説明

表示装置

【課題】手間やコストの増大を招くことなく、発光ダイオードの順方向電圧のバラツキに起因して発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止する。
【解決手段】表示装置は、表示パネル2と、表示パネル2を背面から照明するバックライト部3と、を備える。バックライト部3は、それぞれM個の発光ダイオードが直列接続された発光ダイオードストリングS11,S12が、2個互いに並列接続された発光ダイオードストリング群と、発光ダイオードストリング群に直列接続され、直流電圧を生成する電源部31と、発光ダイオードストリング群及び電源部31に直列接続され、発光ダイオードストリング群に電流を供給する駆動部32と、発光ダイオードストリングS11,S12に流れる各電流を調整する電流調整部33と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトを用いる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として非自発光型の液晶を用いた表示パネルを備える表示装置は、表示パネルを背面から照明するバックライト部を備え、そのバックライト部から出射される光の透過率を液晶によって制御することで、任意の画像の表示を実現している。バックライト部の光源としては、発光ダイオードなどが用いられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のバックライト部はN個の発光ダイオードを備え、このN個をn個ずつm群に分け、n個の発光ダイオードを直列接続した発光ダイオードストリングを定電流電源にm個並列に接続して発光素子アレイを構成している。一方、発光ダイオードの順方向電圧にはバラツキがあるため、並列接続されたm個の発光ダイオードストリングに流れる電流が等分されないことから、発光ダイオードの光量にバラツキが生じるおそれがある。そこで、特許文献1に記載の技術では、発光ダイオードの抵抗値の平均及び標準偏差とN,nの個数との間に一定の関係を持たせることで、発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−273204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、使用する発光ダイオードの抵抗値を測定し、測定した抵抗値の平均及び標準偏差を算出する必要がある。また、例えば表示パネルのサイズなどから、使用する発光ダイオードのN,nの個数が予め決められている場合には、上記一定の関係が満たされるように、所望の抵抗値を有する発光ダイオードを選別することが必要になってくる。したがって、抵抗値測定、平均及び標準偏差の算出、発光ダイオードの選別などのために手間やコストが増大する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、手間やコストの増大を招くことなく、発光ダイオードの順方向電圧のバラツキに起因して発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、映像を表示する表示パネルと、前記表示パネルを背面から照明するバックライト部と、を備え、前記バックライト部は、それぞれM(Mは1以上の整数)個の発光ダイオードが直列接続された発光ダイオードストリングが、N(Nは2以上の整数)個互いに並列接続された発光ダイオードストリング群と、前記発光ダイオードストリング群に直列接続され、直流電圧を生成する電源部と、前記発光ダイオードストリング群及び前記電源部に直列接続され、前記発光ダイオードストリング群に電流を供給する駆動部と、前記発光ダイオードストリングに流れる前記各電流を調整する電流調整部と、を含む。
【0008】
この構成によれば、表示パネルは、映像を表示する。バックライト部は、表示パネルを背面から照明する。発光ダイオードストリング群は、それぞれM(Mは1以上の整数)個の発光ダイオードが直列接続された発光ダイオードストリングが、N(Nは2以上の整数)個互いに並列接続されている。電源部は、発光ダイオードストリング群に直列接続され、直流電圧を生成する。駆動部は、発光ダイオードストリング群及び電源部に直列接続され、発光ダイオードストリング群に電流を供給する。電流調整部は、発光ダイオードストリングに流れる各電流を調整する。
【0009】
したがって、発光ダイオードの順方向電圧にバラツキがあって発光ダイオードストリング全体の順方向電圧が互いに異なる場合でも、電流調整部により、発光ダイオードストリングに流れる各電流が調整されるため、手間やコストの増大を招くことなく、発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。また、N個の発光ダイオードストリングが互いに並列接続された発光ダイオードストリング群に駆動部が直列接続されているため、発光ダイオードストリングにそれぞれ駆動部を直列接続する構成に比べて、駆動部の数を1/Nに低減することができ、構成を簡素化することができる。
【0010】
上記表示装置において、前記電流調整部は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記発光ダイオードストリングに直列接続された抵抗素子及び電流調整素子と、前記基準電圧生成回路により生成された前記基準電圧と前記抵抗素子により検出された検出電圧とに基づいて、前記電流調整素子を制御する制御回路と、を含むことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、基準電圧生成回路は、基準電圧を生成する。抵抗素子及び電流調整素子は、発光ダイオードストリングに直列接続されている。制御回路は、基準電圧生成回路により生成された基準電圧と抵抗素子により検出された検出電圧とに基づいて、電流調整素子を制御する。したがって、基準電圧と検出電圧とに基づいて電流調整素子を制御することによって、抵抗素子に流れる各電流、つまり抵抗素子に直列接続された発光ダイオードストリングに流れる各電流を調整することができる。その結果、発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。また、電流調整素子が駆動部に直列接続されているため、電流調整素子の耐圧分だけ駆動部の高耐圧化を図ることができる。
【0012】
上記表示装置において、前記電流調整素子は、前記発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成され、前記制御回路は、前記基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記トランジスタを制御する電圧を生成する増幅回路を含むことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、電流調整素子は、発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成される。制御回路は、基準電圧と検出電圧とに基づいてトランジスタを制御する電圧を生成する増幅回路を含む。したがって、増幅回路により生成された電圧によりトランジスタを制御することで、発光ダイオードストリングに流れる各電流を好適に調整することができる。その結果、発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。また、トランジスタが駆動部に直列接続されているため、トランジスタの耐圧分だけ、駆動部の高耐圧化を図ることができる。
【0014】
上記表示装置において、前記増幅回路は、差動増幅回路であることが好ましい。この構成によれば、増幅回路は、差動増幅回路であるため、単なる増幅回路と比較して容易に回路を構成することができる。
【0015】
上記表示装置において、前記電流調整素子は、前記発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成され、前記制御回路は、前記基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記トランジスタを制御するPWM信号を出力するPWM回路を含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、電流調整素子は、発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成される。制御回路は、基準電圧と検出電圧とに基づいてトランジスタを制御するPWM信号を出力するPWM回路を含む。したがって、PWM回路により出力されたPWM信号によりトランジスタを制御することで、発光ダイオードストリングに流れる各電流を好適に調整することができる。その結果、発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。また、トランジスタが駆動部に直列接続されているため、トランジスタの耐圧分だけ、駆動部の高耐圧化を図ることができる。
【0017】
上記表示装置において、前記トランジスタは、電界効果トランジスタであることが好ましい。この構成によれば、トランジスタは、電界効果トランジスタであるため、ゲートに殆ど電流が流れないので、電流ロスを減少させることができる。
【0018】
上記表示装置において、前記N個の発光ダイオードストリングのうち、同時に前記駆動部から前記電流を供給する前記発光ダイオードストリングを1個またはK個(Kは2以上N未満の整数)とする制御を行う発光制御部をさらに備え、前記電流調整部は、前記発光制御部による制御に応じて前記N個の発光ダイオードストリングに流れる前記電流を調整することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、発光制御部は、N個の発光ダイオードストリングのうち、同時に駆動部から電流を供給する発光ダイオードストリングを1個またはK個(Kは2以上N未満の整数)とする制御を行う。電流調整部は、発光制御部による制御に応じてN個の発光ダイオードストリングに流れる電流を調整する。したがって、電流が供給される発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。
【0020】
また、一般に、駆動部は、定格電流の範囲内で電流を供給する。したがって、定格電流が同一の駆動部を用いたときに、N個の発光ダイオードストリングのうち同時に1個またはK個の発光ダイオードストリングに電流を供給する場合には、並列接続されたN個の発光ダイオードストリングに同時に電流を供給する場合に比べて、供給可能な電流を増大することができる。その結果、定格電流が同一の駆動部を用いて増大した電流を発光ダイオードストリングに供給することにより、駆動部のコストが増大することなく、発光ダイオードの光量を増大することができ、表示パネルをより高い輝度で照明することができる。
【0021】
上記表示装置において、前記発光制御部は、前記N個の発光ダイオードストリングに対し1個ずつ順番に前記駆動部から前記電流を供給する制御を行い、前記電流調整部は、前記発光制御部により前記N個の発光ダイオードストリングに1個ずつ順番に流れる前記電流を調整することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、発光制御部は、N個の発光ダイオードストリングに対し1個ずつ順番に駆動部から電流を供給する制御を行う。電流調整部は、発光制御部によりN個の発光ダイオードストリングに1個ずつ順番に流れる電流を調整する。したがって、電流が供給される発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じることなく、N個の発光ダイオードストリングを1個ずつ順番に同じ光量で発光させることができる。
【0023】
上記表示装置において、前記発光制御部は、前記1個またはK個の前記発光ダイオードストリングに対し所定期間ごとに前記駆動部から前記電流を供給する制御を行い、前記電流調整部は、前記発光制御部により所定期間ごとに前記1個またはK個の発光ダイオードストリングに流れる前記電流を調整することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、発光制御部は、1個またはK個の発光ダイオードストリングに対し所定期間ごとに駆動部から電流を供給する制御を行う。電流調整部は、発光制御部により所定期間ごとに1個またはK個の発光ダイオードストリングに流れる電流を調整する。したがって、電流が供給される発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じることなく、1個またはK個の発光ダイオードストリングを発光させることができる。
【0025】
上記表示装置において、前記N個の発光ダイオードストリングは、それぞれ前記表示パネルの異なる領域を照明し、前記N個の発光ダイオードストリングは、相互に隣接する前記領域を照明する第1発光ダイオードストリングと第2発光ダイオードストリングとを含み、前記発光制御部は、第1期間には前記第1発光ダイオードストリングのみに前記駆動部から電流を供給し、前記第1期間に続く第2期間には前記第1発光ダイオードストリング及び前記第2発光ダイオードストリングに前記駆動部から電流を供給し、前記第2期間に続く第3期間には前記第2発光ダイオードストリングのみに前記駆動部から電流を供給するように制御することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、N個の発光ダイオードストリングは、それぞれ表示パネルの異なる領域を照明する。N個の発光ダイオードストリングは、相互に隣接する領域を照明する第1発光ダイオードストリングと第2発光ダイオードストリングとを含む。発光制御部は、第1期間には第1発光ダイオードストリングのみに駆動部から電流を供給し、第1期間に続く第2期間には第1発光ダイオードストリング及び第2発光ダイオードストリングに駆動部から電流を供給し、第2期間に続く第3期間には第2発光ダイオードストリングのみに駆動部から電流を供給するように制御する。したがって、電流調整部により発光ダイオードストリングに流れる各電流を調整することにより、表示パネルの相互に隣接する領域を均一な輝度でスムーズに切り替えながら照明することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、互いに並列接続されたN個の発光ダイオードストリングに流れる各電流を調整しているため、発光ダイオードの順方向電圧にバラツキがあって発光ダイオードストリング全体の順方向電圧が互いに異なる場合でも、発光ダイオードストリングを構成する各発光ダイオードの光量にバラツキが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態におけるバックライト部の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図3】LEDストリングの配列構成の一例を模式的に示す図である。
【図4】図2に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】本実施形態におけるバックライト部の別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図6】図5に示される回路構成例におけるLEDストリングの配列構成例を模式的に示す図である。
【図7】図5に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】図5に示される構成におけるLEDストリングの動作の別の例を示すタイミングチャートである。
【図9】本実施形態におけるバックライト部の別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図10】図9に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図11】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図12】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図13】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図14】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図15】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【図16】本実施形態におけるバックライト部のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態における液晶表示装置が説明される。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態におけるバックライト部の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【0031】
図1に示される液晶表示装置は、信号処理部1、液晶表示パネル2、バックライト部3を備える。信号処理部1は、外部からの入力映像信号に基づき、液晶表示パネル2を制御する制御信号及びバックライト部3を制御する制御信号を生成し、それぞれ液晶表示パネル2及びバックライト部3に出力する。液晶表示パネル2は、図示を省略しているが、水平方向に延びる複数のゲート線、垂直方向に延びる複数のソース線、スイッチング素子及び複数の画素を備え、複数のソース線及び複数のゲート線の交点にマトリクス状に複数の画素が配置される。液晶表示パネル2としては、IPS(In Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、その他のいずれの駆動方式を適用してもよい。本実施形態では、例えばIPS方式が適用される。
【0032】
バックライト部3は、液晶表示パネル2の背面から液晶表示パネル2を照明する。バックライト部3としては、エッジライト方式及び直下型方式のいずれの照明方式を適用してもよい。本実施形態では、例えばエッジライト方式が適用される。バックライト部3は、発光ダイオードストリング(以下、「LEDストリング」という)S11,S12,S21,S22、電源部31、駆動部32、電流調整部33、発光制御部34を備える。
【0033】
LEDストリングS11は、図2に示されるように、M(例えばM=10)個の白色発光ダイオードL11,L12,・・・,L1Mが直列接続されて構成されている。同様に、LEDストリングS12は、M個の白色発光ダイオードL21,L22,・・・,L2Mが直列接続されて構成され、LEDストリングS21は、M個の白色発光ダイオードL31,L32,・・・,L3Mが直列接続されて構成され、LEDストリングS22は、M個の白色発光ダイオードL41,L42,・・・,L4Mが直列接続されて構成されている。LEDストリングS11,S12が発光ダイオードストリング群を構成し、LEDストリングS21,S22が発光ダイオードストリング群を構成する。
【0034】
電源部(DC−DCコンバータ)31は、入力電圧VinからLEDストリングS11,S12,S21,S22に電源を供給するための直流電圧を生成する。駆動部32は、LEDストリングS11,S12,S21,S22に電流をそれぞれ供給する。電流調整部33は、LEDストリングS11,S12,S21,S22に流れる電流をそれぞれ調整する。発光制御部34は、LEDストリングS11,S12,S21,S22の点灯及び消灯をそれぞれ制御する。
【0035】
図2に示される回路構成例では、駆動部32は、定電流源321,322により構成される。また、電流調整部33は、差動増幅回路331〜334、基準電圧生成回路335、電界効果トランジスタ33A〜33D及び電流検出抵抗R11〜R14により構成される。また、発光制御部34は、スイッチ制御部341及びトランジスタQ341〜Q344により構成される。
【0036】
DC−DCコンバータ31は、LEDストリングS11,S12,S21,S22に、それぞれ直列接続されている。基準電圧生成回路335は、DC−DCコンバータ31により生成される電圧を用いて基準電圧Vrefを生成する。LEDストリングS11には、電界効果トランジスタ33Aのドレイン及びソースが直列に接続され、さらに電流検出抵抗R11が直列に接続されている。同様に、LEDストリングS12には、電界効果トランジスタ33Bのドレイン及びソースが直列に接続され、さらに電流検出抵抗R12が直列に接続されている。LEDストリングS11、電界効果トランジスタ33A、及び電流検出抵抗R11の直列回路と、LEDストリングS12、電界効果トランジスタ33B、及び電流検出抵抗R12の直列回路とは、互いに並列接続され、その並列回路が、DC−DCコンバータ31と定電流源321との間に直列接続されている。
【0037】
電界効果トランジスタ33A,33Bのゲートには、それぞれ差動増幅回路331,332が接続されている。また、電界効果トランジスタ33A,33Bのゲートには、それぞれトランジスタQ341,Q342のコレクタが接続されている。トランジスタQ341,Q342のベースには、スイッチ制御部341がそれぞれ接続され、エミッタはそれぞれ接地されている。なお、図2では、図示の便宜上、スイッチ制御部341を4箇所に示している。
【0038】
差動増幅回路331は、2入力1出力の演算増幅器OA1と、抵抗R1〜R4とを備える。演算増幅器OA1の非反転入力端子は、抵抗R1を介して基準電圧生成回路335の基準電圧出力端子に接続されるとともに、抵抗R2を介して接地されている。演算増幅器OA1の反転入力端子は、抵抗R3を介して、電流検出抵抗R11の電界効果トランジスタ33A側の端部に接続されるとともに、抵抗R4を介して、演算増幅器OA1の出力端子に接続されている。演算増幅器OA1の出力端子は、さらに電界効果トランジスタ33Aのゲートに接続されている。なお、差動増幅回路332も、差動増幅回路331と同様に構成されている。
【0039】
また、LEDストリングS21,S22の周辺回路も、上述したLEDストリングS11,S12と同様に構成されている。すなわち、LEDストリングS21、電界効果トランジスタ33C、及び電流検出抵抗R21の直列回路と、LEDストリングS22、電界効果トランジスタ33D、及び電流検出抵抗R22の直列回路とは、互いに並列接続され、その並列回路が、DC−DCコンバータ31と定電流源322との間に直列接続されている。その他の回路構成も、上述したLEDストリングS11,S12と全く同様になっている。なお、図2に示される回路構成では、1個の定電流源に対して2個のLEDストリングが並列接続されているが、並列接続されるLEDストリングは2個に限られず、3個以上でもよい。また、図2に示される回路構成では、2個の定電流源321,322を備えているが、2個に限られず、1個でもよく、3個以上でもよい。
【0040】
以上のように構成されたバックライト部3の動作について説明する。定電流源321に対して、LEDストリングS11と、LEDストリングS12とが、並列に接続されている。したがって、LEDストリングS11,S12の並列回路を、単に、定電流源321に接続しただけの回路構成では、LEDストリングS11,S12を構成する発光ダイオードL11等の順方向電圧Vfにバラツキがあると、定電流源321により供給される電流が、LEDストリングS11,S12に等分に流れず、LEDストリングS11,S12の光量にバラツキが生じる。
【0041】
これに対して、図2の構成では、差動増幅回路331は、電流検出抵抗R11の検出電圧Vr11と、基準電圧Vrefとに応じて、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧を調整する。すなわち、Vr11>Vrefの場合には、差動増幅回路331は、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧を低下させる。一方、Vr11<Vrefの場合には、差動増幅回路331は、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧を増大させる。差動増幅回路332,333,334も、差動増幅回路331と同様に動作する。したがって、差動増幅回路331〜334によって、各電流検出抵抗R11,R12,R21,R22の検出電圧Vr11,Vr12,Vr21,Vr22が、
Vr11=Vr12=Vr21=Vr22
となるように、電界効果トランジスタ33A〜33Dのゲート電圧が調整される。その結果、LEDストリングS11,S12,S21,S22に流れる電流が互いに等しくなるため、各発光ダイオードL11等の光量にバラツキが生じるのを防止することができる。
【0042】
以上説明されたように、この実施形態によれば、LEDストリングS11に電流検出抵抗R11及び電界効果トランジスタ33Aを直列に接続し、LEDストリングS12に電流検出抵抗R12及び電界効果トランジスタ33Bを直列に接続し、LEDストリングS21に電流検出抵抗R21及び電界効果トランジスタ33Cを直列に接続し、LEDストリングS22に電流検出抵抗R22及び電界効果トランジスタ33Dを直列に接続している。そして、差動増幅回路331〜334により、各電流検出抵抗の検出電圧と、基準電圧Vrefとに応じて、各電界効果トランジスタ33A〜33Dのゲート電圧を調整している。したがって、LEDストリングS11,S12,S21,S22に流れる電流が互いに等しくなるため、各発光ダイオードL11等の順方向電圧にバラツキがあったとしても、手間やコストの増大を招くことなく、各発光ダイオードL11等の光量にバラツキが生じるのを防止することができる。
【0043】
また、電界効果トランジスタ33A,33Bを定電流源321に直列に接続し、電界効果トランジスタ33C,33Dを定電流源322に直列に接続しているため、電界効果トランジスタの耐圧分だけ、定電流源321,322の高耐圧化を図ることができる。
【0044】
図2を用いて説明したように、本実施形態では、定電流源321に対してLEDストリングS11,S12が互いに並列に接続され、定電流源322に対してLEDストリングS21,S22が互いに並列に接続されている。このように、定電流源に対してLEDストリングが並列接続された構成の具体的な動作例について説明する。
【0045】
図3は、LEDストリングの配列構成の一例を模式的に示す図である。図4は、図2に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。図4のセクション(A)は、LEDストリングS11,S21に流れる電流を示す。図4のセクション(B)は、LEDストリングS12,S22に流れる電流を示す。
【0046】
図3に示されるように、LEDストリングS11は、液晶表示パネル2の上端の左半部に配列され、LEDストリングS12は、液晶表示パネル2の上端の右半部に配列され、LEDストリングS21は、液晶表示パネル2の下端の左半部に配列され、LEDストリングS22は、液晶表示パネル2の下端の右半部に配列されている。
【0047】
本実施形態では、定電流源321,322の定格電流が120mAであるとする。図4に示されるように、各LEDストリングに定常的に電流を供給する場合には、定電流源321に対してLEDストリングS11,S12が互いに並列に接続されているため、定電流源321は、LEDストリングS11,S12に電流60mAを供給することができる。同様に、定電流源322に対してLEDストリングS21,S22が互いに並列に接続されているため、定電流源322は、LEDストリングS21,S22に電流60mAを供給することができる。この電流供給によって、LEDストリングS11,S12,S21,S22により液晶表示パネル2を好適に照明することができる。
【0048】
図5は、本実施形態におけるバックライト部3の別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図6は、図5に示される回路構成例におけるLEDストリングの配列構成例を模式的に示す図である。図5に示されるバックライト部3は、1個の定電流源321を備え、2個のLEDストリングS11,S12を備える。なお、図5に示される回路構成では、1個の定電流源321に対して2個のLEDストリングS11,S12が並列接続されているが、並列接続されるLEDストリングは2個に限られず、3個以上でもよい。また、図5に示される回路構成では、1個の定電流源321を備えているが、1個に限られず、2個以上でもよい。
【0049】
図5に示される回路構成では、駆動部32は、定電流源321により構成される。また、電流調整部33は、差動増幅回路331,332、基準電圧生成回路335、電界効果トランジスタ33A,33B、電流検出抵抗R11,R12及びセレクタ336により構成される。また、発光制御部34は、スイッチ制御部341及びトランジスタQ341,Q342により構成される。
【0050】
基準電圧生成回路335は、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2を生成する。ここで、Vref1>Vref2とする。セレクタ336は、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2の一方を、差動増幅回路331,332の基準電圧Vrefとして、差動増幅回路331,332に出力する。セレクタ336は、同一の基準電圧を差動増幅回路331,332にそれぞれ出力することも、異なる基準電圧を差動増幅回路331,332にそれぞれ出力することも、可能に構成されている。なお、図5では、図示の便宜上、セレクタ336を2箇所に示している。
【0051】
図6に示されるように、LEDストリングS11は、液晶表示パネル2の上端部に配列され、LEDストリングS12は、液晶表示パネル2の下端部に配列されている。
【0052】
図7は、図5に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。図7のセクション(A)は、液晶表示パネル2の上部の点灯タイミングを示す。図7のセクション(B)は、液晶表示パネル2の下部の点灯タイミングを示す。図7のセクション(C)は、LEDストリングS11に流れる電流を示す。図7のセクション(D)は、LEDストリングS12に流れる電流を示す。図7のセクション(E)は、セレクタ336から出力される差動増幅回路331の基準電圧Vrefを示す。図7のセクション(F)は、セレクタ336から出力される差動増幅回路332の基準電圧Vrefを示す。
【0053】
図7のセクション(A)、(B)に示されるように、まず、期間T1には、液晶表示パネル2の上部が点灯し、続く期間T2には、上部が点灯した状態で、液晶表示パネル2の下部が点灯し、続く期間T3には、液晶表示パネル2の上部が消灯して下部のみが点灯した状態になっている。このように、液晶表示パネル2の上部と下部のオンデューティが重なっている場合のLEDストリングの動作について説明する。
【0054】
図7に示される動作において、LEDストリングS11のオンオフは、トランジスタQ341のオンオフによって実現される。すなわち、スイッチ制御部341がトランジスタQ341のベースにハイレベル信号を出力すると、トランジスタQ341はオンになり、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が低下して電界効果トランジスタ33Aがオフになり、LEDストリングS11がオフにされる。一方、スイッチ制御部341がトランジスタQ341のベースにローレベル信号を出力すると、トランジスタQ341はオフになり、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が差動増幅回路331で決まる値になって電界効果トランジスタ33Aがオンになり、LEDストリングS11がオンにされる。LEDストリングS12も、トランジスタQ342によって同様にオンオフされる。
【0055】
まず、期間T1の開始時、つまり液晶表示パネル2の上部の点灯時に、トランジスタQ341がオフにされるとともに、セクション(E)に示されるように、セレクタ336から差動増幅回路331に基準電圧Vrefとして、第1基準電圧Vref1が出力される。したがって、差動増幅回路331は、検出電圧Vr11と第1基準電圧Vref1とに応じて、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧を調整する。これによって、セクション(C)に示されるように、LEDストリングS11に電流120mAが供給されて点灯する。このとき、トランジスタQ342はオンのままで、LEDストリングS12には電流は供給されない。その結果、液晶表示パネル2の上部のみが比較的高輝度で照明される。
【0056】
続く期間T2の開始時、つまり液晶表示パネル2の下部の点灯時に、トランジスタQ342がオフにされるとともに、セクション(F)に示されるように、セレクタ336から差動増幅回路332に基準電圧Vrefとして、第2基準電圧Vref2が出力される。したがって、差動増幅回路332は、検出電圧Vr12と第2基準電圧Vref2とに応じて、電界効果トランジスタ33Bのゲート電圧を調整する。これによって、セクション(F)に示されるように、LEDストリングS12に電流60mAが供給されて点灯する。同時に、つまり期間T2の開始時に、トランジスタQ341はオフのままで、セクション(E)に示されるように、セレクタ336から差動増幅回路331に基準電圧Vrefとして出力される電圧が、第1基準電圧Vref1から第2基準電圧Vref2に切り替えられる。したがって、差動増幅回路331は、検出電圧Vr11と第2基準電圧Vref2とに応じて、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧を調整する。これによって、セクション(C)に示されるように、LEDストリングS11に電流60mAが供給される。その結果、液晶表示パネル2の上部及び下部が、両方とも比較的低輝度で照明される。
【0057】
続く期間T3の開始時、つまり液晶表示パネル2の上部の消灯時に、トランジスタQ341がオンにされる。これによって、セクション(C)に示されるように、LEDストリングS11への電流供給が停止される。同時に、つまり期間T3の開始時に、トランジスタQ342はオフのままで、セクション(F)に示されるように、セレクタ336から差動増幅回路332に基準電圧Vrefとして出力される電圧が、第2基準電圧Vref2から第1基準電圧Vref1に切り替えられる。したがって、差動増幅回路332は、検出電圧Vr12と第1基準電圧Vref1とに応じて、電界効果トランジスタ33Bのゲート電圧を調整する。これによって、セクション(D)に示されるように、LEDストリングS12に電流120mAが供給される。その結果、液晶表示パネル2の下部のみが比較的高輝度で照明される。そして、期間T3の終了時に、トランジスタQ342がオンにされて、バックライト部3が消灯する。この図5〜図7に示される形態において、期間T1が第1期間の一例に対応し、期間T2が第2期間の一例に対応し、期間T3が第3期間の一例に対応する。
【0058】
このように、図5〜図7に示される形態では、期間T1から期間T3にかけて、照明される液晶表示パネル2の領域が上部から下部に移動するが、上部及び下部が小さい光量で照明される期間T2を挟んでいるため、照明される液晶表示パネル2の領域移動を目立たなくすることができる。また、図5〜図7に示される形態では、差動増幅回路331,332により、電界効果トランジスタ33A,33Bのゲート電圧を2段階に制御しているため、LEDストリングS11,S12の光量を2段階に制御することができる。したがって、光量制御のために定電流源321に電流制御機能を持たせる必要がなく、定電流源321に流れる電流を固定化することができるため、定電流源に電流制御機能を持たせる場合に比べて、定電流源321の構成を簡素化することができる。
【0059】
図8は、図5に示される構成におけるLEDストリングの動作の別の例を示すタイミングチャートである。図8のセクション(A)は、LEDストリングS11に流れる電流を示す。図8のセクション(B)は、LEDストリングS12に流れる電流を示す。図8のセクション(C)は、トランジスタQ341のオンオフを示す。図8のセクション(D)は、トランジスタQ342のオンオフを示す。
【0060】
なお、LEDストリングS11,S12は、図6に示されるように配列されている。すなわち、LEDストリングS11は、液晶表示パネル2の上端部に配列され、LEDストリングS12は、液晶表示パネル2の下端部に配列されている。また、上述のように、本実施形態では、定電流源321の定格電流は120mAである。
【0061】
図8に示される動作では、LEDストリングをオンオフしている。上述のように、LEDストリングS11のオンオフは、トランジスタQ341のオンオフによって実現され、LEDストリングS12のオンオフは、トランジスタQ342のオンオフによって実現される。なお、図8に示される動作では、セレクタ336から差動増幅回路331,332に基準電圧Vrefとして出力される電圧は、第1基準電圧Vref1になっている。
【0062】
このように、図8に示される動作では、互いに並列接続されたLEDストリングS11,S12を交互にオンオフしている。すなわち、定電流源321は、LEDストリングS11,S12に対して、交互に電流を供給し、同時に電流を供給することはない。
【0063】
したがって、図8のセクション(A)、(B)に示されるように、定電流源321は、LEDストリングS11に電流120mAを供給することができ、LEDストリングS12に電流120mAを供給することができる。その結果、定電流源321の定格電流を増大することによるコスト上昇を招くことなく、液晶表示パネル2を照明する照明光の輝度を増大することができる。
【0064】
なお、図5に示される回路構成では、トランジスタQ341,Q342をオフに維持して、セレクタ336から差動増幅回路331,332に基準電圧Vrefとして出力する電圧を第2基準電圧Vref2とすることによって、図4に示されるように、LEDストリングS11,S12に対して60mAの電流を供給して定常的にオンにすることもできる。また、図8に示されるように、LEDストリングを交互にオンオフする動作だけが行われる場合(つまり図4に示されるようにLEDストリングを定常的にオンにする動作を行わない場合)には、基準電圧生成回路335は、基準電圧Vrefとして第1基準電圧Vref1を差動増幅回路331,332に出力するように構成しておけばよい。これによって、セレクタ336を省略することができる。
【0065】
図9は、本実施形態におけるバックライト部3の別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図9に示されるバックライト部3は、1個の定電流源321を備え、2個のLEDストリングS11,S12を備える。なお、図9に示される回路構成では、1個の定電流源321に対して2個のLEDストリングS11,S12が並列接続されているが、並列接続されるLEDストリングは2個に限られず、3個以上でもよい。また、図9に示される回路構成では、1個の定電流源321を備えているが、1個に限られず、2個以上でもよい。
【0066】
図9に示される回路構成では、電流調整部33は、差動増幅回路331,332、基準電圧生成回路335、電界効果トランジスタ33A,33B及び電流検出抵抗R11,R12により構成される。また、発光制御部34は、スイッチ制御部341及びトランジスタQ341,Q342により構成される。なお、LEDストリングS11,S12は、図6に示されるように配列されている。すなわち、LEDストリングS11は、液晶表示パネル2の上端部に配列され、LEDストリングS12は、液晶表示パネル2の下端部に配列されている。
【0067】
なお、ここでは、図1において、信号処理部1には、入力映像信号として、左眼用映像信号及び右眼用映像信号が入力されるものとする。信号処理部1は、入力された60Hzの映像信号を、120Hzの左眼用映像信号及び右眼用映像信号に変換して、液晶表示パネル2に出力する。また、信号処理部1は、左眼用映像信号及び右眼用映像信号の出力に同期して、バックライト部3に制御信号を出力する。これによって、立体的に知覚可能な映像が液晶表示パネル2に表示される。
【0068】
図10は、図9に示される構成におけるLEDストリングの動作の一例を示すタイミングチャートである。図10のセクション(A)には、左眼用映像信号に基づく映像表示のための左眼期間及び右眼用映像信号に基づく映像表示のための右眼期間が示されている。図10のセクション(B)には、液晶表示パネル2の画素に対する書込み動作が示される。左眼期間には、信号処理部1から入力される左眼用画像信号に基づいて書込み動作が実行される。また、右眼期間には、信号処理部1から入力される右眼用画像信号に基づいて書込み動作が実行される。図10のセクション(C)には、バックライト部3のオンオフ動作が示される。バックライト部3は、書込み動作の完了後、かつ、次の期間の書込み動作が開始されるまでの期間においてオンにされる。図10のセクション(D)、(E)は、定電流源と並列に接続されたLEDストリングS11,S12が交互にオンにされる場合に流れる電流を示し、セクション(D)は、LEDストリングS11に流れる電流を示し、セクション(E)は、LEDストリングS12に流れる電流を示す。図10のセクション(F)は、LEDストリングS11,S12が定電流源と並列に接続され、同時にオンされる場合に、LEDストリングS11,S12に流れる電流を示す。
【0069】
なお、LEDストリングS11,S12は、図6に示されるように配列されている。すなわち、LEDストリングS11は、液晶表示パネル2の上端部に配列され、LEDストリングS12は、液晶表示パネル2の下端部に配列されている。
【0070】
LEDストリングS11,S12が定電流源と並列に接続され、同時に点灯される場合において、例えば定電流源の定格電流が120mAの場合には、図10のセクション(F)に示されるように、LEDストリングS11,S12に電流60mAが流れる。このとき、左眼用又は右眼用のバックライトのデューティは1フレーム周期に対して25%になっている。また、ピーク電流Ip-p=60mAである。したがって、実効電流=60mA×√(0.25)=30mArmsとなる。
【0071】
これに対して、図9に示されるように、LEDストリングS11,S12が並列接続されており、かつ、LEDストリングS11,S12を個別に点灯させる場合は、デューティ25%/2の期間で、120mAの電流がLEDストリングS11、S12のそれぞれに供給される。そのため、実効電流=120mA×√(0.25/2)=42.4mArmsとなる。したがって、LEDストリングS11,S12の光量を増大することができ、その結果、バックライト部3の輝度を増大することができる。
【0072】
なお、バックライト部3の回路構成は、上記図2、図5、図9に示された例に限られない。以下、図11〜図16を用いて、バックライト部3のさらに別の回路構成例について説明する。
【0073】
図11は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図11に示されるバックライト部3は、1個の定電流源321を備え、2個のLEDストリングS11,S12を備える。なお、図11に示される回路構成では、1個の定電流源321に対して2個のLEDストリングS11,S12が並列接続されているが、並列接続されるLEDストリングは2個に限られず、3個以上でもよい。また、図11に示される回路構成では、1個の定電流源321を備えているが、1個に限られず、2個以上でもよい。これらの点は、後述する図12〜図16でも同様である。
【0074】
図11に示される回路構成では、電流調整部33は、差動増幅回路331,332、基準電圧生成回路335、可変抵抗R31,R32により構成される。
【0075】
図11の回路構成例では、LEDストリングS11と定電流源321との間に直列に可変抵抗R31が接続され、LEDストリングS12と定電流源322との間に直列に可変抵抗R32が接続されている。差動増幅回路331は、可変抵抗R31の検出電圧Vr31と基準電圧Vrefとに応じて、可変抵抗R31の抵抗値を制御する。差動増幅回路332は、可変抵抗R32の検出電圧Vr32と基準電圧Vrefとに応じて、可変抵抗R32の抵抗値を制御する。
【0076】
図11に示される回路構成でも、LEDストリングS11,S12に流れる各電流を等しくすることができる。なお、可変抵抗R31,R32は、例えば電界効果トランジスタにより構成することができる。すなわち、電界効果トランジスタのゲート電圧を高くすることにより、電界効果トランジスタのオン抵抗を低くすることができ、逆にゲート電圧を低くすることにより、オン抵抗を高くすることができる。
【0077】
図12は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図12に示される回路構成では、電流調整部33は、電界効果トランジスタ33A,33B及び電流検出抵抗R11,R12により構成される。電界効果トランジスタ33Aのゲートは、抵抗R12と電界効果トランジスタ33Bとの接続点に接続され、電界効果トランジスタ33Bのゲートは、抵抗R11と電界効果トランジスタ33Aとの接続点に接続されている。
【0078】
図12に示される回路構成では。互いに他のLEDストリングに流れる電流を参照している。LEDストリングS12に流れる電流が増大すると、電流検出抵抗R12の検出電圧Vr12が高くなるため、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が高くなる。したがって、電界効果トランジスタ33Aに流れる電流、つまりLEDストリングS11に流れる電流を増大することができる。逆に、LEDストリングS12に流れる電流が減少すると、電流検出抵抗R12の検出電圧Vr12が低くなるため、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が低くなる。したがって、電界効果トランジスタ33Aに流れる電流、つまりLEDストリングS11に流れる電流を低減することができる。
【0079】
同様に、LEDストリングS11に流れる電流が増大すると、電流検出抵抗R11の検出電圧Vr11が高くなるため、電界効果トランジスタ33Bのゲート電圧が高くなる。したがって、電界効果トランジスタ33Bに流れる電流、つまりLEDストリングS12に流れる電流を増大することができる。逆に、LEDストリングS11に流れる電流が減少すると、電流検出抵抗R11の検出電圧Vr11が低くなるため、電界効果トランジスタ33Bのゲート電圧が低くなる。したがって、電界効果トランジスタ33Bに流れる電流、つまりLEDストリングS12に流れる電流を低減することができる。その結果、図12に示される回路構成でも、LEDストリングS11,S12に流れる各電流を等しくすることができる。
【0080】
図13は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図13の回路構成例では、図12の回路構成に増幅回路33E,33Fを付加している。すなわち、電界効果トランジスタ33Aのゲートは、増幅回路33Eを介して、抵抗R12と電界効果トランジスタ33Bとの接続点に接続されている。また、電界効果トランジスタ33Bのゲートは、増幅回路33Fを介して、抵抗R11と電界効果トランジスタ33Aとの接続点に接続されている。図13に示される回路構成では、電流調整部33は、増幅回路33E,33F、電界効果トランジスタ33A,33B及び電流検出抵抗R11,R12により構成される。
【0081】
増幅回路33Eは、抵抗R12の検出電圧Vr12を増幅した電圧を電界効果トランジスタ33Aのゲートに印加する。増幅回路33Fは、抵抗R11の検出電圧Vr11を増幅した電圧を電界効果トランジスタ33Bのゲートに印加する。図13に示される回路構成でも、図12に示される回路構成と同様に動作するため、LEDストリングS11,S12に流れる各電流を等しくすることができる。
【0082】
図14は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図14の回路構成例では、差動増幅回路及び基準電圧生成回路を備えておらず、電界効果トランジスタ及び電流検出抵抗に代えて可変抵抗が接続されている。すなわち、LEDストリングS11と定電流源321との間に直列に可変抵抗R31が接続され、LEDストリングS12と定電流源322との間に直列に可変抵抗R32が接続されている。図14に示される回路構成では、電流調整部33は、可変抵抗R31,R32により構成される。
【0083】
図14に示される回路構成では。互いに他のLEDストリングに流れる電流を参照している。可変抵抗R31,R32の抵抗値は、それぞれ、可変抵抗R32,R31の検出電圧Vr32,Vr31によって制御される。すなわち、検出電圧Vr32が高くなると、可変抵抗R31の抵抗値は低減され、検出電圧Vr32が低くなると、可変抵抗R31の抵抗値は増大される。また、検出電圧Vr31が高くなると、可変抵抗R32の抵抗値は低減され、検出電圧Vr31が低くなると、可変抵抗R32の抵抗値は増大される。したがって、図14に示される回路構成でも、可変抵抗R31,R32の抵抗値は、図11に示される可変抵抗R31,R32の抵抗値と同様に制御されるため、LEDストリングS11,S12に流れる各電流を等しくすることができる。
【0084】
図15は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図15の回路構成例では、図14の回路構成に増幅回路33E,33Fを付加している。すなわち、可変抵抗R31の抵抗値は、可変抵抗R32の検出電圧Vr32が増幅回路33Fにより増幅された電圧によって制御される。また、可変抵抗R32の抵抗値は、可変抵抗R31の検出電圧Vr31が増幅回路33Eにより増幅された電圧によって制御される。図15に示される回路構成では、電流調整部33は、増幅回路33E,33F及び可変抵抗R31,R32により構成される。図15に示される回路構成は、増幅回路33E,33Fを備えた点以外は、図14と全く同様になっている。したがって、図15に示される回路構成でも、図14に示される回路構成と同様に、LEDストリングS11,S12に流れる各電流を等しくすることができる。
【0085】
図16は、本実施形態におけるバックライト部3のさらに別の回路構成例を示す回路ブロック図である。図16に示される回路構成では、差動増幅回路に代えて、電圧−PWM変換回路338,339を備えており、その他の構成は、図9に示される構成と同様である。
【0086】
図16に示される回路構成では、電流調整部33は、電圧−PWM変換回路338,339、基準電圧生成回路335、電界効果トランジスタ33A,33B及び電流検出抵抗R11,R12により構成される。また、発光制御部34は、スイッチ制御部341及びトランジスタQ341,Q342により構成される。
【0087】
電圧−PWM変換回路338は、電流検出抵抗R11の検出電圧Vr11と、基準電圧Vrefとが等しくなるように、電界効果トランジスタ33AのゲートにPWM信号を出力する。すなわち、Vr11>Vrefの場合には、電圧−PWM変換回路338は、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が低下するようなPWM信号を出力する。一方、Vr11<Vrefの場合には、電圧−PWM変換回路338は、電界効果トランジスタ33Aのゲート電圧が増大するようなPWM信号を出力する。電圧−PWM変換回路339も、電圧−PWM変換回路338と同様に動作する。したがって、電圧−PWM変換回路338,339によって、各電流検出抵抗R11,R12の検出電圧Vr11,Vr12が、
Vref=Vr11=Vr12
となるように、電界効果トランジスタ33A,33Bが制御される。その結果、LEDストリングS11,S12に流れる電流が互いに等しくなる。したがって、図16に示される回路構成でも、各発光ダイオードL11等の光量にバラツキが生じるのを防止することができる。
【0088】
なお、上記実施形態では、LEDストリングS11等を構成する発光ダイオードの個数を、例えばM=10としているが、Mは2以上でもよい。さらにM=1としてもよい。M=1の場合でも、例えばLEDストリングS11を構成する1個の発光ダイオードの光量と、LEDストリングS12を構成する1個の発光ダイオードの光量とに、バラツキが生じるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
映像を表示する表示パネルと、複数の発光ダイオードを含み、表示パネルを背面から照明するバックライト部とを備えた表示装置において、個々の発光ダイオード素子の個体差から生じる輝度のバラツキを低減可能な表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0090】
2 液晶表示パネル
3 バックライト部
31 DC−DCコンバータ(電源部)
32 駆動部
33 電流調整部
34 発光制御部
321,322 定電流源
331〜334 差動増幅回路
335 基準電圧生成回路
338,339 電圧−PWM変換回路
33A〜33D 電界効果トランジスタ
33E,33F 増幅回路
341 スイッチ制御部
L11〜L1M,L21〜L2M,L31〜L3M,L41〜L4M 発光ダイオード
Q341〜Q344 トランジスタ
R11,R12,R21,R22 電流検出抵抗
R31,R32 可変抵抗
S11,S12,S21,S22 LEDストリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルを背面から照明するバックライト部と、
を備え、
前記バックライト部は、
それぞれM(Mは1以上の整数)個の発光ダイオードが直列接続された発光ダイオードストリングが、N(Nは2以上の整数)個互いに並列接続された発光ダイオードストリング群と、
前記発光ダイオードストリング群に直列接続され、直流電圧を生成する電源部と、
前記発光ダイオードストリング群及び前記電源部に直列接続され、前記発光ダイオードストリング群に電流を供給する駆動部と、
前記発光ダイオードストリングに流れる前記各電流を調整する電流調整部と、
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記電流調整部は、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記発光ダイオードストリングに直列接続された抵抗素子及び電流調整素子と、
前記基準電圧生成回路により生成された前記基準電圧と前記抵抗素子により検出された検出電圧とに基づいて、前記電流調整素子を制御する制御回路と、
を含むことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記電流調整素子は、前記発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成され、
前記制御回路は、前記基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記トランジスタを制御する電圧を生成する増幅回路を含むことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記増幅回路は、差動増幅回路であることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記電流調整素子は、前記発光ダイオードストリングに直列接続されたトランジスタで構成され、
前記制御回路は、前記基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記トランジスタを制御するPWM信号を出力するPWM回路を含むことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記トランジスタは、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記N個の発光ダイオードストリングのうち、同時に前記駆動部から前記電流を供給する前記発光ダイオードストリングを1個またはK個(Kは2以上N未満の整数)とする制御を行う発光制御部をさらに備え、
前記電流調整部は、前記発光制御部による制御に応じて前記N個の発光ダイオードストリングに流れる前記電流を調整することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光制御部は、前記N個の発光ダイオードストリングに対し1個ずつ順番に前記駆動部から前記電流を供給する制御を行い、
前記電流調整部は、前記発光制御部により前記N個の発光ダイオードストリングに1個ずつ順番に流れる前記電流を調整することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光制御部は、前記1個またはK個の前記発光ダイオードストリングに対し所定期間ごとに前記駆動部から前記電流を供給する制御を行い、
前記電流調整部は、前記発光制御部により所定期間ごとに前記1個またはK個の発光ダイオードストリングに流れる前記電流を調整することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記N個の発光ダイオードストリングは、それぞれ前記表示パネルの異なる領域を照明し、
前記N個の発光ダイオードストリングは、相互に隣接する前記領域を照明する第1発光ダイオードストリングと第2発光ダイオードストリングとを含み、
前記発光制御部は、第1期間には前記第1発光ダイオードストリングのみに前記駆動部から電流を供給し、前記第1期間に続く第2期間には前記第1発光ダイオードストリング及び前記第2発光ダイオードストリングに前記駆動部から電流を供給し、前記第2期間に続く第3期間には前記第2発光ダイオードストリングのみに前記駆動部から電流を供給するように制御することを特徴とする請求項9記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−47735(P2013−47735A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186048(P2011−186048)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】