説明

表示装置

【課題】消費電力を抑えつつ、明るい画像の表示を行うことができる、三次元画像の表示装置。
【解決手段】複数の画素が画素部に設けられた画像表示部と、第1のシャッター及び第2のシャッターを有する遮光部と、前記画素部における右目用の画像、或いは左目用の画像の表示に同期するように、前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターの透過率を制御する制御部と、を有し、前記複数の画素は、画素への画像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタと、発光素子と、画像信号に従って発光素子に供給する電流の値を制御する駆動用トランジスタと、発光素子への電流の供給の有無を選択する電流制御用トランジスタと、を有する表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三次元画像の表示を行う表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元画像に対応した表示装置の市場が拡大傾向にある。三次元画像の表示は、両眼で立体の対象物を見たときに生ずるであろう、両眼間の網膜像の差異(両眼視差)を表示装置において作為的に作り出すことで、行うことができる。上記両眼視差を利用した三次元画像用の表示装置は、各種の駆動方式が開発され、商品化されている。現在、市場において主流になっているのは、フレームシーケンシャル方式を用いた液晶表示装置である。
【0003】
フレームシーケンシャル方式とは、画面において左目用の画像と右目用の画像を交互に表示し、それらをシャッター付きの眼鏡を通して見ることにより、人間の目に三次元画像を認識させる駆動方式である。すなわち、表示装置が左目用の画像を表示しているとき、眼鏡は、左目に対応するシャッターの透過率を高め、上記画像を人間の左目に送る。逆に、表示装置が右目用の画像を表示しているとき、眼鏡は、右目に対応するシャッターの透過率を高め、上記画像を人間の右目に送る。よって、人間は、左目で左目用の画像を見て、右目で右目用の画像を見ることになるため、三次元画像を認識することができる。
【0004】
下記の特許文献1には、フレームシーケンシャル方式の液晶表示装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−031523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したフレームシーケンシャル方式の液晶表示装置では、画素部への画像信号の書き込みが行われている期間(書き込み期間)において、画素部に左目用の画像と右目用の画像が混在して表示される。上記書き込み期間において、眼鏡の右目用シャッター、或いは左目用シャッターのいずれかが光を透過すると、左目用の画像が右目に、或いは、右目用の画像が左目に映るクロストークと呼ばれる現象が生じ、三次元画像の認識ができなくなる。クロストークを防ぐために、書き込み期間では、眼鏡の右目用シャッターと左目用シャッターの両方において、光を非透過の状態にすることが有効である。
【0007】
しかし、液晶は、印加される電圧が変化してから分子の配向の変化が収束するまでの応答時間が、一般的に十数msec程度であるのに対し、60Hzのフレーム周波数で液晶表示装置を駆動したときの1フレーム期間は、約16.6msecである。よって、1フレーム期間に占める書き込み期間の割合が大きい。そのため、クロストークを防止するために、書き込み期間において右目用シャッターと左目用シャッターの両方で光を非透過の状態にすると、眼鏡が画素部からの光を透過する時間が短くなり、表示される画像が暗くなる。或いは、バックライトの輝度を高くすることで表示される画像の明るさを確保できたとしても、消費電力が嵩んでしまう。
【0008】
上述の課題に鑑み、本発明は、消費電力を抑えつつ、明るい画像の表示を行うことができる、三次元画像の表示装置の提案を、目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、液晶素子よりも応答速度の速いOLED(Organic Light Emitting Diode)などの発光素子を用いることで、書き込み期間を短くできると考えた。しかし、液晶素子を発光素子に単純に置き換えると、クロストークが起こりやすくなる。以下、その理由を述べる。
【0010】
眼鏡のシャッターには、液晶素子などの、電流または電圧の供給による透過率の制御が可能な素子が用いられている。これらのシャッターでは、例えばノーマリーブラックの液晶素子の場合だと、電圧が印加されていないときの透過率が理想的には0%となる。しかし、実際には、光の波長によっては透過率が完全に0%にはならず、僅かな光がシャッターを透過することがある。そのため、左目用の画像と右目用の画像が画素部に混在して表示される書き込み期間において、左目用の画像が右目に、或いは、右目用の画像が左目に映ってしまうクロストークが僅かながらも生じてしまい、三次元画像の認識が妨げられる。
【0011】
液晶素子が表示装置の画素部に用いられている場合は、書き込み期間においてシャッターを透過した僅かな光が人間の目に届くのを防ぐために、バックライトを消灯すれば良い。しかし、発光素子は画像信号の書き込みにより輝度が制御される素子なので、発光素子が表示装置の画素部に用いられている場合、書き込み期間において左目用の画像と右目用の画像が画素部に混在して表示される。そのため、液晶素子の場合よりもクロストークが生じやすい。
【0012】
また、眼鏡のシャッターに液晶素子を用いた場合、応答速度が遅いので、印加される電圧が変化してから透過率の変化が収束するまでに時間を要する。よって、クロストークを防止するためには、書き込み期間において、眼鏡のシャッターを非透過の状態にすると共に、左目用の画像と右目用の画像が画素部に混在して表示されないようにすることが重要である。
【0013】
発光素子を用いる場合、発光素子を消灯させるような黒表示用の画像信号を画素部に書き込むことで、左目用の画像と右目用の画像が画素部において混在するのを防ぎ、クロストークの発生を抑えることが可能である。しかし、この駆動方法を用いる場合、画素部の全画素における黒表示用の画像信号の書き込みが終了してから、次に左目用或いは右目用の画像信号の書き込みが開始されるまでの期間において、眼鏡のシャッターの透過率を左右で切り換える必要がある。また、黒表示用の画像信号の書き込み期間は、通常の画像信号の書き込み期間と同じ長さを要する。したがって、上記駆動方法を用いる場合、任意の一画素に着目すると、上記シャッターの切り換えに要する期間と、黒表示用の画像信号の書き込み期間の両期間において、発光素子が消灯になる。そのため、発光素子の点灯期間の1フレーム期間に占める割合、すなわち、表示期間の1フレーム期間に占める割合であるデューティ比が低くなり、本発明の課題の一つである、消費電力を抑えつつ明るい画像の表示を行う表示装置を実現することが難しい。
【0014】
そこで、本発明者は、画像信号の電位に関わらず、発光素子への電流の供給の有無を制御するスイッチング素子を、画素に設けることを提案する。具体的には、発光素子に供給される電流の経路にスイッチング素子を設け、該スイッチング素子をオフにすることで強制的に発光素子を消灯させる。上記スイッチング素子を用いることで、発光素子を消灯させるのに、黒表示用の画像信号の書き込みを行う必要がなくなる。すなわち、画像信号とは異なる系統の信号を用いて全画素の発光素子を一斉に消灯させることができるので、画像信号の書き込み期間において発光素子を消灯させておくことができる。
【0015】
具体的に、本発明の一態様に係る表示装置は、複数の画素が画素部に設けられた画像表示部と、第1のシャッター及び第2のシャッターを有する遮光部と、前記画素部における右目用の画像、或いは左目用の画像の表示に同期するように、前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターの透過率を制御する制御部と、を有し、前記複数の画素は、画素への画像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタと、発光素子と、画像信号に従って発光素子に供給する電流の値を制御する駆動用トランジスタと、発光素子への電流の供給の有無を選択する電流制御用トランジスタと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様では、発光素子を用いることで、1フレーム期間に占める書き込み期間の割合を小さくすることができる。そして、電流制御用トランジスタを画素に設けることで、右目用或いは左目用の画像信号の書き込み期間において、画素部の発光素子を全て消灯させることができる。さらに、シャッターの透過率を左右で切り換えることを、上記書き込み期間において行うことができる。従って、クロストークの発生を抑えつつ、表示期間の1フレーム期間に占める割合であるデューティ比を、従来の表示装置よりも高めることができる。従って、消費電力を抑えつつ、明るい画像の表示を行うことができる表示装置を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】画素の回路図。
【図3】表示装置の動作を示すタイミングチャート。
【図4】液晶表示装置の動作を示すタイミングチャート。
【図5】比較例の表示装置の動作を示すタイミングチャート。
【図6】画素部と、遮光部と、使用者の左目及び右目の位置関係を示す図。
【図7】画素部の具体的な回路図の一例を示す図。
【図8】画素部の具体的な回路図の一例を示す図。
【図9】画像表示部のブロック図。
【図10】画像表示部のブロック図。
【図11】画素の断面構造を示す図。
【図12】トランジスタの断面構造を示す図。
【図13】電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一態様に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。表示装置100は、画像の表示を行う画像表示部101と、光の透過率を変化させることができる複数のシャッターを有する遮光部102と、画像表示部101における画像の表示と複数のシャッターにおける透過率の変化を同期させる制御部103とを有する。
【0020】
画像表示部101は画素部104に複数の画素105を有する。画素105は、画素105への画像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ106と、発光素子107と、画像信号に従って発光素子107に供給する電流の値を制御する駆動用トランジスタ108と、発光素子107への電流の供給の有無を選択する電流制御用トランジスタ109とを有する。
【0021】
発光素子107は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、OLED素子などを、発光素子107として用いることができる。OLED素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる電界発光材料を含む電界発光層と、陽極と、陰極とを少なくとも有している。電界発光層は陽極と陰極の間に設けられており、単層または複数の層で構成されている。これらの層の中に無機化合物を含んでいる場合もある。電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【0022】
発光素子107は、画素105に入力される画像信号に従ってその輝度が調整される。そして、画素部104が有する複数の画素105のそれぞれにおいて、発光素子107の輝度が画像信号に従って調整されることで、画素部104に画像が表示される。そして、左目用の画像情報を含む画像信号と、右目用の画像情報を含む画像信号とを交互に画素部104に書き込むことで、左目用の画像(L画像)と右目用の画像(R画像)とを画素部104において交互に表示することができる。
【0023】
また、図1では、遮光部102が左目用シャッター110と右目用シャッター111の二つのシャッターを有している場合を例示している。左目用シャッター110は、その透過率を変化させることで、使用者の左目に入射する光量を制限することができる。右目用シャッター111は、その透過率を変化させることで、使用者の右目に入射する光量を制限することができる。
【0024】
シャッターは、液晶素子などの、電流または電圧の供給による透過率の制御が可能な素子を用いて構成することができる。なお、左目用シャッター110と右目用シャッター111は、互いに独立した液晶パネルをそれぞれ有していても良いが、一の液晶パネルを共有していても良い。後者の場合、上記液晶パネルのうち、左目用シャッター110として用いる領域と、右目用シャッター111として用いる領域とで、別個に透過率の制御を行えばよい。
【0025】
なお、本明細書においてパネルとは、液晶素子や発光素子などの表示素子が形成された基板を意味し、該基板にコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールも、その範疇に含む。
【0026】
制御部103は、画素部104にL画像が表示されている期間において、左目用シャッター110の透過率を高くして、右目用シャッター111の透過率を低く、理想的には0%にするように、画像表示部101と遮光部102の動作とを同期させる。また、画素部104にR画像が表示されている期間において、左目用シャッター110の透過率を低く、理想的には0%にして、右目用シャッター111の透過率を高くするように、画像表示部101と遮光部102の動作とを同期させる。さらに、画素部104にL画像、或いはR画像の画像信号の書き込みが行われる書き込み期間においては、左目用シャッター110及び右目用シャッター111の透過率を低く、理想的には0%にして、画像表示部101と遮光部102の動作とを同期させる。
【0027】
制御部103によって、上述したように、画像表示部101と遮光部102の動作が同期することで、使用者の左目にL画像が映り、次いで、右目にR画像が映るという動作を交互に行うことができる。上記構成により、使用者はL画像とR画像により構成される三次元画像を認識することができる。
【0028】
次いで、画素105が有する、スイッチング用トランジスタ106、発光素子107、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109の接続構成について説明する。
【0029】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧又は電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧又は電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、導電膜、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0030】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極として機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0031】
また、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極は、トランジスタの極性及び各電極に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる電極がドレイン電極と呼ばれ、高い電位が与えられる電極がソース電極と呼ばれる。以下、ソース電極とドレイン電極のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子とし、説明を行う。
【0032】
スイッチング用トランジスタ106は、その第1端子に画像信号の電位が与えられ、その第2端子に駆動用トランジスタ108のゲート電極が接続される。駆動用トランジスタ108は、その第1端子に第1の電位が与えられ、その第2端子が電流制御用トランジスタ109の第1端子に接続される。電流制御用トランジスタ109の第2端子は、発光素子107に接続される。発光素子107は、画素電極と、共通電極と、画素電極及び共通電極により電流が供給される電界発光層とを有しており、具体的に、電流制御用トランジスタ109の第2端子は、発光素子107の画素電極に接続される。発光素子107の共通電極には、第2の電位が与えられる。
【0033】
第1の電位と第2の電位は、駆動用トランジスタ108及び電流制御用トランジスタ109がオンのときに、発光素子107の画素電極と共通電極の間に順方向バイアスの電流が供給されるような電位差を有する。
【0034】
なお、発光素子107の画素電極と共通電極は、いずれか一方が陽極、他方が陰極に相当する。
【0035】
また、図1では、駆動用トランジスタ108の第2端子と、発光素子107の画素電極の間に形成される電流の経路を遮断できるように、電流制御用トランジスタ109が画素105に設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。駆動用トランジスタ108の第1端子と、第1の電位が与えられるノードとの間に形成される電流の経路を遮断できるように、電流制御用トランジスタ109が画素105に設けられていても良い。
【0036】
また、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109は、nチャネル型とpチャネル型のどちらでも良い。
【0037】
また、図1では、画素105に保持容量が設けられていない場合を例示しているが、画像信号の電位を保持するための保持容量を、駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続しておいても良い。
【0038】
また、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109は、酸化物半導体などのワイドギャップ半導体を活性層に有していても良いし、非晶質、微結晶、多結晶又は単結晶である、シリコン又はゲルマニウムなどの半導体が用いられていても良い。
【0039】
酸化物半導体は、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低いため、酸化物半導体をトランジスタの活性層に用いることで、通常のシリコンやゲルマニウムなどの半導体を活性層に有するトランジスタに比べて、オフ電流が極めて低いトランジスタを実現することができる。
【0040】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分又は水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることで高純度化された酸化物半導体は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。具体的に、高純度化された酸化物半導体は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による水素濃度の測定値が、5×1019/cm以下、好ましくは5×1018/cm以下、より好ましくは5×1017/cm以下、更に好ましくは1×1016/cm以下とする。また、ホール効果測定により測定できる酸化物半導体膜のキャリア密度は、1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、更に好ましくは1×1011/cm未満とする。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。水分又は水素などの不純物濃度が十分に低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることで高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0041】
ここで、酸化物半導体膜中の、水素濃度の分析について触れておく。半導体膜中の水素濃度測定は、SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopyで行う。SIMSは、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる膜との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、膜中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる膜が存在する範囲において、値に極端な変動がなく、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる膜の厚さが小さい場合、隣接する膜内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該膜が存在する領域における、水素濃度の極大値又は極小値を、当該膜中の水素濃度として採用する。更に、当該膜が存在する領域において、極大値を有する山型のピーク、極小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
【0042】
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流が低いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流密度は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入又は容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流密度の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流密度を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、更に低いオフ電流密度が得られることが分かった。従って、本発明の一態様に係る半導体装置では、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタのオフ電流密度を、ソース電極とドレイン電極間の電圧によっては、100yA/μm以下、好ましくは10yA/μm以下、更に好ましくは1yA/μm以下にすることができる。従って、高純度化された酸化物半導体膜を活性層として用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0043】
なお、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0044】
なお、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn系酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高いため、固体撮像装置、または半導体表示装置に用いる半導体材料としては好適である。
【0045】
或いは、酸化物半導体は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される材料を用いてもよい。Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えば、Mとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びFe、Ga及びNi、Ga及びMn、Ga及びCoなどを適用することができる。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。なお、上述の組成は結晶構造から導き出されるものであり、あくまでも一例に過ぎないことを付記する。
【0046】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以下であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、pチャネル型トランジスタにおいては、ドレイン電極をソース電極とゲート電極よりも低い電位とした状態において、ソース電極の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以上であるときに、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流のことを意味する。
【0047】
スイッチング用トランジスタ106の活性層に酸化物半導体を用いることで、当該トランジスタのオフ電流を低減させることができる。スイッチング用トランジスタ106のオフ電流が低減すると、駆動用トランジスタ108のゲート電極からリークする電荷量を低減させることができる。よって、画像信号の電位を保持するための保持容量を小さくする、さらには保持容量をなくすようにしても、画像信号の電位を保持することができるため、発光素子107の画素電極側から光を取り出す場合において開口率を高め、光の取り出し効率を高めることができる。
【0048】
また、シリコンよりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体材料の一例として、酸化物半導体の他に、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体を挙げることができる。酸化物半導体は、炭化シリコンや窒化ガリウムなどの化合物半導体とは異なり、スパッタリング法や湿式法により作製可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコンまたは窒化ガリウムとは異なり、酸化物半導体は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上への成膜、或いはシリコンを用いた集積回路上への成膜が可能である。よって、上述した炭化シリコンや窒化ガリウムなどよりも、酸化物半導体は特に量産性が高いというメリットを有する。また、トランジスタの性能(例えば電界効果移動度)を向上させるために結晶性の酸化物半導体を得ようとする場合でも、250℃から800℃の熱処理によって容易に結晶性の酸化物半導体を得ることができる。
【0049】
また、酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有しており、多結晶シリコンや微結晶シリコンとは異なり、第6世代以上の大型基板への対応が可能である。
【0050】
なお、スイッチング用トランジスタ106と電流制御用トランジスタ109は線形領域で動作するため、スイッチング素子として機能する。よって、スイッチング用トランジスタ106は単数とは限らず、並列或いは直列に接続された複数のスイッチング用トランジスタ106を画素105に用いていても良い。また、電流制御用トランジスタ109も同様に単数とは限らず、並列或いは直列に接続された複数の電流制御用トランジスタ109を画素105に用いていても良い。
【0051】
なお、本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジスタの第1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端子に接続されている状態を意味する。
【0052】
また、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109は、活性層の片側にだけ存在するゲート電極を少なくとも有していれば良いが、活性層を間に挟んで存在する一対のゲート電極を有していても良い。また、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109は、単数のゲート電極と単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造であっても良いし、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造であっても良い。
【0053】
次いで、上記画素105の動作について、図2を用いて説明する。図2の回路図は、スイッチング素子として機能するスイッチング用トランジスタ106と電流制御用トランジスタ109とを、スイッチとして示している。
【0054】
図2(A)は、書き込み時における画素105の動作を模式的に示している。画像信号の書き込みを行うとき、画素105では、スイッチング用トランジスタ106がオンになり、電流制御用トランジスタ109がオフになる。よって、破線の矢印で示すように、画像信号の電位は、スイッチング用トランジスタ106を介して駆動用トランジスタ108のゲート電極に与えられる。駆動用トランジスタ108は、ソース電極の電位を基準としたときのソース電極の電位とゲート電極の電位の差(ゲート電圧)に従って、そのソース電極とドレイン電極間の抵抗値が定まる。ただし、電流制御用トランジスタ109はオフなので、発光素子107への電流の供給は停止しており、発光素子107は消灯の状態になっている。画像信号の書き込みが終了すると、スイッチング用トランジスタ106と電流制御用トランジスタ109は、共にオフになる。
【0055】
次いで、書き込まれた画像信号に従って画像の表示が行われる。図2(B)は、表示時における画素105の動作を模式的に示している。画像の表示を行うとき、画素105では、スイッチング用トランジスタ106がオフになり、電流制御用トランジスタ109がオンになる。スイッチング用トランジスタ106がオフになると、駆動用トランジスタ108のゲート電極に与えられた電位は保持される。そして、第1の電位と第2の電位には電位差が設けられているため、電流制御用トランジスタ109がオンになることで、破線の矢印で示すように、発光素子107に電流が供給される。発光素子107に供給される上記電流は、駆動用トランジスタ108のソース電極とドレイン電極間の抵抗値に従ってその値が定まる。また、発光素子107の輝度は、上記電流の値によって定まる。したがって、発光素子107は、画像信号の電位に従ってその輝度が定まる。
【0056】
上記書き込みの動作は、1ラインの画素ごとに行われる。1ラインの画素とは、スイッチング用トランジスタ106のゲート電極が互いに接続されている画素群を意味する。1ラインの画素ごとに画像信号の書き込みを行い、画素部104の全ての画素105に画像信号を書き込むのに要する期間が、書き込み期間に相当する。そして、表示の動作は全ての画素において一斉に行われる。
【0057】
次いで、本発明の一態様に係る表示装置の、画像表示部101における画素部104の動作と、遮光部102における左目用シャッター110及び右目用シャッター111の動作との同期の取り方について説明する。
【0058】
図3に、画素部104における発光素子107の動作と、電流制御用トランジスタ109のスイッチングを制御するEN信号の電位と、左目用シャッター110及び右目用シャッター111の動作を、一例としてタイミングチャートで示す。なお、図3では、電流制御用トランジスタ109がnチャネル型である場合の、EN信号の電位を示している。
【0059】
まず、R画像用の画像信号の書き込み期間(R書き込み期間)が開始されると、画素部104では1ラインごとに画像信号の画素105への書き込みが行われる。そして、上記R書き込み期間では、EN信号の電位がローレベルになり、全ての画素105において電流制御用トランジスタ109がオフになるため、全ての発光素子107は消灯する。
【0060】
また、上記R書き込み期間では、左目用シャッター110及び右目用シャッター111の透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0061】
次いで、R画像の表示期間(R表示期間)が開始される。R表示期間では、EN信号の電位がハイレベルになり、全ての画素105において電流制御用トランジスタ109がオンになる。よって、画素105に書き込まれたR画像用の画像信号に従って、発光素子107が点灯し、R画像の表示(R表示)が行われる。
【0062】
また、上記R表示期間では、右目用シャッター111の透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、左目用シャッター110の透過率は低下したままであり、非透過の状態にある。よって、画素部104からの光は右目用シャッター111を通るため、画素部104に表示されたR画像は、使用者の右目に選択的に映る。
【0063】
図6(A)に、画像表示部101が有する画素部104と、遮光部102と、使用者の左目112及び右目113の位置関係を示す。画素部104から使用者の左目112への光の経路上に、左目用シャッター110が配置されている。また、画素部104から使用者の右目113への光の経路上に、右目用シャッター111が配置されている。
【0064】
また、図6(A)では、R表示期間における表示装置の様子を示している。図6(A)において、右目用シャッター111は透過の状態にあり、左目用シャッター110は非透過の状態にある。よって、破線で示すように、画素部104からの光は、左目用シャッター110を通過せずに、右目用シャッター111を通って右目113に入射する。そのため、使用者は、画素部104に表示されているR画像を右目113で見ることとなる。
【0065】
次いで、L画像用の画像信号の書き込み期間(L書き込み期間)が開始されると、画素部104では1ラインごとに画像信号の画素105への書き込みが行われる。そして、上記L書き込み期間では、EN信号の電位がローレベルになり、全ての画素105において電流制御用トランジスタ109がオフになるため、全ての発光素子107は消灯する。
【0066】
また、上記L書き込み期間では、左目用シャッター110及び右目用シャッター111の透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0067】
図6(B)に、L書き込み期間における表示装置の様子を示す。図6(B)において、左目用シャッター110及び右目用シャッター111は非透過の状態にある。よって、画素部104から使用者の左目112及び右目113への光の経路は、左目用シャッター110及び右目用シャッター111によって遮断されている。また、L書き込み期間では、画素部104の発光素子が全て消灯している。よって、左目用シャッター110及び右目用シャッター111の透過率が完全に0%ではなくとも、使用者の左目112及び右目113にL画像とR画像が混在して表示された画像が映ることはない。
【0068】
次いで、L画像の表示期間(L表示期間)が開始される。L表示期間では、EN信号の電位がハイレベルになり、全ての画素105において電流制御用トランジスタ109がオンになる。よって、画素105に書き込まれたL画像用の画像信号に従って、発光素子107が点灯し、L画像の表示(L表示)が行われる。
【0069】
また、上記L表示期間では、左目用シャッター110の透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、右目用シャッター111の透過率は低下したままであり、非透過の状態にある。よって、画素部104からの光は左目用シャッター110を通るため、画素部104に表示されたL画像は、使用者の左目に選択的に映る。
【0070】
図6(C)に、L表示期間における表示装置の様子を示す。図6(C)において、左目用シャッター110は透過の状態にあり、右目用シャッター111は非透過の状態にある。よって、破線で示すように、画素部104からの光は、右目用シャッター111を通過せずに、左目用シャッター110を通って左目112に入射する。そのため、使用者は、画素部104に表示されているL画像を左目112で見ることとなる。
【0071】
なお、表示期間における発光素子の点灯は、画像信号の電位によってその輝度が制御されている。よって、図3では、R表示期間とL表示期間において発光素子が点灯している場合を例に挙げているが、画像信号によっては、一部の発光素子、或いは全ての発光素子が消灯している場合もあり得る。
【0072】
上記動作により、使用者は、L画像とR画像により構成される三次元画像を認識することができる。
【0073】
なお、L画像とR画像の表示を行う期間、すなわち、R書き込み期間、R表示期間、L書き込み期間、L表示期間を合わせた期間が1フレーム期間に相当する。よって、例えば、60Hzのフレーム周波数で画素部を駆動させたとすると、1フレーム期間は約16.6msecとなる。そして、R書き込み期間とR表示期間を合わせた期間、或いは、L書き込み期間とL表示期間を合わせた期間を、サブフレーム期間とすると、上記サブフレーム期間は約8.3msecとなる。
【0074】
次いで、液晶表示装置の動作例を挙げて、本発明の一態様に係る表示装置との対比を行う。図4に、液晶表示装置の画素部における液晶素子の動作と、バックライトの動作と、左目用シャッター及び右目用シャッターの動作を、一例としてタイミングチャートで示す。
【0075】
液晶表示装置の場合、まず、R画像用の画像信号の書き込み期間(R書き込み期間)が開始されると、画素部では1ラインごとに画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれたR画像用の画像信号に従って、液晶素子はその透過率が制御される。しかし、上記R書き込み期間では、バックライトは消灯しているため、R画像の表示は行われない。
【0076】
また、上記R書き込み期間では、左目用シャッター及び右目用シャッターの透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0077】
次いで、R画像の表示期間(R表示期間)が開始される。R表示期間では、バックライトが点灯する。液晶素子は、R画像用の画像信号に従ってその透過率が制御された状態である。よって、バックライトの点灯により、画素部においてR画像の表示が行われる。
【0078】
また、上記R表示期間では、右目用シャッターの透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、左目用シャッターの透過率は低下したままであり、非透過の状態にある。よって、画素部からの光は右目用シャッターを通るため、画素部に表示されたR画像は、使用者の右目に選択的に映る。
【0079】
次いで、L画像用の画像信号の書き込み期間(L書き込み期間)が開始されると、画素部では1ラインごとに画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれたL画像用の画像信号に従って、液晶素子はその透過率が制御される。しかし、上記L書き込み期間では、バックライトは消灯しているため、L画像の表示は行われない。
【0080】
また、上記L書き込み期間では、左目用シャッター及び右目用シャッターの透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0081】
次いで、L画像の表示期間(L表示期間)が開始される。L表示期間では、バックライトが点灯する。液晶素子は、L画像用の画像信号に従ってその透過率が制御された状態である。よって、バックライトの点灯により、画素部においてL画像の表示が行われる。
【0082】
また、上記L表示期間では、左目用シャッターの透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、右目用シャッターの透過率は低下したままであり、非透過の状態にある。よって、画素部からの光は左目用シャッターを通るため、画素部に表示されたL画像は、使用者の左目に選択的に映る。
【0083】
上記動作により、使用者は、L画像とR画像により構成される三次元画像を認識することができる。
【0084】
上記液晶表示装置の場合においても、L画像とR画像の表示を行う期間、すなわち、R書き込み期間、R表示期間、L書き込み期間、L表示期間を合わせた期間が1フレーム期間に相当する。よって、例えば、60Hzのフレーム周波数で画素部を駆動させたとすると、1フレーム期間は約16.6msecとなる。そして、R書き込み期間とR表示期間を合わせた期間、或いは、L書き込み期間とL表示期間を合わせた期間を、サブフレーム期間とすると、上記サブフレーム期間は約8.3msecとなる。
【0085】
液晶表示装置の場合、画素が有する液晶素子の応答速度が発光素子よりも遅いため、R書き込み期間とL書き込み期間を、図3に示した表示装置の場合よりも長く確保する必要がある。従って、サブフレーム期間の長さが同じであれば、本発明の一態様に係る表示装置の場合、液晶表示装置の場合に比べて、R表示期間とL表示期間が長くなって、デューティ比が高くなるため、消費電力を抑えつつ明るい画像を表示することができると言える。
【0086】
次いで、発光素子を画素に用いている点において本発明の一態様と同じであるが、電流制御用トランジスタを画素に有さない点において本発明の一態様と異なる表示装置の動作例を挙げて、本発明の一態様に係る表示装置との対比を行う。
【0087】
図5に、対比例である表示装置の、画素部における発光素子の動作と、左目用シャッター及び右目用シャッターの動作を、一例としてタイミングチャートで示す。
【0088】
対比例の表示装置の場合、まず、R画像用の画像信号の書き込み期間(R書き込み期間)が開始されると、画素部では1ラインごとに画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれたR画像用の画像信号に従って、発光素子は点灯し、画素部においてR画像の表示(R表示)が行われる。すなわち、画像信号の画素への書き込みが行われると同時に、画像の表示も行われるため、R書き込み期間はR表示期間の一部であると言える。図5では、R書き込み期間とR表示期間とが一致する場合を例示している。
【0089】
次いで、対比例の表示装置の場合、発光素子を消灯させるような黒表示用の画像信号の書き込み期間(B書き込み期間)が開始される。B書き込み期間が開始されると、画素部では1ラインごとに黒表示用の画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれた黒表示用の画像信号に従って、発光素子は消灯する。
【0090】
そして、上記R書き込み期間及びB書き込み期間では、右目用シャッターの透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、左目用シャッターの透過率は低下し、非透過の状態になる。よって、画素部からの光は右目用シャッターを通るため、画素部に表示されたR画像は、使用者の右目に選択的に映る。
【0091】
次いで、B書き込み期間が終了した後、R画像とL画像が画素部に混在して表示されるのを防ぐために、画素部の全ての画素において発光素子が消灯する消灯期間を設ける。消灯期間では、左目用シャッター及び右目用シャッターの透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0092】
次いで、L画像用の画像信号の書き込み期間(L書き込み期間)が開始されると、画素部では1ラインごとに画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれたL画像用の画像信号に従って、発光素子は点灯し、画素部においてL画像の表示(L表示)が行われる。すなわち、画像信号の画素への書き込みが行われると同時に、画像の表示も行われるため、L書き込み期間はL表示期間の一部であると言える。図5では、L書き込み期間とL表示期間とが一致する場合を例示している。
【0093】
次いで、再びB書き込み期間が開始される。B書き込み期間が開始されると、画素部では1ラインごとに黒表示用の画像信号の画素への書き込みが行われる。そして、画素に書き込まれた黒表示用の画像信号に従って、発光素子は消灯する。
【0094】
そして、上記L書き込み期間及びB書き込み期間では、左目用シャッターの透過率が高くなり、透過の状態になる。一方、右目用シャッターの透過率は低下し、非透過の状態になる。よって、画素部からの光は左目用シャッターを通るため、画素部に表示されたL画像は、使用者の左目に選択的に映る。
【0095】
次いで、B書き込み期間が終了した後、R画像とL画像が画素部に混在するように表示されるのを防ぐために、画素部の全ての画素において発光素子が消灯する消灯期間を設ける。消灯期間では、左目用シャッター及び右目用シャッターの透過率が低下し、非透過の状態になる。
【0096】
なお、上述したように、表示期間における発光素子の点灯は、画像信号の電位によってその輝度が制御されている。よって、図5では、R表示期間とL表示期間、すなわちR書き込み期間とL書き込み期間において発光素子が点灯している場合を例に挙げているが、画像信号によっては、一部の発光素子、或いは全ての発光素子が消灯している場合もあり得る。
【0097】
上記動作により、使用者は、L画像とR画像により構成される三次元画像を認識することができる。
【0098】
対比例の上記表示装置の場合、L画像とR画像の表示を行う期間、すなわち、R書き込み期間、B書き込み期間、消灯期間、L書き込み期間、B書き込み期間、消灯期間を合わせた期間が、1フレーム期間に相当する。よって、例えば、60Hzのフレーム周波数で画素部を駆動させたとすると、1フレーム期間は約16.6msecとなる。そして、R書き込み期間とR表示期間を合わせた期間、或いは、L書き込み期間とL表示期間を合わせた期間を、サブフレーム期間とすると、上記サブフレーム期間は約8.3msecとなる。
【0099】
そして、対比例の上記表示装置の場合、本発明の一態様に係る表示装置と同様に発光素子を表示素子として用いているため、R書き込み期間、L書き込み期間に要する時間は同程度となる。しかし、対比例の上記表示装置の場合、B書き込み期間が終了してから、次にL書き込み期間が開始されるまでの消灯期間において、右目用シャッターと左目用シャッターの透過率を切り換える必要がある。シャッターには、液晶素子などの、電流または電圧の供給による透過率の制御が可能な素子が用いられているため、シャッターの透過率を切り換えるのには時間を要する。よって、対比例の上記表示装置の場合、任意の一画素に着目すると、上記シャッターの切り換えに要する消灯期間と、黒表示用の画像信号の書き込み期間の両期間において、発光素子が消灯になる。そのため、発光素子の点灯期間の1フレーム期間に占める割合、すなわち、表示期間の1フレーム期間に占める割合であるデューティ比が低くなり、本発明の課題の一つである、消費電力を抑えつつ明るい画像の表示を行う表示装置を実現することが難しい。
【0100】
一方、本発明の一態様に係る表示装置では、電流制御用トランジスタ109を用いることで、発光素子107を消灯させるのに、黒表示用の画像信号の書き込みを行う必要がない。すなわち、画像信号とは異なる系統の信号を用いて全画素の発光素子を一斉に消灯させることができる。そのため、R書き込み期間、L書き込み期間において全ての発光素子107を一斉に消灯させることができる。上記書き込み期間では、画像信号の書き込みが済んでいる画素105と、それ以外の画素105とが画素部104において混在している。すなわち、電流制御用トランジスタ109がオンであるならば、画素部104においてL画像とR画像が混在する。しかし、本発明の一態様では、上記書き込み期間において発光素子107を消灯させることで、L画像とR画像が混在して画素部104に表示されるのを防ぐことができる。
【0101】
また、本発明の一態様では、左目用シャッターと右目用シャッターの透過率を、上記書き込み期間において切り換えることができる。従って、クロストークの発生を抑えつつ、表示期間の1フレーム期間に占める割合であるデューティ比を、対比例の表示装置よりも高めることができる。従って、消費電力を抑えつつ、明るい画像の表示を行うことができる表示装置を実現させることができる。
【0102】
また、本発明の一態様では、書き込み期間において、L画像とR画像が混在した画像が画素部104に表示されないので、左目用の画像が右目に、或いは、右目用の画像が左目に映ってしまうクロストークを防ぐことができる。
【0103】
また、上記書き込み期間において、発光素子107を消灯することで、画像表示部101の消費電力の低減、延いては表示装置100全体の消費電力の低減を図ることができる。
【0104】
(実施の形態2)
図7に、図1に示した画素105を複数有する、画素部104の具体的な回路図の一例を示す。
【0105】
図7に示すように、画素部104は、信号線S1〜信号線Sx、走査線G1〜走査線Gy、電源線V1〜電源線Vxを有している。そして、画素105は、信号線S1〜信号線Sxのいずれか一つと、走査線G1〜走査線Gyのいずれか一つと、電源線V1〜電源線Vxのいずれか一つとを有する。
【0106】
そして、各画素105において、スイッチング用トランジスタ106は、そのゲート電極が走査線Gj(jは1乃至yのいずれか一つ)に接続されている。スイッチング用トランジスタ106は、その第1端子が、画像信号が与えられている信号線Si(iは1乃至xのいずれか一つ)に接続されており、その第2端子が、駆動用トランジスタ108のゲート電極が接続されている。駆動用トランジスタ108は、その第1端子が、第1の電位の与えられている電源線Viに接続されており、その第2端子が、電流制御用トランジスタ109の第1端子に接続されている。電流制御用トランジスタ109の第2端子は、発光素子107の画素電極に接続される。発光素子107の共通電極には、第2の電位が与えられる。電流制御用トランジスタ109のゲート電極は、EN信号の電位が与えられるノードに接続されている。
【0107】
また、図7では、画素105が保持容量120を有する場合を例示している。保持容量120は、駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続されており、上記保持容量120によって、駆動用トランジスタ108のゲート電極の電位が保持される。具体的に、保持容量120が有する一対の電極は、一方が駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続され、他方が固定電位の与えられているノード、例えば電源線Viなどに、接続されている。
【0108】
図8に、図1に示した画素105を複数有する、画素部104の具体的な回路図の別の一例を示す。
【0109】
図8に示すように、画素部104は、信号線S1〜信号線Sx、走査線G1〜走査線Gy、電源線V1〜電源線Vxを有している。そして、画素105は、信号線S1〜信号線Sxのいずれか一つと、走査線G1〜走査線Gyのいずれか一つと、電源線V1〜電源線Vxのいずれか一つとを有する。
【0110】
そして、各画素105において、スイッチング用トランジスタ106は、そのゲート電極が走査線Gjに接続されている。スイッチング用トランジスタ106は、その第1端子が、画像信号が与えられている信号線Siに接続されており、その第2端子が、駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ108は、その第1端子が、電流制御用トランジスタ109の第2端子に接続されており、その第2端子が、発光素子107の画素電極に接続されている。発光素子107の共通電極には、第2の電位が与えられる。電流制御用トランジスタ109の第1端子は、第1の電位の与えられている電源線Viに接続されている。電流制御用トランジスタ109のゲート電極は、EN信号の電位が与えられるノードに接続されている。
【0111】
また、図8では、画素105が保持容量120を有する場合を例示している。保持容量120は、駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続されており、上記保持容量120によって、駆動用トランジスタ108のゲート電極の電位が保持される。具体的に、保持容量120が有する一対の電極は、一方が駆動用トランジスタ108のゲート電極に接続され、他方が固定電位の与えられているノード、例えば電源線Viなどに、接続されている。
【0112】
なお、図7、図8では、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ108、電流制御用トランジスタ109がnチャネル型である場合を例示しているが、これらのトランジスタはnチャネル型とpチャネル型のどちらでも良い。
【0113】
次に、図7、図8に示した画素部104の駆動方法について説明する。
【0114】
まず、書き込み期間において、走査線G1〜走査線Gyが順に選択される。例えば走査線Gjが選択されると、走査線Gjにゲート電極が接続されているスイッチング用トランジスタ106がオンになる。そして、信号線S1〜信号線Sxに入力された画像信号の電位が、スイッチング用トランジスタ106がオンになることで、駆動用トランジスタ108のゲート電極に与えられる。そして、走査線Gjの選択が終了すると、スイッチング用トランジスタ106がオフになり、画像信号の電位は駆動用トランジスタ108のゲート電極において保持される。
【0115】
なお、書き込み期間では、EN信号の電位に従って、電流制御用トランジスタ109はオフになっている。よって、画像信号の電位の高さに関わらず、発光素子107は消灯している。
【0116】
次いで、書き込み期間が終了し、表示期間が開始されると、EN信号の電位に従って、全画素105の電流制御用トランジスタ109がオンになる。そして、画像信号の電位に従って駆動用トランジスタ108がオンになっている場合、電流制御用トランジスタ109を介して、発光素子107に電流が供給されることで発光素子107が点灯する。発光素子107に流れる電流の値は、駆動用トランジスタ108のドレイン電流によってほぼ決まる。よって、発光素子107は、画像信号の電位に従ってその輝度が定まる。逆に、画像信号の電位に従って、駆動用トランジスタ108がオフになっている場合、発光素子107への電流の供給は行われず、発光素子107は消灯する。
【0117】
上記動作により、画像を表示することができる。
【0118】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置が有する画像表示部の、具体的な構成の一例について説明する。図9に、本実施の形態の画像表示部のブロック図を、一例として示す。なお、図9に示すブロック図では、画像表示部内の回路を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0120】
図9に示す画像表示部は、画素を複数有する画素部500と、各画素をラインごとに選択する走査線駆動回路510と、選択されたラインの画素への画像信号の入力を制御する信号線駆動回路520とを有する。
【0121】
信号線駆動回路520は、シフトレジスタ521、第1の記憶回路522、第2の記憶回路523、DA変換回路524を有している。シフトレジスタ521には、クロック信号S−CLK、スタートパルス信号S−SPが入力される。シフトレジスタ521は、これらクロック信号S−CLK及びスタートパルス信号S−SPに従って、パルスが順次シフトするタイミング信号を生成し、第1の記憶回路522に出力する。タイミング信号のパルスの出現する順序は、走査方向切り替え信号に従って切り替えるようにしても良い。
【0122】
第1の記憶回路522にタイミング信号が入力されると、該タイミング信号のパルスに従って、画像信号が順に第1の記憶回路522に書き込まれ、保持される。なお、第1の記憶回路522が有する複数の記憶回路に順に画像信号を書き込んでも良いが、第1の記憶回路522が有する複数の記憶回路をいくつかのグループに分け、該グループごとに並行して画像信号を入力する、いわゆる分割駆動を行っても良い。
【0123】
第1の記憶回路522の全ての記憶回路への、画像信号の書き込みが一通り終了するまでの時間を、ライン期間と呼ぶ。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間に含むことがある。
【0124】
1ライン期間が終了すると、第2の記憶回路523に入力されるラッチ信号S−LSのパルスに従って、第1の記憶回路522に保持されている画像信号が、第2の記憶回路523に一斉に書き込まれ、保持される。画像信号を第2の記憶回路523に送出し終えた第1の記憶回路522には、再びシフトレジスタ521からのタイミング信号に従って、次の画像信号の書き込みが順次行われる。この2順目の1ライン期間中には、第2の記憶回路523に書き込まれ、保持されている画像信号が、DA変換回路524に入力される。
【0125】
そしてDA変換回路524は、入力されたデジタルの画像信号をアナログの画像信号に変換し、信号線を介して画素部500内の各画素に入力する。
【0126】
なお、信号線駆動回路520は、シフトレジスタ521の代わりに、パルスが順次シフトする信号を出力することができる別の回路を用いても良い。
【0127】
また、図9では、DA変換回路524の後段に画素部500が直接接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。画素部500の前段に、DA変換回路524から出力された画像信号に信号処理を施す回路を設けることができる。信号処理を施す回路の一例として、例えばバッファ、レベルシフタなどが挙げられる。
【0128】
次に、走査線駆動回路510の動作について説明する。走査線駆動回路510はパルスが順次シフトする選択信号を生成し、該選択信号を複数の走査線に入力することで、画素をラインごとに選択する。選択信号により画素が選択されると、走査線の一つにゲート電極が接続されたスイッチング用トランジスタがオンになり、画素への画像信号の入力が行われる。
【0129】
なお、画素部500、走査線駆動回路510、信号線駆動回路520は、同じ基板に形成することができるが、いずれかを異なる基板で形成することもできる。
【0130】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0131】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の表示装置が有する画像表示部の、具体的な構成の一例について説明する。図10に、本実施の形態の画像表示部のブロック図を、一例として示す。なお、図10に示すブロック図では、画像表示部内の回路を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の回路は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの回路が複数の機能に係わることもあり得る。
【0132】
図10に示す本発明の表示装置は、複数の画素を有する画素部600と、複数の画素をラインごとに選択する走査線駆動回路610と、選択されたライン内の画素への画像信号の入力を制御する信号線駆動回路620とを有する。
【0133】
信号線駆動回路620は、シフトレジスタ621と、サンプリング回路622と、アナログ信号を記憶することができる記憶回路623とを少なくとも有する。シフトレジスタ621にクロック信号S−CLKと、スタートパルス信号S−SPが入力される。シフトレジスタ621はこれらクロック信号S−CLK及びスタートパルス信号S−SPに従って、パルスが順次シフトするタイミング信号を生成し、サンプリング回路622に入力する。サンプリング回路622では、入力されたタイミング信号に従って、信号線駆動回路620に入力された1ライン期間分のアナログの画像信号をサンプリングする。そして1ライン期間分の画像信号が全てサンプリングされると、サンプリングされた画像信号はラッチ信号S−LSに従って一斉に記憶回路623に出力され、保持される。記憶回路623に保持される画像信号は、信号線を介して画素部600に入力される。
【0134】
なお本実施の形態では、サンプリング回路622において1ライン期間分の画像信号を全てサンプリングした後に、一斉に下段の記憶回路623にサンプリングされた画像信号を入力する場合を例に挙げて説明するが、本発明はこの構成に限定されない。サンプリング回路622において各画素に対応する画像信号をサンプリングしたら、1ライン期間を待たずに、その都度下段の記憶回路623にサンプリングされた画像信号を入力しても良い。
【0135】
また画像信号のサンプリングは対応する画素毎に順に行っても良いし、1ライン内の画素をいくつかのグループに分け、各グループに対応する画素ごとに並行して行っても良い。
【0136】
なお図10では記憶回路623の後段に直接画素部600が接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。画素部600の前段に、記憶回路623から出力されたアナログの画像信号に信号処理を施す回路を設けることができる。信号処理を施す回路の一例として、例えば波形を整形することができるバッファなどが挙げられる。
【0137】
そして、記憶回路623から画素部600に画像信号が入力されるのと並行して、サンプリング回路622は次のライン期間に対応する画像信号を再びサンプリングすることができる。
【0138】
次に、走査線駆動回路610の動作について説明する。走査線駆動回路610はパルスが順次シフトする選択信号を生成し、該選択信号を複数の走査線に入力することで、画素をラインごとに選択する。選択信号により画素が選択されると、走査線の一つにゲート電極が接続されたスイッチング用トランジスタがオンになり、画素への画像信号の入力が行われる。
【0139】
なお、画素部600、走査線駆動回路610、信号線駆動回路620は、同じ基板に形成することができるが、いずれかを異なる基板で形成することもできる。
【0140】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0141】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る表示装置の、画素が有するトランジスタと発光素子の断面構造について説明する。本実施の形態では、発光素子を駆動させるためのトランジスタがn型の場合における、画素の断面構造について、図11を用いて説明する。なお図11では、画素電極が陰極、共通電極が陽極の場合について説明するが、画素電極が陽極、共通電極が陰極であっても良い。
【0142】
図11(A)に、トランジスタ6031がn型で、発光素子6033から発せられる光を画素電極6034側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。トランジスタ6031は絶縁膜6037で覆われており、絶縁膜6037上には開口部を有する隔壁6038が形成されている。隔壁6038の開口部において画素電極6034が一部露出しており、該開口部において画素電極6034、電界発光層6035、共通電極6036が順に積層されている。
【0143】
画素電極6034は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、アルミニウムなどの他の導電膜を用いることも可能である。そして画素電極6034を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成する。さらに、光が透過する程度の膜厚を有する上記導電膜の上または下に接するように、透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電膜を形成し、画素電極6034のシート抵抗を抑えるようにしても良い。なお、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いた導電膜だけを用いることも可能である。またITOと酸化珪素とを含むインジウム錫酸化物(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。また、グラフェンなどを画素電極6034に用いていても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、電界発光層6035に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0144】
また共通電極6036は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、チタン、タングステン、ニッケル、白金、クロム、銀、アルミニウム等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を共通電極6036に用いることができる。
【0145】
電界発光層6035は、単数または複数の層で構成されている。複数の層で構成されている場合、これらの層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などに分類することができる。電界発光層6035が発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれかを有している場合、画素電極6034から、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の順に積層する。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無機系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系、中分子系、低分子系のいずれの材料も用いることが可能である。なお中分子系の材料とは、構造単位の繰返しの数(重合度)が2から20程度の低重合体に相当する。正孔注入層と正孔輸送層との区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正孔注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても同様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。
【0146】
図11(A)に示した画素の場合、発光素子6033から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように画素電極6034側から取り出すことができる。
【0147】
次に図11(B)に、トランジスタ6041がn型で、発光素子6043から発せられる光を共通電極6046側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。トランジスタ6041は絶縁膜6047で覆われており、絶縁膜6047上には開口部を有する隔壁6048が形成されている。隔壁6048の開口部において画素電極6044が一部露出しており、該開口部において画素電極6044、電界発光層6045、共通電極6046が順に積層されている。
【0148】
画素電極6044は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、アルミニウムなどの他の導電膜を用いることも可能である。
【0149】
また共通電極6046は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を共通電極6046に用いることが可能である。また、ITSOや、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを共通電極6046に用いても良い。また、グラフェンなどを共通電極6046に用いていても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えば窒化チタン、窒化ジルコニウム、チタン、タングステン、ニッケル、白金、クロム、銀、アルミニウム等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を共通電極6046に用いることもできる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料を用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で共通電極6046を形成する。
【0150】
電界発光層6045は、図11(A)の電界発光層6035と同様に形成することができる。
【0151】
図11(B)に示した画素の場合、発光素子6043から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように共通電極6046側から取り出すことができる。
【0152】
次に図11(C)に、トランジスタ6051がn型で、発光素子6053から発せられる光を画素電極6054側及び共通電極6056側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。トランジスタ6051は絶縁膜6057で覆われており、絶縁膜6057上には開口部を有する隔壁6058が形成されている。隔壁6058の開口部において画素電極6054が一部露出しており、該開口部において画素電極6054、電界発光層6055、共通電極6056が順に積層されている。
【0153】
画素電極6054は、図11(A)の画素電極6034と同様に形成することができる。また共通電極6056は、図11(B)の共通電極6046と同様に形成することができる。電界発光層6055は、図11(A)の電界発光層6035と同様に形成することができる。
【0154】
図11(C)に示した画素の場合、発光素子6053から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように画素電極6054側及び共通電極6056側から取り出すことができる。
【0155】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが出来る。
【0156】
(実施の形態6)
本実施の形態では、酸化物半導体膜を用いたトランジスタの構成について説明する。
【0157】
図12(A)に示すトランジスタ701は、チャネルエッチ構造の、ボトムゲート型である。
【0158】
トランジスタ701は、絶縁表面上に形成されたゲート電極702と、ゲート電極702上のゲート絶縁膜703と、ゲート絶縁膜703上においてゲート電極702と重なっている酸化物半導体膜704と、酸化物半導体膜704上に形成された導電膜705、導電膜706とを有する。さらに、トランジスタ701は、酸化物半導体膜704、導電膜705及び導電膜706上に形成された絶縁膜707を、その構成要素に含めても良い。
【0159】
なお、図12(A)に示したトランジスタ701は、酸化物半導体膜704と重なる位置において絶縁膜707上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0160】
図12(B)に示すトランジスタ711は、チャネル保護構造の、ボトムゲート型である。
【0161】
トランジスタ711は、絶縁表面上に形成されたゲート電極712と、ゲート電極712上のゲート絶縁膜713と、ゲート絶縁膜713上においてゲート電極712と重なっている酸化物半導体膜714と、酸化物半導体膜714上に形成されたチャネル保護膜718と、酸化物半導体膜714上に形成された導電膜715、導電膜716とを有する。さらに、トランジスタ711は、チャネル保護膜718、導電膜715及び導電膜716上に形成された絶縁膜717を、その構成要素に含めても良い。
【0162】
なお、図12(B)に示したトランジスタ711は、酸化物半導体膜714と重なる位置において絶縁膜717上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0163】
チャネル保護膜718を設けることによって、酸化物半導体膜714のチャネル形成領域となる部分に対する、後の工程における、エッチング時のプラズマやエッチング剤による膜減りなどのダメージを防ぐことができる。従ってトランジスタ711の信頼性を向上させることができる。
【0164】
図12(C)に示すトランジスタ721は、ボトムコンタクト構造の、ボトムゲート型である。
【0165】
トランジスタ721は、絶縁表面上に形成されたゲート電極722と、ゲート電極722上のゲート絶縁膜723と、ゲート絶縁膜723上の導電膜725、導電膜726と、ゲート絶縁膜723上においてゲート電極722と重なっており、なおかつ導電膜725、導電膜726上に形成された酸化物半導体膜724とを有する。さらに、トランジスタ721は、導電膜725、導電膜726、及び酸化物半導体膜724上に形成された絶縁膜727を、その構成要素に含めても良い。
【0166】
なお、図12(C)に示したトランジスタ721は、酸化物半導体膜724と重なる位置において絶縁膜727上に形成されたバックゲート電極を、更に有していても良い。
【0167】
図12(D)に示すトランジスタ731は、トップコンタクト構造の、トップゲート型である。
【0168】
トランジスタ731は、絶縁表面上に形成された酸化物半導体膜734と、酸化物半導体膜734上に形成された導電膜735、導電膜736と、酸化物半導体膜734、導電膜735及び導電膜736上に形成されたゲート絶縁膜733と、ゲート絶縁膜733上において酸化物半導体膜734と重なっているゲート電極732とを有する。さらに、トランジスタ731は、ゲート電極732上に形成された絶縁膜737を、その構成要素に含めても良い。
【0169】
図12(E)に示すトランジスタ741は、ボトムコンタクト構造の、トップゲート型である。
【0170】
トランジスタ741は、絶縁表面上に形成された酸化物半導体膜744と、酸化物半導体膜744上に形成された導電膜745、導電膜746と、酸化物半導体膜744、導電膜745及び導電膜746上に形成されたゲート絶縁膜743と、ゲート絶縁膜743上において酸化物半導体膜744と重なっているゲート電極742とを有する。さらに、トランジスタ741は、ゲート電極742上に形成された絶縁膜747を、その構成要素に含めても良い。
【0171】
上記図12(A)乃至図12(E)において、導電膜705及び導電膜706、導電膜715及び導電膜716、導電膜725及び導電膜726、導電膜735及び導電膜736、導電膜745及び導電膜746となる導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンからから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウム又は銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0172】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分又は水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、上記図12(A)乃至図12(E)において、酸化物半導体膜704、酸化物半導体膜714、酸化物半導体膜724、酸化物半導体膜734、酸化物半導体膜744(以下、単に酸化物半導体膜とする)中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体膜に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、加熱処理を施しておくことが望ましい。
【0173】
酸化物半導体膜に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜中の水分又は水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0174】
なお、加熱処理装置は電気炉の他に、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0175】
加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0176】
なお、”酸化物半導体は不純物に対して鈍感であり、膜中にはかなりの金属不純物が含まれていても問題がなく、ナトリウムのようなアルカリ金属が多量に含まれる廉価なソーダ石灰ガラスも使える”と指摘されている(神谷、野村、細野、「アモルファス酸化物半導体の物性とデバイス開発の現状」、固体物理、2009年9月号、Vol.44、pp.621−633.)。しかし、このような指摘は適切でない。アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体膜に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNaとなる。また、Naは、酸化物半導体膜内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。この不純物によりもたらされるトランジスタの特性の劣化と、特性のばらつきは、酸化物半導体膜中の水素の濃度が十分に低い場合において顕著に現れる。従って、酸化物半導体膜中の水素の濃度が5×1019cm−3以下、特に5×1018cm−3以下である場合には、上記不純物の濃度を低減することが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm以下、好ましくは1×1016/cm以下、更に好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。
【0177】
酸化物半導体膜中の水素の濃度を低減することで、酸化物半導体膜の安定化を図ることができる。また、ガラス転移温度以下の加熱処理で、水素欠陥に起因するキャリア密度が少なく、バンドギャップの広い酸化物半導体膜を形成することができる。このため、大面積基板を用いてトランジスタを作製することができ、量産性を高めることができる。上記加熱処理は、酸化物半導体膜の成膜以降であれば、いつでも行うことができる。
【0178】
また、酸化物半導体膜に接するゲート絶縁膜703、絶縁膜707、ゲート絶縁膜713、ゲート絶縁膜723、絶縁膜727、ゲート絶縁膜733、ゲート絶縁膜743などの絶縁膜には、酸素を含む無機材料(酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、または酸化窒化アルミニウムなど)を用いることができる。酸素を含む無機材料を上記絶縁膜に用いることで、水分または水素を低減させるための加熱処理により酸化物半導体膜中に酸素欠損が発生していたとしても、酸化物半導体膜に上記絶縁膜から酸素を供給し、ドナーとなる酸素欠損を低減して化学量論組成比を満たす構成とすることが可能である。よって、チャネル形成領域を、i型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタ701、トランジスタ711、トランジスタ721、トランジスタ731、トランジスタ741の電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。
【0179】
また、酸化物半導体膜に接するゲート絶縁膜703、絶縁膜707、ゲート絶縁膜713、ゲート絶縁膜723、絶縁膜727、ゲート絶縁膜733、ゲート絶縁膜743などの絶縁膜は、第13族元素及び酸素を含む絶縁材料を用いるようにしても良い。酸化物半導体には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体膜に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体膜との界面の状態を良好に保つことができる。
【0180】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一又は複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0181】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体膜に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体膜と絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。例えば、酸化物半導体膜と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体膜と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体膜への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0182】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0183】
本発明の一態様により、クロストークの発生を抑えつつ、低消費電力で、明るい画像の表示を行う三次元画像の表示装置を提供することができる。よって、上記表示装置を用いた電子機器は、低消費電力であり、鮮明な三次元画像の表示を行うことができる。
【0184】
具体的に本発明の一態様に係る表示装置は、画像表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図13に示す。
【0185】
図13(A)は画像表示装置であり、画像表示部用筐体5001、画像表示部に相当する表示部5002、スピーカー部5003、遮光部に相当するゴーグル5004等を含む。ゴーグル5004は、右目用シャッター5005と左目用シャッター5006とを有する。なお、表示部5002における右目用の画像、或いは左目用の画像の表示に同期するように、右目用シャッター5005と左目用シャッター5006の透過率を制御する制御部は、ゴーグル5004に設けられていても良いし、画像表示部用筐体5001内に設けられていても良い。画像表示装置に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、低消費電力であり、鮮明な三次元画像の表示を行うことができる画像表示装置を提供することができる。
【0186】
画像表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用画像表示装置が含まれる。
【0187】
図13(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、画像表示部用筐体5201、画像表示部に相当する表示部5202、キーボード5203、ポインティングデバイス5204、遮光部に相当するゴーグル5206等を含む。ゴーグル5206は、右目用シャッター5207と左目用シャッター5208とを有する。なお、表示部5202における右目用の画像、或いは左目用の画像の表示に同期するように、右目用シャッター5207と左目用シャッター5208の透過率を制御する制御部は、ゴーグル5206に設けられていても良いし、画像表示部用筐体5201内に設けられていても良い。ノート型パーソナルコンピュータに本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、低消費電力であり、鮮明な三次元画像の表示を行うことができるノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。
【0188】
図13(C)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、画像表示部用筐体5401、画像表示部に相当する表示部5402、記録媒体(DVD等)読み込み部5403、操作キー5404、スピーカー部5405、遮光部に相当するゴーグル5407等を含む。ゴーグル5407は、右目用シャッター5408と左目用シャッター5409とを有する。記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。なお、表示部5402における右目用の画像、或いは左目用の画像の表示に同期するように、右目用シャッター5408と左目用シャッター5409の透過率を制御する制御部は、ゴーグル5407に設けられていても良いし、画像表示部用筐体5401内に設けられていても良い。画像再生装置に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、低消費電力であり、鮮明な三次元画像の表示を行うことができる画像再生装置を提供することができる。
【0189】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
【0190】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0191】
100 表示装置
101 画像表示部
102 遮光部
103 制御部
104 画素部
105 画素
106 スイッチング用トランジスタ
107 発光素子
108 駆動用トランジスタ
109 電流制御用トランジスタ
110 左目用シャッター
111 右目用シャッター
112 左目
113 右目
120 保持容量
500 画素部
510 走査線駆動回路
520 信号線駆動回路
521 シフトレジスタ
522 記憶回路
523 記憶回路
524 DA変換回路
600 画素部
610 走査線駆動回路
620 信号線駆動回路
621 シフトレジスタ
622 サンプリング回路
623 記憶回路
701 トランジスタ
702 ゲート電極
703 ゲート絶縁膜
704 酸化物半導体膜
705 導電膜
706 導電膜
707 絶縁膜
711 トランジスタ
712 ゲート電極
713 ゲート絶縁膜
714 酸化物半導体膜
715 導電膜
716 導電膜
717 絶縁膜
718 チャネル保護膜
721 トランジスタ
722 ゲート電極
723 ゲート絶縁膜
724 酸化物半導体膜
725 導電膜
726 導電膜
727 絶縁膜
731 トランジスタ
732 ゲート電極
733 ゲート絶縁膜
734 酸化物半導体膜
735 導電膜
736 導電膜
737 絶縁膜
741 トランジスタ
742 ゲート電極
743 ゲート絶縁膜
744 酸化物半導体膜
745 導電膜
746 導電膜
747 絶縁膜
5001 画像表示部用筐体
5002 表示部
5003 スピーカー部
5004 ゴーグル
5005 右目用シャッター
5006 左目用シャッター
5201 画像表示部用筐体
5202 表示部
5203 キーボード
5204 ポインティングデバイス
5206 ゴーグル
5207 右目用シャッター
5208 左目用シャッター
5401 画像表示部用筐体
5402 表示部
5403 読み込み部
5404 操作キー
5405 スピーカー部
5407 ゴーグル
5408 右目用シャッター
5409 左目用シャッター
6031 トランジスタ
6033 発光素子
6034 画素電極
6035 電界発光層
6036 共通電極
6037 絶縁膜
6038 隔壁
6041 トランジスタ
6043 発光素子
6044 画素電極
6045 電界発光層
6046 共通電極
6047 絶縁膜
6048 隔壁
6051 トランジスタ
6053 発光素子
6054 画素電極
6055 電界発光層
6056 共通電極
6057 絶縁膜
6058 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が画素部に設けられた画像表示部と、
第1のシャッター及び第2のシャッターを有する遮光部と、
前記画素部における右目用の画像及び左目用の画像の表示に同期するように、前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターの透過率を制御する制御部と、を有し、
前記複数の画素は、画像信号の前記画素への入力を制御するスイッチング用トランジスタと、発光素子と、前記画像信号に従って前記発光素子に供給する電流の値を制御する駆動用トランジスタと、前記発光素子への電流の供給の有無を選択する電流制御用トランジスタと、を有する表示装置。
【請求項2】
複数の画素が画素部に設けられた画像表示部と、
第1のシャッター及び第2のシャッターを有する遮光部と、
前記画素部における右目用の画像及び左目用の画像の表示に同期するように、前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターの透過率を制御する制御部と、を有し、
前記複数の画素は、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、電流制御用トランジスタと、発光素子とを有し、
前記スイッチング用トランジスタの第1端子には画像信号が与えられ、前記スイッチング用トランジスタの第2端子には前記駆動用トランジスタのゲート電極が接続され、前記駆動用トランジスタの第1端子には第1の電位が与えられ、前記駆動用トランジスタの第2端子は前記電流制御用トランジスタの第1端子に接続され、前記電流制御用トランジスタの第2端子は、前記発光素子の画素電極に接続され、前記発光素子の共通電極には前記第1の電位と電位差を有する第2の電位が与えられる表示装置。
【請求項3】
複数の画素が画素部に設けられた画像表示部と、
第1のシャッター及び第2のシャッターを有する遮光部と、
前記画素部における右目用の画像及び左目用の画像の表示に同期するように、前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターの透過率を制御する制御部と、を有し、
前記複数の画素は、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、電流制御用トランジスタと、発光素子とを有し、
前記スイッチング用トランジスタの第1端子には画像信号が与えられ、前記スイッチング用トランジスタの第2端子には前記駆動用トランジスタのゲート電極が接続され、前記駆動用トランジスタの第1端子には前記電流制御用トランジスタの第2端子が接続され、前記電流制御用トランジスタの第1端子には第1の電位が与えられ、前記駆動用トランジスタの第2端子は、前記発光素子の画素電極に接続され、前記発光素子の共通電極には前記第1の電位と電位差を有する第2の電位が与えられる表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、
前記第1のシャッター及び前記第2のシャッターは、液晶素子を用いている表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、
前記スイッチング用トランジスタ、前記駆動用トランジスタ、または前記電流制御用トランジスタは、活性層に酸化物半導体を含む表示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記酸化物半導体は、In−Ga−Zn系の酸化物半導体である表示装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記活性層の水素濃度は、5×1019/cm以下である表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78817(P2012−78817A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194561(P2011−194561)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】