説明

表示装置

【課題】複数の発光色のうち一部の発光色について透過率の高い偏光板を用いながらも、他の発光色の発光素子における発光領域では、外光反射を増加させることなく外光反射を十分に防ぐ。
【解決手段】発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有し、前記発光素子の光取り出し側に、前記発光色の異なる複数の発光素子の間を跨いで共通して配置されている円偏光部材を有する表示装置において、前記円偏光部材は、前記複数の発光色のうち第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされており、他の発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率は、前記第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率よりも低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を利用した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の一種である有機EL素子(以下、単に素子と省略する場合がある。)は、通常、図1(a)に示すように、有機層101を、反射電極102と光取り出し側の透明電極103で挟んだ構成となっている。発光点201から発光した光のうち、光取り出し側へ放射される光202に加え、反対側へ放射される光203を反射電極102により光取り出し側へ反射させることで、透明電極103を通して取り出される光を増加させ、発光効率を向上させている。
【0003】
しかし、このような構成の場合、図1(b)に示すように、素子外部からの入射光301も反射電極102によって反射されてしまうため、ディスプレイのコントラストが低下し、視認性が低くなってしまうという問題点がある。これは、有機ELディスプレイに固有の問題ではなく、無機ELディスプレイやプラズマディスプレイなど反射性電極を有する発光ディスプレイに共通する問題点である。
【0004】
このようなコントラストの低下を改善する方法としては、光の右(左)円偏光状態が反射により、左(右)円偏光状態に反転するという性質を利用するものがある。特許文献1では、光取り出し側に円偏光板を配置し、外光反射を防止する方法が提案されている。また、特許文献2では、偏光率や透過率を光の波長により変化させた円偏光板を用い外光反射を防止する方法が提案されている。
【0005】
別の方法として、数十〜数百μm程度の薄膜を積層した際に生じる干渉を反射防止に利用するものがある。特許文献3では、光共振器による干渉と単色の吸収フィルタを組み合わせる方法や、光共振器による干渉と各素子に赤色、緑色、青色のカラーフィルタを組み合わせる方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2761453号公報
【特許文献2】特開2005−332815号公報
【特許文献3】特許第3555759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構成においては、構造が単純で外光反射防止機能に優れているものの、円偏光板では、透過率が35〜45%程度(理論限界は50%)である。そのため、発光色に関係なく一様に有機EL素子の発光効率を半減させてしまうという課題がある。
【0008】
また、上記特許文献2の構成においては、一部の波長域の透過率が高い偏光板を発光色の異なる発光素子に共通して適用する旨についての示唆がある。このようにすることによって、前記一部の発光色の発光素子については発光を効率良く取り出すことができる。しかしながら、特許文献2の構成では、他の発光色の発光素子での外光反射が不必要に増えてしまう。すなわち、他の発光色の発光素子では、発光の取り出し効率を改善することにはならず、しかも通常の円偏光板よりも外光反射が増えてしまう。
【0009】
本発明は、複数の発光色のうち一部の発光色について透過率の高い偏光板を用いながらも、他の発光色の発光素子における発光領域では、外光反射を増加させることなく外光反射を十分に防ぐことのできる表示装置を提供することを目的とする。しかも、このような課題を簡単な構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る表示装置は、
発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有し、前記発光素子の光取り出し側に、前記発光色の異なる複数の発光素子の間を跨いで共通して配置されている円偏光部材を有する表示装置において、
前記円偏光部材は、前記複数の発光色のうち第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされており、
他の発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率は、前記第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率よりも低いことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載した発明に係る表示装置は、
発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有し、前記発光素子の光取り出し側に、円偏光部材を有する表示装置において、
前記円偏光部材は、前記発光素子の光取り出し側に、複数の発光色のうち第1発光色の発光素子を除く、他の発光色の発光素子における発光領域に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の発光色のうち一部の発光色について透過率の高い偏光板を用いながらも、他の発光色の発光素子における発光領域では、外光反射を増加させることなく外光反射を十分に防ぐことができる。しかも、このような課題を1つの円偏光部材により、簡単な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施形態1>
本実施の形態に係る表示装置は、発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有している。つまり、1つの画素は複数の発光素子を有していて、各発光素子はそれぞれ発光色が異なる。発光色とは、例えば赤、青、緑、などの色のことであるが、厳密には発光素子の発光スペクトルの中心波長の色のことを指す。
【0014】
また、本実施の形態に係る表示装置は、発光素子の光取り出し側に、発光色の異なる複数の発光素子の間を跨いで共通して配置されている円偏光部材を有する。つまり、円偏光部材は、表示装置の面内方向において1つの部材で構成されているものである。なお、円偏光部材は、一方向の直線偏光成分のみを透過する直線偏光部材と、互いに垂直な主軸方向に振動する直線偏光成分を通過させ、この二成分間に必要な位相差を与える位相差部材と、からなるものである。
【0015】
そして、本実施の形態の円偏光部材は、複数の発光色のうち第1発光色の発光素子における発光領域の第1発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされている。第1発光色は、複数の発光色から選択される1つの発光色のことである。第1発光色の発光素子における発光領域の第1発光色の透過率が他の色の透過率よりも高くされていることにより、第1発光色の発光素子における発光領域では発光を効率良く外部に取り出すことができる。さらに、他の発光色の発光素子における発光領域の第1発光色の透過率が、第1発光色の発光素子における発光領域の第1発光色の透過率よりも低い。このようにすることにより、他の発光色の発光素子における発光領域では第1発光色と同じ波長域の外光の反射を十分に防ぐことができる。
【0016】
以下、本発明に係る表示装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の表示装置は、複数の画素が配列されたトップエミッション型の有機EL表示装置である。そして、分光偏光率や分光透過率を、画素を成す副画素の特性に合わせて空間的に変化させた円偏光板を配置することで、B副画素においてはB発光効率の低下を抑制し、RおよびGの副画素においては外光反射を防止する構成とされている。つまり、本実施形態においては第1発光色はB(青)となる。
【0017】
前記画素は、図2に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の副画素を成す有機EL素子を有し、基板100上において、RGBの素子毎に陽極である反射電極102、有機層101、陰極である透明電極103が積層されて成る。つまり、RGBの各素子は、一般的な素子と同様に可視光に対して光干渉を生じる多層干渉膜構造となっている。
【0018】
有機層101は、ホール輸送層106、発光層105、電子輸送層107が積層されて成り、図3に示すように、RGBの素子毎に、各色の発光性有機化合物を含むR有機層111、G有機層121、B有機層131とされている。R有機層111、G有機層121、B有機層131には、発光層105としてR発光層115、G発光層125、B発光層135が形成されている。
【0019】
なお、図2に示すように、必要に応じて陽極102とホール輸送層106の間にホール注入層108を、陰極103と電子輸送層107の間に電子注入層109を挟持してもよい。これらのホール輸送層106、発光層105、電子輸送層107、ホール注入層108、電子注入層109に用いられる有機化合物については、後述する。
【0020】
前記構成の有機EL素子に電圧を印加することで、陽極102から注入されたホールと陰極103から注入された電子が、有機層101において再結合し、例えば図4に示すような発光スペクトル(ELスペクトル)でRGBの各色が発光する。
【0021】
このような表示装置の発光効率とコントラストを向上させるため、図3に示すように、以下の3つの構成要素を付加する。
【0022】
構成要素αとして、B領域B透過円偏光板136を有機EL素子の光取り出し側に配置する。B領域B透過円偏光板136は、B副画素の発光領域を除く画素および画素間では、通常の円偏光板として機能し、RGB成分に対し、左(右)円偏光成分のみを透過する。一方、B副画素の発光領域(B発光領域)では、B発光成分の全てまたはその一部に対しては、50%よりも多く透過する光学部材である。また、B発光領域での、R、G成分に対する光学特性は、特に限定されない。
【0023】
以下に、B領域B透過円偏光板136の作製方法の1例を示す。
【0024】
通常、直線偏光部材(直線偏光板)として良く使用されるものには、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体や二色性染料等の色素を混合し配向させ、両面をトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせたものがある。ヨウ素錯体は配向すると強い二色性を示し、また、錯体を形成するポリヨウ素の分子数により吸収ピークが異なる。光の波長480nm付近に吸収ピークを持つI3-−PVA錯体と600nm付近に吸収ピークを持つI5-−PVA錯体の生成比を制御することで、直線偏光板の吸収スペクトルを調整することができる。
【0025】
これらの直線偏光板に対し、B発光領域にのみ紫外線の照射を行なう。紫外線が照射された部分だけヨウ素錯体や二色性染料等の色素が分解されるため、B発光領域でのみ偏光作用が低下もしくは消失する。よって、B発光領域でB発光光を透過する直線偏光板(B領域B透過直線偏光板)を得ることができる。紫外線照射の代わりに、B発光領域のみに熱を加えるなどエネルギーを与えてヨウ素錯体や二色性染料等の色素を分解してもよい。偏光作用を低下させ透過率を向上させる領域は、B発光領域に限らず、場合によりR発光領域やG発光領域でもよい。
【0026】
このB領域B透過直線偏光板に、通常の位相差部材(λ/4位相板)を組み合わせることで、B領域B透過円偏光板136を構成することが可能である。
【0027】
直線偏光板への局所的な紫外線照射や加熱等のプロセスを行なうために、スポット径を数〜数十μmに絞った紫外線レーザー、可視光レーザー、赤外線レーザーなどを用いることができる。アライメント精度を向上させるために、直線偏光板または円偏光板を、ガラス基板等に貼り合わせ固定した後に、紫外線照射や加熱等のプロセスを行なうことが望ましい。
【0028】
1つの例として、B領域B透過円偏光板136のB発光領域での分光透過率および分光偏光率をそれぞれ、図5、図6に示す。R、Gの発光成分に対しては、部分的に円偏光板として機能する光学特性となっている。B発光領域を除く画素領域では、可視域全体で透過率40%、偏光率100%とする。
【0029】
図3において、RとGの発光領域およびその発光領域間では、外部からの入射光301のR入射光311は、B領域B透過円偏光板136により右(左)円偏光成分が吸収され、R透過左(右)円偏光314となる。同様に、G入射光321、B入射光331も、B領域B透過円偏光板136により右(左)円偏光成分が吸収され、G透過左(右)円偏光324、B透過左(右)円偏光334となる。その後、有機EL素子の各多層膜界面などで奇数回反射され、円偏光状態が反転したR反射右(左)円偏光315、G反射右(左)円偏光325、B反射右(左)円偏光335となって、B領域B透過円偏光板136に有機EL素子側から再入射し吸収される。これに対し、B発光領域では、入射光301の一部が反射され、光取り出し側に射出される。しかし、前記の反射光はB発光領域のうちの1/6程度であるため、外光反射への影響は少ない。
【0030】
従って、B領域B透過円偏光板136を光取り出し側に配置することで、入射光301に対する反射を部分的に防止し、コントラストを向上させることができる。
【0031】
一方、B有機EL素子からのB発光光は、B領域B透過円偏光板136を透過するため、発光効率の低減を回避できる。図5に示した分光透過率を有するB領域B透過円偏光板136を用いる場合、可視域全体で透過率40%程度の円偏光板を用いる場合と比較して、B発光光の発光効率が1.25倍程度となり、表示装置としての発光効率を向上させることが可能となる。ここで、B発光スペクトルとして、図4に示した値を用いた。
【0032】
次に、構成要素βとして、図3に示すように、B発光領域の光取り出し側に、B補色吸収層(吸収層)137を配置する。図7に、B補色吸収層137の分光透過率の例を示す。つまり、B補色吸収とは、B発光光に含まれる波長成分以外の波長の光を吸収することを示している。
【0033】
なお、B補色吸収層137は、図3においては、B領域B透過円偏光板136と有機EL素子との間に配置されているが、必ずしもこの構成ではなくてもよい。すなわち、B補色吸収層137がB領域B透過円偏光板136よりも光取り出し側に配置されていてもよい。
【0034】
また、B補色吸収層137が特に必要となるのは、B領域B透過円偏光板136がB発光領域において、BだけでなくR、Gに対しても高い透過率を有する場合である。
【0035】
最後に、構成要素γとして、B有機EL素子が有する多層干渉膜の分光反射率が、B発光波長域に最小値もしくは極小値が存在するように構成する。多層干渉膜とは、一対もしくは複数の反射面を有する構造であり、一対もしくは複数の反射面の間の光学距離を調節することにより、所定の波長域の外光を弱め合わせ、かつ、発光の光取り出し効率を向上させるものである。図8に、構成例として、ガラス基板上に、Ag合金を膜厚200nmで、IZOを膜厚20nmで、有機層を膜厚80nmで、IZOを膜厚60nmで順次積層した場合の多層干渉膜の分光反射率を示す。このとき、一対の反射面は、それぞれAg合金とIZOとの界面、及び有機層の後に形成されたIZOの光取り出し側の界面である。そして、両界面の間の光学距離が所望の条件を満たすように設定されている。具体的には、分光反射率の極小値は波長460nm付近で、図4に示したB発光スペクトルの波長域420nm〜550nmに存在する条件であり、B発光波長域の入射光に対する反射率を低下させる膜厚構成となっている。
【0036】
また、透明電極103の代わりに半透明電極を用い、B発光スペクトルのピーク波長近傍を共振波長とする共振器構造を導入し、B発光波長域の入射光に対する反射率をより低下させた構成としてもよい。半透明電極は、金属半透明電極や透明電極と誘電体ミラーを組み合わせたものなどを用いることができる。
【0037】
図3で、B発光領域でのB透過光332Aは、B有機EL素子の多層干渉膜構造の各多層膜界面からのB反射光333A、333Bを干渉により打ち消し、B入射光331の反射を抑制することができる。
【0038】
以上、3つの構成により、入射光のRGB成分に対し、反射を防止することが可能である。なお、構成要素β、構成要素γを有していることにより、より高い外光反射低減の効果を期待できるが、これらの構成要素は必須のものではない。すなわち、構成要素β、構成要素γのいずれかもしくは両方を有しない構成であってもよい。
【0039】
また、第1発光色以外の発光色であるR、G副画素を成す有機EL素子の反射電極102として、Au,CuなどのB低反射電極(反射層)を用いてもよい。また、金属と透明電極などから多層干渉膜を構成し、B発光波長域の反射性を低下させたものを、B低反射電極(反射層)として用いることもできる。B低反射電極は、B発光波長域での分光反射率の最小値が50%未満であることが望ましい。さらに、副画素(発光素子)の発光領域以外の領域や副画素(発光素子)の間にブラックマトリックスを配置することも可能である。
【0040】
外光反射防止機能の性能は、視感反射率RVにより評価することができる。視感反射率RVは、波長λに依存して変化する視感効率V(λ)、照明光の相対分光分布S(λ)および表示装置の分光反射率R(λ)を用いて、<数1>により定義される。図9に視感効率V(λ)のグラフを示す。視感効率は、波長555nmで最大となる。本発明の説明中では、照明光の相対分光分布S(λ)として、図10に示したCIE昼光のD65相対分光分布を用いる。D65相対分光分布と視感効率をかけた値(S(λ)×V(λ))を、図11に図示する。
【0041】
【数1】

【0042】
以下の3つの構成
<構成1>B領域B透過円偏光板136
<構成2>B領域B透過円偏光板136+B補色吸収層137
<構成3>B領域B透過円偏光板136+B補色吸収層137+B干渉膜
に対する視感反射率の評価値を、<表1>に示す。ここで、開口率は50%として評価を行った。また、図12に、各構成での<数2>で定義される視感反射分布を示す。
【0043】
<数2>
視感反射分布=分光反射率R(λ)×D65相対分光分布S(λ)×視感効率V(λ)
【0044】
【表1】

【0045】
いずれの構成でも、視感反射率は5%以下に低減される。特に、B補色吸収層137が追加された構成2、構成3では視感反射率が2%以下に低減される。
【0046】
表示装置全体の消費電力を低減するには、発光効率の最も低い発光色(本実施形態ではB)に対してB領域B透過円偏光板136の透過率を向上させることが効果的である。以下に、従来の外光反射防止構成として、表示装置の光取り出し側に、可視域全体で透過率40%の円偏光板を配置したものを従来構成1とし、構成3と消費電力の比較を行う。従来構成1と構成3において、副画素を成すRGB有機EL素子は、図4で示される発光スペクトルを有し、それぞれの発光効率が、R:21.6[cd/A]、G:19.8[cd/A]、B:2.3[cd/A]であるとする。また、表示装置の開口比は50%、駆動電圧は10Vとする。表示装置全体の特性を示す輝度比、駆動電流密度および消費電力は、色温度6500Kの白色Wを100cd/m2で表示する際の値を用いる。
【0047】
従来構成1のCIE色度、発光効率、輝度比、駆動電流密度、消費電力の値を、<表2>に示す。RGBの中で、B発光効率が0.92[cd/A]と最も低く、同時に、B駆動電流密度に関しても8.9[mA/cm2]と最も大きい。
【0048】
構成3のCIE色度、発光効率、輝度比、駆動電流密度、消費電力の値を、<表3>に示す。また、図13に、構成3と従来構成1のB副画素の発光スペクトルをそれぞれ示す。B領域B透過円偏光板136を用いることで、B発光効率を1.25倍程度向上させ、同時に、B色度を改善し、B輝度比を低下させることができる。よって、消費電力を682.7mWから523.8mWへ20%程度削減することが可能である。また、B駆動電流密度が8.9[mA/cm2]から5.1[mA/cm2]へ大幅に低下することで、RGB副画素間での駆動電流密度の差異も緩和される。
【0049】
さらに、多くの有機EL素子の場合、駆動電流密度の低下に伴い輝度の半減寿命が長くなる。よって、B有機EL素子の半減寿命が最も短い場合、B駆動電流密度の低下に伴い前記B有機EL素子の半減寿命が改善し、RGB副画素間の半減寿命の差異を調整することも可能である。ここでは、構成3で説明を行ったが、構成1、構成2に対しても同様である。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
図2における、ホール輸送層106、発光層105、電子輸送層107、ホール注入層108、電子注入層109に用いられる有機化合物としては、低分子材料、高分子材料もしくはその両方により構成され、特に限定されるものではない。さらに、必要に応じて無機化合物を用いてもよい。
【0053】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0054】
ホール輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送するに優れたモビリティを有することが好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体;
オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0055】
【化1】

【0056】
【化2】

【0057】
発光材料としては、発光効率の高い蛍光色素や燐光材料が用いられる。以下に具体例の一部を示す。
【0058】
【化3】

【0059】
電子輸送性材料としては、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体;
フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられる。もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0060】
【化4】

【0061】
ホール注入材料としては、遷移金属酸化物MoO3、WO3、V25等や、銅フタロシアニンCupc等が挙げられる。
【0062】
また、電子注入材料としては、前述した電子輸送性材料に、アルカリ金属やアルカリ土類金属、もしくはその化合物を0.1%〜数十%含有させることにより、電子注入性を付与することができる。電子注入層109は、必要不可欠な層ではないが、この後に、透明電極103を形成する際の成膜時に受けるダメージを考慮すると、良好な電子注入性を確保するために10〜100nm程度の膜厚で挿入した方が好ましい。
【0063】
本発明の有機化合物から成る層は、一般に真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0064】
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択できる。例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂;
ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。もちろんこれらに限定されるものではない。また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0065】
透明電極103としては、前述したITOやIZO等の酸化物導電膜を使用することができる。電子輸送層107、及び電子注入層109との組み合わせにより、電子注入性が良好な組み合わせを適宜選択することが望ましい。また、透明電極103は、スパッタリングにより形成することができる。
【0066】
酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層が設けられる。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の金属窒化物膜や、酸化タンタル等の金属酸化物膜、ダイヤモンド薄膜が挙げられる。また、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。また、防湿性を高める為に、保護層内に吸湿材を含有させてもよい。
【0067】
<実施形態2>
本実施の形態に係る表示装置は、発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有している。また、発光素子の光取り出し側に円偏光部材を有する。
【0068】
そして、円偏光部材は、複数の発光色のうち第1発光色の発光素子を除く、他の発光色の発光素子における発光領域に配置されている。第1発光色の発光素子における発光領域では円偏光部材が配置されていないため、発光を効率良く外部に取り出すことができる。さらに、他の発光色の発光素子における発光領域では、円偏光部材が配置されていることによって、広い波長域における外光の反射を十分に防ぐことができる。
【0069】
図14は、本発明に係る表示装置の異なる実施形態を示している。図14に示す表示装置は、構成要素αとして、B領域B透過円偏光板136の代わりに、通常の円偏光板からB発光領域部分を取り除いた円偏光板(B発光領域無し)138を配置している。構成要素βのB補色吸収層137、構成要素γのB多層干渉膜構造が、実施形態1と同様に配置されている。これを構成4とする。視感反射率は、1.20%となり、コントラストを向上することが可能となる。また、消費電力は491.3mWとなり、従来構成1の消費電力である682.7mWから約30%低減することができる。
【0070】
また、B補色吸収層137とB多層干渉膜構造は、必要に応じて省略してもよい。
【0071】
上記実施形態1、2は、基板側を陽極、光取り出し側を陰極とする構成で説明した。基板側を陰極、光取り出し側を陽極とし、ホール輸送層、発光層、電子輸送層を逆順に積層した構成においても本発明を実施することは可能であり、特に限定されるものではない。
【0072】
しかも、透明基板上に透明電極を形成し、その上に有機層、反射性電極を積層したボトムエミッション型においても本発明を実施可能である。
【0073】
また、副画素の面積、より詳しくは副画素の発光領域の面積は、副画素間で同じであってもよいし、異なってもよい。
【0074】
さらに、複数の有機EL素子が積層されたマルチフォトン構成や多段階積層構成に対しても本発明は実施可能である。
【0075】
上記実施形態1、2は、RGBの3色の副画素構成で説明してきたが、RGBC(シアン)の4色の副画素構成やB単色の1色の副画素構成などその他の副画素構成に対しても本発明は実施可能であり、特に限定されることはない。
【0076】
しかも、B発光効率を向上させる構成で説明してきたが、その他の発光色を有する画素に対しても本発明は実施可能である。
【0077】
本発明は、有機EL素子を用いた表示装置に限定されるものではなく、無機EL素子や量子ドットEL素子、無機発光ダイオードを用いた発光表示装置や、プラズマディスプレイなどにも実施可能である。
【実施例】
【0078】
<実施例1>
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
【0079】
図3に示す構成のフルカラー有機EL表示装置を以下に示す方法で作成する。
【0080】
まず、支持体としてのガラス基板上に、低温ポリシリコンからなるTFT駆動回路を形成し、その上にアクリル樹脂からなる平坦化膜を形成して基板とする。この上に反射性金属としてのAg合金(AgPdCu)を約100nmの膜厚でスパッタリング法にて形成してパターニングし、透明導電膜としてのIZOをスパッタリング法にて20nmの膜厚で形成してパターニングして、反射電極102を形成する。さらに、アクリル樹脂により素子分離膜を形成し陽極付き基板を作成する。これをイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄し、次いで、煮沸洗浄後乾燥する。その後、UV/オゾン洗浄してから有機化合物を真空蒸着により成膜する。
【0081】
この上に、ホール輸送層として、下記構造式で示される化合物[I]を成膜する。シャドーマスクを用い、Rのホール輸送層を膜厚50nm、Gのホール輸送層を膜厚30nm、Bのホール輸送層を膜厚20nmで成膜する。この際の真空度は1×10-4Pa、蒸着レートは、0.2nm/secである。
【0082】
【化5】

【0083】
次に、発光層として、シャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を成膜する。Rの発光層としては、ホストとしてAlq3と、
発光性化合物DCM[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran]と、
を共蒸着(重量比99:1)して60nmの膜厚で発光層を形成する。Gの発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(重量比99:1)して40nmの膜厚で発光層を形成する。Bの発光層としては、ホストとして下記に示す化合物[II]と発光性化合物[III]とを共蒸着(重量比80:20)して20nmの膜厚で発光層を形成する。蒸着時の真空度は1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件で成膜する。
【0084】
【化6】

【0085】
【化7】

【0086】
更に、共通の電子輸送層としてバソフェナントロリン(Bphen)を真空蒸着法にて10nmの膜厚で形成する。蒸着時の真空度は1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。次に、共通の電子注入層として、BphenとCs2CO3を共蒸着(重量比90:10)し、20nmの膜厚で形成する。蒸着時の真空度は3×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。
【0087】
この電子注入層まで成膜した基板を、真空を破ること無しにスパッタ装置に移動し、透明陰極103としてITOの透明電極を60nmの膜厚で成膜する。さらに保護膜として、窒化酸化シリコンを700nmの膜厚で成膜する。
【0088】
その後、保護膜の上部に、B補色吸収層137として、もう一枚のガラス基板上にB発光領域上にパターニングされた青顔料を用いたBカラーフィルターをエポキシ樹脂により配置する。
【0089】
最後に、Bカラーフィルター上部に接着剤によりB領域B透過円偏光板136を配置し、表示装置を得る。
【0090】
<実施例2>
本実施例の表示装置は、円偏光部材が複数の発光色のうち第1発光色とは異なる第2発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされている。そして、他の発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率は、第2発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率よりも低い。第2発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率が他の色の透過率よりも高くされていることにより、第2発光色の発光素子における発光領域でも第1発光色の発光素子の発光領域と同様に発光を効率良く外部に取り出すことができる。さらに、他の発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率が、第2発光色の発光素子における発光領域の第2発光色の透過率よりも低い。このようにすることにより、第1発光色及び第2発光色以外の他の発光色の発光素子における発光領域では、第1発光色及び第2発光色と同じ波長域の外光の反射を十分に防ぐことができる。
【0091】
図15に実施例2の有機EL表示装置の構成図を示す。ホール輸送層の成膜前までは、実施例1と同様である。
【0092】
この上に、ホール輸送層として、化合物[I]を成膜する。シャドーマスクを用い、Rのホール輸送層として膜厚160nm、Gのホール輸送層として膜厚130nm、Bのホール輸送層として膜厚70nmで各副画素に成膜する。この際の真空度は1×10-4Pa、蒸着レートは、0.2nm/secである。
【0093】
次に、発光層として、シャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を成膜する。Rの発光層としては、ホストとしてAlq3と、
発光性化合物DCM[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran]と、
を共蒸着(重量比99:1)して50nmの膜厚で発光層を設ける。Gの発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6を共蒸着(重量比99:1)して40nmの膜厚で発光層を設ける。Bの発光層としては、ホストとして化合物[II]と発光性化合物[III]を共蒸着(重量比80:20)して35nmの膜厚で発光層を設ける。蒸着時の真空度は1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件で成膜する。
【0094】
更に、共通の電子輸送層としてバソフェナントロリン(Bphen)を真空蒸着法にて10nmの膜厚で形成する。蒸着時の真空度は1×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。次に、共通の電子注入層として、BphenとCs2CO3を共蒸着(重量比90:10)し、30nmの膜厚で形成する。蒸着時の真空度は3×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/secの条件である。
【0095】
この電子注入層まで成膜した基板を、真空を破ること無しにスパッタ装置に移動し、透明陰極103としてITOの透明電極を60nmの膜厚で成膜する。
【0096】
上記のように形成されたB有機EL素子の分光反射率を図16に、R有機EL素子の分光反射率を図17に示す。
【0097】
さらに、パネル周辺部に吸湿剤を配置し、エッチングされたキャップガラスで封止することにより表示装置を得る。
【0098】
その後、キャップガラスの上部に、RGカラーフィルターをエポキシ樹脂により配置する。このRGカラーフィルターは、B補色吸収層137としてB発光領域上に青顔料が、R補色吸収層117としてR発光領域上に赤顔料が、もう一枚のガラス基板上にパターニングされている。B補色吸収層137の分光透過率を図7に、R補色吸収層117の分光透過率を図18に示す。
【0099】
最後に、RGカラーフィルター上部に接着剤によりR発光領域とB発光領域の分光透過率が100%、分光偏光率が0%であり、その他の領域で分光透過率40%、分光偏光率100%であるRB領域透過円偏光板142を配置し、表示装置を得る。
【0100】
視感反射率は、2.93%となり、コントラストを向上させることが可能となる。また、消費電力は415.6mWとなり、通常の円偏光板を用いた場合の消費電力680mWから約40%低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】有機EL素子の発光と外光反射を示す概念図である。
【図2】副画素(有機EL素子)の構成図である。
【図3】本発明に係る表示装置を成す画素の構成図である。
【図4】RGB有機EL素子の発光スペクトル(ELスペクトル)の例を示すグラフである。
【図5】B領域B透過円偏光板の分光透過率を例示するグラフである。
【図6】B領域B透過円偏光板の分光偏光率を例示するグラフである。
【図7】B補色吸収層の分光透過率を例示するグラフである。
【図8】B多層干渉膜の分光反射率を例示するグラフである。
【図9】視感効率を示すグラフである。
【図10】CIE昼光D65の相対分光分布を示すグラフである。
【図11】CIE昼光D65の相対分光分布と視感効率をかけた値を示すグラフである。
【図12】本発明に係る表示装置の構成1、構成2、構成3における視感反射分布を示すグラフである。
【図13】B領域B透過円偏光板使用時と円偏光板使用時のB発光スペクトルの比較図である。
【図14】本発明に係る表示装置を成す画素の異なる構成図である。
【図15】本発明に係る表示装置を成す画素のR発光効率を向上させる場合の構成図である。
【図16】B共振器の分光反射率を例示するグラフである。
【図17】R共振器の分光反射率を例示するグラフである。
【図18】R補色吸収層の分光透過率を例示するグラフである。
【符号の説明】
【0102】
100 基板
101 有機層
102 反射電極
103 透明電極
105 発光層
106 ホール輸送層
107 電子輸送層
108 ホール注入層
109 電子注入層
111 R有機層
115 R発光層
117 R補色吸収層
121 G有機層
125 G発光層
131 B有機層
135 B発光層
136 B領域B透過円偏光板
137 B補色吸収層
138 円偏光板(B発光領域無し)
142 RB領域透過円偏光板
201 発光点
202 上方発光経路
203 下方発光経路
301 入射光
303 反射光
311 R入射光
311A R入射光
314 R透過左(右)円偏光
315 R反射右(左)円偏光
321 G入射光
321A G入射光
324 G透過左(右)円偏光
325 G反射右(左)円偏光
331 B入射光
331A B入射光
332A B透過光
333A B反射光
333B B反射光
334 B透過左(右)円偏光
335 B反射右(左)円偏光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有し、前記発光素子の光取り出し側に、前記発光色の異なる複数の発光素子の間を跨いで共通して配置されている円偏光部材を有する表示装置において、
前記円偏光部材は、前記複数の発光色のうち第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされており、
他の発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率は、前記第1発光色の発光素子における発光領域の前記第1発光色の透過率よりも低いことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1発光色の発光素子における発光領域の前記円偏光部材は、円偏光部材を構成する色素が分解されていることにより、他の色の透過率よりも高くされていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
発光色の異なる複数の発光素子を有する画素を複数有し、前記発光素子の光取り出し側に、円偏光部材を有する表示装置において、
前記円偏光部材は、前記発光素子の光取り出し側に、複数の発光色のうち第1発光色の発光素子を除く、他の発光色の発光素子における発光領域に配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記第1発光色の補色を吸収する吸収層が、前記第1発光色の発光素子の光取り出し側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1発光色の発光素子は、一対の反射面を有しており、
前記一対の反射面の間の光学距離は、発光素子の分光反射率が前記第1発光色の波長域において最小値あるいは極小値をとるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1発光色以外の発光素子は、前記第1発光色の波長域での分光反射率の最小値が50%未満である反射層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
複数の発光素子の間にブラックマトリックスを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1発光色は、前記複数の発光色のうちで発光効率が最も低い色であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1発光色は、前記複数の発光色のうちで駆動電流密度が最も高い色であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記発光素子は、有機EL素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の発光色は赤色と緑色と青色を含み、前記第1発光色は青色であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記円偏光部材は、前記複数の発光色のうち第1発光色とは異なる第2発光色の発光素子における発光領域の前記第2発光色の透過率が、他の色の透過率よりも高くされており、
他の発光色の発光素子における発光領域の前記第2発光色の透過率は、前記第2発光色の発光素子における発光領域の前記第2発光色の透過率よりも低いことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−108706(P2008−108706A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230941(P2007−230941)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】