説明

表示装置

【課題】高輝度の映像を適切に表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】開口部が形成されたカラーフィルタを有する開口フィルタを含む開口サブ画素と、前記開口部を有さないカラーフィルタを有する非開口サブ画素と、前記開口サブ画素及び前記非開口サブ画素にそれぞれ対して設定された輝度に応じて駆動される液晶と、を含む画素によって形成された表示面と、該表示面に表示される映像を規定する映像信号が入力される入力部と、前記映像信号に基づき、前記開口サブ画素の輝度を規定する輝度信号を生成する信号生成部と、前記映像信号に基づき、前記映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する検出部と、前記変化度に基づき、前記輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の前記輝度を調整する調整部と、を備えることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を用いて映像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶を駆動し、映像を表示する技術は、表示装置に広く用いられている。表示装置は、一般的に、複数の画素によって形成された表示面と、表示面に向けて光を照射するバックライト装置と、を備える。画素は、典型的には、赤の色相に対応するカラーフィルタを有する赤色サブ画素と、緑の色相に対応するカラーフィルタを有する緑色サブ画素と、青の色相に対応するカラーフィルタを有する青色サブ画素と、を含む。バックライト装置からの光は、これらのカラーフィルタを通過し、赤、緑及び青の光として表示面から出射される。この結果、表示面には映像が表示される。
【0003】
特許文献1は、映像の輝度を向上させるための技術を開示する。特許文献1によれば、表示面が、上述のサブ画素に加えて、透明層を有するサブ画素を有する画素を用いて形成されるならば、明るい映像が表示面に表示される。しかしながら、特許文献1の開示技術は、透明層を形成するための追加的な工程を必要とするという課題を有する。
【0004】
特許文献2は、透明層に代えて、赤、緑及び青のカラーフィルタのうち1つに貫通穴を形成することを提案する。特許文献2に技術によれば、特許文献1の開示技術よりも簡便に映像の輝度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−295717号公報
【特許文献2】特開2011−100025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図18は、特許文献2に開示される技術にしたがって形成された開口サブ画素910の概略的な平面図である。図19は、図18に示される開口サブ画素910を有する画素900の概略的な部分断面図である。図18及び図19を用いて、特許文献2の開示技術が説明される。
【0007】
図18に示される如く、開口サブ画素910は、開口部911が形成された青色のカラーフィルタ912を備える。カラーフィルタ912の開口部911は、レジストを用いて形成される。バックライト装置(図示せず)からの光の透過率を増大させるため、開口部911は、大きく形成される。
【0008】
図19には、図18に示された開口サブ画素910に加えて、開口サブ画素910に隣接する赤色サブ画素920が示されている。赤色サブ画素920は、赤色のカラーフィルタ922を備える。開口サブ画素910のカラーフィルタ912とは異なり、赤色のカラーフィルタ922には、開口部は形成されていない。
【0009】
画素900は、上述のカラーフィルタ912,922に加えて、平坦な表面を提供するための平坦化膜901と、液晶層902と、これらを挟持する一対のガラス板903と、を備える。開口サブ画素910のカラーフィルタ912には開口部911が形成されているので、開口サブ画素910に対応する液晶のギャップ(液晶層902の厚さ)は、開口部が形成されていない赤色サブ画素920に対応する液晶のギャップよりも大きくなる。
【0010】
一般的に、カラーフィルタに開口部が形成されていないならば、液晶のギャップは、3μm〜5μmに設定される。カラーフィルタに開口部が形成されるならば、液晶のギャップは、例えば、0.5μm〜1μmだけ増大する。
【0011】
液晶のギャップの増大は、液晶の応答速度を低減させることが知られている。したがって、図19に示される開口サブ画素910の液晶の応答速度は、隣接する赤色サブ画素920の液晶の応答速度よりも低くなる。
【0012】
表示装置が立体映像を表示するならば、液晶の応答の遅れは、クロストークとして観察者に知覚される。液晶の応答速度が低いならば、観察者が映像を観察するタイミングに遅れて、画素の輝度は映像信号に規定される目標輝度に到達することとなる。
【0013】
本発明は、高輝度の映像を適切に表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の局面に係る表示装置は、開口部が形成されたカラーフィルタを有する開口フィルタを含む開口サブ画素と、前記開口部を有さないカラーフィルタを有する非開口サブ画素と、前記開口サブ画素及び前記非開口サブ画素にそれぞれ対して設定された輝度に応じて駆動される液晶と、を含む画素によって形成された表示面と、該表示面に表示される映像を規定する映像信号が入力される入力部と、前記映像信号に基づき、前記開口サブ画素の輝度を規定する輝度信号を生成する信号生成部と、前記映像信号に基づき、前記映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する検出部と、前記変化度に基づき、前記輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の前記輝度を調整する調整部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、映像が表示される表示面を形成する画素は、開口部が形成されたカラーフィルタを有する開口フィルタを含む開口サブ画素と、開口部を有さないカラーフィルタを有する非開口サブ画素と、開口サブ画素及び非開口サブ画素にそれぞれ対して設定された輝度に応じて駆動される液晶と、を備える。信号生成部は、入力部に入力される映像信号に基づき、開口サブ画素の輝度を規定する輝度信号を生成する。映像が、開口部が形成されたカラーフィルタを有する開口フィルタを含む開口サブ画素を用いて表示されるので、表示装置は、明るい映像を表示することができる。
【0016】
検出部は、映像信号に基づき、映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する。調整部は、変化度に基づき、輝度信号によって規定される開口サブ画素の輝度を調整する。したがって、開口サブ画素に対応する液晶と非開口サブ画素に対応する液晶との応答速度の差異が緩和される。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0017】
上記構成において、前記検出部は、前記フレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度を前記変化度として検出することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、検出部は、フレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度を変化度として検出する。したがって、表示装置は、オブジェクトの移動速度に対応し、高品位の映像を表示することができる。
【0019】
上記構成において、前記オブジェクトが第1速度よりも高い第2速度で移動するならば、前記調整部は、前記第1速度に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、オブジェクトが第1速度よりも高い第2速度で移動するならば、調整部は、第1速度に対応して定められた輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定する。オブジェクトが比較的高い速度で移動している間、開口サブ画素が与える映像への影響は緩和されるので、表示装置は、オブジェクトの移動速度に対応し、高品位の映像を表示することができる。
【0021】
上記構成において、前記輝度信号が前記開口サブ画素に対して第1輝度よりも高い第2輝度を規定しているならば、前記調整部は、前記第1輝度に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、輝度信号が開口サブ画素に対して第1輝度よりも高い第2輝度を規定しているならば、調整部は、第1輝度に対応して定められた輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定する。輝度信号が比較的高い輝度を規定しているとき、調整部は比較的低いゲインを設定するので、開口サブ画素が与える映像への影響は緩和される。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0023】
上記構成において、前記表示面が、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像に後続して表示される第2フレーム画像と、を表示するならば、前記検出部は、前記第1フレーム画像に対応して前記信号生成部が出力した第1輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の輝度と、前記第2フレーム画像に対応して前記信号生成部が出力した第2輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の輝度と、を比較し、前記第1輝度信号と前記第2輝度信号との間での前記開口サブ画素の輝度差に応じた輝度差信号を前記変化度として出力することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、表示面は、第1フレーム画像に後続して表示される第2フレーム画像を表示する。検出部は、第1フレーム画像に対応して信号生成部が出力した第1輝度信号によって規定される開口サブ画素の輝度と、第2フレーム画像に対応して信号生成部が出力した第2輝度信号によって規定される開口サブ画素の輝度と、を比較する。また、検出部は、第1輝度信号と第2輝度信号との間での開口サブ画素の輝度差に応じた輝度差信号を変化度として出力する。調整部は、開口サブ画素に対応する液晶に要求される応答速度に応じて開口サブ画素の輝度を調整するので、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0025】
上記構成において、前記輝度差信号が第1輝度差よりも大きな第2輝度差を規定しているならば、前記調整部は、前記第1輝度差に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、輝度差信号が第1輝度差よりも大きな第2輝度差を規定しているならば、調整部は、第1輝度差に対応して定められた輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定する。調整部は、比較的高い輝度差に対応して、比較的低いゲインを設定するので、開口サブ画素が与える映像への影響は緩和される。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0027】
上記構成において、前記第1フレーム画像は、左眼及び右眼のうち一方によって観察される画像であり、前記第2フレーム画像は、前記左眼及び前記右眼のうち他方によって観察される画像であり、前記表示面は、前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像とを用いて、立体映像を表示することが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、第1フレーム画像は、左眼及び右眼のうち一方によって観察される。第2フレーム画像は、左眼及び右眼のうち他方によって観察される。表示面は、第1フレーム画像と第2フレーム画像とを用いて、立体映像を表示する。調整部は、開口サブ画素に対応する液晶に要求される応答速度に応じて開口サブ画素の輝度を調整するので、表示装置は、立体映像を適切に表示することができる。
【0029】
上記構成において、前記開口サブ画素に対応する前記液晶の応答速度は、前記非開口サブ画素に対応する前記液晶の応答速度よりも遅いことが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、開口サブ画素に対応する液晶の応答速度は、非開口サブ画素に対応する液晶の応答速度よりも遅い。検出部は、映像信号に基づき、映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する。調整部は、変化度に基づき、輝度信号によって規定される開口サブ画素の輝度を調整する。したがって、開口サブ画素に対応する液晶と非開口サブ画素に対応する液晶との応答速度の差異が緩和される。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る表示装置は、高輝度の映像を適切に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の機能構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示される表示装置の概略的な斜視図である。
【図3】図2に示される表示装置の表示面上に表された微小領域の概略図である。
【図4】図3に示される微小領域中に表された画素の概略的な断面図である。
【図5】映像のフレーム画像内で描かれる例示的なオブジェクトの概略図である。
【図6】図1に示される表示装置のW信号生成部の信号処理の概念図である。
【図7】図1に示される表示装置のWゲイン制御部によるゲインデータの生成工程の概略的且つ例示的なフローチャートである。
【図8A】図7に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。
【図8B】図7に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。
【図9A】図7に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。
【図9B】図7に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。
【図10】図1に示される表示装置の乗算部の信号処理の概念図である。
【図11】図1に示される表示装置のRGB変換部の信号処理の概念図である。
【図12】第2実施形態に係る表示装置の機能構成を概略的に示すブロック図である。
【図13】立体映像を表示するために用いられるフレーム画像を概略的に示す。
【図14A】左フレーム画像から右フレーム画像へ画像表示を切り替えた表示面の領域区分の概略図である。
【図14B】右フレーム画像から左フレーム画像へ画像表示を切り替えた表示面の領域区分の概略図である。
【図15】図12に示される表示装置のCTレベル検出部によるCTレベルデータの生成手法の概略的なフローチャートである。
【図16】図12に示される表示装置のWゲイン制御部によるゲインデータの生成工程の概略的且つ例示的なフローチャートである。
【図17】図16に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。
【図18】従来の開口サブ画素の概略的な平面図である。
【図19】図18に示される開口サブ画素を有する画素の概略的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、様々な実施形態に係る表示装置が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものである。したがって、本実施形態の原理は、これらに何ら限定されるものではない。
【0034】
<第1実施形態>
(表示装置の構成)
図1は、第1実施形態に係る表示装置100の機能構成を概略的に示すブロック図である。図1を用いて、表示装置100が説明される。
【0035】
表示装置100は、映像信号に基づき、映像を表示する。映像信号は、赤の色相の階調(輝度)、青の色相の階調(輝度)及び緑の色相の階調(輝度)を画素ごとに規定し、映像を表現する。以下の説明において、赤の色相の輝度を規定する映像信号の成分は、「R信号」と称される。緑の色相の輝度を規定する映像信号の成分は、「G信号」と称される。青の色相の輝度を規定する映像信号の成分は、「B信号」と称される。図1において、これらの信号は、「R」、「G」及び「B」の符号を用いて略称されている。
【0036】
表示装置100は、映像信号を処理する信号処理部110を備える。信号処理部110は、R信号、G信号及びB信号に基づき、白の色相での発光輝度を決定する。また、決定された白色発光の輝度に応じて、赤の色相での発光輝度、緑の色相での発光輝度及び青の色相での発光輝度を調整する。その後、信号処理部110は、これらの色相の発光輝度を規定する輝度信号を出力する。図1において、信号処理部110から出力される信号は、「r」、「g」、「b」及び「w」の符号を用いて略称されている。「r」の符号で表される信号は、赤の色相の輝度を規定する信号である。以下の説明において、当該信号は、「r信号」と称される。「g」の符号で表される信号は、緑の色相の輝度を規定する信号である。以下の説明において、当該信号は、「g信号」と称される。「b」の符号で表される信号は、青の色相の輝度を規定する信号である。以下の説明において、当該信号は、「b信号」と称される。「w」の符号で表される信号は、白の色相の輝度を規定する信号である。以下の説明において、当該信号は、「w信号」と称される。信号処理部110の構成及び動作は、後述される。
【0037】
表示装置100は、液晶パネル120と、液晶パネル120に向けて白色光を照射するバックライト光源130と、を更に備える。液晶パネル120の液晶は、信号処理部110からの出力信号(即ち、r信号、g信号、b信号及びw信号)に基づき駆動される。この結果、液晶パネル120は、バックライト光源130からの光を信号処理部110からの出力信号に応じて変調し、映像を表示することができる。
【0038】
図2は、表示装置100の概略的な斜視図である。図1及び図2を用いて、表示装置100が更に説明される。
【0039】
表示装置100は、信号処理部110、液晶パネル120及びバックライト光源130を収容並びに支持する筐体140を更に備える。液晶パネル120は、筐体140から露出する表示面121を備える。表示装置100は、r信号、g信号、b信号及びw信号に従って、表示面121に映像を表示する。
【0040】
図3は、図2に示される表示面121上において点線で囲まれた微小領域MRの概略図である。図1乃至図3を用いて、表示装置100が更に説明される。
【0041】
表示装置100は、表示面121に亘って、縦横にマトリックス状に配列された多数の画素122を備える。画素122それぞれは、r信号に応じて赤色発光する赤色サブ画素(以下、「Rサブ画素123R」と称される)と、g信号に応じて緑色発光する緑色サブ画素(以下、「Gサブ画素123G」と称される)と、b信号に応じて青色発光する青色サブ画素(以下、「Bサブ画素123B」と称される)と、w信号に応じて略白色発光する白色サブ画素(以下、「Wサブ画素123W」と称される)と、を備える。
【0042】
図4は、画素122の概略的な断面図である。図1、図3及び図4を用いて、画素122が説明される。
【0043】
画素122は、バックライト光源130からの光を受ける第1硝子板124と、第1硝子板124に略平行な第2硝子板125と、第1硝子板124に隣接する液晶層126と、第2硝子板125に隣接するカラーフィルタ層127と、液晶層126とカラーフィルタ層127との間に形成された平坦化層128と、を含む。Rサブ画素123Rは、バックライト光源130からの光を、赤の色相の透過光に変える赤色フィルタ(以下、「Rフィルタ150R」と称される)を備える。Gサブ画素123Gは、バックライト光源130からの光を、緑の色相の透過光に変える緑色フィルタ(以下、「Gフィルタ150G」と称される)を備える。Bサブ画素123Bは、バックライト光源130からの光を、青の色相の透過光に変える青色フィルタ(以下、「Bフィルタ150B」と称される)を備える。本実施形態において、Rフィルタ150R、Gフィルタ150G及びBフィルタ150Bそれぞれは、カラーフィルタとして例示される。
【0044】
図3に示される如く、Wサブ画素123Wは、開口部151が形成されたBフィルタ150Bを備える。開口部151は、Bフィルタ150Bの大部分を占めるので、バックライト光源130が照射した白色光は、色相の変化をほとんど受けることなく、Wサブ画素123Wから出射される。Wサブ画素123WのBフィルタ150Bに開口部151が形成される一方で、Rサブ画素123RのRフィルタ150R、Gサブ画素123GのGフィルタ150G及びBサブ画素123BのBフィルタ150Bには開口部は形成されていない。Rフィルタ150R、Gフィルタ150G及びBフィルタ150Bは、カラーフィルタ層127を形成する。
【0045】
本実施形態において、Wサブ画素123Wは、開口部151が形成されたBフィルタ150Bを備える。代替的に、白色サブ画素は、開口部が形成された赤色フィルタ又は開口部が形成された緑色フィルタを備えてもよい。
【0046】
本実施形態において、開口部151が形成されたBフィルタ150Bは、開口フィルタとして例示される。また、Wサブ画素123Wは、開口サブ画素として例示される。開口部が形成されていないカラーフィルタ(Rフィルタ150R、Gフィルタ150G及びBフィルタ150B)を有するRサブ画素123R、Gサブ画素123G及びBサブ画素123Bは、非開口サブ画素として例示される。
【0047】
図4に示される如く、液晶層126は、Rサブ画素123Rに対応する領域に配設された液晶と、Gサブ画素123Gに対応する領域に配設された液晶と、Bサブ画素123Bに対応する領域に配設された液晶と、Wサブ画素123Wに対応する領域に配設された液晶と、を含む。図1に示される如く、Rサブ画素123Rに対応する領域に配設された液晶は、r信号によって設定された輝度に応じて駆動される。Gサブ画素123Gに対応する領域に配設された液晶は、g信号によって設定された輝度に応じて駆動される。Bサブ画素123Bに対応する領域に配設された液晶は、b信号によって設定された輝度に応じて駆動される。Wサブ画素123Wに対応する領域に配設された液晶は、w信号によって設定された輝度に応じて駆動される。
【0048】
図4に示される如く、Rサブ画素123R、Gサブ画素123G及びBサブ画素123Bに亘って、液晶層126の厚さは、略一様である。Wサブ画素123WのBフィルタ150Bには、開口部151が形成されるので、平坦化層128は、開口部151に入り込む。この結果、開口部151が形成された領域において、液晶層126の厚さは、他の領域よりも厚くなる。液晶層126の厚さの増大の結果、Rサブ画素123R、Gサブ画素123G、Bサブ画素123B及びWサブ画素123Wに対応する液晶層126の領域に一様に電圧が印加されるならば、Wサブ画素123Wに対応する液晶層126の領域の液晶の応答は、他の領域よりも遅くなる。図1に関連して説明された信号処理部110は、Wサブ画素123Wの液晶の応答遅れを考慮して、r信号、g信号、b信号及びw信号を生成及び出力する。
【0049】
(信号処理部)
図1及び図2を用いて、信号処理部110が説明される。
【0050】
信号処理部110は、表示面121に表示される映像を規定する映像信号が入力される入力部111と、表示面121に表示される映像のフレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度を検出する速度検出部112と、w信号の生成に用いられるW信号を出力するW信号生成部113と、映像信号に基づき、r信号、g信号、b信号を生成並びに出力するRGB変換部114と、を含む。上述の如く、映像信号は、R信号、G信号及びB信号を含む。R信号、G信号及びB信号それぞれは、入力部111を介して、速度検出部112、W信号生成部113及びRGB変換部114へ入力される。本実施形態において、映像のフレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度は、映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度として例示される。速度検出部112は、映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する検出部として例示される。
【0051】
図5は、映像のフレーム画像内で描かれる例示的なオブジェクトの概略図である。図5の上段には、「N番目」のフレーム画像として映像信号が規定するフレーム画像が示されている。図5の中段には、「(N+X)番目」のフレーム画像として映像信号が規定するフレーム画像が示されている。図5の下段には、「(N+X)番目」のフレーム画像として、表示面に表示されるフレーム画像が示されている。図1、図4及び図5を用いて、オブジェクトの移動速度が表示像に与える影響が説明される。
【0052】
説明の明瞭化のため、図5において、映像信号は、N番目乃至(N+X)番目のフレーム画像に対して、黒色の背景の中で左方に移動する白色のオブジェクトを規定している。白色のオブジェクトは、主に、白色サブ画素の発光によって描かれることとなる。図4に関連して説明された如く、開口部が形成されたカラーフィルタを用いて、白色サブ画素が形成されるならば、白色サブ画素の液晶の応答は、比較的遅くなる。したがって、白色サブ画素の液晶の応答は、オブジェクトの高い移動速度に十分に追随できないこともある。この結果、図5の下段に示される如く、オブジェクトは尾を引いたように表示されることもある。
【0053】
図1に示される如く、信号処理部110は、Wゲイン制御部115を更に備える。速度検出部112は、映像信号が規定するフレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度を検出する。速度検出部112は、既知の動きベクトル検出手法を用いて、オブジェクトの移動速度を検出してもよい。速度検出部112は、検出されたオブジェクトの移動速度に関するデータ(以下、「速度データ」と称される)をWゲイン制御部115に出力する。Wゲイン制御部115は、速度データに基づき、Wサブ画素123Wの発光輝度を調整するためのゲインデータを生成する。本実施形態において、Wゲイン制御部115は、調整部として例示される。
【0054】
本実施形態において、速度検出部112は、フレーム単位でオブジェクトの移動速度を検出する。代替的に、オブジェクトの移動速度の検出のために、フレーム画像が概念的に複数の領域に分割されてもよい。速度検出部が分割された領域単位でオブジェクトの移動速度を検出するならば、オブジェクトの移動速度を検出するための演算処理量が低減される、或いは、オブジェクトの移動速度は、精度よく検出される。例えば、速度検出部は、フレーム画像中のテロップ部分に対してのみオブジェクトの移動速度を検出するための演算を実行してもよい。
【0055】
本実施形態において、Wゲイン制御部115は、フレーム単位でゲインデータを算出する。速度検出部が、分割された領域単位でオブジェクトの移動速度を検出するならば、Wゲイン制御部は、分割された領域それぞれに対して、ゲインデータを算出してもよい。
【0056】
図6は、W信号生成部113の信号処理の概念図である。図1、図5及び図6を用いて、W信号生成部113の信号処理が説明される。
【0057】
図1に示される如く、映像信号は、入力部111を介して、W信号生成部113に入力される。映像信号は、R信号、G信号及びB信号を含む。W信号生成部113は、R信号、G信号及びB信号に基づき、映像信号が規定する「白色レベル」を決定する。
【0058】
図6において、R信号は、輝度L(R)を規定している。G信号は、輝度L(G)を規定している。B信号は、輝度L(B)を規定している。本実施形態において、W信号生成部113は、輝度L(R)、L(G)、L(B)の中の最小値を、白色レベルL(W)として決定する。代替的に、信号検出部は、他の適切な手法を用いて、映像信号が規定する白色レベルを決定してもよい。
【0059】
W信号生成部113は、映像信号に基づき決定された白色レベルL(W)のデータ(以下、「白色レベルデータ」と称される)を含むW信号を生成し、Wゲイン制御部115に出力する。Wゲイン制御部115は、速度データと白色レベルデータとに基づいて、ゲインデータを生成する。本実施形態において、W信号は、開口サブ画素の輝度を規定する輝度信号として例示される。また、W信号生成部113は、信号生成部として例示される。
【0060】
高い値の白色レベルL(W)は、ゲインデータを用いた白色レベルの調整がなされないならば、Wサブ画素123Wが高い輝度で発光することを意味する。Wサブ画素123Wが高い輝度で発光するならば、図5に関連して説明された表示像の劣化が顕著となる。したがって、本実施形態において、Wゲイン制御部115は、速度データと白色レベルデータとに基づいて、ゲインデータを生成する。
【0061】
図7は、Wゲイン制御部115によるゲインデータの生成工程の概略的且つ例示的なフローチャートである。図1及び図7を用いて、ゲインデータの生成工程が説明される。
【0062】
(ステップS110)
速度検出部112が生成した速度データ及びW信号生成部113が生成したW信号(白色レベルデータ)がWゲイン制御部115に入力されると、ステップS110が実行される。本実施形態において、Wゲイン制御部115は、白色レベルに対する閾値(以下、「白色レベル閾値」と称される)を予め記憶している。ステップS110において、Wゲイン制御部115は、入力された白色レベルデータと、白色レベル閾値と、を比較する。白色レベルデータの値が白色レベル閾値よりも大きいならば、ステップS120が実行される。白色レベルデータの値が白色レベル閾値以下であるならば、ステップS130が実行される。
【0063】
(ステップS120)
本実施形態において、Wゲイン制御部115は、オブジェクトの速度に対する閾値(以下、「速度閾値」と称される)を予め記憶している。ステップS120において、Wゲイン制御部115は、入力された速度データと、速度閾値と、を比較する。速度データの値が速度閾値よりも大きいならば、ステップS130が実行される。速度データの値が速度閾値以下であるならば、ステップS140が実行される。
【0064】
(ステップS130)
ステップS130において、Wゲイン制御部115は、「1」の値のゲインデータを生成並びに出力する。
【0065】
(ステップS140)
ステップS140において、Wゲイン制御部115は、「1」未満の値のゲインデータを生成並びに出力する。
【0066】
本実施形態において、Wゲイン制御部115は、図7に示される工程に従って、ゲインデータを生成する。代替的に、Wゲイン制御部は、他の適切な工程に従って、ゲインデータを生成してもよい。例えば、ステップS120は、ステップS110と同時又はステップS110の前に実行されてもよい。
【0067】
図8A乃至図9Bは、図7に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。図1、図7乃至図9Bを用いて、ゲインデータの生成工程が更に説明される。
【0068】
図8Aは、白色レベルデータが、白色レベル閾値以下であるときの速度データとゲインデータとの関係を表すグラフである。図8Bは、白色レベルデータが、白色レベル閾値よりも大きいときの速度データとゲインデータとの関係を表すグラフである。
【0069】
図9Aは、速度データが、速度閾値以下であるときの白色レベルデータとゲインデータとの関係を表すグラフである。図9Bは、速度データが、速度閾値より大きいときの速度データとゲインデータとの関係を表すグラフである。
【0070】
図7に関連して説明された如く、白色レベルデータの値及び速度データの値のうち少なくとも一方が対応する閾値以下であるならば、ステップS130が実行される。したがって、白色レベルデータの値及び速度データの値のうち少なくとも一方が対応する閾値以下であるならば、Wゲイン制御部115は、白色レベルデータ又は速度データの値とは無関係に「1」の値のゲインデータを出力する。
【0071】
図7に関連して説明された如く、白色レベルデータの値及び速度データの値がともに対応する閾値よりも大きいならば、ステップS140が実行される。図8B及び図9Bに示される如く、ステップS140において、Wゲイン制御部115は、速度データ又は白色レベルデータが大きくなるほど、小さな値のゲインデータを出力してもよい。
【0072】
本実施形態において、速度閾値以下の速度が第1速度として例示されてもよい。また、速度閾値よりも大きな値の速度が第2速度として例示されてもよい。
【0073】
本実施形態において、白色レベル閾値以下の白色レベルが第1輝度として例示されてもよい。また、白色レベル閾値よりも大きな値の白色レベルが第2輝度として例示されてもよい。
【0074】
本実施形態において、Wゲイン制御部115は、速度閾値及び白色レベル閾値を基準に、W信号によって規定されるWサブ画素123Wの輝度を調整する。代替的に、Wゲイン制御部は、これらの閾値によらずに、白色サブ画素の輝度を調整してもよい。例えば、入力される速度データの全範囲に亘って、速度データの値の増大に伴い、出力されるゲインデータの値が低下するようにWゲイン制御部が設計されてもよい。また、入力される白色レベルデータの全範囲に亘って、白色レベルデータの値の増大に伴い、出力されるゲインデータの値が低下するようにWゲイン制御部が設計されてもよい。
【0075】
図1に示される如く、信号処理部110は、乗算部116を更に備える。W信号生成部113は、Wゲイン制御部115に加えて、乗算部116にも、W信号を出力する。Wゲイン制御部115は、ゲインデータを乗算部116に出力する。
【0076】
図10は、乗算部116の信号処理の概念図である。図1及び図10を用いて、乗算部116の信号処理が説明される。
【0077】
上述の如く、W信号生成部113が出力するW信号は、L(W)の輝度を規定する。また、Wゲイン制御部115は、「1」以下の値のゲインデータGを出力する。乗算部116は、輝度L(W)とゲインデータGとを乗算し、Wサブ画素123Wに対する輝度L(w)を決定する。その後、決定された輝度L(w)の情報を含むw信号を液晶パネル120に出力する。液晶パネル120は、w信号に基づき、Wサブ画素123Wに対応する液晶を駆動する。
【0078】
図11は、RGB変換部114の信号処理の概念図である。図1、図3及び図11を用いて、RGB変換部114の信号処理が説明される。
【0079】
図1に示される如く、乗算部116は、液晶パネル120だけでなく、RGB変換部114にも、w信号を出力する。また、R信号、G信号及びB信号も、入力部111を介して、RGB変換部114に入力される。
【0080】
図11に示される如く、R信号は、輝度L(R)を規定する。G信号は、輝度L(G)を規定する。B信号は、輝度L(B)を規定する。w信号は、輝度L(w)を規定する。RGB変換部114は、輝度L(R)から輝度L(w)を減算し、Rサブ画素123Rの輝度L(r)を決定する。RGB変換部114は、輝度L(G)から輝度L(w)を減算し、Gサブ画素123Gの輝度L(g)を決定する。RGB変換部114は、輝度L(B)から輝度L(w)を減算し、Bサブ画素123Bの輝度L(b)を決定する。
【0081】
RGB変換部114は、決定された輝度L(r)の情報を含むr信号を生成し、液晶パネル120に出力する。液晶パネル120は、r信号に基づき、Rサブ画素123Rに対応する液晶を駆動する。
【0082】
RGB変換部114は、決定された輝度L(g)の情報を含むg信号を生成し、液晶パネル120に出力する。液晶パネル120は、g信号に基づき、Gサブ画素123Gに対応する液晶を駆動する。
【0083】
RGB変換部114は、決定された輝度L(b)の情報を含むb信号を生成し、液晶パネル120に出力する。液晶パネル120は、b信号に基づき、Bサブ画素123Bに対応する液晶を駆動する。
【0084】
RGB変換部114は、R信号、G信号、B信号及びw信号に基づき、画素122の発光色の彩度を判定してもよい。判定された彩度が、所定の値よりも低いならば、輝度L(w)よりも小さな値を、輝度L(R)、L(G)、L(B)から減じてもよい。この結果、画素122の発光色の彩度が低いならば、Rサブ画素123R、Gサブ画素123G、Bサブ画素123B及びWサブ画素123W全てが発光する。
【0085】
判定された彩度が、所定の値よりも高いならば、r信号、g信号及びb信号に対するゲインを増大させてもよい。この結果、R信号、G信号、B信号及びw信号が規定する画素122の発光色の彩度が高くとも、画素122は、高い輝度で発光することができる。
【0086】
<第2実施形態>
(表示装置の構成)
図12は、第2実施形態に係る表示装置100Aの機能構成を概略的に示すブロック図である。第2実施形態に係る表示装置100Aと第1実施形態に係る表示装置100との相違点が説明される。尚、表示装置100A,100との間で共通する要素に関する説明は省略される。
【0087】
第2実施形態に係る表示装置100Aは、第1実施形態の表示装置100と同様に、液晶パネル120及びバックライト光源130を備える。表示装置100Aは、映像信号(R信号、G信号、B信号)に基づき、r信号、g信号、b信号及びw信号を生成並びに出力する信号処理部110Aと、信号処理部110Aからのこれらの出力信号に対して、立体表示をするための処理を行う立体表示処理部160と、を更に備える。r信号、g信号、b信号及びw信号は、立体表示処理部160を経由し、液晶パネル120に出力される。液晶パネル120は、立体表示処理部160によって適切に処理されたr信号、g信号、b信号及びw信号に基づき、Rサブ画素123R、Gサブ画素123G、Bサブ画素123B及びWサブ画素123Wをそれぞれ駆動する。
【0088】
信号処理部110Aは、第1実施形態に関連して説明された信号処理部110と同様に、W信号生成部113、RGB変換部114及び乗算部116を備える。信号処理部110Aは、映像信号が入力される入力部111Aを更に備える。第1実施形態に関連して説明された入力部111とは異なり、入力部111Aは、W信号生成部113及びRGB変換部114に映像信号を出力する。
【0089】
信号処理部110Aは、クロストークレベル検出部(以下、「CTレベル検出部112A」と称される)を更に備える。W信号生成部113は、第1実施形態と同様に、W信号を生成する。その後、W信号は、乗算部116及びCTレベル検出部112Aに出力される。CTレベル検出部112Aは、W信号に基づき、クロストークレベル(以下、「CTレベル」と称される)を検出する。また、CTレベル検出部112Aは、検出されたCTレベルに応じて、クロストークレベルデータ(以下、「CTレベルデータ」と称される)を生成する。CTレベルデータの生成手法は、後述される。
【0090】
信号処理部110Aは、Wゲイン制御部115Aを更に備える。CTレベルデータは、CTレベル検出部112AからWゲイン制御部115Aに入力される。Wゲイン制御部115Aは、CTレベルデータに基づき、ゲインデータを生成する。第1実施形態と同様に、ゲインデータは、乗算部116へ入力される。
【0091】
乗算部116は、第1実施形態に関連して説明された手法に従い、w信号を生成する。第1実施形態と同様に、w信号は、RGB変換部114に出力される。また、w信号は、立体表示処理部160を経由して、液晶パネル120に入力される。
【0092】
RGB変換部114は、第1実施形態に関連して説明された手法に従い、r信号、g信号及びb信号を生成する。r信号、g信号及びb信号は、立体表示処理部160を経由して、液晶パネル120に入力される。
【0093】
立体表示処理部160は、立体映像を適切に表示するための様々な処理を行う。例えば、立体表示処理部160は、左眼で観察される左フレーム画像と右眼で観察される右フレーム画像とを交互に表示するためにフレームレートを調整してもよい。立体表示処理部160は、液晶の応答性を向上させるために、オーバードライブ処理を行ってもよい。立体表示処理部160は、左フレーム画像と右フレーム画像とが混在した画像が観察されることを防止するための様々な処理(クロストークキャンセル処理)を行ってもよい。これらの処理は、立体映像の表示に係る既知の様々な手法に従って実行されてもよい。立体表示処理部160が実行する処理は、本実施形態の原理を何ら限定するものではない。
【0094】
(クロストークの発生原理)
図13は、立体映像を表示するために用いられるフレーム画像を概略的に示す。図13を用いて、クロストークの発生原理が説明される。
【0095】
立体映像を表示するために、典型的には、左フレーム画像LFI及び右フレーム画像RFIが交互に表示される。図13には、黒色(輝度レベル:0%)の背景及び白色(輝度レベル:100%)のオブジェクトOBがそれぞれ表現された左フレーム画像LFI及び右フレーム画像RFIが示されている。表示面中におけるオブジェクトOBの位置は、左フレーム画像LFIと右フレーム画像RFIとの間で、距離PAだけずらされている。観察者が左眼で左フレーム画像LFIを観察し、右眼で右フレーム画像RFIを観察するならば、観察者は、距離PA分のオブジェクトOBのずれ量を知覚し、脳内で左フレーム画像LFIと右フレーム画像RFIとを合成する。この結果、観察者は、表示面から飛び出た或いは引っ込んだオブジェクトOBを知覚する。
【0096】
図14Aは、左フレーム画像LFIから右フレーム画像RFIへ画像表示を切り替えた表示面121の領域区分の概略図である。図14Bは、右フレーム画像RFIから左フレーム画像LFIへ画像表示を切り替えた表示面121の領域区分の概略図である。図4、図12乃至図14Bを用いて、クロストークの発生原理が更に説明される。
【0097】
左フレーム画像LFIと右フレーム画像RFIとの間の画像表示の切り替え時に生ずる輝度レベルの変化に基づいて、表示面121は、4つの領域に大別される。図14A及び図14Bに示される領域KKは、画像表示の切り替えの間、「0%」の輝度レベル(黒色)を維持する。図14A及び図14Bに示される領域WWは、画像表示の切り替えの間、「100%」の輝度レベル(白色)を維持する。図14A及び図14Bに示される領域KWにおいて、画像表示の切り替えの結果、「0%」(黒色)から「100%」(白色)への輝度レベルの変化が生ずる。図14A及び図14Bに示される領域WKにおいて、画像表示の切り替えの結果、「100%」(白色)から「0%」(黒色)への輝度レベルの変化が生ずる。
【0098】
Wサブ画素123Wは、白色発光するので、Wサブ画素123Wの発光は、白色レベルが高い映像部分の表示に貢献する。したがって、白色レベルが高い映像部分が表示されている間、Wサブ画素123Wは、高い輝度で発光する。その後、図14A及び図14Bに示される如く、当該映像部分の白色レベルが低減されるならば、Wサブ画素123Wの輝度は低減される必要がある。このことは、Wサブ画素123Wの液晶に高い応答性を要求する。しかしながら、Wサブ画素123Wは、開口部151が形成されたBフィルタ150Bを用いて形成されるので、図4に関連して説明された如く、Wサブ画素123Wの応答は、比較的遅くなる。
【0099】
視聴者がフレーム画像の観察を開始するときには、領域WKは、理想的には、完全な黒色(輝度レベル:0%)となっている。しかしながら、上述のWサブ画素123Wの液晶の応答遅れの結果、領域WKは、完全な黒色(輝度レベル:0%)になりにくい。
【0100】
視聴者がフレーム画像の観察を開始するときには、領域KWは、理想的には、完全な白色(輝度レベル:100%)となっている。しかしながら、上述のWサブ画素123Wの液晶の応答遅れの結果、領域WKは、完全な白色(輝度レベル:100%)になりにくい。
【0101】
CTレベル検出部112Aは、先行するフレーム画像と後続のフレーム画像とを対比し、CTレベルデータを生成する。尚、CTレベルデータは、同一の画素122に対する輝度差として算出される。例えば、図4に示される中央の画素122が、先行フレーム画像の表示時において、「70」の輝度値で発光し、後続フレーム画像表示時において、「50」の輝度値で発光するならば、中央の画素に対して算出されるCTレベルデータの値は、「20」となる。CTレベル検出部112Aは、表示面121の全ての画素122それぞれに対して、上述の演算を実行し、CTレベルデータを生成する。
【0102】
CTレベルデータに基づいて、Wサブ画素123Wの液晶の応答量が低減される結果、上述のクロストークが発生しにくくなる。本実施形態において、CTレベル検出部112Aは、左フレーム画像を先行するフレーム画像として取り扱い、右フレーム画像を後続のフレーム画像として取り扱う。代替的に、右フレーム画像が先行するフレーム画像として取り扱われ、左フレーム画像が後続のフレーム画像として取り扱われてもよい。以下の説明において、左フレーム画像は、第1フレーム画像として例示される。右フレーム画像は、第2フレーム画像として例示される。また、CTレベル検出部112Aは、検出部として例示される。
【0103】
(CTレベルデータの生成)
図15は、CTレベル検出部112AによるCTレベルデータの生成手法の概略的なフローチャートである。図12及び図15を用いて、CTレベルデータの生成手法が説明される。
【0104】
(ステップS210)
CTレベルデータを生成するために、ステップS210が最初に実行される。ステップS210において、CTレベル検出部112Aは、左フレーム画像に対応するW信号の入力の有無を判定する。CTレベル検出部112Aは、左フレーム画像に対応するW信号の入力を待つ。左フレーム画像に対応するW信号が、W信号生成部113からCTレベル検出部112Aに入力されるならば、ステップS220が実行される。本実施形態において、左フレーム画像に対応するW信号は、第1輝度信号として例示される。
【0105】
(ステップS220)
CTレベル検出部112Aは、フィールドメモリを備える。ステップS220において、CTレベル検出部112Aは、左フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルをフィールドメモリに記憶する。左フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルの記憶がなされると、ステップS230が実行される。
【0106】
(ステップS230)
ステップS230において、CTレベル検出部112Aは、右フレーム画像に対応するW信号の入力の有無を判定する。CTレベル検出部112Aは、右フレーム画像に対応するW信号の入力を待つ。右フレーム画像に対応するW信号が、W信号生成部113からCTレベル検出部112Aに入力されるならば、ステップS240が実行される。本実施形態において、右フレーム画像に対応するW信号は、第2輝度信号として例示される。
【0107】
(ステップS240)
ステップS240において、CTレベル検出部112Aは、右フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルをフィールドメモリに記憶する。右フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルの記憶がなされると、ステップS250が実行される。
【0108】
(ステップS250)
ステップS250において、CTレベル検出部112Aは、左フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルと右フレーム画像に対応するW信号によって規定される白色レベルとの差分値の絶対値をCTレベルとして算出する。W信号は、表示面121の画素122それぞれに対して出力される。上述の如く、CTレベル検出部112Aは、同一の画素122の左右フレーム画像間の輝度差をCTレベルデータとして算出する。また、CTレベル検出部112Aは、表示面121の全ての画素122に亘って、上述の輝度差の演算を実行し、表示面121の全ての画素122それぞれのCTレベルデータを取得する。CTレベルの算出の後、ステップS260が実行される。
【0109】
(ステップS260)
ステップS260において、CTレベル検出部112Aは、ステップS250において算出されたCTレベルのデータ(CTレベルデータ)を含む輝度差信号を表示面121の全ての画素122それぞれに対して生成並びに出力する。本実施形態において、輝度差信号は、映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度として例示される。
【0110】
図16は、Wゲイン制御部115Aによるゲインデータの生成工程の概略的且つ例示的なフローチャートである。図12及び図16を用いて、ゲインデータの生成工程が説明される。
【0111】
(ステップS310)
CTレベル検出部112Aが生成したCTレベルデータがWゲイン制御部115Aに入力されると、ステップS310が実行される。本実施形態において、Wゲイン制御部115Aは、CTレベルに対する閾値(以下、「CTレベル閾値」と称される)を予め記憶している。ステップS310において、Wゲイン制御部115Aは、入力されたCTレベルデータと、CTレベル閾値と、を比較する。尚、CTレベルデータとCTレベル閾値との比較は、表示面121の全ての画素122それぞれに対して実行される。CTレベルデータの値がCTレベル閾値よりも大きいならば、ステップS320が実行される。CTレベルデータの値がCTレベル閾値以下であるならば、ステップS330が実行される。
【0112】
(ステップS320)
ステップS320において、Wゲイン制御部115Aは、「1」の値のゲインデータを生成並びに出力する。
【0113】
(ステップS330)
ステップS330において、Wゲイン制御部115Aは、「1」未満の値のゲインデータを生成並びに出力する。
【0114】
本実施形態において、Wゲイン制御部115Aは、図16に示される工程に従って、ゲインデータを生成する。代替的に、Wゲイン制御部は、他の適切な工程に従って、ゲインデータを生成してもよい。
【0115】
図17は、図16に示されるフローチャートに従って得られるゲインデータを概略的に表すグラフである。図10、図12、図16及び図17を用いて、ゲインデータの生成工程が更に説明される。
【0116】
図16に関連して説明された如く、CTレベルデータの値が、CTレベル閾値よりも大きいならば、ステップS330が実行される。図17に示される如く、ステップS330において、Wゲイン制御部115Aは、CTレベルデータが大きくなるほど、小さな値のゲインデータを出力してもよい。
【0117】
本実施形態において、CTレベル閾値以下のCTレベルが第1輝度差として例示されてもよい。また、CTレベル閾値よりも大きな値のCTレベルが第2輝度差として例示されてもよい。
【0118】
本実施形態において、Wゲイン制御部115Aは、CTレベル閾値を基準に、W信号によって規定されるWサブ画素123Wの輝度を調整する。代替的に、Wゲイン制御部は、CTレベル閾値によらずに、白色サブ画素の輝度を調整してもよい。例えば、入力されるCTレベルデータの全範囲に亘って、CTレベルデータの値の増大に伴い、出力されるゲインデータの値が低下するようにWゲイン制御部が設計されてもよい。
【0119】
図12に示される如く、W信号生成部113は、乗算部116に、W信号を出力する。Wゲイン制御部115Aは、ゲインデータを乗算部116に出力する。乗算部116は、図10に関連して説明された手法に従い、w信号を生成並びに出力する。
【0120】
本実施形態において、ゲインデータは、画素単位で算出される。代替的に、ゲインデータの算出のために、フレーム画像は概念的に複数の領域に分割されてもよい。複数の領域ごとにゲインデータが算出されても、白色サブ画素の輝度は適切に調整される。必要に応じて、ゲインデータは、フレーム単位で算出されてもよい。本実施形態の原理は、白色サブ画素の輝度調整のための詳細な演算手法(例えば、データ処理のための分割手法)に何ら限定されるものではない。
【0121】
上述の様々な実施形態の原理は、液晶パネルを用いた表示装置に好適に利用される。上述の実施形態の原理は、液晶パネルの液晶に対する様々な駆動方式(例えば、IPS(In Plane Switching)方式や、VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式)にも対応可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本実施形態の原理は、液晶パネルを用いた表示装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0123】
100・・・・・・・・・・表示装置
100A・・・・・・・・・表示装置
111・・・・・・・・・・入力部
111A・・・・・・・・・入力部
112・・・・・・・・・・速度検出部
112A・・・・・・・・・CTレベル検出部
113・・・・・・・・・・W信号生成部
115・・・・・・・・・・Wゲイン制御部
115A・・・・・・・・・Wゲイン制御部
121・・・・・・・・・・表示面
123B・・・・・・・・・Bサブ画素
123G・・・・・・・・・Gサブ画素
123R・・・・・・・・・Rサブ画素
123W・・・・・・・・・Wサブ画素
126・・・・・・・・・・液晶層
150B・・・・・・・・・Bフィルタ
150G・・・・・・・・・Gフィルタ
150R・・・・・・・・・Rフィルタ
151・・・・・・・・・・開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されたカラーフィルタを有する開口フィルタを含む開口サブ画素と、前記開口部を有さないカラーフィルタを有する非開口サブ画素と、前記開口サブ画素及び前記非開口サブ画素にそれぞれ対して設定された輝度に応じて駆動される液晶と、を含む画素によって形成された表示面と、
該表示面に表示される映像を規定する映像信号が入力される入力部と、
前記映像信号に基づき、前記開口サブ画素の輝度を規定する輝度信号を生成する信号生成部と、
前記映像信号に基づき、前記映像のフレーム画像間の変化に対応する変化度を検出する検出部と、
前記変化度に基づき、前記輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の前記輝度を調整する調整部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記フレーム画像内で描かれるオブジェクトの移動速度を前記変化度として検出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記オブジェクトが第1速度よりも高い第2速度で移動するならば、前記調整部は、前記第1速度に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記輝度信号が前記開口サブ画素に対して第1輝度よりも高い第2輝度を規定しているならば、前記調整部は、前記第1輝度に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示面が、第1フレーム画像と、該第1フレーム画像に後続して表示される第2フレーム画像と、を表示するならば、前記検出部は、前記第1フレーム画像に対応して前記信号生成部が出力した第1輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の輝度と、前記第2フレーム画像に対応して前記信号生成部が出力した第2輝度信号によって規定される前記開口サブ画素の輝度と、を比較し、前記第1輝度信号と前記第2輝度信号との間での前記開口サブ画素の輝度差に応じた輝度差信号を前記変化度として出力することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記輝度差信号が第1輝度差よりも大きな第2輝度差を規定しているならば、前記調整部は、前記第1輝度差に対応して定められた前記輝度信号に対するゲインよりも低いゲインを設定することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1フレーム画像は、左眼及び右眼のうち一方によって観察される画像であり、
前記第2フレーム画像は、前記左眼及び前記右眼のうち他方によって観察される画像であり、
前記表示面は、前記第1フレーム画像と前記第2フレーム画像とを用いて、立体映像を表示することを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記開口サブ画素に対応する前記液晶の応答速度は、前記非開口サブ画素に対応する前記液晶の応答速度よりも遅いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−114063(P2013−114063A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260557(P2011−260557)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】