説明

表示装置

【課題】異常検出回路を別途設けることなく、異常動作中の駆動電圧出力回路を正常な状態に復帰させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶テレビジョン100(表示装置)は、映像が表示されるLCDパネル21と、LCDパネル21を駆動するための駆動電圧を出力するDC/DCコンバータ23とを備え、表示動作中にDC/DCコンバータ23を定期的にリセットするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に関し、特に、表示パネルを駆動するための駆動電圧を出力する駆動電圧出力回路を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示パネルを駆動するための駆動電圧を出力する駆動電圧出力回路を備える表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、表示パネルを駆動するための駆動電圧を出力するDC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)と、DC/DCコンバータが正常に動作しているか否かを判定する動作判定回路とを備える液晶表示装置が開示されている。この液晶表示装置では、動作判定回路は、DC/DCコンバータが正常に動作しているか否かを監視するとともに、DC/DCコンバータの動作が異常になったと判定した場合に、異常動作中のDC/DCコンバータの再起動(リセット)を行うように構成されている。これにより、表示動作中にDC/DCコンバータの動作が異常になった場合に、異常動作中のDC/DCコンバータを正常な状態に復帰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−114660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された液晶表示装置では、異常動作中のDC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)を正常な状態に復帰させるために、DC/DCコンバータが正常に動作しているか否かを監視する動作判定回路(異常検出回路)を別途設ける必要があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、異常検出回路を別途設けることなく、異常動作中の駆動電圧出力回路を正常な状態に復帰させることが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による表示装置は、映像が表示される表示パネルと、表示パネルを駆動するための駆動電圧を出力する駆動電圧出力回路とを備え、表示動作中に駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による表示装置では、上記のように、表示動作中に駆動電圧出力回路を定期的にリセットすることによって、表示動作中における駆動電圧出力回路の動作の正常異常に関わらず、駆動電圧出力回路が定期的にリセットされるので、表示動作中に駆動電圧出力回路の動作が異常になった場合に、駆動電圧出力回路が正常に動作しているか否かを監視する異常検出回路を別途設けることなく、異常動作中の駆動電圧出力回路を正常な状態に復帰させることができる。
【0009】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、駆動電圧出力回路は、外部から所定の大きさの電圧が入力され、かつ、第1レベルのイネーブル信号が入力された場合に、駆動電圧を出力するように構成されており、駆動電圧出力回路に外部から所定の大きさの電圧が入力され、かつ、第1レベルのイネーブル信号が入力されている状態において、イネーブル信号を第1レベルから第2レベルに変化させた後、再びイネーブル信号を第1レベルに変化させるリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中に駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている。このように構成すれば、イネーブル信号を第1レベルから第2レベルに変化させた後、再びイネーブル信号を第1レベルに変化させることにより、駆動電圧出力回路の定期的なリセット動作を容易に行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、リセット動作の際にイネーブル信号が第2レベルになっている期間は、第1レベルになっている期間よりも短く、かつ、表示パネルに表示される映像に影響を与えない程度の長さに設定されている。このようにイネーブル信号が第2レベルになっている期間の長さを短く設定すれば、表示パネルに表示されている映像に影響を与えることなく、表示動作中に駆動電圧出力回路をリセットすることができる。
【0011】
上記リセット動作を定期的に行う表示装置において、好ましくは、表示パネルの走査線を駆動するための複数の走査線駆動回路をさらに備え、複数の走査線駆動回路の同期をとるための垂直同期信号に基づく信号を利用してリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中に駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている。このように構成すれば、表示装置において一般的に用いられている垂直同期信号に基づいてリセット動作を行うことができるので、表示動作中に駆動電圧出力回路を容易にリセットすることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、垂直同期信号に基づく信号は、垂直同期信号と同期しており、かつ、垂直同期信号と略同じデューティ比を有する。このように構成すれば、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号と同期するように構成しない場合、または、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号と略同じデューティ比を有するように構成しない場合と異なり、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号から容易に生成することができる。また、このように構成すれば、駆動電圧出力回路をリセットするタイミングと、垂直同期信号が変化するタイミング(表示パネルに表示される映像が切り替わるタイミング)とを略一致させることができるので、駆動電圧出力回路のリセットが表示パネルに表示されている映像に影響を与えるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、駆動電圧出力回路の出力側に設けられ、駆動電圧出力回路がリセットされることにより駆動電圧が低下するのを抑制するためのコンデンサをさらに備える。このように構成すれば、コンデンサにより、駆動電圧出力回路のリセットに起因する駆動電圧の低下を抑制することができるので、駆動電圧が低下することに起因する表示パネルに表示される映像への悪影響(たとえば、表示パネルに表示されている映像が消えること)を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1および第2実施形態による液晶テレビジョンの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョンの全体構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョンのDC/DCコンバータ周辺の回路図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョンの表示動作中におけるDC/DCコンバータの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】比較例による液晶テレビジョンの表示動作中におけるDC/DCコンバータの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョンの全体構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョンのDC/DCコンバータ周辺の回路図である。
【図8】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョンの表示動作中におけるDC/DCコンバータの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン100の構成について説明する。なお、液晶テレビジョン100は、本発明の「表示装置」の一例である。
【0017】
本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン100は、図1に示すように、映像が表示される表示部10を備えている。また、液晶テレビジョン100は、図2に示すように、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール20と、電源30と、制御部40とを備えている。
【0018】
図2に示すように、LCDモジュール20は、表示部10を構成するLCDパネル21と、LCDパネル21の走査線21aを駆動する複数のゲートドライバ22aと、LCDパネル21のデータ線21bを駆動する複数のソースドライバ22bと、LCDパネル21を駆動するための電圧(13Vの駆動電圧)を出力可能なDC/DCコンバータ23とを含んでいる。なお、LCDパネル21は、本発明の「表示パネル」の一例である。また、ゲートドライバ22aは、本発明の「走査線駆動回路」の一例であるとともに、DC/DCコンバータ23は、本発明の「駆動電圧出力回路」の一例である。
【0019】
複数のゲートドライバ22aは、制御部40と、DC/DCコンバータ23とに接続されている。また、複数のゲートドライバ22aは、それぞれ、LCDパネル21の複数の走査線21aに接続されている。これら複数のゲートドライバ22aは、制御部40から入力される垂直同期信号(STV:Start pulse vertical)に基づいて互いに同期しながら動作するように構成されている。
【0020】
複数のソースドライバ22bは、制御部40と、DC/DCコンバータ23とに接続されている。また、複数のソースドライバ22bは、それぞれ、LCDパネル21の複数のデータ線21bに接続されている。これら複数のソースドライバ22bは、制御部40から入力される水平同期信号(STH:Start pulse horizontal)に基づいて互いに同期しながら動作するように構成されている。
【0021】
DC/DCコンバータ23は、電源30と、制御部40と、複数のゲートドライバ22aおよびソースドライバ22bに接続されている。図3に示すように、DC/DCコンバータ23は、8個の端子23a、23b、23c、23d、23e、23f、23gおよび23hを有している。端子23aには、他方電極が接地されたコンデンサC1の一方電極が接続されている。端子23b(イネーブル端子)には、イネーブル信号(DC_EN)を伝達するための信号線50aが接続されている。この信号線50aには、他方電極が接地されたコンデンサC2の一方電極が接続されている。また、この信号線50aは、抵抗R1を介して接地されている。また、端子23cは、抵抗R2を介してコンデンサC3の一方電極に接続されている。このコンデンサC3の他方電極は、接地されている。
【0022】
端子23dは、DC/DCコンバータ23から出力される13Vまたは2.7Vの出力電圧を伝達するための出力線50bに接続されている。この出力線50bには、他方電極が接地されたコンデンサC4およびC5の一方電極が接続されている。これらのコンデンサC4およびC5は、ノイズ対策などのために設けられている。第1実施形態では、これらのコンデンサC4およびC5は、DC/DCコンバータ23がリセットされることにより駆動電圧が低下するのを抑制する機能を有している。
【0023】
端子23eには、コンデンサC6の一方電極が接続されている。このコンデンサC6の他方電極は、インダクタLを介して出力線50bに接続されている。また、端子23fには、21Vの入力電圧が入力される入力線50cが接続されている。この入力線50cには、他方電極が接地されたコンデンサC7およびC8の一方電極が接続されている。また、端子23gは、インダクタLを介して出力線50bに接続されている。また、端子23hは、接地されている。
【0024】
第1実施形態では、DC/DCコンバータ23は、表示動作中(LCDパネル21に映像が表示されている際)で、かつ、異常なく正常に動作している際(通常動作時)において、電源30から21Vの入力電圧が入力され、かつ、制御部40からHレベルのイネーブル信号(DC_EN)が入力された場合に、13Vの出力電圧(駆動電圧)を出力するように構成されている。また、DC/DCコンバータ23は、表示動作中においてたとえば静電気などの電気的な負荷がかかることにより誤動作した際(異常動作時)には、電源30から21Vの入力電圧が入力され、かつ、制御部40からHレベルのイネーブル信号(DC_EN)が入力されている場合でも、通常動作時よりも小さい2.7Vの出力電圧しか出力しないように構成されている。
【0025】
ここで、第1実施形態では、DC/DCコンバータ23は、表示動作中に定期的にリセットされるように構成されている。具体的には、図4の最上段に示すように、DC/DCコンバータ23に21Vの入力電圧が入力され、かつ、Hレベルのイネーブル信号(DC_EN)が入力されている状態において、イネーブル信号(DC_EN)がHレベルからLレベルに変化された後、再びイネーブル信号(DC_EN)がHレベルに変化されるリセット動作が定期的に(周期τ1で)行われることにより、DC/DCコンバータ23が定期的にリセットされるように構成されている。
【0026】
すなわち、第1実施形態では、図4の最上段に示すように、表示動作中のDC/DCコンバータ23には、期間t1だけ継続するLレベルの信号と、期間t2だけ継続するHレベルの信号とが交互に切り替わる周期τ1のパルス状の波形を有するイネーブル信号(DC_EN)が制御部40から入力されるように構成されている。
【0027】
なお、第1実施形態では、図4に示すように、上記リセット動作の際にイネーブル信号(DC_EN)がLレベルになっている期間t1を、Hレベルになっている期間t2よりも短くするのが好ましい。また、第1実施形態では、後述するように、期間t1を、LCDパネル21に表示される映像に影響を与えない程度の長さに設定するのが好ましい。たとえば、イネーブル信号(DC_EN)がLレベルになっている期間t1を約20.8μsecに設定するとともに、リセット動作の周期τ1(=t1+t2)を1/60secに設定するのが好ましい。この場合、リセット動作の周期τ1に対するイネーブル信号(DC_EN)がHレベルになっている期間t2の割合(デューティ比)は、約99.8%になる。
【0028】
次に、図4を参照して、本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン100の表示動作中におけるDC/DCコンバータ23の動作について説明する。
【0029】
まず、図5を参照して、比較例による液晶テレビジョンの表示動作中におけるDC/DCコンバータの動作について説明する。この比較例による液晶テレビジョンでは、上記第1実施形態による液晶テレビジョン100と異なり、表示動作中のDC/DCコンバータには、常時Hレベルのイネーブル信号が制御部から入力されている。
【0030】
比較例による液晶テレビジョンでは、図5(a)に示すように、表示動作中で、かつ、DC/DCコンバータが異常なく正常に動作している際(通常動作時)において、DC/DCコンバータに21Vの入力電圧が入力され、かつ、Hレベルのイネーブル信号が入力された場合に、13Vの出力電圧(駆動電圧)が出力される。この通常動作時においては、表示パネルに映像が問題なく表示される。
【0031】
一方、比較例による液晶テレビジョンでは、表示動作中に静電気による電気的な負荷がかかった場合、DC/DCコンバータが誤動作することによって表示パネルに表示されている映像が消える現象が発生する。具体的には、比較例による液晶テレビジョンでは、図5(b)に示すように、表示動作中にDC/DCコンバータが誤動作した際(異常動作時)においては、DC/DCコンバータに21Vの入力電圧が入力され、かつ、Hレベルのイネーブル信号が入力されている場合でも、通常動作時よりも小さい2.7Vの出力電圧しか出力されなくなるため、表示パネルに表示されている映像が消える現象が発生する。
【0032】
このように、比較例による液晶テレビジョンでは、図5(a)および(b)に示すように、表示動作中にDC/DCコンバータがリセットされない(イネーブル信号が常時Hレベルである)ので、表示動作中に誤動作したDC/DCコンバータが正常な状態(13Vの駆動電圧を出力可能な状態)に復帰することがない。
【0033】
ここで、第1実施形態による液晶テレビジョン100では、図4の最上段に示すように、表示動作中のDC/DCコンバータ23には、期間t1だけ継続するLレベルの信号と、期間t2だけ継続するHレベルの信号とが交互に切り替わる周期τ1のパルス状のイネーブル信号(DC_EN)が入力される。これにより、DC/DCコンバータ23に入力されるイネーブル信号(DC_EN)がHレベルからLレベルに変化し、その後、再びHレベルに変化する動作(リセット動作)が定期的に(周期τ1で)行われるので、DC/DCコンバータ23が定期的にリセットされる。その結果、表示動作中の液晶テレビジョン100に静電気による電気的な負荷がかかることによってDC/DCコンバータ23が誤動作した場合でも、その誤動作したDC/DCコンバータ23がリセットされ、正常な状態(13Vの出力電圧を出力する状態)に復帰するので、LCDパネル21に表示されている映像が消える現象の発生が抑制される。
【0034】
なお、上記のようにDC/DCコンバータ23がリセットされる際では、イネーブル信号(DC_EN)が一時的に(期間t1だけ)Lレベルになることに起因して、DC/DCコンバータ23からの出力電圧(13Vの駆動電圧)が一時的に低下してしまう場合がある。このような場合では、DC/DCコンバータ23の出力側に設けたコンデンサC4およびC5(図3参照)の容量を適切に設定すれば、イネーブル信号がLレベルになる前のHレベルであった期間t2(図4参照)にコンデンサC4およびC5に蓄積された電力により、駆動電圧の低下が抑制することが可能である。すなわち、図4の最下段に示すように、DC/DCコンバータ23から出力される電圧を13Vに保つことが可能である。また、リセット動作の際にイネーブル信号(DC_EN)がLレベルになっている期間t1の長さを適切に設定すれば、イネーブル信号(DC_EN)がLレベルになることに起因する駆動電圧の低下がLCDパネル21に表示される映像に影響を与えないようにすることが可能である。
【0035】
第1実施形態では、上記のように、表示動作中にDC/DCコンバータ23を定期的にリセットすることによって、表示動作中におけるDC/DCコンバータ23の動作の正常異常に関わらず、DC/DCコンバータ23が定期的にリセットされるので、表示動作中にDC/DCコンバータ23の動作が異常になった場合に、DC/DCコンバータ23が正常に動作しているか否かを監視する異常検出回路を別途設けることなく、異常動作中のDC/DCコンバータ23を正常な状態に復帰させることができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、DC/DCコンバータ23に外部から(LCDモジュール20の外部の電源30から)21Vの電圧が入力され、かつ、Hレベルのイネーブル信号(DC_EN)が入力されている状態において、イネーブル信号(DC_EN)をHレベルからLレベルに変化させた後、再びイネーブル信号(DC_EN)をHレベルに変化させるリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中にDC/DCコンバータ23を定期的にリセットするように構成する。これにより、イネーブル信号(DC_EN)をHレベルからLレベルに変化させた後、再びイネーブル信号(DC_EN)をHレベルに変化させる変化させることによって、DC/DCコンバータ23の定期的なリセット動作を容易に行うことができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、リセット動作の際にイネーブル信号(DC_EN)がLレベルになっている期間t1は、Hレベルになっている期間t2よりも短く、かつ、LCDパネル21に表示される映像に影響を与えない程度の長さに設定するのが好ましい。このようにイネーブル信号(DC_EN)がLレベルになっている期間t1の長さを短く設定すれば、LCDパネル21に表示されている映像に影響を与えることなく、表示動作中にDC/DCコンバータ23をリセットすることができる。
【0038】
また、第1実施形態では、上記のように、DC/DCコンバータ23の出力側に、DC/DCコンバータ23がリセットされることにより駆動電圧(13Vの出力電圧)が低下するのを抑制するためのコンデンサC4およびC5を設ける。これにより、コンデンサC4およびC5によって、DC/DCコンバータ23のリセットに起因する駆動電圧の低下を抑制することができるので、駆動電圧が低下することに起因する表示パネル21に表示される映像への悪影響(表示パネル21に表示されている映像が消えること)を効果的に抑制することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、図1および図6〜図8を参照して、本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン100aの構成について説明する。なお、液晶テレビジョン100aは、本発明の「表示装置」の一例である。この第2実施形態では、イネーブル信号(DC_EN)のみを利用してDC/DCコンバータ23を定期的にリセットする上記第1実施形態と異なり、イネーブル信号(DC_EN)と垂直同期信号(STV)とを利用してDC/DCコンバータ23を定期的にリセットする例について説明する。
【0040】
本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン100a(図1参照)のLCDモジュール20aでは、図6に示すように、DC/DCコンバータ23に接続されたイネーブル信号(DC_EN)を伝達するための信号線50aに、垂直同期信号(STV)を伝達するための信号線50dが接続されている。
【0041】
具体的には、図7に示すように、垂直同期信号(STV)を伝達するための信号線50dは、コレクタCがイネーブル信号(DC_EN)を伝達するための信号線50aに接続されたトランジスタTのベースBに抵抗R3を介して接続されている。なお、トランジスタTのエミッタEは、接地されている。また、信号線50dは、抵抗R4を介して接地されている。
【0042】
第2実施形態では、後述するように、垂直同期信号(STV)を利用したリセット動作が定期的に行われることにより、DC/DCコンバータ23が定期的にリセットされるように構成されている。ここで、垂直同期信号(STV)は、図8の最上段から2段目に示すように、期間t3だけ継続するHレベルの信号と、期間t4だけ継続するLレベルの信号とが交互に切り替わる周期τ2のパルス状の波形を有している。第2実施形態では、垂直同期信号(STV)のデューティ比(τ2に対するt3の割合)は、約0.02%である。このような垂直同期信号(STV)は、液晶テレビジョン100aにおいて一般的に用いられている。
【0043】
また、第2実施形態では、図8の最上段に示すように、制御部40aは、表示動作中のDC/DCコンバータ23に常時Hレベルのイネーブル信号(DC_EN)を送信するように構成されている。
【0044】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0045】
次に、図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン100aの表示動作中におけるDC/DCコンバータ23の動作について説明する。
【0046】
第2実施形態による液晶テレビジョン100aでは、図8の最上段に示すように、制御部40aは、表示動作中のDC/DCコンバータ23に常時Hレベルのイネーブル信号(DC_EN)を送信する。ここで、第2実施形態では、図7および図8に示すように、表示動作中に垂直同期信号(STV)がLレベルからHレベルに変化すると、トランジスタTがオン状態となり、その結果、端子23b(イネーブル端子)(図7参照)に入力される信号がHレベルからLレベルに変化する。また、端子23bに入力される信号がLレベルに変化した時から期間t3経過すると、垂直同期信号(STV)がHレベルからLレベルに変化し、その結果、端子23bに入力される信号がLレベルからHレベルに変化する。また、端子23bに入力される信号がHレベルに変化した時から期間t4経過すると、垂直同期信号(STV)が再びHレベルに変化し、その結果、端子23bに入力される信号が再びLレベルに変化する。
【0047】
このように、第2実施形態では、図8の最上段から3段目に示すように、表示動作中のDC/DCコンバータ23の端子23b(図7参照)には、期間t3だけ継続するLレベルの信号と、期間t4だけ継続するHレベルの信号とが交互に切り替わる周期τ2(=t3+t4)のパルス状の信号が入力される。この表示動作中のDC/DCコンバータ23の端子23bに入力される信号は、垂直同期信号(STV)を反転させた波形を有しており、そのデューティ比(τ2に対するt4の割合)は、約99.8%である。
【0048】
以上により、第2実施形態では、表示動作中のDC/DCコンバータ23の端子23b(図7参照)に上記周期τ2のパルス状の信号(図8の最上段から3段目参照)が入力されることによって、DC/DCコンバータ23が定期的に(周期τ2で)リセットされる。その結果、表示動作中の液晶テレビジョン100aにたとえば静電気による電気的な負荷がかかることによってDC/DCコンバータ23が誤動作した場合でも、その誤動作したDC/DCコンバータ23がリセットされ、正常な状態(13Vの出力電圧を出力する状態)に復帰するので、LCDパネル21に表示されている映像が消える現象の発生が抑制される。
【0049】
なお、第2実施形態では、DC/DCコンバータ23がリセットされる際では、図8の最下段に示すように、端子23bに入力される信号(図8の最上段から3段目参照)が一時的に(期間t3だけ)Lレベルになることに起因して、DC/DCコンバータ23からの出力電圧が一時的に13Vから2.7Vまで低下してしまう。ここで、第2実施形態では、図8に示すように、出力電圧が低下するタイミングと、垂直同期信号(STV)がHレベルになるタイミング(LCDパネル21に表示される映像が切り替わるタイミング)とが略一致しているので、出力電圧の低下がLCDパネル21に表示されている映像に影響を与えるのを抑制することが可能である。
【0050】
第2実施形態では、上記のように、複数のゲートドライバ22aの同期をとるための垂直同期信号(STV)を利用してリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中にDC/DCコンバータ23を定期的にリセットするように構成されている。これにより、液晶テレビジョン100aにおいて一般的に用いられている垂直同期信号(STV)を利用してリセット動作を行うことができるので、表示動作中にDC/DCコンバータ23を容易にリセットすることができる。
【0051】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明を表示装置としての液晶テレビジョンに適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明は、PC(Personal Computer)のモニタなどの他の表示装置にも適用可能である。
【0054】
また、上記第1および第2実施形態では、Hレベルのイネーブル信号をLレベルに変化させた後、再びイネーブル信号をHレベルに変化させるリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中にDC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)を定期的にリセットする例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、上記以外の手段により、表示動作中にDC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)を定期的にリセットしてもよい。
【0055】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の第1レベルおよび第2レベルをそれぞれHレベルおよびLレベルとする例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1レベルおよび第2レベルをそれぞれLレベルおよびHレベルとしてもよい。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、デューティ比が約99.8%のパルス状の信号を用いてDC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)を定期的にリセットする例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、DC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)を定期的にリセットすることが可能であれば、99.8%よりも大きいデューティ比を有する信号を用いてもよいし、99.8%よりも小さいデューティ比を有する信号を用いてもよい。ただし、デューティ比を99.8%よりも大きくする場合には、確実にリセット動作を行うことが可能なデューティ比に設定する必要がある。また、デューティ比を99.8%よりも小さくする場合には、表示パネルに表示される映像に影響を与えない程度のデューティ比に設定する必要がある。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、DC/DCコンバータ23の出力側に設けられたノイズ対策などのためのコンデンサC4およびC5(図7参照)を、DC/DCコンバータがリセットされることにより駆動電圧が低下するのを抑制するためのコンデンサとする例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、DC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)がリセットされることにより駆動電圧が低下するのを抑制する専用のコンデンサを、ノイズ対策などのためのコンデンサとは別個に設けてもよい。
【0058】
また、上記第2実施形態では、図8の最上段から2段目に示すようなパルス状の波形を有する垂直同期信号(STV)を利用することにより、端子23b(イネーブル端子)(図7参照)に入力される信号を図8の最上段から3段目に示すようなパルス状の波形にする例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、垂直同期信号(STV)に基づいて適当な手段により生成した垂直同期信号(STV)に基づく信号を利用することにより、端子23bに入力される信号を上記パルス状の波形にしてもよい。
【0059】
なお、この場合、垂直同期信号に基づく信号を、垂直同期信号と同期させ、かつ、垂直同期信号と略同じデューティ比を有するように構成するのが好ましい。なぜなら、このように構成すれば、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号と同期するように構成しない場合、または、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号と略同じデューティ比を有するように構成しない場合と異なり、垂直同期信号に基づく信号を垂直同期信号から容易に生成することができるからである。また、このように構成すれば、駆動電圧出力回路をリセットするタイミングと、垂直同期信号が変化するタイミング(表示パネルに表示される映像が切り替わるタイミング)とを略一致させることができるので、駆動電圧出力回路のリセットが表示パネルに表示されている映像に影響を与えるのを抑制することができるからである。
【0060】
また、上記第2実施形態では、イネーブル信号(DC_EN)を伝達するための信号線50aと、垂直同期信号(STV)を伝達するための信号線50dとを、バイポーラトランジスタからなるトランジスタT(図7参照)を介して接続する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、イネーブル信号を伝達するための信号線と、垂直同期信号を伝達するための信号線とをバイポーラトランジスタ以外のたとえばMOSトランジスタを介して接続してもよい。
【0061】
また、上記第2実施形態では、端子23b(イネーブル端子)に入力される信号を図8の最上段から3段目に示すようなパルス状の波形にするために、オン状態となることによりHレベルの端子23bに入力される信号をLレベルに変化させるとともに、オフ状態となることによりLレベルの端子23bに入力される信号をHレベルに変化させるトランジスタT(図7参照)を設ける例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、トランジスタを設ける以外の手段により、端子23bに入力される信号を上記パルス状の波形にしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
21 LCDパネル(表示パネル)
23 DC/DCコンバータ(駆動電圧出力回路)
100、100a 液晶テレビジョン(表示装置)
C4、C5 コンデンサ
DC_EN イネーブル信号
STV 垂直同期信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像が表示される表示パネルと、
前記表示パネルを駆動するための駆動電圧を出力する駆動電圧出力回路とを備え、
表示動作中に前記駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている、表示装置。
【請求項2】
前記駆動電圧出力回路は、外部から所定の大きさの電圧が入力され、かつ、第1レベルのイネーブル信号が入力された場合に、前記駆動電圧を出力するように構成されており、
前記駆動電圧出力回路に外部から前記所定の大きさの電圧が入力され、かつ、前記第1レベルのイネーブル信号が入力されている状態において、前記イネーブル信号を第1レベルから第2レベルに変化させた後、再び前記イネーブル信号を第1レベルに変化させるリセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中に前記駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記リセット動作の際に前記イネーブル信号が第2レベルになっている期間は、第1レベルになっている期間よりも短く、かつ、前記表示パネルに表示される映像に影響を与えない程度の長さに設定されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルの走査線を駆動するための複数の走査線駆動回路をさらに備え、
前記複数の走査線駆動回路の同期をとるための垂直同期信号に基づく信号を利用して前記リセット動作を定期的に行うことにより、表示動作中に前記駆動電圧出力回路を定期的にリセットするように構成されている、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記垂直同期信号に基づく信号は、前記垂直同期信号と同期しており、かつ、前記垂直同期信号と略同じデューティ比を有する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記駆動電圧出力回路の出力側に設けられ、前記駆動電圧出力回路がリセットされることにより前記駆動電圧が低下するのを抑制するためのコンデンサをさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226164(P2012−226164A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94337(P2011−94337)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】