説明

表示装置

【課題】フェースプレートを高温に昇温することなく高品質の蛍光体を設けることができ、モアレ縞が発生せず良好な画像を表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】画像を表示するためのパネル部6と電子を照射する照射部3とを有してパネル部6に画像を表示する表示装置10であって、パネル部6の照射部3側にパネル部6と所定距離離れて設けられており、照射部3により電子が照射されることによって発光する蛍光体層を含む発光基板7を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子が照射された蛍光体が発光することによって画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、家庭用のビデオカメラのビューファインダには、液晶ディスプレイを備えた表示装置が用いられているが、放送用等の業務用のビデオカメラのビューファインダには、対角2インチ程度の小型の陰極線管を備えた白黒表示の表示装置が用いられている。業務用のビデオカメラは、家庭用のビデオカメラに比べ、格段に焦点の合った映像を撮影できるものでなければならない。そのため、業務用のビデオカメラのビューファインダには、静止画像はもちろん動画像でも焦点を合わせやすく、高解像度を有する陰極線管を備えた表示装置が適している。また、カラー表示よりも白黒表示の方が高い解像度を容易に得ることができる。そのため、業務用のビデオカメラのビューファインダには、陰極線管を備えた白黒表示の表示装置が用いられることが多い。
【0003】
このような陰極線管は、表面に蛍光体が直接形成された、ガラス板よりなるフェースプレートと、漏斗状の形状を有し、ガラスよりなるファンネルとを、500℃以上の温度でフリットガラスを溶融凝固することによって、封着したものである(例えば、特許文献1参照)。フリットガラスにより容易に封着するために、フェースプレートとファンネルとは、それぞれの熱膨張係数の差ができるだけ小さくなるように、材質を選択して用いる。また、フェースプレートとファンネルとの熱膨張係数の差が大きいときは、熱膨張係数が異なる複数の種類のフリットガラスを用いて段階的に封着する方法、いわゆる段継ぎと呼ばれる方法も用いられる。
【0004】
また、フェースプレートには、一般に粉末状の蛍光体をフェースプレートの表面に印刷法やスピンコート法によって均一に塗布することによって、蛍光体層が形成されている。ファンネルの一端には、電子銃が設けられている。フェースプレートに形成されている蛍光体層に電子銃により電子を照射し、電子を照射された蛍光体層が発光することによってフェースプレートに画像を表示する。
【0005】
また、蛍光体が内面に塗着された内面側材と内面側材の外側に設けられた外面側材とを溶着して構成されているフェースプレートを有する陰極線管を備えた表示装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−180941号公報
【特許文献2】特公平7−120514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記のような表示装置では、次のような問題がある。
【0008】
陰極線管を備えた表示装置では、フェースプレートに形成する蛍光体として、粉末状の蛍光体(蛍光体粉末)に代え、厚みが0.1〜1μm程度の薄膜状の蛍光体(蛍光薄膜)を用いることにより、高い解像度の表示が得られる。蛍光体粉末では、数μmの粒径を有する粒子が何層にも重なった状態であるため、粒子間で光散乱が発生し、高解像度の表示が得られにくいが、蛍光薄膜では、粒子間での光散乱が発生しにくく高解像度の表示が得られやすいからである。
【0009】
しかし、蛍光薄膜を用いる場合、高品質の蛍光体を形成するためにフェースプレートを高温に昇温しなくてはならない。耐熱性や耐久性に優れ、分解してガスを発生するおそれがない無機系の蛍光薄膜を形成するときは、形成された薄膜を結晶化させるために、通常500〜1000℃といった高いプロセス温度が必要になるからである。このプロセス温度は、前述したフェースプレートとファンネルとを接着するプロセスの温度(500℃程度)よりも高い。したがって、フェースプレートとして高い耐熱性を有するガラス板が必要になり、安価な青板ガラスを用いることができず、製造コストが増大する。
【0010】
また、高品質の蛍光体を形成するためにフェースプレートを高温に昇温しなくてはならないのは、蛍光薄膜を用いる場合には顕著であるが、蛍光体粉末を塗布し、熱処理することによって緻密な蛍光体層を形成する場合でも同様である。
【0011】
特許文献2に記載されているように、フェースプレートが、蛍光体が内面に塗着された内面側材と内面側材の外側に設けられた外面側材とを溶着して構成されているときは、外面側材として安価な青板ガラスを用いることもできる。しかし、内面側材は、接着剤により外面側材に接着されている。内面側材が接着剤により外面側材に不均一に接着されていると、表示される画像に明暗の縞模様、すなわちモアレ縞が発生し、良好な画像を表示することができない。
【0012】
また、特許文献2に記載されている表示装置では、内面側材と外面側材とを溶着する構造は、電子が衝突することによってフェースプレートが着色する、いわゆる「ブラウニング」を防止するためのものである。また、内面側材と外面側材とを溶着する構造は、フェースプレートから発生し、陰極線管の外側前方に漏洩するX線を吸収するためのものである。
【0013】
更に、上記した課題は、陰極線管を備えている表示装置のみならず、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display;FED)を備えている表示装置にも共通するものである。電界放出ディスプレイは、フェースプレートと、フェースプレートと対向配置された基板とを有する外囲器を有する。そして、高品質の蛍光体を形成するためにフェースプレートを高温に昇温しなくてはならない。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フェースプレートを高温に昇温することなく高品質の蛍光体を設けることができ、モアレ縞が発生せず良好な画像を表示することができる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の一実施例によれば、画像を表示するためのパネル部と電子を照射する照射部とを有して前記パネル部に画像を表示する表示装置であって、前記パネル部の前記照射部側に前記パネル部と所定距離離れて設けられ、前記照射部により電子が照射されることによって発光する蛍光体層を含む発光基板、を有する表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フェースプレートを高温に昇温することなく高品質の蛍光体を設けることができ、モアレ縞が発生せず良好な画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係る表示装置が備えている陰極線管を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態におけるフェースプレート及び発光基板の構造を示す平面図及び側面図である。
【図3】第1の実施の形態における発光基板の構造を拡大して示す断面図である。
【図4】加熱炉中でファンネル部とフェースプレートとが封着される状態を示す図である。
【図5】モアレ縞が発生せず良好な画像を表示できる作用を説明するための単純化したモデルを示す図である。
【図6】フェースプレートと発光基板間に隙間を空けて張り合わせた状態を示す図である。
【図7】フェースプレートと発光基板とが接触している状態を拡大して示す図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例に係る表示装置が備えている陰極線管を示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例におけるフェースプレート及び発光基板の構造を示す分解斜視図である。
【図10】スペーサ部の配置が異なる例における、フェースプレート及び発光基板の構造を示す分解斜視図である。
【図11】第2の実施の形態に係る表示装置が備えている電界放出ディスプレイを示す断面図である。
【図12】第2の実施の形態の変形例に係る表示装置が備えている電界放出ディスプレイを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1から図4を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置について説明する。
【0020】
始めに図1から図3を参照し、本実施の形態に係る表示装置10について説明する。図1は、表示装置10が備えている陰極線管1を示す断面図である。図2は、フェースプレート6及び発光基板7の構造を示す平面図及び側面図である。図2(a)は平面図であり、図2(b)は側面図である。図3は、発光基板7の構造を拡大して示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、陰極線管1は、外囲器2、電子銃3、電子レンズ4及び偏向ヨーク5を有する。外囲器2は、ファンネル部21、ネック部22、フェースプレート6及び発光基板7を有する。電子銃3は、ネック部22に設けられている。電子レンズ4は、電子銃3の先端近傍に設けられている。偏向ヨーク5は、外囲器2のネック部22の外側に設けられている。
【0022】
なお、フェースプレート6は、本発明におけるパネル部に相当する。また、電子銃3は、本発明における照射部に相当する。
【0023】
外囲器2のうち、ファンネル部21及びネック部22は、断面円筒型のガラス管である。外囲器2は、一端側に電子銃3のステム31が封止されるとともに、他端側に例えばガラス板よりなるフェースプレート6が封止されて構成されており、内部は真空に保持されている。
【0024】
電子銃3は熱陰極であり、加熱されることによって電子を放出する。電子銃3から放出された電子は、フェースプレート6に設けられている陽極61との間の電位差により加速され、電子ビーム32として陽極61に到達する。なお、本実施の形態に係る表示装置10が備えている陰極線管1では、陽極61に例えば5kVの電圧を外部電源から印加する。
【0025】
電子レンズ4は、電極で構成される電子レンズである。電子レンズ4は、外部電源より電圧が印加されることによって、電子銃3から出射される電子ビーム32をスポット状に集束させる。
【0026】
偏向ヨーク5は、外部電源から供給される電圧により偏向磁界を発生させ、発生した偏向磁界により電子ビーム32を偏向させる。
【0027】
図1及び図2(a)に示すように、フェースプレート6は、画像を表示するためのものである。フェースプレート6は、例えば対角2インチのガラス板である。
【0028】
図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、発光基板7は、フェースプレート6に固定されている取付部材8により取り付けられている。取付部材8は、保持部81及びスペーサ部82を有する。保持部81は、発光基板7の周縁部を保持する。スペーサ部82は、保持部81が保持している発光基板7をフェースプレート6と所定距離D離すためのものである。そして、発光基板7は、周縁部が保持部81に保持されることによって、フェースプレート6に取り付けられている。
【0029】
取付部材8は、図示しない導電性接着剤によりフェースプレート6に接着されていてもよい。そして、図2(a)に示すように、取付部材8は、矩形形状を有する発光基板7の4辺の略中央における周縁部を保持するために、4箇所設けられていてもよい。
【0030】
導電性接着剤は、後述する発光基板7に形成されるメタルバック73と、フェースプレート6に形成される陽極61とを、取付部材8を介して電気的に接続することによって、帯電を防止する。発光基板7に電子が照射されることによって蛍光体層72が帯電すると、照射される電子が反発して電子線の走査が揺らぐことによってフェースプレート6に表示される画像がぼけたりずれたりする。従って、導電性接着剤を用いることにより、フェースプレート6に表示される画像がぼけたりずれたりすることを防止できる。導電性接着剤として、導電性ペーストを用いることができる。
【0031】
図2(b)に示すように、発光基板7は、フェースプレート6の電子銃3側(電子線32が照射される側)に、フェースプレート6と所定距離D離れて設けられている。
【0032】
図3に示すように、発光基板7は、透明基板71、蛍光体層72及びメタルバック73を有する。透明基板71の一方の面には、蛍光体層72が形成されている。すなわち、発光基板7は、一方の面に蛍光体層72が形成されている透明基板71である。そして、その蛍光体層72が形成されている面が電子銃3と対向するように(電子線32が照射される方向に対向するように)、フェースプレート6に取り付けられている。
【0033】
なお、発光基板7は、蛍光材料よりなる蛍光基板であってもよい。発光基板7が蛍光基板であるときは、発光基板7は、いずれかの面が電子銃3と対向するように、フェースプレート6に取り付けられていてもよい。また、以下では、発光基板7は、蛍光材料ではない透明基板71の一方の面に、蛍光体層72が形成されている例について説明する。
【0034】
透明基板71として、例えば500〜1000℃等の蛍光薄膜の形成に必要な耐熱性等の条件を満足する材質よりなるものを用いることができる。また、透明基板71は、外囲器2のファンネル部21とフェースプレート6とを封着する際にファンネル部21等に接触しないように、フェースプレート6の大きさよりも小さい寸法を有している。また、フェースプレート6が大気圧に耐えるための十分な厚さを有する必要があるのに対し、透明基板71は、大気圧に耐えるための十分な厚さを有する必要がない。従って、透明基板71は、フェースプレート6に比べ、薄くすることができる。また、透明基板71の種類として、例えばパイレックス(登録商標)ガラス等の耐熱性ガラス基板、例えば合成石英等の石英基板、例えばサファイア等の単結晶基板を用いることができる。これにより、透明基板71を十分高温まで昇温し、結晶性に優れた蛍光薄膜を形成することができる。また、単結晶基板を用いるときは、単結晶基板上に蛍光薄膜をエピタキシャル成長させることによって、極めて結晶性に優れた蛍光薄膜を形成することができる。
【0035】
蛍光体層72として、例えば蛍光薄膜を用いることができる。蛍光薄膜として、例えばマンガン添加チオガレイト系の蛍光材料(MGa:Mn(M=Ca、Sr、Ba))よりなる薄膜を用いることができる。また、蛍光体層72として、蛍光体粉末が塗布されたものを用いることもできる。蛍光体粉末の蛍光材料として、蛍光薄膜の蛍光材料と同様の材料を用いることができる。
【0036】
メタルバック73は、一方の面に蛍光体層72が形成されている透明基板71に、透明基板71の蛍光体層72が形成されている面側から、蛍光体層72を被覆するように、蒸着された導電性薄膜である。メタルバック73は、電子銃3に対向する陽極として機能する。図3に示すように、電子銃3から出射される電子ビーム32は、メタルバック73に照射される。導電性薄膜として、例えばアルミニウム薄膜を用いることができる。
【0037】
なお、メタルバック73は、一方の面に蛍光体層72が形成されている透明基板71よりなる発光基板7を、その蛍光体層72が形成されている面と反対面がフェースプレート6と対向するように、フェースプレート6に取り付けた後、形成してもよい。このときは、発光基板7がフェースプレート6に取り付けられている状態で、蛍光体層72が形成されている面にメタルバック73が蒸着される。メタルバック73が蒸着された後にフェースプレート6への取付作業を行わないため、蒸着したメタルバック73の表面が取付作業の際に剥がれ、メタルバック73が剥がれた領域において発光基板7が帯電しやすくなることによって画像の解像度が低下することを防止できる。
【0038】
次に、図2から図4を参照し、本実施の形態に係る表示装置10に備えられる陰極線管1の製造方法について説明する。図4は、加熱炉11中でファンネル部21とフェースプレート6とが封着される状態を示す図である。
【0039】
まず、透明基板71上に、蛍光薄膜よりなる蛍光体層72を形成する。透明基板71上に、マンガン添加チオガレイト系の薄膜MGa:Mn(M=Ca、Sr、Ba)であるセリウム、ユウロピウム、マンガン添加ストロンチウムチオガレイト(SrGa:Ce、Eu、Mn)の蛍光薄膜を形成する。このとき、ユウロピウム(Eu)の濃度はマンガン(Mn)濃度の1/100程度、セリウム(Ce)濃度はマンガン(Mn)濃度の1/10程度とする。蛍光薄膜の形成は、Sr、Ga、Ce金属あるいはその化合物、Eu金属あるいはその化合物、Mn金属あるいはその化合物を蒸発原料に用いた多源蒸着法で行う。
【0040】
なお、以下では、蛍光薄膜として、セリウム、ユウロピウム、マンガン添加ストロンチウムチオガレイト(SrGa:Ce、Eu、Mn)を形成する場合について説明する。しかし、MGa:Ce、Eu、Mn(M=Ca、Sr、Ba)の組成式で表される蛍光薄膜であればよく、Ca、Sr、又はBaを任意の比率で含んでもよい。
【0041】
透明基板71の温度を500〜1000℃の間の最適な温度に設定し、セリウム、ユウロピウム、マンガン添加ストロンチウムチオガレイト(SrGa:Ce、Eu、Mn)を構成する各原料を同時に蒸発させて透明基板71上に成膜し、成膜とともに蛍光薄膜中における発光中心を形成する。
【0042】
あるいは、透明基板71の温度を例えば120℃程度の比較的低い温度に設定し、セリウム、ユウロピウム、マンガン添加ストロンチウムチオガレイト(SrGa:Ce、Eu、Mn)を構成する各原料を同時に蒸発させて透明基板71上に成膜してもよい。そして、成膜後に真空中あるいは硫化水素を5%程度混合させた不活性ガス中で、透明基板71の温度を500〜1000℃の間の最適な温度に設定して1時間程度熱処理を行い、蛍光薄膜の結晶化を促進させるとともに蛍光薄膜中における発光中心の形成を促進させてもよい。
【0043】
また、前述したように、蛍光薄膜に代え、蛍光体粉末を塗布し、熱処理することによって、蛍光体層72を形成してもよい。蛍光体粉末を塗布するときは、セリウム、ユウロピウム、マンガン添加ストロンチウムチオガレイト(SrGa:Ce、Eu、Mn)の粉末をバインダと混練して作製した前駆体を、例えばスピンコート法により透明基板71上に塗布する。そして、塗布後に真空中あるいは硫化水素を5%程度混合させた不活性ガス中で、透明基板71の温度を500℃〜1000℃の間の最適な温度に設定して1時間程度熱処理を行い、蛍光体粉末の焼結を促進させるとともに発光中心の形成を促進させる。
【0044】
このようにして得た発光基板7を、図2(a)及び図2(b)に示すように、フェースプレート6に取り付ける。発光基板7の周縁部を保持部81が保持している状態で、取付部材8をフェースプレート6に導電性接着剤により接着することによって、発光基板7をフェースプレート6に取り付ける。あるいは、矩形形状を有する発光基板7をその4辺の中央における周縁部を保持部81に保持するときは、予め発光基板7の4辺のうち3辺に対応する3つの取付部材8を適切な位置に導電性接着剤により接着しておく。そして、接着されている3つの取付部材8の保持部81により発光基板7を保持した状態で、残り1つの取付部材8を、保持部81が発光基板7の残りの1辺を保持するように、導電性接着剤によりフェースプレート6に接着する。これにより、発光基板7をフェースプレート6に取り付けることもできる。
【0045】
このようにして発光基板7が取り付けられたフェースプレート6を、図4に示すように、加熱炉(フリットシール炉)11中でフリットガラスを用いてファンネル部21に封着する。
【0046】
ファンネル部21を、ヒータ12を備えている加熱炉(フリットシール炉)11中に搬送し、治具13により保持する。そして、ファンネル部21の封着面14上に、封着剤15として例えばスラリー状のフリットガラスが塗布された状態で、封着面14に乾燥ガスを吹き付けて乾燥させることによって、封着面14に凹凸部16を形成する。凹凸部16を有する封着面14上にフェースプレート6を載せると、凹凸部16により生じた高低差により、図4に示すようにフェースプレート6とファンネル部21との間に間隙が生じる。このような状態で熱処理により封着(フリットシール)工程を行うと、封着剤15を熱処理する際に発生するガスは、図4に符号Iで示すように、この間隙から排出される。よって、加熱炉(フリットシール炉)11内の空気流FLと、フェースプレート6とファンネル部21の凹凸部16との間の間隙によって、効率の高いガス置換が達成され、封着剤15を凝固させることによって、高品質な封着(フリットシール)を行うことができる。
【0047】
次に、本実施の形態に係る表示装置10により、フェースプレート6を高温に昇温することなく高品質の蛍光体層72を設けることができる作用について説明する。
【0048】
安価なガラス例えば青板ガラスよりなるフェースプレート6上に蛍光薄膜を直接形成しようとすると、耐熱性、熱膨張係数、不純物による汚染が問題になる。
【0049】
有機系の蛍光薄膜は、低温で塗布することができる。そのため、蛍光薄膜として有機系の蛍光薄膜を用いるときは、例えばスピンコート法等の従来の蛍光体粉末を塗布する方法を適用することができる。しかし、有機系の蛍光薄膜は、耐熱性や耐久性に劣り、分解してガスを発生することもある。従って、有機系の蛍光薄膜は、10−8〜10−6Pa程度の高真空に維持する必要がある陰極線管1の外囲器2内で用いることはできない。
【0050】
また、無機系の蛍光薄膜は、耐熱性や耐久性に優れ、陰極線管1の外囲器2内で用いるのに適した材料である。しかし、無機系の蛍光薄膜を結晶化させるためには、一般に500〜1000℃といった高いプロセス温度が必要である。したがって、無機系の蛍光薄膜を用いるときは、フェースプレート6として、耐熱性に優れたガラス板よりなるフェースプレート6を用いることが必要である。
【0051】
また、無機系の蛍光薄膜を形成するためにフェースプレート6を高いプロセス温度で加熱すると、フェースプレート6の構成元素がフェースプレート6から蛍光薄膜に不純物として熱拡散することによって蛍光薄膜の発光特性が低下することもある。
【0052】
また、あるフェースプレート6の特性を、無機系の蛍光薄膜を形成するために要求される特性と、フリットガラスによりファンネル部21に封着するために要求される特性とのいずれにも適合させることは困難である。特に、安価な例えば青板ガラスよりなるフェースプレート6は、無機系の蛍光薄膜を形成するために用いることはできない。フェースプレート6として、耐熱性及び耐久性に優れ、無機系の蛍光薄膜を形成するのに適したガラス板を用いるときは、フェースプレート6を、前述した段継ぎによりファンネル部21に封着する。しかし、段継ぎを行ったとしても、もともとフェースプレート6とファンネル部21との間の熱膨張係数の差が大きいため、封着する際に割れる確率が高く、生産性が極めて低下する。更に、これらの問題を解決するためにフェースプレート6として使用するガラス材を新たに開発するには、極めて高い開発費用が必要になる。そして、例えば多色化表示のため複数の種類の蛍光薄膜を形成するときは、フェースプレート6の特性を、それぞれの種類の蛍光薄膜に適合させるのは極めて困難である。
【0053】
一方、本実施の形態によれば、蛍光体層72を含む発光基板7をフェースプレート6と別に設けている。そのため、500〜1000℃といった高いプロセス温度が必要である無機系の蛍光薄膜を形成するときも、フェースプレート6をこのような高温に昇温させる必要がない。従って、安価な例えば青板ガラスよりなるフェースプレート6を用いることができる。
【0054】
また、透明基板71として、高温に昇温しても不純物が熱拡散しないような材質を選択して用いることができる。そのため、無機系の蛍光薄膜を形成するために透明基板71を高温に昇温しても、透明基板71の構成元素が透明基板71から蛍光薄膜に不純物として熱拡散しない。従って、蛍光薄膜よりなる蛍光体層72の発光特性が低下することを防止できる。
【0055】
また、フェースプレート6の特性を、フリットガラスによりファンネル部21に封着するために要求される特性に容易に適合させる一方、透明基板71の特性を、無機系の蛍光薄膜を形成するために要求される特性に容易に適合させることができる。従って、段継ぎを行わなくても、フェースプレート6をファンネル部21に封着する際に割れる確率を低下させることができる。また、段継ぎを行うときは、フェースプレート6をファンネル部21に封着する際に割れる確率を更に低下させることができる。これにより、陰極線管1の生産性が大幅に向上する。また、無機系の蛍光薄膜を形成可能な、フェースプレート6用のガラス材を新たに開発する必要もない。そして、例えば多色化表示のため複数の種類の蛍光薄膜を形成するときも、透明基板71の特性を、それぞれの種類の蛍光薄膜に適合させることができる。
【0056】
以上、本実施の形態に係る表示装置10によれば、フェースプレート6を高温に昇温することなく高品質の蛍光体層72を設けることができる。
【0057】
なお、本実施の形態に係る表示装置10は、蛍光体層72として蛍光薄膜を用いる場合に極めて有効であるが、蛍光体粉末を塗布し、熱処理により焼結して蛍光体層72を形成する場合にも有効である。また、フェースプレート6に直接塗布しにくい蛍光体粉末を用いる場合にも有効である。例えば、蛍光体粉末を塗布して形成される蛍光体層72がフェースプレート6に付着する付着力が弱いために、塗布後、400℃以上の熱を加えて焼結させるような場合である。
【0058】
次に、フェースプレート6と発光基板7を所定距離D離した本実施の形態に係る表示装置10により、モアレ縞が発生せず良好な画像を表示できる作用について図5に示す単純化したモデルで説明する。Sは光源であり、この光の波動がP点とQ点で回折してM点で干渉する場合を示している。S点から出た光波はともに下記式(1)及び式(2)のように表される。
【0059】
【数1】

【0060】
【数2】

Aは振幅、ωは角周波数、ψ、ψは位相を表す。
【0061】
M点ではこれらが重なり、光の強度(明るさ)は下記式(3)に示すように周期Tで時間平均したものである。
【0062】
【数3】

式(3)の第1項は単純に二つの光波が重なってできた光の明るさであり、第2項が干渉効果を表している。
【0063】
この位相は波長をλ、光路長をlとlとして書き直すと下記式(4)となる。
【0064】
【数4】

M点がz軸に垂直な直線上を移動すると光路差(l−l)の変化によって光の強度が周期的に強くなったり弱くなったりする。この光路長lとlはそれぞれS→P→MとS→Q→Mの経路長である。光路差は、下記式(5)
【0065】
【数5】

である。M点がz軸に垂直な直線上を移動すると式(5)の第1項は一定であるが、第2項が変化する。
【0066】
M点が距離d’まで離れたN点に移動すると、光路差は、下記式(6)
【0067】
【数6】

である。距離が離れるに従い光路差は小さくなる。粗い近似をすると、M点の場合には、下記式(7)に示すように
【0068】
【数7】

であり、N点の場合には、下記式(8)に示すように
【0069】
【数8】

となって後者の場合が短くなる。また、たとえば無限遠に向かって遠くなる場合を考えると判りやすく、式(8)の左辺はゼロに近づいていく。M点とN点がそれぞれz軸に垂直な線上を移動する場合を比較すると、N点の場合には光路差の変化が小さくなる。これは式(4)の第2項の変化が小さくなることであり、干渉による光の明暗が小さくなる。
【0070】
フェースプレート6と発光基板7間に隙間を空けて配置した状態を図6に示す。フェースプレート6が発光基板7に対して相対的に斜めに傾いているのは実際の配置状態を表しており、張り合わせによる基板間の平行度が低いためである。ある光線が二枚の基板に入射すると基板間で多重に反射しながら透過していく。図6中には2回以下の反射光を示している。1がもっとも明るく、残りの光線は暗い。光線方向が同じにある2と3の光線による干渉縞は1の明るい光線に近いために目立たない。光線4,5,6,7の光線方向は基板間の傾き角の分だけ影響を受けて、光線1,2,3の光線方向と異なる方向に透過していく。光線4,5,6,7のうち,特に近接している5と6の光線が干渉しやすい。しかし、これらの多重反射した光の強度は、インコヒーレント光のため光路長が長くなると減衰して干渉縞のコントラストが低下して見えなくなる。フェースプレート6と発光基板7間の距離を離すと、この減衰による効果と前述の光路差の変化が小さくなる効果によって急激にモアレ縞は消える。
【0071】
次に、所定距離Dについて検討する。図7は、フェースプレート6と発光基板7とが直接接している状態を拡大して示す図である。フェースプレート6と発光基板7が直接接しているとき、又はフェースプレート6と発光基板7との距離が小さいときは、フェースプレート6に表示される画像には、モアレ縞が発生する。これは、例えばニュートンリングの原理によって説明できる。
【0072】
発光基板7の表面の凸部74の表面を、曲率半径R0を有する球面Bであると仮定し、フェースプレート6は解析を容易にするため平面S0であるとし、凹凸の成分を全て発光基板7の凸部74に含ませる。図7は、このように仮定したときの、フェースプレート6と発光基板7とが接触点P0において点接触している状態を示している。そして、接触点P0から平面S0内でr離れた位置における、平面S0に垂直な方向に沿った、平面S0から球面Bまでの距離をZ0とする。発光基板7側から入射した光Lは、球面Bと平面S0との間で多重に反射される。ここで、入射した光が直接フェースプレート6を透過する光を光L0とし、入射した光Lが球面Bと平面S0との間を多重に反射してフェースプレート6を透過する光を光L1とする。すると、光L0と光L1とが同位相であるときに重なって明るくなり、光L0と光L1とが逆位相であるときに暗くなることによって、フェースプレート6に表示される画像には、モアレ縞が発生する。
【0073】
m番目のモアレ縞のリングの半径をrとすると、下記式(9)
【0074】
【数9】

に示す関係を満たす。そして、m+1番目のモアレ縞のリングの半径をrm+1とし、光の波長をλとすると、下記式(10)
【0075】
【数10】

に示す関係を満たす。
【0076】
モアレ縞のリングの間隔は、リングの中心である接触点P0付近で大きく、接触点P0から離れた周辺で小さい。これは、発光基板7とフェースプレート6との距離Z0が、リングの中心である接触点P0付近で小さく、接触点P0から離れた周辺で大きいことに対応している。式(9)及び式(10)により、発光基板7とフェースプレート6との距離Z0が大きくなると、モアレ縞のリングの間隔が小さくなるからである。そして、モアレ縞のリングの間隔が小さくなると、隣接するモアレ縞のリングの明暗を区別できなくなるため、モアレ縞のリングは見えなくなる。すなわち、モアレ縞のリングを肉眼で認識できなくなる。
【0077】
例えば、入射する光の波長を400nmとし、m+1番目のモアレ縞のリングの半径をrm+1=1.001mmとし、m番目のモアレ縞のリングの半径をr=1mmとし、モアレ縞のリングの間隔を肉眼で認識できないほど狭い0.001mmとする。すると、式(9)及び式(10)により、Z0=99.9μmとなる。従って、フェースプレート6と発光基板7との所定距離Dを約100μm以上にすることによって、肉眼ではモアレ縞のリングが見えなくなる。
【0078】
すなわち、所定距離Dは、より好ましくは、発光基板7がフェースプレート6と所定距離D離れることによって、フェースプレート6に表示される画像に発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるような距離にすればよい。これにより、モアレ縞が確実に発生せず良好な画像を表示することができる。
【0079】
また、所定距離Dが極めて小さいときは、発光基板7とフェースプレート6とが異なる曲率半径R0を有する多数の凸部74において点接触することによって光が強く干渉することがある。あるいは、所定距離Dが極めて小さいときは、発光基板7とフェースプレート6とが全く接触していなくても、近接することによって光が強く干渉することがある。また、所定距離Dが極めて小さいときは、発光基板7とフェースプレート6の表面の平坦性や平行度が少し変動しただけでも光が強く干渉することがある。このような点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止するために、所定距離Dは、ある程度大きくすることができる。
【0080】
従って、製造コストを考慮するならば、所定距離Dを100μm以上にすることが好ましい。また、モアレリングの間隔についても、0.002mmまで拡げてもモアレ縞は目立つことはなかった。この場合、所定距離Dは50μmに相当する。
【0081】
また、所定距離Dが極めて大きいときは、スペーサ部82の厚さが極めて大きくなり、取付部材8をフェースプレート6に接着するのが難しくなり、発光基板7をフェースプレート6に取り付けるのが困難になるという問題がある。そこで、現実的には所定距離Dは1mm以下が好ましい。
【0082】
従って、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、50μm以上1mm以下であることが好ましい。また、製造コストを低廉化しつつ、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、100μm以上1mm以下であることがより好ましい。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、図8から図10を参照し、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る表示装置について説明する。図8は、本変形例に係る表示装置10aが備えている陰極線管1aを示す断面図である。図9は、フェースプレート6a及び発光基板7の構造を示す分解斜視図である。図10は、スペーサ部の配置が異なる例における、フェースプレート6a及び発光基板7の構造を示す分解斜視図である。
【0083】
なお、図9及び図10では、発光基板7とメタルバック73とを分けて図示しているが、実際には、図3に示したように、発光基板7は、透明基板71上に、蛍光薄膜等よりなる蛍光体層72及びメタルバック73が順次積層されている構造を有している。
【0084】
本変形例に係る表示装置10aは、表示装置10aが備えている陰極線管1aの発光基板7が、フェースプレート6aに形成されている嵌め込み部9に嵌め込まれている点で、第1の実施の形態に係る表示装置10と相違する。
【0085】
図8に示すように、陰極線管1aにおける、外囲器2のフェースプレート6a及び発光基板7以外の部分は、第1の実施の形態に係る表示装置10が備えている陰極線管1と同様である。従って、図8において、第1の実施の形態における陰極線管1と同一の部分には、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
発光基板7が透明基板71、蛍光体層72及びメタルバック73を有するのは、図3を用いて説明した第1の実施の形態に係る表示装置10に備えられている陰極線管1における発光基板7と同様であり、説明を省略する。
【0087】
ただし、本変形例では、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込むため、発光基板7の表面をフェースプレート6aの嵌め込み部9の周囲の表面に対して略等しい高さにすることができる。また、第1の実施の形態における取付部材8の保持部81が発光基板7の表面から突出して設けられることはない。従って、メタルバック73を発光基板7の全面及びフェースプレート6aの嵌め込み部9の周囲の表面に均一の厚さで形成することができるため、発光基板7の帯電の防止を、面内でより均一に行うことができる。
【0088】
また、本変形例でも、図3を用いて説明したように、発光基板7は、透明基板71の一方の面に蛍光体層72が形成されている。そして、発光基板7は、その蛍光体層72が形成されている面が電子銃3と対向するように、フェースプレート6aに取り付けられている。
【0089】
本変形例では、図8から図10に示すように、発光基板7は、フェースプレート6aに形成されている嵌め込み部9に嵌め込まれている。嵌め込み部9は、フェースプレート6aの表面が機械加工又はエッチングによって掘り下げられた、凹状の形状を有する凹部である。図9及び図10に示すように、嵌め込み部9の発光基板7と対向する側、又は、発光基板7の嵌め込み部9と対向する側に、スペーサ部75(又は91)が設けられている。スペーサ部75(又は91)は、発光基板7を嵌め込み部9と所定距離D離して嵌め込むためのものである。そして、発光基板7は、スペーサ部75(又は91)を介して嵌め込み部9と接するように嵌め込まれている。図9に示す例では、スペーサ部75が発光基板7側に形成されている。また、図10に示す例では、スペーサ部91がフェースプレート6a側に形成されている。
【0090】
発光基板7は、発光基板7の周縁部が、導電性接着剤92により嵌め込み部9に接着されていてもよい。図9及び図10では、発光基板7は、矩形形状を有する発光基板7の4つの角部における周縁部が、導電性接着剤92により嵌め込み部9の周縁部に接着されている例を示す。
【0091】
本変形例でも、第1の実施の形態と同様に、導電性接着剤92は、フェースプレート6aに形成される図示しない陽極と、メタルバック73とを電気的に接続することによって、帯電を防止する。発光基板7に電子が照射されることによって蛍光体層72が帯電すると、照射される電子が反発して電子線の走査が揺らぐことによってフェースプレート6aに表示される画像がぼけたりずれたりする。従って、導電性接着剤92を用いることにより、フェースプレート6aに表示される画像がぼけたりずれたりすることを防止できる。導電性接着剤92として、導電性ペーストを用いることができる。
【0092】
本変形例では、図9及び図10に示すように、発光基板7は、フェースプレート6aの電子銃3側に、嵌め込み部9と所定距離D離れて設けられている。
【0093】
次に、図8から図10を参照し、本変形例に係る表示装置10aに備えられる陰極線管1aの製造方法について説明する。
【0094】
透明基板71上に、蛍光薄膜よりなる蛍光体層72を形成するのは、第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0095】
そして、蛍光薄膜よりなる蛍光体層72を形成した発光基板7を、図9又は図10に示すように、フェースプレート6aに取り付ける。図9に示す例では、発光基板7に形成されているスペーサ部75が嵌め込み部9と接するように、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込む。また、図10に示す例では、発光基板7が嵌め込み部9に形成されているスペーサ部91と接するように、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込む。そして、発光基板7が嵌め込み部9に嵌め込まれている状態で、導電性接着剤92により発光基板7の4つの角部を嵌め込み部9に接着することによって、発光基板7を嵌め込み部9に取り付ける。
【0096】
本変形例でも、第1の実施の形態と同様に、蛍光体層72を含む発光基板7をフェースプレート6aと別に設けている。従って、フェースプレート6aを高温に昇温することなく高品質の蛍光体層72を設けることができる。
【0097】
また、本変形例では、所定距離Dは、発光基板7が嵌め込み部9と所定距離D離れることによって、フェースプレート6aに表示される画像に発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるような距離にすればよい。これにより、モアレ縞が確実に発生せず良好な画像を表示することができる。
【0098】
本変形例でも、発光基板7と嵌め込み部9との間の点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止するために、所定距離Dは、ある程度大きくすることができる。また、製造コストを低減するために、所定距離Dを100μm以上にすることが好ましく、製造コストを低減しなくてもよいときは、所定距離Dを50μm以上100μm以下にすることもできる。
【0099】
また、本変形例では、所定距離Dが極めて大きいときは、スペーサ部75(又は91)の高さが極めて大きくなる。そして、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込むためには、嵌め込み部9の深さを大きくしなくてはならず、そのような深い嵌め込み部9を形成するのは困難である。そこで、所定距離Dは1mm以下が好ましい。
【0100】
従って、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、50μm以上1mm以下であることが好ましい。また、製造コストを低減しつつ、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、100μm以上1mm以下であることがより好ましい。
(第2の実施の形態)
次に、図11を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。図11は、本実施の形態に係る表示装置110が備えている電界放出ディスプレイ101を示す断面図である。
【0101】
本実施の形態に係る表示装置110は、陰極線管に代え電界放出ディスプレイ101を備えている点で、第1の実施の形態に係る表示装置10と相違する。すなわち、電子銃に代えて、冷陰極電子源アレイであることが異なる。
【0102】
図11に示すように、電界放出ディスプレイ101は、外囲器102、エミッタチップ103及びゲート電極104を有する。外囲器102は、スペーサ部121、基板122、フェースプレート6及び発光基板7を有する。エミッタチップ103は、後述する陰極131が設けられている基板122のフェースプレート6側に設けられている。ゲート電極104は、エミッタチップ103の先端の近傍に設けられている。
【0103】
なお、フェースプレート6及び発光基板7は、フェースプレート6の外形が、外囲器102のスペーサ部121の外形に対応して異なる点以外は、第1の実施の形態におけるフェースプレート6と同様である。また、フェースプレート6は、本発明におけるパネル部に相当する。また、エミッタチップ103は、電子放出素子であり、本発明における冷陰極電子源アレイ及び照射部に相当する。
【0104】
外囲器102は、フェースプレート6と、フェースプレート6とスペーサ部121を挟んで対向配置された基板122とを有する。基板122は、例えばガラス板よりなる基板である。外囲器102は、一端側にエミッタチップ103の陰極131が封止されるとともに、一端側の基板122にスペーサ部121を介して他端側に例えばガラス板よりなるフェースプレート6が封止されて構成されており、内部は真空に保持されている。
【0105】
基板122は、スピント型の構造を有している。スピント型の構造を有する基板122は、スピント型のエミッタ形成法(C. A. Spindt et al., J. Appl. Phys., 47, p.5248 (1976))により形成することができる。基板122のサイズを例えば対角2インチとし、画素数を例えば120×120とし、陽極電圧を例えば10kV以下とすることができる。
【0106】
エミッタチップ103は、フェースプレート6側に径が細くなった針状又は円錐状の形状を有しており、フェースプレート6に設けられている陽極61との間に高電圧が印加され、先端に電界が集中することによって電子を放出する。放出された電子は、フェースプレート6の陽極61との間の電位差により加速され、電子ビーム132として発光基板7に到達する。なお、本実施の形態に係る表示装置110が備えている電界放出ディスプレイ101では、陽極61に10kV以下、例えば5kVの電圧を外部電源から印加する。また、エミッタチップ103として、例えばモリブデンを用いることができる。
【0107】
ゲート電極104は、エミッタチップ103の先端の近傍に設けられている。ゲート電極104は、エミッタチップ103に対して正の電位とし、エミッタチップ103の先端に電界を印加することによって、エミッタチップ103からの電子の放出を促進する。
【0108】
本実施の形態におけるフェースプレート6は、前述したように、フェースプレート6の外形が、外囲器102のスペーサ部121の外形に対応して異なる点以外は、第1の実施の形態において図2(a)、図2(b)及び図3を用いて説明したフェースプレート6と同様である。従って、本実施の形態におけるフェースプレート6の構造については、説明を省略する。
【0109】
また、本実施の形態でも、図3を用いて説明したように、発光基板7は、透明基板71の一方の面に蛍光体層72が形成されている。そして、発光基板7は、その蛍光体層72が形成されている面がエミッタチップ103と対向するように、フェースプレート6に取り付けられている。
【0110】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、蛍光体層72を含む発光基板7をフェースプレート6と別に設けている。従って、フェースプレート6を高温に昇温することなく高品質の蛍光体層72を設けることができる。
【0111】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、発光基板7は、フェースプレート6のエミッタチップ103側に、フェースプレート6と所定距離D離れて設けられている。
【0112】
また、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、所定距離Dは、より好ましくは、発光基板7がフェースプレート6と所定距離D離れることによって、フェースプレート6に表示される画像に発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるような距離にすればよい。これにより、モアレ縞が確実に発生せず良好な画像を表示することができる。
【0113】
本実施の形態でも、発光基板7とフェースプレート6との間の点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止するためには、所定距離Dは、ある程度大きくすることができる。また、製造コストを低減するためには、所定距離Dを100μm以上にすることが好ましく、製造コストを低減しなくてもよいときは、所定距離Dを50μm以上100μm以下にすることもできる。
【0114】
また、本実施の形態でも、所定距離Dが極めて大きいときは、発光基板7をフェースプレート6に取り付けるのが困難になるため、所定距離Dは1mm以下が好ましい。
【0115】
従って、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、50μm以上1mm以下であることが好ましい。また、製造コストを低減しつつ、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、100μm以上1mm以下であることがより好ましい。
【0116】
なお、本実施の形態では、基板122には、スピント型の電子放出素子であるエミッタチップ103が形成されている。しかし、基板122に形成される電子放出素子は、スピント型に限定されるものではなく、電子放出を行ってフェースプレート6に画像を表示できるものであればよい。従って、エミッタチップ103に代え、カーボンナノチューブ型、グラファイトナノファイバー型、表面伝導型電子放出型、薄膜冷陰極型、高効率電子放出素子(HEED)型等の各種の電子放出素子が形成されていてもよい。
(第2の実施の形態の変形例)
次に、図12を参照し、本発明の第2の実施の形態の変形例に係る表示装置について説明する。図12は、本変形例に係る表示装置110aが備えている電界放出ディスプレイ101aを示す断面図である。
【0117】
本変形例に係る表示装置110aは、表示装置110aが備えている電界放出ディスプレイ101aの発光基板7が、フェースプレート6aに形成されている嵌め込み部9に嵌め込まれている点で、第2の実施の形態に係る表示装置110と相違する。
【0118】
図12に示すように、電界放出ディスプレイ101aにおける、外囲器102のフェースプレート6a及び発光基板7以外の部分は、第2の実施の形態に係る表示装置110が備えている電界放出ディスプレイ101と同様である。従って、図12において、第2の実施の形態における電界放出ディスプレイ101と同一の部分には、図11と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0119】
また、本変形例におけるフェースプレート6aは、フェースプレート6aの外形が、外囲器102のスペーサ部121の外形に対応して異なる点以外は、第1の実施の形態の変形例において図8から図10を用いて説明したフェースプレート6aと同様である。従って、本変形例におけるフェースプレート6aの構造については、説明を省略する。
【0120】
また、本変形例でも、図3を用いて説明したように、発光基板7は、透明基板71の一方の面に蛍光体層72が形成されている。そして、発光基板7は、その蛍光体層72が形成されている面がエミッタチップ103と対向するように、フェースプレート6aに取り付けられている。
【0121】
本変形例でも、第2の実施の形態と同様に、蛍光体層72を含む発光基板7をフェースプレート6aと別に設けている。従って、フェースプレート6aを高温に昇温することなく高品質の蛍光体層72を設けることができる。
【0122】
また、本変形例では、第1の実施の形態の変形例と同様に、発光基板7は、フェースプレート6aのエミッタチップ103側に、嵌め込み部9と所定距離D離れて設けられている。
【0123】
また、本変形例でも、第1の実施の形態の変形例と同様に、所定距離Dは、より好ましくは、発光基板7が嵌め込み部9と所定距離D離れることによって、フェースプレート6aに表示される画像に発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるような距離にすればよい。これにより、モアレ縞が確実に発生せず良好な画像を表示することができる。
【0124】
本変形例でも、発光基板7と嵌め込み部9との間の点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止するために、所定距離Dは、ある程度大きくすることができる。また、製造コストを低減するために、所定距離Dを100μm以上にすることが好ましく、製造コストを低減しなくてもよいときは、所定距離Dを50μm以上100μm以下にすることもできる。
【0125】
また、本変形例では、所定距離Dが極めて大きいときは、図9及び図10を用いて説明したスペーサ部75(又は91)の高さが極めて大きくなる。そして、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込むためには、嵌め込み部9の深さを大きくしなくてはならず、そのような深い嵌め込み部9を形成するのは困難である。そこで、所定距離Dは1mm以下が好ましい。
【0126】
従って、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、50μm以上1mm以下であることが好ましい。また、製造コストを低減しつつ、点接触、近接、平坦性や平行度の変動による光の干渉を防止し、光が干渉したとしても発生するモアレ縞の間隔が肉眼で認識できないほど狭くなるようにするためには、所定距離Dは、100μm以上1mm以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0127】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例により限定されて解釈されるものではない。
(実施例1)
初めに、実施例1を行った。透明基板71として耐熱ガラス基板等を用い、透明基板71上に緑色又は青色発光するSrGa系の材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、第1の実施の形態において説明した陰極線管1を備えている表示装置10を作製した。
【0128】
透明基板71として、厚さ0.5mmのコーニング社製の耐熱ガラス基板(商品名コーニング1730)又は日本電気硝子株式会社製のガラス基板(商品名OA−10GF)を用いた。この透明基板71上に、多元真空蒸着法により、緑色発光するSrGa:Euよりなる蛍光薄膜、又は青色発光するSrGa:Ceよりなる蛍光薄膜を形成した。基板温度を400〜600℃とし、蒸発原料をSr金属、Ga化合物、EuS化合物又はCeCl化合物とし、それぞれの蒸発原料の蒸発量を制御しながら厚さ約1μmの蛍光薄膜を形成した。蛍光薄膜が形成されている透明基板71上に、真空蒸着法により、厚さ100nm以下のアルミニウム薄膜よりなるメタルバック73を形成した。これにより、透明基板71上に蛍光薄膜及びメタルバック73が順次積層されている発光基板7を作製した。
【0129】
このようにして作製した発光基板7を、図1から図2(b)の構造になるように、すなわち蛍光薄膜が形成されている面と反対面がフェースプレート6と対向するように、ステンレス製の取付部材8により、青板ガラスよりなるフェースプレート6に取り付けた。具体的には、取付部材8の保持部81が発光基板7の周縁部を保持している状態で、取付部材8を市販の導電性ペーストよりなる導電性接着剤によりフェースプレート6に接着することによって、発光基板7をフェースプレート6に取り付けた。
【0130】
次に、第1の実施の形態で説明した陰極線管1の製造方法により、ファンネル部21にフリットガラスを介してフェースプレート6を封着した。その後、メタル製ゲッターにより不純物ガスを除去することによって、陰極線管1内の真空度を向上させることによって、陰極線管1を備えている表示装置10を製造した。
【0131】
このようにして製造した表示装置10に備えられている陰極線管1の陽極61に、5kVから10kVの電圧を印加することによって、フェースプレート6に解像度テスト用のパターンを表示させた。その結果、発光基板7にSrGa:Euよりなる蛍光薄膜が形成されている陰極線管1では、Eu2+イオンによる緑色のハイビジョン表示を良好に行うことができた。また、発光基板7にSrGa:Ceよりなる蛍光薄膜が形成されている陰極線管1では、Ce3+イオンによる青色のハイビジョン表示を良好に行うことができた。
(実施例2)
次に、実施例2を行った。透明基板71として耐熱ガラス基板等を用い、透明基板71上に黄色発光する材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、第1の実施の形態において説明した陰極線管1を備えている表示装置10を作製した。
【0132】
透明基板71として、厚さ0.5mmのコーニング社製の耐熱ガラス基板(商品名コーニング1730)又は日本電気硝子株式会社製のガラス基板(商品名OA−10GF)を用いた。この透明基板71上に、真空蒸着法により、黄色発光するZnS:Mnよりなる蛍光薄膜を形成した。基板温度を120℃とし、蒸発原料をZnS化合物とMn金属とし、厚さ約0.5μmの蛍光薄膜を形成した。その後、引き続き真空中で、基板温度を400〜500℃とし、蛍光薄膜を結晶化するとともに、Mnイオンを活性化して発光中心を形成することによって、発光基板7を作製した。
【0133】
このようにして作製した発光基板7を、実施例1と同様の方法により、蛍光薄膜が形成されている面と反対面がフェースプレート6と対向するように、フェースプレート6に取り付けた。その後、発光基板7がフェースプレート6に取り付けられている状態で、蛍光薄膜が形成されている面に、真空蒸着法により、厚さ100nm以下のアルミニウム薄膜よりなるメタルバック73を形成した。
【0134】
以後、実施例1と同様の方法により、陰極線管1を備えている表示装置10を製造し、フェースプレート6に解像度テスト用のパターンを表示させた。その結果、黄色の表示色でハイビジョン表示を良好に行うことができた。
(実施例3)
次に、実施例3を行った。透明基板71として石英ガラスを用い、透明基板71上に緑色発光する材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、第1の実施の形態において説明した陰極線管1を備えている表示装置10を作製した。
【0135】
透明基板71として、厚さ1mmの石英ガラスを用いた。この透明基板71上に、電子ビーム真空蒸着により、緑色発光するY:Tbよりなる蛍光薄膜を形成した。基板温度を100〜500℃とし、厚さ約500nmの蛍光薄膜を形成した。また、基板温度を100℃程度としたときは、蛍光薄膜を成膜した後、大気中あるいは窒素中で最高1000℃程度まで昇温して熱処理を行い、成膜した蛍光薄膜を結晶化させた。
【0136】
以後、実施例1と同様の方法により、陰極線管1を備えている表示装置10を製造し、フェースプレート6に解像度テスト用のパターンを表示させた。その結果、Tb3+イオンによる緑色の表示色でハイビジョン表示を良好に行うことができた。
(実施例4)
次に、実施例4を行った。透明基板71として耐熱ガラス基板等を用い、透明基板71上に黄色発光する材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、第1の実施の形態の変形例において説明した陰極線管1aを備えている表示装置10aを作製した。
【0137】
初めに、実施例1と同一の透明基板71上に蛍光薄膜を形成してなる発光基板7を作製した。
【0138】
次に、作製した発光基板7を、図9の構造になるように、フェースプレート6aに形成されている嵌め込み部9に嵌め込むことによって、フェースプレート6aに取り付けた。具体的には、フッ酸を用いたエッチングを行うことによって、フェースプレート6aの表面に、深さ0.7mmの凹部よりなる嵌め込み部9を形成した。また、形成されている嵌め込み部9の4隅に、ガラスよりなる高さ0.5mmの微小なスペーサ部91を導電性ペーストよりなる導電性接着剤により接着することによって、嵌め込み部9にスペーサ部91を形成した。そして、発光基板7が嵌め込み部9に形成されているスペーサ部91と接するように、発光基板7を嵌め込み部9に嵌め込んだ。そして、発光基板7が嵌め込み部9に嵌め込まれている状態で、導電性ペーストよりなる導電性接着剤92により発光基板7の4つの角部を嵌め込み部9に接着することによって、発光基板7を嵌め込み部9に取り付けた。そして、実施例1から実施例3と同じ方法により、アルミニウム薄膜よりなるメタルバック73を形成した。
【0139】
以後、実施例1と同様の方法により、陰極線管1aを備えている表示装置10aを製造し、フェースプレート6aに解像度テスト用のパターンを表示させた。その結果、実施例1と同様に、緑色又は青色の表示色でハイビジョン表示を良好に行うことができた。
(比較例1)
次に、比較例1として、発光基板に代え、フェースプレート上に、実施例1と同様に緑色発光する材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、陰極線管を備えている表示装置を作製した。
【0140】
しかし、本比較例では、蛍光薄膜を形成する際の基板温度を約400℃までしか上昇させることができないため、結晶性のよいSrGa系の蛍光薄膜を形成することができなかった。前述した約400℃の基板温度は十分高い基板温度ではないため、フェースプレート上で蒸発原料が化学反応せず、又は結晶成長せず、形成された蛍光薄膜は、黒く着色していた。
【0141】
このような蛍光薄膜が形成されているフェースプレートを有する陰極線管を備えている表示装置を作製し、フェースプレートに解像度テスト用のパターンを表示させた。しかし、フェースプレートは熱変形しており、フェースプレートにおける緑色の発光は不均一で暗く、表示されている画像も歪んでいるため、緑色の表示色でハイビジョン表示を良好に行うことはできなかった。
(実施例5)
次に、実施例5を行った。透明基板71として耐熱ガラス基板等を用い、透明基板71上に黄色発光する材料よりなる蛍光薄膜を形成することによって、第2の実施の形態において説明した電子放出ディスプレイ101を備えている表示装置110を作製した。
【0142】
基板122は、図11を用いて第2の実施の形態で説明したスピント型の構造を有するものであった。エミッタチップ103にモリブデンを用い、第2の実施の形態で説明したスピント型のエミッタ形成法により形成した。基板122のサイズは対角2インチ、画素数は120×120、陽極電圧は10kV以下であった。
【0143】
また、実施例1と同様に、透明基板71上に緑色発光するSrGa:Euよりなる蛍光薄膜を形成してなる発光基板7を作製した。そして、実施例1と同様に、取付部材8により発光基板7をフェースプレート6に取り付けた。
【0144】
そして、基板122と、発光基板7が取り付けられているフェースプレート6とを、厚さ5mmのガラスよりなるスペーサ部121を介して真空引きしながらフリットガラスによって加熱融着することによって、電子放出ディスプレイ101を備えている表示装置110を製造した。
【0145】
このようにして製造した表示装置110に備えられている電子放出ディスプレイ101の陽極61に、5kVから10kVの電圧を印加することによって、フェースプレート6に解像度テスト用のパターンの一部を表示させた。その結果、エミッタチップ103の特性に起因する輝度の変動はあったが、エミッタチップ103により電子が照射された発光基板7の輝点分布を高解像度で表示することができた。
【0146】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 陰極線管
2 外囲器
3 電子銃
4 電子レンズ
5 偏向ヨーク
6 フェースプレート
7 発光基板
8 取付部材
10 表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するためのパネル部と電子を照射する照射部とを有して前記パネル部に画像を表示する表示装置であって、
前記パネル部の前記照射部側に前記パネル部と所定距離離れて設けられ、前記照射部により電子が照射されることによって発光する蛍光体層を含む発光基板、を有する表示装置。
【請求項2】
前記所定距離は50μm以上1mm以下である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記蛍光体層は蛍光薄膜または蛍光体粉末が塗布されたものである、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光基板は、前記パネル部に固定されている取付部材により取り付けられており、
前記取付部材は、前記発光基板の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が保持している前記発光基板を前記パネル部と前記所定距離離すためのスペーサ部を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光基板は、前記パネル部に形成されている嵌め込み部に嵌め込まれており、
前記嵌め込み部または前記発光基板は、前記発光基板を前記嵌め込み部と前記所定距離離して嵌め込むためのスペーサ部が設けられており、
前記発光基板は、前記スペーサ部を介して前記嵌め込み部と接するように嵌め込まれている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記パネル部はフェースプレートであり、
前記照射部は電子銃または冷陰極電子源アレイである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−238528(P2011−238528A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110514(P2010−110514)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】