説明

表示装置

【課題】 本発明の目的は、容易にOSDを所望の視聴者に対してのみ提示することを可能にした表示装置を提供すること。
【解決手段】 複数のコンテンツの画像を時分割で表示する表示手段と、画像を観察者に対し選択的に透過させることが可能な画像選択手段と、前記画像選択手段における画像透過状態を制御する画像透過状態制御手段と、オンスクリーン画像を合成するオンスクリーン画像合成手段と、前記オンスクリーン画像合成手段によるオンスクリーン画像提示期間と、非提示期間とで、前記画像透過状態制御手段の駆動パターンを切り替える手段を備えたことを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に複数の観察者の間で画像の提示タイミングを制御する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鑑賞者に対して複数のコンテンツを提供することが可能な表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では異なるコンテンツに属する画像を時分割で表示し、これらの画像のうち、同一コンテンツに属する画像のみを選択的に到達させることで、鑑賞者に所望のコンテンツ画像を視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−186768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、表示装置において、オンスクリーン画面(OSD)を合成した場合、全ての鑑賞者に対してOSDが視認されてしまう。
【0006】
また、複数のコンテンツのうち何れかのコンテンツにのみOSDを合成する形態をとったとしても、OSD操作者は予め選択受信手段を設定し、OSDが合成される対象のコンテンツを視聴していなければならないという制約が発生する。
【0007】
上記を鑑み、本発明の目的は、容易にOSDを所望の視聴者に対してのみ提示することを可能にした表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
複数のコンテンツの画像を時分割で表示する表示手段と、
画像を観察者に対し選択的に透過させることが可能な画像選択手段と、
前記画像選択手段における画像透過状態を制御する画像透過状態制御手段と、
オンスクリーン画像を合成するオンスクリーン画像合成手段と、
前記オンスクリーン画像合成手段によるオンスクリーン画像提示期間と、非提示期間とで、前記画像透過状態制御手段の駆動パターンを切り替える手段
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易にOSDを所望の視聴者に対してのみ提示することを可能にした表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例における表示装置の構成
【図2】本発明の第二の実施例における画像選択手段の制御方法
【図3】本発明の第三の実施例における画像選択手段の制御方法
【図4】本発明の第四の実施例における画像選択手段の制御方法
【図5】本発明の第五の実施例における画像選択手段の制御方法
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態にかかわる表示装置の一例である。
【0012】
画像合成手段101には、複数のコンテンツのうちの1コンテンツである右目用視差画像106および他の1コンテンツである左目用視差画像107が入力されている。
【0013】
102はOSD生成手段であり、ユーザーの操作あるいは表示装置の内部状態に応じてOSDを画像合成手段に提供する。
【0014】
画像合成手段101では入力された複数のコンテンツおよびOSD画像を所定のタイミングで合成し、表示手段103へ提供する。
【0015】
104は画像透過状態制御手段としての、通信手段であり、観察者の左目、右目に対して表示画像を選択的に到達させるように、画像選択手段である液晶シャッターメガネ105に対して、画像透過状態制御信号を発行する。
【0016】
観察者は液晶シャッターメガネ105を通して表示手段103が提供する表示画像を観察する。複数のコンテンツのうちの1コンテンツである右目用視差画像105を観察者の右目に、他の1コンテンツである左目用視差画像106を観察者の左目に到達させるように、液晶シャッターメガネ105を制御すると、観察者の左右の目にはそれぞれ視差を持った画像が提供される。その結果、観察者は立体画像を認識することになる。
【0017】
ここで、表示手段103にOSDが表示されているタイミングの画像を観察者に提供しないように、通信手段104により液晶シャッターメガネ105を制御すると、観察者はOSDを視認することなく、コンテンツの視聴をすることができる。
【0018】
[実施例1]
以下、図2を参照して、本発明の第1の実施例による、表示装置について説明する。
【0019】
複数のコンテンツのうちの1コンテンツである右目用視差画像202と、他の1コンテンツである左目用視差画像201が時間的に交互に表示手段に表示される。
【0020】
画像選択手段である液晶シャッターメガネのシャッターの状態を左右それぞれ「シャッター(左)」「シャッター(右)」で表わされている。
【0021】
OSD合成手段によりOSDが合成されている期間をOSD提示期間203で示す。
【0022】
OSD提示期間203以外では、表示手段に左目用視差画像が提示されている期間は画像選択手段の左目用シャッターはオープン、右目用シャッターはクローズとなり、観察者の左目にのみ画像が到達する。一方、表示手段に右目用視差画像が提示されている期間は画像選択手段の左目用シャッターはクローズ、右目用シャッターはオープンとなり、観察者の右目にのみ画像が到達する。これによって、画像選択手段を通して画像を観察する観察者は、表示画像を立体映像として認識することができる。
【0023】
OSD提示期間203においては、OSD合成手段により、複数のコンテンツのうちの1コンテンツである左目用視差画像に対して、OSDが合成されている。
【0024】
OSDが合成されるフレームを表示している期間は、画像選択手段のシャッターは左右両方がクローズとなる。一方、OSDが合成されていないフレームを表示している期間は画像選択手段のシャッターは左右両方がオープンとなる。これによって、画像選択手段を通して画像を観察する観察者は、OSD提示期間においてもOSDを視認することなく、所定のコンテンツを視聴することが可能である。
【0025】
画像選択手段を通さずに画像を観察する観察者は、OSDを視認することが可能である。
【0026】
[実施例2]
以下、図3を参照して、本発明の第2の実施例による、表示装置について説明する。
【0027】
図3で説明する表示装置は、画像選択手段である液晶シャッターメガネに対し、複数の制御パターンを発行可能である。
【0028】
液晶シャッターメガネには予め受信する制御パターンを設定しておく。受信する制御パターンの切り替えは例えば、シャッターメガネに切り替えスイッチを設けておくことが考えられる。
【0029】
OSDは連続する所定の左目用視差画像フレームおよび右目用視差画像フレームに合成され、その後に連続する左目用視差画像フレームおよび右目用視差画像フレームには合成されない。
【0030】
301は第一の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの左目用シャッターの状態を示す。
【0031】
302は第一の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの右目用シャッターの状態を示す。
【0032】
第一の制御パターンでは、OSD提示期間でない場合は、左目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは左がオープン、右がクローズとなり、右目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは右がオープン、左がクローズとなる。
【0033】
OSD提示期間において、OSDが合成されるフレームを表示している期間は、画像選択手段のシャッターは左右両方がクローズとなる。その後OSDが合成されないフレームを表示している期間は、左目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは左がオープン、右がクローズとなり、右目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは右がオープン、左がクローズとなる。
【0034】
これによって、第一の制御パターンで制御される画像選択手段を通して画像を観察する観察者には、OSD提示期間において、OSDを視認することがなくなる。さらに、OSD提示期間においても、左目用視差画像は左目に、右目用視差画像は右目に提供されるので、立体画像を視認することが可能である。
【0035】
303は第二の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの左目用シャッターの状態を示す。
【0036】
304は第二の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの右目用シャッターの状態を示す。
【0037】
第二の制御パターンにおいては、OSD提示期間とOSD非提示期間とにおいて、左目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは左がオープン、右がクローズとなり、右目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは右がオープン、左がクローズとなる。
【0038】
これによって、第二の制御パターンで制御される画像選択手段を通して画像を観察する観察者には、OSD提示期間において、OSDおよび表示画像を視認することが可能である。
【0039】
なお、説明上の都合により、所定の制御パターンについて説明したが、OSDを所定の画像フレームに合成し、OSDが合成されたフレームを見せないように画像選択手段を制御するパターンであれば同様の効果が得られる。
【0040】
[実施例3]
以下、図4を参照して、本発明の第3の実施例による、表示装置について説明する。
【0041】
図4で説明する表示装置は、画像選択手段である液晶シャッターメガネに対し、複数の制御パターンを発行可能である。
【0042】
401, 402は第一の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの左右のシャッターの状態を示す。
【0043】
OSDは連続する3フレームのうち所定の1フレームに合成される。
【0044】
第一の制御パターンでは、OSDが合成されたフレームに対しては左右両方のシャッターをクローズとし、OSDが合成されていないフレームに対しては、左目用視差画像フレーム表示中は画像制御手段のシャッターは左がオープン、右がクローズとなり、右目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは右がオープン、左がクローズとなる。
【0045】
これによって、第一の制御パターンで制御される画像選択手段を通して画像を観察する観察者には、OSD提示期間において、OSDを視認することがなくなる。さらに、OSD提示期間においても、左目用視差画像は左目に、右目用視差画像は右目に提供されるので、立体画像を視認することが可能である。
【0046】
403, 404は第二の制御パターンにより制御される画像選択手段である液晶シャッターメガネの左右のシャッターの状態を示す。
【0047】
第二の制御パターンにおいては、OSD提示期間とOSD非提示期間とにおいて、左目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは左がオープン、右がクローズとなり、右目用視差画像フレーム表示中は画像選択手段のシャッターは右がオープン、左がクローズとなる。
【0048】
これによって、第二の制御パターンで制御される画像選択手段を通して画像を観察する観察者には、OSD提示期間において、OSDおよび表示画像を視認することが可能である。
【0049】
なお、説明上の都合により、所定の制御パターンについて説明したが、OSDを所定の画像フレームに合成し、OSDが合成されたフレームを見せないように画像選択手段を制御するパターンであれば同様の効果が得られる。
【0050】
[実施例4]
以下、図5を参照して、本発明の第4の実施例による、表示装置の制御方法について説明する。
【0051】
ステップ501において、OSDが提示期間にあるか否かを判断する。OSDが提示期間にある場合、ステップ502において、視聴者全員にOSDを通知する必要があるか否かを判断する。この判断を行うために例えば、OSD画面毎に全員通知するか否かの情報を持たせておくことが考えられる。
【0052】
ステップ502において、全員に通知すると判断された場合、ステップ503においてOSDを全フレームに重畳する。一方、ステップ502において、全員に通知する必要はないと判断された場合、OSDはステップ504において、所定のフレームに選択的に重畳される。さらに、ステップ505により、メガネシャッター制御信号を、ある観察者に対してはOSDが視認可能になるように、他の観察者に対してはOSDが視認されないように、変更する。例えば、OSDが視認可能になるようにするには、OSD提示期間において、OSDが合成されているフレームか、OSDが合成されていないフレームかに関わらず、左目用画像フレームを左目に、右目用画像フレームを右目に到達させる様にメガネシャッターを制御する。一方、OSDを視認させないようにするには、OSD提示期間において、OSDが合成されていない左目用画像フレームを左目に、OSDが合成されていない右目用画像フレームを右目に到達させる様にメガネシャッターを制御する。
【0053】
ステップ506において、OSDが非表示になったか否かを判断し、OSDが非表示になった場合には、ステップ507において、メガネシャッター制御信号を元に戻す。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。本実施形態の表示装置は複数人で同一の画面を観察する表示装置において有効である。
【符号の説明】
【0055】
101.画像合成手段
102.OSD生成手段
103.表示手段
104. 画像透過状態制御手段としての通信手段
105. 画像選択手段としての液晶シャッターメガネ
106.第一のコンテンツとしての右目用視差画像
107.第二のコンテンツとしての左目用視差画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツの画像を時分割で表示する表示手段と、
画像を観察者に対し選択的に透過させることが可能な画像選択手段と、
前記画像選択手段における画像透過状態を制御する画像透過状態制御手段と、
オンスクリーン画像を合成するオンスクリーン画像合成手段と、
前記オンスクリーン画像合成手段によるオンスクリーン画像提示期間と、非提示期間とで、前記画像透過状態制御手段の駆動パターンを切り替える手段
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数のコンテンツの画像を時分割で表示する表示手段と、
画像を観察者に対し選択的に透過させることが可能な画像選択手段と、
前記画像選択手段における画像透過状態を制御する画像透過状態制御手段と、
オンスクリーン画像を合成するオンスクリーン画像合成手段と、
前記オンスクリーン画像合成手段によって合成されるオンスクリーン画像に付随する情報によって、前記画像透過状態制御手段の駆動パターンを切り替える手段
を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記画像透過状態制御手段は複数の制御パターンを備え、
前記画像選択手段は前記複数の制御パターンのうち、何れのパターンによって画像を選択的に透過させるかを切り替える手段を備えたことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数のコンテンツの画像は、立体視を行う為の視差画像のうち、左目用画像および右目用画像で構成され、
前記画像透過状態制御手段は、観察者の左目および右目へ到達させるべき画像の透過状態をそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110614(P2013−110614A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254598(P2011−254598)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】