともに、それとは逆方向である観察者113がいる方向にも多少は屈折されるため、その光が透明アクリル110から漏れ出て観察者の目に入り、LCDのコントラストを低下させるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示装置は、上記課題に鑑みなされたものであり、表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部(反射液晶表示部300)と、この表示部の観察側に部分的に設けられ、表示部に向けて光を照射する照明部(照明部200)と、を含み、観察側から入射してくる外光と、照明部からの光のいずれかまたは両方を表示部に照射し、表示部からの反射光を観察側に放射する表示装置であって、前記照明部は、前記表示部にその裏面が配置された第1の基板(第1の透明基板10)と、シール層を介して前記第1の基板に接合された第2の基板(第2の透明基板20)と、前記第1の基板と第2の基板間に第1の方向に沿って配置されたエレクトロルミネッセンス素子からなる発光部とを備え、前記表示部は、第2の方向に沿って配置された複数の画素を有し、前記発光部から発生された光を受ける反射画素電極が各画素の中に形成された第3の基板と、前記第3の基板上に配置され、その表面に共通電極が形成された第4の基板と、前記第3の基板と第4の基板との間に封入された液晶層と、を備え、前記照明装置の発光部が配置される第1の方向と前記反射液晶表示部が配置される第2の方向が交差することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置は、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機エレクトロルミネッセンス素子から発光した光が、その有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている基板側に出射するタイプ)をフロントライトとして採用したものであり、明るい環境下及び暗い環境下の両方において、明るく、コントラストの高い液晶表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の第1の実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、反射型液晶表示装置の全体構成を示した図である。図において、反射液晶表示部300(反射型の液晶表示装置)上に照明部200(フロントライトタイプの照明装置)が接合されている。照明部200の構成は以下の通りである。ガラス基板等からなる第1の透明基板10と第2の透明基板20とは、互いの周端部に塗布された樹脂等からなるシール層11を介して接着されている。
【0011】
第1の透明基板10の裏面は反射液晶表示部300に接合されており、第1の透明基板10の表面に有機エレクトロルミネッセンス素子12(以下、「有機EL素子12」と称する)が形成されている。これにより、有機EL素子12は、第1の透明基板10、第2の透明基板20及びシール層11によって囲まれた空間に封入されている。また、有機EL素子12は、反射液晶表示部300の画素領域310(図3参照)に対応する領域に形成されている。
【0012】
有機EL素子12は、第1の透明基板10上に形成された陽極層13と、この陽極層13を覆って形成された有機層14と、この有機層32上に島状(アイランド状)のパターンを有して形成された複数の陰極層15と、この陰極層15に覆って形成され、前記陰極層15と電気的に接続された透明電極層18とを有する。島状に形成する陰極層15は、発光部平面の形状を面積当りの周囲長さが最短となるような形状に形成する。即ち、島状の発光部平面の形状は、図2Cに示したように円形が好ましいが、図2Aに示したように正方形、又は、図2Bに示したように長方形に形成しても良く、その他、楕円、菱型、多角形形状であってもよい。島状に形成する陰極層15の発光部平面の形状は、マスク設計や成膜などの製造上の都合を顧慮して、適宜、選択することができる。
【0013】
このように陰極層15を島状に形成することで、発光部平面の面積当りの周囲長さを短くすることができる。これにより陰極層15の発光部平面の面積が同じの場合、陰極層15の発光部平面の形状をライン状又は格子状に形成したものに比べ、発光部平面の周囲長さを短くすることができるので、該発光部の周囲から漏れる光(漏れ光)を最小限にして、表示画面のコントラストを向上することができる。
【0014】
また、陰極層15を島状に形成することで、陰極層15を人の目に見えにくくすることもできるようになった。すなわち、表示装置全体における陰極層15の発光部平面の面積が同じ場合、陰極層15のピッチ(配置間隔)が小さくほど、人の目に見えにくくすることができるが、ピッチを小さくすると、漏れ光の原因となる発光部平面の周囲長が長くなってしまう。しかし、陰極層15の発光部平面の形状を島状に形成することで、ライン状又は格子状に形成したものに比べ、発光部平面の周囲長を短くすることができるので、漏れ光の影響を最小限にして、コントラストを向上することができる。更に、ライン状又は格子状に形成したものでは、製造上の微細化の限界により、ラインピッチを小さくすると、発光占有面積が大きくなり、光利用効率が悪くなってしまうが、陰極層15の形状を島状とすることで、このような問題も解決することができる。
【0015】
陽極層13は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料からなる。有機層14は、電子輸送層、発光層、正孔輸送層からなる。陰極層15は例えば、アルミニウム層(Al層)、又はマグネシウム層(Mg層)と銀層(Ag層)からなる積層体である。また、透明電極層18は、ITOやIZO等の透明導電材料からなる。ここで、陽極層13の厚さは100nm、有機層14の厚さは200nm、陰極層15の厚さは500nmであることが好ましい。
【0016】
陽極層13と陰極層15で上下に挟まれた有機層14の部分が発光領域となる。即ち、陰極層15の直下にある有機層14が発光領域である。発光領域は陽極層13に正の電位、陰極層15に負の電位を印加することで発光する。
【0017】
前記発光領域から下方へ向かう光は、透明な陽極層13及び第1の透明基板10を通して反射液晶表示部300へ照射される。また発光領域から上方へ向かう光の大部分は遮光層及び反射層を兼ねる陰極層15によって、下方へ反射され、透明な陽極層13及び第1の透明基板10を通して反射液晶表示部300へ照射される。したがって、照明部200の上方にいて下方を見ている観察者の目に発光領域からの光が直接入ることが極力防止され、反射液晶表示部300のコントラストを高くすることができる。
【0018】
陽極層13はITOやIZO等の透明導電材料を第1の透明基板10上に形成した後に、フォトエッチング技術を用いることで、所望の領域に形成することができる。また、有機層14及び陰極層15については、マスクを用いた蒸着法により所望の領域に形成することができる。
【0019】
また、有機EL素子12は水分の浸入によって発光特性が劣化するので、これを防止するために、第2の透明基板20の表面に第1の透明基板10と対面するように乾燥剤層16を形成することが好ましい。シール層11を通して封止空間に浸入した水分は乾燥剤層16によって吸収される。
【0020】
乾燥剤層16は、第2の透明基板20を通して有機EL素子12へ入射する外光が遮られるのを避けるために、有機EL素子12と重ならないように、第2の透明基板20の周端部に形成することが好ましい。ただし、乾燥剤層16が透明材料からなる場合にはこの限りではない。また、第2の透明基板20の裏面には外光の反射を防止するため、反射防止膜21が貼り付けられていることが好ましい。
【0021】
また、図3に示すように、第1の透明基板10、透明電極層18及びシール層11によって囲まれた空間に、第1の透明基板の屈折率と等しいか、概ね等しい屈折率を有する樹脂17を充填してもよい。また、樹脂17とシール層11とを一体として形成してもよい。
【0022】
これにより、シール層11を通して浸入する水分を確実にブロックすることができる。
また、図1の構造では、有機EL素子12と透明電極層18の間に空気層が存在するため、第2の透明基板20から透明電極層18に入射した外光は、空気層と透明電極層18の界面で反射され、液晶表示のコントラストが悪化してしまう。これに対して、図3の構造によれば、第2の透明基板20から透明電極層18に入射した外光は、透明電極層18の界面で反射されずに、反射液晶表示部300に入射されるので液晶表示のコントラストが改善される。なお、図3の構造において、図1の乾燥剤層16を設けてもよい。
【0023】
次に、上述の照明部200によって照明される反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、液晶表示部300の画素領域310の一部の平面図、図5は図4のX−X線に沿った断面図である。
【0024】
ガラス基板からなる第3の透明基板30(TFT基板)上に設けられた複数の画素のそれぞれにスイッチング用の薄膜トランジスタ31(以下、TFTと称する)が形成されている。TFT31は層間絶縁膜32によって被覆されており、層間絶縁膜32上には各TFT31に対応してアルミニウム(Al)のような反射材料からなる反射画素電極33が形成されている。反射画素電極33は対応するTFT31のドレイン又はソースに、層間絶縁膜32に形成されたコンタクトホールCHを通して接続されている。
【0025】
反射画素電極33が形成された第3の透明基板30と対向して、ガラス基板からなる第4の透明基板34(対向基板)が配置されている。第4の透明基板34の表面にはITOからなる共通電極35が形成されている。第4の透明基板34の裏面には、拡散粘着層からなる光散乱層36、偏光板37がこの順番で積層されている。尚、偏光板37は、直線偏光フィルタの裏面にλ/4位相差板を張り合わせた円偏光フィルタである。光散乱層36は照明部200からの光を散乱して、画素電極33に均一に照射されるようにするためのものである。この第4の透明基板34と第3の透明基板30の間に液晶層40が封入されている。液晶層40は、視覚特性、コントラストの優れたVA(垂直配向)方式が最適である。
【0026】
上述の構成によれば、照明部200から放射される光及び外光は、偏光板37によって円偏光となり、さらに光散乱層36、第4の透明基板34、共通電極35を通過して液晶層40に導入され、反射画素電極33によって反射される。ここで、液晶層40がVA方式であって、且つ、電圧が印加されていない場合は、液晶層40を透過しても、偏光が変化しないので、反射画素電極33によって反射された光は、同じ経路を逆戻りして、円偏光板37を通過できないために黒表示となる。他方、電圧が印加されている場合は、画素電極33と共通電極35の間に印加される電界によって、光の透過率が画素毎に変化する。これにより、反射画素電極33によって反射される光の強度が画素毎に変化することでLCD表示を実現することができる。このLCDからの光は、島状に形成された陰極層15の隙間を通して観察者に視認される。
【0027】
このとき、画素電極33と共通電極35の間に印加される電界によって、光の透過率が画素毎に変化する。これにより、反射画素電極33によって反射される光の強度が画素毎に変化することでLCD表示を実現することができる。前述したように、照明部200の陰極層15が遮光層として機能するため、有機EL素子12の発光領域からの光の漏れが極力防止され、液晶表示のコントラストを高くすることができる。
【0028】
照明部200は反射液晶表示部300の上方に近接して配置されることが好ましい。しかしながら、照射部200と反射液晶表示部300の間に空気層が存在すると、照明部200の第1の透明基板10から放射された光が空気層に入るときに、第1の透明基板10と空気層の界面で反射して、その反射光が観測者側に戻り、コントラストを低下させるおそれがある。
【0029】
そこで、第1の透明基板10と同じ屈折率を有した樹脂層45(例えばUV硬化樹脂層又は可視光硬化樹脂層)を介して照射装置200と反射液晶表示部300とを接合することで、光の屈折を防止することが好ましい。
【0030】
次に、照明部200と反射型LCD300の画素との配置関係について説明する。図4に示すように、反射液晶表示部300の画素領域310において、赤、緑、青の3原色に対応する3種類の画素R、G、Bが行方向(x)及び列方向(y)に配列されている。図4Aは行毎に画素R、G、Bをずらしたデルタ配列であるが、これに限らず、行毎に画素R、G、Bが整列されたストライプ配列であってもよい。照明部200の島状に形成された複数の陰極層15は、各画素R、G、Bの境界に沿って行方向(x)に並んで配置されている。
【0031】
各画素は、1つのTFT31、1つの反射画素電極33を有する。照明部200の陰極層15の行間ピッチP1は画素の行間ピッチP2と等しい。また、照明部200の陰極層15の列間ピッチQ1は画素の行間ピッチQ2と等しい。また、図4Aに示したように照明部200の陰極層15は、液晶表示に寄与しない反射画素電極33の離間領域SRの真上に配置することが好ましい。これにより、反射画素電極33で反射された光の大部分が陰極層15によって遮られることなく複数の陰極層15の隙間を通って観察者に視認されるようになる利点がある。
【0032】
他方、照明部200の陰極層15は、反射画素電極33の真上に配置する構成であってもよい。陰極層15を島状に形成することにより、陰極層15の配置ピッチを小さくして、人の目に見えにくく且つ発光効率のよいフロントライトとすることができるので、陰極層15の配置位置の自由度を向上させることができる。
また、図4Bに示したように陰極層15と反射画素電極33の配置ピッチを異ならせて、対応位置関係を不規則的に配置する構成としてもよい。
【0033】
例えば、照明部200の陰極層15の行間ピッチP1は、画素の行間ピッチP2よりも小さく、かつ画素の行間ピッチP2に対する陰極層15の行間ピッチP1の比(=P1/P2)を1/自然数としてもよい。照明部200の陰極層15の行間ピッチと画素の行間ピッチが同じであると、液晶表示において干渉縞やモアレ縞が生じるが、このように設定することでそれらの現象を防止することができる。
【0034】
また、逆に、照明部200の陰極層15の行間ピッチP1は、画素の行間ピッチP2よりも大きく、かつ画素の行間ピッチP2に対する陰極層15の行間ピッチP1の比(P1/P2)を自然数としてもよい。このように設定することで干渉縞やモアレ縞(moire)を防止することができる。
【0035】
また、照明部200の陰極層15の列間ピッチQ1は、画素の列間ピッチQ2よりも小さく、かつ画素の列間ピッチQ2に対する陰極層15の列間ピッチQ1の比(=Q1/Q2)を1/自然数としてもよい。陰極層15の列間ピッチと画素の列間ピッチが同じであると、液晶表示において干渉縞やモアレ縞(moire)が生じるが、このように設定することでも、それらの現象を防止することができる。
【0036】
また、逆に、照明部200の陰極層15の列間ピッチQ1は、画素の列間ピッチQ2よりも大きく、かつ画素の列間ピッチQ2に対する陰極層15の列間ピッチQ1の比(Q1/Q2)を自然数としてもよい。このように設定することでも干渉縞やモアレ縞(moire)を防止することができる。
【0037】
更に、図4Cに示したように前記行間ピッチ及び又は列間ピッチは、表示装置の表示領域上で、2種類以上の複数種類のピッチを有するように設計することで、陰極層15のピッチパターンに2種類以上の周期性を持たせることができるため、干渉縞やモアレ縞をより防止することができる。図4Cにおいて、照明部200の陰極層15の行間ピッチは、P1a、P1b、P1cの3種類のピッチで設計されている。また、陰極層15の列間ピッチは、Q1a、Q1b、Q1cの3種類のピッチで設計されている。
【0038】
また、照明部200の陰極層15のピッチパターンは、マスクパターンの設計単位ごとに異なせてもよい。すなわち、マスクパターンの設計単位は、LTPS(低温ポリシリコン)の場合、大きくても1mm角程度であり、この設計単位内に一画素あたり10〜20μ×30〜50μ位の大きさの画素をパターン設計する。そして、この設計単位を表示装置の画面の大きさに応じて複写して、マスクパターンを設計する。そこで、図4Dに示したように、照明部200の陰極層15のピッチパターンが異なる設計単位S1、S2、33を複数用意して、これを適宜組み合わせることで、1mm以上の範囲で、陰極層15のピッチパターンに周期性がなくなるため、照明部200の陰極層15のピッチパターンと画素のピッチパターンが干渉して、干渉縞やモアレ縞が発生することを防止することができる。
【0039】
また、照明部200の島状に形成された複数の陰極層15は、行方向(x)に対して斜め方向に配列されてもよい。図6Aは、照明部200の島状に形成された複数の陰極層15を行方向(x)に対して斜め45度(135度)方向に配置した例を示している。このように設定することにより干渉縞やモアレ縞を防止することができる。更に、画素ピッチ(P2及び又はQ2)と照明部200の島状に形成された複数の陰極層15の配置ピッチ(P1a及び又はQ1a)を異ならせることで、干渉縞やモアレ縞を一層防止することができる。
【0040】
図6Bは、陰極層をライン状に形成した例を示したものであり、図において、ライン状に形成された陰極層15bは、行方向(x)に対して斜め45度(135度)方向に配置されている。このように設定することにより干渉縞やモアレ縞を防止することができる。更に、画素ピッチ(P2及び又はQ2)と照明部200のライン状に形成された複数の陰極層15bの配置ピッチ(P1b及び又はQ1b)を異ならせることで、干渉縞やモアレ縞を一層防止することができる。
【0041】
図6Cは、陰極層を格子状に形成した例を示したものであり、図において、格子状に形成された陰極層15cは、行方向(x)に対して斜め45度(135度)方向に配置されている。このように設定することにより干渉縞やモアレ縞を防止することができる。更に、画素ピッチ(P2及び又はQ2)と照明部200のライン状に形成された複数の陰極層15bの配置ピッチ(P1c及び又はQ1c)を異ならせることで、干渉縞やモアレ縞を一層防止することができる。
【0042】
尚、図6において、陰極層15を行方向(x)に対して斜め45度(135度)方向に配置した例を示したが、干渉縞やモアレ縞の発生を抑えられる角度であれば、他の角度であってもよい。
【0043】
次に本発明の第2の実施形態に係る表示装置について、図7を参照しながら説明する。
図7は反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係を示した断面図であり、図4のX−X線に沿った断面図に対応している。本実施形態の特徴とする点は、第1の実施形態の第1の透明基板10と第4の透明基板34とを兼用して1つの透明基板とした
ことである。すなわち、図6に示すように、第1の透明基板10が削除され、第4の透明基板34上に有機EL素子12が形成されている。これにより、表示装置の全体の厚さを薄くできるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0044】
次に本発明の第3の実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、この表示装置の全体の断面図である。第1の実施形態(図1参照)の有機EL素子12の陽極層13は、島状のパターンを有していないのに対して、本実施形態では、有機EL素子12の陽極層13Aは、島状のパターンを有している。
【0045】
すなわち、第1の透明基板10上に島状のパターンを有する複数の陽極層13Aが形成され、これら陽極層13Aを覆って有機層14が形成され、この有機層14上に、同様の島状のパターンを有する複数の陰極層15が形成されている。島状に形成された複数の陰極層15Aとそれらの下層に形成された島状に形成された複数の陽極層13Aは重畳されている。これ以外の点については、第1の実施形態と全く同様である。
【0046】
第1の実施形態(図1)のように、ITOやIZOからなる陽極層13は、第1の透明基板10上に複数に分離されていないパターンで形成すると、屈折率の差により、第2の透明基板20を通して入射される外光や、有機EL素子12で発生する光が陽極層13によって反射され、液晶表示のコントラストが低下してしまう。これに対して、本実施形態によれば、島状の陽極層13Aの間を通過する光については、陽極層13Aによる反射の影響を受けない。したがって、光の透過率が上がり、液晶表示のコントラストを向上させることができる。
【0047】
また、図8の構造では、第2の透明基板20の表面に第1の透明基板10と対面するように乾燥剤層16が形成されているが、図9に示すように、第1の透明基板10、第2の透明基板20及びシール層11によって囲まれた空間に、第1の透明基板の屈折率と等しい屈折率を有する樹脂17を充填してもよい。
【0048】
図10は、反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係を示した断面図であり、図4のX−X線に沿った断面図に相当している。反射液晶表示部300の構造については第1の実施形態と全く同じである。前述のように、照明部200の陰極層15のラインは、液晶表示に寄与しない反射画素電極33の離間領域SRの真上に配置することが好ましいが、この場合に、陽極層13Aのラインも陰極層15のラインの下方に重なって配置される。陽極層13Aのラインと陰極層15のラインによって挟まれた有機層14の部分が発光領域となる。陰極層15のラインは、発光領域で発生した光の漏れを防止しているが、陰極層15のラインの幅W1を陽極層13Aのラインの幅W2よりも大きくすることにより、光の漏れをより少なくして液晶表示のコントラストをさらに向上することができる。
【0049】
次に本発明の第4の実施形態に係る表示装置について、図11を参照しながら説明する。図11は反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係を示した断面図であり、図4のX−X線に沿った断面図に対応している。本実施形態の特徴とする点は、第3の実施形態の第1の透明基板10と第4の透明基板34とを兼用して1つの透明基板としたことである。すなわち、図11に示すように、第1の透明基板10が削除され、第4の透明基板34上に有機EL素子12が形成されている。これにより、表示装置の全体の厚さを薄くできるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0050】
次に本発明の第5の実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図12は、この表示装置の全体の断面図である。第1の実施形態(図1参照)の有機EL素子12の陽極層13、有機層14は、島状のパターンを有していないのに対して、本実施形態では、有機EL素子12の陽極層13A、有機層14Aは、いずれも島状のパターンを有している。
【0051】
すなわち、第1の透明基板10上に島状のパターンを有する複数の陽極層13Aが形成され、これら陽極層13A上に島状のパターンを有する複数の有機層14Aが積層され、これらの有機層14A上に、同様の島状のパターンを有する複数の陰極層15が形成されている。複数の陰極層15Aとそれらの下層に形成された複数の有機層14Aと、複数の陽極層13Aとは重畳されている。これ以外の点については、第1の実施形態と全く同様である。
【0052】
第1の実施形態(図1)のように、ITOやIZOからなる陽極層13は、第1の透明基板10上に非ラインパターンで形成すると、屈折率の差により、第2の透明基板20を通して入射される外光や、有機EL素子12で発生する光が陽極層13によって反射され、液晶表示のコントラストが低下してしまう。また、有機層14についても同様の反射が生じる。
【0053】
これに対して、本実施形態によれば、島状に形成された陽極層13A及び有機層14Aの間を通過する光については、これらの層による反射の影響を受けない。したがって、光の透過率が上がり、液晶表示のコントラストを向上させることができる。
【0054】
また、図12の構造では、第2の透明基板20の表面に第1の透明基板10と対面するように乾燥剤層16が形成されているが、図13に示すように、第1の透明基板10、第2の透明基板20及びシール層11によって囲まれた空間に、第1の透明基板の屈折率と等しい屈折率を有する樹脂17を充填してもよい。
【0055】
図14は、反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係を示した断面図であり、図3のX−X線に沿った断面図に相当している。反射液晶表示部300の構造については第1の実施形態と全く同じである。前述のように、照明部200の陰極層15は、液晶表示に寄与しない反射画素電極33の離間領域SRの真上に配置することが好ましいが、この場合に、有機層14A及び陽極層13Aも陰極層15の下方に重なって配置される。陽極層13Aと陰極層15によって挟まれた有機層14Aが発光領域となる。陰極層15は、発光領域で発生した光の漏れを防止しているが、陰極層15の幅W1を有機層14Aの幅W3、陽極層13Aの幅W4よりも大きくすることにより、光の漏れをより少なくして液晶表示のコントラストをさらに向上することができる。
【0056】
また図15に示すように、陰極層15のエッジと有機層14Aのエッジとの間の距離Lは、有機層14Aの厚さTよりも大きいことが光の漏れをさらに少なくする上で好ましい。また、有機層14Aの幅W3は陽極層13Aのラインの幅W4よりも大きくてもよい。
【0057】
次に本発明の第6の実施形態に係る表示装置について、図16を参照しながら説明する。図16は反射液晶表示部300の構造及び照明部200との結合関係を示した断面図であり、図3のX−X線に沿った断面図に対応している。本実施形態の特徴とする点は、第5の実施形態の第1の透明基板10と第4の透明基板34とを兼用して1つの透明基板としたことである。すなわち、図16に示すように、第1の透明基板10が削除され、第4の透明基板34上に有機EL素子12が形成されている。これにより、表示装置の全体の厚さを薄くできるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0058】
なお、陰極層15はそのピッチを調整することにより、離間領域SR以外の反射画素電極33上に配置することも可能である。また、陰極層15のパターンはパターン以外にもメッシュ状のパターンであってもよい。
【0059】
また、第5、第6の実施形態において、図17に示すように、陰極層15は、有機層14および陽極層13を覆うように形成されていてもよい。
【0060】
上述の実施形態において、エレクトロルミネッセンスとして、ジアミン類などの有機物を使った有機ELディスプレイを示したが、これに限られず、硫化亜鉛などの無機物を使う無機ELディスプレイであってよい。また、同様な作用効果を奏する光源であれば、エレクトロルミネッセンス以外のものを発光部としてよい。
【0061】
上述の実施形態において、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子をフロントライトとして採用したものであるが、これに限定されず、トップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス素子をフロントライトとして採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の第1の断面図である。
【図2】本発明に係る陰極層15の発光部平面形状を示す照明部200の一部の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の第2の断面図である。
【図4】反射液晶表示部300の画素領域310の一部の平面図である。
【図5】図4のX−X線に沿った断面図である。
【図6】反射液晶表示部300の画素領域310の一部の平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の第1の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の第2の断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の第3の断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る表示装置の第1の断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る表示装置の第2の断面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る表示装置の第3の断面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る表示装置の有機EL素子の断面図である。
【図16】本発明の第6の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【図17】有機EL素子12の断面図である。
【図18】フロントライトが設けられた反射型LCDを示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 第1の透明基板
11 シール層
12 有機EL素子
13 陽極層
14 有機層
15 陰極層
16 乾燥剤層
17 樹脂
20 第2の透明基板
21 反射防止層
30 第3の透明基板
31 薄膜トランジスタ(TFT)
32 層間絶縁膜
33 画素電極
34 第4の透明基板
35 共通電極
36 光散乱層
37 偏光板
40 液晶層
45 樹脂層
200 照明部
300 液晶表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部と、この表示部の観察側に部分的に設けられ、表示部に向けて光を照射する照明部と、を含み、観察側から入射してくる外光と、照明部からの光のいずれかまたは両方を表示部に照射し、表示部からの反射光を観察側に放射する表示装置であって、
前記照明部は、透明基板と、この透明基板上に第1の方向に沿って配置された発光部とを備え、前記表示部は、第2の方向に沿って配置された複数の画素を有し、前記第2の方向と前記第1の方向とが交差するように配置したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部と、この表示部の観察側に部分的に設けられ、表示部に向けて光を照射する照明部と、を含み、観察側から入射してくる外光と、照明部からの光のいずれかまたは両方を表示部に照射し、表示部からの反射光を観察側に放射する表示装置であって、
前記照明部は、前記反射型液晶表示装置の反射液晶表示部にその裏面が配置された第1の基板と、
シール層を介して前記第1の基板に接合された第2の基板と、
前記第1の基板と第2の基板間に第1の方向に沿って配置されたエレクトロルミネッセンス素子からなる発光部とを備え、
前記表示部は、第2の方向に沿って配置された複数の画素を有し、前記発光部から発生された光を受ける反射画素電極が各画素の中に形成された第3の基板と、
前記第3の基板上に配置され、その表面に共通電極が形成された第4の基板と、
前記第3の基板と第4の基板との間に封入された液晶層と、を備え、
前記照明部の発光部が配置される第1の方向と前記表示部が配置される第2の方向が交差することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記観察側の面に遮光部を備え、他方の面を前記表示部に対向させて配置して、前記表示部に光を照射するようにしたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光部は格子状のパターンを有し、反射液晶表示部の画素の配置ピッチの方向が、前記格子状のパターンの配置ピッチの方向と交差することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光部は第1の方向に沿って配置されたライン状のパターンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光部のライン状のパターンの配置ピッチと、前記表示部の画素の配置ピッチが異なっていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光部は第1の方向に沿って配置された島状のパターンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光部の島状のパターンの配置ピッチと、前記反射液晶表示部の画素の配置ピッチが異なっていることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光部は、有機エレクトロルミネッセンス素子または無機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部と、この表示部の観察側に部分的に設けられ、表示部に向けて光を照射する照明部と、を含み、観察側から入射してくる外光と、照明部からの光のいずれかまたは両方を表示部に照射し、表示部からの反射光を観察側に放射する表示装置であって、
前記照明装置は、前記表示部にその裏面が配置された第1の基板と、
シール層を介して前記第1の基板に接合された第2の基板と、
前記第1の基板の表面に配置され、透明電極材料からなる陽極層と、
この陽極層を覆って形成された有機層と、
この有機層上に所定のパターンを有して形成され、前記表示部の画素の配置ピッチの方向に対して、配置ピッチが斜め方向に角度を付けて配置された陰極層と、
この陰極層を覆って形成された透明電極材料からなる透明電極層と、を有する有機エレクトロルミネッセンス素子とを備え、
前記表示部は、複数の画素を有し、前記有機エレクトロルミネッセンス素子から発生された光を受ける反射画素電極が各画素の中に形成された第3の基板と、
前記第3の基板上に配置され、その表面に共通電極が形成された第4の基板と、前記第3の基板と第4の基板との間に封入された液晶層と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部を備えた表示装置の観察側に配置される照明装置であって、
前記照明装置は、透明基板と、この透明基板上に所定のパターンを有して配置され、前記反射液晶表示部の画素電極の配置ピッチの方向に対して交差する方向に配置された発光部を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項12】
表示素子に印加する電圧を制御することで、観察側から入射してくる光を表示層の光学特性に基づいて変調して反射射出する表示部を備えた表示装置の観察側に配置される照明装置であって、
前記照明装置は、前記表示装置にその裏面が配置される第1の基板と、
シール層を介して前記第1の基板に接合された第2の基板と、
前記第1の基板と第2の基板間に配置され、前記表示層の反射画素電極に光を照射するエレクトロルミネッセンス素子からなる発光部を備え、
前記エレクトロルミネッセンス素子は、所定のパターンを有して配置され、前記反射画素電極の配置ピッチの方向に対して交差する方向に配置されたことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
前記発光部は、前記観察側の面に遮光部を備え、他方の面が前記表示装置の表示部に対向させて配置され、前記表示部に光を照射するようにしたことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−52161(P2007−52161A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236322(P2005−236322)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】