説明

表示装置

【課題】無機ガラスのような特性とプラスチックのような特性とを備え、且つ耐屈曲性に優れた硬質透明基板を利用し、各種表示装置用電子材料を積層してなる表示装置を提供する。
【解決手段】硬質透明基板は、一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られ、硬化性樹脂は、式(2)で計算されるKpが0.68〜0.8の密な構造部位(A)とKpが0.68未満の疎な構造部位(B)とを有し、構造部位(A)/(B)の重量比は0.01〜5.00であり、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量が800〜60000である。
-{(A)-(B)mn- (1)
(mおよびnは1以上の整数)
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
(An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量、Vw=ΣVa、Va=4π/R3−Σ1/3πhi2(3Ra−hi)、hi=Ra−(Ra2+di2−Ri2)/2di、Ra=原子半径、Ri=結合原子半径、及びdi=原子間距離)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のガラス基板に代わる新規な硬質透明基板を用いて表示装置用電子材料を積層してなる表示装置であって、例えばパソコン、AV機器、携帯電話、情報通信機器、ゲームやシミュレーション機器、車載用のナビゲーションシステム等の種々の分野で用いられる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス技術の急速な進歩に伴い、特に液晶表示装置、タッチパネル、光エレクトロニクス分野は拡大している。一般的に、光エレクトロニク素子は、素子を、透明導電層を有するガラス基板上に形成することにより各種用途に供されている。しかしながら、ガラス基板は重量が大きく、可搬型装置に組み込んだ場合は、ガラス基板の大きな比重のため機器の重量が大きくなるという問題がある。そのため、軽量化が強く望まれており、ガラス基板に代わる硬質基板として、強度、透明性、耐熱性等に比較的優れたポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等のプラスチックシートからなるシート基板が採用されつつある。
【0003】
しかしながら、現状のこれらシート基板は、厚さが0.1mm程度であるため、従来のガラス基板に比べて剛性に欠ける。剛性を付与するため、フィルムの膜厚化が考えられるが、一般にシート基板を得る際に採用される溶媒キャスト法では、発泡、平面性の低下、残留溶媒の問題のため現実的には厚さ0.2mm程度の製造が限界である。また、液晶素子への応用のためにはシート基板の複屈折率が通常20nm以下、好ましくは10nm以下であることが必要であるが、プラスチック成形の際、分子配向を受けやすく低複屈折の成形体を製造するのは困難である。そこで、例えば複屈折率の小さいシートを2層積層した光学プラスチックシートが提案されているが(特許文献1参照)、かかるシートでは熱可塑性樹脂であるために、剛性が小さく、耐薬品性についても大きく劣るといった欠点がある。また、光学用シートとして基材シートの表面層に硬化性樹脂をコートしたものが提案されているが(特許文献2参照)、かかるシートは基板洗浄時に、溶剤によってシート側面の硬化性樹脂が膨潤したり、溶解するおそれがあるため、耐薬品性に劣ると共に、基板の剛性も十分なものではないという問題がある。
【0004】
特に、光エレクトロニクス素子分野では、更に高度の光学特性、ガスバリア性、電気伝導性、機械強度等が要求されるため、実際には、各機能を有する複数層ないしは膜からなる積層構造の基板が用いられている。例えば、プラスチック成形体上の両面に硬化被膜を設け、片面に導電膜を設け、他方片面には金属酸化物被膜を設けた積層体が提案されている。しかしながら、この積層体では、各層の性質の相違や密着性の問題等によって、加熱時にプラスチック成形体にクラックが発生し易い等の問題がある。
【0005】
一方では、ガラス代替基板として有用なプラスチックシート基板であるが、利用価値を高めるためには、軽量であることのみならず、可撓性を合わせ持つことが必要である。即ち、ある曲率で基板を撓ませた(屈曲させた)際に、導電膜にクラックが入ったりせず、電気伝導性を保つことが必要である。しかしながら、従来のプラスチックシート基板では、その耐屈曲性が不十分であるという問題がある。
【特許文献1】特開平7−36023号公報
【特許文献2】特開平6−116406号公報
【特許文献3】特開平2−5308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、無機ガラスのような強度、透明性、耐熱性、及び寸法安定性を備えると共に、プラスチックのような高靭性及び加工性をも備え、尚且つ耐屈曲性にも優れた硬質透明基板を利用し、各種の表示装置用電子材料を積層してなる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、従来のガラス基板に代わる新規な基板を得るために鋭意検討した結果、自由体積分率の異なる密な構造部位と疎な構造部位とを分子構造中に有する硬化性樹脂を硬化させることで、ガラス基板とプラスチックシート基板とが有する優れた性能をあわせ持ち、尚且つ、耐屈曲性にも優れた硬質透明基板を得ることができ、この硬質透明基板がこれまで種々の表示装置で使用されているガラス基板の代替として好適であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、表示装置用電子材料が硬質透明基板に積層されて形成される表示装置であって、硬質透明基板が、下記一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られたものであり、上記硬化性樹脂は、下記計算式(2)より計算されるパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成される密な構造部位(A)と、上記Kpが0.68未満の有機物又は有機物と有機金属酸化物とから構成される疎な構造部位(B)とを有すると共に、構造部位(A)/(B)の重量比が0.01〜5.00であり、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量が800〜60000であることを特徴とする表示装置。
−{(A)−(B)mn− (1)
(但し、mおよびnは1以上の整数を示す。)
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
(但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量、Vw=ΣVa、Va=4π/R3−Σ1/3πhi2(3Ra−hi)、hi=Ra−(Ra2+di2−Ri2)/2di、Ra=原子半径、Ri=結合原子半径、及びdi=原子間距離を示す。)
【0009】
また、本発明は、密な構造部位(A)は、下記一般式(I)の有機物部位を除いた三次元多面体構造を有する金属酸化物部位であり、疎な構造部位(B)は、一般式(I)の有機物部位と下記一般式(II)とからなる、上記の表示装置である。
(RSiO3/2w(MO2x(RXSiO)y(XMO3/2z (I)
(R345SiO1/2j(R67SiO)k{R67XSiO1/2l (II)
(但し、Rは(a)−R1−OCO−CR2=CH2、(b)−R1−CR2=CH2若しくは(c)−CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、式(I)における複数のRは互いに異なるものであってもよいが、少なくとも1つは(a)、(b)、(c)のいずれかを含む。また、R1はアルキレン基、アルキリデン基又はフェニレン基を示し、R2は水素又はアルキル基を示し、R3〜R7は(a)−R1−OCO−CR2=CH2、(b)−R1−CR2=CH2若しくは(c)−CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン、又はジルコニウムの金属原子、Xはハロゲン原子、又はアルコキシル基であり、wは4以上の整数であり、x、y及びzはw+x+y+z≧8を満たす整数である。また、j、k、及びlはそれぞれ0以上の整数を示す。)
【0010】
ここで、一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格である金属酸化物部位が、RSiX3、MX4又はこれらの混合物(但し、R、M及びXは一般式(I)と同じである)の加水分解縮合物から生じる構造単位中の三次元多面体構造骨格である金属酸化物部位であること、又は一般式(II)で表される構造単位が、R345SiX、R67SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである。)の加水分解縮合物から製造される金属酸化物の鎖状単位及び金属原子と結合している有機基であることは、本発明の好ましい態様である。
【0011】
また、本発明においては、上記硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒又はラジカル開始剤を配合し、或いはヒドロシリル化触媒とラジカル開始剤の両者を配合して硬化性樹脂組成物を形成してから、この硬化性樹脂組成物を硬化させて硬質透明基板を得るようにしてもよい。具体的には、上記のようにして配合した硬化性樹脂組成物を、所定の形状に成形した上で熱硬化又は光硬化させて成形体(硬質透明基板)を得るようにしてもよい。また、この硬化性樹脂組成物には、分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有するヒドロシリル化可能な化合物、又は分子中に不飽和基を有する化合物を配合してもよく、あるいはこれら両者を配合してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって得られる硬質透明基板は、無機ガラスのような強度、透明性、耐熱性、及び寸法安定性を備えると共に、プラスチックのような高靭性及び加工性を備え、尚且つ耐屈曲性にも優れることから、液晶表示装置、タッチパネル表示装置、有機EL表示装置をはじめ各種分野の表示装置で使用されているガラス基板に代えて用いることで、従来のガラス基板やプラスチックシート基板が備える性能を発揮しながら、更に軽量性、及び耐衝撃性に優れた表示装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
本発明の硬化性樹脂は、上記一般式(1)で表されるように、密な構造部位(A)と疎な構造部位(B)とからなる分子構造を有し、少なくとも一つの不飽和結合を有する。ここで、密な構造部位(A)はパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物部位から構成される構造部位であり、疎な構造部位(B)はパッキング係数Kpが0.68未満の有機部位又は有機部位と有機金属酸化物部位から構成される構造部位である。
【0014】
密な構造部位(A)は、好ましくは上記一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格である金属酸化物部位である。一般式(I)において、Rの少なくとも1つは上記式(a)〜(c)で表される不飽和基を有する有機基であるのがよい。なお、一般式(I)の複数のRは全て同じでなくてもよい。
【0015】
一般式(I)で表される構造単位は、三次元多面体構造とRにより構成されており、その一例として、一般式(I)中のwが8でありx、y及びzが0である場合、wが10でありx、y及びzが0である場合、及びwが12でありx、y及びzが0である構造の具体例を下記構造式(3)、(4)及び(5)に示す。但し、一般式(I)で表される構造単位は、この構造式(3)、(4)及び(5)に示すものに限られない。なお、これらの構造は、公知であり特定の官能基のものについてX線結晶構造解析により示されている。
【化1】

【0016】
上記一般式(I)で表される構造単位中の金属酸化物部位は、RSiX3又はMX4で表される化合物の1種以上を酸又は塩基触媒存在下で加水分解と縮合反応を行うことで得ることができる。ここで、R、X及びMは一般式(I)のR、X及びMと同じ意味を有する。
【0017】
Rの一部は、上記(a)、(b)又は(c)で表される不飽和基であることが好ましいが、好ましい不飽和基の具体例を示せば、3-メタアクリロキシプロピル基、3-アクリロキシプロピル基、アリール基、ビニル基、及びスチリル基が挙げられる。
【0018】
Xは、ハロゲン原子、アルコキシル基の加水分解性基であり、具体例を示せば、塩素、臭素、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシル基、及びi-プロポキシル基が例示される。
【0019】
RSiX3で表される化合物の好ましい例を示せば、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、t-ブチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、スチリルトリクロロシラン、シクロヘキセニルトリクロロシラン、トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、t-ブチルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、スチリルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシラン、3-メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0020】
また、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン又はジルコニウムである。ここで、MX4で表される化合物の好ましい例を示せば、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラクロロゲルマン、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、チタニウムエトキシド、チタニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムブトキシド、チタニウムイソブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムイソブトキシド等が挙げられる。
【0021】
一方、疎な構造部位(B)は、上記一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格を除いた残基(又は置換基)と上記一般式(II)で表される構造単位からなる。言い換えれば、上記一般式(I)で表される構造単位から密な構造部位(A)を除いた部位と一般式(II)で表される構造単位からなる。より具体的には、下記で説明するとおり、R345SiX、R67SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである)の加水分解縮合物から得られる一般式(II)で表せる金属酸化物の鎖状構造物と、一般式(I)中の金属原子と結合している有機基〔すなわち、一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格を除いた残基(又は置換基)〕とからなるのがよい。
【0022】
上記一般式(II)で表される構造単位は、R345SiX又はR67SiX2で表される化合物の1種以上を、酸又は塩基触媒存在下で加水分解と縮合反応を行うことで得られる。ここで、R3〜R7は、一般式(II)のR3〜R7と同じ意味を有する。R3〜R7の一部が不飽和基である場合、好ましい具体例を示せば、3-メタアクリロキシプロピル基、3-アクリロキシプロピル基、アリール基、ビニル基及びスチリル基が挙げられる。Xは、ハロゲン原子又はアルコキシル基であり、具体例を示せば、塩素、臭素、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシル基、及びi-プロポキシル基が例示される。
【0023】
345SiXで表される化合物の好ましい例を示せば、トリメチルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリビニルクロロシラン、メチルジビニルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、スチリルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、メチルジビニルメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、スチリルジメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、メチルジビニルエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、スチリルジメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ビニルジメチルプロポキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、フェニルジメチルプロポキシシラン、フェニルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリビニルプロポキシシラン、メチルジビニルプロポキシシラン、アリルジメチルプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルプロポキシシラン、スチリルジメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ビニルジメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソプロポキシシラン、フェニルジメチルイソプロポキシシラン、フェニルイソプロポキシシラン、トリエチルイソプロポキシシラン、トリビニルイソプロポキシシラン、メチルジビニルイソプロポキシシラン、アリルジメチルイソプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルジメチルイソプロポキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルイソプロポキシシラン、スチリルジメチルイソプロポキシシラン等が挙げられる。
【0024】
67SiX2で表される化合物の好ましい例を示せば、ジメチルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、エチルビニルジクロロシラン、エチルアリルジクロロシラン、スチリルメチルジクロロシラン、スチリルエチルジクロロシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、エチルアリルジメトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジメトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、エチルアリルジエトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、スチリルエチルジエトキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン、ジビニルジプロポキシシラン、アリルメチルジプロポキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルフェニルジプロポキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、エチルビニルジプロポキシシラン、エチルアリルジプロポキシシラン、スチリルメチルジプロポキシシラン、スチリルエチルジプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ビニルメチルジイソプロポキシシラン、ジビニルジイソプロポキシシラン、アリルメチルジイソプロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、メチルフェニルジイソプロポキシシラン、メチルエチルジイソプロポキシシラン、エチルビニルジイソプロポキシシラン、エチルアリルジイソプロポキシシラン、スチリルメチルジイソプロポキシシラン、スチリルエチルジイソプロポキシシラン、3-メタアクリロキシプロピルメチルジイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0025】
本発明の硬化性樹脂は、上記一般式(I)で表されるかご型シロキサン樹脂と、一般式(II)で表されるシリコーン化合物とを反応させて得ることができるが、得られた硬化性樹脂は、上記一般式(I)及び上記一般式(II)で表される構造単位の不飽和結合が架橋又は加水分解縮合により縮合した分子構造を有する。そして、この硬化性樹脂は、自由体積分率から計算されるパッキング係数が0.68〜0.8の密な構造部位(A)と、パッキング係数が0.68未満の疎の構造部位(B)とを有し、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有する。
【0026】
本発明で用いたパッキング係数Kpの計算は、以下の計算式(2)より算出される。
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
(但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量である。)このうち、
Vw=ΣVa
Va=4π/R3−Σ1/3πhi2(3R-hi)
hi=R-(R2+di2-Ri2)/2di
である(但し、R=原子半径、Ri=結合原子半径、及びd=原子間距離である)。
【0027】
上記パッキング係数の計算では、原子半径および原子間距離は日本化学会著化学便覧基礎編改訂3版に記載されている数値を用いた。すなわち、原子半径ではH=1.2Å、O=1.52Å、C=1.7Å、Si=2.14Åを用い、原子間距離はH-C=1.08Å、C-C=1.541Å、Si-C=1.863Å、Si-O=1.609Åを用いた。例えば、一般式(1)のM=ケイ素原子、v=0、w=2、y=0、及びz=0で表せるガラスの密度は2.23 g/cm3でありそのパッキング係数は0.747となる。一般式(1)のRがメチル基でv=8、w=0、y=0、及びz=0の立方体構造をとるオクタキスメチルシルセスキオキサンの密度は1.49 g/cm3でありパッキング係数は0.697となる。また一般式(2)のR6およびR7がメチル基でj=0、k=4、及びl=0の環状構造をとるオクタメチルシクロテトラシロキサンの密度は0.956 g/cm3であり、そのパッキング係数は0.576となる。同様にR3およびR4、R5、R6、及びR7がメチル基でj=2、k=1、及びl=0の鎖状構造をとるオクタメチルトリシロキサンの密度は0.820 g/cm3であり、そのパッキング係数は0.521となる。すなわち、ケイ素原子が3つ以上の酸素原子と結合した三次元多面体構造を有する金属酸化物のパッキング係数は0.69以上となり、本発明における密な構造部位となる。また環状および鎖状構造をとる化合物のパッキング係数は0.576および0.521であり、本発明における疎な構造部位となる。
【0028】
本発明の硬化性樹脂は、密な構造部位(A)と疎な構造部位(B)の構成重量比(A)/(B)が0.01〜5.00、好ましくは0.5〜3.00である。(A)/(B)が0.01より小さい場合は、密な構造が少なすぎ、硬化性樹脂を成形し硬化させて得た成形体の機械物性及び耐熱性が著しく悪化してしまう。また、5.00以上の場合、成形体に柔軟性を付与する疎な構造部位が少なすぎ、靭性が著しく悪化し脆い成形体となってしまう。
【0029】
また、本発明の硬化性樹脂は、平均分子量が800〜60000である。平均分子量が800未満であると成形後に脆くなりやすく、反対に60000を超えると硬化成型加工が困難となり取り扱いに不自由をきたすことがある。なお、平均分子量は公知のGPC測定装置によって測定することができる。
【0030】
RSiX3又はMX4で表される化合物、及びR3R4R5SiX又はR6R7SiX2で表される化合物の加水分解及び縮合に用いられる酸触媒としては、塩酸、及び硫酸が挙げられる。また、これらを混合して用いることもできるし、加水分解性基がハロゲン原子の場合は、加水分解のときに生成するハロゲン化水素を利用してもよい。
【0031】
加水分解及び縮合に用いられる塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化アンモニウム塩が例示される。これらの中でも、触媒活性が高い点からテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく用いられる。塩基性触媒は、通常水溶液として使用される。
【0032】
加水分解反応は水の存在が必須であるが、これは触媒の水溶液から供給することもできるし、別途水として加えてもよい。水の量は加水分解性基を加水分解するに足る量以上、好ましくは理論量の1.0〜1.5倍量である。
【0033】
硬化性樹脂を硬化性樹脂組成物にする場合において、硬化性樹脂に配合される分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物は、分子中に少なくとも1つ以上のヒドロシリル化可能なケイ素原子上に水素原子有しているオリゴマー及びモノマーである。ケイ素原子上に水素原子を有しているオリゴマーとしては、ポリハイドロジェンシロキサン類、ポリジメチルヒロドシロキシシロキサン類及びその共重合体、末端がジメチルヒドロシロキシで修飾されたシロキサンが挙げられる。また、ケイ素原子上に水素原子を有しているモノマーとしては、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタなどの環状シロキサン類、ジヒドロジシロキサン類、トリヒドロモノシラン類、ジヒドロモノシラン類、モノヒドロモノシラン類、ジメチルシロキシシロキサン類等を例示することができ、これらを2種類以上混合してもよい。
【0034】
また、硬化性樹脂に配合される不飽和基を有する化合物は、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性オリゴマーと、低分子量であり低粘度の反応性モノマーに大別される。また、不飽和基を1個有する単官能不飽和化合物と2個以上有する多官能不飽和化合物に大別される。
【0035】
反応性オリゴマーとしては、ポリビニルシロキサン類、ポリジメチルビニルシロキシシロキサン類、及びその共重合体、末端がジメチルビニルシロキシで修飾されたシロキサン類、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等を例示することができる。これらには、単官能不飽和化合物と多官能不飽和化合物がある。
【0036】
反応性の単官能モノマーとしては、トリエチルビニルシラン、トリフェニルビニルシランなどのビニル置換ケイ素化合物類、シクロヘキセンなどの環状オレフィン類、スチレン、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等を例示することができる。
【0037】
反応性の多官能モノマーとしては、テトラビニルシラン、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどのビニル置換ケイ素化合、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサンなどのビニル置換環状ケイ素化合物、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、ジフェニルアセチレンなどのアセチレン誘導体、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエンなどの環状ポリエン類、ビニルシクロヘキセンなどのビニル置換環状オレフィン、ジビニルベンゼン類、ジエチニルベンゼン類、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を例示することができる。
【0038】
分子中に不飽和基を有する化合物としては、以上に例示したもの以外に、各種反応性オリゴマー、モノマーを用いることができる。また、これらの反応性オリゴマーやモノマーは、それぞれ単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0039】
本発明で使用する分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物、及び分子中に不飽和基を有する化合物は、それぞれ単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0040】
本発明においては、硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒又はラジカル開始剤を配合し、或いは両者を配合して硬化性樹脂組成物を得るようにしてもよい。そして、この硬化性樹脂組成物を熱硬化又は光硬化させて、ヒドロシリル化やラジカル重合することで、硬質透明基板を得ることができる。また、ヒドロシリル化触媒やラジカル開始剤に加えて、分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物や不飽和基を有する化合物を更に配合して硬化性樹脂組成物を得るようにしてもよい。すなわち、硬化性樹脂を硬化させて硬質透明基板を得る目的や、得られる硬質透明基板の物性を改良する目的から、反応を促進する添加剤としてヒドロシリル化触媒、熱重合開始剤、熱重合促進剤、光重合開始剤、光開始助剤、鋭感剤等を配合して硬化性樹脂組成物を得るようにする。
【0041】
ヒドロシリル化触媒を配合する場合、その添加量は硬化性樹脂の重量に対し金属原子として、1〜1000ppm、より好ましくは20〜500ppmの範囲で添加することが好ましい。ラジカル開始剤として光重合開始剤又は熱重合開始剤を配合する場合、その添加量は硬化性樹脂に対して、0.1〜5重量部の範囲とすることがよく、0.1〜3重量部の範囲とすることが更に好ましい。この添加量が0.1重量部に満たないと硬化が不十分となり、得られる成形体の強度や剛性が低くなる。一方、5重量部を超えると成形体の着色等の問題が生じるおそれがある。またヒドロシリル化触媒とラジカル開始剤を単独で使用してもよく、2種類以上併用して用いることもできる。
【0042】
ヒドロシリル化触媒としては、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンとの錯体、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体、ジカルボニルジクロロ白金及びパラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属系触媒が挙げられる。これらの中で、触媒活性の点から、塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体が好ましい。また、これらを単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0043】
硬化性樹脂組成物を光硬化性組成物とする場合に用いられる光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系、アシルホスフィンオキサイド系等の化合物を好適に使用することができる。具体的には、トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサンソン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ベンジル、アンスラキノン、ミヒラーケトン等を例示することができる。また、光重合開始剤と組み合わせて効果を発揮する光開始助剤や鋭感剤を併用することもできる。
【0044】
上記目的で使用される熱重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシジカーボネート系、パーオキシエステル系等、各種の有機過酸化物を好適に使用することができる。具体的にはシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1―ビス(t-ヘキサパーオキシ)シクロヘキシサノン、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、t-ブチルパオキシー2-エチルヘキサノエート等を例示する事ができるが、これに何ら制限されるものではない。また、これら熱重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的から外れない範囲で各種添加剤を添加することができる。各種添加剤として有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等を例示することができる。
【0046】
上述したように、本発明の硬質透明基板は、ヒドロシリル化触媒又はラジカル重合開始剤のいずれか、あるいは両方を含む硬化性樹脂組成物を所定の形状に成形し、加熱又は光照射によって硬化させることで製造することができる。加熱によって共重合体(硬質透明基板)を製造する場合、その温度は、熱重合開始剤と促進剤の選択により、室温から200℃前後までの広い範囲から選択することができる。この場合、金型内やスチールベルト上で重合硬化させることで所望の形状の硬質透明基板を得ることができる。より具体的には、射出成形、押出成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形、キャスト(注型)成形といった一般的な成形加工方法の全てが適用可能である。
【0047】
また、光照射による光共重合によって硬質透明基板を製造する場合、波長1.0〜400nmの紫外線や波長400〜700nmの可視光線を照射することで、硬質透明基板を得ることができる。用いる光の波長は特に制限されるものではないが、特に波長200〜400nmの近紫外線が好適に用いられる。紫外線発生源として用いられるランプとしては、低圧水銀ランプ(出力:0.4〜4W/cm)、高圧水銀ランプ(40〜160W/cm)、超高圧水銀ランプ(173〜435W/cm)、メタルハライドランプ(80〜160W/cm)、パルスキセノンランプ(80〜120W/cm)、無電極放電ランプ(80〜120W/cm)等を例示することができる。これらの紫外線ランプは、各々その分光分布に特徴があるため、使用する光開始剤の種類に応じて選定される。
【0048】
光照射によって硬質透明基板を得る方法としては、例えば任意のキャビティ形状を有して石英ガラス等の透明素材で構成された金型内に硬化性樹脂組成物を注入し、上記の紫外線ランプで紫外線を照射して重合硬化を行い、金型から脱型させることで所望の形状の硬質透明基板を製造する方法や、金型を用いない場合には、例えば移動するスチールベルト上にドクターブレードやロール状のコーターを用いて本発明の硬化性樹脂組成物を塗布し、上記の紫外線ランプで重合硬化させることで、シート状の硬質透明基板を製造する方法等を例示することができる。更に本発明では加熱と光照射による硬質透明基板を得る方法を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
本発明における硬化性樹脂を硬化させて得た硬質透明基板は、透明性に優れ、具体的には550nmの光の波長での光線透過率が80%以上であり、また、複屈折率が20nm以下であることから、各種表示装置用電子材料を積層させることで種々の表示装置を得ることができる。すなわち、光線透過率が80%未満であると、カラー表示等の場合、画面が暗くなるため使用でき難く、モノクロ表示素子等の用途にしか使用できない傾向にあり、複屈折率が20nmよりも大きいと、表示パネルとした場合、表示画面の色ムラが生じる傾向があるが、本発明の硬質透明基板は、上記のような特性を備えるため、各種表示装置を得る上で好適である。
【0050】
硬質透明基板の厚さについては、表示装置の種類によっても異なるが、例えば液晶表示装置の場合は0.10〜2.00mmであるのが好ましい。0.10mm未満では基板の自重によってたわみ易く、従来のガラス製基板を使用した液晶表示装置の製造プロセスが使用できないおそれがある。一方、2.00mmを超えると従来の1.5〜0.7mmのガラス基板と同じ重量となり、軽量化の目的からはずれてしまう。
【0051】
以下、添付した図面を用いて本発明の好ましい実施の態様を説明する。
図1は、各種表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成した液晶表示装置の断面説明図であり、本発明の硬質透明基板を用いた好適な例である。この場合、表示装置用電子材料は、例えば透明電極、配向膜、液晶層、カラーフィルター、薄膜トランジスタ、偏光板、及びバックライトであり、硬質透明基板上にカラーフィルター、透明電極、及び配向膜が積層された液晶第1部材と、硬質透明基板上に薄膜トランジスタ及び配向膜とが積層された液晶第2部材とが、互いに配向膜が対向するように液晶層を挟持し、かつ、液晶第1部材の硬質透明基板の外側に偏光板が配設されると共に、液晶第2部材の硬質透明基板の外側に偏光板及びバックライトが配設されてなる。ここで、上記硬質透明基板の両面にガスバリア膜を設けるようにしてもよい。
【0052】
液晶表示装置の場合、透明電極としては、酸化インジウム、酸化スズ、金、銀、銅、ニッケル等の導電物質を挙げることができる。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよく、通常、酸化インジウム99〜90%と酸化スズ1〜10%との混合物よりなるインジウムスズオキサイド(以下「ITO」という)が透明性と導電性のバランスの面から特に好ましい。透明電極を形成する方法は、従来から公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法等を用いて行うことができる。このうち、スパッタリング法が密着性の点から好ましい。以上の透明電極の厚さは、通常500〜2000Åの範囲が透明性及び導電性のバランスの面から好ましい。
【0053】
図2は、各種表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成したタッチパネル表示装置の断面説明図である。すなわち、表示装置用電子材料が、少なくとも透明電極、ドットスペーサー、偏光板、及び液晶表示装置であって、硬質透明基板上に透明電極を形成した一対のタッチパネル部材が、互いに透明電極が対向するようにドットスペーサーを挟持する。そして、各タッチパネル部材の外側に偏光板が配設されると共に、いずれか一方のタッチパネル部材の外側には偏光板のほかに液晶表示装置をはじめとする表示装置が配設されてなる。ここで、上記硬質透明基板の両面にガスバリア膜を設けるようにしてもよい。
【0054】
図3は、各種表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成した有機EL表示装置の断面説明図である。すなわち、表示装置用電子材料が、少なくとも透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、金属電極、及びガスバリア膜であって、硬質透明基板上に透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び金属電極が積層されてなる。ここで、全体を図示外のガスバリア膜によって封止するようにしてもよい。また、上記硬質透明基板の両面にガスバリア膜を設けるようにしてもよい。この有機EL表示装置の場合、例えば、発光体層には硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化亜鉛等が用いられ、金属電極にはアルミニウム等が用いられる。
【0055】
硬質透明基板に表示装置用電子材料を積層する際、必要に応じて硬質透明基板と表示装置用電子材料との間に設けるガスバリア膜については、無機酸化物膜、あるいは、エチレンービニルアルコール共重合体(例えば、エバール商品名エバール、ソアノール)、塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂層が挙げられるが、好ましくは無機酸化物膜である。無機酸化物とは、金属、非金属、亜金属の酸化物であり、具体例としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、酸化珪素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等が挙げられ、酸化珪素が特に好ましい。なお、無機酸化物には、微量の金属、非金属、亜金属単体やそれらの水酸化物、また、可撓性を向上させるために適宜炭素又はフッ素が含まれていてもよい。ガスバリア膜を形成する方法としては、樹脂等をコートする方法や、無機酸化物よりなる蒸着膜を形成する方法が挙げられる。蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、真空スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等、従来公知の方法が使用できる。
【0056】
このガスバリア膜の厚さについては特に制限はなく、ガスバリア膜の構成成分の種類によっても異なるが、酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性のほか、経済性を考慮すると、膜の厚さは5〜50nmが好ましい。膜の厚さが5nm未満では膜が島状になって膜が形成されない箇所が生ずる可能性があり均一な膜が得られない傾向があるので余り好ましくない。更に高度な酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性を得るためには膜の厚さを厚くすればよいが、50nmを超えると生産性が悪くコストが高くなり、透明性の悪化にも繋がるので好ましくない。
【0057】
以下、本発明の実施例を示す。なお、下記の実施例に使用した硬化性樹脂は、下記の合成例に示した方法で得たものである。
【0058】
[合成例]
撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4口フラスコにイソプロピルアルコール300mLおよびトルエン600mL、20w%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液22.37g(水酸化テトラメチルアンモニウム4.55g/0.05mol、水17.82g/0.99mol)を装入した。滴下ロートにビニルトリメトキシシラン44.4g/0.30molとイソプロピルアルコール50mLの混合溶液を装入し、反応容器を撹拌しながら、室温で3時間かけて滴下した。滴下終了後加熱することなく3時間撹拌した。3時間撹拌後、撹拌を止め反応溶液を18時間室温で熟成させた。その反応溶液を0.1Mクエン酸水溶液1Lに加え中和し、さらに水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、減圧下で濃縮した。濃縮物を脱水されたテトラヒドロフラン200mLで溶解し、撹拌機、滴下ロートを備えた1Lの4口フラスコに装入した。反応容器に脱水されたピリジン1.00mLおよび滴下ロートにジメチルジクロロシラン3.2g/0.025molとトリメチルクロロシラン2.7g/0.025molとテトラヒドロフラン30mLを加え、窒素気流下で反応容器を撹拌しながら、室温で3時間かけて滴下した。滴下終了後加熱することなく3時間撹拌した。3時間撹拌後、トルエン300mLを加えた後、反応溶液を水で中性になるまで水洗し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、減圧下で濃縮することで無色透明の液体として硬化性樹脂〔一般式(1)〕27.1g得た。
【0059】
この硬化性樹脂の1H-NMRでは、ビニル基のシャープなシグナルが観測されたことからビニルトリメトキシシランからの加水分解縮合物は籠型構造であることが確認された。このことから金属酸化物、すなわちケイ素酸化物で構成される三次元多面体構造である密な構造部位(A)については、ケイ素原子8個と酸素原子12個とで構成される(SiO3/28で表せる立方体構造と仮定することができ、導き出されたKpは0.73であった。また、上記硬化性樹脂の(A)以外の部位は、(H2C=CH-SiO3/28の残基であるビニル基と(Me3SiO1/2)と(Me2SiO)であって疎な構造部位(B)であり、これらから求められる重量比〔(A)/(B)〕は1.302であった。また、GPCによる数平均分子量Mnは5200であった。尚、密な構造部位(A)のKpを算出する際、(SiO3/28は(A)の部分であり一般式(I)樹脂中の一部として存在するため取り出すことが不可能であって直接的にKpを求めることができない。そのため最もKpへの影響が少なく近似できる化合物として(HSiO3/28を用いて計算した。
【実施例1】
【0060】
合成例で得られた硬化性樹脂100重量部とジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社製パークミルD)2重量部とを均一になるまで混合して、硬化性樹脂組成物を得た。これをガラス板で組んだ型に厚み0.2mmになるように流し込み、100℃で1時間、120℃で1時間、140℃で1時間、160℃で1時間、及び180℃で2時間加熱して成型体(硬質透明基板)を得た。
【実施例2】
【0061】
合成例で得られた硬化性樹脂58重量部、末端トリメチルシリル修飾ポリメチルヒドロシロキサン(アヅマックス株式会社製 HMS−992)42重量部、及び白金-ビニルシロキサン錯体(アヅマックス株式会社製SIP6830.3)0.5重量部を均一になるまで混合し、硬化性樹脂組成物を得た。これをガラス板で組んだ型に厚み0.2mmになるように流し込み、100℃で1時間、120℃で1時間、140℃で1時間、160℃で1時間、及び180℃で2時間加熱して成型体(硬質透明基板)を得た。
【実施例3】
【0062】
合成例で得られた硬化性樹脂58重量部、末端トリメチルシリル修飾ポリメチルヒドロシロキサン(アヅマックス株式会社製 HMS−992)21重量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社製パークミルD)2重量部、及び白金-ビニルシロキサン錯体(アヅマックス株式会社製SIP6830.3)0.5重量部を均一になるまで混合し、硬化性樹脂組成物を得た。これをガラス板で組んだ型に厚み0.2mmになるように流し込み、100℃で1時間、120℃で1時間、140℃で1時間、160℃で1時間、及び180℃で2時間加熱して成型体(硬質透明基板)を得た。
【0063】
実施例1〜3で得られた硬質透明基板上に、それぞれ予めスパッタリング法により厚さ10nmの珪素酸化物よりなるガスバリア膜を設け、続いてスパッタリング法によりガスバリア膜上に厚さ150nmのITO膜(透明電極)を形成して、硬質透明基板上に透明電極を備えた試験用積層体を得た。得られた試験用積層体を以下の方法で評価した。
【0064】
<耐熱性>
ビガット軟化試験において、圧子断面積1.0mm、荷重5Kg、昇温速度50℃/hrの測定条件において、120℃以下で圧子が0.4mm以上進入したものを×、0.2〜0.4mm進入したものを△、0.1mm以下で進入がほとんどなかったものを○とした。
<複屈折率>
位相差測定装置(ニコン製、NPDM-1000)を使用し、400〜800nmの波長で面内の複屈折率を測定した。
<光線透過率>
(株)日立製作所の分光光度計を使用し、波長550nmでの透過率を測定した。
<ITO膜表面の粗さ(Ra)>
AFMにより表面粗さの測定を行った。測定範囲が10μmであり、タッピングモードの条件で測定した。
<屈曲性>
直径25mmの芯棒で試験用積層体を巻きつけ、90度折り曲げたときに、ひび割れが発生しないものを○、ひび割れしたものを×とした。
実施例1〜3で得られた試験用積層体の耐熱性、複屈折率、光線透過率、ITO膜表面の粗さ、及び屈曲性の評価結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
また、実施例1〜3で得られた試験用積層体を、一方のタッチパネル部材に用い、他方のタッチパネル部材としてガラス基板上に前記と同様の方法で150nmの透明導電性薄膜を形成したものを用いた。この2枚のタッチパネル部材を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置しタッチパネル試験体を作製した。この得られたタッチパネル試験体について以下の方法で評価した。
【0067】
[比較例1]
硬質透明基板の代わりに厚さ0.188mmのポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実施例1〜3と同様にしてタッチパネル試験体を作製した。
【0068】
1)耐熱変色:
組上げたタッチパネル試験体を120℃の熱風循環オーブンで120時間処理し基板の変色を確認した。変化無ければ○、黄変等の着色がある場合は×とした。
2)ペン摺動試験:
ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に250gの加重をかけて20万回の摺動試験を行った。摺動部分に白化が見られずON抵抗に異常が無ければ○、白化およびON抵抗に異常が見られれば×とした。
3)打鍵試験:
ポリアセタール製ペン(先端形状:0.8mmR)に250gの加重をかけ100万回の打鍵試験を行った。ON抵抗に異常が無ければ○、異常が見られれば×とした。
上記実施例1〜3および比較例1で得られた試験用積層体を用いて作製したタッチパネル試験体のフィルム成形性、耐熱変色、ペン摺動試験、及び打鍵試験の評価結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成した液晶表示装置の断面説明図である。
【図2】図2は、表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成したタッチパネル表示装置の断面説明図である。
【図3】図3は、表示装置用電子材料と本発明の硬質透明基板とを用いて形成した有機EL表示装置の断面説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置用電子材料が硬質透明基板に積層されて形成される表示装置であって、硬質透明基板が、下記一般式(1)で表される硬化性樹脂を硬化させて得られたものであり、上記硬化性樹脂は、下記計算式(2)より計算されるパッキング係数Kpが0.68〜0.8の金属酸化物から構成される密な構造部位(A)と、上記Kpが0.68未満の有機物又は有機物と有機金属酸化物とから構成される疎な構造部位(B)とを有すると共に、構造部位(A)/(B)の重量比が0.01〜5.00であり、かつ、少なくとも一つの不飽和結合を有して平均分子量が800〜60000であることを特徴とする表示装置。
−{(A)−(B)mn− (1)
(但し、mおよびnは1以上の整数を示す。)
Kp=An・Vw・p/Mw (2)
(但し、An=アボガドロ数、Vw=ファンデアワールス体積、p=密度、Mw=分子量、Vw=ΣVa、Va=4π/R3−Σ1/3πhi2(3Ra−hi)、hi=Ra−(Ra2+di2−Ri2)/2di、Ra=原子半径、Ri=結合原子半径、及びdi=原子間距離を示す。)
【請求項2】
密な構造部位(A)は、下記一般式(I)の有機物部位を除いた三次元多面体構造を有する金属酸化物部位であり、疎な構造部位(B)は、一般式(I)の有機物部位と下記一般式(II)とからなる請求項1記載の表示装置。
(RSiO3/2w(MO2x(RXSiO)y(XMO3/2z (I)
(R345SiO1/2j(R67SiO)k{R67XSiO1/2l (II)
(但し、Rは(a)−R1−OCO−CR2=CH2、(b)−R1−CR2=CH2若しくは(c)−CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、式(I)における複数のRは互いに異なるものであってもよいが、少なくとも1つは(a)、(b)、(c)のいずれかを含む。また、R1はアルキレン基、アルキリデン基又はフェニレン基を示し、R2は水素又はアルキル基を示し、R3〜R7は(a)−R1−OCO−CR2=CH2、(b)−R1−CR2=CH2若しくは(c)−CH=CH2で示される不飽和基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、水素原子、アルコキシル基、又はアルキルシロキシ基であり、Mはケイ素、ゲルマニウム、チタン、又はジルコニウムの金属原子、Xはハロゲン原子、又はアルコキシル基であり、wは4以上の整数であり、x、y及びzはw+x+y+z≧8を満たす整数である。また、j、k、及びlはそれぞれ0以上の整数を示す。)
【請求項3】
一般式(1)中の(A)で表される構造単位が、RSiX3、MX4又はこれらの混合物(但し、R、M及びXは一般式(I)と同じである)の加水分解縮合物から得られる一般式(I)で表される構造単位中の三次元多面体構造骨格である金属酸化物部位からなる請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
一般式(1)中の(B)で表される構造単位が、R3R4R5SiX、R6R7SiX2又はこれらの混合物(但し、R3〜R7及びXは一般式(II)と同じである。)の加水分解縮合物から製造される一般式(II)で表される金属酸化物の鎖状単位と、一般式(I)で表される構造に含まれる金属原子と結合している有機基とからなる請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
硬化性樹脂にヒドロシリル化触媒及び/又はラジカル開始剤を配合して硬化性樹脂組成物を得た後、この硬化性樹脂組成物を成形し、熱硬化又は光硬化させて硬質透明基板を得る請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
分子中に少なくとも1つのヒドロシリル基を有する化合物及び/又は不飽和基を有する化合物を更に配合して硬化性樹脂組成物を得る請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置用電子材料が、少なくとも透明電極、配向膜、液晶層、カラーフィルター、薄膜トランジスタ、偏光板、及びバックライトであり、硬質透明基板上にカラーフィルター、透明電極、及び配向膜が積層された液晶第1部材と、硬質透明基板上に薄膜トランジスタ及び配向膜とが積層された液晶第2部材とが、互いに配向膜が対向するように液晶層を挟持し、かつ、液晶第1部材の硬質透明基板の外側に偏光板が配設されると共に、液晶第2部材の硬質透明基板の外側に偏光板及びバックライトが配設されてなる液晶表示装置である請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
表示装置用電子材料が、少なくとも透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、金属電極、及びガスバリア膜であり、硬質透明基板上に透明電極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び金属電極が積層され、ガスバリア膜によって封止されてなる有機EL表示装置である請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
表示装置用電子材料が、少なくとも透明電極、ドットスペーサー、偏光板、及び液晶表示装置であり、硬質透明基板上に透明電極を形成した一対のタッチパネル部材が、互いに透明電極が対向するようにドットスペーサーを挟持し、各タッチパネル部材の外側に偏光板が配設されると共に、いずれか一方のタッチパネル部材の外側には更に液晶表示装置が配設されてなるタッチパネル表示装置である請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
硬質透明基板と透明電極との間に更にガスバリア膜を配設する請求項7〜9のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−94992(P2008−94992A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279620(P2006−279620)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】