説明

表示装置

【課題】発光素子を有する表示装置の水分によるダークスポットの発生や陰極の剥離を抑える。
【解決手段】第1の基板上に、第1の電極と、第1の電極上の有機化合物層と、有機化合物層上の第2の電極と、を有する発光素子を形成し、第2の基板を選択的に掘削し、第1の領域と、第1の領域に囲まれ前記第1の領域に対して凹状である第2の領域とを形成し、第2の基板が有する第1の領域と第1の基板とを接着材を用いて貼り合わせる。このように、第2の基板に第1の領域に対して凹状である第2の領域を形成することにより、第1の基板と貼り合わせるときに用いる接着剤層の厚みを薄くでき、封止空間への水分の浸入を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子を用いた表示装置及びその作製方法に関し、さらに詳細には長
期に渡って安定した発光特性を維持する有機発光素子を用いた表示装置に関する。
【0002】
なお、本明細書において有機発光素子とは二つの電極の間に有機化合物を挟んで発光さ
せる素子を示す。有機発光素子には、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Dio
de : OLED)を用いた発光素子が挙げられる。有機発光ダイオードとは、二つの電極の間
に有機化合物が挟まれ、一方の電極から正孔が注入されるとともに、他方の電極から電子
が注入されることにより、有機化合物層内で電子と正孔とが結合して発光をする発光体で
ある。
【背景技術】
【0003】
近年、有機発光素子を用いた表示装置が盛んに研究されている。有機発光素子を用いた
表示装置は、従来のCRTと比べ軽量化や薄型化が可能であり、様々な用途への応用が進
められている。携帯電話や個人向け携帯型情報端末(Personal Digital Assistant : PDA
)などは、インターネットに接続することが可能となり、映像表示で示される情報量が飛
躍的に増え、表示装置にはカラー化や高精細化の要求が高まっている。
【0004】
一方、こうした携帯型情報端末に搭載する表示装置は軽量化が重視される。例えば、携
帯電話では70gを切る製品が市場に出されている。軽量化の為には個々の電子部品、筐
体、バッテリーなど使用する殆どの部品の見直しが図られている。しかし、さらなる軽量
化を実現するためには、表示装置の軽量化も推進する必要がある。
【0005】
有機発光素子で画素部を形成した表示装置は自発光型であり、液晶表示装置のようにバ
ックライトなどの光源を必要としないので、軽量化や薄型化を実現する手段として有望視
されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機発光素子は青色発色が可能であり、フルカラー表示の自発光型表示装置を実現させ
ることが可能である。しかし、有機発光素子には種々の劣化現象が確認されており、実用
化を妨げる課題として解決が急がれている。
【0007】
例えば、ダークスポットは、画素部に現れる非発光の点欠陥であり、表示品位を著しく
低下させるものとして問題視されている。ダークスポットは進行型の欠陥であり、水分が
存在すれば、素子を動作させなくても増加すると言われている。ダークスポットの原因は
、アルカリ金属を用いて形成される陰極の酸化反応であると考えられている。
【0008】
これゆえ、有機発光素子を用いた表示装置は、発光素子が設けられた素子基板と、素子
基板に対向して設けられた封止基板とが、接着性を有するシール材により貼り合わされた
構造からなり、発光素子が水分を含む外気に曝されないようにしている。封止基板は加工
が容易なステンレスやアルミニウム等の金属からなり、封止基板の表面の窪みに乾燥剤が
配置されている。
【0009】
シール材中にはフィラーが混入されて、素子基板と封止基板とのギャップを制御する。
このため、シール材は封止基板と素子基板とを貼り合わせる機能と、封止基板と素子基板
とのギャップを制御する機能とを併せ持つ。このため、素子基板と封止基板とのギャップ
を10μm〜50μmと一般的な値にするときは、シール材の厚さもそれに合わせて変え
る必要があった。
【0010】
なお、発光素子と、封止基板の発光素子と向かい合う側の面との最短距離を、封止基板
と素子基板のギャップ、又は、単にギャップと称する。
【0011】
ところで、素子基板と封止基板のギャップを制御するシール材は有機樹脂材料からなり
、ガラス材料等の無機材料に比べ透湿度が高い。例えば、60℃で90%の湿度で透湿度
は15g/m2・24hr〜30g/m2・24hrとなる。封止基板と素子基板とをシー
ル材で封止したとしても、シール材を通過して封止領域内に浸入する水蒸気により有機発
光素子が劣化する。シール材を通過する水蒸気の量は外気に曝されるシール材の面積と透
湿度の積で決まる。このため、外気に曝されるシール材の面積は小さい方が望ましい。つ
まり、シール材はできるだけ薄い方が望ましい。
【0012】
すなわち、シール材が厚くなるにつれて、シール材を通過する水分の量が大きくなり、
乾燥剤を設けたとしても、乾燥剤によって吸湿できない水分により発光素子が劣化してし
まう。よって、シール材を通過する水分の量を減らすことが、本発明の解決すべき課題で
ある。
【0013】
また、携帯情報端末の軽量化のためには、ガラス基板の厚さを薄くする方法が考えられ
る。しかし、ガラス基板が薄くなるに伴って割れやすくなり耐衝撃性が低下してしまう。
特に、金属からなる封止基板と、ガラスからなる素子基板とを貼り合わせたときは、熱膨
張係数の違いから、急激な温度変化によって歪が生じ、ガラスからなる基板に亀裂が生じ
る。しかしそれでは、携帯型情報端末に用いるうえで致命的な欠点となってしまう。
【0014】
そこで、ガラス基板を薄くして、表示装置の薄型化を図った構成において、基板の破損
を防ぎ、耐久性を高めることが本発明の解決すべき課題である。
【0015】
このように、有機発光素子からなる表示装置は表示装置の軽量化に対しては非常に有用
であるが、有機発光素子の信頼性を確保するためには解決しなければならない課題が残存
している。本発明はこのような問題点を解決する技術であり、信頼性の高い有機発光素子
を用いた表示装置及びその作製方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ガラスからなる基板の薄型化に伴なって、ガラスからなる素子基板と金属からなる封止
基板とを組み合わせると、熱膨張係数の違いから、急激な温度変化によってガラスからな
る素子基板の破損が発生する可能性が高くなる。これを防ぐために、本発明は、ガラスか
らなる基板を素子基板と封止基板とに適用し、熱膨張係数を等しくしている。これにより
、急激な温度変化に対する耐性を高め、本発明の課題を解決する。
【0017】
さらに、本発明は、このガラスからなる封止基板の表面を加工して窪みを設け、この窪
みに乾燥剤を設置する。これにより、従来と同様に素子基板と封止基板とシール材とで封
止された空隙に乾燥剤を設けて、接着材を通過して浸入する水分を捕獲することができる
。乾燥剤は酸化カルシウム、酸化バリウムなどを好適に用いることができる。乾燥剤を設
置する場所は、例えば、駆動回路上に設けても良い。すると、素子基板と封止基板との間
の封止領域において、発光素子と近接して乾燥剤があるため、水分の発光素子への浸入を
低減することができる。これにより、発光素子の安定性を高めることができる。例えば、
陰極が酸化して発生するダークスポットを減少させることができる。
【0018】
かつ、本発明はガラスからなる封止基板を加工して、封止基板の外縁部を凸部状に突き
出させて、この凸部で素子基板と封止基板とのギャップを制御している。このため、素子
基板と封止基板の間に設けた接着性を有する層は、素子基板と封止基板とを接着する機能
だけがあれば良く、ギャップを制御する機能が不要になる。このため、接着性を有する層
は、材料が許す範囲で可能な限り薄くすることができる。これにより、接着性を有する層
を通過して封止領域内に浸透する水分の量を低減することができ、接着性を有する層を通
過する水分の量を低減するという本発明の課題が解決される。接着性を有する層(接着材
)の厚さは10μm以下、好ましくは1μm以下とすると良い。
【0019】
封止基板の表面を加工する方法としては、砥粒加工法(サンドブラスト法)を用いるこ
とができる。砥粒加工法とは、砂や細かい鋼片などを圧縮空気とともに吹きつけ、ガラス
からなる基板の表面を加工する技術である。
【0020】
本発明の構造の一例を図8(A)〜図8(C)を用いて説明する。図8(A)
〜図8(C)は、本発明の有機発光素子を用いた表示装置の断面図を示す。
【0021】
図8(A)は、素子基板と封止基板とを接着性を有する層にて貼り合わせてなる表示装
置において、封止基板の表面を加工して、乾燥剤と透湿性のフィルムとを封止領域内に設
けた例を示す。第1の基板101及び第2の基板102とは透光性を有する基板、例えば
ガラス基板からなる。第1の基板は素子基板であり、表示領域129に有機発光素子が設
けられている。第2の基板は封止基板であり、表面が加工されて窪んでおり、乾燥剤10
7及び透湿性のフィルムが設置されている。なお、有機発光素子の放射する光を封止基板
の側から取り出す場合は、乾燥剤及び透湿性のフィルムを設ける領域は、表示領域外が望
ましい。
【0022】
なお、本発明において接着性を有する層106が第2の基板に接着される部分と同一平
面上にある領域を第2の基板の第1の領域103とする。また、第1の領域に対し凹状と
なる領域を第2の領域104とする。また、第2の領域に対し、凹状となる領域を第3の
領域105とする。つまり、有機発光素子と向かい合う側の面を第2の基板の表面の面と
した場合に、第2の基板の裏面から見ると第1の領域は第2の領域及び第3の領域に対し
、凸状に迫り出している。
【0023】
第3の領域105には乾燥剤107が設けられる。乾燥剤は粒状の材料を用いることも
できるし、平板状の材料を用いることもできる。乾燥剤を充填するために、第3の領域は
第2の領域に対し、50〜150μmの深さを有することが好ましい。
【0024】
透湿度が高く、水蒸気透過性を有する透湿性のフィルムは、粘着層125、多孔質層1
26及び基材127とからなる。乾燥剤を第3の領域に閉じ込めるために、第2の領域の
一部に粘着層125が接して、透湿性のフィルムが張られる。
粘着層、多孔質層、基材からなる透湿性のフィルムは厚さが150〜300μmのものを
用いる。また、透湿性のフィルムが第1の基板と接しないように、透湿性のフィルムを構
成する基材の表面より10〜50μm以上離れて第1の基板があることが望ましい。この
ため、第1の領域に対して、第2の領域は160〜350μm窪んでいることが好ましい

【0025】
素子基板と封止基板とを接着する接着性を有する層106としては、紫外線硬化型樹脂
を用いることも可能であるし、熱硬化型樹脂を用いることも可能である。封止領域内に浸
入する水分の量は、接着性を有する層が外気に曝される面積と、接着性を有する層の透湿
度との積で決まる。このため、接着性を有する層は、可能な限り薄くし、外気に触れる面
積を低減することが望ましい。
【0026】
本発明によれば、第2の基板の外縁部(第一の領域)を凸状に出っ張らせているため、
第2の基板の外縁部の凸状の部分の高さで第1の基板と第2の基板とのギャップを決める
ことができる。接着性を有する層はギャップを制御する機能が必要とされず、第2の基板
と第1の基板とを貼り合わせるために補助的に用いれば良い。このため、接着性を有する
層は材料が許す限り薄くできる。
【0027】
次に本発明の別の例を示す。以下に示す本発明は、接着性を有する層を通過して浸入す
る水分を低減することだけでなく、封止領域内の乾燥気体に残存する水分の量を低減する
ことまで考えに入れた構成である。
【0028】
図8(B)は、有機発光素子の断面を示す。図8(A)と異なるのは図8(A)に比べ
て表示領域129において第1の基板と第2の基板とのギャップを10〜50μmに小さ
くする点である。透湿性のフィルムは厚さ150〜300μmと厚く、ここまで厚いギャ
ップは透湿性のフィルムが設けられていない表示領域においては不要である。表示装置に
おいて支配的な広さを占める表示領域においてギャップが図8(A)に比べて3%〜50
%に低減されること(150〜300μmのギャップが10〜50μmに低減されること)
は、封止空間の体積つまり乾燥気体の体積を小さくすることに貢献し、気体中に残存する
水分の総量が減少することにつながる。
【0029】
図8(C)は第2の基板102の第3の領域105に、平板状の乾燥剤107を設置し
た例を示す。平板状の乾燥剤としては酸化カルシウム等を用いれば良い。
【0030】
乾燥剤が衝撃により欠損して微粉末が表示領域に混入することを防ぐため、接着剤10
9を乾燥剤の表面の数箇所に設け、厚さ10〜30μmの多孔質のフィルム108を接着
剤109を用いて乾燥剤に貼りつける。こうして、乾燥剤の周囲を多孔質のフィルムで覆
うことで、機械的衝撃に伴なって生じる微粉末を多孔質のフィルムの内部に閉じ込めるこ
とができる。多孔質フィルムの2〜3箇所を円状にくりぬいて乾燥剤を露呈させ、露呈部
に接着剤110を塗布し、乾燥剤と第2の基板とを接着させると良い。接着剤は乾燥剤の
表面に塗布する量を調節することで、1〜5μmの厚さにすることが可能である。図8(
C)では、第2の領域に対し50〜150μmに窪んだ第3の領域に乾燥剤や多孔質のフ
ィルムが入るように、多孔質のフィルムの厚さ、乾燥剤の厚さ、接着剤の厚さを調節する
ことが好ましい。
【0031】
図8(A)及び図8(B)では、乾燥剤の重みで破砕しないように、透湿性のフィルム
は厚さ10〜70μmくらいの多孔質のフィルム126に接して厚さ100μm〜150
μmの基材127を設け、基材、多硬質のフィルムを厚くすることで機械的強度を高める
必要があった。さらに、基板にフィルムを接着させるために40〜80μmの粘着層12
5が必要なため、透湿性のフィルムの厚さは150〜300μmになってしまう。このた
め、透湿性のフィルムの占める体積の分だけ封止空間中のガスに残存する水分の量が多く
なる。
【0032】
しかし、図8(C)によれば、フィルムは乾燥剤の周囲を覆うだけで良く、それほど高
い強度は必要とされない。このため10〜30μmと薄い多孔質のフィルムを用いても実
用上問題はない。かつ、フィルムが薄くなることに伴なって、封止空間の体積を低減する
ことができる。乾燥剤を包むためには、多孔質のフィルムが乾燥剤の上面(第2の基板に
向かい合う面)と下面(第1の基板に向かい合う面)とに設けられるため、10〜30μ
mの多孔質のフィルムを用いると、多孔質のフィルムがギャップ間に占める厚さはその2
倍の20〜60μmになる。それでも多孔質のフィルムのギャップ間に占める厚さは透湿
性のフィルムの占める厚さに比べて薄くできる。乾燥剤の量が同じであれば、図8(C)
の構造をとる方が、封止領域の体積を低減することができ、気体中に残留する水分の量が
少なくなる。これは、水分に起因する陰極の酸化反応の抑制につながり、表示装置の耐用
年数を増加させることができる。
【0033】
なお、図8(C)において、第1の領域に対し、第2の領域104を10〜50μm窪
ませて、表示領域おける第1の基板と第2の基板とのギャップを10〜50μmにするこ
とが好ましい。
【0034】
また、本発明において、封止基板及び素子基板が透光性であるため、素子基板に設けら
れた有機発光素子の放射光が出射する方向は、封止基板の側でも素子基板の側でも良い。
有機発光素子の発光面積等を考慮して自由に設計することが可能である。
【0035】
以上の説明に基づく本発明は、以下の通りである。
【0036】
本明細書に記載の発明(1)は、有機発光素子が設けられた第1の基板と、透光性を有
する第2の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板とは接着性を有する層を用い
て貼り合わされており、前記第2の基板の前記第1の基板と向かい合う面は第1の領域と
、第2の領域とを有し、前記第1の領域は前記接着性を有する層が接着し、前記第2の領
域は前記第1の領域の内側にあり前記第1の領域に対して凹状であることを特徴とする表
示装置である。
【0037】
本明細書に記載の発明(1)において、封止基板の接着性を有する層を設ける部分が素
子基板に対して凸状であれば良い。これにより、第1の基板と第2の基板とのギャップを
第2の基板の凸状の部分により決めることができ、接着性を有する層は第1の基板と第2
の基板とを貼り合せる目的だけに用いることができる。
【0038】
本明細書に記載の発明(2)は、有機発光素子が設けられた第1の基板と、透光性を有
する第2の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板とは接着性を有する層を用い
て貼り合わされており、前記第2の基板の前記第1の基板と向かい合う面は第1の領域と
、第2の領域と、第3の領域とを有し、前記第1の領域は前記接着性を有する層が接着し
、前記第2の領域は前記第1の領域の内側にあり前記第1の領域に対して凹状であり、前
記第3の領域は前記第2の領域の内側にあり前記第2の領域に対して凹状であり、前記第
3の領域に乾燥剤が設けられていることを特徴とする表示装置である。
【0039】
本明細書に記載の発明(2)は、第2の基板のうち、接着性を有する層が接着する部分
に対して凸状のため、封止基板がギャップを制御する機能を持つ点は本明細書に記載の発
明(1)と同じである。さらに、第2の基板の表面の窪みに乾燥剤を設け、封止領域に浸
透する水分を捕獲することで、有機発光素子の長期駆動における安定性を確保する。
【0040】
本明細書に記載の発明(3)は、本明細書に記載の発明(2)において、透湿性のフィ
ルムが前記第2の領域の一部に接着し、前記乾燥剤を前記第3の領域に閉じ込めるように
設けられていることを特徴とする表示装置である。
【0041】
本明細書に記載の発明(3)のように、乾燥剤を第3の領域に設置する手段として透湿
性のフィルムを用いてもよい。
【0042】
本明細書に記載の発明(4)は、有機発光素子が設けられた第1の基板と、前記第1の
基板上の有機発光素子が設けられた領域の周囲を間隙をおいて囲む接着性を有する層と、
透光性を有する第2の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板とは前記接着性を
有する層を用いて貼り合わされており、前記第2の基板の前記第1の基板と向かい合う面
は第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とを有し、前記第1の領域は前記接着性を有
する層が接着し、前記第2の領域は前記第1の領域に囲まれ前記第1の領域に対して凹状
であり、前記第3の領域は前記接着性を有する層と前記有機発光素子が設けられた領域の
上方との間にあり前記第2の領域に対して凹状であり、前記第3の領域には乾燥剤が設置
されていることを特徴とする表示装置である。
【0043】
本明細書に記載の発明(4)は本明細書に記載の発明(2)に比べて、乾燥剤を設ける
領域を表示領域外に限定している点が異なる。
【0044】
本明細書に記載の発明(5)は、本明細書に記載の発明(4)において、前記接着性を
有する層と前記有機発光素子が設けられる領域の上方との間に透湿性のフィルムが設けら
れており、前記透湿性のフィルムは前記第2の領域の一部に接着し、前記乾燥剤を前記第
3の領域に閉じ込めていることを特徴とする表示装置である。
【0045】
本明細書に記載の発明(5)のように、乾燥剤を第3の領域に設置する手段として透湿
性のフィルムを用いてもよい。透湿性のフィルムは表示領域外に配置すると良い。
【0046】
本明細書に記載の発明(6)は、本明細書に記載の発明(3)又は本明細書に記載の発
明(5)において、前記第2の領域に接着した前記透湿性のフィルムは、前記第1の領域
に接する平面と前記透湿性のフィルムが前記第2の領域に接着する面との間に収まること
を特徴とする表示装置である。つまり、少なくとも、透湿性のフィルムは第1の基板に接
しないようにする必要がある。
【0047】
本明細書に記載の発明(7)は、本明細書に記載の発明(2)又は本明細書に記載の発
明(4)において前記第1の領域に対し凹状である前記第2の領域の底部と前記第1の領
域との高さの差は10μm以上50μm以下であることを特徴とする表示装置である。本
明細書に記載の発明(7)の一例は、図8(C)を用いてすでに説明した。
【0048】
本明細書に記載の発明(8)は、本明細書に記載の発明(3)又は本明細書に記載の発
明(5)において、前記第1の領域に対し凹状である前記第2の領域の底部と前記第1の
領域との高さの差は160μm以上350μm以下であることを特徴とする表示装置であ
る。請求項8に記載の本発明の一例は、図8(A)及び図8(B)を用いてすでに説明し
た。
【0049】
本明細書に記載の発明(9)は、本明細書に記載の発明(1)乃至(8)のいずれか一
項において、前記第2の領域に対し凹状である前記第3の領域の底部と前記第2の領域の
高さの差は50μm以上150μm以下であることを特徴とする表示装置である。本明細
書に記載の発明(9)に記載の本発明の一例は、図8(A)〜図8(C)を用いてすでに
説明した。
【0050】
本明細書に記載の発明(10)に記載の本発明は、本明細書に記載の発明(1)乃至(
9)のいずれか一項において、前記第1の基板又は前記第2の基板はガラス基板であるこ
とを特徴とする表示装置である。
【0051】
基板の薄型化に伴なって耐衝撃性が低下する。このため、基板の材質が異なると急激な
温度変化によりガラスからなる基板に亀裂が入り得る。これは、熱膨張係数の違いに起因
する現象である。しかし、第1の基板と第2の基板とを同じ材質にすれば熱衝撃によるク
ラックの発生を防止できる。
【0052】
本明細書に記載の発明(11)は、本明細書に記載の発明(1)乃至(10)
のいずれか一項において、前記第2の基板には凹凸が設けられており、凸部と該凸部と隣
接する凸部の先端の間隔が、0.05〜1μmの範囲にあることを特徴とする表示装置で
ある。
【0053】
第2の基板には凹凸が設けられており、外部から入射される光が第2の基板の表面の凹
凸であらゆる方向に反射されるので、第2の基板への写り込みを防止できる。
【0054】
本明細書に記載の発明(12)は、本明細書に記載の発明(1)乃至(11)
のいずれか一項において、前記接着性を有する層の厚さが10μm以下であることを特徴
とする表示装置である。
【0055】
本発明において、接着性を有する層によりギャップを維持する必要がないため、接着性
を有する層の厚さは限りなく薄く出来る。特に、接着性を有する層の厚さを10μm以下
とすることが、水分の封止領域内への浸透を抑える上で望ましい。
【0056】
本明細書に記載の発明(13)は、透光性を有する第1の基板及び第2の基板が接着性
を有する層を用いて貼り合わされており、前記第1の基板に有機発光素子が設けられてい
る表示装置の作製方法において、前記第2の基板の前記接着性を有する層が接着される領
域を第1の領域とし、少なくとも前記第1の領域に第1のマスクを設ける第1の工程と、
前記第2の基板を砥粒加工法にて掘削し、前記第1の領域に対して凹状となる第2の領域
を形成する第2の工程と、前記第1のマスクを除去する第3の工程と、前記第2の基板の
少なくとも前記第1のマスクが設けられた領域と、前記有機発光素子が設けられる領域の
上方にあたる領域とに第2のマスクを設け、前記第2の基板を砥粒加工法にて掘削し、前
記第2の領域に対し凹状となる第3の領域を形成する第4の工程と、前記第3の領域に乾
燥剤を設ける第5の工程とを有することを特徴とする表示装置の作製方法である。
【0057】
本明細書に記載の発明(14)は、本明細書に記載の発明(13)において、前記第5
の工程の後に、前記第2の領域に透湿性のフィルムを設ける第6の工程を有することを特
徴とする表示装置の作製方法である。
【0058】
乾燥剤を第3の領域に設置する方法として、乾燥剤を第2の基板に接着する方法と、透
湿性のフィルムの粘着層を第2の領域に接着させて乾燥剤を第3の領域に閉じ込める方法
とがあるが、本明細書に記載の発明(14)は後者の方法をとるために用いる方法である

【0059】
本明細書に記載の発明(15)は、本明細書に記載の発明(14)において、前記第2
の工程の前記第2の基板の前記掘削の深さは前記透湿性のフィルムの厚さに比べて深いこ
とを特徴とする表示装置の作製方法である。
【0060】
本明細書に記載の発明(16)は、本明細書に記載の発明(13)において、前記第2
の工程において前記掘削の深さは10μm以上50μm以下であることを特徴とする表示
装置の作製方法である。本明細書に記載の発明(16)に記載の本発明によれば、例えば
、図8(C)の構成において、第2の基板の表面を加工することにより、第1の領域に対
し第2の領域を10μm以上50μm以下に窪ませることができる。
【0061】
本明細書に記載の発明(17)に記載の本発明は、本明細書に記載の発明(14)又は
本明細書に記載の発明(15)において、前記第2の工程において前記掘削の深さは16
0μm以上350μm以下であることを特徴とする表示装置の作製方法。本明細書に記載
の発明(17)によれば、図8(A)又は図8(B)
の構成において、第2の領域104を第1の領域103に対し、160μm以上350μ
m以下に窪ませることができる。
【0062】
本明細書に記載の発明(18)は、本明細書に記載の発明(13)乃至(17)のいず
れか一項において、前記第3の工程において前記掘削の深さは50μm以上150μm以
下であることを特徴とする表示装置の作製方法である。本明細書に記載の発明(18)に
よれば、図8(A)〜図8(C)のように、乾燥剤を設ける第3の領域105を第2の領
域104に対し50μm以上150μm以下に窪ませることができる。
【0063】
本明細書に記載の発明(19)は、本明細書に記載の発明(13)乃至(16)におい
て、前記第5の工程の後に、前記第1の基板と前記第2の基板とを前記接着性を有する層
を用いて接着する第6の工程と、前記第1の基板及び前記第2の基板を気体レーザーを用
いて切断する第7の工程とを有することを特徴とする表示装置の作製方法である。
【0064】
本明細書に記載の発明(20)は、本明細書に記載の発明(14)乃至(16)のいず
れか一項において、前記第6の工程の後に、前記第1の基板と前記第2の基板とを前記接
着性を有する層を用いて接着する第7の工程と、前記第1の基板及び前記第2の基板を気
体レーザーを用いて切断する第8の工程とを有することを特徴とする表示装置の作製方法
である。
【0065】
本明細書に記載の発明(21)に記載の本発明は、本明細書に記載の発明(19)又は
本明細書に記載の発明(20)において、前記気体レーザーはCO2レーザーであること
を特徴とする表示装置の作製方法である。
【発明の効果】
【0066】
以上、説明したように本発明を用いることで、封止基板の凸状部でギャップを制御する
ことが可能となり、封止基板と素子基板との間の接着性を有する層は可能な限り薄くする
ことが可能となる。このため、表示装置の側面において有機樹脂材料(接着性を有する)
が外気に曝される面積が低減する。これに伴なって、外気に曝される面積と透湿度との積
で示され、有機樹脂材料を通過して封止領域内に浸入する水分の量を低減することができ
る。
【0067】
従来、乾燥剤を封止領域内に設けるには、金属製の封止基板とガラス基板とを貼り合せ
る必要があった。このため、ガラス基板の薄型化に伴ない耐衝撃性が低下すると、金属と
ガラスの熱膨張係数の違いから、急激な熱変化により歪が生じ、ガラス基板が破損される
恐れがあった。しかし、本発明によれば、封止基板と素子基板とを同じ材質で形成するこ
とが可能となり、熱衝撃に対する耐性が向上する。かつ、ガラス基板の表面を加工し、乾
燥剤を設けているため、従来と同様、乾燥剤によって水分を吸湿し、水分による発光輝度
の減少や、ダークスポットの発生や、ダークスポットの拡大に伴なう発光面積の低下や、
素子の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態1の有機発光素子を用いた表示装置の断面図。
【図2】実施形態2の有機発光素子を用いた表示装置の断面図。
【図3】実施形態3の有機発光素子を用いた表示装置の断面図。
【図4】実施例1の有機発光素子を用いた表示装置の断面図。
【図5】実施例1の有機発光素子を用いた表示装置の画素部の構成を説明する上面図。
【図6】実施例1の有機発光素子を用いた表示装置の画素部の等価回路。
【図7】実施形態1の封止基板の作製方法を示す断面図。
【図8】本発明の有機発光素子を用いた表示装置の断面図。
【図9】CO2レーザーを用いたガラス基板の切断方法を示す斜視図。
【図10】電子装置の一例を説明する図。
【図11】電子装置の一例を説明する図。
【図12】実施形態3の表示装置の第2の基板の表面
【発明を実施するための形態】
【0069】
[実施形態1]
本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。図1で示すのは有機発光素子を用
いたアクティブマトリクス方式の表示装置の断面図である。
【0070】
第1の基板(素子基板)101上には、TFTを用いて駆動回路部111と画素部11
2とが形成される。
【0071】
第1の基板及び第2の基板(封止基板)102はバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノ
ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラスからなる基板を用いる。
【0072】
第2の基板の表面は砥粒加工法にて加工され、選択的に削られている。この加工により
、第2の基板の表面は、第1の領域103と第2の領域104と第3の領域105とを有
する。第1の領域は接着性を有する層が接着される面である。
第2の基板の裏面を基準とすると第1の領域は第2の領域及び第3の領域に比べて凸部状
に突き出ている。
【0073】
接着性を有する層106には、エポキシ系接着剤が用いられる。接着性を有する層は可
能な限り薄いことが望ましい。接着剤はチッソ社が販売しているLIXSON BOND
LX‐0001を用いることもできる。LX‐0001は二液性のエポキシ樹脂である
。第1の基板にLX‐0001を塗布後、第1の基板と第2の基板の周囲に圧力をかけな
がら100℃で2時間硬化する。硬化後の接着剤は0.5μm〜2.0μmの厚さとなる

【0074】
第3の領域の窪みには乾燥剤107が設けられる。乾燥剤は酸化カルシウムを用いる。
乾燥剤は公知の材料を用いることができる。本実施形態では乾燥剤は平板状のものを用い
る。乾燥剤の厚さは10μm〜80μmとすることが望ましい。本実施形態では乾燥剤の
厚さを80μmとする。乾燥剤は特に、第1の基板と第2の基板とを接着性を有する層を
用いて封止した後、有機発光素子に浸入してくる水分を吸湿する。乾燥剤を発光素子が設
けられた領域に近接して設けるため、封止領域内の水分濃度を下げ、表示装置の寿命を長
くすることができる。
【0075】
乾燥剤の微粉末が画素部や駆動回路部に移動しないように、多孔質のフィルム108を
乾燥剤を覆うように設ける。乾燥剤の表面に接着剤109を点状に塗布し、多孔質のフィ
ルムを乾燥剤に貼りつける。また、多孔質のフィルムを円状にくり貫き、乾燥剤が露呈し
た部分に接着剤110を塗布し、乾燥剤107と第2の基板102とを接着する。
【0076】
多孔質のフィルムの厚さは出来るだけ薄い方が望ましい。本実施形態では多孔質のフィ
ルムの厚さを10μmとする。また、接着剤は乾燥剤に塗布する量を調節することで、5
μm以下、好ましくは1μm以下とすることができる。本実施形態では接着剤の厚さを5
.0μmとする。乾燥剤の厚さが80μmのため、第2の領域に対し第3の領域を110
μmほど凹状にすれば、第3の領域に乾燥剤107、接着剤109〜110、多孔質のフ
ィルム108を収めることができる。
【0077】
また、画素部において第1の基板と第2の基板とのギャップを10μm〜50μmにす
ることが好ましい。画素部のギャップをこの範囲にするためには、第1の領域103に対
して第2の領域104を10〜50μmほど凹状にするとよい。本実施形態では、画素部
において第1の基板と第2の基板とのギャップを50μmにするために第1の領域に対し
て、第2の領域を48μm凹状にする。これは、本実施形態における接着性を有する層の
厚さ(2μm)を考慮した値である。なお、画素部の有機発光素子と封止基板とのギャッ
プは、厳密層間絶縁膜121の厚さによって数μmの差が生じるが、説明の便宜上、層間
絶縁膜の厚さは無視できるものとする。
【0078】
多孔質のフィルム108と駆動回路部との間には、ほぼ50μmの間隙があるため、多
孔質のフィルムが駆動回路部108と接し、駆動回路部のTFTを破壊することが避けら
れる。
【0079】
有機発光素子116は、陰極113、有機化合物層114、陽極115の順に積層し、
発光素子から放射される発光を第2の基板102の側へと出射させる構造とする。このよ
うな構成とすると、反射性の導電膜からなる陰極を、TFTの電極や配線の上方に重ねて
設けることが可能となり、発光面積が大きくなり、発光輝度が高く視認性の良い表示とな
る。
【0080】
陰極113としては、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)若し
くはカルシウム(Ca)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg(MgとAgをMg:
Ag=10:1で混合した材料)でなる電極を用いれば良い。
他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、LiFAl電極が挙げられる。
陰極はMgAgやLiFなどの材料を用いて形成される。陰極の厚さは100nm〜20
0nmとすれば良い。
【0081】
陽極115は、透光性を有する導電膜であるITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウ
ム錫)膜を形成する。陽極の厚さは100nm〜200nmとすれば良い。
【0082】
有機化合物層114は、電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層の順に積層される
が、電子輸送層/発光層/正孔輸送層、または電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸
送層/正孔注入層のような構造としても良い。本発明では公知のいずれの構造を用いても
良い。
【0083】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレン、緑色に発
光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビ
ニレンまたはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。発光層の厚さは30〜150nm
とすれば良い。
【0084】
上記の例は発光層として用いることのできる材料の一例であり、これに限定されるもの
ではない。発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層を形成するための
材料は、その可能な組合せにおいて自由に選択することができる。
【0085】
絶縁性を有する下地膜117上に駆動回路部及び画素部のTFTが設けられる。
TFTは半導体膜118、ゲート絶縁膜118、ゲート電極119、層間絶縁膜121、
ドレイン電極122及びソース電極123からなる。半導体層の厚さを10〜150nm
、ゲート絶縁膜の厚さを50〜200nm、ゲート電極の厚さを50〜800nm、層間
絶縁膜の厚さを1〜6μm、ドレイン電極及びソース電極の厚さを200nm〜800n
mとすると良い。
【0086】
有機化合物層114の断線や、有機発光素子の断線に起因する陽極115と陰極113
との短絡を防止するために、陰極の端部に一部が重なるようにアクリルやポリイミドなど
の有機樹脂、好ましくは感光性の有機樹脂からなるバンク124を設ける。バンク124
のなだらかなテーパーに沿って有機化合物層を形成することで、陰極の端部における有機
化合物層の断線を防止し、ひいては有機化合物層の断線に起因する陽極と陰極との短絡を
防止する。バンクの膜厚を1〜3μmとする。
【0087】
本実施形態において、画素部の第1の基板と第2の基板とのギャップを50μmとする
に必要な接着性を有する層の厚さは2μmで良い。このため、表示装置の側面において有
機樹脂材料が外気に曝される面積が低減し、有機樹脂材料(接着性を有する層)を通過す
る水分の量を従来に比べ、大幅に低減することができる。
【0088】
すなわち、接着性を有する層を通過して封止空間に浸入する水分の量を低減でき、本発
明の課題が解決され、有機発光素子の寿命を高めることが可能となる。
【0089】
図7は砥粒加工法により、基板を加工する工程を説明するための断面図である。加工に
用いる装置の一例として、新東ブレーター社製のMB−1が挙げられる。
【0090】
図7(A)は、加工前のガラスからなる基板202の選択的位置に第1のマスク201
を配置した断面図を示す。第1のマスクは接着性を有する層が設けられる領域に配置する
。第1のマスクは、基板の表面にフィルムを貼りつけ、フィルムを紫外線にて露光し、弱
アルカリ溶液にて現像し、乾燥して形成する。基板の表面に貼りつけるフィルムは紫外線
硬化型のウレタン樹脂を用いることが望ましい。砥粒加工の工程において耐性が高いから
である。第1のマスクの厚さは0.05mm〜0.5mmとすると良い。
【0091】
図7(B)は、砥粒加工にて、微細な粉末を基板に噴射し砥粒加工を行う第1の加工の
工程を示す断面図である。平均粒子径が3μm〜40μmの微細な粉末を基板の表面に噴
射し、第1のマスクの無い部分を選択的に除去する。加工後基板を洗浄し、基板の加工屑
を除去する。これにより、基板の表面に第1の領域203と、第1の領域に対して窪んだ
第2の領域204とができる。
【0092】
図7(C)は、第2のマスク206を基板に設け砥粒加工を行う第2の加工の工程を示
す断面図である。微粉末を噴射し基板の表面を掘削することで、基板の表面に第2の領域
に対して窪んだ第3の領域205ができる。
【0093】
図7(D)は、第2のマスクを除去した後の基板の断面を示す。本実施形態においては
、第1の加工の工程の掘削の深さが48μm、第2の加工の工程の掘削の深さが110μ
mとなる。加工前の基板の厚さを0.6mmとすると、第1の領域203の基板の厚さは
0.6mm、第2の領域204の基板の厚さは0.552mm、第3の領域205の基板
の厚さは0.442mmとなる。本実施形態において面積的に多くを占めるのは第2の領
域である。第2の領域の基板の厚さ0.552mmは、表示装置の軽量化、薄型化の点で
好ましい値である。もちろん、第2の基板の加工前の厚さを0.6mm以下として、さら
に表示装置の軽量化を図ることも可能である。
【0094】
次に、第3の領域に設けられた乾燥剤の量から捕獲できる水分の量を以下に見積もる。
有機樹脂の透湿度は60℃で湿度90%の環境において15〜30g/m2・dayであ
る。本実施形態では、接着剤の透湿度を20g/m2・dayとして、接着剤を通過して
封止領域内に浸入する水分の量を見積もる。
【0095】
本実施形態の表示装置を一辺が7cmの正方形の外形とし、接着性を有する層(接着剤)
の高さを2μmとする。接着性を有する層が空気に曝露される面積は、0.56×10-6
2であり、曝露される面積に透湿度を乗じると、1日に透過する水分の量は114×1
-7g/日になる。
【0096】
接着性を有する層を通過する10年分の水分の量は41.6×10-3gである。乾燥剤
として酸化カルシウムを用いると、水分を1g吸着するのに必要な酸化カルシウムの量は
3gであり、10年分の水分を完全に吸着できる酸化カルシウムの量は125mgである
。酸化カルシウムの比重は3.0g/cm3であるため、酸化カルシウムが充填される体
積が41.7mm3であれば接着性を有する層から浸入する10年分の水分を完全に吸着で
きる。
【0097】
表示領域を一辺が60mmの正方形とし、駆動回路部の幅を表示領域と平行に60mm
、表示領域と垂直に3mmとする。駆動回路部を3つ(ゲートドライバーが二つ、ソース
ドライバーが一つ)設けると、駆動回路部の占める面積は540mm2である。つまり、
封止基板の駆動回路部上方にあたる位置に空隙を設け、酸化カルシウムを充填すると、酸
化カルシウムからなる乾燥剤の厚さが77μmであれば、乾燥剤の体積が41.7mm3
となり、接着性を有する層から浸入する10年分の水分を完全に吸着できる量を充填する
ことができる。本実施形態の乾燥剤の厚さは80μmであるため計算上、長期に渡る使用
(少なくとも10年の使用)に十分な量の乾燥剤がある。
【0098】
シール材を透過する水分の量は温度や湿度によって変わるため、本発明で用いる乾燥剤
の量は、表示装置の使用環境に従って、適宜決定すれば良い。
【0099】
[実施形態2]
本実施形態では、駆動回路部の上方に乾燥剤及び透湿性のフィルムを設けた例を示す。
本実施形態では実施形態1と異なる点を詳細に説明する。本実施形態を図2の断面図を用
いて説明をする。図2はアクティブマトリクス方式の有機発光素子を用いたアクティブマ
トリクス方式の表示装置の断面図であり、画素部112と駆動回路部111とが同一基板
上に形成された駆動回路一体型の構成である。
【0100】
第1の基板101及び第2の基板102はガラスからなる基板を用いることができる。
【0101】
本実施形態では乾燥剤107として粒状の材料を用いる。乾燥剤を粒状とすると表面積が
増加し、より水分を吸着しやすくなる。乾燥剤の粒径は10〜80μmとすることが望ま
しい。本実施形態では、30μmの粒径の乾燥剤を用いる。また、本実施形態において、
乾燥剤を設ける第3の領域105は第2の領域104に対し、100μmの深さを有する
とする。乾燥剤は酸化カルシウムを用いる。
【0102】
乾燥剤を第3の領域105に閉じ込めるために、粘着層125、多孔質層126、基材
127からなる透湿性のフィルムを用いる。基材はポリエステル、多孔質層はポリフッ化
エチレン系繊維を用いることができる。多孔質フィルムは透湿度の高い日東電工社製のN
TF1121(JIS K 7129 Method Aに準拠した測定で6800g/
2・24hrの透湿度)を用いると良い。
また、透湿性のフィルムの厚さは150μm〜300μmが好ましい。本実施形態では透
湿性のフィルムの厚さは150μmとする。
【0103】
また、駆動回路部のTFTと透湿性のフィルムとが接触しないように、透湿性のフィル
ムと駆動回路部との間は50μmのほどの間隙を空ける。このため、透湿性のフィルムの
厚さ(150μm)と、透湿性のフィルムと駆動回路部との間隔とを考慮すると、第1の
領域103に対して透湿性のフィルムを設ける第2の領域104を200μm窪ませる。
【0104】
第1の基板と第2の基板とを貼り合せる接着性を有する層106は、出来るだけ薄い方
が望ましい。本実施形態では接着性を有する層は1.5μmの厚さとする。
【0105】
第1の基板、第2の基板、接着性を有する層に囲まれた封止空間の体積を小さくし、封
止空間内の乾燥気体に残存する水分の総量を減らすため、駆動回路部の第1の基板と第2
の基板との距離に比べて、画素部の第1の基板と第2の基板との距離を小さくすると良い
。画素部は特に透湿性のフィルムを設けるという制約がないため、表示領域の視認性等を
考慮して画素部における基板間の距離を任意に決めることができる。本実施形態では、画
素部における第1の基板と第2の基板との間の距離は50μmとする。
【0106】
本実施形態では、有機発光素子116を、陽極113、有機化合物層114、陰極11
5の順に積層する。陽極にITOからなる透明電極、陰極に仕事関数の小さな金属として
MgAg等のアルカリ土類金属又はAlLi等のアルカリ金属を用いることで、有機発光
素子の発光を第1の基板101の側から出射させる構成となる。有機化合物層は正孔輸送
層、発光層、電子輸送層の順に積層する。カラー表示が可能となるように発光層はRGB
に対応した三種類の発光層を形成すると良い。
【0107】
第2の基板の厚さを0.7mmとすると、第1の領域の基板の厚さは0.7mm、第2
の領域の基板の厚さは0.5mm、第3の領域の基板の厚さは0.4mmとなる。第2の
基板において、面積的に多く占めるのは第2の領域のため、第2の基板の厚さや重量はほ
とんど、第2の領域におけるガラス基板の厚さにより決まると考えて良い。つまり、基板
の大半を占める第2の領域において、0.5mmのガラス基板の厚さは、表示装置の薄型
化、軽量化という点で好ましい値である。
【0108】
また、本実施形態の構成によれば、表面積が大きく吸湿性が高い粒状の乾燥剤を、透湿性
のフィルムを用いて封止領域内に設けることが可能となる。また、本実施形態においては
駆動回路部上に乾燥剤を設けたが、画素部上に乾燥剤を設けることも可能である。有機発
光素子から放射される光の方向を考えると、乾燥剤を画素部上に設けてもなんら表示に影
響はないからである。
【0109】
[実施形態3]
本実施形態を図3を用いて説明する。図3は有機発光素子116が設けられた表示装置
において、有機発光素子の発光が出射する基板の表面に微細な凹凸を形成している。以下
に本実施形態について詳細に説明する。
【0110】
本実施形態にて、有機発光素子116は、陰極113、有機化合物層114、陽極11
5の順に積層され、有機発光素子116の発光は図の矢印で示す側に放射される。つまり
、ユーザーは第2の基板102の側から画像を視認する。このとき、第2の基板102と
封止空間との界面及び第2の基板と空気との界面で外光が反射するため、周囲の景色の映
り込みが生じる。この映り込みを防ぐために、第2の基板の表面に微細な凹凸を形成する

【0111】
砥粒加工法にて基板の表面を加工するさいに、第2の基板の表面に第1の領域、第2の
領域104及び第3の領域を形成した後に、基板の表面に噴射する微粉末の粒径や噴射速
度を調節して、この微細な凹凸を第1の領域、第2の領域及び第3の領域の表面に形成す
れば良い。微細な凹凸の高さは0.1μm〜3μm好ましくは0.1μm〜0.5μmと
する。また、回折を防ぐために曲率を異ならせた凹凸を設け、散乱性を上げることが好ま
しい。凸部の先端と該凸部と隣接する凸部の先端の間隔(ピッチ)を(X)とすると、X
=0.05〜1μm(好ましくは0.3〜0.8μm)とすることが好ましい。即ち、可視
光の波長とほぼ一致するようにピッチを設定すると、反射光の乱反射を効果的に生じさせ
ることができる。
【0112】
また、本実施例ではユーザーが有機発光素子により形成される画像を視認するさいに第
2の基板と空気の界面で外光が反射し、周囲の景色の映り込みが生じることを防ぐために
、第2の基板と空気との界面に反射防止フィルム128を形成している。カラー表示が可
能な表示装置の場合、RGB三色の光が発光されるため、反射防止フィルムは広帯域の波
長(400nm〜700nm)に渡って反射率が1%以下、好ましくは0.5%以下とな
ることが望ましい。
【0113】
本実施形態によれば、微細な凹凸により第2の基板と封止空間との界面における反射光
が散乱する。第2の基板の表面に設けた反射防止フィルムの効果とあいまって、第2の基
板の周囲の景色が第2の基板の界面で反射してユーザーに認識されることを防ぐことがで
きる。
【実施例1】
【0114】
本発明は有機発光素子を用いたあらゆる表示装置に適用することができる。図4はその
一例であり、TFTを用いて作製されるアクティブマトリクス型の表示装置の例を示す。
実施例のTFTはチャネル形成領域を形成する半導体膜の材質により、アモルファスシリ
コンTFTやポリシリコンTFTと区別されることがあるが、電界効果移動度が十分に高
ければ本発明はそのどちらにも適用することができる。
【0115】
駆動回路部437にnチャネル型TFT431とpチャネル型TFT432が形成され
、画素部438にスイッチング用TFT433、リセット用TFT434、電流制御用T
FT436及び保持容量435が形成されている。
【0116】
基板401は、石英やコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表
されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスから成
る基板を用いる。
【0117】
次いで、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜から
成る下地膜402が設けられる。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oか
ら作製される酸化窒化シリコン膜402aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm
)形成し、同様にSiH4、N2Oから作製される酸化窒化水素化シリコン膜402bを5
0〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では下
地膜402を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構
造として形成しても良い。
【0118】
次いで、島状半導体層403〜407、ゲート絶縁膜408、ゲート電極409〜41
2を形成する。島状半導体膜403〜407は厚さを10〜150nm、ゲート絶縁膜は
厚さを50〜200nm、ゲート電極は厚さを50〜800nmとする。
【0119】
次いで、窒化珪素、酸化窒化珪素などで形成される無機材料からなる絶縁膜と、アクリ
ルまたはポリイミドなどで形成される有機材料からなる絶縁膜との積層構造から成る層間
絶縁膜413を形成する。層間絶縁膜の厚さは1〜3μmとすると良い。有機材料からな
る絶縁膜は島状半導体膜403〜407、ゲート電極409〜412に起因する凹凸を平
坦化するに充分な厚さとすることが望ましい。
【0120】
次いで、有機発光素子の陰極423を形成する。陰極はMgAgやLiFなどの材料を
用いると良い。陰極の厚さは100nm〜200nmとすると良い。
【0121】
次いで、1〜5μmの厚さでアルミニウムを主成分とする導電性を有する膜を形成し、
エッチングを行う。これにより、画素部においては、データ配線418、ドレイン側の配
線419、電源供給配線420、ドレイン側の電極421を形成する。データ配線418
はスイッチング用TFT433のソース側に接続し、スイッチング用TFTのドレイン側
に接続したドレイン側の配線419は図示していないが電流制御用TFT436のゲート
電極411と接続し、電源供給配線420は電流制御用TFT436のドレイン側と接続
し、ドレイン側の電極421は電流制御用TFT436のソース側及び陰極と接続して設
けられている。駆動回路部437は、配線414及び配線416がnチャネル型TFT4
31の島状半導体膜403と接続され、配線415及び配線417がpチャネル型TFT
432の島状半導体膜404と接続されている。なお、本実施例ではこのアルミニウムを
主成分とする導電性を有する膜のエッチングを行う条件を調節して、これらの配線の側面
に層間絶縁膜の表面(上面)に対して15°〜70°のテーパーをつける。ランダムな方
向に放射される有機発光素子の発光をこれらの配線の側面で反射させて全反射を防止する

【0122】
次いで、これら配線を覆うように絶縁材料からなるバンク422が形成される。バンク
422は、陰極423の端部を覆うように形成され、この部分で陰極と陽極とがショート
することを防ぐ。本実施例では、酸化珪素、酸化窒化珪素などの無機材料を用いて厚さ1
〜3μmのバンクを形成する。無機絶縁膜はドレイン側の電極421等のテーパーの面に
平行に成膜されるため、スネルの法則を用いて反射光の進行方向を予測することが容易と
なる。
【0123】
次いで、有機発光素子の有機化合物層424を形成する。有機化合物層は、単層又は積
層構造で用いられるが、積層構造で用いた方が発光効率は良い。一般的には陽極上に正孔
注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順に形成されるが、正孔輸送層/発光層/電
子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層のような構
造でも良い。本発明では公知のいずれの構造を用いても良い。
【0124】
なお、本実施例ではRGBに対応した三種類の発光層を蒸着する方式でカラー表示を行
う。具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレン、緑色に
発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレン
ビニレンまたはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。発光層の厚さは30〜150n
mとすれば良い。上記の例は発光層として用いることのできる有機化合物層の一例であり
、これに限定されるものではない。
【0125】
なお、本実施例で示す有機化合物層は、発光層とPEDOT(ポリ(3,4-チオエチレン
ジオキシチオフェン)またはPAni(ポリアニリン)から成る正孔注入層を積層した構
造とする。
【0126】
次いで、ITO(酸化インジウム・スズ)で形成される陽極425を形成する。以上に
より、MgAgやLiFなどの材料を用いて形成される陰極、発光層と正孔輸送層とを積
層した有機化合物層、ITO(酸化インジウム・スズ)で形成される陽極とからなる有機
発光素子が設けられる。なお、陽極に透明電極を用いることで、図4において封止基板(
第2の基板)427の側へと光を放射させることができる。
【0127】
封止基板427の外縁部は第1の基板に対して凸状になっている。この凸状部で画素部
438における第1の基板に設けられた有機発光素子と第2の基板とのギャップを調節す
る。封止基板の凸状の外縁部でギャップが決まるため、封止基板と素子基板との間に設け
る接着性を有する層439は可能な限り薄くできる。
本実施例では接着性を有する層の厚さを1.0μmとする。
【0128】
封止基板と、有機発光素子426を設けた素子基板とはガラスからなる基板を用いる。
ただし、本実施例において封止基板の表面を加工して封止領域内に乾燥剤429が設けら
れている。このため、封止基板に金属製の基板を用いたときと変わりなく、封止領域内の
水分を乾燥剤によって吸着することができる。乾燥剤429は多孔質のフィルム430に
包まれる。多孔質のフィルムは接着剤428により乾燥剤と接着されている。また、多孔
質のフィルムが円状にくり貫かれ乾燥剤が露呈した部分に接着剤440が塗布され封止基
板427と接着されている。
【0129】
図5は図4に示した画素部の上面図を示し、便宜上図4と共通する符号を用いて示して
いる。また、図5において、A−A'線及びB−B'線に対応する断面が図4において示さ
れている。なお、鎖線で囲まれた領域の外側にバンクが設けられている。また、鎖線で囲
まれた領域の内側にRGBに対応した発光層が設けられる。
【0130】
図6ではこのような画素部の等価回路を示し、便宜上図4と共通する符号を用いて示し
ている。スイッチング用TFT433をマルチゲート構造とし、電流制御用TFT436
にはゲート電極とオーバーラップするLDDを設けている。ポリシリコンを用いたTFT
は、高い動作速度を示すが故にホットキャリア注入などの劣化も起こりやすい。そのため
、画素内において機能に応じて構造の異なるTFT(オフ電流の十分に低いスイッチング
用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFT)を形成することは、高い信頼
性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)表示装置を作製する上で非
常に有効である。
【0131】
また、スイッチング用TFT433が、導通状態から非導通状態へと変わった後も、電
流制御用TFT436を導通状態に維持し、有機発光素子の発光を持続させ、輝度の高い
表示を得るために保持容量(コンデンサー)435を設けることが有効である。
【0132】
さらに、有機発光素子の発光の時間幅を変えて階調表示をする時分割階調方式にあって
は、リセット用TFT432を導通状態にして、有機発光素子を発光の状態から非発光の
状態へと変え、有機発光素子の発光の時間幅を制御するとよい。
【0133】
このような有機発光素子を用いた表示装置において、乾燥剤を有機発光素子に近接して
設けることにより有機発光素子の劣化を防ぎ、表示装置の長期的な安定性を確保すること
ができる。かつ、封止基板を用いてギャップを制御できるため、封止基板と素子基板との
間に設けられた接着性を有する層を可能な限り薄くできる。このため、接着性を有する層
が外気に露呈する面積が低減し、接着性を有する層を通過する水蒸気の量を低減すること
ができる。
【実施例2】
【0134】
本実施例では、単位パネルの面積を多数合わせた面積に相当する母基板(マザーガラス
)を貼り合わせ、一つ一つのパネルに分断するさいに、分断の手段としてCO2レーザー
を用いる例を示す。
【0135】
CO2レーザーは、二酸化炭素を反応媒質とするレーザーであり、二酸化炭素を励起状
態にして反転分布状態にして動作させる。赤外線領域の波長(10.6nm)の光を発振
するため、レーザー光が照射される対象物を加熱することができる。
【0136】
図9の斜視図を用いてCO2レーザーを用いたガラス基板の切断方法を説明する。図9
は貼り合せたガラス基板501〜502の一方を分断する方法を示す斜視図である。矢印
の方向に移動するガラス基板501に対してレーザー照射を行う光学系504により長円
のレーザービームスポットが照射され、そのビームスポット503後方の部位(冷却部位
506)に対して、ノズル507によって冷媒が吹き付けられる。このように、レーザー
照射により過熱された部位が次に急速に冷却されることにより、ガラス基板の内部に熱歪
みが生じて、ガラス基板501がレーザー照射ライン505に沿って分断される。
【0137】
CO2レーザーを用いたガラス基板の切断をする装置としては、三星ダイヤモンド工業
社製のレーザースクライバーを用いることができる。切断される母基板(マザーガラス)
は二枚を同時に切断しても良いし、母基板(マザーガラス)を一枚ずつ切断しても良い。
二枚を同時に切断する方が、工程のタクトが向上し生産性の増加につながるため好ましい

【0138】
CO2レーザーをガラス基板面に照射して切断することで、ガラス基板の切断屑の発生
が抑制され、不良の発生を防止できる。また、CO2レーザーを用いた基板の分断方式は
レーザー照射と冷却媒質の噴射を併用しており基板にかかる衝撃が小さい。このため、表
示装置の薄型化に伴なって基板の耐衝撃性が低くなったときにCO2レーザーを用いたガ
ラス基板の分断の方式は有効である。
【実施例3】
【0139】
本発明を実施して形成された発光装置は様々な電気器具に内蔵され、画素部は映像表示
部として用いられる。本発明の電子装置としては、携帯電話、PDA、電子書籍、ビデオ
カメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置、例えばDV
D(Digital Versatile Disc)プレーヤー、デジタルカメラ、などが挙げられる。それら
電子装置の具体例を図10、図11に示す。
【0140】
図10(A)は携帯電話であり、表示用パネル9001、操作用パネル9002、接続
部9003から成り、表示用パネル9001には表示装置9004、音声出力部9005
、アンテナ9009などが設けられている。操作パネル9002には操作キー9006、
電源スイッチ9007、音声入力部9008などが設けられている。本発明は表示装置9
004に適用することができる。
【0141】
図10(B)はモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末であり、本体9201、カ
メラ部9202、受像部9203、操作スイッチ9204、表示装置9205で構成され
ている。本発明は表示装置9205に適用することができる。
このような電子装置には、3インチから5インチクラスの表示装置が用いられるが、本発
明の表示装置を用いることにより、携帯型情報端末の軽量化を図ることができる。
【0142】
図10(C)は携帯書籍であり、本体9301、表示装置9303、記憶媒体9304
、操作スイッチ9305、アンテナ9306から構成されており、ミニディスク(MD)
やDVDに記憶されたデータや、アンテナで受信したデータを表示するものである。本発
明は表示装置9303に用いることができる。携帯書籍は、4インチから12インチクラ
スの表示装置が用いられるが、本発明の表示装置を用いることにより、携帯書籍の軽量化
と薄型化を図ることができる。
【0143】
図10(D)はビデオカメラであり、本体9401、表示装置9402、音声入力部9
403、操作スイッチ9404、バッテリー9405などで構成されている。本発明は表
示装置9402に適用することができる。
【0144】
図11(A)はパーソナルコンピュータであり、本体9601、画像入力部9602、
表示装置9603、キーボード9604で構成される。本発明は表示装置9603に適用
することができる。
【0145】
図11(B)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレ
ーヤーであり、本体9701、表示装置9702、スピーカ部9703、記録媒体970
4、操作スイッチ9705で構成される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Digi
tal Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを
行うことができる。本発明は表示装置9702に適用することができる。
【0146】
また、図10(A)と(B)で示す携帯電話の操作において、操作キーを使用している
時に輝度を上げ、操作スイッチの使用が終わったら輝度を下げることで低消費電力化する
ことができる。また、着信した時に表示装置の輝度を上げ、通話中は輝度を下げることに
よっても低消費電力化することができる。また、継続的に使用している場合に、リセット
しない限り時間制御で表示がオフになるような機能を持たせることで低消費電力化を図る
こともできる。なお、これらはマニュアル制御であっても良い。
【0147】
ここでは図示しなかったが、本発明はその他にもナビゲーションシステムをはじめ冷蔵
庫、洗濯機、電子レンジ、固定電話機、ファクシミリなどに組み込む表示装置としても適
用することも可能である。このように本発明の適用範囲はきわめて広く、さまざまな製品
に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光素子が設けられた第1の基板と、透光性を有する第2の基板とを有し、前記第1の基板と前記第2の基板とは接着性を有する層を用いて貼り合わされており、
前記第2の基板の前記第1の基板と向かい合う面は第1の領域と、第2の領域とを有し、前記第1の領域は前記接着性を有する層が接着し、前記第2の領域は前記第1の領域の内側にあり前記第1の領域に対して凹状であることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−178362(P2012−178362A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110432(P2012−110432)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2009−6659(P2009−6659)の分割
【原出願日】平成14年2月1日(2002.2.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】