説明

表示装置

【課題】情報を視覚的に提示する表示パネルを振動板として兼用しながらも耐衝撃性に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、前後方向に貫通した貫通窓31を中央部に有する枠体3と、厚み方向の一面であり光を放射する表示面21を有し貫通窓31に表示面21の位置を合わせて配置される薄厚の矩形板状の表示パネル2と、電気信号により表示パネル2を振動させる駆動装置4と、表示面21を覆う保護パネル5とを備える。表示パネル2と枠体3とは、表示パネル2の外周縁に設けられる弾性材料からなる支持部材22を介して結合される。保護パネル5と枠体3とは、保護パネル5の外周縁に設けられる弾性材料からなる可撓部材52を介して結合される。駆動装置4により振動する表示パネル2から出力された音の音圧により保護パネル5が振動し、保護パネル5から音が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の視覚的提示を行う表示パネルから音も出力させる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報の視覚的提示を行う表示パネルから音も出力させる表示装置が提案されている。特許文献1あるいは特許文献2には、表示パネルとしての有機ELパネルを備え、有機ELパネルを振動させて音を出力させる表示装置としての有機ELパネルスピーカが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−301431号公報
【特許文献2】特開2010−027845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように表示パネルから音を出力させる構成では、表示パネルは、スピーカにおける振動板と同様に薄厚であることが望まれる。一方で、薄厚の表示パネルは、強度が低いから、特許文献1や特許文献2に例示されているように誘導灯として用いる場合、人や物の衝突により表示パネルに衝撃が加わると、表示パネルに設けた電極が断線するなど情報の提示が行えなくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、情報を視覚的に提示する表示パネルを振動板として兼用しながらも耐衝撃性に優れた表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、薄厚の板状であり電力を用いて厚み方向の一面である表示面に情報を提示する表示パネルと、電気信号を表示パネルの振動に変換し表示パネルから音を出力させる駆動装置と、表示パネルの表示面を覆う透明な保護パネルとを備えることを特徴とする。
【0007】
この表示装置において、表示パネルは、有機ELを用いた面発光光源であることが望ましい。
【0008】
この表示装置において、厚み方向に貫通した貫通窓を有する板状の枠体を備え、表示パネルは、枠体の貫通窓に表示面の位置を合わせて、保護パネルは表示パネルの厚み方向に離間して枠体に支持されることがより望ましい。
【0009】
この表示装置において、保護パネルの外周縁には、弾性材料からなる可撓部材が設けられており、保護パネルは、可撓部材を介して枠体に変位可能に支持されており、表示パネルの振動に伴って保護パネルが振動し、保護パネルから音が出力されることがより望ましい。
【0010】
この表示装置において、保護パネルには、表示パネルから出力された音を外部に出力する音孔が設けられていることがより望ましい。
【0011】
この表示装置において、保護パネルは、表示パネルの表示面に密接され、表示パネルと一体に変位することがより望ましい。
【0012】
この表示装置において、外部から入力される報知信号の種類に応じて、表示パネルに提示する情報と表示パネルから出力する音との少なくとも一方を決定する出力決定装置をさらに備えることがより望ましい。
【0013】
この表示装置において、蓄電池を有し、商用電源から電力を供給する間に蓄電池を充電し、商用電源から電力の供給が停止すると、蓄電池から電力を供給する電源装置をさらに備えることがより望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、情報を視覚的に提示する表示パネルを振動板として兼用しながらも耐衝撃性に優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の表示装置を示す一部切欠した斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は前方から見た斜視図であり、(b)は後方から見た斜視図である。
【図3】同上の要部を示す一部切欠した斜視図である。
【図4】同上を示すブロック図である。
【図5】実施形態2の表示装置を示し、(a)は斜視図であり、(b)は一部切欠した斜視図である。
【図6】実施形態3の表示装置を示す一部切欠した斜視図である。
【図7】同上の要部を示す一部切欠した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下に説明する表示装置1は、情報の視覚的提示を行う表示パネル2を用いて音の出力を行う。表示パネル2は、薄厚の矩形板状に形成されている。表示パネル2は、電力の供給により厚み方向の一面である表示面21に提示される情報が変化する。本実施形態では、表示パネル2として、有機ELを用いた面発光光源を備え、電力が供給されると表示面21の略全面が発光することにより、情報を提示する構成を想定する。以下、表示パネル2の表示面21を前面として説明する。
【0017】
表示装置1は、図2に示すように、前後方向に貫通した貫通窓31を中央部に有する枠体3を備える。枠体3の貫通窓31は矩形状に開口しており、表示パネル2は貫通窓31に表示面21の位置を合わせて配置される。つまり、表示パネル2の表示面21から放射された光は、枠体3の貫通窓31を通して放射される。
【0018】
枠体3は、矩形箱状であって前面に開口を有するケース30に取り付けられる。すなわち、枠体3は、ケース30の開口を塞ぐように配置される。ケース30の内部には、電気信号を受けて表示パネル2を振動させる駆動装置4が固定される(図1参照)。つまり、駆動装置4に電気信号が入力されると、表示パネル2から音が出力され、枠体3の貫通窓31を通じて外部へ音が出力される。
【0019】
枠体3が表示パネル2を変位可能に支持するために、表示パネル2と枠体3とは、表示パネル2の外周縁の略全周に亘って設けられる弾性材料からなる支持部材22を介して結合される(図1参照)。支持部材22は、一端が表示パネル2の外周縁に固定され、他端が枠体3に固定される。表示パネル2と枠体3とに固定された支持部材22は、表示パネル2の外周縁から外側へ広がりながら枠体3まで延びる形状を有する。
【0020】
図2(b)に示すように、表示パネル2の背面23には、表示パネル2の変形を抑制する補強部材24が設けられる。補強部材24は、表示パネル2の背面23の外周部を全周に亘って支える枠部と、枠部に連続し表示パネル2の背面23の中央部を支える内側支持部を備えており、表示パネル2が変形しないように表示パネル2を補強する。
【0021】
駆動装置4は、例えば、ダイナミックスピーカにおける駆動装置と同様に磁石とコイルとを用いて構成される。また、駆動装置4は、圧電スピーカと同様に圧電素子を用いて構成してもよい。駆動装置4に電気信号が入力されると、駆動装置4が表示パネル2を振動させることにより、表示パネル2から音が出力される。つまり、表示パネル2は、スピーカの振動板と同様に機能する。
【0022】
表示装置1は、図1に示すように、表示パネル2の表示面21を覆う保護パネル5を備える。保護パネル5は、透明材料により矩形板状に形成される。保護パネル5の材料としては、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネートなどが用いられる。枠体3が保護パネル5を変位可能に支持するために、保護パネル5と枠体3とは、保護パネル5の外周縁の略全周に亘って設けられる弾性材料からなる可撓部材52を介して結合される。保護パネル5は、一端が保護パネル5の外周縁に固定され、他端が枠体3に固定される。保護パネル5と枠体3とに固定された可撓部材52は、保護パネル5の外周縁から外側へ広がりながら枠体3まで延びる形状を有する。
【0023】
図3に示すように、表示パネル2と保護パネル5とは、前後方向に距離を隔て表示パネル2の厚み方向に離間して配置される。これにより、人や物が表示パネル2に直接衝突することが防止され、表示パネル2が表示装置1に人や物が衝突した際の衝撃の影響を受けにくくなる。また、表示パネル2が振動して音を出力すると、当該音の音圧により保護パネル5が振動し、保護パネル5から音が出力される。これにより、外部へ出力される音の音圧の低下が抑制される。
【0024】
表示装置1は、図4に示すように、外部から入力される報知信号の種類に応じて、表示パネル2に提示する情報と表示パネル2から出力する音との少なくとも一方を決定する出力決定装置6を備える。つまり、出力決定装置6は、外部から入力される報知信号を受けて、表示パネル2を発光させるか、表示パネル2から音を出力させるか、あるいは発光と音の出力との両方を行わせるかを決定する。出力決定装置6は、報知信号を識別する機能を備えており、入力された報知信号の種類に応じて、上記のいずれの動作を行わせるかを決定する。一例として、出力決定装置6が火災の発生を知らせる報知信号を受けた場合、出力決定装置6は、表示パネル2および駆動装置4を作動させ、表示パネル2の表示面21を発光させるとともに表示パネル2から音を出力させる。本実施形態における出力決定装置6は、音を出力させる報知信号が入力された場合、電気信号を生成し駆動装置4へ入力する。
【0025】
表示装置1には、内部電源を供給する電源装置7が設けられる。電源装置7は、蓄電池71を備えており、商用電源72か蓄電池71のいずれか一方から表示装置1の各部(表示パネル2や駆動装置4など)に電力を供給する。電源装置7は、通常時は商用電源72からの電力を変換して表示装置1の各部に供給するとともに、蓄電池71を充電する。商用電源72から電力の供給が停止すると、電源装置7は蓄電池71からの電力を表示装置1の各部に供給する。これにより、停電などにより商用電源72からの電力の供給が停止した場合であっても、表示パネル2を発光させ、表示パネル2から音を出力させることができる。
【0026】
なお、表示装置1は、本実施形態の構成に限られず、出力決定装置6を用いることなく、発光および音の出力を行ってもよい。この場合、表示パネル2に直接報知信号を入力することにより表示パネル2は発光し、報知信号を受けて電気信号を生成する装置を別途設け、当該装置が生成した電気信号を駆動装置4に入力することにより表示パネル2から音の出力が行われる。また、電源装置7を用いることなく、外部から直接電力を供給してもよい。
【0027】
表示パネル2は、例えば、表示面21に情報を直接表記したり、情報が表記された光透過性フィルムを表示面21に貼り付けて、表示面21に情報を表示させてもよい。この場合、例えば、非常口や非難経路を示すピクトグラムなどを用いて、表示パネル2の表示面21に情報を表示してもよい。表示パネル2は、ドットマトリクス方式の表示器であってもよい。また、表示パネル2は、電子ペーパや反射型液晶パネルなどでもよい。
【0028】
また、表示パネル2が光を放射する構成は、有機ELを使った構成に限らず、LED(発光ダイオード)と導光板とを使った面発光光源などを用いてもよい。
【0029】
(実施形態2)
本実施形態においては、図5に示すように、保護パネル5が枠体3に対して固定されている点が実施形態1と相違する。
【0030】
保護パネル5は、外形が枠体3の貫通窓31と略同寸法に形成されており、貫通窓31内に配置され枠体3に固定される。これにより、保護パネル5が枠体3に対して変位しなくなるため、表示パネル2が表示装置1に人や物が衝突した際の衝撃の影響をさらに受けにくくなるとともに、保護パネル5が衝撃を受けても後方へ変位せず表示パネル2に衝突することが防止される。
【0031】
一方で、枠体3に固定することにより保護パネル5が変位しなくなるため、表示パネル2から出力された音は、保護パネル5により遮られ、音圧が低下する。そのため、保護パネル5の両端部(図5では、上下方向の両端部)付近には、前後方向に貫通した音孔53がそれぞれ設けられる。表示パネル2から出力された音は音孔53を通じて外部へ出力され、外部へ出力される音の音圧の低下が抑制される。
【0032】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0033】
(実施形態3)
本実施形態においては、図6に示すように、保護パネル5が、可撓部材52を用いることなく、表示パネル2に密接される点が実施形態1と相違する。
【0034】
保護パネル5と表示パネル2との間には、保護パネル5と表示パネル2とを結合する結合部材8が設けられる。結合部材8は、保護パネル5の背面の両端部(図6では、上下方向の両端部)にそれぞれ配置される。結合部材8は一定の厚みを有しており、保護パネル5と表示パネル2とは、結合部材8の厚みだけ距離を隔てて配置される(図7参照)。これにより、表示パネル2が枠体3に対して変位すると保護パネル5も一体に変位し、保護パネル5から音が出力されるため、外部へ出力される音の音圧の低下が抑制される。
【0035】
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【符号の説明】
【0036】
1 表示装置
2 表示パネル
21 表示面
3 枠体
31 貫通窓
4 駆動装置
5 保護パネル
52 可撓部材
53 音孔
6 出力決定装置
7 電源装置
71 蓄電池
72 商用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄厚の板状であり電力を用いて厚み方向の一面である表示面に情報を提示する表示パネルと、電気信号を前記表示パネルの振動に変換し前記表示パネルから音を出力させる駆動装置と、前記表示パネルの前記表示面を覆う透明な保護パネルとを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルは、有機ELを用いた面発光光源であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
厚み方向に貫通した貫通窓を有する板状の枠体を備え、前記表示パネルは、前記枠体の前記貫通窓に前記表示面の位置を合わせて、前記保護パネルは前記表示パネルの厚み方向に離間して前記枠体に支持されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保護パネルの外周縁には、弾性材料からなる可撓部材が設けられており、前記保護パネルは、前記可撓部材を介して前記枠体に変位可能に支持されており、前記表示パネルの振動に伴って前記保護パネルが振動し、前記保護パネルから音が出力されることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護パネルには、前記表示パネルから出力された音を外部に出力する音孔が設けられていることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項6】
前記保護パネルは、前記表示パネルの前記表示面に密接され、前記表示パネルと一体に変位することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
外部から入力される報知信号の種類に応じて、前記表示パネルに提示する情報と表示パネルから出力する音との少なくとも一方を決定する出力決定装置をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
蓄電池を有し、商用電源から電力を供給する間に前記蓄電池を充電し、前記商用電源から電力の供給が停止すると、前記蓄電池から電力を供給する電源装置をさらに備えることを特徴とする請求項1ない請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44911(P2013−44911A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182294(P2011−182294)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】