説明

表示装置

【課題】薄型化を図ることができ、しかも、静電容量タイプの操作スイッチを設けても検出精度の不均一化や誤検知、機能不全等を招くおそれの少ない表示装置を提供する。
【解決手段】画像情報を表示する表示パネル1と、この表示パネル1用の操作スイッチ2と、表示パネル1の少なくとも周縁部を支持する導電性の金属筐体3と、表示パネル1と金属筐体3とを包囲するフロントキャビネット6とを備え、操作スイッチ2を、フロントキャビネット6の外部からの指の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電センサシート10とし、この静電センサシート10を金属筐体3とフロントキャビネット6の内部との間に介在するとともに、静電センサシート10と金属筐体3とに、組立公差を吸収する弾性スペーサ20を挟持させる。変位を一切伴わない静電センサシート10を用いるので、金属筐体3とフロントキャビネット6間の隙間を小さくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型のテレビジョン装置、ディスプレイ装置、車載機器やノートパソコンの表示部等からなる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における表示装置は、例えばテレビジョン装置の場合には、図示しない画像情報を表示する表示パネルと、この表示パネル用の操作スイッチと、表示パネルの周縁部を支持する導電性の金属筐体と、表示パネルと金属筐体とを間隔をおいて包囲する中空枠形のフロントキャビネットとを備えて構成されている(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
操作スイッチは、例えば変位を伴う押しボタンタイプ等からなり、フロントキャビネットの正面下部等に必要数が並べて内蔵されている。また、金属筐体は、表示パネルの裏面に対向する対向基板を備え、この対向基板の周縁部に、表示パネルの周縁部を支持する導電性の支持部が装着されており、この支持部がフロントキャビネットの内部正面や内蔵された操作スイッチに隙間を介して対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−198182号公報
【特許文献2】特開2005−242952号公報
【特許文献3】特開2009−5751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の表示装置には、設置の自由度等を向上させる観点から軽量化と共に薄型化が要求されているが、この薄型化を実現するためには、フロントキャビネットを薄くしたり、金属筐体とフロントキャビネットとの間の隙間を小さくする必要がある。しかしながら、金属筐体とフロントキャビネットとの隙間を小さくすると、ストローク領域を確保できないので、押しボタンタイプの操作スイッチをフロントキャビネットの正面下部等に内蔵することができず、機能性の低下を招くという問題が生じる。
【0006】
係る問題を解消する手段としては、指の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電容量タイプの操作スイッチを選択し、この操作スイッチをフロントキャビネットの内部正面に対向状態で固定する方法があげられる。しかし、この方法を採用する場合には、スイッチのストローク領域を確保する必要がないものの、操作スイッチが導電性の金属筐体に過度に近接したり、表示装置の組立バラツキにより操作スイッチが金属筐体に接触するので、検出精度の不均一化や誤検知、機能不全を招くおそれが新たに生じることとなる。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、薄型化を図ることができ、しかも、静電容量タイプの操作スイッチを設けても検出精度の不均一化や誤検知、機能不全等を招くおそれの少ない表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、情報を表示する表示体と、この表示体用の操作スイッチと、表示体の少なくとも周縁部を支持する導電性の支持体と、表示体と支持体とを包囲する包囲体とを含んでなる装置であって、
操作スイッチを、包囲体の外部からの導体の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電センサシートとし、この静電センサシートを支持体と包囲体の内部との間に介在するとともに、静電センサシートと支持体とに、組立公差を吸収する弾性スペーサを挟み持たせたことを特徴としている。
【0009】
なお、静電センサシートには、弾性スペーサに密接する絶縁性の基材層と、この基材層に形成されて包囲体の外部から導体に接近される検出電極と、基材層に形成されて検出電極に接続される導電性の引き回しラインとを含むことができる。
また、静電センサシートには、包囲体に積層されて検出電極に対向する模様層を含むことができる。
【0010】
また、弾性スペーサを、絶縁性の弾性エラストマーにより形成して静電センサシートの基材層の少なくとも検出電極が形成された形成領域に対向させることができる。
また、弾性スペーサの弾性エラストマーには、静電センサシートの基材層や支持体に粘着する粘着テープを粘着することが可能である。
【0011】
さらに、情報を表示する表示パネルと、この表示パネル用の操作スイッチと、表示パネルの少なくとも周縁部を支持する導電性の筐体と、表示パネルと筐体とを包囲するキャビネットとを含んでなる装置であって、
操作スイッチを、キャビネットの外部からの導体の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電センサシートとし、この静電センサシートを筐体とキャビネットの内部との間に介在するとともに、静電センサシートと支持体とに、組立公差を吸収する弾性スペーサを挟み持たせても良い。
【0012】
ここで、特許請求の範囲における表示体には、少なくとも液晶パネルやプラズマディスプレイ等の表示パネルが含まれる。弾性スペーサは、静電センサシートの基材層の全対向面に対向しても良いし、基材層の少なくとも検出電極が形成された形成領域に対向しても良く、又単数複数を特に問うものではない。さらに、本発明に係る表示装置は、薄型化が要求されるテレビジョン装置、ディスプレイ装置、オーディオ機器、ラジオ受信機、エアコン等の家電製品、携帯電話、カーナビゲーション装置、ノートパソコン等に広く使用することができる。
【0013】
本発明によれば、表示装置の操作スイッチとして、変位を伴わない静電センサシートを用いるので、支持体と包囲体との間の隙間を小さくすることができ、表示装置の薄型化を図ることができる。また、支持体と静電センサシートとの間に弾性スペーサが介在して絶縁性や一定の距離を保つので、支持体と静電センサシートとの間の静電容量が不用意に変化することが少なく、検出精度の不均一化や誤検知、機能不全を招くおそれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置の薄型化を図ることができ、しかも、表示装置に静電容量タイプの操作スイッチを設けても、検出精度の不均一化や誤検知、機能不全等を招くおそれを抑制することができるという効果がある。
【0015】
また、請求項2記載の発明によれば、指等の導体が包囲体の外部から静電センサシートの検出電極に包囲体を介して接近すると、導体と対向する検出電極との間の静電容量が変化するので、表示体が動作して各種の情報を表示したり、表示体を停止等させることができる。したがって、操作スイッチの設置箇所が制約されず、しかも、無接点なので、耐久性の向上が期待できる。
また、請求項3記載の発明によれば、検出電極が形成された形成領域以外の領域に対向する弾性エラストマーの対向部を省略できるので、弾性スペーサの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る表示装置の実施形態を模式的に示す正面説明図である。
【図2】本発明に係る表示装置の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図3】本発明に係る表示装置の実施形態における静電センサシートを模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る表示装置の実施形態における静電センサシートと弾性スペーサとを模式的に示す部分断面説明図である。
【図5】本発明に係る表示装置の実施形態における弾性スペーサを模式的に示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る表示装置の第2の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における表示装置は、図1ないし図5に示すように、各種の画像情報を表示する表示パネル1と、この表示パネル1用の操作スイッチ2と、表示パネル1の少なくとも周縁部を支持する導電性の金属筐体3と、表示パネル1と金属筐体3とを間隔をおいて包囲するフロントキャビネット6とを備えてテレビジョン装置を構成し、操作スイッチ2を静電センサシート10として金属筐体3とフロントキャビネット6との間に介在しており、静電センサシート10と金属筐体3とに、間隔を一定化する弾性スペーサ20を圧縮状態に挟持させるようにしている。
【0018】
表示パネル1は、特に限定されるものではないが、例えば図1や図2に示すように、例えば静止画像の焼き付きが少なく、長寿命で大画面の液晶パネル等からなる。
【0019】
操作スイッチ2は、図1や図2に示すように、フロントキャビネット6の外部からの指(導体)の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電センサシート10からなり、フロントキャビネット6の正面下部に設置されており、指の軽いタッチ操作で表示パネル1を駆動したり、停止するよう機能する。
【0020】
金属筐体3は、図2に示すように、例えば表示パネル1の裏面に対向する正面略矩形の対向基板4を備え、この対向基板4の周縁部に、表示パネル1の周縁部を縦に挟持する導電性の支持部5が装着されており、この支持部5がフロントキャビネット6の内部正面や操作スイッチ2に僅かな隙間を介して対向する。
【0021】
フロントキャビネット6は、同図に示すように、所定の成形材料を使用して断面略L字形の中空枠形に成形され、表示パネル1の周縁部を除く正面を視認可能に露出させる。このフロントキャビネット6の開口した後部には、金属筐体3を収容する断面略凹字形のリアキャビネット7が嵌着され、このリアキャビネット7には、金属筐体3の対向基板4に後方から間隔をおいて対向する制御用のメインボード8が内蔵される。
【0022】
静電センサシート10は、図2ないし図4に示すように、弾性スペーサ20に密接する絶縁性の基材層11と、この基材層11の表面に形成されてフロントキャビネット6の外部から指に接近される複数の検出電極13と、基材層11の表面に形成されて複数の検出電極13にそれぞれ接続される複数本の引き回しライン14と、フロントキャビネット6の正面下部に積層されて複数の検出電極13に対向する模様層15とを備えて積層形成される。
【0023】
基材層11は、所定の樹脂フィルム、例えば機械的特性や耐熱性等に優れるポリエチレンテレフタレートやポリイミド製の薄いフィルム等を使用して可撓性の平面矩形に形成され、末端部から細長い帯形の接続端子部12が突出してメインボード8や制御装置に着脱自在に接続される。この基材層11は、その表面がフロントキャビネット6内の正面下部に粘着テープ16等で隙間なく粘着され、裏面が弾性スペーサ20に隙間なく密接する。
【0024】
複数の検出電極13は、例えば基材層11の表面に銀ペースト等からなる導電ペーストがスクリーン印刷されることで間隔をおき配列形成される。この複数の検出電極13の数は、操作内容に応じ、適宜増減される。各検出電極13は、平坦な矩形の薄膜に形成され、指の接近を高精度に検出する観点からフロントキャビネット6内の正面下部に密接する。
【0025】
複数本の引き回しライン14は、例えば基材層11の表面に銀ペースト等からなる導電ペーストがスクリーン印刷されることで形成され、各引き回しライン14が細長い線条に形成される。この引き回しライン14は、検出電極13の周縁部から基材層11の周縁部を経由して基材層11の接続端子部12に伸長され、メインボード8や制御装置に電気的に接続される。
【0026】
模様層15は、基材層11と略同じ大きさの樹脂フィルムを備え、この樹脂フィルムにタッチ操作用の複数の模様が樹脂インクによりパターン形成されており、各模様が検出電極13にフロントキャビネット6を介して対向する。樹脂フィルムとしては、透明のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド製の薄いフィルム等が用いられる。また、各模様やその近傍には、操作用の文字、記号、図形等が樹脂インクで選択的に印刷される。
【0027】
弾性スペーサ20は、図2、図4、図5に示すように、絶縁性を有する弾性変形可能な弾性エラストマー21により形成され、静電センサシート10の基材層11裏面に対向して表示装置の組立公差等を吸収するよう機能する。弾性エラストマー21は、例えば耐熱性、永久歪特性、反発弾性等に優れるシリコーンゴム、フッ素ゴム等により板片に形成され、その表面に基材層11の裏面に粘着するアクリル系の粘着テープ22が粘着されており、裏面には、金属筐体3の支持部5正面に粘着する同様の粘着テープ22Aが粘着される。
【0028】
上記構成において、表示装置を組み立てる場合には、先ず、模様層15を除く静電センサシート10の裏面に弾性スペーサ20の弾性エラストマー21を粘着テープ22を介して粘着し、フロントキャビネット6内の正面下部に静電センサシート10の基材層11表面を粘着テープ16等で粘着する。
【0029】
こうしてフロントキャビネット6内に静電センサシート10の基材層11を粘着したら、フロントキャビネット6の開口した後部とリアキャビネット7の開口した前部とを嵌着し、弾性スペーサ20の接続端子部12をメインボード8や制御装置に電気的に接続するとともに、金属筐体3の支持部5正面に弾性スペーサ20の弾性エラストマー21を粘着テープ22Aを介して粘着し、その後、フロントキャビネット6の正面下部に模様層15を接着して基材層11に対向させれば、表示装置を組み立て、かつ薄型省スペースの操作スイッチ2を取り付けることができる。
【0030】
この際、弾性スペーサ20は、金属筐体3の支持部5と静電センサシート10との間に介在するが、フロントキャビネット6内に検出電極13を常時圧接したり、支持部5と静電センサシート10との間を常時一定の距離に保つ観点から、やや変形した圧縮状態で介在することが好ましい。
【0031】
表示装置の表示パネル1を操作する場合には、模様層15の任意の模様に指を接触させれば良い。すると、指の接近に伴い、指と対向する検出電極13との間の静電容量が増加し、この増加した静電容量値が検出装置に検出され、表示パネル1がメインボード8の制御下で駆動して画像情報を表示あるいは消去したり、画像の濃度等を調整する。
【0032】
上記構成によれば、操作スイッチ2として、変位を一切伴わない静電センサシート10を用いるので、金属筐体3とフロントキャビネット6との間の隙間を小さくすることができ、金属筐体3とフロントキャビネット6とを接近させて表示装置の薄型化や画面の大型化を図ることができる。
【0033】
また、金属筐体3の支持部5と静電センサシート10との間で圧縮された弾性スペーサ20が弾性変形してフロントキャビネット6内に基材層11の表面を圧接したり、一定の距離や絶縁性を確保するので、例え金属筐体3と静電センサシート10との間に組立公差や経年変化等が生じても、静電容量が不用意に増加することが全くなく、検出精度の不均一化や誤検知、機能不全を招くおそれを有効に排除することができる。
【0034】
次に、図6は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、弾性スペーサ20を静電センサシート10の基材層11の全裏面ではなく、複数の検出電極13が形成された形成領域に対向させるようにしている。
【0035】
具体的には、弾性スペーサ20の弾性エラストマー21や粘着テープ22・22Aを小型化し、これら21、22・22Aを複数の検出電極13が形成された形成領域にのみ対向させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、弾性スペーサ20の省スペース化や小型化を図ることができるのは明らかである。
【0036】
なお、上記実施形態ではフロントキャビネット6の正面下部に静電センサシート10を取り付けたが、フロントキャビネット6の正面上部や側部、側壁等に静電センサシート10を取り付けても良い。また、静電センサシート10の検出電極13や引き回しライン14を導電ペーストにより印刷したが、金属粒子やカーボン等を含有する導電インクにより印刷形成しても良いし、アルミ箔や銅箔等からなる導電箔のエッチングにより形成しても良い。
【0037】
また、静電センサシート10の検出電極13は、菱形、円形、楕円形等に形成することが可能である。また、弾性スペーサ20の粘着テープ22・22Aは、特に必要がなければ省略することが可能である。また、模様層15をフロントキャビネット6の正面と一体形成することも可能である。さらに、弾性スペーサ20を、基材層11の複数の検出電極13と複数本の引き回しライン14とが形成された形成領域に対向させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る表示装置は、テレビジョン装置、ディスプレイ装置、音楽機器、家電製品、携帯機器、車載機器、ノートパソコン等の分野で使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 表示パネル(表示体)
2 操作スイッチ
3 金属筐体(支持体)
5 支持部
6 フロントキャビネット(包囲体)
10 静電センサシート
11 基材層
13 検出電極
14 引き回しライン
15 模様層
20 弾性スペーサ
21 弾性エラストマー
22 粘着テープ
22A 粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示体と、この表示体用の操作スイッチと、表示体の少なくとも周縁部を支持する導電性の支持体と、表示体と支持体とを包囲する包囲体とを含んでなる表示装置であって、
操作スイッチを、包囲体の外部からの導体の接近に伴う静電容量の変化を検出する静電センサシートとし、この静電センサシートを支持体と包囲体の内部との間に介在するとともに、静電センサシートと支持体とに、組立公差を吸収する弾性スペーサを挟み持たせたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
静電センサシートは、弾性スペーサに密接する絶縁性の基材層と、この基材層に形成されて包囲体の外部から導体に接近される検出電極と、基材層に形成されて検出電極に接続される導電性の引き回しラインとを含んでなる請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
弾性スペーサを、絶縁性の弾性エラストマーにより形成して静電センサシートの基材層の少なくとも検出電極が形成された形成領域に対向させた請求項2記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−103451(P2012−103451A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251421(P2010−251421)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】