説明

表示装置

【課題】情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる表示装置を提供する。
【解決手段】文字及び画像を含んだ情報を表示する表示面を有する液晶表示装置(表示部)3と、液晶表示装置3に対してタッチパネル機能を付与するタッチパネル(機能付与部)2とを備えた表示装置1において、液晶表示装置3とタッチパネル2との間に、スペーサ5を介在させることにより、干渉縞の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた表示装置、特に情報表示機能以外の機能が設けられた高機能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置では、タッチパネル機能や視野角制御機能などの情報表示機能以外の機能を付与することにより、ユーザに対する利便性の向上などが図られた高機能な表示装置が提供されている。
【0003】
具体的にいえば、従来の表示装置には、例えば下記特許文献1に記載されているように、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部としての液晶表示装置と、この液晶表示装置の表示面側に組み付けられたタッチパネルとを備えたものが提供されている。そして、この第1の従来例の表示装置では、液晶表示装置による情報表示機能に加え、タッチパネルによる操作入力機能が設けられることにより、ユーザからの操作入力(指示)に応じた情報表示などの様々なサービスをユーザに提供することが可能とされていた。
【0004】
つまり、第1の従来例の表示装置では、液晶表示装置がその表示面に操作入力画面を表示するとともに、タッチパネルが操作入力画面に対するユーザからの操作入力を検知するように構成されていた。そして、この第1の従来例の表示装置では、液晶表示装置がタッチパネルによる検知結果に応じて、上記表示面を、操作入力画面からユーザが望んだ情報を表示した表示画面に変更することにより、ユーザが所望する情報を表示可能に構成されていた。
【0005】
また、従来の表示装置には、例えば下記特許文献2に記載されているように、上記表示部としての液晶表示装置に対して、視野角制御機能を付与したものが提供されている。すなわち、この第2の従来例の表示装置では、液晶表示装置の表示面側に視野角制御装置(位相差制御用液晶素子)を設置し、視野角制御装置の動作状態を変更することにより、表示装置の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替可能に構成されていた。
【0006】
そして、第2の従来例の表示装置では、その表示状態を広視野角とすることにより、多数のユーザに対する情報表示が可能とされていた。一方、この第2の従来例の表示装置では、その表示状態を狭視野角とすることにより、ユーザの個人的な情報が他のユーザから覗き見されるのを防止可能とされていた。
【特許文献1】特開2001−356323号公報
【特許文献2】特許第3322197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来の表示装置では、干渉縞が発生してユーザに視認されることがあり、表示品位が著しく低下することがあった。
【0008】
具体的にいえば、上記第1の従来例の表示装置では、枠状に設けられた両面粘着テープを用いて、液晶表示装置に対しタッチパネルを一体的に組み付けていた。すなわち、この第1の従来例の表示装置では、両面粘着テープを介在させることにより、タッチパネル及び液晶表示装置の外周部分を互いに貼り合わせていた。
【0009】
ところが、上記のような両面粘着テープを使用した場合、表示装置の表示画面の大きさなどによっては、タッチパネルがその自重によって撓みを生じることがあり、干渉縞の発生が容易に視認されることがあった。具体的には、例えば15インチ以上の表示面を有する液晶表示装置に対し、両面粘着テープを用いてタッチパネルを設置する場合、タッチパネルの中央部が液晶表示装置側に撓むことがあった。この結果、第1の従来例の表示装置では、干渉縞が発生して、表示品位の低下を防止するのが難しいという問題点を生じた。
【0010】
また、上記第2の従来例の表示装置では、視野角制御装置と液晶表示装置とが透明な接着材料によって、貼り合わせられていた。しかしながら、この第2の従来例の表示装置では、接着材料と液晶表示装置との接合面及び接着材料と視野角制御装置との接合面に微少なエアギャップが生じることがあり、これらのエアギャップにより干渉縞が発生した。この結果、第2の従来例の表示装置では、第1の従来例の表示装置と同様に、表示品位の低下を防止するのが難しいという問題点を生じた。
【0011】
上記の課題を鑑み、本発明は、情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示装置は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示面を有する表示部と、
前記表示部に対して、所定の機能を付与する機能付与部とを備え、
前記表示部と前記機能付与部との間に、スペーサを介在させることにより、干渉縞が発生するのを防止したことを特徴とするものである。
【0013】
上記のように構成された表示装置では、表示部と機能付与部との間に設けたスペーサにより、干渉縞の発生が防止されている。この結果、上記従来例と異なり、情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる。
【0014】
また、上記表示装置において、前記スペーサでは、前記表示部と前記機能付与部とを互いに離間させる高さ寸法が可視光に対する可干渉距離を基に定められていることが好ましい。
【0015】
この場合、スペーサの上記高さ寸法が可視光に対する可干渉距離に基づき定められているので、干渉縞の発生を確実に防止することができる。
【0016】
また、上記表示装置において、前記スペーサでは、前記高さ寸法が20μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0017】
この場合、上記高さ寸法を20μm以上とすることにより、干渉縞の発生をより確実に防止することができる。また、高さ寸法を1000μm以下とすることにより、表示品位がスペーサに起因して低下するのを確実に防ぐことができる。
【0018】
また、上記表示装置において、前記スペーサでは、前記表示面の横方向または縦方向に対して、それぞれ平行に配置される横方向の幅寸法または縦方向の幅寸法が1mm以下であることが好ましい。
【0019】
この場合、スペーサに起因する表示品位の低下が生じるのを防ぐことができる。
【0020】
また、上記表示装置において、前記表示部と前記機能付与部との間には、平行に配置された前記スペーサが複数配置されるとともに、
互いに平行に配置され、かつ、隣接する2つの前記スペーサの間隔寸法が、5mm以上30mm未満であることが好ましい。
【0021】
この場合、上記間隔寸法を5mm以上とすることにより、スペーサに起因する表示品位の低下を確実に防ぐことができる。また、間隔寸法を30mm未満とすることにより、干渉縞の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【0022】
また、上記表示装置において、前記スペーサには、透明な合成樹脂が用いられてもよい。
【0023】
この場合、スペーサでの光吸収を極力抑えることが可能となり、スペーサに起因して輝度が低下するのを抑制することができる。
【0024】
また、上記表示装置において、前記機能付与部には、前記スペーサを介在させて前記表示部の前記表示面側に設けられたタッチパネルが用いられてもよい。
【0025】
この場合、タッチパネルによってユーザからの操作入力(指示)を検知可能となり、表示装置では、その指示に応じた情報表示などを行うことができる。
【0026】
また、上記表示装置において、前記機能付与部には、前記スペーサを介在させて前記表示部の前記表示面側及び前記表示面に対向する非表示面側の少なくとも一方に設けられた視野角制御パネルが用いられてもよい。
【0027】
この場合、視野角制御パネルによって上記表示部の視野角を制御することができ、表示装置では、その用途や使用環境などに応じて、表示部の視野角を最適に変更することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の表示装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合を例示して説明する。
【0030】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示装置の概略構成を示す側面図である。図1において、本実施形態の表示装置1は、ユーザの視認側(図の上側)に配置された抵抗膜式のタッチパネル2と、このタッチパネル2の背面側(図の下側)に設置された表示部としての液晶表示装置3とを備えている。これらのタッチパネル2と液晶表示装置3とは、スペーサ5を介在させて一体的に組み付けられており、表示装置1では、後に詳述するように、スペーサ5を介在させることによって干渉縞の発生を防止している。また、表示装置1には、液晶表示装置3の背面側に配置され、当該液晶表示装置3に照明光を照射するバックライト装置4が設けられている。
【0031】
タッチパネル2は、外部からの押圧操作に応じて、変形可能に構成された透明な上部電極部21と、上部電極部21に対向して配置された透明な下部電極部22とを備えている。そして、タッチパネル2では、上部電極部21がユーザからの押圧操作、すなわち操作入力(指示)に応じて変形し、下部電極部22に部分的に接触することにてオフ状態からオン状態に切替えられて、当該ユーザからの指示を検知・入力可能に構成されている。
【0032】
具体的にいえば、上部電極部21には、薄板状の基板21aと、この基板21aの下部電極部22側の表面全面を覆うように形成された抵抗膜21bとが設けられている。同様に、下部電極部22には、薄板状の基板22aと、この基板22aの上部電極部21側の表面全面を覆うように形成された抵抗膜22bとが設けられている。
【0033】
基板21a、22aは、透明で可撓性を有する合成樹脂、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いて構成されている。また、抵抗膜21b、22bは、ITO(酸化インジウム錫)などの透明な導電性薄膜により構成されている。
【0034】
また、下部電極部22には、図2(a)に示すように、抵抗膜22b上で互いに平行に設けられた一対の平行電極22c、22dが設けられている。各平行電極22c、22dは、抵抗膜22bと同じ透明な導電性材料を用いて当該抵抗膜22bと一体的に設けられたものであり、図2の上下方向(以下、Y軸方向という。)に沿って帯状に形成されている。
【0035】
また、各平行電極22c、22dは、位置検出用のFPC(Flexible Printed Circuit)25に接続されており、FPC25を介して接続された電源(図示せず)から直流電圧が印加されるようになっている。また、FPC25には、図示を省略した位置検知部が接続されており、抵抗膜22aと上部電極部21側の抵抗膜21bとが接触したときに、上記位置検知部は、抵抗膜21b、22bの接触点と平行電極22cまたは22dとの間の電圧値を検出して、その検出電圧値を基に同図2の左右方向(以下、X軸方向という。)での抵抗膜21b、22bの接触点の位置を検知するようになっている。
【0036】
一方、上部電極部21には、図2(b)に示すように、X軸方向に沿って帯状に形成された一対の平行電極21c、21dが抵抗膜21b上で互いに平行に設けられている。これらの各平行電極21c、21dは、抵抗膜21bと同じ透明な導電性材料を用いて当該抵抗膜21bと一体的に形成されたものであり、FPC25に接続されている。
【0037】
平行電極21c、21dは、下部電極部22側の平行電極22c、22dと同様に、FPC25を介して直流電圧が印加されるようになっている。さらに、上部電極部21では、抵抗膜21bと下部電極部22側の抵抗膜22bとが接触したときに、上記位置検知部が、抵抗膜21b、22bの接触点と平行電極21cまたは21dとの間の電圧値を検出し、その検出電圧値を基にY軸方向での抵抗膜21b、22bの接触点の位置を検知するようになっている。
【0038】
また、上部電極部21と下部電極部22との間には、例えば両面粘着材を用いた封止部材23が、上部電極部21及び下部電極部22の各外周部分に枠状に取り付けられており、これらの上部電極部21と下部電極部22とを電気的に絶縁した状態で、抵抗膜21b、22bを互いに対向させるようになっている。
【0039】
さらに、枠状の封止部材23の一辺上には、図2(a)に示すように、FPC25が載置されており、上部電極部21と下部電極部22とが封止部材23により一体化されたときに、FPC25は同時に上部電極部21の抵抗膜21bに気密に固着されるようになっている。
【0040】
また、タッチパネル2では、図2に一点鎖線にて示す入力領域(すなわち、平行電極21c、21d及び22c、22dで囲まれた領域)が設定されており、この入力領域内でユーザからの操作指示を受け入れるようになっている。また、この入力領域の内部には、透明材料からなる突起部材24(図1)が下部電極部22側の抵抗膜22b上に複数形成されており、抵抗膜21b及び22bが常時接触するのを確実に防止したり、上記操作指示を円滑、かつ高精度に検出したりすることができるようになっている。
【0041】
さらに、タッチパネル2では、液晶表示装置3の表示面上に表示された操作入力画面が上記入力領域内でユーザに視認可能に構成されている。そして、ユーザが当該操作入力画面に対し、指やタッチペンなどを用いた操作入力を行うと、上部電極部21が当該操作入力に応じて変形して、その抵抗膜21bが下部電極部22の抵抗膜22bに接触することにより、タッチパネル2では、上述のように、X軸方向及びY軸方向での各接触点の位置が検知されて、ユーザからの操作入力が判別される。
【0042】
液晶表示装置3には、表示用液晶パネル31と、表示用液晶パネル31の表示面側及び非表示面側にそれぞれ設けられた一対の偏光板32及び33が設けられている。上記表示用液晶パネル31は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示面を有しており、上記表示部を実質的に構成している。また、この表示用液晶パネル31には、カラーフィルタ(図示せず)が設けられており、カラー表示を行えるようになっている。
【0043】
また、表示用液晶パネル31の液晶モードや画素構造は任意である。また、表示用液晶パネル31の駆動モードも任意である。すなわち、表示用液晶パネル31としては、情報を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。それ故、図1においては表示用液晶パネル31の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。
【0044】
バックライト装置4は、直下型のバックライト装置であり、図1の左右方向で所定間隔をおいて配置された複数の冷陰極管Lを備えている。そして、バックライト装置4は、液晶表示装置3に対して平面状の上記照明光を照射するようになっている。
【0045】
尚、上記の説明以外に、熱陰極管、キセノン管などの放電管を用いた線状光源や、LEDなどの点状光源を備えたバックライト装置を使用することもできる。また、導光板を使用したエッジライト型のバックライト装置を用いることもできる。
【0046】
ここで、図3〜図5を参照して、スペーサ5の具体的な構成及び干渉縞の発生を防止する機能について説明する。
【0047】
まず、図3を参照して、本実施形態のスペーサ5の具体的な構成について説明する。
【0048】
図3は図1に示したスペーサを説明する図であり、図3(a)は上記タッチパネル側から見たときのスペーサの平面図であり、図3(b)はスペーサの側面図である。図3において、スペーサ5には、UV硬化性の透明な合成樹脂(例えば、UV硬化型アクリル樹脂)が使用されており、図3(a)に示すように、スペーサ5は、偏光板32に対して、格子状に設けられている。
【0049】
具体的にいえば、スペーサ5には、表示用液晶パネル31の表示面の縦方向及び横方向に対して、それぞれ平行に配置される垂直部分5a及び水平部分5bが各々複数含まれており、格子状のパターンに構成されている。これら垂直部分5a及び水平部分5bは、例えばスクリーン印刷法によって偏光板32上に格子状に形成されたものである。
【0050】
すなわち、図3(a)に示したような格子状のパターンが設けられたマスクを偏光板32上に配置し、上記合成樹脂を印刷することにより、垂直部分5a及び水平部分5bは偏光板32上に形成される。そして、紫外線を照射することにより、垂直部分5a及び水平部分5bは偏光板32に固定されて、スペーサ5は液晶表示装置3に一体化される。その後、表示装置1では、垂直部分5a及び水平部分5bの上方に、タッチパネル2の基板22aが載置されることにより、当該タッチパネル2がスペーサ5を介在させて液晶表示装置3に一体的に組み付けられる。
【0051】
尚、上記の説明以外に、タッチパネル2の基板22aに対し、上記マスクを使用することにより、当該基板22a上にスペーサ5を形成してもよい。また、スペーサ5の材料(例えば、熱硬化型アクリル樹脂)によっては、紫外線照射に代えて、焼成を行うことにより、偏光板32及び基板22aの一方に対して、スペーサ5を固定してもよい。
【0052】
また、スペーサ5では、図3(b)に“h1”にて示す垂直部分5a及び水平部分5bの高さ寸法は、可視光に対する可干渉距離を基に定められている。つまり、スペーサ5では、タッチパネル2と液晶表示装置3とを互いに離間させる高さ寸法h1が、上記可干渉距離に基づき決定されており、干渉縞の発生を確実に防止することができるようになっている。具体的にいえば、スペーサ5では、垂直部分5a及び水平部分5bの高さ寸法h1が可干渉距離に基づき20μm以上に設定されている。
【0053】
ここで、図4及び図5も参照して、スペーサ5での干渉縞発生の防止機能について説明する。
【0054】
図4は、上記スペーサの高さ寸法と可干渉距離との関係を説明するための図である。図5(a)は図1に示したバックライト装置からの光の分光特性の具体例を示すグラフであり、図5(b)は図1に示した表示用液晶パネルのカラーフィルタを通過した後の上記バックライト装置からの光の分光特性の具体例を示すグラフである。
【0055】
図4において、基板22aと偏光板32との間には、スペーサ5が介在することにより、高さ寸法h1に等しいギャップ(離間寸法)を有する空隙層が形成されており、液晶表示装置3側から出射した光が当該空隙層を通過してタッチパネル2側に向かって進行するようになっている。なお、以下の説明では、説明の簡略化のために、上記空隙層を通過する光を例示して説明し、垂直部分5aまたは水平部分5bの内部を通過する光については、その説明を省略する。
【0056】
詳細には、偏光板32と空隙層との界面上の任意の点P1において、偏光板32の内部を通過してきた光αが入射角θ1で空隙層の内部に入射した後、空隙層と基板22aとの界面上の任意の点P2に対して、入射角θ2で到達すると、当該点P2では、透過光β及び反射光γが生じる。すなわち、上記光αの一部は、点P2を経て基板22aの内部に直接的に進行する上記透過光βとなる。
【0057】
また、光αの一部は、点P2で偏光板32側に反射された後、偏光板32と空隙層との界面上の任意の点P3において、基板22a側に再度反射されて、空隙層と基板22aとの界面上の任意の点P4を経て基板22aの内部に進行する上記反射光γとなる。
【0058】
上記のような透過光β及び反射光γが生じた場合に、これら透過光β及び反射光γが表示装置1から同時にユーザに向かって出射されると、干渉縞の発生がユーザによって視認されることがある。つまり、上記光αが任意の波連を有する光(波)である場合、空隙層と基板22aとの界面で透過光βと反射光γとが再合成されると、干渉縞として現れてしまう。
【0059】
それ故、干渉縞の発生を防ぐためには、透過光βと反射光γとの光路長差(図4に点線にて図示)が可干渉距離よりも大きくければよい。また、この可干渉距離は、一般に光αの波連の長さで説明される。つまり、任意の波連をもつ光αが空隙層から基板22aの内部に入射するときに発生する干渉光は、透過光βと反射光γの位相差を考えればよく、反射光γが空隙層と基板22aとの界面に到達したときに、透過光βの全ての波連が当該界面を既に通過していれば、上記干渉光は生ぜずに、干渉縞も発生しない。従って、可干渉距離より光路長差を長く設定すれば干渉縞を抑えられることになる。
【0060】
ここで、可干渉距離の算出の仕方について以下に説明する。
【0061】
波長λの光について考える。透過光βと、その(m+1)番目の波である反射光γが強め合っている場合を考える。その波長λの(m+1)番目の波に対して、波長(λ+Δλ)の光のm番目の波が強め合うと、干渉縞は視認されなくなる。この干渉縞が視認されない条件では、光学的距離が等しいから、下記(1)式が成立する。
【0062】
λ*(m+1)=(λ+Δλ)*m ――(1)
上記(1)式を変形すると、下記(2)が求められる。
【0063】
m=λ/Δλ ――(2)
また、波連の長さ(可干渉距離)Lcは、波長λと波の数mとの積の値で求められるから、上記(2)式を用いて、可干渉距離Lcは、下記(3)式で表される。
【0064】
Lc=λ*m=λ2/Δλ ――(3)
上記(3)式から明らかなように、可干渉距離Lcは、光の波長λと波長の広がり幅Δλとで算出することができる。
【0065】
一方、バックライト装置4からの光の分光特性は、図5(a)に曲線70にて例示するように、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各色光の波長域でピークを有している。
【0066】
さらに、表示用液晶パネル31の上記カラーフィルタを通過した後の分光特性は、図5(b)に示される。すなわち、カラーフィルタのR層、G層、及びB層をそれぞれ通過した後のRGBの色光の分光特性は、同図5(b)の曲線70R、70G、及び70Bで示される。
【0067】
そして、赤色光の波長λ及び波長の広がり幅Δλをそれぞれ610nm及び10nmとしたとき、上記(3)式より、赤色光の可干渉距離Lc(R)は37μmと求められる。
【0068】
また、緑色光の波長λ及び波長の広がり幅Δλをそれぞれ545nm及び10nmとしたとき、上記(3)式より、緑色光の可干渉距離Lc(G)は30μmと求められる。
【0069】
また、青色光の波長λ及び波長の広がり幅Δλをそれぞれ435nm及び9.5nmとしたとき、上記(3)式より、青色光の可干渉距離Lc(B)は20μmと求められる。
【0070】
上記のように求められた可干渉距離Lc(R)、Lc(G)、Lc(B)のうち、最大の可干渉距離Lc(R)の37μmを選択する。また、上述したように、図4に点線にて示した透過光βと反射光γとの光路長差が可干渉距離よりも大きい場合に、干渉縞の発生を防止することができるので、スペーサ5の高さ寸法h1は最大の可干渉距離Lc(R)の約1/2であればよい。
【0071】
すなわち、本実施形態では、若干の余裕を考慮して、スペーサ5の垂直部分5a及び水平部分5bの高さ寸法h1を20μm(>37/2)としている。
【0072】
以上のように、本実施形態では、垂直部分5a及び水平部分5bの高さ寸法h1が、可干渉距離及びバックライト装置4の分光特性に基づいて、20μm以上に設定されているので、干渉縞の発生をより確実に防止することができる。
【0073】
尚、可視光領域の最大波長は、780nm程度であるが、図5(b)に示したように、本実施形態の表示装置1では、バックライト装置4から実際に発光される光において、上記赤色光の波長が実質的な最大波長である。それゆえ、本実施形態の表示装置1では、スペーサ5での干渉縞発生の防止機能を十分に発揮させることができる。
【0074】
図3に戻って、スペーサ5では、垂直部分5a及び水平部分5bの高さ寸法h1が、1000μm以下に制限されている。これにより、本実施形態の表示装置1では、スペーサ5の後述の幅寸法を1mm以下に確実に抑えることができる。このため、本実施形態の表示装置1では、表示品位がスペーサ5に起因して低下するのを確実に防ぐことができるように構成されている。
【0075】
尚、スペーサ5の高さ寸法h1を20μm未満としたときには、干渉縞の発生をより確実に防止できないおそれがある。一方、1000μmを超える高さ寸法h1のスペーサ5を用いたときには、上記空隙層のギャップ(離間寸法)を維持するために、スペーサ5の垂直部分5a及び水平部分5bの各部分の大きさ(下記の格子線幅)を大きくする必要が生じて、表示品位の低下を招くおそれがある。
【0076】
また、複数の各垂直部分5aにおいて、上記表示面の横方向と平行な横方向の幅寸法(図3(a)に“Wa1”にて図示)は、1mm以下とされている。同様に、複数の各水平部分5bにおいて、上記表示面の縦方向と平行な縦方向の幅寸法(図3(a)に“Wb1”にて図示)は、1mm以下とされている。
【0077】
すなわち、スペーサ5では、格子状の垂直部分5a及び水平部分5bの各格子線幅が1mm以下に設定されている。これにより、本実施形態の表示装置1では、複数の垂直部分5a及び水平部分5bを格子状に配置したときでも、これら垂直部分5a及び水平部分5bに起因して、表示品位の低下が生じるのを防止することができるようになっている。
【0078】
尚、垂直部分5aの上記幅寸法Wa1または水平部分5bの上記幅寸法Wb1が1mmを超える幅寸法に設定されたときには、表示品位の低下を招くおそれがある。
【0079】
また、スペーサ5では、隣接する2つの垂直部分5aの間隔寸法(図3(a)に"La1"にて図示)が5mm以上30mm未満にされている。同様に、隣接する2つの水平部分5bの間隔寸法(図3(a)に"Lb1"にて図示)が5mm以上30mm未満にされている。これにより、本実施形態の表示装置1では、垂直部分5a及び水平部分5bに起因する表示品位の低下を確実に防ぎつつ、干渉縞の発生を確実に防止できるように構成されている。
【0080】
尚、上記間隔寸法La1またはLb1を5mm未満としたときには、対応する垂直部分5aまたは水平部分5bに起因して、表示品位の低下を招くおそれがある。一方、間隔寸法La1またはLb1を30mm以上としたときには、上記空隙層のギャップを維持することができなくなって、干渉縞の発生を確実に防止できないおそれがある。
【0081】
以上のように構成された本実施形態の表示装置1では、タッチパネル(機能付与部)2と液晶表示装置(表示部)3との間に、格子状のスペーサ5を介在させることにより、干渉縞の発生を防止している。この結果、上記従来例と異なり、情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる。
【0082】
また、本実施形態の表示装置1では、スペーサ5が格子状に配列された垂直部分5a及び水平部分5bを含んでいるので、両面粘着テープを使用した上記第1の従来例と異なり、表示面の画面サイズに関わりなく、スペーサ5を介在させてタッチパネル2と液晶表示装置3とを安定した状態で、一体的に組み付けて維持することができる。しかも、タッチパネル2に対して押圧操作が加えられたときでも、干渉縞の発生を防いで表示品位が低下するのを防止することができる。
【0083】
尚、上記の説明では、抵抗膜式のタッチパネル2を使用した場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、光学式や静電容量式等の他の方式のタッチパネルを用いることもできる。
【0084】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態にかかる表示装置の概略構成を示す側面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、タッチパネルに代えて、視野角制御機能を付与する視野角制御装置を用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0085】
つまり、図6に示すように、本実施形態の表示装置1では、液晶表示装置3の表示面側に、複数のスペーサ15を介在させて機能付与部としての視野角制御装置6が設けられている。視野角制御装置6には、スペーサ15上に載置される視野角制御用液晶パネル61と、視野角制御用液晶パネル61上に順次積層された位相差板62及び偏光板63とが設けられている。
【0086】
視野角制御用液晶パネル61には、液晶層と、この液晶層を狭持する一対の透光性基板とを備えている(図示せず)。上記液晶層には、例えばホモジニアス配向させたネマティック液晶が用いられている。また、この液晶層では、その液晶分子は、電圧の無印加時には、上記透光性基板の基板面に対して分子長軸がほぼ平行となるように配列され、電圧が印加されると、同基板面に対して分子長軸がほぼ垂直となるよう配列されている。
【0087】
また、視野角制御用液晶パネル61では、表示用液晶パネル31と異なり、画素単位に液晶層を駆動する必要がないため、電極構造に関しては制限がない。つまり、視野角制御用液晶パネル61では、表示面全体で一様なスイッチングを行うために、上記透光性基板の全面に一様な透明電極が形成された構成としても良いし、他の任意の電極構造を取り得る。
【0088】
また、視野角制御装置6では、液晶表示装置3の偏光板32を協働して、表示装置1の表示状態を狭視野角と広視野角との間で切替可能に構成されている。すなわち、偏光板63と偏光板32とは、それぞれの偏光透過軸が略直交(例えば、80°〜100°の範囲)するように配置されている。
【0089】
ここで、図7及び図8を参照して、本実施形態の表示装置1での視野角の切替動作について具体的に説明する。
【0090】
図7は、図6に示した表示装置において、異なる視点からの視角の定義を表す模式図である。図8(a)〜(c)は、図6に示した表示装置における、視角に応じた液晶分子と偏光板の偏光透過軸との位置関係を示す図である。尚、以下の説明では、表示装置1に対する、ある視点からの視角を、偏光板63の中央63cを基準とした方位角θ及び極角φによって表す。
【0091】
すなわち、図7に示すように、方位角θとは、視点から偏光板63の表面を含む平面へ下ろした垂線の足と、偏光板63の中央63cとを結ぶ線の回転角である。また、図7において、方位角θは、視点S1の方向の方位角θC1を0°として、偏光板63の法線方向上側から見た場合に時計回りに増加するものとする。すなわち、同図7に例示するように、視点S2の方位角θC2は90°であり、視点S3の方位角θC3は180°である。また、極角φ1〜φ3は、偏光板63の中央63cと視点S1〜S3とをそれぞれ結ぶ直線が、偏光板63の法線となす角度である。
【0092】
ここで、図8(a)〜(c)を参照して、視野角制御用液晶パネル61において、電圧印加が行われて、液晶分子の分子長軸が表示装置1の表示面にほぼ垂直となった場合の、図7に示す視点S1〜S3のそれぞれの視角から観察される表示状態について説明する。
【0093】
まず、視点S1からの視角(方位角θC1=0°)に対しては、極角φ1がおよそ20°〜60°の範囲で、図8(a)に示すように、液晶分子61cの短軸側が視角方向に対向する状態となる。これにより、視点S1からの視角に対しては、バックライト装置4から出射され、偏光板32を透過して視野角制御用液晶パネル61内に入射した直線偏光は、液晶分子61cによって複屈折が与えられず、偏光板63で遮蔽される。従って、視点S1からの視角に対しては、他人からの覗き見を防止するに十分な遮光状態が得られる。
【0094】
また、視点S2からの視角(方位角θC2=90°)に対しては、極角φ2がおよそ30°〜60°の範囲で、図8(b)に示すように、液晶分子61cの分子長軸が、偏光板63の偏光透過軸X1及び偏光板32の偏光透過軸X2のそれぞれに対して若干傾いた状態となる。これにより、視点S2からの視角に対しては、バックライト装置4から出射され、偏光板32を透過して視野角制御用液晶パネル61内に入射した直線偏光は、液晶分子61cによってごくわずかな複屈折が生じるが、偏光板63で遮蔽される。従って、視点S2からの視角に対しても、他人からの覗き見を防止するに十分な遮光状態が得られる。また、視点S2と対向する位置、つまり方位角θが270°の場合も、視点S2からの観察時と同様の原理により、遮光状態が得られる。
【0095】
また、視点S3からの視角(方位角θC3=180°)に対しては、極角φ3が0°≦φ3<90°の範囲で、図8(c)に示すように、液晶分子61cの分子長軸が、偏光板63の偏光透過軸X1及び偏光板32の偏光透過軸X2のそれぞれに対して約45°傾き、かつ、液晶分子61cの長軸側が視角方向に対向する状態となる。これにより、視点S3からの視角に対しては、バックライト装置4から出射され、偏光板32を透過して視野角制御用液晶パネル61内に入射した直線偏光は、液晶分子61cによって複屈折が与えられ、偏光板63の偏光透過軸X1に一致するよう偏光方向が回転され、偏光板63を透過する。従って、視点S3からの視角に対しては、十分な透過率が得られる。
【0096】
以上のように、視野角制御装置6では、視野角制御用液晶パネル61において電圧印加が行われた場合、方位角180°を中心とする狭い視角範囲についてのみ良好な表示が得られ、その他の方位角については、視野角制御用液晶パネル61内の偏光光が偏光板63で遮光され、黒表示となる。従って、視野角制御装置6では、視野角制御用液晶パネル61において電圧印加を行うことにより、広視野角方向に対しては、バックライト装置4からの出射光を遮蔽できる。すなわち、広視野角方向からは表示用液晶パネル31の表示画像を視認できなくなり、表示装置1を狭視野角とすることができる。
【0097】
一方、視野角制御用液晶パネル61において電圧印加を行わない場合は、視野角制御用液晶パネル61において、上記視点S1〜S3のいずれの視角に対しても、全方位に対して良好な表示が得られるような十分な複屈折が生じることにより、表示装置1を広視野角とすることができる。
【0098】
以上のとおり、本実施形態の表示装置1では、視野角制御用液晶パネル61への電圧の印加/無印加を切替えることにより、表示装置1の表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替えることが可能となる。
【0099】
次に、図9を参照して、本実施形態のスペーサ15について具体的に説明する。
【0100】
図9は、図6に示したスペーサを説明する図であり、(a)は上記視野角制御装置側から見たときのスペーサの平面図であり、(b)はスペーサの側面図である。図9において、スペーサ15には、スペーサ5と同様に、UV硬化性の透明な合成樹脂(例えば、UV硬化型アクリル樹脂)が使用されており、スペーサ15は、図9(a)に示すように、偏光板32に対して、ドット状に設けられている。
【0101】
具体的には、複数のスペーサ15が、上記表示面の縦方向及び横方向に沿って各々所定間隔をおいて配列されている。また、各スペーサ15には、例えば四角柱状のものが使用されており、これらのスペーサ15は、例えばインクジェット法によって偏光板32上にドット状に形成されたものである。
【0102】
すなわち、偏光板32上の予め設定しておいた箇所に対して、インクジェット法にて上記合成樹脂を塗布して、スペーサ15をドット状に設ける。そして、スペーサ15は、紫外線が照射されることにより、偏光板32に固定されて、液晶表示装置3に一体化される。その後、表示装置1では、各スペーサ15の上方に、視野角制御装置6の視野角制御用液晶パネル61が載置されることにより、当該視野角制御装置6がスペーサ15を介在させて液晶表示装置3に一体的に組み付けられる。
【0103】
また、図9(b)において、スペーサ15では、液晶表示装置3と視野角制御装置6とを離間させる高さ寸法h2が可視光に対する可干渉距離を基に定められており、干渉縞の発生を確実に防止することができるようになっている。具体的には、スペーサ15では、スペーサ5と同様に、上記高さ寸法h2が20μm以上とされており、さらには、表示品位がスペーサ15に起因して低下するのを確実に防ぐために、1000μm以下に制限されている。
【0104】
また、スペーサ15では、上記表示面の横方向及び縦方向に対して、それぞれ平行に配置される横方向の幅寸法(図9(a)に“Wa2”にて図示)及び縦方向の幅寸法(図9(a)に“Wb2”にて図示)が1mm以下に設定されている。これにより、本実施形態の表示装置1では、第1の実施形態と同様に、スペーサ15に起因する表示品位の低下が生じるのを防ぐことができるように構成されている。
【0105】
また、本実施形態の表示装置1では、上記横方向で隣接する2つのスペーサ15の間隔寸法(図9(a)に"La2"にて図示)が5mm以上30mm未満にされている。同様に、上記縦方向で隣接する2つのスペーサ15の間隔寸法(図9(a)に"Lb2"にて図示)が5mm以上30mm未満にされている。これにより、本実施形態の表示装置1では、第1の実施形態と同様に、スペーサ15に起因する表示品位の低下を確実に防ぎつつ、干渉縞の発生を確実に防止できるように構成されている。
【0106】
以上のように構成された本実施形態では、液晶表示装置(表示部)3と視野角制御装置(機能付与部)6との間に、ドット状のスペーサ15を介在させることにより、干渉縞の発生を防止しているので、上記第1の実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0107】
尚、上記の説明以外に、第1の実施形態の場合と同様に、液晶表示装置3の表示面側に視野角制御装置6を設けた場合について説明したが、液晶表示装置3の非表示面側に視野角制御装置6を設けることもできる。また、上記表示面側及び非表示面側の双方に視野角制御装置6を設置することも可能である。
【0108】
さらに、液晶表示装置3の表示面側及び非表示面側にタッチパネル2及び視野角制御装置6をそれぞれ設置して、タッチパネル2による操作入力機能、及び視野角制御装置6にて覗き見を防止する、いわゆるベールビュー機能の両方の機能を備えた液晶表示装置3を構成することもできる。
【0109】
また、上記の説明では、視野角制御用液晶パネル61を備えた視野角制御装置6を用いた場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、位相差フィルム等を積層してフィルム状に構成された視野角制御フィルムを使用することもできる。
【0110】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0111】
例えば、上記の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示面を有する表示部を構成可能な各種表示装置に適用することができる。具体的には、半透過型や反射型の液晶表示装置、あるいは投写型表示装置などの非発光型の表示装置を表示部として使用することができる。
【0112】
また、上記の説明以外に、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)素子、無機EL素子、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)等の自発光型の表示装置を表示部に用いることもできる。
【0113】
なお、CRTなどの表示面がフラットでなく、曲面を有する表示部に対しては、スペーサの上記高さ寸法を当該曲面に応じて適宜変更して、機能付与部を設置すればよい。
【0114】
また、上記の説明では、機能付与部としてタッチパネルまたは視野角制御パネルを用いた場合について説明したが、本発明の機能付与部はこれに限定されるものではなく、例えば表示部にて形成された表示画像の光を遮光する遮光部分と、当該光の透過を許容する透過部分とを備えた視差バリアを機能付与部に用いることにより、複数の表示方向に対して異なる複数の表示画像をそれぞれ表示可能なマルチビュー機能を付与することができる。
【0115】
また、視差バリアに代えて、レンチキュラーレンズを含んだ視差素子を機能付与部として設けることにより、表示部からの表示画像を3次元的に表示可能な3D(Dimension)表示装置を構成することもできる。
【0116】
なお、本発明にかかる表示装置の用途は多岐に亘る。例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、または携帯電話等のディスプレイに適用されるだけでなく、ATM(現金自動受け払い機)、公共の場に設置される情報端末、券売機、および車載用ディスプレイ等、様々な機器のディスプレイに適用される。
【0117】
また、上記の説明では、スクリーン印刷法によって形成された格子状のスペーサまたはインクジェット法によって形成された四角柱状のスペーサを用いた場合について説明した。しかしながら、本発明のスペーサは、表示部と機能付与部との間に配置されて、干渉縞の発生を防止するものであれば、スペーサの形状及び形成方法は上記のものに何等限定されない。具体的には、フォトリソ法などを用いることもできる。また、三角柱などの四角柱以外の多角柱状のスペーサや球状のスペーサを使用することもできる。
【0118】
また、上記の説明では、透明な合成樹脂を用いてスペーサを構成した場合について説明したが、本発明のスペーサはこれに限定されるものではなく、黒色などの所定色に着色された材質を使用することができる。
【0119】
但し、上記のような透明な合成樹脂をスペーサに用いる場合の方が、当該スペーサでの光吸収を極力抑えることができて、スペーサに起因する輝度の低下を抑制可能となる点で好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明にかかる表示装置は、情報表示機能以外の機能を付与して高機能化を図ったときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができるので、優れた表示性能を有する高性能な表示装置に対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる表示装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示したタッチパネルの要部構成を説明する図であり、(a)及び(b)はそれぞれ上部電極部側及び下部電極部側から見たときの下部電極部及び上部電極部の平面図である。
【図3】図1に示したスペーサを説明する図であり、(a)は上記タッチパネル側から見たときのスペーサの平面図であり、(b)はスペーサの側面図である。
【図4】上記スペーサの高さ寸法と可干渉距離との関係を説明するための図である。
【図5】(a)は図1に示したバックライト装置からの光の分光特性の具体例を示すグラフであり、(b)は図1に示した表示用液晶パネルのカラーフィルタを通過した後の上記バックライト装置からの光の分光特性の具体例を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる表示装置の概略構成を示す側面図である。
【図7】図6に示した表示装置において、異なる視点からの視角の定義を表す模式図である。
【図8】(a)〜(c)は、図6に示した表示装置における、視角に応じた液晶分子と偏光板の偏光透過軸との位置関係を示す図である。
【図9】図6に示したスペーサを説明する図であり、(a)は上記視野角制御装置側から見たときのスペーサの平面図であり、(b)はスペーサの側面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 表示装置
2 タッチパネル(機能付与部)
3 液晶表示装置(表示部)
31 表示用液晶パネル(表示部)
5 スペーサ
5a 垂直部分
5b 水平部分
6 視野角制御装置(機能付与部)
61 視野角制御用液晶パネル(機能付与部)
15 スペーサ
h1、h2 高さ寸法
Wa1、Wa2 横方向の幅寸法
Wb1、Wb2 縦方向の幅寸法
La1、La2 間隔寸法
Lb1、Lb2 間隔寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字及び画像を含んだ情報を表示する表示面を有する表示部と、
前記表示部に対して、所定の機能を付与する機能付与部とを備え、
前記表示部と前記機能付与部との間に、スペーサを介在させることにより、干渉縞が発生するのを防止したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記スペーサでは、前記表示部と前記機能付与部とを互いに離間させる高さ寸法が可視光に対する可干渉距離を基に定められている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スペーサでは、前記高さ寸法が20μm以上1000μm以下である請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記スペーサでは、前記表示面の横方向または縦方向に対して、それぞれ平行に配置される横方向の幅寸法または縦方向の幅寸法が1mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部と前記機能付与部との間には、平行に配置された前記スペーサが複数配置されるとともに、
互いに平行に配置され、かつ、隣接する2つの前記スペーサの間隔寸法が、5mm以上30mm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スペーサには、透明な合成樹脂が用いられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記機能付与部には、前記スペーサを介在させて前記表示部の前記表示面側に設けられたタッチパネルが用いられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記機能付与部には、前記スペーサを介在させて前記表示部の前記表示面側及び前記表示面に対向する非表示面側の少なくとも一方に設けられた視野角制御パネルが用いられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−134489(P2008−134489A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321136(P2006−321136)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】