説明

表示装置

【課題】正確に焼き付きを防止することの可能な表示装置を提供する。
【解決手段】画素P0に所定の大きさの定電流が流され、画素P1〜画素Pnに互いに異なる大きさの定電流が流され、その定電流の大きさに応じた輝度で画素P0〜画素Pnが発光する。画素P0〜画素Pnの間に所定の数ずつ配置された各受光素子17Bにおいて、隣接する2つの画素Pi-1,Piの発光光が検知され、隣接する2つの画素Pi-1,Piの受光信号17A(電圧Vsi-1’,Vsi)が出力される。隣接する2つの画素Pi-1,Piの輝度比αiが、その2つの画素Pi-1,Piの間に配置された受光素子17Bから出力された受光信号17A(電圧Vsi-1’,Vsi)を利用して導出されたのち、輝度比α1、α2、……、αiを利用して画素P1〜画素Pnの輝度情報が補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに発光素子が設けられた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL(electro luminescence)素子を用いた表示装置が開発され、商品化が進められている。有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)では、光源(バックライト)が必要ないので、光源を必要とする液晶表示装置と比べて、薄型化、高輝度化することができる。特に、駆動方式としてアクティブマトリクス方式を用いた場合には、各画素をホールド点灯させることができ、低消費電力化することもできる。そのため、有機EL表示装置は、次世代のフラットパネルディスプレイの主流になると期待されている。
【0003】
しかし、有機EL素子では、通電する電流量に応じて素子が劣化し、輝度が低下するという問題がある。そのため、有機EL素子を表示装置の画素として用いた場合には、画素ごとに劣化の状況が異なることがある。例えば、時刻や表示チャンネルなどの情報が長時間、同じ場所に高輝度で表示されていた場合には、その部分の画素だけ劣化が早まる。その結果、劣化の早まった画素を含む部分に高輝度の映像が表示された場合には、劣化の早まった画素の部分だけが暗く表示される焼き付きという現象が生じてしまう。この焼き付きは非可逆性であることから、一旦、焼き付きが生じると、焼き付きが消えることはない。
【0004】
焼き付きを防止する手法は、今までに多数提案されている。例えば、特許文献1では、表示領域外にダミー画素を設け、ダミー画素を発光させたときの端子電圧を検出することによりダミー画素の劣化度合いを見積もり、その見積もりを利用して映像信号を補正する方法が開示されている。また、例えば、特許文献2,3では、各表示画素内に光センサを配置し、光センサから出力される受光信号を利用して映像信号を補正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−351403号公報
【特許文献2】特開2008−58446号公報
【特許文献3】国際公開番号WO2006/046196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の手法では、表示領域内の画素の発光情報に基づいて画素の劣化度合いが見積もられておらず、映像信号を正確に補正することが不可能であることから、焼き付きを防止することはできないという問題があった。また、特許文献2,3の手法では、各画素内の光センサの光電変換効率がばらつくので、例えば、同一輝度を表示している2つの画素において、受光信号の大きさが異なってしまうことがある。その結果、正確に焼き付きを防止することができないという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、正確に焼き付きを防止することの可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による表示装置は、複数の表示画素が2次元配置された表示領域と、複数のダミー画素が配置された非表示領域とを有する表示パネルを備えたものである。この表示装置は、また、複数のダミー画素のうちの一の画素である基準画素に所定の大きさの定電流を流すと共に、複数のダミー画素のうち基準画素を除く全ての画素である複数の非基準画素に互いに異なる大きさの定電流を流して各ダミー画素を発光させる第1駆動部を備えている。この表示装置は、さらに、各ダミー画素の間に所定の数ずつ配置されると共に、隣接する2つのダミー画素の発光光を検知して、隣接する2つのダミー画素の輝度情報を出力する複数の受光素子と、受光素子の出力を用いて所定の演算を行う演算部とを備えている。ここで、演算部は、第1演算部、第2演算部、第3演算部、および第4演算部を有している。第1演算部は、隣接する2つのダミー画素の輝度比を、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報を利用して導出したのち、輝度比を利用して各ダミー画素の輝度情報を補正するようになっている。第2演算部は、第1演算部で補正された後の基準画素の第1輝度情報から基準画素の第1輝度劣化情報を導出すると共に、第1演算部で補正された後の非基準画素の第2輝度情報から各非基準画素の第2輝度劣化情報を導出するようになっている。第3演算部は、第1輝度劣化情報および第2輝度劣化情報から、第1輝度情報に対する第2輝度情報のべき係数を導出するようになっている。第4演算部は、第1輝度情報から基準画素の輝度の経時変化を表す第1輝度劣化関数を導出すると共に、第1輝度劣化関数およびべき係数から、非基準画素の輝度の経時変化を表す第2輝度劣化関数を導出するようになっている。
【0009】
本発明による表示装置では、表示パネルの非表示領域に設けられた複数のダミー画素のうちの一の画素である基準画素に所定の大きさの定電流が流され、複数のダミー画素のうち基準画素を除く全ての画素である複数の非基準画素に互いに異なる大きさの定電流が流される。これにより、その定電流の大きさに応じた輝度で各ダミー画素が発光し、各ダミー画素の間に所定の数ずつ配置された各受光素子において、隣接する2つのダミー画素の発光光が検知され、隣接する2つのダミー画素の輝度情報が出力される。その後、隣接する2つのダミー画素の輝度比が、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報を利用して導出されたのち、輝度比を利用して各ダミー画素の輝度情報が補正される。これにより、各ダミー画素の輝度情報から、各受光素子の光電変換効率のばらつきが取り除かれる。補正された後の基準画素の第1輝度情報から基準画素の第1輝度劣化情報が導出されると共に、補正された後の非基準画素の第2輝度情報から各非基準画素の第2輝度劣化情報が導出される。第1輝度劣化情報および第2輝度劣化情報から、第1輝度情報に対する第2輝度情報のべき係数が導出される。さらに、第1輝度情報から第1輝度劣化関数が導出されると共に、第1輝度劣化関数およびべき係数から第2輝度劣化関数が導出される。これにより、例えば、第1輝度劣化関数と、第1輝度劣化関数およびべき係数から得られた第2輝度劣化関数と、各表示画素の映像信号の履歴とを利用して、各表示画素の輝度劣化率を予測することができる。
【0010】
ここで、本発明による表示装置において、第1演算部は、全てのダミー画素を消灯した状態で、各受光素子から前記輝度情報としてオフセット情報を取得してもよい。このようにした場合には、第1演算部は、例えば、隣接する2つのダミー画素の輝度比を、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報と、オフセット情報とを利用して導出することが可能となる。また、本発明による表示装置において、複数のダミー画素は、直線上に配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明による表示装置において、第4演算部は、第1輝度情報のうち最新の輝度情報と、第1輝度情報のうち最新ではない輝度情報とに合うように、第1輝度劣化関数のパラメータを更新してもよい。さらに、第4演算部は、第1輝度劣化関数のパラメータが更新された後の第1輝度劣化関数、およびべき係数から、第2輝度劣化関数のパラメータを更新してもよい。
【0012】
また、本発明による表示装置において、第2演算部は、第1輝度劣化情報および第2輝度劣化情報を、例えば、以下の2つの方法のうちいずれか一方を用いることによって導出してもよい。
【0013】
(1つ目の方法)
1つ目の方法において、第1輝度劣化情報は、第1輝度情報のうち最新の輝度情報の対数をとることにより得られた値と、第1輝度情報のうち最新ではない輝度情報の対数をとることにより得られた値との差分をとることにより導出される。また、第2輝度劣化情報は、第2輝度情報のうち最新の輝度情報の対数をとることにより得られた値と、第2輝度情報のうち最新ではない輝度情報の対数をとることにより得られた値との差分をとることにより導出される。
【0014】
(2つ目の方法)
2つ目の方法において、第1輝度劣化情報は、第1輝度情報のうち最新の輝度情報と、第1輝度情報のうち最新ではない輝度情報との差分をとることにより導出される。また、第2輝度劣化情報は、第2輝度情報のうち最新の輝度情報と、第2輝度情報のうち最新ではない輝度情報との差分をとることにより導出される。
【0015】
また、本発明による表示装置において、第3演算部は、べき係数を、例えば、上述の方法を用いて導出した第2輝度劣化情報を、上述の方法を用いて導出した第1輝度劣化情報で除算することにより導出してもよい。また、本発明による表示装置において、第2演算部は、第1輝度劣化情報および第2輝度劣化情報を導出する周期(サンプリング周期)を、複数のダミー画素の発光累積時間に応じて変化させてもよい。
【0016】
また、本発明による表示装置において、複数の第1ダミー画素のうち低輝度で発光させる複数の低輝度画素が、それぞれ、複数の第2ダミー画素によって構成されていてもよい。そのようにした場合であって、複数の低輝度画素に基準画素が含まれるときには、第2演算部は、基準画素に含まれる複数の第2ダミー画素の輝度情報の平均値から第1輝度劣化情報を導出することが可能である。また、複数の低輝度画素に非基準画素が含まれるときには、第2演算部は、低輝度画素であって、かつ非基準画素である画素に含まれる複数の第2ダミー画素の輝度情報の平均値から第2輝度劣化情報を導出することが可能である。
【0017】
また、本発明による表示装置において、基準画素の輝度が所定の値以下となった場合には、第2演算部は、複数の非基準画素のうちの一の画素を新たな基準画素に設定してもよい。そのようにした場合には、第2演算部は、その新たな基準画素の輝度情報から第1輝度劣化情報を導出すると共に、複数の非基準画素のうち新たに基準画素として設定された画素を除く全ての画素の第2輝度情報から各非基準画素の第2輝度劣化情報を導出することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明による表示装置によれば、各ダミー画素の輝度情報から、各受光素子の光電変換効率のばらつきを取り除くようにした。これにより、高い精度で各表示画素の輝度劣化を予測することができる。また、例えば、第1輝度劣化関数と、第1輝度劣化関数およびべき係数から得られた第2輝度劣化関数と、各表示画素の映像信号の履歴とを利用して、各表示画素の輝度劣化率を予測することができるようにした。これにより、高い精度で各表示画素の輝度劣化を予測することができるので、正確に焼き付きを防止することができる。
【0019】
また、本発明による表示装置において、隣接する2つのダミー画素の輝度比を、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報と、オフセット情報とを利用して導出した場合には、各受光素子の出力からオフセットを取り除くことができる。その結果、正確に焼き付きを防止することができる。
【0020】
また、本発明による表示装置において、第1輝度情報のうち最新の輝度情報と、第1輝度情報のうち最新ではない輝度情報とに合うように、第1輝度劣化関数のパラメータを更新すると共に、第1輝度劣化関数のパラメータが更新された後の第1輝度劣化関数、第2輝度情報、およびべき係数から、第2輝度劣化関数のパラメータを更新するようにした場合には、観測時点のデータで、各表示画素の輝度劣化率を予測することができる。これにより、更新に必要なメモリ量および計算量を小さく抑えることができる。
【0021】
また、本発明による表示装置において、サンプリング周期を複数のダミー画素の発光累積時間に応じて変化させるようにした場合には、例えば、発光累積時間が長時間に達し、輝度劣化があまり生じなくなったときに、サンプリング周期を長くすることができる。これにより、更新に必要な計算量を小さく抑えることができる。
【0022】
また、本発明による表示装置において、各低輝度画素を複数の第2ダミー画素によって構成し、複数の第2ダミー画素の輝度情報の平均値から第1輝度劣化情報または第2輝度劣化情報を導出するようにした場合には、低輝度の第1ダミー画素における測定誤差を小さくすることができる。これにより、高い精度で低輝度の表示画素の輝度劣化を予測することができるので、焼き付きをより一層、正確に防止することができる。
【0023】
また、本発明による表示装置において、基準画素の輝度が所定の値以下となった場合に、複数の非基準画素のうちの一の画素を新たな基準画素に設定し、第1輝度劣化情報および第2輝度劣化情報を導出するようにしたときには、基準画素に不具合が生じた場合でも、継続して、輝度劣化を予測することができる。これにより、輝度劣化の予測の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る表示装置の構成の一例を表す概略図である。
【図2】非表示領域の構成の一例を表す概略図である。
【図3】画素回路の構成の一例を表す概略図である。
【図4】図1の表示パネルの構成の一例を表す上面図である。
【図5】輝度劣化率の経時変化の一例を初期輝度ごとに表す特性図である。
【図6】輝度劣化率と、初期輝度YSのダミー画素の輝度劣化率との関係の一例を表す関係図である。
【図7】べき係数n(Yi,Ys)と、初期輝度の割合Yi/Ysとの関係の一例を表す関係図である。
【図8】時刻Tkでの輝度劣化率の予測値YS2と、時刻Tkでの輝度劣化率の測定値YS1との関係の一例を表す関係図である。
【図9】時刻Tk-1での輝度劣化関数Fs(t)と、時刻Tkでの輝度劣化関数Fs(t)との関係の一例を表す関係図である。
【図10】べき係数の算定方法の一例について説明するための概念図である。
【図11】時刻Tk-1でのべき係数n(Yi,Ys)と、時刻Tkでのべき係数n(Yi,Ys)との関係の一例を表す関係図である。
【図12】輝度劣化関数Fi(t)の算定方法の一例について説明するための概念図である。
【図13】累積発光時間Txyの導出方法の一例について説明するための概念図である。
【図14】補正量ΔSxyの導出方法の一例について説明するための概念図である。
【図15】従来の補正方法を説明するための概念図である。
【図16】加速係数αと、輝度劣化率との関係の一例を表す関係図である。
【図17】加速係数αと、輝度劣化率との関係の他の例を表す関係図である。
【図18】上記各実施の形態の発光装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図19】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図20】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図21】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図22】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(図1〜図17)
2.変形例(図なし)
・初期輝度Yiの低い各ダミー画素16を複数のダミー画素で構成した例
・基準画素に不具合が生じた場合に別のダミー画素16を新たな基準画素に設定 するようにした例
・サンプリング周期ΔTを可変にした例
・四則演算だけで、べき係数n(Yi,Ys)を導出するようにした例
3.適用例(図18〜図22)
【0026】
<実施の形態>
(表示装置1の概略構成)
図1は、本発明の一実施の形態に係る表示装置1の概略構成を表したものである。この表示装置1は、表示パネル10と、表示パネル10を駆動する駆動回路20とを備えている。
【0027】
表示パネル10は、複数の有機EL素子11R,11G,11Bが2次元配置された表示領域12を有している。本実施の形態では、互いに隣り合う3つの有機EL素子11R,11G,11Bが1つの画素(表示画素13)を構成している。なお、以下では、有機EL素子11R,11G,11Bの総称として有機EL素子11を適宜、用いるものとする。表示パネル10は、また、複数の有機EL素子14R,14G,14Bが2次元配置された非表示領域15を有している。本実施の形態では、互いに隣り合う3つの有機EL素子14R,14G,14Bが1つの画素(ダミー画素16)を構成している。なお、以下では、有機EL素子14R,14G,14Bの総称として有機EL素子14を適宜、用いるものとする。複数のダミー画素16は、例えば、図2に示したように、直線上に(一列に)配置されており、互いに隣り合う2つのダミー画素16の双方に1つずつ含まれる同色の有機EL素子14(例えば、有機EL素子14R)同士が互いに隣接して配置されている。
【0028】
非表示領域15には、さらに、有機EL素子14R,14G,14Bから発せられた光を受光する受光素子群17(受光部)が設けられている。受光素子群17は、2次元配置された複数の受光素子17Bからなる。複数の受光素子17Bは、例えば、図2に示したように、各ダミー画素16の間に所定の数ずつ配置されている。また、複数の受光素子17Bは、例えば、図2に示したように、互いに隣り合う2つのダミー画素16の双方に1つずつ含まれる同色の有機EL素子14(例えば、有機EL素子14R)の間に配置されている。これにより、各受光素子17Bは、隣接する2つのダミー画素16(各有機EL素子14)から発せられた光(発光光)を検知して、隣接する2つのダミー画素16の受光信号17A(輝度情報)を出力するようになっている。例えば、2次元配置された複数のダミー画素16のうち配列の一端に配置された1番目のダミー画素16(画素P0)と、画素P0に隣接する2番目のダミー画素16(画素P1)との間に、複数の受光素子17B(受光素子S1)が配置されている。同様に、例えば、画素P1と、画素P1に隣接する3番目のダミー画素16(画素P2)との間に、複数の受光素子17B(受光素子S2)が配置されている。つまり、2次元配置された複数のダミー画素16のうち画素P0側からi番目のダミー画素16(画素Pi1)と、2次元配置された複数のダミー画素16のうち画素P0側からi+1番目のダミー画素16(画素Pi)との間に、複数の受光素子17B(受光素子Si)が配置されている。
【0029】
各受光素子17Bは、例えば、フォトダイオードによって構成されている。従って、各受光素子17Bから出力される電圧Vsi(受光素子17B)は、Voi+Ei×Liで表される。ここで、Voはオフセット電圧であり、Eiは光電変換効率であり、Liは入力輝度である。オフセット電圧Voiは、全てのダミー画素16を消灯した状態のときに、各受光素子17Bから得られる電圧(受光素子17B)に等しい。
【0030】
駆動回路20は、タイミング生成回路21、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24、ダミー画素・受光素子群駆動回路25、受光信号処理回路26および記憶回路27を有している。
【0031】
(画素回路18)
図3は、表示領域12内の回路構成の一例を表したものである。表示領域12内には、複数の画素回路18が個々の有機EL素子11と対となって2次元配置されている。各画素回路18は、例えば、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタTr2および保持容量Csによって構成されたものであり、2Tr1Cの回路構成となっている。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により形成されている。駆動トランジスタTr1または書き込みトランジスタTr2は、pチャネルMOS型のTFTであってもよい。
【0032】
表示領域12において、列方向には信号線DTLが複数配置され、行方向には走査線WSLおよび電源線Vccがそれぞれ複数配置されている。各信号線DTLと各走査線WSLとの交差点近傍には、有機EL素子11R,11G,11Bのいずれか一つ(サブピクセル)が設けられている。各信号線DTLは、信号線駆動回路23の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のドレイン電極(図示せず)に接続されている。各走査線WSLは、走査線駆動回路24の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のゲート電極(図示せず)に接続されている。各電源線Vccは、電源の出力端(図示せず)と、駆動トランジスタTr1のドレイン電極(図示せず)に接続されている。書き込みトランジスタTr2のソース電極(図示せず)は、駆動トランジスタTr1のゲート電極(図示せず)と、保持容量Csの一端に接続されている。駆動トランジスタTr1のソース電極(図示せず)と保持容量Csの他端とが、有機EL素子11のアノード電極(図示せず)に接続されている。有機EL素子11のカソード電極(図示せず)は、例えば、グラウンド線GNDに接続されている。
【0033】
(表示パネル10の上面構成)
図4は、表示パネル10の上面構成の一例を表したものである。表示パネル10は、例えば、駆動パネル30と封止パネル40とが封止層(図示せず)を介して貼り合わされた構造となっている。
【0034】
駆動パネル30は、図4に示していないが、表示領域12に、2次元配置された複数の有機EL素子11と、各有機EL素子11に隣接して配置された複数の画素回路18とを有している。駆動パネル30は、また、図4に示していないが、非表示領域15に、2次元配置された複数の有機EL素子14と、各有機EL素子14に隣接して配置された複数の受光素子とを有している。
【0035】
駆動パネル30の一辺(長辺)には、例えば、図4に示したように、複数の映像信号供給TAB51と、制御信号供給TCP54と、受光信号出力TCP55とが取り付けられている。駆動パネル30の他の辺(短辺)には、例えば、走査信号供給TAB52が取り付けられている。また、駆動パネル30の一辺(長辺)であって、かつ映像信号供給TAB51とは異なる辺には、例えば、電源供給TCP53が取り付けられている。映像信号供給TAB51は、信号線駆動回路23の集積されたICをフィルム状の配線基板の開口に中空配線したものである。走査信号供給TAB52は、走査線駆動回路24の集積されたICをフィルム状の配線基板の開口に中空配線したものである。電源供給TCP53は、外部の電源と電源線Vccとを互いに電気的に接続する複数の配線がフィルム上に形成されたものである。制御信号供給TCP54は、外部のダミー画素・受光素子群駆動回路25と、ダミー画素16および受光素子群17とを互いに電気的に接続する複数の配線がフィルム上に形成されたものである。受光信号出力TCP55は、外部の受光信号処理回路26と、受光素子群17とを互いに電気的に接続する複数の配線がフィルム上に形成されたものである。なお、信号線駆動回路23および走査線駆動回路24は、TABに形成されていなくてもよく、例えば、駆動パネル30に形成されていてもよい。
【0036】
封止パネル40は、例えば、有機EL素子11,13を封止する封止基板(図示せず)と、カラーフィルタ(図示せず)とを有している。カラーフィルタは、例えば、封止基板の表面のうち有機EL素子11の光が通過する領域に設けられている。カラーフィルタは、例えば、有機EL素子11R,11G,11Bのそれぞれに対応して、赤色用のフィルタ、緑色用のフィルタおよび青色用のフィルタ(図示せず)を有している。封止パネル40は、例えば、さらに、光反射部(図示せず)を有している。光反射部は、有機EL素子14から発せられた光を反射して、受光素子群17に入射させるものであり、例えば、封止基板の表面のうち有機EL素子14の光が通過する領域に設けられている。
【0037】
(駆動回路20)
次に、駆動回路20内の各回路について、図1を参照して説明する。タイミング生成回路21は、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24、ダミー画素・受光素子群駆動回路25、および受光信号処理回路26が連動して動作するように制御するものである。
【0038】
タイミング生成回路21は、例えば、外部から入力された同期信号20Bに応じて(同期して)、上述した各回路に対して制御信号21Aを出力するようになっている。タイミング生成回路21は、例えば、映像信号処理回路22、ダミー画素・受光素子群駆動回路25、受光信号処理回路26および記憶回路27などと共に、例えば、表示パネル10とは別体の制御回路基板(図示せず)上に形成されている。
【0039】
映像信号処理回路22は、例えば、外部から入力された同期信号20Bに応じて(同期して)、外部から入力されたデジタルの映像信号20Aを補正すると共に、補正した後の映像信号をアナログに変換して信号線駆動回路23に出力するものである。本実施の形態では、映像信号処理回路22は、記憶回路27から読み出した補正情報26A(後述)を用いて映像信号20Aを補正するようになっている。映像信号処理回路22は、例えば、一水平期間ごとに、記憶回路27から、補正情報26Aとして1ライン分の各表示画素13の補正量ΔSxy(後述)を読み出し、読み出した補正量ΔSxyを用いて映像信号20Aを補正し、補正後の映像信号22Aを信号線駆動回路23に出力するようになっている。
【0040】
信号線駆動回路23は、映像信号処理回路22から入力されたアナログの映像信号22Aを、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)各信号線DTLに出力するものである。信号線駆動回路23は、例えば、図4に示したように、駆動パネル30の一辺(長辺)に取り付けられた映像信号供給TAB51に設けられている。走査線駆動回路24は、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数の走査線WSLの中から一の走査線WSLを順次選択するものである。走査線駆動回路24は、例えば、図4に示したように、駆動パネル30の他の辺(短辺)に取り付けられた走査信号供給TAB52に設けられている。
【0041】
受光信号処理回路26は、受光素子群17から入力された受光信号17Aに基づいて、補正情報26Aを導出し、導出した補正情報26Aを、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)記憶回路27に出力するようになっている。なお、補正情報26Aの導出方法については、後に詳述する。記憶回路27は、受光信号処理回路26から入力された補正情報26Aを格納するものである。記憶回路27は、格納した補正情報26Aを、映像信号処理回路22によって読み出すことができるようになっている。
【0042】
ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数のダミー画素16のうち画素P1〜画素Pnに互いに異なる大きさの定電流を流して画素P1〜画素Pnを発光させるものである。ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、ダミー画素16の数がn+1個である場合に、例えば、2次元配置された複数のダミー画素16のうち画素P0側から2番目のダミー画素16(画素P1)には初期輝度がY1となるような定電流を流し、3番目のダミー画素16には初期輝度がY2(>Y1)となるような定電流を流し、n+1番目のダミー画素16には初期輝度がYn(>Yn-1)となるような定電流を流すようになっている。つまり、ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、ダミー画素16の数がn+1個である場合に、i+1番目のダミー画素16には初期輝度がYi(>Yi-1)となるような定電流を流すようになっている。ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、例えば、画素P0〜画素Pnに電流を流した時間を計測するようになっている。
【0043】
さらに、ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数のダミー画素16のうち画素P0に所定の大きさの定電流を流して画素P0を発光させるものである。ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、画素P0を、基準画素として設定しており、後述の輝度劣化率の導出に際して基準となる輝度で画素P0を発光させるようになっている。なお、ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、画素P1〜画素Pnを、非基準画素(階調画素)として設定しており、後述の輝度劣化率の導出に際して階調ごとの輝度で画素P1〜画素Pnを発光させるようになっている。
【0044】
ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、例えば、後述の輝度比L1/L0を導出するときに、画素P0、画素P1に定電流を流し、後述の輝度比L2/L1を導出するときに、画素P1、画素P2に定電流を流すようになっている。つまり、ダミー画素・受光素子群駆動回路25は、後述の輝度比Li/Li-1を導出するときに、画素Pi-1、画素Piに定電流を流すと共に、画素P0〜画素Pi-2と、画素Pi+1〜画素Pnとには電流を流さないようになっている。
【0045】
なお、各ダミー画素16の輝度は、各ダミー画素16に定電流を流し続けた場合であっても、例えば、図5に示したように、時間の経過に伴って、徐々に低下する。これは、各ダミー画素16に含まれる有機EL素子14が通電時間(発光積算時間)に応じて劣化していく性質を有しており、その劣化の進行度に応じて発光輝度が低下するからである。なお、図5中のYsは、各ダミー画素16のうち基準画素として設定された画素P0の初期輝度である。
【0046】
また、各ダミー画素16の輝度劣化率の変移は一様ではない。例えば、図6に示したように、初期輝度Ysのダミー画素16(画素P0)の輝度劣化率を横軸にとると、画素P0の初期輝度Ysよりも小さな初期輝度のダミー画素16の輝度劣化率の変移は、当初は画素P0の輝度劣化よりも緩やかであることがわかる。一方、画素P0の初期輝度Ysよりも大きな初期輝度のダミー画素16の輝度劣化率の変移は、当初は画素P0の輝度劣化よりも急峻であることがわかる。図6に例示した各ダミー画素16の輝度劣化率の変移を式で表すと以下のようになる。
【数1】

【0047】
数1において、Diは、画素Piの輝度劣化率である。Dsは、画素P0の輝度劣化率である。n(Yi,Ys)は、画素P0の輝度に対する画素Piの輝度のべき係数である。べき係数n(Yi,Ys)は、例えば、以下の式に示したように、(Log(Yi(Tk))−Log(Yi(Tk-1)))を(Log(Ys(Tk))−Log(Ys(Tk-1)))で除算することにより導出される。
【数2】

【0048】
数2において、Log(Ys(Tk))はYs(Tk)の対数であり、Log(Ys(Tk-1))はYs(Tk-1)の対数であり、Log(Yi(Tk))はYi(Tk)の対数であり、Log(Yi(Tk-1))はYi(Tk-1)の対数である。なお、数2の右辺の分母(Log(Ys(Tk))−Log(Ys(Tk-1)))は、本発明の「第1輝度劣化情報」の一具体例に相当する。また、数2の右辺の分子(Log(Yi(Tk))−Log(Yi(Tk-1)))は、本発明の「第2輝度劣化情報」の一具体例に相当する。
【0049】
また、数2において、Ys(Tk)は、時刻Tkにおける画素P0の受光信号17A(輝度情報)であり、画素P0の輝度情報のうちで最新の輝度情報に相当する。また、Ys(Tk-1)は、時刻Tk-1(<時刻Tk)における画素P0の受光信号17A(輝度情報)であり、画素P0の輝度情報のうちで最新ではない輝度情報に相当する。Yi(Tk)は、時刻Tkにおける画素Piの受光信号17A(輝度情報)であり、画素Piの輝度情報のうちで最新の輝度情報に相当する。Yi(Tk-1)は、時刻Tk-1における画素Piの受光信号17A(輝度情報)であり、画素Piの輝度情報のうちで最新ではない輝度情報に相当する。時刻Tk-1と時刻Tkとの関係は、例えば、以下の式で表される。
【数3】

【0050】
数3において、ΔTはサンプリング周期である。ここで、サンプリング周期ΔTとは、例えば、受光信号処理回路26が数2の右辺の分母の値および分子の値を導出する周期を指している。受光信号処理回路26は、サンプリング周期ΔTを常に一定にしている。
【0051】
上記のようにして導出したべき係数n(Yi,Ys)は、例えば、図7に示したように、横軸を、画素P0の初期輝度Ysに対する各画素Piの初期輝度Yiの割合(Yi/Ys)とすると、時刻Tkにおいて、初期輝度Yiが大きくなるにつれて大きくなる右肩上がりの曲線を描く。なお、数2からも明らかなように、べき係数n(Yi,Ys)は、Ys/Ysにおいて1である。
【0052】
次に、図2、図8〜図14を参照して、映像信号20Aの補正に用いる補正情報26Aの導出方法について説明する。
【0053】
(初期設定)
まず、初期設定について説明する。受光信号処理回路26は、複数のダミー画素16のうちの配列の一端に配置された1番目のダミー画素16(画素P0)を基準画素として設定する。本実施の形態では、この基準画素は、他のダミー画素16(非基準画素)に変更されることはなく、常に、同一のダミー画素16に設定される。
【0054】
次に、受光信号処理回路26は、受光素子群17から受光信号17Aを取得する。具体的には、受光信号処理回路26は、まず、時刻TAにおいて、全てのダミー画素16を消灯灯した状態で、各受光素子17Bから受光信号17A(オフセット電圧Voi)を取得する。次に、受光信号処理回路26は、時刻TBにおいて画素P0を点灯した状態で、画素P0の受光信号17A(電圧Vs0)を受光素子S1から取得する。その後、受光信号処理回路26は、時刻TCにおいて画素P0を消灯すると共に画素P1を点灯した状態で、時刻TBのときと同じ受光素子S1から画素P1の受光信号17A(電圧Vs1)を取得する。次に、受光信号処理回路26は、時刻TDにおいて画素P1を点灯した状態で、画素P1の受光信号17A(電圧Vs1’)を時刻TCのときとは異なる受光素子S2から取得する。その後、受光信号処理回路26は、時刻TEにおいて画素P1を消灯すると共に画素P2を点灯した状態で、時刻TDのときと同じ受光素子S2から画素P2の受光信号17A(電圧Vs2)を取得する。同様にして、受光信号処理回路26は、画素Pi-1を点灯した状態で、画素Pi-1の受光信号17A(電圧Vsi-1’)を先の受光素子Si-1とは異なる受光素子Siから取得する。その後、受光信号処理回路26は、画素Pi-1を消灯すると共に画素Piを点灯した状態で、先の受光素子Siと同じ受光素子Siから画素Piの受光信号17A(電圧Vsi)を取得する。
【0055】
次に、受光信号処理回路26は、隣接する2つのダミー画素16の輝度比を、その2つのダミー画素16の間に配置された受光素子17Bから取得した受光信号17Aなどを利用して導出する。具体的には、受光信号処理回路26は、図2に示したように、受光素子S1のオフセット電圧Vo1と、受光素子S1から取得した画素P0の輝度情報(電圧Vs0)および画素P1の輝度情報(電圧Vs1)とを用いて、画素P0,P1の輝度比α1(=L1/Lo)を導出する。次に、受光信号処理回路26は、図2に示したように、受光素子S2のオフセット電圧Vo2と、受光素子S2から取得した画素P1の輝度情報(電圧Vs1’)および画素P1の輝度情報(電圧Vs2)とを用いて、画素P1,P2の輝度比α2(=L2/L1)を導出する。同様にして、受光信号処理回路26は、図2に示したように、受光素子Siのオフセット電圧Voiと、受光素子Siから取得した画素Pi-1の輝度情報(電圧Vsi-1’)および画素Piの輝度情報(電圧Vsi)とを用いて、画素Pi-1,Piの輝度比αi(=Li/Li-1)を導出する。
【0056】
次に、受光信号処理回路26は、初期輝度Ysの画素P0の輝度に対する初期輝度Yiの画素Pi(画素P1〜画素Pn)の輝度の劣化率(画素Piの輝度劣化率Li/Lo)を導出する。具体的には、受光信号処理回路26は、図2に示したように、先に導出した輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせることにより、画素Piの輝度劣化率Li/Loを導出する。
【0057】
なお、輝度比αiには、光電変換効率Eiが含まれていない。そのため、輝度比αiを用いて導出した輝度劣化率Li/Loについても、光電変換効率Eiが含まれていない。従って、光電変換効率Eiの、ダミー画素16ごとのばらつきの影響のない輝度劣化率Li/Loが得られる。
【0058】
ところで、本実施の形態では、入力輝度L0は、既知である。そのため、初期輝度Yiの画素Piの輝度に相当する入力輝度Liは、図2に示したように、輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせたものに、入力輝度L0を掛けることにより導出される。そこで、受光信号処理回路26は、輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせたものに、入力輝度L0を掛けることにより、初期輝度Yiの画素Pi(画素P1〜画素Pn)の、時刻T1の時点における輝度Yi(T1)と、初期輝度Yiの画素Pi(画素P1〜画素Pn)の、時刻T2(>時刻T1)の時点における輝度Yi(T2)とを導出する。さらに、受光信号処理回路26は、輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせたものに、入力輝度L0を掛けることにより、初期輝度Ysの画素P0の、時刻T1の時点における輝度Ys(T1)と、初期輝度Ysの画素P0の、時刻T2の時点における輝度Ys(T2)とを導出する。このようにして、本実施の形態では、受光信号処理回路26は、輝度比α1、α2、……、およびαiを利用して、各ダミー画素16の輝度情報を補正する。
【0059】
次に、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度情報(Ys(T1)、Ys(T2))から、画素P0の輝度劣化情報(Log(Ys(T2))−Log(Ys(T1)))を導出する。さらに、受光信号処理回路26は、画素Pi(画素P1〜画素Pn)の輝度情報(Yi(T1)、Yi(T2))から、画素Pi(画素P1〜画素Pn)の輝度劣化情報(Log(Yi(T2))−Log(Yi(T1)))を導出する。
【0060】
次に、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度劣化情報、および画素P1〜画素Pnの輝度劣化情報から、時刻T2の時点における、画素P0の輝度情報に対する画素P1〜画素Pnの輝度情報のべき係数n(Yi,Ys)を導出する。続いて、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度情報から、時刻T2の時点における、画素P0の輝度の経時変化を表す輝度劣化関数Fs(t)(第1輝度劣化関数)を導出する。さらに、受光信号処理回路26は、輝度劣化関数Fs(t)およびべき係数n(Yi,Ys)から、時刻T2の時点における、画素P1〜画素Pnの輝度の経時変化を表す輝度劣化関数Fi(t)(第2輝度劣化関数)を導出する。このようにして、受光信号処理回路26は、初期の輝度情報を用いて、時刻T2の時点における輝度劣化関数Fs(t),Fi(t)を導出する。
【0061】
(データの更新)
次に、データの更新について説明する。受光信号処理回路26は、時刻Tk-1,Tkにおいて、画素P0の輝度情報(Ys(Tk-1)、Ys(Tk))と、画素P1〜画素Pnの輝度情報(Yi(Tk-1)、Yi(Tk))を上記と同様にして導出する。このときの画素P0の輝度Ys(Tk)をYs1とする(図8参照)。次に、受光信号処理回路26は、時刻Tk-1の時点における輝度劣化関数Fs(t)から、時刻Tkにおける画素P0の輝度情報を予測する。このときの予測値をYs2とする(図8参照)。続いて、受光信号処理回路26は、測定値Ys1と予測値Ys2とを比較して、測定値Ys1と予測値Ys2とが互いに一致するか否かを判定する。その結果、例えば、測定値Ys1が予測値Ys2と一致する場合には、受光信号処理回路26は、時刻Tk-1の時点における輝度劣化関数Fs(t)を、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fs(t)とする。一方、受光信号処理回路26は、測定値Ys1と予測値Ys2とを比較して、例えば、測定値Ys1が予測値Ys2と異なる場合には、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度Ys(Tk)から、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fs(t)(第1輝度劣化関数)を導出する。
【0062】
次に、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度情報(Ys(Tk-1)、Ys(Tk))から、画素P0の輝度劣化情報(Log(Ys(Tk))−Log(Ys(Tk-1)))を導出する。さらに、受光信号処理回路26は、画素P1〜画素Pnの輝度情報(Yi(Tk-1)、Yi(Tk))から、画素P1〜画素Pnの輝度劣化情報(Log(Yi(Tk))−Log(Yi(Tk-1)))を導出する。次に、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度劣化情報、および画素P1〜画素Pnの輝度劣化情報から、時刻Tkの時点におけるべき係数n(Yi,Ys)を導出する。
【0063】
次に、受光信号処理回路26は、時刻Tk-1の時点における輝度劣化関数Fs(t)のパラメータ(例えば、p1,p2,……,pm)を、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fs(t)のパラメータ(例えば、p1’,p2’,……,pm’)に更新する(図9参照)。つまり、受光信号処理回路26は、画素P0の輝度情報のうち最新の輝度情報(Ys(Tk))と、画素P0の輝度情報のうち最新ではない輝度情報(Ys(Tk-1))とに合うように、輝度劣化関数Fs(t)のパラメータを更新する。受光信号処理回路26は、例えば、新たに求めた輝度劣化関数Fs(t)のパラメータを記憶回路27に格納する。
【0064】
次に、受光信号処理回路26は、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fs(t)(図10参照)と、べき係数n(Yi,Ys)(図11参照)とから、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fi(t)(第2輝度劣化関数)を導出する(図12参照)。具体的には、受光信号処理回路26は、以下の式を用いて、時刻Tkの時点における輝度劣化関数Fi(t)を導出する。
【数4】

【0065】
次に、受光信号処理回路26は、時刻Tk-1の時点における画素P1〜画素Pnの輝度劣化関数Fi(t)のパラメータを、時刻Tkの時点における画素P1〜画素Pnの輝度劣化関数Fi(t)のパラメータに更新する。受光信号処理回路26は、例えば、新たに求めた輝度劣化関数Fi(t)のパラメータを記憶回路27に格納する。
【0066】
(輝度劣化率の予測)
次に、受光信号処理回路26は、次のサンプリング期間が到来するまでの間、各表示画素13の輝度劣化率を予測する。具体的には、受光信号処理回路26は、輝度劣化関数Fs(t)、輝度劣化関数Fi(t)、および各表示画素13の映像信号20Aの履歴から、各表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txyを導出する。受光信号処理回路26は、各表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txyを、例えば、以下のようにして求める。
【0067】
図13は、各表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txyの導出過程を模式的に表したものである。例えば、図13に示したように、ある表示画素13の輝度が、時刻T=0〜t1の間、初期輝度Y1で発光し、時刻T=t1〜t2の間、初期輝度Y2で発光し、時刻T=t2〜t3の間、初期輝度Ynで発光したとする。このとき、この表示画素13の輝度は、厳密には、時刻T=0〜t1の間、初期輝度Y1の劣化曲線に沿って劣化し、時刻T=t1〜t2の間、初期輝度Y2の劣化曲線に沿って劣化し、時刻T=t2〜t3の間、初期輝度Ynの劣化曲線に沿って劣化する。その結果、この表示画素13の輝度は、例えば、図13に示したように48%まで劣化したとする。したがって、基準画素の輝度劣化曲線(Fs(t))において劣化率が48%となるときの時間を求めることにより、この表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txyを求めることができる。このように、各階調における輝度劣化曲線上を入力信号の大きさ(階調)に応じて追跡することにより、各表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txy、および各表示画素13の輝度劣化率を求めることができる。
【0068】
(補正量の導出)
次に、受光信号処理回路26は、求めた発光積算時間Txy(または、予測した各表示画素13の輝度劣化率)と、表示パネル10ガンマ特性とから映像信号に対する補正量を導出する。受光信号処理回路26は、映像信号に対する補正量を、例えば、以下のようにして求める。
【0069】
図14は、T=0,Txyにおける階調(映像信号20Aの値)と輝度との関係の一例を表したものである。T=0における階調−輝度特性は、いわゆるガンマ特性と呼ばれるものである。T=Txyにおける階調−輝度特性は、ガンマ特性に対して、全階調において、輝度を48%にまで減衰させたものである。ここで、ある表示画素13において、映像信号20Aの値がSxyであったとすると、この表示画素13の輝度は、初期には、図中の白丸に対応する値となっていたことがわかる。つまり、この表示画素13の輝度は、初期から発光積算時間Txyだけ経過したときに、初期の輝度から48%にまで減衰した値となっている、と予測することができる。
【0070】
そこで、受光信号処理回路26は、初期から発光積算時間Txyだけ経過したときの輝度が初期の輝度と等しくなるように、映像信号20A(Sxy)に加える補正量ΔSxyを導出する。最後に、受光信号処理回路26は、補正量ΔSxyを、補正情報26Aとして記憶回路27に格納する。
【0071】
(動作・効果)
次に、本実施の形態の表示装置1の動作および効果について説明する。表示装置1に対して映像信号20Aおよび同期信号20Bが入力される。すると、信号線駆動回路23および走査線駆動回路24によって各表示画素13が駆動され、各表示画素13の映像信号20Aに応じた映像が表示領域12に表示される。さらに、ダミー画素・受光素子群駆動回路25によって各ダミー画素16が順次、駆動されると同時に受光素子群17も駆動される。これにより、複数のダミー画素16のうち画素P1〜画素Pnに、互いに異なる大きさの定電流が流され、その定電流の大きさに応じた輝度で画素P1〜画素Pnが発光する。さらに、複数のダミー画素16のうち画素P0に、所定の大きさの定電流が流され、その定電流の大きさに応じた輝度で画素P0が発光する。その結果、各ダミー画素16の発光光が受光素子群17で検知されるので、受光素子群17から、各ダミー画素16の発光光に対応する受光信号17Aが出力される。次に、受光信号処理回路26によって、以下の処理が行われる。すなわち、まず、受光信号17Aから、輝度比α1、α2、……、およびαiが導出される。次に、輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせたものに、入力輝度L0を掛けることにより、初期輝度Yiの画素Pi(画素P1〜画素Pn)の、時刻Tk-1の時点における輝度Yi(Tk-1)と、初期輝度Yiの画素Pi(画素P1〜画素Pn)の、時刻Tk(>時刻T1)の時点における輝度Yi(Tk)とが導出される。さらに、輝度比α1、α2、……、およびαiを互いに掛け合わせたものに、入力輝度L0を掛けることにより、初期輝度Ysの画素P0の、時刻Tk-1の時点における輝度Ys(Tk-1)と、初期輝度Ysの画素P0の、時刻Tkの時点における輝度Ys(Tk)とが導出される。画素P0の輝度劣化情報(Log(Ys(Tk))−Log(Ys(Tk-1)))、および画素P1〜画素Pnの輝度劣化情報(Log(Yi(Tk))−Log(Yi(Tk-1)))から、時刻Tkの時点におけるべき係数n(Yi,Ys)が導出される。次に、画素P0の輝度情報(Ys(Tk-1)、Ys(Tk))から画素P0の輝度劣化関数Fs(t)が導出されると共に、輝度劣化関数Fs(t)およびべき係数n(Yi,Ys)から画素P1〜画素Pnの輝度劣化関数Fi(t)が導出される。次に、輝度劣化関数Fs(t)と、輝度劣化関数Fi(t)と、各表示画素13の映像信号20Aの履歴とを利用して、各表示画素13の、基準輝度における発光積算時間Txyおよび各表示画素13の輝度劣化率が予測される。次に、初期から発光積算時間Txyだけ経過したときの輝度が初期の輝度と等しくなるように、各表示画素13の映像信号20A(Sxy)に対して補正量ΔSxyが加えられる。これにより、各表示画素13の輝度が初期の輝度となる。
【0072】
このように、本実施の形態では、輝度劣化関数Fs(t)と、輝度劣化関数Fs(t)およびべき係数n(Yi,Ys)から得られた輝度劣化関数Fi(t)と、各表示画素13の映像信号20Aの履歴とを利用して、各表示画素13の輝度劣化率が予測される。これにより、高い精度で各表示画素13の輝度劣化を予測することができるので、各表示画素13の輝度が初期の輝度となるように、各表示画素13の映像信号20A(Sxy)に対して的確な補正量ΔSxyを加えることができる。その結果、正確に焼き付きを防止することができる。
【0073】
ところで、各表示画素13の輝度劣化率を予測する手法の1つとして、例えば、加速係数αを用いる方法がある。この方法では、まず、例えば、図15の破線に示したように、初期輝度Yiのダミー画素16の輝度劣化率が初期輝度Ysのダミー画素16の輝度劣化率と同一となるときの時間Tを求めておく。次に、例えば、図16に示したように、横軸をLog(Yi/Ys)とし、縦軸をLog(T)として、時間Tをプロットすると共に、輝度劣化率の大きさごとにプロットを直線で結んだのち、その直線の傾きを輝度劣化率の大きさごとに求める。この傾きが、上記の加速係数αとなる。続いて、例えば、図17に示したように、横軸を輝度劣化率Dとし、縦軸を加速係数αとして、加速係数αをプロットする。そして、この手法では、このプロットから、各表示画素13の輝度劣化率を予測する。具体的には、以下の式を用いて、各表示画素13の輝度劣化率を予測する。
【数5】

【0074】
数5において、T(Dx,Yi)は、初期輝度Yiのダミー画素16が輝度劣化率Dxに到達するまでの時間(到達時間)である。T(Dx,Ys)は、初期輝度Ysのダミー画素16が輝度劣化率Dxに到達するまでの時間(到達時間)である。α(Dx)は、輝度劣化率Dxにおける加速係数αである。
【0075】
しかし、上記の手法では、以下の問題がある。例えば、図15に示したように、ある時刻Txまでは、初期輝度Yiのダミー画素16の輝度劣化率が求められているとする。このとき、初期輝度Y1のダミー画素16の輝度劣化率が80%であるとする。初期輝度Y1を除く他の初期輝度Yiのダミー画素16の輝度劣化率は、時刻Txにおいて、通常、80%よりも小さくなる。例えば、初期輝度Ysのダミー画素16の輝度劣化率は、時刻Txにおいて、65%となっており、初期輝度Ynのダミー画素16の輝度劣化率は、時刻Txにおいて、35%となっている。加速係数αは、ある劣化率に到達するのに要する時間を、初期輝度Y1〜Ynの全てのダミー画素16において求めることにより導き出される。そのため、時刻Txまでに得られた各ダミー画素16の輝度劣化率のデータでは、輝度劣化率が100%〜85%までの加速係数αしか求めることができない。その結果、輝度劣化率が85%未満のときの加速係数αについては予測するしかないので、例えば、図17に示したように、加速係数αと輝度劣化率との関係が曲線Aとなるのか、または曲線Bとなるのかは分からない場合が生じる。従って、加速係数αを用いる方法では、初期輝度Y1のダミー画素16の輝度劣化の進行具合によって、各表示画素13の輝度劣化率の予測精度が変わってしまう。もちろん、初期輝度Y1のダミー画素16の輝度劣化が進行すると、加速係数αと輝度劣化率との関係が明らかとなる。しかし、初期輝度Y1のダミー画素16の輝度劣化は、たいてい、非常に緩やかであるので、予測に必要な加速係数αと輝度劣化率との関係を得るためには、非常に長い期間の観測を必要となる。従って、加速係数αを用いる方法は、現実的ではない。
【0076】
一方、本実施の形態では、観測時点のデータ(Ys(Tk)、Ys(Tk-1))で、各表示画素13の輝度劣化率を予測することができる。これにより、長時間観測をすることなく、高い精度で各表示画素の輝度劣化を予測することができる。従って、本実施の形態の予測方法は、極めて現実的である。また、本実施の形態では、観測時点のデータ(Ys(Tk)、Ys(Tk-1))で、各表示画素13の輝度劣化率を予測することができることから、更新に必要なメモリ量および計算量を小さく抑えることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、受光信号17Aから、画素P1〜画素Pnの輝度(例えばYi(Tk))および画素P0の輝度(例えばYs(Tk))を導出するにあたって、各受光素子17Bの光電変換効率Eiのばらつきが取り除かれている。これにより、高い精度で各表示画素13の輝度劣化を予測することができるので、各表示画素13の輝度が初期の輝度となるように、各表示画素13の映像信号20A(Sxy)に対して的確な補正量ΔSxyを加えることができる。その結果、正確に焼き付きを防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、隣接する2つのダミー画素16の輝度比α1、α2、……、およびαiが、その2つのダミー画素16の間に配置された受光素子17Bから出力された受光信号17Aと、オフセット電圧Voとを利用して導出される。これにより、各受光素子17Bの受光信号17Aからオフセットを取り除くことができる。その結果、正確に焼き付きを防止することができる。
【0079】
<変形例>
上記実施の形態では、初期輝度Y1〜Ynの全てのダミー画素16が、有機EL素子14R,14G,14Bを一組とする単一の画素によって構成されていたが、初期輝度Yiの低い各ダミー画素16(低輝度画素)が複数のダミー画素(第2ダミー画素)(図示せず)によって構成されていてもよい。このようにした場合には、受光信号処理回路26は、複数の第2ダミー画素の輝度の平均値から、数2の右辺の分母または分子を導出することが可能である。これにより、低輝度のダミー画素16における測定誤差を小さくすることができるので、高い精度で低輝度の表示画素13の輝度劣化を予測することができる。その結果、焼き付きをより一層、正確に防止することができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、常に特定のダミー画素16が基準画素となっていたが、必要に応じて、今まで非基準画素であったダミー画素16が基準画素となってもよい。例えば、受光信号処理回路26は、基準画素の輝度が所定の値以下となったことを検知したときには、今まで基準画素として設定していたダミー画素16を除外すると共に複数の非基準画素のうちの一の画素を新たな基準画素に設定する。その後は、受光信号処理回路26は、今までと同様にして、数2の右辺の分母および分子を導出する。このようにした場合には、基準画素に不具合が生じた場合でも、継続して、輝度劣化を予測することができる。これにより、輝度劣化の予測の信頼性を高めることができる。
【0081】
また、上記実施の形態では、サンプリング周期ΔTが常に一定となっていたが、可変であってもよい。例えば、受光信号処理回路26が、サンプリング周期ΔTを複数のダミー画素16の発光累積時間に応じて変化させてもよい。そのようにした場合には、例えば、発光累積時間Txyが長時間に達し、輝度劣化があまり生じなくなったときに、サンプリング周期ΔTを長くすることができる。これにより、更新に必要な計算量を小さく抑えることができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、数2を用いて、べき係数n(Yi,Ys)は導出されていたが、例えば、以下の式を用いて、べき係数n(Yi,Ys)が導出されてもよい。
【数6】

【数7】

【0083】
数6において、右辺第2項の分母は、時刻Tkにおける基準画素の劣化速度である。右辺第2項の分子は、時刻Tkにおける非基準画素の劣化速度である。数7において、右辺第2項は、時刻Tkにおける基準画素の劣化速度を、時刻Tkにおける非基準画素の劣化速度で除算することにより得られたものである。
【0084】
数6または数7を用いて、べき係数n(Yi,Ys)を導出するようにした場合には、四則演算だけで、べき係数n(Yi,Ys)を導出することができ、数2を用いたときのような対数の計算が不要である。従って、本変形例では、数2を用いてべき係数n(Yi,Ys)を導出した場合よりも、計算量を小さく抑えることができる。
【0085】
<適用例>
以下、上記実施の形態およびその変形例で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0086】
(適用例1)
図18は、上記実施の形態等の表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態等の表示装置1により構成されている。
【0087】
(適用例2)
図19は、上記実施の形態等の表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態等の表示装置1により構成されている。
【0088】
(適用例3)
図20は、上記実施の形態等の表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態等の表示装置1により構成されている。
【0089】
(適用例4)
図21は、上記実施の形態等の表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態等の表示装置1により構成されている。
【0090】
(適用例5)
図22は、上記実施の形態等の表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等の表示装置1により構成されている。
【符号の説明】
【0091】
1…表示装置、10…表示パネル、11,11R,11G,11B,14,14R,14G,14B…有機EL素子、12…表示領域、13,P0,P1,P2,Pi-1,Pi,Pn…表示画素、15…非表示領域、16…ダミー画素、17…受光素子群、17A…受光信号、17B,S1,S2,Si-1,Si,Si+1,Sn…受光素子、18…画素回路、20…駆動回路、20A,22A…映像信号、20B…同期信号、21…タイミング生成回路、21A…制御信号、22…映像信号処理回路、23…信号線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…ダミー画素・受光素子群駆動回路、26…受光信号処理回路、26A…補正情報、27…記憶回路、30…駆動パネル、40…封止パネル、51…映像信号供給TAB、52…走査信号供給TAB、53…電源供給TCP、54…制御信号供給TCP、55…受光信号出力TCP、A,B…曲線、Cs…保持容量、D,Dx…輝度劣化率、DTL…信号線、Fi(t),Fs(t)…輝度劣化関数、GND…グラウンド線、n(Yi,Ys)…べき係数、L0,L1,L2,Li-1,Li,Ln-1,Yn…入力輝度、Sxy…映像信号、T1,T2,Tx,Tk,Tk-1…時刻、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…書き込みトランジスタ、Txy…発光積算時間、T(Dx,Yi),T(Dx,Ys)…到達時間、Vcc…電源線、V01,V02,V0i,V0n…オフセット電圧、VS0,VS1,VS1’,VS2,VSi-1,VSi-1’,VSi,VSn-1,VSn-1’,VSn…電圧、WSL…走査線、Ys1…測定値、Ys2…予測値、Y1,Y2,Yi,Ys,Yn…初期輝度、Yi(Tk),Yi(Tk-1),Ys(Tk),Ys(Tk-1)…輝度情報、α,α(Dx)…加速係数、α1,α2,αi,αn…輝度比、ΔSxy…補正量、ΔT…サンプリング周期。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素が2次元配置された表示領域と、複数のダミー画素が配置された非表示領域とを有する表示パネルと、
前記複数のダミー画素のうちの一の画素である基準画素に所定の大きさの定電流を流すと共に、前記複数のダミー画素のうち前記基準画素を除く全ての画素である複数の非基準画素に互いに異なる大きさの定電流を流して各ダミー画素を発光させる第1駆動部と、
各ダミー画素の間に所定の数ずつ配置されると共に、隣接する2つのダミー画素の発光光を検知して、隣接する2つのダミー画素の輝度情報を出力する複数の受光素子と、
隣接する2つのダミー画素の輝度比を、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報を利用して導出したのち、前記輝度比を利用して各ダミー画素の輝度情報を補正する第1演算部と、
前記第1演算部で補正された後の前記基準画素の第1輝度情報から前記基準画素の第1輝度劣化情報を導出すると共に、前記第1演算部で補正された後の前記非基準画素の第2輝度情報から各非基準画素の第2輝度劣化情報を導出する第2演算部と、
前記第1輝度劣化情報および前記第2輝度劣化情報から、前記第1輝度情報に対する前記第2輝度情報のべき係数を導出する第3演算部と、
前記第1輝度情報から前記基準画素の輝度の経時変化を表す第1輝度劣化関数を導出すると共に、前記第1輝度劣化関数および前記べき係数から、前記非基準画素の輝度の経時変化を表す第2輝度劣化関数を導出する第4演算部と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第1演算部は、全てのダミー画素を消灯した状態で、各受光素子から前記輝度情報としてオフセット情報を取得したのち、隣接する2つのダミー画素の輝度比を、その2つのダミー画素の間に配置された受光素子から出力された輝度情報と、前記オフセット情報とを利用して導出する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のダミー画素は、直線上に配置されている
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1輝度劣化関数、前記第2輝度劣化関数、および各表示画素の映像信号の履歴から、各表示画素の輝度劣化率を予測し、予測した各表示画素の輝度劣化率と、前記表示パネルのガンマ特性とから映像信号に対する補正量を導出する第5演算部と、
前記補正量を用いて前記映像信号を補正し、補正後の映像信号を前記複数の表示画素に出力する第2駆動部と
を備えた請求項1または請求項2に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−70018(P2011−70018A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221256(P2009−221256)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】