表示装置
【課題】大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際し、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化を防ぎ、生産性を向上させ、LEDを換装可能にする。
【解決手段】
本開示の一側面である表示装置は、発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている。本開示は、例えば全周囲立体映像表示装置に適用することができる。
【解決手段】
本開示の一側面である表示装置は、発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている。本開示は、例えば全周囲立体映像表示装置に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関し、例えば、大量のLED(light emitting diode)により円弧状のディスプレイを構成するようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受像機などに採用されている平面ディスプレイに立体視可能な映像を表示する3次元表示技術が存在する。この3次元表示技術は、例えば、ディスプレイを見る人の左右の眼の視差を利用するものがある。具体的には、例えば、平面ディスプレイに左目用の画像と右目用の映像を交互に表示し、さらに偏光フィルタなどを介することにより、左目には左目用の映像だけが、右目には右目用の映像だけが見られるようにして立体視を実現している。
【0003】
これに対して、被写体(表示されるオブジェクト)を中心とする円周上に設けられた複数の視点から撮像した(または、コンピュータグラフィックスによりオブジェクトを全周囲から見た状態を想定して生成した)視点の異なる複数の画像(以下、視点画像と称する)を用い、全周囲の任意の方向から見てもオブジェクトを立体的に視認できるように表示を行う全周囲立体映像表示装置が数多く提案されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0004】
これらの全周囲立体映像表示装置は、その筐体が円筒形状を成しており、筐体の内部には大量の小型のLED(light emitting diode)を配置して構成された円弧状のディスプレイが、筐体の側面にはスリットが設けられており、ディスプレイの映像がスリット越しに筐体の外部から視認できるようになされている。そして、筐体がモータにより高速回転されることにより、円筒形状の筐体側面を任意の方向から見るユーザに対して、ディスプレイに表示されたオブジェクトが立体的に視認できるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−177709号公報
【特許文献2】特開2005−114771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際しては、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化(筋の発生など)を防ぐ、生産性を向上させる、LEDを換装可能にするなどが要求されている。
【0007】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際し、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化を防ぎ、生産性を向上させ、LEDを換装可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面である表示装置は、発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている。
【0009】
円弧状に折り曲げられる前の前記ベース基板に配置されている前記発光素子パッケージの縦方向の配置間隔d1と横方向の配置間隔d2とは異なるようにすることができる。
【0010】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たすようにすることができる。
d2>d1
【0011】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たすようにすることができる。
d2<d1
【0012】
前記発光素子パッケージが配置される前記ベース基板の背面には実装部品が配置されており、前記ベース基板は前記実装部品が配置されていない位置で折り曲げられているようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一側面によれば、大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際し、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化を防ぎ、生産性を向上させ、LEDを換装可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施の形態である全周囲立体映像表示装置の外観図である。
【図2】全周囲立体映像表示装置の水平方向の断面略図である。
【図3】LEDパッケージの構成例を示す外観図である。
【図4】LEDパッケージの断面図である。
【図5】LEDパッケージの配線図である。
【図6】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図7】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図8】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図9】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図10】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図11】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図12】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図13】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<1.実施の形態>
[全周囲立体映像表示装置の構成例]
図1は、実施の形態である全周囲立体映像表示装置の外観を示している。この全周囲立体映像表示装置10は、台座となる固定部11と、高速回転される円筒形状の回転部12から構成される。
【0017】
全周囲立体映像表示装置10は、高速回転される回転部12を任意の方向から見たユーザが立体的に視認できるオブジェクトを、回転部12の内部中央に出現させる(表示させる)。
【0018】
固定部11は、回転部12が高速回転されている状態であっても全周囲立体映像表示装置10が移動しない程度に十分な重量を有している。回転部12は、その円筒状の側面に複数のスリット13が設けられており、その内部にはスリット13と同数のディスプレイ21が設けられている。本実施の形態の場合、スリット13およびディスプレイ21の数は3であるが、これに限定されるものではない。
【0019】
図2は、回転部12の水平方向の断面を示している。
【0020】
回転部12の内部には、回転軸22を中心として円弧上に形成されたディスプレイ21−1乃至21−3が設けられる。各ディスプレイ21の表示面には、大量の小型のLEDが配置される。ディスプレイ21−i(i=1,2,3)の映像は、回転部12の外部から、スリット13−iを介して視認される。
【0021】
なお、各ディスプレイ21の表示面に配置されるLEDは1個単位で配置されるのではなく、所定原色のLEDが所定の数、所定の位置に配置されて構成されているLEDパッケージ単位で配置される。LEDパッケージ単位で配置することは、LED単位で配置することに比較して、ディスプレイ21の生産性が向上し、LEDに不良品や故障があった場合の換装が容易となる。
【0022】
[LEDパッケージの構成例]
図3は、LEDパッケージの構成例を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。同図Aに示されるように、LEDパッケージ30は、R,G,B各色のLED31R,31G,31Bが3個ずつ、横方向に同色、縦方向に異色のLEDが等間隔で配置されることにより、3×3のLEDからなるLEDパッケージ30が構成される。9個のLEDからなるLEDパッケージ30は、その背面に6個端子を有する。
【0023】
図4は、LEDパッケージ30の断面を示している。LEDパッケージ30は、パッケージ基板41上に設けられたLEDチップ42を中心とし、LEDチップ42を覆うように樹脂レンズ43が形成されている。なお、図示は省略するが、LEDチップ42にはパッケージ基板41を接続されたワイヤが設けられており、このワイヤに対しても樹脂レンズ43と同じ素材の樹脂コートが形成されている。また、ワイヤの代わりにフリップチップを用いてもよい。LEDパッケージ30の最上面には、黒色つや無しのメタルなどにより樹脂レンズ43以外の部分を覆うマスク44が設けられている。さらに、LEDチップ42の側面に、LEDチップ42からの光を反射するためのリフレクタを設けてもよい。なお、同図において、PはLED31の実装間隔、tはディスプレイ21のベース基板から発光面までの高さを示している。
【0024】
図5は、LEDパッケージ30の配線図を示している。同図に示されるように、端子の数は、縦方向のLEDの数と、横方向のLEDの数との和となる。したがって、LEDパッケージ30の場合には6端子となる。
【0025】
なお、LEDパッケージは、図3のLEDパッケージ30をベースとして、それを複数個連結して構成するようにしてもよい。
【0026】
図6は、LEDパッケージ30を縦方向に2個連結したLEDパッケージ50を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。LEDパッケージ50の場合、18個のLEDを、実線で示す9端子からの電力により駆動することができる。ただし、はんだ実装の安定性、配線抵抗の削減、回転時の重量バランスなどを考慮し、破線で示す3端子も実装した合計12端子を設けるようにしてもよい。
【0027】
なお、LEDパッケージ30における各色の配置については図3の例に限定されない。例えば、図7に示されるLEDパッケージ30’のようなベイヤ配列としてもよい。また、図示は省略するが、上段左からGBR、中段左からRGB、下段左からBRGのように斜め配列としてもよい。さらに、R,G,B以外の3原色を採用するようにしてもよい。あるいは、4原色のLEDを用いてLEDパッケージを構成するようにしてもよい。
【0028】
[ディスプレイにおけるLEDパッケージの配置]
図8は、ディスプレイのベース基板が円弧状に折り曲げられる前のLEDパッケージ30の配置を示している。同図に示すように、ディスプレイ21におけるLEDパッケージ30の縦方向の配置間隔をd1、横方向の配置間隔をd2とする。なお、縦方向の配置間隔をd1については、LEDパッケージ30における各LED31の実装間隔と同一にすることが望ましい。横方向の配置間隔d2については、ディスプレイ21のベース基板が円弧状に折り曲げられることを考慮して、縦方向の配置間隔d1よりも広くする、すなわち、d2>d1を満たす必要がある。
【0029】
ディスプレイ21におけるLEDパッケージ30の横方向の配置間隔d2について詳述する。
【0030】
図9は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されない場合を示している。この場合、配置間隔d2については次式(1)に従う。
【数1】
・・・(1)
d2:横方向の配置間隔d2(ベース基板が曲がっていない状態における値)
n:LEDパッケージ30の横方向のLED数(いまの場合、n=3)
P:LED31の実装間隔
R1:ベース基板の曲げ半径
R2:LEDの発光面が形成する仮想的な曲面の半径
【0031】
図10は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されている場合を示している。同図の場合、横方向に3個のLEDパッケージ30に対して1個の実装部品が配置されている。実装部品が配置されない場所でのみベース基板を折り曲げ、その折り曲げ部でのみ横方向の間隔を広げるようにすると、その配置間隔d2については次式(2)に従う。なお、この場合、折り曲げ部以外の横方向の間隔は、縦方向の配置間隔d1と共通とする。
【数2】
・・・(2)
θ:ベース基板の曲げの中心からベース基板の折り曲げ部に引いた線の成す角
【0032】
以上のように、LEDパッケージ30の横方向の配置間隔d2を定めることにより、ディスプレイの映像に縦方向の筋が生じるような映像の劣化を防止することができる。
【0033】
[変形例]
LEDパッケージについては、2×2の4個のLEDから構成してもよい。図11は、この場合のLEDパッケージ30”の構成例を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。LEDパッケージ30”は、上段左からGR、下段左からBGの4個のLEDにより構成される。背面には、各色のLEDに電圧を印加する端子VG,VR,VBと、各LEDをグランドに接続する端子VEが設けられている。このLEDパッケージ30”をベースとして、これを縦方向に2個連結してパッケージ化してもよい。
【0034】
なお、本実施の形態においては、円弧状のベース基板の内側にLEDパッケージを配置するが、本開示は、円弧状のベース基板の外側にLEDパッケージを配置する場合に対して適用することも可能である。ただし、その場合には、上述した実施の形態とは反対にd2<d1を満たす必要がある。
【0035】
例えば、図12は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されない場合を示している。この場合、配置間隔d2については式(1)に従う。
【0036】
また例えば、図13は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品71が配置されている場合を示している。同図の場合、横方向に3個のLEDパッケージ30に対して1個の実装部品が配置されている。実装部品が配置されない場所でのみベース基板を折り曲げ、その折り曲げ部でのみ横方向の間隔を広げるようにすると、その配置間隔d2については式(2)に従う。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、全周囲から立体視可能な3D映像を表示するようにしたが、全周囲からに同じ2D映像を表示するようにしてもよい。あるいは、全周囲を複数に分割し、分割した数の異なる情報(時刻、ニュース、広告、案内など)を同時に表示するようにしてもよい。
【0038】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 全周囲立体映像表示装置, 11 固定部, 12 回転部, 13 スリット, 21 ディスプレイ, 22 回転数調整部, 30 LEDパッケージ, 31 LED, 32 端子, 50 LEDパッケージ
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関し、例えば、大量のLED(light emitting diode)により円弧状のディスプレイを構成するようにした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受像機などに採用されている平面ディスプレイに立体視可能な映像を表示する3次元表示技術が存在する。この3次元表示技術は、例えば、ディスプレイを見る人の左右の眼の視差を利用するものがある。具体的には、例えば、平面ディスプレイに左目用の画像と右目用の映像を交互に表示し、さらに偏光フィルタなどを介することにより、左目には左目用の映像だけが、右目には右目用の映像だけが見られるようにして立体視を実現している。
【0003】
これに対して、被写体(表示されるオブジェクト)を中心とする円周上に設けられた複数の視点から撮像した(または、コンピュータグラフィックスによりオブジェクトを全周囲から見た状態を想定して生成した)視点の異なる複数の画像(以下、視点画像と称する)を用い、全周囲の任意の方向から見てもオブジェクトを立体的に視認できるように表示を行う全周囲立体映像表示装置が数多く提案されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0004】
これらの全周囲立体映像表示装置は、その筐体が円筒形状を成しており、筐体の内部には大量の小型のLED(light emitting diode)を配置して構成された円弧状のディスプレイが、筐体の側面にはスリットが設けられており、ディスプレイの映像がスリット越しに筐体の外部から視認できるようになされている。そして、筐体がモータにより高速回転されることにより、円筒形状の筐体側面を任意の方向から見るユーザに対して、ディスプレイに表示されたオブジェクトが立体的に視認できるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−177709号公報
【特許文献2】特開2005−114771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際しては、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化(筋の発生など)を防ぐ、生産性を向上させる、LEDを換装可能にするなどが要求されている。
【0007】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際し、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化を防ぎ、生産性を向上させ、LEDを換装可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面である表示装置は、発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている。
【0009】
円弧状に折り曲げられる前の前記ベース基板に配置されている前記発光素子パッケージの縦方向の配置間隔d1と横方向の配置間隔d2とは異なるようにすることができる。
【0010】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たすようにすることができる。
d2>d1
【0011】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たすようにすることができる。
d2<d1
【0012】
前記発光素子パッケージが配置される前記ベース基板の背面には実装部品が配置されており、前記ベース基板は前記実装部品が配置されていない位置で折り曲げられているようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一側面によれば、大量のLEDを配置して円弧状のディスプレイを構成するに際し、LEDの配置間隔に起因する映像の劣化を防ぎ、生産性を向上させ、LEDを換装可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施の形態である全周囲立体映像表示装置の外観図である。
【図2】全周囲立体映像表示装置の水平方向の断面略図である。
【図3】LEDパッケージの構成例を示す外観図である。
【図4】LEDパッケージの断面図である。
【図5】LEDパッケージの配線図である。
【図6】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図7】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図8】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図9】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図10】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図11】LEDパッケージの他の構成例を示す外観図である。
【図12】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【図13】LEDパッケージの間隔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<1.実施の形態>
[全周囲立体映像表示装置の構成例]
図1は、実施の形態である全周囲立体映像表示装置の外観を示している。この全周囲立体映像表示装置10は、台座となる固定部11と、高速回転される円筒形状の回転部12から構成される。
【0017】
全周囲立体映像表示装置10は、高速回転される回転部12を任意の方向から見たユーザが立体的に視認できるオブジェクトを、回転部12の内部中央に出現させる(表示させる)。
【0018】
固定部11は、回転部12が高速回転されている状態であっても全周囲立体映像表示装置10が移動しない程度に十分な重量を有している。回転部12は、その円筒状の側面に複数のスリット13が設けられており、その内部にはスリット13と同数のディスプレイ21が設けられている。本実施の形態の場合、スリット13およびディスプレイ21の数は3であるが、これに限定されるものではない。
【0019】
図2は、回転部12の水平方向の断面を示している。
【0020】
回転部12の内部には、回転軸22を中心として円弧上に形成されたディスプレイ21−1乃至21−3が設けられる。各ディスプレイ21の表示面には、大量の小型のLEDが配置される。ディスプレイ21−i(i=1,2,3)の映像は、回転部12の外部から、スリット13−iを介して視認される。
【0021】
なお、各ディスプレイ21の表示面に配置されるLEDは1個単位で配置されるのではなく、所定原色のLEDが所定の数、所定の位置に配置されて構成されているLEDパッケージ単位で配置される。LEDパッケージ単位で配置することは、LED単位で配置することに比較して、ディスプレイ21の生産性が向上し、LEDに不良品や故障があった場合の換装が容易となる。
【0022】
[LEDパッケージの構成例]
図3は、LEDパッケージの構成例を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。同図Aに示されるように、LEDパッケージ30は、R,G,B各色のLED31R,31G,31Bが3個ずつ、横方向に同色、縦方向に異色のLEDが等間隔で配置されることにより、3×3のLEDからなるLEDパッケージ30が構成される。9個のLEDからなるLEDパッケージ30は、その背面に6個端子を有する。
【0023】
図4は、LEDパッケージ30の断面を示している。LEDパッケージ30は、パッケージ基板41上に設けられたLEDチップ42を中心とし、LEDチップ42を覆うように樹脂レンズ43が形成されている。なお、図示は省略するが、LEDチップ42にはパッケージ基板41を接続されたワイヤが設けられており、このワイヤに対しても樹脂レンズ43と同じ素材の樹脂コートが形成されている。また、ワイヤの代わりにフリップチップを用いてもよい。LEDパッケージ30の最上面には、黒色つや無しのメタルなどにより樹脂レンズ43以外の部分を覆うマスク44が設けられている。さらに、LEDチップ42の側面に、LEDチップ42からの光を反射するためのリフレクタを設けてもよい。なお、同図において、PはLED31の実装間隔、tはディスプレイ21のベース基板から発光面までの高さを示している。
【0024】
図5は、LEDパッケージ30の配線図を示している。同図に示されるように、端子の数は、縦方向のLEDの数と、横方向のLEDの数との和となる。したがって、LEDパッケージ30の場合には6端子となる。
【0025】
なお、LEDパッケージは、図3のLEDパッケージ30をベースとして、それを複数個連結して構成するようにしてもよい。
【0026】
図6は、LEDパッケージ30を縦方向に2個連結したLEDパッケージ50を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。LEDパッケージ50の場合、18個のLEDを、実線で示す9端子からの電力により駆動することができる。ただし、はんだ実装の安定性、配線抵抗の削減、回転時の重量バランスなどを考慮し、破線で示す3端子も実装した合計12端子を設けるようにしてもよい。
【0027】
なお、LEDパッケージ30における各色の配置については図3の例に限定されない。例えば、図7に示されるLEDパッケージ30’のようなベイヤ配列としてもよい。また、図示は省略するが、上段左からGBR、中段左からRGB、下段左からBRGのように斜め配列としてもよい。さらに、R,G,B以外の3原色を採用するようにしてもよい。あるいは、4原色のLEDを用いてLEDパッケージを構成するようにしてもよい。
【0028】
[ディスプレイにおけるLEDパッケージの配置]
図8は、ディスプレイのベース基板が円弧状に折り曲げられる前のLEDパッケージ30の配置を示している。同図に示すように、ディスプレイ21におけるLEDパッケージ30の縦方向の配置間隔をd1、横方向の配置間隔をd2とする。なお、縦方向の配置間隔をd1については、LEDパッケージ30における各LED31の実装間隔と同一にすることが望ましい。横方向の配置間隔d2については、ディスプレイ21のベース基板が円弧状に折り曲げられることを考慮して、縦方向の配置間隔d1よりも広くする、すなわち、d2>d1を満たす必要がある。
【0029】
ディスプレイ21におけるLEDパッケージ30の横方向の配置間隔d2について詳述する。
【0030】
図9は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されない場合を示している。この場合、配置間隔d2については次式(1)に従う。
【数1】
・・・(1)
d2:横方向の配置間隔d2(ベース基板が曲がっていない状態における値)
n:LEDパッケージ30の横方向のLED数(いまの場合、n=3)
P:LED31の実装間隔
R1:ベース基板の曲げ半径
R2:LEDの発光面が形成する仮想的な曲面の半径
【0031】
図10は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されている場合を示している。同図の場合、横方向に3個のLEDパッケージ30に対して1個の実装部品が配置されている。実装部品が配置されない場所でのみベース基板を折り曲げ、その折り曲げ部でのみ横方向の間隔を広げるようにすると、その配置間隔d2については次式(2)に従う。なお、この場合、折り曲げ部以外の横方向の間隔は、縦方向の配置間隔d1と共通とする。
【数2】
・・・(2)
θ:ベース基板の曲げの中心からベース基板の折り曲げ部に引いた線の成す角
【0032】
以上のように、LEDパッケージ30の横方向の配置間隔d2を定めることにより、ディスプレイの映像に縦方向の筋が生じるような映像の劣化を防止することができる。
【0033】
[変形例]
LEDパッケージについては、2×2の4個のLEDから構成してもよい。図11は、この場合のLEDパッケージ30”の構成例を示しており、同図Aは上面を、同図Bは背面を示している。LEDパッケージ30”は、上段左からGR、下段左からBGの4個のLEDにより構成される。背面には、各色のLEDに電圧を印加する端子VG,VR,VBと、各LEDをグランドに接続する端子VEが設けられている。このLEDパッケージ30”をベースとして、これを縦方向に2個連結してパッケージ化してもよい。
【0034】
なお、本実施の形態においては、円弧状のベース基板の内側にLEDパッケージを配置するが、本開示は、円弧状のベース基板の外側にLEDパッケージを配置する場合に対して適用することも可能である。ただし、その場合には、上述した実施の形態とは反対にd2<d1を満たす必要がある。
【0035】
例えば、図12は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品(ICチップなど)が配置されない場合を示している。この場合、配置間隔d2については式(1)に従う。
【0036】
また例えば、図13は、LEDパッケージ30が配置されるディスプレイ21のベース基板の反対面に、ベース基板の曲げ位置に影響を及ぼす実行部品71が配置されている場合を示している。同図の場合、横方向に3個のLEDパッケージ30に対して1個の実装部品が配置されている。実装部品が配置されない場所でのみベース基板を折り曲げ、その折り曲げ部でのみ横方向の間隔を広げるようにすると、その配置間隔d2については式(2)に従う。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、全周囲から立体視可能な3D映像を表示するようにしたが、全周囲からに同じ2D映像を表示するようにしてもよい。あるいは、全周囲を複数に分割し、分割した数の異なる情報(時刻、ニュース、広告、案内など)を同時に表示するようにしてもよい。
【0038】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 全周囲立体映像表示装置, 11 固定部, 12 回転部, 13 スリット, 21 ディスプレイ, 22 回転数調整部, 30 LEDパッケージ, 31 LED, 32 端子, 50 LEDパッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている
表示装置。
【請求項2】
円弧状に折り曲げられる前の前記ベース基板に配置されている前記発光素子パッケージの縦方向の配置間隔d1と横方向の配置間隔d2とは異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たす
d2>d1
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たす
d2<d1
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子パッケージが配置される前記ベース基板の背面には実装部品が配置されており、前記ベース基板は前記実装部品が配置されていない位置で折り曲げられている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項1】
発光する色の異なる複数の発光素子が縦横に配列されている発光素子パッケージが、縦方向が平面、横方向が円弧状のベース基板に配置されている
表示装置。
【請求項2】
円弧状に折り曲げられる前の前記ベース基板に配置されている前記発光素子パッケージの縦方向の配置間隔d1と横方向の配置間隔d2とは異なる
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たす
d2>d1
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記縦方向の配置間隔d1と前記横方向の配置間隔d2とは次式を満たす
d2<d1
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子パッケージが配置される前記ベース基板の背面には実装部品が配置されており、前記ベース基板は前記実装部品が配置されていない位置で折り曲げられている
請求項2に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−15648(P2013−15648A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147908(P2011−147908)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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