説明

表示装置

【課題】駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑える。
【解決手段】複数のサブフレーム期間を用いて、階調表示される画素部を有し、
第1のテーブルは、画素部のうち第1の画素の階調に応じた複数のサブフレーム期間が記録され、第2のテーブルは、画素部のうち、第1の画素に隣接する第2の画素の階調に応じた複数のサブフレーム期間が記録され、同一階調を表示するために第1のテーブルに記録された複数のサブフレーム期間の数と、第2のテーブルに記憶された複数のサブフレーム期間の数は異なり、記第1のテーブルに記憶された、階調が1段階異なっている2つのサブフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間が存在し、記第2のテーブルに記憶された、階調が1段階異なっている2つのサブフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間が存在している表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間階調法で表示を行う表示装置及び該表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一つである発光装置の駆動方法に、デジタルのビデオ信号が有する2値の電圧
を用い、1フレーム期間中において画素が発光する時間を制御することで、階調を表示す
る時間階調法がある。一般的に液晶などに比べて電界発光材料の応答速度は速いため、時
間階調法により適していると言える。具体的に時間階調法で表示を行う場合、1フレーム
期間を複数のサブフレーム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期
間において画素を発光または非発光の状態にする。上記構成により、1フレーム期間中に
画素が実際に発光する期間の合計の長さを、ビデオ信号により制御し、階調を表示するこ
とができる。
【0003】
しかし時間階調法で表示を行う場合、フレーム周波数によっては画素部に擬似輪郭が表示
されてしまうという問題があった。擬似輪郭とは、時間階調法で中間階調を表示したとき
に度々視認される不自然な輪郭線であって、人間の視覚の特性によって生じる知覚輝度の
変動が主な原因とされている。
【0004】
上述した擬似輪郭を防止するための技術として、下記特許文献1には、発光の状態にある
サブフレーム期間を1フレーム期間内に連続的に出現させるプラズマディスプレイの駆動
方法について記載されている。上記駆動方法により、隣り合うフレーム期間どうしで、1
フレーム期間内において発光の状態にある期間と、非発光の状態にある期間とが互いに反
転するような事態が生じなくなるので、擬似輪郭を抑制出来るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−231362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に記載されている駆動方法では、総階調数と、1フレーム期間内に出現
するサブフレーム期間の数とが一致している。よって、総階調数を高めるためにサブフレ
ーム期間の数を増やすと、各サブフレーム期間を短くする必要が生じる。ところが通常の
表示装置では、ビデオ信号をサブフレーム期間ごとに全ての行の画素に入力しなくてはな
らない。そのため、サブフレーム期間が短すぎる場合、駆動回路の駆動周波数を高める必
要がある。よって、駆動回路の信頼性を考慮すると、むやみにサブフレーム期間を短くす
るのは好ましくない。
【0007】
なお、フレーム期間を長くすることで、各サブフレーム期間をある程度長くすることはで
きる。しかし、フレーム期間を長くしても総階調数を飛躍的に増やすことは期待できず、
その上擬似輪郭が発生しやすくなるので好ましくない。
【0008】
そこで特許文献1では、ディザなどの画像処理を行ない、サブフレームの数を増やさずに
、表示する総階調数を擬似的に高める技術についても記載されている。しかしディザなど
の画像処理を行うと、高い総階調数を表示することはできるが、砂を撒いたように画像が
ざらついて表示されるため、画質の低下は免れない。
【0009】
本発明は上述した問題に鑑み、駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑え
ることができる表示装置の駆動方法の提案を課題とする。また本発明は、画質の低下を抑
えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる表示装置の駆動方法の提案を課題とする。
【0010】
また本発明は上述した問題に鑑み、駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を
抑えることができる表示装置の提案を課題とする。また本発明は、画質の低下を抑えつつ
、擬似輪郭の発生を抑えることができる表示装置の提案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を鑑み本発明は、表示装置に複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となる
サブフレームを定めたデータが記憶されたテーブルがそれぞれ設けられていることを特徴
とする。複数のサブフレーム期間は、複数の画素から任意の画素に対して決められる。こ
のようなテーブルはメモリに記憶されていることを特徴とする。
【0012】
以下に本発明の具体的な構成を示す。
【0013】
本発明の一形態は、発光の状態となるサブフレーム期間を定めたデータが記憶された複数
のテーブルと、データに従ってビデオ信号を出力するコントローラと、出力されたビデオ
信号に従って、画素の階調が制御される画素部と、を有し、複数のテーブルは、画素部の
うち隣接する画素間で異なることを特徴とする表示装置である。
【0014】
本発明の別の形態は、発光の状態となるサブフレーム期間を定めたデータが記憶された複
数のテーブルと、データに従ってビデオ信号を出力するコントローラと、出力されたビデ
オ信号に従って、画素の階調が制御される画素部と、を有し、複数のテーブルは、画素部
のうち隣接する画素間で異なり、且つサブフレーム期間を有するフレーム期間ごとに、画
素に対するテーブルは異なることを特徴とする表示装置である。
【0015】
本発明の表示装置において、複数のサブフレーム期間の数及び長さは、共有率Rshにより
求められたサブフレーム率RSFに従って決定されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明の表示装置において、複数のテーブル間において、ある階調を表示するために
定められたサブフレーム期間の組み合わせは異なっていることを特徴とする。
【0017】
また本発明の表示装置には、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を備えた
発光装置、液晶表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Dis
play Panel)、FED(Field Emission Display)、その他の時間階調法で表示が可能な
表示装置がその範疇に含まれる。また発光装置は、発光素子が封止された状態にあるパネ
ルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含んだ
状態を指す。
【0018】
また本発明の表示装置の駆動方法の一形態は、隣接する第1の画素及び第2の画素を少な
くとも有し、発光の状態となるサブフレーム期間を定めたデータが記憶された複数のテー
ブルから選ばれた第1のテーブルを第1の画素に対して設け、複数のテーブルから選ばれ
た第2のテーブルを第2の画素に対して設けることを特徴とする。
【0019】
また本発明の表示装置の駆動方法の別形態は、隣接する第1の画素及び第2の画素を少な
くとも有し、発光の状態となるサブフレーム期間を定めたデータが記憶された複数のテー
ブルから選ばれた第1のテーブルを第1の画素に対して設け、複数のテーブルから選ばれ
た第2のテーブルを第2の画素に対して設け、複数のテーブル間において、ある階調を表
示するために定められたサブフレーム期間の組み合わせが異なることを特徴とする。
【0020】
本発明の表示装置の駆動方法において、サブフレーム期間を有するフレーム期間ごとに、
第1のテーブルと、第2のテーブルとを入れ替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように、少なくとも2以上の画素に対して、それぞれテーブルを設けることにより、
擬似輪郭の発生を低減することができる。また1フレーム期間ごとに、第1のテーブルと
、第2のテーブルとを変えることにより、さらに擬似輪郭の発生を低減することができる

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の画素部及びテーブルを示した図である
【図2】本発明の画素部及びテーブルを示した図である
【図3】共有率と、擬似輪郭の発生との関係を調べるために行った実験において、表示に用いたパターンを示す図である
【図4】1フレーム期間におけるサブフレーム期間SF1の割合をR1(%)としたとき、R1(%)と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数との関係を示すグラフである
【図5】フレーム周波数と、擬似輪郭の発生を抑制できる最低の共有率との関係を示すグラフである
【図6】発光の状態にあるサブフレーム期間と階調との関係と、階調が1段階低い場合と比較したときの、共有率を示すグラフである
【図7】本発明の発光装置の構成を示したブロック図である
【図8】本発明の発光装置が有する画素の一例を示した図である
【図9】本発明の駆動方法において、4ビットの階調を表示する場合のタイミングチャートである
【図10】本発明の発光装置が有する画素を示した断面図である
【図11】本発明の発光装置が有する画素を示した断面図である
【図12】本発明の発光装置が有する画素を示した断面図である
【図13】本発明の発光装置を示した上面図及び断面図である
【図14】本発明の電子機器を示す図である
【図15】階調比と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数との関係を示すグラフである
【図16】従来のサブフレーム期間と、本発明のサブフレーム期間とを示した図である
【図17】発光の状態にあるサブフレーム期間と階調の関係と、階調が1段階低い場合とを比較したときの、共有率を示すグラフである
【図18】本発明の画素部及びテーブルを示した図である
【図19】本発明のタイミングチャートを示した図である
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態
様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形
態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するため
の全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り
返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、複数の画素間で、複数のテーブルを用いる場合について説明する。
【0025】
図1に示すように、画素部100は複数の画素101を有している。この画素101のう
ち、隣接する任意の画素(A)(B)に対して、それぞれ異なるテーブル(Table
a、b)を設ける。言い換えると、発光の状態となるサブフレーム期間を定めたデータが
記憶された複数のテーブルから選ばれたテーブルaと、テーブルbを用意し、隣接する画
素(A)に対して、テーブルaを設け、画素(B)に対して、テーブルbを設ける。
【0026】
このとき、隣接する画素(A)(B)の配置は、(m、n)(m、n+1)と表すことが
できる。ここで、mは画素部における行方向の任意の画素数、nは画素部における列方向
の任意の画素数である。このとき、次の行である(m+1)行目では、画素(A)(B)
が上下に隣接しないように配置する。すなわち(m+1)行目においては、画素(A)(
B)の配置は、(m+1、n+1)(m+1、n)となる。このような画素の配置を全体
でみると、画素(A)(B)はそれぞれ対角状になっている。
【0027】
このような配置された画素に対して、それぞれ設けるテーブルa、bは、それぞれ異なる
タイミングで、ある階調を表示するように設定されている。このように異なるタイミング
である階調を表示するためには、共有率を考慮した上、サブフレーム期間の長さを決定す
る。なお共有率とは、階調が1段階異なっている2つのフレーム期間において、共通して
発光の状態にあるサブフレーム期間の長さの割合である。
【0028】
具体的な共有率を求め方は、フレーム期間をSF1〜SF3のサブフレーム期間に分けた場
合、先のフレーム期間でSF3のみ発光し、次のフレーム期間でSF1〜SF3がすべて発
光する場合、共有率はSF3/(SF1+SF2+SF3)×100(%)となる。
【0029】
一般的に、サブフレーム期間の長さは、20:21:22:23:・・・となるように設定さ
れるが、本発明では、これに制約されることなく、共有率を考慮してサブフレーム期間の
長さを決定することを特徴とする。
【0030】
図16に、サブフレーム期間の構成を、一例として示す。図16(A)は、総階調数24
の表示を行う際の、従来法による階調7のサブフレーム期間の構成と、階調8のサブフレ
ーム期間の構成とを示している。図16(A)では4つのサブフレーム期間SF1〜SF4
を用いており、さらにサブフレーム期間SF4は2つに分割している。各サブフレーム期
間SF1〜SF4の長さの比は、SF1:SF2:SF3:SF4=1:2:4:8となってい
る。またBKで示される期間は、発光素子を強制的に非発光の状態とする期間(非表示期
間)に相当するため、階調には寄与しない。
【0031】
図16(A)において階調7を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF
1、SF2、SF3、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSF4である。そして、階調8
を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF4、非発光の状態にあるサブ
フレーム期間はSF1、SF2、SF3である。従って、共に発光の状態にあるサブフレー
ム期間は存在しないので、共有率は0%である。このような図16(A)に示すサブフレ
ーム期間の構成では、疑似輪郭が発生しやすいと言える。
【0032】
また図16(B)には、図16(A)とは異なり、共有率を考慮したサブフレーム期間の
構成を示す。図16(B)は図16(A)と同様に、総階調数24の表示を行う際の階調
7のサブフレーム期間の構成と、階調8のサブフレーム期間の構成とを示している。図1
6(B)では8つのサブフレーム期間SF1〜SF8を用いている。各サブフレーム期間S
1〜SF8の長さの比は、SF1:SF2:SF3:SF4:SF5:SF6:SF7:SF8
1:1:1:2:2:2:3:3となっている。なおBKで示される期間は非表示期間に
相当するため、階調には寄与しない。
【0033】
図16(B)において階調7を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF
3、SF7、SF8、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSF1、SF2、SF4、SF5
、SF6である。そして、図16(B)において階調8を表示する場合、発光の状態にあ
るサブフレーム期間はSF6、SF7、SF8、非発光の状態にあるサブフレーム期間はS
1、SF2、SF3、SF4、SF5である。従って、共通して発光の状態にあるサブフレ
ーム期間はSF7、SF8であるので、共有率は(SF7+SF8)×100/(SF6+S
7+SF8)=75%である。よって、図16(B)に示すサブフレーム期間の構成は、
図16(A)の場合よりも疑似輪郭が発生しにくいと言える。
【0034】
さらに本発明のサブフレーム期間は、階調7や8といったある階調を表示するため、発光
状態となるサブフレーム期間の組み合わせが複数ある。例えば図16(B)において、階
調7を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間を、(SF1、SF7、SF8
、(SF2、SF7、SF8)、又は(SF1、SF4、SF5、SF6)等とすることができ
る。また階調8を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間を、(SF6、SF7
、SF8)、(SF1、SF2、SF7、SF8)、又は(SF1、SF2、SF4、SF5、S
6)等とすることができる。それ故、各画素に異なるテーブルを設けることができる。
どのようなサブフレーム期間の組み合わせとするかは、共有率を考慮して決定することが
できる。その結果、テーブルに応じて、擬似輪郭の発生しにくい階調を定めた表示装置を
提供することができる。
【0035】
次に、共有率Rshと総階調数から、1フレーム期間が有する各サブフレーム期間の長さを
定める方法について、具体的に説明する。
【0036】
まず共有率Rshを、駆動に用いるフレーム周波数から求める。擬似輪郭はフレーム周波数
が高いほど発生しにくく、逆にフレーム周波数が低いほど発生しやすい。そのため、フレ
ーム周波数を予め決めておけば、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の
共有率を、表示装置ごとに定めることができる。
【0037】
図5に、フレーム周波数(Hz)と、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最
低の共有率(%)の関係を、一例として示す。
【0038】
図5に示すように、共有率が低いほど、擬似輪郭の発生を抑制するために、より高いフレ
ーム周波数が必要となる。なお擬似輪郭が発生しているか否かの判断基準は、実施者が適
宜決めることができるので、必ずしも図5と同じ数値の関係が導き出されるとは限らない
。しかし、定められた一定の判断基準の下であれば、フレーム周波数が高いほど、擬似輪
郭の発生を抑制できるという、フレーム周波数(Hz)と、擬似輪郭の発生を抑制するこ
とができるであろう最低の共有率(%)との関係を導き出すことができる。
【0039】
図5に示したグラフから、特定のフレーム周波数を用いた場合の、擬似輪郭の発生を抑制
することができるであろう最低の共有率(%)を導き出したら、該共有率と同じかそれ以
上の値を有する共有率Rshを決定することができる。共有率Rshを決定したら、次は共有
率Rshから各サブフレーム期間の長さを決める。
【0040】
まず、1フレーム期間に含まれるn個のサブフレーム期間を、最も短いほうから順にSF
1〜SFnとする。そして、SF1〜SFp(p<nとする)を全て発光させたときに、階調
m(m<2n)の表示を行うことができると仮定する。この場合、階調mを表示する際に
発光するサブフレーム期間SF1〜SFpの、合計の長さをTmとすると、Tmは以下の式1
で表すことができる。
【0041】
【数1】

【0042】
次に、階調(m+1)を表示する場合について考える。SF1〜SFpを全て発光させたと
きに、階調mの表示を行うことができるので、階調(m+1)を表示するためには、SF
pよりも長いSFp+1を用いる必要がある。またそれと共に、SFp+1から1階調分の長さ
(例えばSF1に相当する長さ)を差し引いた分に相当する、単数または複数のサブフレ
ーム期間を、SF1〜SFpから除いて表示を行う必要がある。よって、階調(m+1)を
表示する際に発光するサブフレーム期間の、合計の長さをTm+1とすると、Tm+1は以下の
式2で表すことができる。
【0043】
【数2】

【0044】
ここで、Σ(SF1〜SFp+1)に対するSFp+1の割合を、サブフレーム率RSFとすると
、RSFは以下の式3で表すことができる。
【0045】
【数3】

【0046】
式3から、以下の式4を導き出すことができる。
【0047】
【数4】

【0048】
また、階調mを表示する場合と、階調(m+1)を表示する場合とで、共に発光するサブ
フレーム期間の、合計の長さをWm/m+1とすると、Wm/m+1は以下の式5で表すことができ
る。
【0049】
【数5】

【0050】
よって、式1、式4、式5から、以下の式6が導き出される。
【0051】
【数6】

【0052】
また、階調mを表示する場合と、階調(m+1)を表示する場合とで、共に発光するサブ
フレーム期間の共有率Rshは、以下の式7のように表される。
【0053】
【数7】

【0054】
よって、式2、式4、式6、式7から、以下の式8が導き出される。
【0055】
【数8】

【0056】
したがって、式8から、以下の式9を導き出すことができる。
【0057】
【数9】

【0058】
よって式9に、共有率Rshの値を代入することで、サブフレーム率RSFの値を導き出すこ
とができる。サブフレーム率RSFはΣ(SF1〜SFp+1)に対するSFp+1の割合である
。上記サブフレーム率RSFを用いることで、最も長いサブフレーム期間SFnから順に、
各サブフレーム期間の長さを決めることができる。
【0059】
このように共有率を考慮して、サブフレーム期間の長さを決めると、上述したように、あ
る階調を表示するために発光するサブフレーム期間に、選択の幅がでてくる。すなわち、
発光の状態となるサブフレームを定めたデータが記憶された複数のテーブル間で冗長性が
でる。そのため、複数の画素に対してそれぞれ、複数のテーブルから選ばれたあるテーブ
ルを設けることができるのである。
【0060】
このように少なくとも2以上の画素に対して、それぞれテーブルを設けることにより、擬
似輪郭の発生しやすい階調を分散することで、擬似輪郭を目立たなくすることができる。
【0061】
なお本実施の形態では、画素(A)(B)に対してそれぞれテーブルを設ける場合につい
て説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、4つのテーブルを設ける場合、そ
れぞれのテーブルが設けられた画素を矩形状に配置してもよい。すなわち本発明は、少な
くとも2以上の画素に対してそれぞれテーブルを設けることにより、従来の方法と比較し
て擬似輪郭を防止することができる。
【0062】
なお、上述した本発明の駆動方法を行う表示装置は、信号の入力に対して決められた信号
を出力するテーブルは、一種のルックアップテーブルであり、ハードウェアとしてはRO
MやRAM等のメモリに記憶される。
【0063】
本実施の形態に示した駆動方法において、サブフレーム期間を反転させてもよい。例えば
、1フレーム期間内において、1組のサブフレーム期間をその端部において反転させる。
その結果、さらに擬似輪郭、特に動画擬似輪郭を防止することができる。
【0064】
(実施の形態2)
本実施の形態では、サブフレーム期間の具体例を示す。
【0065】
図6に、4ビットのビデオ信号を用いて総階調数24を表示する場合の発光の状態にある
サブフレーム期間の具体例を示す。図6では、横軸が階調、左縦軸が発光の状態にあるサ
ブフレーム期間の合計の長さ(発光期間)に相当する。また同じく図6に、階調が1段階
低い場合と比較した時の共有率Rsh(%)を、右縦軸に併せて示す。なお図6では、9つ
のサブフレーム期間SF1〜SF9を用いて表示を行っている例を示している。各サブフレ
ーム期間SF1〜SF9の長さの比は、SF1から順に、1:1:1:1:1:2:2:3
:3となっている。
【0066】
このサブフレーム期間において、同一な長さを有する期間が存在する。そのため、ある階
調を表示するために選択されるサブフレーム期間の組み合わせは複数あり、この組み合わ
せに応じて異なるテーブルを設定することができる。
【0067】
このようなテーブルは、一種のルックアップテーブルである。そしてテーブルは、ハード
ウェアとしてはROMやRAM等のメモリに記録されている。
【0068】
図6では、階調4〜16を表示する際に、共有率Rsh(%)が65%以上に保たれるよう
に、各サブフレーム期間の長さを定めている。なお、共有率Rshの定義上、階調0、1で
は、共有率Rsh(%)は満たされない。また図6では、比較的低い階調2において、共有
率Rsh(%)が満たされていない。これは、低い階調では擬似輪郭が発生しにくいので、
必ずしも共有率Rsh(%)を満たしておく必要はないからである。
【0069】
また図17に、6ビットのビデオ信号を用いて総階調数26を表示する場合の発光の状態
にあるサブフレーム期間の具体例を示す。図17では、横軸が階調、左縦軸が発光の状態
にあるサブフレーム期間の合計の長さ(発光期間)に相当する。発光期間の長さによって
、表示される階調が決まる。また同じく図17に、階調が1段階低い場合と比較した時の
共有率Rsh(%)を、右縦軸に併せて示す。なお図17では、12のサブフレーム期間S
1〜SF12を用いて表示を行っている例を示している。各サブフレーム期間SF1〜SF
12の長さの比は、SF1から順に、1:2:3:3:4:4:5:6:7:8:9:11
となっている。
【0070】
このサブフレーム期間において、同一な長さを有する期間が存在する。そのため、ある階
調を表示するために選択されるサブフレーム期間の組み合わせは複数あり、この組み合わ
せに応じて異なるテーブルを設定することができる。
【0071】
このようなテーブルは、一種のルックアップテーブルであり、ハードウェアとしてはRO
MやRAM等のメモリに記憶される。
【0072】
図17では、階調12〜63を表示する際に、共有率Rsh(%)が70%以上に保たれる
ように、各サブフレーム期間の長さを定めている。なお、共有率Rshの定義上、階調0、
1では、共有率Rsh(%)は満たされない。また図17では、比較的低い階調2〜11に
おいて、共有率Rsh(%)が満たされていない。これは、低い階調では擬似輪郭が発生し
にくいので、必ずしも共有率Rsh(%)を満たしておく必要はないからである。
【0073】
このように、共有率を考慮してサブフレーム期間を決定することにより、複数の異なるテ
ーブルを設定することができる。この複数のテーブルを、各画素に適用することにより、
擬似輪郭の防止を図ることができるのである。
【0074】
(実施の形態3)
本実施の形態では、各画素に対応するテーブルを固定せずに、フレーム期間毎に変更する
場合について説明する。
【0075】
例えば、Tフレーム目には図2(A)に示すように隣接している画素(A)(B)に対し
て、テーブルa、bをそれぞれ設ける。
【0076】
そして、(T+1)フレーム目には図2(B)に示すように、画素(A)(B)の位置に
対応して設けられていたテーブルa、bを反転するように設ける。このようにフレーム毎
に、各画素位置に対応して設けられていたテーブルを変更することができる。このテーブ
ルの内容や変更の情報は、ROMやRAMに記憶させておくことができる。
【0077】
以上のように、フレーム毎に各画素に対応したテーブルを変更する、つまり発光の状態と
なるサブフレーム期間を定めたデータが記憶されたテーブル入れ替えることにより、さら
に擬似輪郭を防止することができる。
【0078】
なお本実施の形態では、画素(A)(B)に対してそれぞれテーブルを設ける場合につい
て説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、4つのテーブルを設ける場合、そ
れぞれのテーブルが設けられた画素を矩形状に配置してもよい。
すなわち本発明は、少なくとも2以上の画素に対してそれぞれテーブルを設けることによ
り、従来の方法と比較して擬似輪郭を防止することができる。
【0079】
(実施の形態4)
本実施の形態では、表示装置の一つである発光装置の具体的な構成について説明する。図
7(A)に、本発明の発光装置の構成を、ブロック図で一例として示す。図7に示す発光
装置は、パネル104と、コントローラ102と、テーブル103とを有している。さら
にパネル104は、各画素に発光素子を有する画素部100と、信号線駆動回路105と
、走査線駆動回路106とを有している。
【0080】
テーブル103は、ハードウェアとしてはROMやRAM等のメモリに記憶され、またテ
ーブルは、画素に応じて複数設けられている。またメモリには、各テーブルに対応した画
素配置の情報等も記憶されている。そして該メモリには、サブフレーム率RSFに従って、
1フレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間の数及び長さと、各階調において前記
複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間を定めるためのデー
タが記憶されている。そしてサブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共
有率Rshに従い、算出されている。
【0081】
コントローラ102は、テーブル103に記憶されているデータに従って、入力されたビ
デオ信号の階調に応じて、発光の状態となるサブフレーム期間を定め、それを出力するこ
とができる。またコントローラ102はフレームメモリを有しており、テーブル103に
記憶されている複数の各サブフレーム期間の長さ、信号線駆動回路105または走査線駆
動回路106の駆動周波数などに合わせて、クロック信号、スタートパルス信号などの、
各種制御信号を生成することができる。
【0082】
なお図7(A)では、ビデオ信号の変換と、制御信号の生成とを、共にコントローラ10
2で行う例について示したが、本発明はこの構成に限定されない。ビデオ信号の変換を行
うコントローラと、制御信号を生成するコントローラとを、別個に発光装置に設けるよう
にしても良い。
【0083】
図7(B)に、図7(A)に示したパネル104の、より具体的な構成の一例を示す。
【0084】
図7(B)において信号線駆動回路105は、シフトレジスタ110、ラッチA111、
ラッチB112を有している。シフトレジスタ110には、クロック信号(CLK)、ス
タートパルス信号(SP)などの各種制御信号が入力されている。クロック信号(CLK
)とスタートパルス信号(SP)が入力されると、シフトレジスタ110においてタイミ
ング信号が生成される。生成したタイミング信号は、一段目のラッチA111に順に入力
される。ラッチA111にタイミング信号が入力されると、該タイミング信号のパルスに
同期して、コントローラ102から入力されたビデオ信号が、順にラッチA111に書き
込まれ、保持される。なお、本実施の形態ではラッチA111に順にビデオ信号を書き込
んでいるが、本発明はこの構成に限定されない。複数のステージのラッチA111をいく
つかのグループに分け、グループごとに並行してビデオ信号を入力する、いわゆる分割駆
動を行っても良い。なおこのときのグループの数を分割数と呼ぶ。例えば4つのステージ
ごとにラッチをグループに分けた場合、4分割で分割駆動するといえる。
【0085】
ラッチA111の全ステージのラッチへの、ビデオ信号の書き込みが一通り終了するまで
の期間を、行選択期間と呼ぶ。実際には、上記行選択期間に水平帰線期間が加えられた期
間を行選択期間に含むことがある。
【0086】
1行選択期間が終了すると、2段目のラッチB112に、制御信号の一つに相当するラッ
チ信号が供給され、該ラッチ信号に同期してラッチA111に保持されているビデオ信号
が、ラッチB112に一斉に書き込まれる。ビデオ信号をラッチB112に送出し終えた
ラッチA111には、再びシフトレジスタ110からのタイミング信号に同期して、次の
ビットのビデオ信号の書き込みが順次行われる。この2順目の1行選択期間中には、ラッ
チB112に書き込まれ、保持されているビデオ信号が画素部100に入力される。
【0087】
なお、シフトレジスタ110の代わりに、例えばデコーダのような信号線の選択ができる
回路を用いても良い。
【0088】
次に、走査線駆動回路106の構成について説明する。走査線駆動回路106は、シフト
レジスタ113、バッファ114を有している。また、レベルシフタを有していても良い
。走査線駆動回路106において、シフトレジスタ113にクロック信号(CLK)及び
スタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成さ
れた選択信号はバッファ114において増幅され、対応する走査線に供給される。走査線
に供給される選択信号によって、1行分の画素に含まれているトランジスタの動作が制御
されるので、バッファ114には、比較的大きな電流を走査線に供給することができるも
のを用いることが望ましい。
【0089】
なお、シフトレジスタ113の代わりに、例えばデコーダのような信号線の選択ができる
回路を用いても良い。
【0090】
本発明において、走査線駆動回路106、信号線駆動回路105は、パネル104と同じ
基板上に形成していても、異なる基板上に形成していても、どちらでも良い。また走査線
駆動回路106、又は信号線駆動回路105をICチップにより形成し、実装しても良い
。また本発明の発光装置が有するパネルは、図7(A)、図7(B)に示す構成に限定さ
れない。パネル104は、コントローラ102から入力されたビデオ信号に従って、画素
の階調が制御されるような構成を有していれば良い。
【0091】
このような発光装置に、複数のテーブルを用いることにより、擬似輪郭を防止することが
できる。
【0092】
またその他の表示装置においても、複数のテーブルが記憶されているメモリを用いること
に入り、擬似輪郭を防止することができる。
【0093】
(実施の形態5)
次に、本発明の発光装置が有する画素の等価回路図について、図8を用いて説明する。
【0094】
図8(A)は、画素の等価回路図の一例を示したものであり、信号線6114、電源線6
115、走査線6116、発光素子6113、トランジスタ6110、6111、容量素
子6112を有する。信号線6114には信号線駆動回路によってビデオ信号が入力され
る。トランジスタ6110は、走査線6116に入力される選択信号に従って、トランジ
スタ6111のゲートへの、該ビデオ信号の電位の供給を制御することができる。トラン
ジスタ6111は、該ビデオ信号の電位に従って、発光素子6113への電流の供給を制
御することができる。容量素子6112は、トランジスタ6111のゲート・ソース間の
電圧を保持することができる。なお、図8(A)では、容量素子6112を図示したが、
トランジスタ6111のゲート容量や他の寄生容量で賄うことが可能な場合には、設けな
くてもよい。
【0095】
図8(B)は、図8(A)に示した画素に、トランジスタ6118と走査線6119を新
たに設けた画素の等価回路図である。トランジスタ6118により、トランジスタ611
1のゲートとソースを同電位とし、強制的に発光素子6113に電流が流れない状態を作
ることができるため、全ての画素にビデオ信号が入力される期間よりも、サブフレーム期
間の長さを短くすることができる。従って、駆動周波数を抑えつつ、高い総階調数の表示
を行うことができる。
【0096】
図8(C)は、図8(B)に示した画素に、新たにトランジスタ6125と、配線612
6を設けた画素の等価回路図である。トランジスタ6125は、そのゲートの電位が、配
線6126によって固定されている。そして、トランジスタ6111とトランジスタ61
25は、電源線6115と発光素子6113との間に直列に接続されている。よって図8
(C)では、トランジスタ6125により発光素子6113に供給される電流の値が制御
され、トランジスタ6111により発光素子6113への該電流の供給の有無が制御でき
る。
【0097】
なお、本発明の発光装置が有する画素回路は、本実施の形態で示した構成に限定されず、
時間階調表示を行う表示装置であれば、本発明を適用することができる。また本実施の形
態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0098】
(実施の形態6)
本実施の形態では、図6に示した本発明の駆動方法を例に挙げ、各サブフレーム期間が出
現するタイミングについて説明する。
【0099】
図9に、図6に示した本発明の駆動方法を用いて、4ビットの階調を表示する場合の、タ
イミングチャートを示す。図9では、1フレーム期間に出現するサブフレーム期間SF1
〜SF9の長さを横軸に示しており、縦軸は走査線の選択順を示している。サブフレーム
期間SF1〜SF9の長さの比は、SF1から順に、1:1:1:1:1:2:2:3:3
となっている。そのため、例えば3階調を表示するとき、SF1〜SF3の合計、SF1
SF4のいずれかと、SF6、SF7のいずれかの合計、SF8、又はSF9から選ばれたサ
ブフレーム期間を発光状態とすることができる。それ故、テーブルに冗長性を持たせるこ
とができ、各画素に対して異なるテーブルを設けることができるのである。
【0100】
各サブフレーム期間が開始されると、ビデオ信号の入力が、走査線を共有する画素一行ご
とに行なわれる。ビデオ信号が画素に入力されると、該ビデオ信号が有する情報に従って
、発光素子が発光の状態または非発光の状態となる。そして、次のサブフレーム期間が開
始されるまで、各画素の発光素子は、該ビデオ信号に従って、発光の状態または非発光の
状態を維持する。
【0101】
なお図9では、ビデオ信号が画素に入力されると同時に、該ビデオ信号が有する情報に従
って、発光素子が発光の状態または非発光の状態となる場合のタイミングチャートを示し
ているが、本発明はこの構成に限定されない。全ての画素にビデオ信号が入力されるまで
、発光素子を非発光の状態としておき、全ての画素にビデオ信号が入力された後で、該ビ
デオ信号が有する情報に従い、発光素子を発光の状態または非発光の状態としても良い。
【0102】
また図9では、全てのサブフレーム期間が連続して出現する場合のタイミングチャートを
示しているが、本発明はこの構成に限定されない。サブフレーム期間とサブフレーム期間
の間に、発光素子を強制的に非発光の状態とする期間(非表示期間)を設けるようにして
も良い。非表示期間は、図8(B)又は(C)に示した、トランジスタ6118を用いて
、容量素子6112の電荷を放電させることにより、設けることができる。非表示期間は
、非表示期間の直前に出現するサブフレーム期間において、全ての画素にビデオ信号が入
力された後に出現させても良いし、全ての画素にビデオ信号が入力される前に出現させて
も良い。
【0103】
(実施の形態7)
本実施の形態では、発光素子への電流の供給を制御するトランジスタがp型薄膜トランジ
スタ(TFT)の場合における、画素の断面構造について、図10を用いて説明する。な
お本発明では、発光素子が有する陽極と陰極の2つの電極のうち、トランジスタによって
電位を制御することができる一方の電極を第1の電極、他方の電極を第2の電極とする。
そして図10では、第1の電極が陽極、第2の電極が陰極の場合について説明するが、第
1の電極が陰極、第2の電極が陽極であってもよい。
【0104】
図10(A)に、TFT6001がp型で、発光素子6003から発せられる光を第1の
電極6004側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図10(A)では、発光素子
6003の第1の電極6004と、TFT6001が電気的に接続されている。
【0105】
TFT6001は層間絶縁膜6007で覆われており、層間絶縁膜6007上には開口部
を有する隔壁6008が形成されている。隔壁6008の開口部において第1の電極60
04が一部露出しており、該開口部において第1の電極6004、電界発光層6005、
第2の電極6006が順に積層されている。
【0106】
層間絶縁膜6007は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系材料を出発材料とし
て形成されたSi−O−Si結合を含む絶縁膜(以下、シロキサン系絶縁膜と呼ぶ)を用
いて形成することができる。シロキサン系絶縁膜は、置換基に水素を有し、その他フッ素
、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有することができる。層間
絶縁膜6007に、低誘電率材料(low−k材料)と呼ばれる材料を用いていても良い

【0107】
隔壁6008は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系絶縁膜を用いて形成するこ
とができる。有機樹脂膜ならば、例えばアクリル、ポリイミド、ポリアミドなど、無機絶
縁膜ならば酸化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができる。特に感光性の有機樹脂膜
を隔壁6008に用い、第1の電極6004上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連
続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することで、第1の電極6004
と第2の電極6006とが接続してしまうのを防ぐことができる。
【0108】
第1の電極6004は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として用い
るのに適する材料で形成する。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその
他の透光性酸化物導電材料を第1の電極6004に用いることが可能である。またITO
、酸化珪素を含む酸化亜鉛、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとも記
す)、ITSOにさらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを第1の電極6
004に用いても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、
Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化
チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分
とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第1の電極6004に用いることもできる。た
だし透光性酸化物導電材料以外の材料を用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましく
は、5nm〜30nm程度)で第1の電極6004を形成する。
【0109】
また第2の電極6006は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ
仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成する
ことができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等の
アルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、お
よびこれらの化合物(CaF2、Ca32)の他、YbやEr等の希土類金属を用いるこ
とができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能で
ある。
【0110】
電界発光層6005は、単数または複数の層で構成されている。複数の層で構成されてい
る場合、これらの層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、
電子輸送層、電子注入層などに分類することができる。電界発光層6005が発光層の他
に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれかを有している場合、第
1の電極6004から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に
積層する。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材
料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無機
系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系、中分子系、低分子
系のいずれの材料も用いることが可能である。なお中分子系の材料とは、構造単位の繰返
しの数(重合度)が2から20程度の低重合体に相当する。正孔注入層と正孔輸送層との
区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特
性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正孔
注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても同
様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と呼
んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。
【0111】
図10(A)に示した画素の場合、発光素子6003から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6004側から取り出すことができる。
【0112】
次に図10(B)に、TFT6011がp型で、発光素子6013から発せられる光を第
2の電極6016側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図10(B)では、発光
素子6013の第1の電極6014と、TFT6011が電気的に接続されている。また
第1の電極6014上に電界発光層6015、第2の電極6016が順に積層されている

【0113】
第1の電極6014は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ陽極
として用いるのに適する材料で形成する。例えば、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、P
t、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウ
ムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタ
ン膜との三層構造等を第1の電極6014に用いることができる。
【0114】
また第2の電極6016は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の
小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができ
る。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土
類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれら
の化合物(CaF2、Ca32)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる
。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。そし
て第2の電極6016を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度
)で形成する。なお、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジ
ウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物
導電材料を用いることも可能である。またITO、酸化珪素を含む酸化亜鉛、酸化珪素を
含む酸化インジウムスズ(ITSO)、ITSOにさらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO
)を混合したものを用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、電界発光層60
15に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0115】
電界発光層6015は、図10(A)の電界発光層6005と同様に形成することができ
る。
【0116】
図10(B)に示した画素の場合、発光素子6013から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第2の電極6016側から取り出すことができる。
【0117】
次に図10(C)に、TFT6021がp型で、発光素子6023から発せられる光を第
1の電極6024側及び第2の電極6026側から取り出す場合の、画素の断面図を示す
。図10(C)では、発光素子6023の第1の電極6024と、TFT6021が電気
的に接続されている。また第1の電極6024上に電界発光層6025、第2の電極60
26が順に積層されている。
【0118】
第1の電極6024は、図10(A)の第1の電極6004と同様に形成することができ
る。また第2の電極6026は、図10(B)の第2の電極6016と同様に形成するこ
とができる。電界発光層6025は、図10(A)の電界発光層6005と同様に形成す
ることができる。
【0119】
図10(C)に示した画素の場合、発光素子6023から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6024側及び第2の電極6026側から取り出すことができる

【0120】
本実施の形態は、上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0121】
(実施の形態8)
本実施の形態では、発光素子への電流の供給を制御するトランジスタがn型TFTの場合
における、画素の断面構造について、図11を用いて説明する。なお図11では、第1の
電極が陰極、第2の電極が陽極の場合について説明するが、第1の電極が陽極、第2の電
極が陰極であっても良い。
【0122】
図11(A)に、TFT6031がn型で、発光素子6033から発せられる光を第1の
電極6034側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図11(A)では、発光素子
6033の第1の電極6034と、TFT6031が電気的に接続されている。また第1
の電極6034上に電界発光層6035、第2の電極6036が順に積層されている。
【0123】
第1の電極6034は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さ
い金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。
具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金
属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化
合物(CaF2、Ca32)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。ま
た電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。そして第
1の電極6034を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で
形成する。さらに、光が透過する程度の膜厚を有する上記導電層の上または下に接するよ
うに、透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電層を形成し、第1の電極603
4のシート抵抗を抑えるようにしても良い。なお、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO
)などその他の透光性酸化物導電材料を用いた導電層だけを用いることも可能である。ま
たITO、酸化珪素を含む酸化亜鉛、酸化珪素を含む酸化インジウムスズITSO)、I
TSOにさらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。透光性
酸化物導電材料を用いる場合、電界発光層6035に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0124】
また第2の電極6036は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ
陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、TiN、ZrN、Ti、W、Ni
、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミ
ニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化
チタン膜との三層構造等を第2の電極6036に用いることができる。
【0125】
電界発光層6035は、図10(A)の電界発光層6005と同様に形成することができ
る。ただし、電界発光層6035が発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層
、電子注入層のいずれかを有している場合、第1の電極6034から、電子注入層、電子
輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の順に積層する。
【0126】
図11(A)に示した画素の場合、発光素子6033から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6034側から取り出すことができる。
【0127】
次に図11(B)に、TFT6041がn型で、発光素子6043から発せられる光を第
2の電極6046側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図11(B)では、発光
素子6043の第1の電極6044と、TFT6041が電気的に接続されている。また
第1の電極6044上に電界発光層6045、第2の電極6046が順に積層されている

【0128】
第1の電極6044は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ仕事
関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成すること
ができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアル
カリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、および
これらの化合物(CaF2、Ca32)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることが
できる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である

【0129】
また第2の電極6046は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として
用いるのに適する材料で形成する。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(
ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)など
その他の透光性酸化物導電材料を第2の電極6046に用いることが可能である。またI
TO、酸化珪素を含む酸化亜鉛、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(ITSO)、IT
SOにさらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを第2の電極6046に用
いても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、Ti、W、
Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとア
ルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と
窒化チタン膜との三層構造等を第2の電極6046に用いることもできる。ただし透光性
酸化物導電材料以外の材料を用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm
〜30nm程度)で第2の電極6046を形成する。
【0130】
電界発光層6045は、図11(A)の電界発光層6035と同様に形成することができ
る。
【0131】
図11(B)に示した画素の場合、発光素子6043から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第2の電極6046側から取り出すことができる。
【0132】
次に図11(C)に、TFT6051がn型で、発光素子6053から発せられる光を第
1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出す場合の、画素の断面図を示す
。図11(C)では、発光素子6053の第1の電極6054と、TFT6051が電気
的に接続されている。また第1の電極6054上に電界発光層6055、第2の電極60
56が順に積層されている。
【0133】
第1の電極6054は、図11(A)の第1の電極6034と同様に形成することができ
る。また第2の電極6056は、図11(B)の第2の電極6046と同様に形成するこ
とができる。電界発光層6055は、図11(A)の電界発光層6035と同様に形成す
ることができる。
【0134】
図11(C)に示した画素の場合、発光素子6053から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出すことができる

【0135】
本実施の形態は、上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0136】
(実施の形態9)
本実施の形態では、スクリーン印刷法、オフセット印刷法に代表される印刷法、または液
滴吐出法を用いて発光装置を形成する場合について説明する。なお液滴吐出法とは、所定
の組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成する方法を意味し、インク
ジェット法などがその範疇に含まれる。上記印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用
のマスクを用いずとも、信号線、走査線、選択線に代表される各種配線、TFTのゲート
、発光素子の電極などを形成することが可能になる。ただし、パターンを形成する全ての
工程に、印刷法または液滴吐出法を用いる必要はない。よって、例えば配線及びゲートの
形成には印刷法または液滴吐出法を用い、半導体膜のパターニングにはリソグラフィ法を
用いる、というように、少なくとも一部の工程において印刷法または液滴吐出法を用いて
いれば良く、リソグラフィ法も併用していても良い。またパターニングの際に用いるマス
クは、印刷法または液滴吐出法で形成しても良い。
【0137】
図12に、液滴吐出法を用いて形成された、本発明の発光装置の断面図を、一例として示
す。図12において、1301、1302はTFT、1304は発光素子に相当する。T
FT1302は、発光素子1304の第1の電極1350と電気的に接続されている。T
FT1302はn型であることが望ましく、この場合、第1の電極1350は陰極を用い
、第2の電極1331は陽極を用いるのが望ましい。
【0138】
スイッチング素子として機能するTFT1301は、ゲート1310と、チャネル形成領
域を含む第1の半導体膜1311と、ゲート1310と第1の半導体膜1311の間に形
成されたゲート絶縁膜1317と、ソースまたはドレインとして機能する第2の半導体膜
1312、1313と、第2の半導体膜1312に接続された配線1314と、第2の半
導体膜1313に接続された配線1315とを有している。
【0139】
TFT1302は、ゲート1320と、チャネル形成領域を含む第1の半導体膜1321
と、ゲート1320と第1の半導体膜1321との間に形成されたゲート絶縁膜1317
と、ソースまたはドレインとして機能する第2の半導体膜1322、1323と、第2の
半導体膜1322に接続された配線1324と、第2の半導体膜1323に接続された配
線1325とを有している。
【0140】
配線1314は信号線に相当し、配線1315はTFT1302のゲート1320に電気
的に接続されている。また配線1325は電源線に相当する。
【0141】
液滴吐出法、印刷法を用いてパターンを形成することで、リソグラフィ法で行なわれるフ
ォトレジストの成膜、露光、現像、エッチング、剥離などの一連の工程を簡略化すること
ができる。また、液滴吐出法、印刷法だと、リソグラフィ法と異なり、エッチングにより
除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良
いので、発光装置の作製に費やされるコストを抑えることができる。
【0142】
さらに、リソグラフィ法とは異なり、配線を形成するためにエッチングを行う必要がない
。よって、配線を形成する工程に費やされる時間をリソグラフィ法の場合に比べて著しく
短くすることが可能である。特に、印刷法を用いて配線の厚さを0.5μm以上、より望
ましくは2μm以上で形成する場合、配線抵抗を抑えることができるので、配線の作製工
程に費やされる時間を抑えつつ、発光装置の大型化に伴う配線抵抗の上昇を抑えることが
できる。
【0143】
なお第1の半導体膜1311、1321は非晶質半導体であっても、セミアモルファス半
導体(SAS)であってもどちらでも良い。
【0144】
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的
な珪化物気体としては、SiH4、Si26が挙げられる。この珪化物気体を、水素、水
素とヘリウムで希釈して用いても良い。
【0145】
またSASも珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪
化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3
SiCl4、SiF4などを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン
、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この
珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希
釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪
化物気体中に、CH4、C26などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム
化気体、F2などを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0
.9〜1.1eVに調節しても良い。SASを第1の半導体膜として用いたTFTは、1
〜10cm2/Vsecや、それ以上の移動度を得ることができる。
【0146】
また第1の半導体膜1311、1321は、非晶質半導体またはセミアモルファス半導体
(SAS)を結晶化した半導体を用いてもよい。例えば、レーザーや加熱炉を用いて、非
晶質半導体又はSASを結晶化することができる。
【0147】
本実施の形態は、上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0148】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の発光装置の一形態に相当するパネルの外観について、図13
を用いて説明する。図13(A)は、第1の基板上に形成されたTFT及び発光素子を、
第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの上面図であり、図13(B)は
、図13(A)のA−A’における断面図に相当する。
【0149】
第1の基板4001上には画素部4002と、信号線駆動回路4003と、走査線駆動回
路4004が設けられており、少なくとも画素部を囲むようにして、シール材4005が
設けられている。また少なくとも画素部4002上には、シール材4005を介して、第
2の基板4006が設けられている。図13に示す発光装置では、画素部4002と、信
号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材
4005と第2の基板4006とによって、充填材4007と共に密封されている。
【0150】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、信号線駆動回路4003と、
走査線駆動回路4004とは、TFTを複数有しており、図13(B)では、信号線駆動
回路4003に含まれるTFT4008と、画素部4002に含まれるTFT4009と
を例示している。
【0151】
また4011は発光素子に相当し、TFT4009のドレインと接続されている配線40
17の一部が、発光素子4011の第1の電極として機能する。
また透明導電膜4012が、発光素子4011の第2の電極として機能する。
なお発光素子4011の構成は、本実施の形態に示した構成に限定されない。上記実施の
形態のように、発光素子4011から取り出す光の方向や、TFT4009の極性などに
合わせて、発光素子4011の構成は適宜変えることができる。
【0152】
また信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられ
る各種信号及び電圧は、図13(B)に示す断面図では図示されていないが、引き回し配
線4014及び4015を介して、接続端子4016から供給されている。
【0153】
本実施の形態では、接続端子4016が、発光素子4011が有する第1の電極と同じ導
電膜から形成されている。また、引き回し配線4014は、配線4017と同じ導電膜か
ら形成されている。また引き回し配線4015は、TFT4009、TFT4008がそ
れぞれ有するゲートと、同じ導電膜から形成されている。
【0154】
接続端子4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電
気的に接続されている。
【0155】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはス
テンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては
、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PV
F(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまた
はアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィ
ルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0156】
但し、発光素子4011からの光の取り出し方向に位置する基板は透光性を有していなけ
ればならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたは
アクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0157】
また、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹
脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、
ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA
(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施の形態では充填材として窒
素を用いた。
【0158】
本実施の形態は、上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0159】
(実施の形態11)
本発明の表示装置は、擬似輪郭の発生を抑えることができるので、携帯電話、携帯型ゲー
ム機または電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の、携帯用の電子機器が有
する表示部として用いるのに最適である。また本発明の表示装置は、擬似輪郭を防止する
ことができるので、表示装置などの動画の再生を行うことができる、映像を観賞するため
の表示部を有する電子機器に最適である。
【0160】
その他、本発明の表示装置を用いることができる電子機器として、ビデオカメラ、デジタ
ルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシ
ステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコ
ンピュータ、ゲーム機器、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital
Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置
)などが挙げられる。本実施の形態では、これら電子機器の具体例を図14に示す。
【0161】
図14(A)は携帯電話であり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、
音声出力部2104、操作キー2105を含む。本発明の表示装置を用いて表示部210
2を作製することで、本発明の電子機器の一つである携帯電話を完成させることができる

【0162】
図14(B)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外
部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607
、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明の表示装置
を用いて表示部2602を作製することで、本発明の電子機器の一つであるビデオカメラ
を完成させることができる。
【0163】
図14(C)は表示装置であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403
等を含む。本発明の表示装置を用いて表示部2402を作製することで、本発明の電子機
器の一つである表示装置を完成させることができる。なお、表示装置には、パーソナルコ
ンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる

【0164】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可
能である。また本実施の形態は、上記の実施の形態、実施の形態と自由に組み合わせるこ
とができる。
【実施例1】
【0165】
本実施例では、共有率に対する擬似輪郭発生の関係についての実験を説明する。
【0166】
本発明者は、共有率と、擬似輪郭の発生との関係について調べるために、以下の実験を行
った。
【0167】
まず1フレーム期間を2つのサブフレーム期間SF1、SF2に分割し、第1のフレーム期
間と第2のフレーム期間とで、図3に示すようなパターンを表示した。具体的に、サブフ
レーム期間SF1では市松模様を表示し、サブフレーム期間SF2では全領域において白を
表示した。なお隣接する第1のフレーム期間と第2のフレーム期間とでは、サブフレーム
期間SF1において、白の領域と黒の領域とが互いに反転しているパターンを表示する。
【0168】
そして、2つのフレームを交互に出現させ、擬似輪郭の発生の有無を調べた。このとき1
フレーム期間における、サブフレーム期間SF1の長さの割合をR1(%)としたとき、R
1(%)に対する、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)の値は
、図4に示すような関係になった。このときサブフレーム期間SF1は、図3に示すよう
に、フレーム期間ごとに表示が異なっている。図4から分かるように、2つのフレームに
おいて、異なる表示を行うサブフレーム期間の長さの割合R1(%)が低いほど、擬似輪
郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)は低くなった。逆に、R1(%)
が高いほど、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)は高くなった

【0169】
よって、隣接するフレーム期間ごとに、サブフレーム期間SF1が短いほど、擬似輪郭が
発生しにくいといえる。一方、2つのフレーム期間ごとに、表示が同じであるサブフレー
ム期間SF2が長いほど、擬似輪郭が発生しにくいといえる。この状態は、2つのフレー
ム期間において、共通した発光の状態にあるサブフレーム期間SF2の長さの割合が高い
、つまり共有率が高いといえる。
【0170】
以上の実験の結果から、隣接する2つのフレーム期間において、共有率が高いほど、擬似
輪郭の発生が抑えられるということを見出した。なお、共有率(%)は、100−R1
%)に相当する。
【実施例2】
【0171】
上記本実施例では、SFnからSF1まで全て一定のサブフレーム率RSFを適用する例を示
しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、総階調数2nの表示を行う場合
でも、必ずしもサブフレーム期間がn個であるとは限らない。式9に従って算出された長
さを、各サブフレーム期間に反映させると、サブフレーム期間の数がn個以上になる場合
が多い。しかし、低い階調を表示するための短いサブフレーム期間は、必ずしも上述した
共有率Rshの値を満たしていなくとも、さほど擬似輪郭の発生に関与しない。なぜならば
低い階調の場合、階調の逆数×100(階調比)が、高い階調の場合と比較して大きいた
め、階調の差に起因する輪郭が視認され、逆に擬似輪郭が目立たなくなるからである。
【0172】
これを説明するため、図15に、階調比(%)と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフ
レーム周波数F(Hz)との関係を調べ、その結果を示す。図15において、横軸は階調
比(%)を示しており、縦軸は、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(
Hz)を示している。図15から、階調比(%)が高くなる、即ち階調が低くなるほど、
より低いフレーム周波数においても擬似輪郭の発生を抑制できることが分かる。従って、
低い階調を表示するための短いサブフレーム期間は、必ずしも上述した共有率を満たす必
要はない。
【0173】
以上を踏まえると、擬似輪郭の発生に関与しない短いサブフレーム期間を、多く作るより
、駆動回路の駆動周波数の低減に重点を置くとよい。そのため、短いサブフレーム期間を
間引くようにして、その他のサブフレーム期間が共有率を満たすように設定すると良い。
計算上、階調1に相当する期間の短いサブフレーム期間が複数存在する場合、それらの1
つまたは幾つかは共有率の値を満たさずに、設定することができる。
【0174】
具体的には、総階調数を三等分し、該三等分された総階調数のうち最も低い側の階調にお
いて、共有率Rshの値は必ずしも満たしていなくとも良い。逆に、三等分された総階調数
のうち、中間の階調と、最も高い側の階調において、共有率Rshの値を満たすようにする
。例えば総階調数が26=64の場合、階調0〜63を三等分すると21となる。この場
合、低い側の階調は0〜21、中間の階調は22〜42、最も高い側の階調は43〜63
となる。なお、総階調数を三等分して割り切れない場合は、端数を切り上げても良いし、
切り下げても良い。
【実施例3】
【0175】
本実施例では、4つのテーブルを設ける場合の具体的なタイミングチャート及びそのテー
ブルについて説明する。
【0176】
図18に示すように、複数の画素101を有する画素部100がある。この画素101か
ら、ある画素(A)(B)(C)(D)を取り出す。画素(A)(B)(C)(D)のそ
れぞれの配置は、(m、n)(m、n+1)(m+1、n)(m+1、n+1)であると
する。なお、mは画素部における行方向の任意の画素数、nは画素部における列方向の任
意の画素数に相当する。
【0177】
この画素101のうち、矩形に隣接している画素(A)(B)(C)(D)を用いた場合
のタイミングチャート及びテーブルについて説明する。
【0178】
図19には、タイミングチャートを示す。フレーム周波数は60Hzであり、図19(A
)に示すように1秒間には、60フレーム存在することになる。このとき、1フレーム期
間の長さは、およそ16.67msとなる。1つのフレーム期間には、16つのサブフレ
ーム期間が設けられており、これらサブフレームは1フレーム期間においてランダムに現
れる。本実施例では、SF2、SF4、SF6、SF8、SF10、SF12、SF14、SF16
、SF15、SF13、SF11、SF9、SF7、SF5、SF3、SF1の順にサブフレーム期
間が現れる。各サブフレーム期間の長さのそれぞれの比率は、SF1:SF2:SF3:S
4:SF5:SF6:SF7:SF8:SF9:SF10:SF11:SF12:SF13:SF14
SF15:SF16=1:2:4:8:10:10:10:12:12:14:17:21:
25:30:36:43となっている。そして図19(B)に示すように、最初行から最
終行の画素へ順に表示が行われる。図19(B)の最終行画素の表示の下方には、サブフ
レーム期間の長さの比率を示す。
【0179】
また図19(C)には、消去用走査線駆動回路による走査のタイミングを示している。本
実施例では、サブフレーム期間SF1〜SF15において、消去期間Se1〜Se15を設
けている。
【0180】
図19(D)には、書き込み用の走査線駆動回路による走査のタイミングを示しており、
各サブフレーム期間には、書き込み期間Ta1〜Ta16が設けられている。
【0181】
図19(E)に示すように、1つの書き込み期間には、1列走査期間が設けられており、
この間に全行(本実施例では324行)を選択する。
【0182】
また1フレーム期間には、逆方向電圧印加期間(DS期間)が設けられている。逆方向電
圧を発光素子へ印加する結果、発光素子の劣化状態を改善し、信頼性を向上させることが
できる。また、発光素子は、異物の付着や、陽極又は陰極にある微細な突起によるピンホ
ール、電界発光層の不均一性を起因として、陽極と陰極が短絡する初期不良が生じること
がある。逆方向電圧を印加することにより、この初期不良を解消し、画像の表示を良好に
行うことができる。なお、このような短絡部の絶縁化は、出荷前に行うとよい。
【0183】
このようなサブフレーム期間では、SF5、SF6、及びSF7やSF8、及びSF9のように
、ある階調を表示するために、発光させるサブフレーム期間に選択性がある。そのため、
複数のテーブルを設けることができる。
【0184】
表1乃至4には、上記タイミングチャートの場合の具体的なテーブルの例を示す。なお表
1乃至4に示すテーブルa乃至dにおいて、「0」を非発光状態、「1」を発光状態とす
る。
【0185】
【表1】

【0186】
【表2】

【0187】
【表3】

【0188】
【表4】

【0189】
上記テーブルa乃至dは、一種のルックアップテーブルであって、ハードウェア的にはR
OMやRAM等のメモリに記憶されている。もちろんテーブルのデータはテーブルa乃至
dに限らず、消費電力や求める画質に応じて任意に設けることができる。
【0190】
これらテーブルa乃至dにおいて、例えば191階調目をみると、各テーブルで発光状態
となるサブフレーム期間が異なっていることがわかる。
【0191】
このように、複数のテーブルを設け、これらに対応する隣接する画素の組み合わせを指定
する。例えば、4つのテーブルがあるため、図18に示すような画素(A)〜(D)の組
み合わせを指定することができる。すなわち、テーブルの数と、組み合わせを構成する画
素の数とは同数とするとよい。言い換えると、発光の状態となるサブフレーム期間を定め
たデータが記憶された複数のテーブルから選ばれたテーブルa乃至dを用意し、少なくと
も2つの画素が隣接する画素(A)乃至(D)に対して、画素(A)に対してテーブルa
を設け、画素(B)に対してテーブルbを設け、画素(C)に対してテーブルcを設け、
画素(D)に対してテーブルdを設ける。
【0192】
なお、画素の配置は図18に限定されるものではない。例えば、図18に示すように1組
として区分けされた、4つの画素に対して、4つのテーブルを設ける場合、画素(A)〜
(D)を縦一列、又は横一列に配置してもよい。但し、異なるテーブルを設ける、少なく
とも2つの画素は、隣接している必要がある。
【0193】
そのため、隣接する画素で、ある階調を表示するときに選択されているサブフレーム期間
を異ならせることができる。その結果、擬似輪郭の発生しやすい階調を空間的に分散する
ことができる。なお、擬似輪郭の発生しやすい階調とは、共有率が低く、且つ中間階調又
は高階調である。
【0194】
なお本実施例ではフレーム周波数60Hzの場合16つのサブフレームに分けるタイミン
グチャートを説明したが、フレーム周波数を考慮することにより、サブフレーム数を変え
ることができる。
【0195】
さらに上記実施例に示すように、各画素に対応するテーブルを固定せずに、フレーム毎に
変更してもよい。すなわち、フレーム毎に、発光の状態となるサブフレーム期間を定めた
データが記憶されたテーブルを入れ替えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのフレーム期間は複数のサブフレーム期間を有し、
前記複数のサブフレーム期間を用いて、階調表示される画素部を有し、
第1のテーブルは、前記画素部のうち第1の画素の階調に応じた複数のサブフレーム期間が記録され、
前記第2のテーブルは、前記画素部のうち、前記第1の画素に隣接する第2の画素の階調に応じた複数のサブフレーム期間が記録され、
同一階調を表示するために前記第1のテーブルに記録された複数のサブフレーム期間の数と、前記第2のテーブルに記憶された複数のサブフレーム期間の数は異なり、
前記第1のテーブルに記憶された、階調が1段階異なっている2つのサブフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間が存在し、
前記第2のテーブルに記憶された、階調が1段階異なっている2つのサブフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間が存在する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記共通して発光の状態にあるサブフレーム期間は、同じ長さのサブフレーム期間を複数有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−230402(P2012−230402A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−144139(P2012−144139)
【出願日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【分割の表示】特願2005−220710(P2005−220710)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】