説明

表示装置

【課題】表示部を機器本体に正立した状態から下向きに傾けたときに、表示部の下部とダッシュボードとの間に間隙を設ける必要がない車載用表示装置を提供すること。
【解決手段】機器本体2の側方に設けた水平方向用ガイド4に連続して第1の係合部7を垂直方向にガイドする垂直方向変更用ガイド12を形成し、機器本体2の前部側方に設けた垂直方向用ガイド6を形成し、第1の係合部7を水平方向用摺動体8に設け、水平方向用摺動体8と表示部9の下部とを回動自在に連結部10で連結し、第2の係合部11を表示部9の上部に設け、水平方向用摺動体8を水平方向から垂直方向に移動させて表示部9を上方に変位させながら下向きに傾ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のダッシュボード等に設置される表示装置、特に、その表示部を本体の前面に正立させた状態から水平に大きく傾けて前面を開放したり、表示部の角度を傾斜させてユーザに見やすくしたりすることを可能とした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用ナビケーション機器が広く普及している。この車載用ナビケーション機器は一般的にはダッシュボードに設置されている。このとき、車載用ナビゲーション機器の表示部を見やすくするため、車載用ナビケーション機器はダッシュボードに固定したままで、表示部のみを最適な角度に傾けることが必要とされている。
【0003】
そのため、従来においては、例えば、下記特許文献1で示す技術が提案されている。これは、奥部がダッシュボード内に収納されて固定されるシャーシと、このシャーシの前部に回動自在に連結され表示部を下方から支持する支持部とによって、車載用ナビケーション機器に表示部を回動可能に支持するものである。さらに、表示部の回動位置を所望の角度で固定する手段を有する。この固定手段は、表示部の背面に取り付けられシャーシのサイドフレームに摺接する摺動面を有する略コ字状の保持板と、摺動面の下部に突設された第1のピンと、摺動面の上部に所定の間隔を置いて配設された複数の取付け孔と、取付け孔に取付けられる第2のピン、第1のピンと第2のピンとが挿通して上下に摺動可能にする嵌合するサイドフレームに形成された嵌合溝とからなる。
【0004】
その結果、表示部は所望の回動位置において嵌合溝を介して第2のピンを取付け孔に取付けることにより固定されるようになっている。例えば、表示部は正立する状態から上向き及び下向きの状態を任意の角度で設定することができる。
【0005】
従って、車両の種類が異なる場合や取付け箇所が異なることにより表示装置の車両本体に対する取付け角度が異なっても、利用者が見やすい角度に表示部を変更できる。
【特許文献1】特開2002−154382号公報(段落[0013]〜[0016])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両に搭載される表示装置では、その表示部が車両に搭乗する者の膝や持ち物などが当たらないように、ダッシュボードの表面から突出しない状態で取り付けられる場合が多い。しかしながら、上記従来技術の車載用表示マウント装置を表示部がダッシュボードに完全に埋め込まれた状態で取付け、表示部を下向きに傾けるため回動させると、表示部の前方下縁が側方から見てシャーシの下面の延長線より下方に変位してしまう。従って予め表示部下面とダッシュボードの取付け用開口の下辺との間に間隙を設けないと、表示部の前方下縁がダッシュボードに突き当たってしまうために表示部を下向きに傾けることができない。また、表示部下面とダッシュボードの取付け用開口の下辺との間に間隙を設けると、美感上また防塵対策上好ましくないという問題点があった。
【0007】
加えて、近時は機能の変更を可能にするため、表示装置に内蔵された光ディスクドライブに新たな光ディスク、例えばナビゲーション用の地図情報が記録された光ディスクを装填することを可能にしたものがある。このような表示装置は、表示部を水平位置まで大きく傾けることによって機器本体の前面を開放し、光ディスクを光ディスクドライブに装填できるようにしている。
【0008】
そこで、本発明は、上述したように複雑な位置をとる表示部を有する表示装置において、表示部下面とダッシュボードの取付け用開口の下辺との間に間隙を設ける必要のない、従来の問題点を一掃した表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る表示装置の発明は、表示装置の側方において水平方向に延在する水平方向用ガイドと、前記表示装置の前部側方において垂直方向に延在する垂直方向用ガイドと、表示部と、該表示部に回動自在に連結した水平方向用摺動体と、を備え、前記表示部は、前記水平方向用摺動体に設けられた第1の係合部が前記水平方向用ガイドに沿って水平方向に移動するとともに前記表示部上部に設けられた第2の係合部が前記垂直方向用ガイドに沿って上下に移動することによって、前記表示装置の前面を開放する表示装置において、
前記水平方向用ガイドは、前記第1の係合部を水平方向から垂直方向にガイドする垂直方向変更用ガイドを連続的に備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記垂直方向変更用ガイドは、前記第1の係合部を垂直方向にガイドするとともに水平方向にもガイドするように、前記水平方向用ガイドから斜め上方に連続的に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記垂直方向用ガイドは、前記第2の係合部を垂直方向から水平方向にガイドする水平方向用変更用ガイドを連続的に備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置において、前記水平方向用摺動体は、モータを駆動源として含む駆動部に連結され、
前記モータは、制御部によって制御・動作されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表示装置において、前記駆動部は、
前記モータの回転数また回転力を変化させるギア機構と、
前記水平方向用摺動体に形成されたラックと、
前記ギア機構と前記ラックとの間に配設され、前記ラックに噛合回転することによって、前記ラックを水平方向に移動させるピニオンと、を備え、
前記ピニオンは、前記ラックが上下に変位してもラックから逸脱しない回転軸方向の長さを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の表示装置において、前記制御部は、
前記水平方向用摺動体の位置を検出して出力する検出部と、
前記表示部の傾き具合の設定・入力を行う操作入力部と、
前記操作入力部による設定に基づき、前記検出部によって前記水平方向用摺動体の位置検出を行って、前記モータの回転動作を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記構成により以下に述べるとおりの優れた効果を奏する。すなわち、本願の請求項1の発明によれば、前記表示部の表示画面を下向きに傾ける際に、第1の係合部が垂直方向変更用ガイドによって垂直方向にガイドされるので、水平方向摺動体は上方に変位し、連結部を上方に移動させ表示部を上方に変位させることで、表示部の上端にある第2の係合部を支点として表示部の表示画面が下向きになるように傾ける。このとき、表示部はその下縁が機器本体の下面の延長線より下方に突出しないようにすることができる。従って、従来のように表示装置の表示部下面とダッシュボードの取付け用開口部の下辺との間に間隙を設けることなく表示部を下向きに傾けることができるようになる。また、間隙を設ける必要がないので美観を損なわず防塵効果を確実にすることができる。また、その構成は既存の水平方向用ガイドに連続して垂直方向変更用ガイドを形成するだけの簡単なものである。
【0016】
また、本願の請求項2の発明によれば、垂直方向変更用ガイドが垂直方向とともに水平方向にも第1の係合部をガイドするので、表示部を下向きに傾ける角度を大きくとることができる。
【0017】
また、本願の請求項3の発明によれば、前記表示部の表示画面を下向きに傾ける際に、前記水平方向用摺動体が上方に変位して連結部を上方に移動させることによって表示部を上方に変位させると共に、表示部の上端に設けられた第2の係合部が水平方向用変更用ガイドに沿って水平方向にガイドされることによって表示部を下向きに傾ける角度をより容易に大きくすることができる。また、このとき表示部の上端が前方に突出するようになるので、画面がより見やすい状態で傾くようになる。しかも、その構成は、既存の前記垂直方向用ガイドに連続して水平方向変更用ガイドを形成するだけでの簡単なものである。
【0018】
また、本願の請求項4の発明によれば、前記水平方向用摺動体が前記駆動部によって移動され、その移動動作は制御部によって制御されるモータによって行われるので、表示部の種々の状態変更が容易かつ確実に行える。
【0019】
また、本願の請求項5の発明によれば、ピニオンが回転軸方向に十分な高さ或いは幅を有するので、ラックを薄板に形成したものであっても、水平方向用摺動体が垂直方向に変位した場合にピニオンとの噛合状態を逸脱することがない。従って、ラックおよび水平方向用摺動体は加工容易な薄板から形成することが可能となり、簡単な構成で確実に作動する車載用表示装置を得ることができる。
【0020】
また、本願の請求項6の発明によれば、操作入力部において表示部の傾き具合を設定できるので、ユーザは操作入力部による操作入力を行うだけで、表示部を所望の状態に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用表示装置を例示するものであって、本発明をこの車載用表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の表示装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が正立状態にあるときを示す斜視図、図2は図1におけるA−A線で切断した車載用表示装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図、図3は本発明の実施例に係る車載用表示装置の水平方向用摺動板を示す正面図、図4は本発明の実施例に係る車載用表示装置の水平方向用摺動板を示す斜視図、図5は本発明の実施例に係る車載用表示装置の垂直方向用摺動板を示す正面図、図6は本発明の実施例に係る車載用表示装置の垂直方向用摺動板を示す斜視図、図7は本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が傾き状態にあるときを示す斜視図、図8は図7におけるB−B線で切断した車載用表示装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図、図9は本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が水平状態にあるときのダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図、図10は本発明の実施例における車載用表示装置の制御部を示すブロック図である。
【0023】
車載用表示装置1の機器本体2は、機器本体2の下部の両側に水平方向に長尺に延在する水平側板3と、機器本体2の前部の両側に垂直に立設された垂立側板5と、矩形で薄型の表示部9と、を備える。水平側板3の内面には水平方向用ガイド4が形成され、垂立側板5の内面には垂直方向用ガイド6が形成されている。表示部9は、連結部10によって回動自在に水平方向用摺動体8に連結されており、水平方向用摺動体8には第1の係合部7が突設され水平方向用ガイド4に摺動自在に係合している。また、表示部9の側面の上部には第2の係合部11が設けられ、垂直方向用ガイド6に摺動自在に係合している。この構成により表示部9は、連結部10を中心としてその傾きを変化させながら、水平方向用摺動体8の第1の係合部7が水平方向用ガイド4に沿って水平方向に摺動することで表示部9の下部が水平方向に前方および後方に移動し、かつ第2の係合部11が垂直方向用ガイド6に沿って鉛直方向に移動することで表示部9の上部が上下に移動できるようになる。この車載用表示装置1の機器本体2は、例えば光ディスクドライブ(図示せず)を内蔵しており、表示部9を移動させることによって内部の光ディスクドライブを操作することが可能となる。
【0024】
水平方向用ガイド4は、図3、図4で示すように、一対の平行したガイド溝41、42からなる。これらガイド溝41、42は略同一形状であって水平側板3の水平方向および鉛直方向に位置をずらして平行に設けられる。第1の係合部7は、夫々のガイド溝41、42に係合するように、水平方向用摺動体8から水平方向および鉛直方向に位置を異にして突出した一対の突起71、72からなり、このように一対のガイド溝41、42と一対の71、72とにより水平方向用摺動体8が移動するので、安定した水平方向への移動を行うことができる。ただし、これらは必ずしも2組用いる必要はなく、1つずつにしてもよい。
【0025】
また、水平方向用ガイド4の連結部10から最も離れた端部には、水平方向用ガイド4の一対のガイド溝41、42に連なって且つ上方に傾斜した垂直方向変更用ガイド12が形成されている。
【0026】
一方、図5、図6で示すように、垂立側板5の垂直方向用ガイド6は垂立側板5の延在方向に沿って延び、その下方部は車載用表示装置1の前方に向かって僅かに傾斜している。また、この垂直方向用ガイド6の最上端部には、垂直方向用ガイド6に連なって機器本体2の前方に傾斜した水平方向変更用ガイド13が形成されている。
【0027】
表示部9は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどが用いられ、機器本体2から供給される信号により映像を表示するものである。なお、表示部9として第1、第2の係合部7、11を備える矩形板状のシャーシをディスプレイとは別途設け、このシャーシにディスプレイを取り付けるようにするとディスプレイの自由度が向上し好ましい。
【0028】
以下に詳述するが、この表示部9は、図1、図2で示す正立状態となる位置と、図7、図8で示す表示画面が下向きに傾いた状態となる位置と、図9で示す水平状態となる位置とをとることができる。
【0029】
まず図1、図2で示すように、車載用表示装置1は、表示部9を正立させた状態で車両のダッシュボード14に取り付けられる。ダッシュボード14は、その表面が斜めに傾いているか、上方が湾曲しているかするものが多いため、この取り付け状態では、表示部9の下部はダッシュボード14の表面から突出していないが、表示部9の上部はダッシュボード14の表面から突出している場合が多い。なお、このときの第1の係合部7は垂直方向用ガイド4の終端部に位置し、第2の係合部11は垂直方向用ガイド6の終端部に位置している。さらにこのときの表示部9は、その裏面が機器本体2の前方を覆うように、水平方向用摺動体8の摺動方向に対して垂直な垂立状態となる。
【0030】
次に、図7、図8で示すように、第1の係合部7が水平方向用ガイド4の終端部から垂直方向変更用ガイド12に沿ってその終端部まで移動すると、水平方向用摺動体8は後方に(図8では左方に)移動しながら上方に変位する。同時に、第2の係合部11は垂直方向用ガイド6の終端部から水平方向変更用ガイド13に沿って終端部まで移動する。これによって、表示部9は連結部10を支点として(図8では時計回りに)回動し、表示部9は正立状態から徐々に下向きに傾いて、傾き状態を取る。
【0031】
また、図9で示すように、第1の係合部7が水平方向用ガイド4に沿って前方に(図9では右方に)移動すると、水平方向用摺動体8は機器本体2の前方に移動して引き出された状態となり、第2の係合部11は垂直方向用ガイド6に沿ってその最下端まで下方に移動する。その結果、表示部9はその下部が水平方向用摺動体8によって前方に引き出されるとともに、連結部10を支点として後方に倒れるように(図9では半時計回りに)上部が下降し、ほぼ水平に倒れた状態になり、機器本体2の前面を開放する。このように表示部9が移動すると、車載用表示装置1の前面が開放されることにより光ディスクドライブの操作部及びディスク挿入部が露出するため、光ディスクの装着、取り出し等が可能となる。そして、車載用表示装置1は光ディスクに記録されたデータを取り込むことによって新しい機能を設定することができるようになる。
【0032】
水平方向用摺動体8は、駆動部15によって駆動され、これにより表示部9の傾きを調整する。
【0033】
駆動部15は、駆動源としてのモータ150と、モータ150の回転数を伝達するギア機構151と、ギア機構151に噛合して回転されるピニオン152と、水平方向用摺動体8に形成されピニオン152と噛合するラック153とから構成されている。ピニオン152は、水平方向用摺動体8の垂直方向の移動によってラック152の位置が変位しても噛合状態を逸脱しない高さを有する。モータ150が回転すると、ギア機構151およびピニオン152を介してラック152が移動し、結果として水平方向用摺動体8が移動する。
【0034】
図10で示すように、駆動部15のモータ150は制御部16によって制御される。制御部16は、制御回路160と、水平方向用摺動体8の位置を検出する検出部161と、表示部9の状態、つまり正立状態と傾き状態と水平状態とを選択的に設定するための操作入力を行う操作入力部162とから構成されている。
【0035】
検出部161による水平方向用摺動体8の位置の検出は、例えば水平方向用摺動体8の位置によってオン/オフがなされる近接センサ(図示せず)によって行われる。つまり表示部9が正立状態にあるときの水平方向用摺動体8の位置を第1の位置とした場合、検出部161は第1の位置を検出してその検出出力を制御回路160に送出する。同様に、表示部9が傾き状態を第2の位置、さらに水平状態を第3の位置とすると、検出部161は水平方向用摺動体8の位置を検出して、それらの位置に相当する検出出力を制御回路160に送出する。なお、操作入力部162は、使用者が表示部9の状態、つまり正立状態、傾き状態および水平状態を適宜選択設定する場合に設定入力を行うものである。詳しくは、例えば使用者の車両のダッシュボード14の傾斜状態等に応じて傾き状態における角度を変更したり、表示部9を移動させる際に正立状態または傾き状態で静止する必要がない場合にこれらの状態とならないように設定したりするものである。
【0036】
上述した本発明の実施例による車載用表示装置は、図2に示すように、車載用表示装置1はダッシュボード14の開口部140との間に間隙を設けることなく、前面に表示部9を正立させた状態で、表示部9の下部をダッシュボード14の表面に突出させず、且つ表示部9の上部をダッシュボード14の表面に突出させて取り付けられる。表示部9は機器本体2から供給された映像を表示し、使用者がこれを見ることができる。
【0037】
また、水平方向用摺動体8が第2の位置に移動する際は、図7、図8に示されるように、第1の係合部7は傾斜した垂直方向変更用ガイド12に沿って滑らかに案内されつつその終端まで移動し、水平方向用摺動体8は上方に変位しながら後方に(図8では左方に)移動する。同時に、第2の係合部11は水平方向変更用ガイド13に沿って案内されつつその終端まで移動し、以って表示部9はその上部が前方に移動し、下部が斜め後方に引き込まれるように移動するため、連結部10を支点として前方に倒れるように回動される。
【0038】
このとき、表示部9は下端部が上昇しながら回動されるため、表示部9の下端部は、機器本体2の下面延長線から突出することがない。すなわち、表示部9の下端部がダッシュボード14の開口部140の縁に当たることがない。また、表示部9の上端は上昇しながら回動されるが、表示部9の上部はダッシュボード14から突出しているため、開口部140の縁に当ることがない。
【0039】
このようにして、表示部9はダッシュボード14との間に間隙を設けることなく下向きの見やすい状態まで回動させることが可能となる。なお、より確実に表示部9がダッシュボード14にぶつかることを防止するため、表示部9の上面の後方及び下面の前方を面取り加工するとより好ましい。
【0040】
さらに、機器本体2の前面を開放する場合は、図9で示すように、使用者の操作により制御回路160が駆動部15を作動させて水平方向用摺動体8を水平方向前方に大きく移動させる。水平方向用摺動体8の移動位置は検出部161によって検出され、制御回路160に送出されるが、水平方向用摺動体8が第3の位置にあることが検出されると制御回路160は駆動部15の駆動動作を停止し、水平方向用摺動体8をこの第3の位置で停止させる。
【0041】
表示部9を第3の位置まで移動させた後、光ディスクの取り出し、装填の作業等が終了した後は、使用者は操作入力部163に正立状態または傾き状態を選択・設定入力することにより、駆動部15を制御して水平方向用摺動体8を第1の位置又は第2の位置に位置させ、表示部9の表示画面に画像等を映し出し、見るものである。
【0042】
尚、ラック153は、水平方向用摺動体8が第1の位置又は第3の位置をとるときには相対的に下方に位置し、水平方向用摺動体8が第2の位置をとるときには相対的に上方に位置することになるが、ピニオン152を、ラック153の上下動に対応できるように回転軸方向に必要な高さを有していることによって、ラック153とピニオン152との噛合状態が逸脱することはない。つまり、水平方向用摺動体8を加工などが容易な板状の材料で形成されることにより、ラック153は薄板状となるが、ピニオン152が十分な幅(高さ)を有しているため、このラックが上下に変位したとしても噛合の逸脱を防止できる。
【0043】
使用者は、正立状態、傾き状態及び水平状態にある表示部7を手動でもって強制的に回動させようとしても、水平方向用摺動体8が回転力を減速するギア機構151を介してモータ150に結合されているために動かすことができない。従って、表示部7はその位置が強固に保持される。
【0044】
上述したように、本発明の実施例によれば、表示部9を下向きに傾けるときに、第1の係合部7は垂直方向変更用ガイド12に沿って垂直方向に案内されるので、水平方向用摺動体8が上方に移動することによって連結部10を上方に移動させ、表示部7を上方に変位させる。同時に、表示部9の上端は、第2の係合部11が水平方向用変更用ガイド13に沿って水平方向にガイドされ、表示部9は下向きに傾く。これによって、表示部9は傾き状態において、表示部9の下端部が機器本体2の下面の延長線上より下方に突出することをなくすことができので、表示部9とダッシュボード14の開口部140との間に間隙を設ける必要がなくなる。
【0045】
ここで、上記の実施例においては、第2の係合部11を水平方向用変更用ガイド13に沿って水平方向に移動させることによって表示部9の上端を機器本体2から突出させ、表示部9を下向きに傾けていが、水平方向変更用ガイド13は省き、垂直方向用ガイド4を上方に若干延長して形成し、第2の係合部11がその延長部分にガイドされるようにしたものであってもよい。この場合、第1の係合部7は垂直方向変更用ガイド12によって後方および垂直方向に移動し、水平方向用摺動体8が上方に移動し、連結部10は上方および後方に移動する。このとき、第2の係合部11が垂直方向用ガイド4の延長部分に沿って上方にガイドされると、表示部9の上端は上方への移動することが可能となり、表示部9は、第2の係合部11を支点として下向きに傾く。そのため、この際も、表示部9は下向きに傾いた傾き状態において表示部9の下縁が機器本体2のシャーシ下面の延長線上より下方に突出することがない。
【0046】
尚、本発明の実施例においては、表示部7の正立状態、傾き状態及び水平状態への移動は、モータ150等からなる駆動部15により水平方向用摺動体8を移動させることによって行うようにしたが、本発明はこれに限定されることなく駆動部15を設けずに表示部9または水平方向用摺動体8などを直接に手動で動かすようにしてもよい。
【0047】
尚、また、本発明の実施例においては、表示部7の傾き状態の角度は一つとしたが、本発明はこれに限定されることなく複数または連続的に設定できるようにしてもよい。
【0048】
尚、また、本発明の実施例においては、機器本体2に光ディスクドライブを内蔵する車載用表示装置1について説明をしたが、本発明はこれに限定されることなく、機器本体2にメモリカード用書込み読取り装置を内蔵し、機器本体2の前面からメモリカードの取り出し、装着を行うようにした車載用表示装置1にも適用できる他、前面を開放して各種の操作を行うものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が正立状態にあるときを示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線を断面とした車載用表示装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る車載用表示装置の水平方向用摺動板を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例に係る車載用表示装置の水平方向用摺動板を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る車載用表示装置の垂直方向用摺動板を示す正面図、である。
【図6】本発明の実施例に係る車載用表示装置の垂直方向用摺動板を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が傾き状態にあるときを示す斜視図である
【図8】図7におけるB−B線を断面とした車載用表示装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例に係る車載用表示装置において、表示部が水平状態にあるときのダッシュボードへの取り付け状態を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例における車載用表示装置の制御部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
1 車載用表示装置
2 機器本体
3 水平側板
4 水平方向用ガイド
5 垂立側板
6 垂直方向用ガイド
7 第1の係合部
8 水平方向用摺動体
9 表示部
10 連結部
11 第2の係合部
12 垂直方向変更用ガイド
13 水平方向変更用ガイド
14 ダッシュボード
15 駆動部
41、42 ガイド溝
71、72 突起
150 モータ
151 ギア機構
152 ピニオン
153 ラック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の側方において水平方向に延在する水平方向用ガイドと、前記表示装置の前部側方において垂直方向に延在する垂直方向用ガイドと、表示部と、該表示部に回動自在に連結した水平方向用摺動体と、を備え、前記表示部は、前記水平方向用摺動体に設けられた第1の係合部が前記水平方向用ガイドに沿って水平方向に移動するとともに前記表示部上部に設けられた第2の係合部が前記垂直方向用ガイドに沿って上下に移動することによって、前記表示装置の前面を開放する表示装置において、
前記水平方向用ガイドは、前記第1の係合部を水平方向から垂直方向にガイドする垂直方向変更用ガイドを連続的に備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記垂直方向変更用ガイドは、前記第1の係合部を垂直方向にガイドするとともに水平方向にもガイドするように、前記水平方向用ガイドから斜め上方に連続的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記垂直方向用ガイドは、前記第2の係合部を垂直方向から水平方向にガイドする水平方向用変更用ガイドを連続的に備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記水平方向用摺動体は、モータを駆動源として含む駆動部に連結され、
前記モータは、制御部によって制御・動作されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記駆動部は、
前記モータの回転数また回転力を変化させるギア機構と、
前記水平方向用摺動体に形成されたラックと、
前記ギア機構と前記ラックとの間に配設され、前記ラックに噛合回転することによって、前記ラックを水平方向に移動させるピニオンと、を備え、
前記ピニオンは、前記ラックが上下に変位してもラックから逸脱しない回転軸方向の長さを有することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記水平方向用摺動体の位置を検出して出力する検出部と、
前記表示部の傾き具合の設定・入力を行う操作入力部と、
前記操作入力部による設定に基づき、前記検出部によって前記水平方向用摺動体の位置検出を行って、前記モータの回転動作を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−44429(P2008−44429A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219651(P2006−219651)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】