説明

表示装置

【課題】パブリックモードとプライベートモードの機能を持ち、パブリックモードでは実質的に表示性能(明るさ、コントラスト、解像度等)が変わらず、プライベートモードでは軸上での画質低下を最小限に抑えて高いプライバシー保護効果を発揮する高画質LCDディスプレイを提供する。
【解決手段】表示装置は、各画像要素の画像データ値7と二次データ値8とに基づいて、各画像要素に対してパネル2に印加する信号電圧を決定し、画像データ値と信号電圧との所定のマッピングを有する表示制御装置1をさらに含む。二次データ値8は、マッピングの結果、輝度差が生じるように画像全体に渡ってそれぞれの値が異なるように構成される。液晶表示パネル2は、さらに非線形の軸外輝度/軸上輝度の関係を有するため、軸外に生じる輝度差のうちの少なくとも一部は、軸外の観察者4に対する空間的平均化によって局在的に平衡しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パブリック表示モードとプライベート表示モードとの間で切り替え可能な、アクティブマトリクス型液晶表示装置などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
はじめに、パブリック表示モードとプライベート表示モードとの間で切り替え可能な表示装置のパブリックモードにおいて、前記表示装置は通常標準的なディスプレイとして動作する。前記表示装置は、すべての観察者に対して明るさ、画像コントラスト、および解像度を最適にした状態で、可能な限り広い視野角範囲で単一の画像を表示する。他方のモードであるプライベートモードにおいて、表示面に対する法線を通常中心とする制限された視野角範囲内からのみ主画像が識別可能となる。この制限された視野角範囲の外側からディスプレイを見る観察者は、主画像を見えにくくする副画像であるマスキング画像、または内容が分からないように画質を劣化させた主画像のどちらかを知覚することになる。
【0003】
この概念は、プライバシー保護が望まれる特定の公共の場所で使用され、通常の広視野角ディスプレイのプライバシー保護機能を選択することでユーザーにとって有益となり得る多くの装置に適用することができる。そのような装置の例として、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デスクトップモニター、現金自動預入支払機(ATM)、および電子販売時点情報管理(EPOS)装置等が挙げられる。また、そのような装置は、例えば、自動車の走行中に自動車のテレビスクリーンに表示される特定の画像を特定の観察者(例えば、運転手や重機を操作する人)が一定時間見ると注意散漫となり、危険となるような状況において有益となりえる。
【0004】
もともと広視野角範囲を持つディスプレイに光を制御する装置を追加する方法として、いくつかの方法がある。
【0005】
そのような光の方向を制御する構造の1つが「ルーバー」フィルムである。前記フィルムは、透明な層と不透明な層とが交互に配置されてなり、構造的にベネチアンブラインドに似ている。ベネチアンブラインドと同じく、ルーバーフィルムは、光が層の表面とほぼ平行に進む場合は光を透過させるが、層の表面に大きい角度で入射する場合は吸収する。これらの透明層および不透明層は、フィルムの表面に直交してもよいし、フィルムの表面に対し、ある角度をなしていてもよい。このようなフィルムの製造方法については、USRE27,617(F.O.Olsen,3M 1973)、米国特許第4,766,023号(S.-L.Lu,3M 1988)および米国特許第4,764,410号(R.F.Grzywinski,3M 1988)に記載されている。
【0006】
ルーバーフィルムに似た特性をもつフィルムの生成方法は他にもあり、例えば、米国特許第5,147,716号(P.A.Bellus,3M 1992)および米国特許第5,528,319号(R.R.Austin,Photran社,1996)に記載されている。
【0007】
ルーバーフィルムは、表示パネルの前に配置されてもよいし、透過性ディスプレイとそのバックライトとの間に配置されてもよい。これにより、ディスプレイを見ることができる角度の範囲が制限される。つまり、ルーバーフィルムによって、ディスプレイが「プライベート」表示となる。
【0008】
そのようなフィルムにとって、パブリック表示モードとプライベート表示モードとでディスプレイを切り替えるために機械的な操作(つまり、フィルムの取り外し作業)が必要であることが主な制約となっている。
【0009】
可動部品を使用せず、パブリックモードからプライベートモードに切り替える方法として、光制御フィルムを表示パネルの背部に実装し、光制御フィルムとパネルの間に電子的に切り替え可能な拡散板を配置する方法がある。拡散板がオフ状態の時、光制御フィルムは視野角の範囲を制限し、ディスプレイはプライベートモードとなる。拡散板がオン状態のとき、光は広い角度にわたって進み、パネルを透過し、ディスプレイはパブリックモードとなる。光制御フィルムをパネルの前面に実装し、切り替え可能な拡散板を光制御フィルムの前面に配置しても、同様の効果が得られる。
【0010】
切り替え可能なこの種のプライバシー保護装置(privacy device)は、米国特許第5,831,698号(S.W.Depp,IBM 1998)、米国特許第6,211,930号(W.Sautter,NCR 2001)および米国特許第5,877,829号(M.Okamoto,シャープ株式会社 2001)に記載されている。これらの装置に共通にみられる欠点として、表示がパブリックモードまたはプライベートモードのいずれであるに関わらず、光制御フィルムが入射する光の大部分を吸収してしまうことがある。それゆえ、この表示では光の利用効率が悪い。パブリックモード時には、光は拡散板によって広い角度にわたって拡散されるため、バックライトを補正して輝度を上げない限り、プライベートモード時よりもパブリックモード時の方が暗い表示となる。
【0011】
この種の装置には、消費電力に関わる欠点もある。パブリックモードでの動作中、拡散板はオフ状態である。これは、切り替え可能な高分子分散型液晶拡散板に電圧が印加されることを意味していることが多い。したがって、プライベートモード時よりもパブリックモード時の方が、電力消費が多くなる。このことは、ほとんどの時間をパブリックモードで使用するディスプレイにとっては欠点となる。
【0012】
英国特許出願公開第2413394号(シャープ株式会社)では、表示パネルに1以上の液晶層および偏光子を新たに追加することで、切り替え可能なプライバシー保護装置が構成されている。これらの新たに追加した要素の固有の視野角依存性は、周知の方法で液晶を電気的に切り替えることで変更することができる。この技術を利用する装置として、シャープ株式会社製の携帯電話Sh851iおよびSh902i等が挙げられる。
【0013】
国際公開第2006/132384号(シャープ株式会社、2005)では、液晶表示(LCD)パネルの既存の偏光子間に液晶層を新たに配置している。この配置において、新たに追加したスイッチセルは軸外の光の階調曲線を修正する。これにより、英国特許出願公開第2413394号に開示された技術よりもプライバシー保護効果の高い画像を実現できる。
【0014】
英国特許出願公開第2439961号(シャープ株式会社)では、表示パネルにコレステリック層および円形の偏光子を新たに加えることで構成された切り替え可能なプライバシー保護装置を使用することが開示されている。前記コレステリック層は、パブリックモード(広視野範囲)と360度の方位角のプライバシー保護を実現するプライバシーモード(狭視野範囲)との間で切り替えることができる。
【0015】
上記の方法にはすべて、視野角範囲を電気的に切り替える機能を実現するために、ディスプレイに対して新たな装置を追加する必要があるという短所がある。これにより、コストがかかり、特にディスプレイに厚みがでてしまい、特に携帯電話やラップトップコンピュータ等の携帯ディスプレイでの利用には全く望ましくない。
【0016】
米国特許出願公開第2007/0040780号および英国特許出願第721255.8号には、ディスプレイの単一の液晶層を、軸上の観察者に対して高画質の画像を表示可能な2つの異なる構成間で切り替えることで、LCDの視野角特性を制御する方法が記載されている。これらの装置では、ディスプレイの厚みが増す必要がなく、切り替え可能なプライバシー保護機能を実現するが、画素電極の設計が複雑になり、標準ディスプレイに対する製造の改善が必要である。
【0017】
複雑なディスプレイハードウェアを追加しなくてもよいプライバシー保護モード機能を備えた表示装置の一例として、シャープ株式会社製の携帯電話Sh702iSがある。この携帯電話は、ディスプレイで使用される液晶モードに固有の角度データ輝度特性に関連して、その携帯電話のLCDに表示される画像データを操作することで、中心位置以外の場所からディスプレイを観察する観察者には不明瞭な情報を表示するプライベートモードに設定する。しかしながら、プライベートモードにおいて正当な軸上の観察者に対して表示される画像の画質は極度に劣化している。
【0018】
Sh702iSの携帯電話で使用される方式と似ているが、第2のマスキング画像に依存する方法で画像データを操作して、修正後の画像を表示する時に、軸外の観察者に知覚されるマスキング画像を表示する方式が、英国特許出願公開第2428152号に記載されている。しかしながら、英国特許出願公開第2428152号に記載されている画像処理方法は、軸外の視野方向に対して極めて非線形のデータ値/輝度曲線に依存しており、「アドバンスト・スーパー・ビュー」(ASV)(IDW’02 Digest,pp 203-206)または高分子安定化配向型(PSA)(SID’04要約,pp 1200-1203)等の最近のLC表示モード向けではない。その結果、ある状況下においてこれらのディスプレイでは十分に高いプライバシー保護効果が得られず、主画像を隠すことができない。
【0019】
したがって、標準ディスプレイのLC層または画素電極の形態を変更する必要のない、パブリックモードとプライベートモードの機能を持ち、パブリックモードでは実質的に表示性能(明るさ、コントラスト、解像度等)が変わらず、プライベートモードでは軸上での画質低下を最小限に抑えて高いプライバシー保護効果を発揮する高画質LCDディスプレイを実現することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される画像を空間光変調によって表示するための液晶表示パネルを含む表示装置であって、前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素について上記液晶表示パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値および前記二次データ値と前記信号電圧との間で所定のマッピングが行われる表示制御部をさらに含み、1つ以上の前記画像要素から構成される画像要素のグループであって、一様な画像データ値を有する画像要素のグループを少なくとも含むグループにおいて、前記二次データ値により、前記グループ内の各画像要素で生じる輝度の差と、前記グループ内の画像要素で生じる輝度の空間的なパターンを決定することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】標準的なLCD表示パネルおよび関連する制御用電子回路の一例を示す概略図である。
【図2】標準的なLCD制御装置のデータ値/出力電圧のマッピング(ルックアップテーブル)の例を示す図である。
【図3】パブリックモードで動作している本発明の実施形態にかかるディスプレイの概略図である。
【図4】好適な実施形態にかかる装置の動作に必要な拡張ルックアップテーブルの例を示す図である。
【図5】プライベートモードで動作している本発明の実施形態にかかるディスプレイの概略図である。
【図6】好適な実施形態に係る制御用電子回路の一部の、電子回路における実現方法を示す概略図である。
【図7】好適な実施形態に係る制御用電子回路の一部の、電子回路における別の実現方法を示す概略図である。
【図8】軸上データ値/輝度応答性および従来装置の動作方法を示すグラフである。
【図9】軸外データ値/輝度応答性および従来装置の動作方法を示すグラフである。
【図10】アドバンスト・スーパー・V(ASV)液晶モードのLCDディスプレイの軸上データ値/輝度応答性および軸外データ値/輝度応答性の測定結果を示すグラフである。
【図11】データ値すべてに対する軸上輝度の関数として軸外輝度および軸上輝度を表すように調節した、図10に示すデータのグラフである。
【図12】本発明の実施形態の変換関係にかかる入力画像データ値の関数として、出力等価輝度値を示すグラフである。
【図13】本発明の別の実施形態の変換関係にかかる入力画像データ値の関数として、出力等価輝度値を示すグラフである。
【図14】本発明のさらに別の実施形態の変換関係にかかる入力画像データ値の関数として、出力等価輝度値を示すグラフである。
【図15A】2つの表示画素の平均値の時間的変化をもたらすその平均値への切り替え時に生じるLC応答時間の差異を示すグラフである。
【図15B】図15Aのグラフに対応し、副画像データ用に1を超えるビット深度を使用した結果を示すグラフである。
【図16】本発明の実施形態にかかる、局在的なグループ内で同一の平均値を維持する等価な画素輝度値変換の空間パターニングの変化を示す概略図である。
【図17】本発明の実施形態にかかる、2つの入力画像に依存する画像を表示する方法の処理フローを示す図である。
【図18】本発明の実施形態にかかる、使用される動作画素電圧の正常範囲を拡張することで得られる、LCDの軸外/軸上輝度曲線カーブの非線形性の増加を示すグラフである。
【図19】本発明のまたさらに別の実施形態の変換関係にかかる入力画像データ値の関数として出力等価輝度値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適な実施形態において、ディスプレイは改良された制御用電子回路を備えた標準的なLCDディスプレイから成る。一般的に、LCDディスプレイは、次に挙げるいくつかの構成部材から成る。
【0023】
1.均一かつ広い角度でパネルを照射するバックライトユニット。
【0024】
2.デジタル画像データを受信し、各画素のアナログ信号電圧と、タイミングパルスと、全画素の対向電極の共通電圧とを出力する制御用電子回路。LCD制御用電子回路の標準的な配置図を、図1に示す(Ernst Lueder, Liquid Crystal Displays, Wiley and sons Ltd, 2001)。
【0025】
3.対向する2枚のガラス基板からなり、空間光変調によって画像を表示するためのLCパネルであって、一方のガラス基板には、画素電極配列および前記制御用電子回路から受信した電子信号を前記画素電極に送るアクティブマトリクス配列が配置される。通常、他方のガラス基板には均一な共通電極および色フィルター配列フィルムが配置される。前記2枚のガラス基板の間には、所定の厚さ(通常2〜6μm)の液晶層を含み、前記液晶層は、前記ガラス基板の内側の表面上に配置された配向層によって液晶を配向させてもよい。通常、前記ガラス基板は、交差した偏光フィルムと他の光学補償フィルムとの間に配置され、前記LC層の各画素領域内で配向の変化を電気的に誘導させ、バックライトユニットおよび周囲の周辺装置から所望の光学変調を持つ光を発生させる。これにより、画像が生成される。
【0026】
パブリック表示モードで動作している本発明の実施形態の概略図を図3に示す。一般的に、LCD制御用電子回路(本明細書では、制御用電子回路とも称する)1は、特に前記LCパネル2の電気光学特性によって、ディスプレイ面の法線方向(軸上)から観察している主観察者3が知覚する表示画像の画質(つまり、解像度、コントラスト、明るさ、応答時間等)を最適化するような方法で入力画像データに依存する信号電圧を出力するように構成される。特定の画素に対する入力画像データの値とディスプレイ(ガンマ曲線)に起因する観察時の輝度との関係は、ディスプレイドライバの信号電圧に対するデータ値のマッピングと前記LCパネルの輝度応答性に対する信号電圧とを組み合わせた効果によって決まる。
【0027】
一般的に、前記LCパネル2は、1画素につき複数のLCドメイン、および/または反射型光学補償フィルムを備え、全視野角に対して可能な限り軸上の応答性に近いディスプレイガンマ曲線を保持する。これにより、広い視野角領域に渡ってほぼ同一の高品質の画像を提供する。しかしながら、電気光学応答が角度依存し、軸外のガンマ曲線が必然的に軸上のガンマ曲線と異なることは、液晶ディスプレイの本質的な特性である。これがコントラスト反転、大きな色ずれ、あるいはコントラストの低下を引き起こさない限り、軸外の観察者4が観察する画像に明らかに知覚される欠陥は通常発生しない。
【0028】
本実施形態の装置がパブリックモード中で動作している場合、単一の画像を構成する1つの主画像データ6は、フレーム周期毎に前記制御用電子回路1に入力される。そして、前記制御用電子回路は、1セットの信号データ電圧を前記LCパネル2に出力する。各信号電圧は、前記LCパネルのアクティブマトリクス配列によって対応する画素電極へと送られ、これにより生じた前記LC層内の画素の集合的な電気光学応答により画像が生成される。
【0029】
前記制御用電子回路は、入力画素データの出力画素データ電圧への単一のマッピング(ルックアップテーブル)を有し、その既知の例を、図2に示す。これは、すべての画素の処理に適用される。場合によっては、ディスプレイの赤、緑、青のサブ画素に対して異なるルックアップテーブルが使用されてもよいが、画像内の画素データの空間位置に基づいた入力データの出力電圧へのマッピング、またはディスプレイ内の画素電極には相違がない。そして、軸上の観察者3および軸外の観察者4は略同一の画像を視認し、ディスプレイは広視野モードで動作していると言える。この状況を、図3に示すが、LCDの標準的な動作方法であると言える。
【0030】
一方、図5に概略的に示すように、前記装置がプライベートモードで動作している場合、主画像を構成する主画像データ7および副画像を構成する副画像データ8の、2つの画像データセットが、全フレーム周期において前記制御用電子回路1に入力される。
【0031】
そして、前記制御用電子回路は、1セットの信号データ電圧を出力するが、前述したように、前記LCパネル内の各画素につき1つのデータ電圧を出力する。しかしながら、前記制御用電子回路(表示制御装置)は、ここでは拡張ルックアップテーブル(LUT)を使用する。合成画像を構成する、前記LCパネル内の各画素に対する出力信号データ電圧は、主画像7および副画像8の両方において、対応する画素(画像中の空間位置)のデータ値に依存している。また、各画素の出力データ電圧は、ディスプレイ内の画素の空間位置によって決まる第3のパラメータに依存してもよい。そのような拡張LUTの一例を図4に示す。
【0032】
このように、標準的なLCD制御用電子回路は、1フレーム周期につき1つの画像ではなく、2つの画像を受信してバッファーに格納し、可能であれば第3の空間依存パラメータを考慮しながら、2つの入力画像のデータ値を1画素につき1つの出力電圧にマッピングするように改良されている。この場合、入力画像データの出力画素電圧へのマッピングは、ディスプレイ内の画素すべてについて同一ではなく、また、同じ色成分のサブ画素すべてについても同一ではない。
【0033】
前記第3の空間依存パラメータは、画素の空間位置に基づいて、2つ以上のグループのうちどのグループに画素が存在すると考えられるのかを示す「フラグ」値であってもよい。例えば、画像配列における奇数列の画素が1つのグループを形成し、偶数列の画素がもう1つのグループを形成すると言える。前記グループは、画素配列の奇数行と偶数行を構成することができ、あるいは格子柄模様の2つの部分を構成することもできる。
【0034】
そして、前記制御用電子回路1の出力電圧により、主観察者3が観察した時に最小限になる画質低下を伴った主画像となるような合成画像を前記LCパネル2が表示する。しかしながら、前記LCパネルにおいて軸外の観察者4用のガンマ曲線の特性が異なるため、主画像を見えにくくしたり、主画像の画質を低下させたりする副画像を軸外の観察者は最も顕著に視認する。これにより、ディスプレイの法線9を中心とする、限られた円錐状の角度の範囲内にいる観察者への主画像情報が得られる。この状況を図5に示す。
【0035】
主画像7は、複数の画像要素で表され、各画像要素は画像データ値を有すると考えることができる。前記制御用電子回路は、主画像7からの画像データ値だけでなく、前記画像要素に関連する二次データ値にも基づいて、各画像要素毎にパネルに印加される信号電圧を決定するように構成される。前記二次データ値は、上述した第3のパラメータ(空間データ値)の空間的に対応するデータ値と、副画像8(副データ値)の空間的に対応するデータ値とを含む、と考えることができる。
【0036】
前記ルックアップテーブルは、データ値(画像データ値および二次データ値)と信号電圧の所定のマッピングを規定する。前記二次データ値は、軸上/軸外の両方において、マッピングの結果として輝度の変化を導入するよう画像全体に渡って変化するように構成される。
【0037】
前記マッピングのデータ値および前記二次データ値は、前記液晶表示パネルの信号電圧/軸上輝度応答性を利用するように互いに構成されるため、軸上に生じる前記輝度差が軸上の観察者に対する空間的平均化によって局在的に均衡しやすくなり、そのため軸上の観察者は前記軸上の輝度差を知覚しづらくなる。
【0038】
一方、非線形の軸上輝度/軸外輝度の関係を有するパネルを用いると、軸外に生じる輝度差のうちの少なくとも一部は、軸外の観察者に対する空間的平均化によって局在的に平衡しないので、軸外の観察者によって知覚可能となる。
【0039】
前記空間データ値が、二次データ値によって輝度を増加させるか低下させるかどうかについて、少なくとも部分的に制御する一方、前記副データ値が、輝度の増加量または低下量を少なくとも部分的に制御する。前記副データ値は共に、軸外の観察者が視認する見づらい副画像を形成すると考えられる。
【0040】
空間的平均化により単一の輝度を有するように知覚される画像要素のグループに対して、前記二次データ値または前記グループ内のサブグループを構成する画像要素の値によって生じる輝度の増加量が、前記二次データ値または前記グループ内の別のサブグループを構成する画像要素の値によって生じる実質的に等しい輝度の低下量と、実質的に一致するように構成されている(この場合、少なくとも、各サブグループ内の前記画像要素が有するそれぞれの画像データ値は等しい)。
【0041】
例えば、そのようなグループは画像要素のペアを1組だけ含み、画像要素のペアのうち一方の画像要素の二次データ値が、マッピングによって、ある量の輝度の増加を生じるように構成される一方、上記ペアのうちもう一方の画像要素の二次データ値が、マッピングによって、実質的に同じ量の輝度の低下を生じるように構成されている(この場合も、少なくとも、前記ペアの2つの画像要素のそれぞれの画像データ値は等しい)。
【0042】
前記二次データ値(副画像データ値、空間データ値、またはその両方)は画像データ値よりも小さく、少なくとも1つの二次データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられるように構成されてもよい。
【0043】
なお、複数の画素を含み、各画素が複数の色成分を有する前記表示パネルにおいて、本明細書で使用される「画像要素」は、そのような個々の色成分を意味するとして解釈されてもよい。さらに、少なくとも2つの色成分に対して、それらの色成分に関連した表示パネルのそれぞれ異なる特性に基づいて、それぞれ異なる処理が適用されてもよい。
【0044】
前記装置の上述したような動作に必要な拡張ルックアップテーブルのフォーマットを図4に示す。図4からわかるように、主画像の画素データ値、副画像の画素データ値、プライベートモードのオン/オフ、および空間グループ値の組み合わせすべてに対して、出力電圧が供給される。ルックアップテーブルの全体は示さないが、通常主画像が8ビットのデータである場合、256個の値が考えられ、それぞれの値に対して、上記のパラメータの組み合わせは5通りあると考えられる(プライバシーモードがオフである場合、副画像および空間のパラメータ値について参照する必要はない)。比較のため、従来のLUTの一例を図2に示す。なお、本実施形態において、副画像が1ビットのデータであるとは限らず、前記装置は、任意のカラービット深度を有する主画像や副画像に対応可能である。カラービット深度の増加により、単純に必要とされるメモリの容量を増やす必要がある。
【0045】
図4に示す拡張LUTが備える追加機能を表示制御用電子回路においてどのように実現するかを示す回路図の一例を図6に示す。図6は、主画像データ値および二次データ値(副画像データ値および空間データ値)を受信するためのそれぞれの入力部と、入力データ値に基づいて記憶された値を調べるための回路(LUT)と、記憶された値(R電圧、G電圧、B電圧)と、出力値に基づいて決定されている画像要素用の信号電圧(図6では前記信号電圧は前記出力値と等しいが、必ずしもそうである必要はない)とを出力するための出力部とを有するマッピング回路を示す。前記回路は、赤、緑、青のサブ画素を持つ、単一の白画素用の制御用電子回路を示す。なお、図6ではモノクロの副画像データを想定しており、したがって、R、G、Bのサブ画素への入力値は同じであるが、必ずしもそうであるとは限らない。さらに、これらの例の空間パラメータに基づいて画素が、空間パラメータ制御部から各サブ画素のLUTへの出力されることによって、グループに分類されることが図6からわかる。これにより、利点となる空間グループの動的再構成が可能となり、連続する時間フレームにおいて各グループの極性を反転させたり、異なる用途の画像におけるグループの空間的配置を変更させることができる。また、画像中の空間的グループのパターンを固定する必要があれば、単一の空間パラメータの出力のみが必要とされ、グループの選択は、各サブ画素のLUTへの空間パラメータのデータ線の入力部におけるインバーターの有無によって、制御用電子回路においてハード的に実現可能となる。
【0046】
図7は、前記装置の改良された制御用電子回路の別の実現例を示す。図7の構成は、図6に示すより一般的な回路に相当し、前記副画像データ値が0の時、出力電圧への入力データのマッピングがパブリックモードとプライベートモードとで同じであるような特別な場合のために、単純化させた構成となっている。したがって、パブリックモードの画像は、0画素のデータ値をとる一様な副画像を有するプライベートモードの画像と同じであり、プライベートモードのオン/オフの入力を個々に行う必要がない。
【0047】
図6および図7に示す例では、両方とも、画像要素に関する空間的情報から空間データ値を決定するための回路を含む。これらの例において、前記空間的情報は、前記画像要素に関連付けされた水平・垂直の画像座標を含み、それぞれ水平信号Hと垂直信号Vとで表わす。図6および図7に示すDCLK信号とは、タイミング信号のことである。
【0048】
切り替え可能なプライバシー保護機能を備えるために必要とされる、LCDの標準的な表示制御用電子回路の改良点について記載したが、入力データと、所望のプライバシー保護効果を生む前記表示制御用電子回路に記憶された出力電圧との関係について例を示す必要がある(ただし、上述したハードウェアの改良点が、他の入力データと出力電圧との関係を用いる状況でも同様に適用されるものとする。)。
【0049】
前述の英国特許出願公開第2428152号には、プライバシー保護効果を得るために、入力画像の画像データ値を対応する副画像の画素データ値に応じて修正する画像処理装置を使用することが記載されている。英国特許出願公開第2428152号の開示内容には、入力画像データ値と出力画像データ値との関係について次のように記載されている。
【0050】
つまり、主画像はある係数βによって圧縮され、その範囲の中間点のデータ値を中心とする。例えば、主画像が0から255までのデータ値を有する場合、下記の関係によって入力値Min(x,y,c)が出力値Mcmp(x,y,c)へと変換される。
【0051】
【数1】

【0052】
なお、xとyは画像配列中の各画素についての空間座標であり、cは該画素の色成分(R,G,B)である。次に、前記副画像Sin(x,y,c)は、係数(1−β)/2によって圧縮され、つまりは下記の式で表されるような圧縮した副画像が提供される。
【0053】
【数2】

【0054】
そして、2つの画像は、連続する画素について圧縮した主画像のデータ値に圧縮した副画像のデータ値を加算したり、前記副画像のデータ値から前記主画像のデータ値を減算したりすることで合成される。例えば、合成した画像配列における奇数列の画素データ値は出力データ値 C(x=odd,y,c)=Mcmp(x=odd,y,c)+Scmp(x=odd,y,c)を有し、前記画像の偶数列の画素は出力データ値C(x=even,y,c)=Mcmp(x=odd,y,c)−Scmp(x=odd,y,c)を有する。
【0055】
上記ディスプレイのデータ値/輝度応答性が軸上の観察者にとって実質的に線形であれば、画像内の隣接した画素、例えばC(x,y,c)およびC(x+1,y,c)の平均輝度値は、データ値Mcmpを有する前記圧縮した主画像内の同じペアの画素の平均輝度と等しい。観察者が見たときにディスプレイの画素領域によって定められる立体角が十分に小さければ、観察者の目でこの画素平均値が知覚され、軸上の観察者は実質的に圧縮した主画像となる表示画像を視認する。この状態を図8に示す。
【0056】
しかし、軸外の観察者の場合、前記ディスプレイのデータ値/輝度応答性は、前記線形の軸上の応答性とは異なる。この場合、合成画像内の隣接した画素のデータ値は、平均されて前記圧縮した主画像内の対応する画素と同じ平均データ値になるが、観察される輝度は平均しても同じ値にはならない。また、所定の画素ペアの平均輝度は、前記副画像内の対応する画素ペアのデータ値に応じて変わる。前記合成画像内の画素ペアの平均輝度と、前記圧縮した主画像内の画素ペアの平均輝度との差異は、該画素ペアの副画像のデータ値に比例する。これにより、軸外の観察者は、主画像を見えにくくしている副画像を視認することになる。この効果を図9に示す。
【0057】
しかし、高いプライバシー保護効果を生むために、軸外の観察者が視認した副画像のコントラストは可能な限り大きい方がいいということがわかる。これは、副画像が高いデータ値を有する画像領域の場合、合成画像の画素ペアの平均輝度と圧縮した主画像の画素ペアの平均輝度との間で大きな差異があることに依存する。この差異は、主画像の圧縮係数βを大きくすることで最大化され、そのためScmpの値が最大限に大きくなる。大きな係数βにより、主画像が極度に圧縮され、そのため主画像の画質が低下するが、これは望ましくない。したがって、英国特許出願公開第2428152号に記載されるような方法を備えた有効なプライバシーモードでは、過度に主画像の画質を損なわないため、強い非線形の軸外のデータ値/輝度応答性に依存する。
【0058】
ASVモードのLCパネルを備えた携帯電話のディスプレイのデータ値/輝度応答性の測定結果を図10に示す。図10からわかるように、軸上応答性は線形ではない。中間調の値と輝度応答性とが0と1との間の値を持つように正規化されると、前記応答性は輝度Lがある指数γ:L=Dγへのデータ値Dに依存した状態で指数法則に近づく。図10のディスプレイの場合、γ≒2.4である。この場合、圧縮した主画像の隣接した画素に等しいデータ値を加算したり、該画素からその等しいデータ値を減算することで、軸上の観察者用の画像であっても、圧縮した主画像の同じ画素の平均輝度と等しい平均輝度が算出されることはない。したがって、画質の低下した画像が観察される。軸上の観察者に対して画質を保持するために、等しいデータ値ではなく、等しい輝度値を加算したり、減算する必要がある。
【0059】
軸上輝度と軸外輝度とを図11に示すように軸上輝度の関数としてプロットする(直線で表す軸上輝度に対してプロットする)と、従来どおり軸外輝度対軸上輝度の屈曲の程度によって、プライバシー保護効果の高さが決まることがわかる。図11からわかるように、ASVディスプレイにおいて、この屈曲は、特に明るさが50%を超えると大きくならない。したがって、英国特許出願公開第2428152号に記載されるように、加算・減算を交互に行う前では、主画像と副画像の直接的な圧縮によって満足できるプライバシー保護効果は生まれない。この問題が悪化するのは、主画像の大部分が白く、それにより主画像が軸外輝度/軸上輝度曲線の線形の高輝度領域において圧縮した値を有する場合である。
【0060】
したがって、図10に実線で示す非線形の軸上のデータ値/輝度曲線と、図11に破線で示す弱い非線形の軸外のデータ値/輝度応答性曲線とを持つLCDディスプレイのプライバシー保護効果を最大限にするために、入力画像の画素データとLCパネルに表示されるような出力画像の画素の輝度との関係を決定する改善方法について、以下に詳細を示す。
【0061】
好ましい実施形態では、主画像と副画像の両方ともが、それらの画素データ値を表示パネルの特性に依存して同等の輝度値に変換する。例えば、特性がディスプレイのガンマである場合、主画像に対する変換、および副画像に対する変換は、それぞれ、MLum(x,y,c)=Min(x,y,c)γと、SLum(x,y,c)=Sin(x,y,c)γとで表すことができる。
【0062】
第2の工程において、主画像のコントラスト、または明るさを保持できるように、主画像のこれらの輝度値は、変換され、好ましくは非対称的に変換される。例えば、好ましい実施形態における主画像の輝度値は、係数βによって圧縮され、オフセット係数δによって高くなる。つまり、Mcmp(x,y,c)=β・MLum(x,y,c)+δとなる。そして、副画像の各画素の輝度値は、圧縮した主画像の対応する画素の輝度値と、その範囲の端の値(0または1のうち、どちらか近いほう))との差に等しい係数で変更することで変換される。この差は、任意の輝度値で、その輝度値とその範囲の中心値との差の実効値から得ることができる。したがって、副画像の輝度値は、次の式で表すように変更される。
【0063】
【数3】

【0064】
副データ値に対して変換された同等の輝度値に、0を超える最小値が指定されてもよい。
【0065】
上記の式において、
【0066】
【数4】

【0067】
は、Mcmp(x,y,c)から0.5を引いた絶対量、
【0068】
【数5】

【0069】
と同等である。
【0070】
Lum(x,y,c)を1に設定すると仮定すると、Mcmp(x,y,c)>0.5の時、Mcmp(x,y,c)±Scmp(x,y,c)の2つの値は、1と2Mcmp(x,y,c)−1となり、Mcmp(x,y,c)<0.5の時、Mcmp(x,y,c)±Scmp(x,y,c)の2つの値は、Mcmp(x,y,c)と0となる。したがって、この方法では、少なくともSLum(x,y,c)が1に設定されると、Scmp(x,y,c)の加算および減算によって最大値または最小値(1または0)のどちらかが常に求められることは明白である。
【0071】
第3の工程において、この工程ではサブ画素レベルでパターン化した輝度の加算/減算を行って、圧縮した主画像と副画像が合成される(空間データ値に依存して、加算をとるか減算をとるかの選択が行われる)。色サブ画素は、ペア毎にグループ化され、各ペアは、圧縮した主画像の輝度と圧縮した副画像の輝度の合計と等しい出力輝度を持つ画素と、圧縮した主画像の輝度から圧縮した副画像の輝度を引いたものと等しい出力輝度を持つ画素とで構成される。
【0072】
軸外と軸上の関係が、第2のセクションよりも第1のセクションの方がより非線形である場合、二次データ値によって導入される輝度の変化量は、画像データ値の同等の輝度値が第1のセクションにある場合よりも、該同等の輝度値が第2のセクションにある場合の方が、大きい。
【0073】
各白画素の中に3つの色サブ画素がある場合、出力画像の全体の色のバランスを保持するために、出力画像に輝度が加算される色サブ画素と、減算される色サブ画素とが、交互に配置される。これは、x方向とy方向の両方に対して行われる。これにより、軸上の観察者が視認した時に、最適な画質を持った出力画像が得られることがわかる。したがって、この方法におけるパターンの組み合わせにおける繰り返し単位は、2×2ブロックの白画素であり、色サブ画素は以下に示す輝度を持つ。
【0074】
【数6】

【0075】
【数7】

【0076】
【数8】

【0077】
【数9】

【0078】
合成画像における同等の画像データのレベルは、ガンマ演算の逆関数 Cdata(x,y,c)=C(x,y,c)1/γを適用して求められる。そして、表示制御用電子回路の拡張LUTにおける出力電圧は、パブリックモードのLUTの項目から同等のデータレベルに対応する電圧と等しくなる。
【0079】
この処理により、画像における各画素について、Scmpの最大可能値が、その画素のMcmpの輝度値に応じて生成される。実際、出力画像内の各ペアにおける一方の画素は、圧縮した主画像のその値がどちらに近くても、最大輝度または最小輝度に設定され、また、他方の画素の輝度は正確に補正するために変更される。その結果、それらの平均値は、ここでも、圧縮した主画像の同じ画素ペアの平均輝度と同じままである。
【0080】
任意の画素が有する任意の色成分用のScmpの値は、同じ画素のMcmpの値に依存するため、隣接する画素の色成分には、まったく同じ輝度が加算・減算されるだけで、したがって、ペアの色成分が両方ともMcmpにおいて同じ値を持てば、Mcmpのそれらの平均値と等しい出力画像の平均値となる。これにより、理論上では、合成画像が表示されると軸上の観察者に対する主画像の画質が劣化することになるが、実際には、一般的な画像を使用する場合、画素値は画素によってもそれほど変わらないので問題にはならないことがわかる。
【0081】
cmpの値が画素によって異なることで隣接する画素のScmpの値が一致せず、それが顕著な問題となった場合、制約を課してもよい。これにより、隣接する画素の各ペアについて、Scmpの値が計算され、もし一致しない場合、2つの値のうち小さい値が選択され、合成画像の生成において両方の画素に適用される。この選択処理によって、図5および図6に示す制御用電子回路のロジック処理において別途手順が必要となるが、合成画像を作成する際にグループ内の画素に輝度の等価値を加算したり、減算したりすることが確実となり、それによって、最適な軸上の画質が保持される。
【0082】
上記の処理で使用するβおよびδの最適値を決定する際に、軸外のプライバシー保護の度合いを最大限にし、軸上の画質を保持することが望ましい。上述したように、βの値はこれらの2つの性能メトリックの簡単な折衷度合いを示す。また、δの値は圧縮した主画像のコントラストと明るさの間の折衷を示す。δの値が小さいと、Mcmpの黒レベルを改善させた状態で保持され、画像のコントラストも改善される。しかし、δの値が大きいと、Mcmpの画像は全体的に明るくなる。
【0083】
したがって、βとδの値は、前記LCパネルの軸外/軸上輝度曲線に合わせて調整することができ、これにより、Mcmpにおいて画素輝度が軸外/軸上輝度曲線最小の非線形の領域にある場合に、Scmpが画像領域に対する最大の値を有することが確実となる。これにより、Mcmpの画素輝度の値すべてに対して高いプライバシー保護効果が確実に得られる。また、前記処理パラメータについても、特定のタイプの画像に対するプライバシーの最適化に合わせて調整することができる。明るい画像、例えば白い背景上の文字に対して高いプライバシー保護効果が必要な場合、入力主画像の白領域が、Scmpの最大値であり最も高いプライバシー保護効果を生む輝度値である、Mcmpの50%の輝度値に変換されるようにβとδの値が選択される。
【0084】
図11に示すような軸上/軸外輝度曲線を持つLCD表示装置の場合、処理パラメータがβ=0.45およびδ=0.05の時に、ディスプレイを見た時に、広範囲の入力主画像データレベルにおいて強いプライバシーを発揮する出力画像、特に白くて高い軸上画質の出力画像が得られることがわかる。これらのパラメータにより、0.05と0.5の間に輝度値を有するように圧縮した入力主画像が得られる。オフセットパラメータδが小さいと、軸上画像のコントラストが保持され、また、ディスプレイの軸外/軸上輝度曲線が最も非線形となる領域であって、最小輝度(つまり、0.05)を有するMcmp領域に対してScmpの値が0.05に制限されるが、プライバシー保護効果は増幅される。軸外/軸上輝度曲線の極めて非線形の領域上にあるMcmpの画素値に対するScmpの小さな値と、軸外/軸上輝度曲線のより線形の部分のMcmpの値にたいするScmpの大きな値との組み合わせにより、入力された主画像の値すべてに対して一貫したプライバシー保護効果が得られる。βとδの正確な値は、該当する用途に応じて明確に決められるものとするが、βが一般的に0.35から0.55までの値をとり、δが0.02から0.08までの値をとってもよい。場合によっては、βが0.42から0.5までの値をとり、δが0.03から0.07までの値をとることが望ましい。しかしながら、上記の範囲外の値が他の用途に使用されることは理解できるであろう。
【0085】
入力された副画像データが1である場合のMcmpとScmpの輝度値を、これらの処理パラメータに対する、入力主画像データ値(ディスプレイガンマ=2.4)の関数として、図12に示す。
【0086】
また、異なる処理パラメータによって、異なる主画像の内容に対して最適なプライバシーが発揮されてもよい。例えば、大部分が白い入力主画像に対して上記のパラメータを使用することで、強いプライバシーが得られる一方、異なるパラメータによって、大部分が暗い入力主画像に対するプライバシー保護効果が改善される。この場合、本明細書に記載された実施形態は、最初に主画像の内容を各フレーム毎に分析して、その画像の最適な処理パラメータを決定し、その内容によって最適化されたパラメータに基づいて本明細書に記載の画像合成方法を行う処理装置と組み合わせてもよい。また、入力主画像の場合に、異なるパラメータを使用してその画像の異なる領域のプライバシー保護効果を最適化させることを画像解析装置が決定してもよい。この場合、前記異なるパラメータは、残りの処理手段の異なる画像領域に適用されてもよい。
【0087】
上記の処理方法により、すべての入力画像データのレベルにおいて、最適な出力電圧値を算出する手段が改善され、第1の実施形態の拡張LUTに挿入された時に所望のプライバシー保護効果が得られる。特にディスプレイの特定の軸外/軸上輝度曲線の効果に合わせて調整して入力画像データすべてに対してプライバシー結果を最適化するための、本明細書に記載する詳細な方法、画像圧縮とオフセットパラメータとの組み合わせ、および主画像に依存する副画像のスケーリングについては、英国特許出願公開第2428152号に教示・示唆されている。
【0088】
上記の処理方法により、特定の光学特性を有するLCD表示装置において、2つの入力画像に基づいてプライバシー保護効果を発揮する手段が改善される。異なる光学特性を有する異なるLCDの場合、最適な効果を得るために上記の方法およびパラメータを変更することが必要となるが、変更後の方法およびパラメータについては、やはり本実施形態において実質的に記載されているとおりであることは明らかである。しかしながら、問題のLCパネルの特定の性能、および最適化された性能に関する主観的な見解に基づいて、この方法に対する数多くの変形例を用いて所望する効果を得ることができる。そのような一連の変形例およびそれらの変形例によって得られる、表示画像を出力するための入力画像データに対する効果について以下に記載する。程度に大小あったとしても、これら付加的な方法のいずれかを上記の処理方法と組み合わせて使用することで、あるいは複数の追加方法を使用することで、所望するプライバシー保護効果を得ることができる。
【0089】
第1の付加的な方法では、本方法で使用されるプライバシー保護効果を持つLCパネルは、ディスプレイの3つの色成分に対してそれぞれ顕著に異なるデータ値/輝度応答性を有する。この場合、R、G、Bの入力データ成分のそれぞれに対して個々のγ値を使用して、入力画像の色成分データの値を等価な輝度値に別々に変換することで、改善された出力表示画像を得ることができる。つまり、
【0090】
【数10】

【0091】
および
【0092】
【数11】

【0093】
となる。
【0094】
中間調の画像または入力画像における異なる色成分に対して等しいデータ値を持つ他の画像領域であっても、McmpとScmpの配列の画素輝度値の範囲は色成分の違いによって異なる。そして、好適な実施形態において記載したように前記LUT値生成方法が、この工程の後に続く。この方法を使用することで、圧縮した主画像の同じ画素グループと出力画像の輝度を同一の平均値に平均化される各輝度グループが、2つの画像間で可能な限り近くなるように保持された色詳細を有することが確実となる。
【0095】
この方法を使用すると、輝度とクロミナンスの両方が保持されているので、同じ入力主画像データを備えた画像領域は、その領域上の副画像入力データの値にかかわらず、軸上の観察者3に対して視覚的に同一の出力表示画像を持つようになる。したがって、入力された副画像データの値を変更しても、軸上の観察者3に対する出力画像の見た目には効果がない。したがって、副画像は効果的に隠れる。
【0096】
この方法は、個別のγ値(指数法則パラメータ)を各色成分に割り当てることに制限されない。使用されるディスプレイの各色成分のデータ値/輝度応答性には、どのような特性があってもよく、各入力データレベルにおいて生じる出力輝度が知られている限り、適切な変換がなされ、軸上の観察者3からは副画像が見えないといったプライバシー保護効果を得ることができる。また、隣接する画素間または各色のサブ画素間の電気的なクロストーク、あるいは他の理由により、ディスプレイの3つの色成分のデータ値/輝度応答性が、個別に測定した時に、ディスプレイ上で同時に測定された時の同じ応答性とは異なっていてもよい。また、これらの効果を、軸上の観察者3からは副画像が見えないといったプライバシー保護効果を得るために処理パラメータを決定する際に考慮することができる。
【0097】
第2の付加的な方法において、圧縮した主画像の対応する画素の値に基づいてScmpの画素値が最大化される一方、Scmpのすべての画素に対して0ではない最小値を規定することを可能にすることによって、軸上の観察者3に対する副画像8の不可視性は小さくなる。その結果、入力された副画像8の変化によるScmpの値の変化が小さくなる。これにより、入力された副画像の値が0であるような画像の領域であっても、平均化グループすべてにおいて隣接した画素間の輝度には、少なくともある程度の差がでる。
【0098】
この効果を得るために出力画像の画素値を算出する方法の1つは、圧縮した主画像の値を2セット生成することであり、1セットは、入力された副画像データの値が0と等しい領域の値であり、もう1セットは、入力された副画像データの値が1と等しい領域の値である。Sin=1の画像の場合に、処理パラメータβおよびδがそれぞれ0.45と0.05とに設定され、Sin=0の画像の場合に、それぞれ0.42と0.03とに設定されると、好適な実施形態に記載されるように入力画像を処理して合成した後、出力画像の輝度は図13に示すとおりになる。図13から、入力される主画像7の同じデータ値および入力される副画像8の異なるデータ値を持つ領域間における軸上の観察者に対する輝度差は、その相対値を図12に示した好適な実施形態と比較して、大幅に小さくなることがわかる。これにより、軸上の観察者3に対する副画像の不可視性が小さくなり、外側にいる観察者4によって視認される時にプライバシー保護の度合いがある程度小さくなる。また、Sin=0およびSin=1の両方に使用されるパラメータβおよびδが調整され、これら2つのメトリック間の妥協の程度に影響する。
【0099】
プライバシー保護の度合いを決定するSin=0の計算およびSin=1の計算に使用される処理パラメータβおよびδには差があり、入力された主画像の異なる値に対してプライバシー保護の度合い/軸上副画像の可視性の折衷を調節するために、前記2つの計算において大きな差がでるようにβまたはδが設定される。特に、オフセットパラメータδの差は主にMcmpの暗い領域におけるプライバシー保護の度合いを決定し、圧縮パラメータβの差はMcmpの明るい領域におけるプライバシー保護の度合いを決定する。Sin=1の画像の場合に処理パラメータβおよびδが、それぞれ0.45と0.05とに設定されると、前の例と比較して、今度はオフセットパラメータ間により大きな差ができ、したがって、主画像の入力データが低いレベルの領域においてより高いプライバシー保護効果が顕著となる。しかしながら、Sin=0およびSin=1の時のMcmp±Scmpの値の差は、入力された主画像データレベルが255の領域において、前の例(図12)とは変わらない。この効果は、図14に示す、入力された主画像データに対する出力輝度のグラフからわかる。
【0100】
上述したようなプライバシーモードでLCDを使用する場合に、入力された副画像が突然変化する場合、つまり使用される副画像がアニメの場合、副画像8がフレーム間で0から1、または1から0に変化するような出力画像の領域において、軸上の観察者3が望ましくない「点滅」を観察するおそれがあることがわかる。これは、異なる輝度値を持つ2つの異なる画素が平均輝度値へと切り替えられる際の切り替え速度が違うことにより生じると思われる。画素の平均輝度が切り替え開始時と終了時において同じであっても、切り替え速度が違えば、前記平均値は切り替え中に逸脱し、その結果、軸上に目に見える点滅が生じる。この結果を、図15Aに示す。しかし、この望ましくない結果は、本明細書に記載した0を超えるScmpの最小値を適用する方法によって解消できることがわかる。
【0101】
この問題を解消する方法として、副画像データのビット深度を1を超える値にまで増加させる方法がある。これにより、ディスプレイ領域における副画像の輝度値1を0に、またはその逆に変更する手段が可能となる。1と0の状態の間の中間の副画像輝度値を備えた画像フレームを挿入することで、平均値への収束や、平均値からの発散が軸上画像に観察されるようなグループ内の画素への異なる切り替え時間の影響が最小限になる。この状況を図15Bに示す。
【0102】
副画像のビット深度を1を超える値に増大させることによって得られる他の利点とは、プライベートモードにおいてフルカラーで副画像が表示可能となる点である。図15Bに示すように、2ビットの副画像は合成画像となって、圧縮した主画像の想定されるすべての値に対する異なる4つのペアの出力輝度値を備え、それぞれが軸上の観察者に対して同じ平均輝度を有し、前記拡張ルックアップテーブルの副画像の4つのデータ値のうちの1つに対応する。しかし、各ペアはそれぞれ軸外に異なる平均輝度を持つため、この方法を用いることで、必要となる軸上輝度の各画素ペアに対する軸外輝度の範囲が得られる。
【0103】
前記副画像データが1色成分につき2ビットのデータで構成される場合、これにより合計64色が表示され、圧縮した各主画像値のエントリーにつき4つの副画像値のエントリーを備えた拡張LUTが各色成分R、G、B毎に必要となる。6ビット(1色につき2ビット)を越える副画像のビット深度を増加させても、軸外の観察者4にカラーの副画像の見た目への影響はほとんどないことがわかった。
【0104】
LCDに表示した時に軸外の観察者4に対してカラーの副画像を正確に再現するために、軸上の平均輝度に対する異なる出力輝度値が、軸外の観察者4に知覚される平均輝度のほぼ等しい段階に相当する必要がある。使用されるLCDディスプレイの軸外/軸上輝度特性が図11に示す特性と似ているのであれば、画素ペアそれぞれの輝度値の差が大きくなると(つまり、圧縮した入力主画像の画素ペアに適用されるスプリッティングが大きくなると)、軸外の観察者4にとって画素ペアが視覚的に暗く見える。
【0105】
入力副画像データが各R、G、B成分毎に0から3の値から構成される場合、ゼロスプリッティング、つまり圧縮した主画像の入力値と等しい出力画素値を、データ値が3の副画像8の領域に対応する合成画像領域に適用してもよい。また、画素ペアのうち一方の画素の輝度値が0または1になるように設定され、他方の画素が好適な実施形態に記載したような圧縮した主画像の対応するペアと同じ平均輝度を保持するように調整されるような最大スプリッティングを、データ値が0の副画像8の領域に対応する合成画像領域に適用してもよい。これにより、軸外の観察者4が最大コントラストで副画像を視覚的に知覚できる。
【0106】
そして、1と2のデータ値をとる副画像領域に対応する合成画像領域において、画素ペアが出力する輝度値は、0(圧縮した主画像の入力値と等しい出力値)と軸外の観察者4に対して平均輝度をもたらす1(記載された最大スプリッティング)との間のスプリッティングの程度を、輝度換算で0から1までのスプリッティングで得た平均輝度それぞれの約1/3および約2/3にして計算することにより求められてもよい。図11に示すタイプの軸外/軸上輝度特性を有するASVモードのLCDの場合、1と2のデータ値をとる副画像のスプリッティングの割合が0.98と0.85の時にそれぞれ所望の結果が得られることがわかった。
【0107】
好適な実施形態において上述したような圧縮した主画像および副画像に関して、各主画像の入力データ値に対する合成画像の出力輝度値は次のように算出される。
【0108】
in=0の場合、
【0109】
【数12】

【0110】
となり、Sin=1の場合、
【0111】
【数13】

【0112】
となり、Sin=2の場合、
【0113】
【数14】

【0114】
となり、Sin=3の場合、
【0115】
【数15】

【0116】
となる。なお、「Scmpmax」とは圧縮した副画像の値を示し、上述したように副画像の入力データ値が1であるScmpのために算出される。
【0117】
これらの関係を持つ値を、主画像の入力データ値の関数として同じ主画像の圧縮係数を使用して、図19に示す。
【0118】
プライベートモードにおいて副画像の内容を広い範囲で軸外の観察者4に表示するために、1色につき2ビットを持つように共通の形式でデータセットの画像表示をする必要がある。この場合、ディスプレイのデータ値/輝度応答性を考慮することが望ましく、それにより、パブリックモードで表示装置に表示した場合に、より大きな色深度を持つ入力副画像の画素は、それらの対応輝度に基づいて、0、1、2、3の値にまとめられる(binned)。これにより、上記で詳述した、各副画像値に対して選ばれたスプリッティングの割合とを組み合わせることで、画像合成工程において画素ペアに適用されるスプリッティングのレベルが軸外の観察者4に対して副画像を正確に再現することが確実となる。
【0119】
本明細書に記載するような画素ペアの利用可能なスプリッティングの異なる分数に基づく計算を用いてカラーの副画像のプライバシー用の拡張LUTを実装する方法によって、軸外の観察者にとって副画像が良好に再現されることを示したが、この目的を達成できる唯一の方法ではないことがわかる。任意の表示装置について、同じ平均輝度を持つ画素ペアの数は、平均輝度値と輝度範囲の端の値との間にある変動するデータの数とほぼ同じくらい多い。これらのうちの多くについては、異なる副画像の値に対応させるために、各圧縮した主画像値に対して本発明の範囲から逸脱することなく任意の方法で選ぶことができる。
【0120】
第3の付加的な方法において、軸上/軸外輝度曲線のより高度に非線形の領域の圧縮した主画像(Mcmp)に輝度値を持つ色サブ画素の数を増やすことで、出力画像のプライバシー保護の度合いが高くなる。図11に挙げたLCDの例では、これは説明したような低輝度で暗い領域である。低輝度レベルの画素数を増やす方法の1つとして、本発明の方法における第1の工程において、βの値を大きくすることで主画像を圧縮し、次に、小さなオフセット値δを用いる方法があるが、この方法では、軸上の観察者3に非常に暗い画像が表示されることになる。
【0121】
より小さな係数を用いて画像全体を均一に圧縮するのではなく、より大きな係数を用いて画像の色サブ画素の一部をそれらの空間位置に基づいて選択的に圧縮することにより、軸上の観察者3に対してより明るくより高画質の画像を維持しながら、プライバシー保護効果を向上することができることがわかる。一般に、軸外と軸上の関係が第2のセクションよりも第1のセクションの方がより非線形である場合、第1のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1のセクションと第1の程度の重複部分を有するような第1の方法で変換され、第2のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1のセクションと第2の程度の重複部分を有するような、第1の方法とは異なる第2の方法で変換され、前記第1の程度の重複部分は前記第2の程度の重複部分よりも大きい。基本的に、前述のパラメータβは、x.βに置き替えられ、xは前記第1のサブグループの画像データ値のための第1の値と、前記第2のサブグループの画像データ値のための、第1の値とは異なる第2の値とをとる。前記第1の値は前記第2の値よりも小さくてもよく、例えば、前記第1の値および前記第2の値はそれぞれ0.1と1となる。
【0122】
例として、上述した第1の主画像圧縮工程において、下記の式で表す直接的で均一な圧縮
【0123】
【数16】

【0124】
を、好適な値を算出する例として、次に示す式に変更してもよい。
【0125】
【数17】

【0126】
【数18】

【0127】
【数19】

【0128】
なお、(第1の画像要素のサブグループにかけられる)付加的な圧縮の値は、0から1までの任意の値をとることができ、一般的には0.1である。各画素のどの色サブ画素に前記付加的な圧縮をかけるかについての順番のパターンは、画像全体を通して繰り返され、また、y方向において変更して軸上の観察者3が知覚する画像の画質をさらに改善してもよい。また、前記付加的な圧縮を各画素の3つのサブ画素のうちの2つにかけてもよく、あるいは、3つの色サブ画素すべてにかけてもよいが、3つの色サブ画素につき、1つまたは2つの画素のみに前記付加的な圧縮がかけられてもよい。前記圧縮の規模、および前記圧縮が画像にかけられる空間的なパターンは、本実施形態に示す例によって制限されない。また、所定のLCDと共に使用される特定の実装は、そのLCDによって生じる特定の応答性によって決まり、その主観的な判断によって最良の効果が得られる。例えば、色合いを犠牲にして青のサブ画素のみに前記付加的な圧縮係数をかける。この場合、軸上の観察者3に対する主画像の解像度の見た目上の低下を減らすために、この色の優れた特徴を分解するという目のマイナスの性質を利用する。本実施形態の最も重要なポイントとは、単純に、選択した画像画素の輝度を強く圧縮することで、より小さい量で均一に圧縮するよりも、より高い明度を保持しながらより高いプライバシー保護効果が得られるということである。
【0129】
第4の付加的な方法において、軸上/軸外輝度曲線のより高度に非線形の領域に輝度値を持つ画素の数を増やし、前記画像合成工程において圧縮した主画像の輝度値に対して、圧縮した副画像の輝度値を加算されたり、減算したりする空間的パターンを変更することでも、出力画像のプライバシー保護の度合いが高くなる。上述したように、図11に示す測定した軸上/軸外輝度曲線では、当該曲線の低輝度領域が最も非線形であり、その結果、この輝度範囲の端の輝度値を持つ画像領域ではより高いプライバシー効果が発揮される。
【0130】
前記画像合成工程において、圧縮した副画像の輝度値Scmpを一方の画素または画素ペアの一方の色サブ画素の圧縮した主画像の輝度値Mcmpに加算してから、それを他方の画素または他方の色サブ色素のために減算するのではなく、Scmpが3つの画素のうち2つの画素、あるいはグループ内の3つのサブ画素のうちの2つの画素に加算されて、2倍になったScmpの値を3番目の画素から減算されると、出力画像においてより多くの画素が低輝度値を示す。このように、(同じ画素グループでSinの値が一定であると仮定して)画素グループのScmpの正味の値が0である時に、画素グループの平均輝度がMcmpの同じグループの平均輝度に等しくなるが、画素グループの少なくとも1つの画素が低輝度を示すことが確実となる。
【0131】
一般的に、これは、前記第1のサブグループの画像要素の副データ値の変換後の等価な輝度値の第1の倍数を減算し、前記第2のサブグループの画像要素の副データ値の変換後の等価な輝度値の第2の倍数を加算し、前記第2のサブグループの画像要素の数は第1のサブグループの画像要素の数のN倍であり、前記第1の倍数は前記第2の倍数のN倍であることが必要となる。1つの特定の例において、前記画像合成工程は、以下のようになる。
【0132】
【数20】

【0133】
【数21】

【0134】
【数22】

【0135】
ここでも、軸上の画質を保持するために、グループ内のどの画素あるいはどの色サブ画素が差し引かれるScmpの値を2倍にするのかについての順番を、y方向において変更することができる。この種の拡張した画素グループの合成工程の例を図16に示す。ブロックで示す画素は、輝度が50%のMcmpの値と、輝度が25%のScmpの値とを有する。
【0136】
さらに、正味0の各Scmpグループにおける画素またはサブ画素の数を4つに増やし、4つのうちの3つにおいてScmpの値をMcmpに加算して、3倍になったScmpの値を4番目の画素から減算することもある。実際、グループ内の画素または色サブ画素の数を、所望の効果を生むような値に増加することができる。しかしながら、Mcmpの同じグループの平均輝度と等しくなるように輝度が平均化される画素グループが大きくなれば、所定の距離から見た場合、目の平均化によって、軸上の観察者3が感じるような、観察した画像がMcmpの画像と実質的に同じであるという印象を保持する効果が小さくなる。2倍または3倍になったScmpの値を差し引かれた画素を作成するために、合成工程で使用する空間的なパターンを変更すると、合成画像において許容範囲の画素値をすべての画素が確実に有するためには、MinからMcmpへの変換工程およびSinからScmpへの変換工程において用いられる圧縮係数の調整が必要となる。
【0137】
上記で言及したように、前記画像合成工程において各画素または色サブ画素の各グループのScmpの正味の値を0に等しくするためには、Sinの値が各グループのエリア全域において一定であることが必要である。例えば、画素(x、y、R)から画素(x、y、G)まで、あるいは(x、y、c)から(x+1、y、c)まででSinの値が急激に変化すると、好適な計算例で詳述した画像合成工程では、加算されるScmp値と減算されるScmp値とはもはや相殺しない。また、副画像が軸上の観察者に見えるようになる。英国特許出願公開第2428152号では、画像処理方法を用いて副画像中のシャープエッジをぼかすことでこの問題を改善できると示唆している。
【0138】
第5の付加的な方法では、この問題は、画像合成工程で正味0のScmp値を持つことが必要とされる各画素ブロック、あるいは各色サブ画素ブロックに対してSinの値が一定であることを確実にすることで解消される。上記の好適な計算例で述べたよう、これを必要とする画素グループの大きさが2×2の画素ブロックであれば、画質を最も良い状態で保持することができる何らかの画像処理技術を用いて、入力副画像のサイズを1/4の表示解像度(ディスプレイがX×Yの画素アレイを含む場合、X/2×Y/2画素)まで下げて、単純な最近傍補間方法を用いて画像をフル解像度まで再度上げることにより実現できる。これにより、フル解像度の副画像が同一のデータ値を持つ2×2の画素ブロックで構成されることが確実となる。したがって、画像合成工程においてすべての2×2の画素ブロックが正味0のScmp値を持つことになる。画像処理装置10は、表示制御用電子回路に含まれて、この工程で入力副画像8を処理し、それによって生じたフィルターされた画像を上述したようなLUTに出力する。このことを図17に示す。
【0139】
画像合成工程において繰り返しブロックとして使用される画素グループがどのような大きさと形を持つ場合であっても、副画像の表示解像度を何分の1かにまで下げてから、最近傍補間方法によって再度解像度を上げることで、副画像が本質的に等しいサイズと形を持つブロックで構成されるようになることがわかる。このように、入力副画像8のシャープエッジは保持され、これにより、軸外の観察者4が副画像を観察したときに知覚するコントラストが向上する。
【0140】
また、プライバシー効果を生むために、好適な計算例に記載されるような圧縮と合成に関する方法およびパラメーターを使用すると、単一の画素幅の行から成る入力主画像の領域において、小さな色の副作用であっても軸上の観察者3にはわかってしまう。これは、この処理によって、色サブ画素を1つおきに黒に設定した出力画像が生成されるためであり、したがって、このパターン上に置かれた単一の画素幅の黒い対角線により、1行の画素がすべてその長さに沿って1つまたは2つの色サブ画素のみを備える。この場合、色がついた行は目に見えるようになる。
【0141】
第6の付加的な方法では、これらの色の副作用は、入力主画像7を画像処理フィルターにかけることで解消される。前記画像処理フィルターは、画像に表示されるどんな狭い幅の線といった特徴でも効果的に少しだけぼかす(一般に、高頻度で画像表示される任意の特徴、一例を挙げるならば、線などに優先的にぼかしが付加される)。画像処理フィルター(またはフィルター回路)11は、表示制御用電子回路に含まれ、この工程で入力主画像7を処理し、その後フィルターにかけた画像を上述したようなLUTに出力する。これを図17に示す。画像の微細な特徴を最小限ぼかすことで、この問題によって生じる色の副作用を解消する方法は、英国特許出願番号0701325.3に開示されている。
【0142】
上記の方法により、LCDの所望のプライバシー保護の効果を発揮するために、入力画像に基づいて必要な出力画像の画素の輝度を算出するための手段が設けられることがわかる。上記手段とは、基本的には、プライバシー保護効果を最高の状態に高めてLCパネルの固有の電気光学特性に合わせて調整した値を生成するような方法で、図4に示すような必要なLUTの追加領域をポピュレートする手段である。そのため、所望の効果を発揮するLUT値を生むのであれば、上記に記載した技術および処理パラメータの値はどのような組み合わせでもよい。したがって、同じ効果を発揮する同様の関係についても本発明の範囲に含まれる。また、必要であれば、これらの関係を利用して拡張LUTをポピュレートするのではなく、表示制御用電子回路の付加的な演算処理装置を用いてフレームごとに演算を行うことも可能である。
【0143】
第7の他の実施形態において、LCD制御用電子回路1に、副画像データセット8を入力するのではなく、入力主画像データを付加的な処理装置で分析し、主画像の内容に基づいてプライバシー保護効果を最大限にするために、最適化された副画像を算出する。支配的な空間周波数などの主画像の係数によってパターンを不明瞭にする最適化された画像を生成する方法は、米国特許出願公開第20080088935号に記載されている。
【0144】
上記に記載した表示制御用電子回路の改良点およびLUT値の演算により、LCパネルに変更を加えずに、あるいは制御用電子回路からパネルに印加される電圧信号の正常範囲に変更を加えずに、ディスプレイのプライバシー保護効果を向上させることが可能となる一方、他の改良点により、軸外/軸上輝度曲線の非線形性を高め、プライバシー保護効果を向上させることができる。
【0145】
そのような改良点の1つとは、プライベートモードにおいて通常のパブリックモードよりも広い範囲の画素電圧でLCパネルを動作させることである。このようにLCパネルに過大な電圧がかかると、軸上の観察者が観察したときの表示輝度は均一化し、画素電圧が正常範囲を越えると表示輝度はおそらく低下し始める。これは、1/2波長板の条件に到達して上回るLC層の有効な複屈折によって生じる。LC層内部でより長い距離を移動する軸外の光によって、軸外の観察者に対してこの効果がさらに高くなり、その結果、軸外/軸上輝度曲線の非線形性が大きくなる。この効果について、図18に示すが、画像の高輝度領域において高いプライバシー保護効果を得るために利用することができる。この効果をさらに高めるために、ディスプレイのLC層の厚みまたは使用するLCの材料の複屈折を、高電圧で1/2波長板の条件を実現するのに必要とする最小値よりも増加させてもよい。
【0146】
本発明の第1の態様によれば、空間光変調によって画像を表示するための液晶表示パネルを含む表示装置が提供される。前記画像は、画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される。前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素に対して前記パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値と前記信号電圧との所定のマッピングを有する表示制御装置をさらに含む。前記二次データ値は、前記マッピングの結果、輝度差が生じるように前記画像全体に渡ってそれぞれの値が異なるように構成される。前記マッピングのデータ値および前記二次データ値は、前記液晶表示パネルの信号電圧/軸上輝度応答性を利用するように互いに構成されるため、軸上に生じる前記輝度差が軸上の観察者に対する空間的平均化によって局在的に均衡しやすくなり、それにより前記軸上の観察者によって前記輝度差を知覚不可能となる。前記液晶表示パネルは、さらに非線形の軸外輝度/軸上輝度の関係を有するため、軸外に生じる輝度差のうちの少なくとも一部は、軸外の観察者に対する空間的平均化によって局在的に平衡しないため、軸外の観察者によって知覚可能となる。
【0147】
前記マッピングのデータ値および前記二次データ値は、空間的平均化により単一の輝度を有するように知覚される画像要素の複数のグループそれぞれに対して、前記二次データ値、または前記グループ内のサブグループを構成する画像要素の値によって生じる輝度の増加量が、少なくとも各サブグループ内の前記画像要素が有するそれぞれの画像データ値が等しい場合に、前記二次データ値、または前記グループ内の別のサブグループを構成する画像要素の値によって生じる実質的に等しい輝度の低下量と実質的に一致するように、互いに構成されていてもよい。
【0148】
少なくとも前記グループのうちの一部が画像要素のペアを含み、前記画像要素のペアのうち一方の画像要素の二次データ値が、少なくとも前記ペアの2つの画像要素が有するそれぞれの画像データ値が等しい場合に、ある量の輝度の増加を生じるように構成され、前記画像要素のペアのうちもう一方の画像要素の二次データ値が、実質的に同じ量の輝度の低下を生じるように構成されていてもよい。
【0149】
前記画像要素のペアのうち一方の画像要素の輝度が最大輝度に近いか、あるいは前記画像要素のペアのうちもう一方の画像要素の輝度が最小輝度に近いかによって、前記二次データ値によって生じる輝度の変化が決められてもよい。
【0150】
前記液晶表示パネルの前記軸上輝度応答性は、前記画像データ値の変動に対して非線形であってもよい。
【0151】
前記二次データ値は、それぞれ副データ値と空間データ値とを含んでいてもよく、前記空間データ値が、前記二次データ値によって輝度を増加させるか低下させるかどうかについて少なくとも部分的に制御し、前記副データ値が、輝度の増加量または低下量を少なくとも部分的に制御する。
【0152】
前記副データ値は共に、前記軸外の観察者が視認する見づらい副画像を形成してもよい。
【0153】
原画像は、軸外の観察者が視認する画像によってある程度隠されてもよく、軸外でプライバシー保護効果を発揮するように実質的に隠されることが好ましい。この点において、軸外の観察者によって視認される画像は、少なくともある程度視覚的に混乱させる情報、好ましくは高度に視覚的に混乱させる情報の導入により、原画像とは異なってもよい。
【0154】
前記表示装置は、それぞれ等しい副データ値を有する局在ブロックを生じるように副画像の解像度を低下させる手段を含んでもよい。
【0155】
前記マッピングにより、前記液晶表示パネルの特性に基づいて前記画像データ値および前記副データ値をそれぞれ等価な輝度値へ転換することが実現されてもよい。
【0156】
前記特性は、前記液晶表示パネルに関連したガンマ価γを含んでもよく、画像データ値Minの等価輝度値MLumが、MLum=Minγとして算出され、副データ値Sinの等価輝度値SLumが、SLum=Sinγとして算出され、前記MLum、Min、SLum、Sinは、それぞれ0から1までの範囲で表わされる。
【0157】
前記マッピングにより前記画像データ値の等価な輝度値の変換が実現されてもよい。
【0158】
前記変換は非対称な変換であってもよい。
【0159】
前記変換は、次に表す数式、Mcmp=β.MLum+δのスケーリングおよび並進を含んでもよく、βとδはそれぞれ所定のスケーリングパラメータと並進パラメータであり、MLumは前記画像データの等価輝度値であり、Mcmpは前記画像データ値のスケーリングし、並進した値であり、McmpとMLumは0から1までの範囲で表わされる。
【0160】
βは0.35から0.55までの値でもよく、δは0.02から0.08までの値でもよい。
【0161】
βは0.42から0.5までの値でもよく、δは0.03から0.07までの値でもよい。
【0162】
前記変換は前記副データ値に依存してもよい。
【0163】
βとδの異なる値は前記副データ値に依存して使用されてもよい。
【0164】
前記軸外輝度と軸上輝度との関係において、第1のセクションが第2のセクションよりも非線形であってもよく、第1のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1のセクションと第1の程度の重複部分を有するような第1の方法で変換されてもよく、第2のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1のセクションと第2の程度の重複部分を有するような、第1の方法とは異なる第2の方法で変換されてもよく、前記第1の程度の重複部分は前記第2の程度の重複部分よりも大きい。
【0165】
βはx.βに置き替えられてもよく、xは前記第1のサブグループの画像データ値のための第1の値と、前記第2のサブグループの画像データ値のための、第1の値とは異なる第2の値とをとる。
【0166】
前記第1の値は前記第2の値よりも小さくてもよく、例えば、前記第1の値および前記第2の値はそれぞれ0.1と1となる。
【0167】
前記マッピングにより前記副データ値に対する等価な輝度値の変換が実現されてもよい。
【0168】
前記変換は、数式Scmp=SLumxx(0.5−│Mcmp−0.5│)を有してもよく、SLumは前記副データ値の等価な輝度値であり、Scmpは前記副データ値の変換後の等価な輝度値であり、SLumxとScmpとは0から1までの範囲で表わされる。
【0169】
0よりも大きい最小値が前記副データ値の変換後の等価な輝度値に指定されてもよい。
【0170】
前記表示装置は、前記副データ値の変換後の等価な輝度値の倍数を前記画像データ値の変換後の等価な輝度値に加算し、あるいは前記画像データ値の変換後の等価な輝度値から前記副データ値の変換後の等価な輝度値の倍数を減算する回路を含んでもよく、前記空間データ値に基づいて加算するか減算するかの選択をする。
【0171】
前記倍数は1であってもよい。
【0172】
異なる倍数が異なるサブグループの画像要素に使用されてもよい。
【0173】
前記第1のサブグループの画像要素の副データ値の変換後の等価な輝度値の第1の倍数を減算し、前記第2のサブグループの画像要素の副データ値の変換後の等価な輝度値の第2の倍数を加算する回路を含んでもよく、前記第2のサブグループの画像要素の数は第1のサブグループの画像要素の数のN倍であり、前記第1の倍数は前記第2の倍数のN倍である。
【0174】
前記軸外輝度と軸上輝度との関係において、第1のセクションが第2のセクションよりも非線形であってもよく、画像データ値の等価な輝度値が第1のセクションの範囲内にある場合よりも第2のセクションの範囲内にある場合の方が、前記二次データ値によって生じる輝度の変化量が大きくなるように決定される。
【0175】
前記表示装置は前記画像要素に関する空間情報から空間データ値を決定するための回路を含んでもよい。
【0176】
前記空間情報は前記画像要素に関連した水平画像座標と垂直画像座標とを含んでもよい。
【0177】
副データ値は画像データ値よりも小さくてもよく、少なくとも1つの副データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる。
【0178】
空間データ値は画像データ値よりも小さくてもよく、少なくとも1つの空間データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる。
【0179】
二次データ値は画像データ値よりも小さくてもよく、少なくとも1つの二次データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる。
【0180】
前記表示装置は、前記画像データ値によって表わされるような前記画像をフィルターにかけて、線などの高頻度で画像表示される任意の特徴に対してぼかしの量を優先的に付加する回路を含んでもよい。
【0181】
前記表示制御装置はマッピング回路を有してもよく、当該マッピング回路は、前記複数の画像要素の前記画像データ値および二次データ値を受信するためのそれぞれの入力部と、入力データ値に基づいて記憶された値を調べるための回路と、前記記憶された値を出力する出力部とを含み、前記信号電圧が前記出力値に基づいて決定されている画像に対する電圧である。
【0182】
前記出力値が前記信号電圧として使用されてもよい。
【0183】
前記液晶表示パネルは複数の画素を含んでもよく、各画素は複数の色成分を有し、各画像要素はそのような個々の色成分に関連付けられている。
【0184】
前記画像要素のペアは異なる画素の同じ色成分にそれぞれ関係してもよい。
【0185】
前記ペアの画像要素は、水平方向または垂直方向に隣接した画素であってもよい。
【0186】
少なくとも2つの色成分に対して、当該2つの色成分に関連した表示パネルの異なるそれぞれの特性に基づいて、それぞれ異なる転換が用いられてもよい。
【0187】
第1のサブグループは、異なるそれぞれの画素の画像要素を含んでもよく、前記第1のサブグループの各画像要素は異なる色成分に関連している。
【0188】
前記表示装置は前記軸外輝度と軸上輝度との関係の非線形性を増加させるための手段を含んでもよい。
【0189】
本発明の実施形態が満足の行く動作を行うためには、二次データ値によって軸上に生じる輝度差を正確に局在的に均衡する必要はなく、単に輝度差がお互い局在的に均衡したり、相殺しあう傾向があるということが、理解できるであろう。例えば、二次データ値によって生じる輝度の変化量は画像データ値自体に依存してもよいため、画像データ値が一定である局在的な領域でのみ輝度の均衡を正確に行うように、前記装置は動作してもよい。確かに、データ値に基づいたのではなく、本発明の実施形態で生じる輝度変化は、データ値ではなく、輝度に基づいており、マッピングは、マッピングに入力される二次データ値に対する輝度の均衡を実現するために、前記液晶表示パネルの信号電圧/軸上輝度応答性を利用している。
【0190】
本発明の第2の態様によれば、空間光変調によって画像を表示するための液晶表示パネルを含む表示装置が提供される。前記画像は、画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される。前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素に対して前記パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値と前記信号電圧との所定のマッピングを有する表示制御装置をさらに含む。前記表示制御装置は、マッピング回路を有し、当該マッピング回路は、前記複数の画像要素の前記画像データ値および二次データ値を受信するためのそれぞれの入力部と、入力データ値に基づいて記憶された値を調べるための回路と、前記記憶された値を出力する出力部とを含む。前記画像要素の信号電圧が前記出力値に基づいて決定されている。前記出力値は前記信号電圧として用いられてもよい。
【0191】
本発明の実施形態は、切り替え可能なプライバシー保護機能を備えた液晶ディスプレイを提供する。パブリックモードでは、標準LCDとは実質的に変わらない方法でディスプレイが動作する。パブリックモードでは、表示される映像の各フレームごとに、単一の画像を構成するデータが表示制御用電子回路に供給され、その後表示制御用電子回路は一連の信号電圧とタイミング信号とをディスプレイのアクティブマトリクスアレイに出力し、これらの電圧は、必要量の光が表示偏光子を介して各画素を透過することで画像が表示されるように、各画素内で液晶の向きを変える。
【0192】
プライベートモードでは、表示制御装置が2つの入力画像に依存する信号電圧を出力する。前記2つの入力画像とは、正当な軸上の観察者が観察する主画像と、軸外の観察者には主画像を不明瞭にするか、あるいは軸外から見られた時に主画像の画質を劣化させるかを選択できる副画像のことである。なお、表示制御装置は、プライベートモードでも、パブリックモードと同様に同じ量の信号電圧情報(ディスプレイでの各画素の電圧)を出力する。単に、これらの出力電圧は1つではなく2つの入力画像の画像データ値に依存している。
【0193】
信号電圧が出力された結果、主画像が軸上の観察者に知覚される一方、軸上と軸外とで異なるディスプレイのデータ値/輝度応答性により、実質的に主画像を見えにくくしたり、あるいは主画像の画質を低下させて軸外の観察者には副画像を見せることでプライベート表示させている。
【0194】
本明細書に開示した本発明の実施形態は、標準的な電子回路を改良した制御用電子回路を備えたLCDディスプレイであって、制御用電子回路がパブリックモードの1つの画像とプライベートモードの2つの画像とに依存する信号電圧を出力できるようなLCDディスプレイを構成する。また、本発明の実施形態は、出力信号電圧と、主画像および副画像の2つの入力画像との特定の関係を構成する。前記主画像とは、パブリックモードで表示されれば観察されるような画質に可能な限り近い画質で軸上の観察者が観察する画像であり、前記副画像とは、最適に不明瞭にさせるか、あるいは画質を劣化させた状態の主画像と同時に軸外の観察者が観察する画像である。
【0195】
上述した英国特許出願公開第2428152号においては、前記画像処理方法の実施について、表示制御用電子回路処理に新たに追加された工程として記載されており、後で標準的なディスプレイドライバに入力される「合成画像」のデータセットが生成される。本発明の出願人は、このことは必要なく、単に既存のルックアップテーブルの拡張版と、副画像を格納するために増設したフレームバッファとを制御用電子回路の中に組み込むことで、前記追加工程を省くことができることを認識した。したがって、活発な画像処理を表示電子機器内で起こす必要はない。
【0196】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下に示す添付図面を参照した本発明の詳細な説明を考慮すれば容易に理解できるであろう。
【0197】
画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される画像を空間光変調によって表示するための液晶表示パネルを含む表示装置であって、前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素について上記液晶表示パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値と前記信号電圧との間で所定のマッピングが行われる表示制御装置をさらに含み、前記二次データ値は、前記マッピングの結果として輝度差が生じるように前記画像全体に渡って変化を示すように構成され、前記マッピングのデータ値および前記二次データ値は、前記液晶表示パネルの信号電圧対軸上輝度応答特性を考慮するように互いに構成され、その結果として軸上に生じる前記輝度差が軸上の観察者に対する空間的平均化によって局所的に補償されやすくなり、それにより前記軸上の観察者によって前記輝度差が知覚不可能となっており、前記液晶表示パネルは、さらに非線形の軸外輝度対軸上輝度の関係を有し、その結果として軸外に生じる輝度差のうちの少なくとも一部は軸外の観察者に対する空間的平均化によって局所的に補償されず、それにより軸外の観察者によって前記輝度差が知覚可能となっていてもよい。
【0198】
前記マッピングのデータ値および前記二次データ値は、空間的平均化により単一の輝度を有するように観察者に知覚される画像要素の複数のグループそれぞれについて、少なくとも前記グループ内の各サブグループ内の前記画像要素が有するそれぞれの画像データ値が等しい場合に、前記グループ内のサブグループを構成する画像要素の1つまたは複数の二次データ値によって生じる輝度の上昇量が、前記グループ内の別のサブグループを構成する画像要素の値によって生じる実質的に等しい輝度の低下量と実質的に一致するように、互いに構成されていてもよい。
【0199】
前記グループのうちの少なくとも一部が画像要素のペアを含み、少なくとも前記ペアの2つの画像要素が有するそれぞれの画像データ値が等しい場合に、前記画像要素のペアのうち一方の画像要素の二次データ値が、ある量の輝度の上昇を生じ、前記画像要素のペアのうちもう一方の画像要素の二次データ値が、上記量と実質的に同じ量の輝度の低下を生じるように構成されていてもよい。
【0200】
前記二次データ値によって生じる輝度が、前記画像要素のペアのうち一方の画像要素の輝度が最大輝度に近くなるか、あるいは前記画像要素のペアのうちもう一方の画像要素の輝度が最小輝度に近くなるように、前記二次データ値によって生じる輝度の変化が決められる構成であってもよい。
【0201】
前記液晶表示パネルの前記信号電圧対軸上輝度応答特性は、前記画像データ値の変化に対して非線形であってもよい。
【0202】
前記二次データ値は、それぞれ副データ値と空間データ値とを含み、前記空間データ値が、前記二次データ値によって輝度の上昇または低下が引き起こされるかを少なくとも部分的に制御し、前記副データ値が、輝度の上昇量または低下量を少なくとも部分的に制御する構成であってもよい。
【0203】
前記副データ値は全体として、前記軸外の観察者によって知覚される、注意をそらせる副画像を形成する構成であってもよい。
【0204】
互いに等しい副データ値を有する局在ブロックを生じるように副画像の解像度を低下させる手段を含む構成であってもよい。
【0205】
前記マッピングは、前記液晶表示パネルの特性に基づいて前記画像データ値および前記副データ値をそれぞれ等価な輝度値へ変換することを含む構成であってもよい。
【0206】
前記特性は、前記液晶表示パネルに関するガンマ値γを含み、画像データ値Minの等価輝度値MLumが、MLum=Minγとして算出され、副データ値Sinの等価輝度値SLumが、SLum=Sinγとして算出され、前記MLum、Min、SLum、およびSinは、それぞれ0から1までの範囲で表わされる構成であってもよい。
【0207】
前記マッピングは、前記画像データ値のための等価な輝度値を変更することを含む構成であってもよい。
【0208】
前記変更は、非対称な変更である構成であってもよい。
【0209】
前記変更は、Mcmp=β.MLum+δの形で表されるスケーリングおよび平行移動を含み、βとδはそれぞれ所定のスケーリングパラメータと平行移動パラメータであり、MLumは前記画像データの等価輝度値であり、Mcmpは前記画像データ値をスケーリングし、平行移動した値であり、McmpとMLumは0から1までの範囲で表わされる構成であってもよい。
【0210】
βは0.35から0.55までの値であり、δは0.02から0.08までの値であってもよい。
【0211】
βは0.42から0.5までの値であり、δは0.03から0.07までの値であってもよい。
【0212】
前記変更は、前記副データ値に基づいて行われる構成であってもよい。
【0213】
前記副データ値に応じて、βとδに異なる値が使用される構成であってもよい。
【0214】
前記軸外輝度と軸上輝度との関係において、第1の区間が第2の区間よりも非線形であり、第1のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1の区間と第1の程度の重複部分を有するような第1の方法で変換され、第2のサブグループの画像要素は、変換された輝度の範囲が第1の区間と第2の程度の重複部分を有するような、第1の方法とは異なる第2の方法で変換され、前記第1の程度の重複部分は前記第2の程度の重複部分よりも大きい構成であってもよい。
【0215】
βは、x.βに置き替えられ、xは、前記第1のサブグループの画像データ値については第1の値をとり、前記第2のサブグループの画像データ値については、第1の値とは異なる第2の値とをとる構成であってもよい。
【0216】
前記第1の値は前記第2の値よりも小さく、例えば、前記第1の値および前記第2の値はそれぞれ0.1および1である構成であってもよい。
【0217】
前記マッピングは、前記副データ値のための等価な輝度値を変更することを含む構成であってもよい。
【0218】
前記変更は、Scmp=SLumx×(0.5−│Mcmp−0.5│)の形で表され、SLumは前記副データ値のための等価な輝度値であり、Scmpは前記副データ値のための変更後の等価な輝度値であり、SLumxとScmpとは0から1までの範囲で表わされる構成であってもよい。
【0219】
0よりも大きい最小値が、前記副データ値の変更後のための等価な輝度値として指定される構成であってもよい。
【0220】
前記副データ値のための変換後の等価な輝度値の倍数を前記画像データ値のための変換後の等価な輝度値に加算し、あるいは前記画像データ値のための変換後の等価な輝度値から前記副データ値のための変換後の等価な輝度値の倍数を減算することを含み、前記空間データ値に基づいて加算するか減算するかの選択をする構成であってもよい。
【0221】
前記倍数は1であってもよい。
【0222】
異なる倍数が異なるサブグループの画像要素に使用される構成であってもよい。
【0223】
前記第1のサブグループの画像要素の副データ値のための変換後の等価な輝度値の第1の倍数を減算し、前記第2のサブグループの画像要素の副データ値のための変換後の等価な輝度値の第2の倍数を加算することを含み、前記第2のサブグループの画像要素の数は第1のサブグループの画像要素の数のN倍であり、前記第1の倍数は前記第2の倍数のN倍であってもよい。
【0224】
前記軸外輝度と軸上輝度との関係において、第1の区間が第2の区間よりも非線形性が高く、画像データ値の等価な輝度値が第1の区間の範囲内にある場合よりも第2の区間の範囲内にある場合の方が、前記二次データ値によって生じる輝度の変化量が大きくなるように、前記二次データ値によって生じる輝度の変化量が決定される構成であってもよい。
【0225】
前記画像要素に関する空間情報から空間データ値を決定するための回路を含む構成であってもよい。
【0226】
前記空間情報は、前記画像要素に関する水平画像座標と垂直画像座標とを含む構成であってもよい。
【0227】
副データ値は画像データ値よりも小さく、少なくとも1つの副データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる構成であってもよい。
【0228】
空間データ値は画像データ値よりも小さく、少なくとも1つの空間データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる構成であってもよい。
【0229】
二次データ値は画像データ値よりも小さく、少なくとも1つの二次データ値が複数の異なる画像データ値のために用いられる構成であってもよい。
【0230】
前記画像データ値によって表わされるような前記画像にフィルターをかけて、線などの任意の高周波の画像形状に対して選択的に或る量のぼけを付加する回路を含む構成であってもよい。
【0231】
前記表示制御装置はマッピング回路を有し、当該マッピング回路は、前記複数の画像要素の前記画像データ値および二次データ値をそれぞれ受信するための複数の入力部と、入力データ値に基づいて、記憶された値を探索するための回路と、前記記憶された値を出力する出力部とを含み、前記画像要素のための前記信号電圧が前記出力値に基づいて決定される構成であってもよい。
【0232】
前記出力値が前記信号電圧として使用される構成であってもよい。
【0233】
前記液晶表示パネルは複数の画素を含み、各画素は複数の色成分を有し、各画像要素は個々の色成分に関連付けられている構成であってもよい。
【0234】
前記ペアを構成する2つの画像要素は、異なる画素の同じ色成分に関係する構成であってもよい。
【0235】
前記ペアを構成する2つの画像要素は、水平方向または垂直方向に隣接した画素に由来するものである構成であってもよい。
【0236】
少なくとも2つの色成分に対して、当該2つの色成分にそれぞれ関連した表示パネルの異なる特性に基づいて、それぞれ異なる変換が用いられる構成であってもよい。
【0237】
第1のサブグループは、異なる画素に由来する複数の画像要素を含み、前記第1のサブグループの各画像要素は異なる色成分に関連している構成であってもよい。
【0238】
前記軸外輝度と軸上輝度との関係の非線形性を増大させるための手段を含む構成であってもよい。
【0239】
画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される画像を空間光変調によって表示するための液晶表示パネルを含む表示装置であって、前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素について上記液晶表示パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値と前記信号電圧との間で所定のマッピングが行われる表示制御装置をさらに含み、前記表示制御装置はマッピング回路を有し、当該マッピング回路は、前記複数の画像要素の前記画像データ値および二次データ値をそれぞれ受信するための複数の入力部と、入力データ値に基づいて、記憶された値を探索するための回路と、前記記憶された値を出力する出力部とを含み、前記画像要素のための信号電圧が前記出力値に基づいて決定される構成であってもよい。
【0240】
前記出力値は前記信号電圧として用いられる構成であってもよい。
【0241】
このように本発明を記載したが、その同じ方法は種々の変更が可能であることは明らかである。そのような変更例について、本発明の精神と本発明の範囲を逸脱するものと解釈されるものではなく、次に記載する請求の範囲内には当業者にとって明らかであるすべての変形例が含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ値をそれぞれ有する複数の画像要素によって表される画像を空間光変調によって表示するための液晶表示パネルを含む表示装置であって、
前記表示装置は、各画像要素の画像データ値と二次データ値とに基づいて、各画像要素について上記液晶表示パネルに印加する信号電圧を決定するように構成され、前記画像データ値および前記二次データ値と前記信号電圧との間で所定のマッピングが行われる表示制御部をさらに含み、
1つ以上の前記画像要素から構成される画像要素のグループであって、一様な画像データ値を有する画像要素のグループを少なくとも含むグループにおいて、
前記二次データ値により、前記グループ内の各画像要素で生じる輝度の差と、前記グループ内の画像要素で生じる輝度の空間的なパターンを決定すること、を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記マッピングおよび前記二次データ値は、
前記画像データ値が同じで前記二次データ値が異なるグループを少なくとも含む、複数の前記画像要素のグループにおける平均的な輝度が、予め決められた視野角において略同一となるように決定されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記マッピングおよび前記二次データ値は、
前記画像データ値が同じで前記二次データ値が異なるグループを少なくとも含む、複数の前記画像要素のグループにおける平均的な輝度が、予め決められた視野角において所定の値以下の差となるように決定されることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像データ値が同じで前記二次データ値が異なるグループを少なくとも含む、複数の前記画像要素のグループにおける平均的な輝度が、前記予め決められた視野角と異なる視野角において異なるように決定されることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像データ値が同じで前記二次データ値が異なるグループを少なくとも含む、複数の前記画像要素のグループにおける平均的な輝度の差が、前記予め決められた視野角と異なる視野角において所定の値以上となるように決定されることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項6】
前記予め決められた視野角と異なる視野角は、前記予め決められた視野角から50°以上離れた視野角であることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記画像データ値と二次データ値とに基づいて、
前記予め決められた視野角においては前記画像データ値に関連する画像を、
前記予め決められた視野角とは異なる視野角においては、前記二次データ値に基づく、前記画像とは異なる画像を知覚させることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画像要素のグループにおいて、少なくともグループ内の各画像要素における画像データが一様であって、前記グループの各画像要素の二次データ値のうちの少なくとも1つの値において略等しい輝度が生じるか、または、二次データ値の少なくとも1つの値が、二次データ値の第1の値と異なる場合に、前記グループの少なくとも1つの画像要素で生じる輝度が前記画像要素の最大輝度もしくは最小輝度と略等しいことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記二次データ値は副画像データ値と空間パターンデータ値を含み、前記副画像データ値は、少なくとも一様の画像データを有する画像要素グループについてグループ内の各画像要素で生じる輝度の差の量を決定し、前記空間パターンデータ値は、少なくとも一様の画像データを有する画像要素グループについてグループ内の各画像要素で生じる相対的輝度の空間的配置を決定することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画像要素の各グループが共通の副画像データ値と、個別の空間パターンデータ値を有することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記画像要素の各グループの前記空間パターンデータ値が、少なくとも一様の前記画像データ値と、利用可能な前記画像データ値のうちの少なくとも1つのデータ値を有するグループにおいて、画像内の前記画像要素が明るい画像要素と暗い画像要素の格子模様となるよう配置されることを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記画像要素に関する空間的な情報によって、前記画像要素へ二次データ値を割り当てることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記空間的な情報は、前記画像要素に関する水平および垂直方向の画像位置であるか、または、フレーム期間内に前記表示装置に入力される前記画像データ値のうちの、前記画像要素に関連する画像データの位置のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記空間的な情報に従って、前記画像要素に少なくともひとつの副画像データ値と空間データ値を割り当てることを特徴とする請求項12または13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記空間データ値は、前記画像要素に関する水平および垂直方向の画像位置であるか、または、フレーム期間内に前記表示装置に入力される前記画像データ値のうちの、前記画像要素に関連する画像データの位置のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記二次データ値、前記副画像データ値、前記空間データ値のいずれかは前記画像データ値よりも少なく、複数の異なる前記画像データ値に対して、少なくとも1つの前記二次データ値か前記副画像データ値か前記空間データ値が用いられることを特徴とする請求項14または15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記画像要素に対する前記画像データ値と二次データ値が入力され、
入力された前記画像データ値および前記二次データ値に応じて、保持する値が出力されるマッピング部を備え、
出力された前記保持する値に応じて前記画像要素における信号電圧が決定されることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
出力される前記保持する値が信号電圧として用いられることを特徴とする請求項17記載の表示装置。
【請求項19】
前記空間データ値の利用可能な数およびこれらのデータ値の前記画像要素への割り当ての空間的パターンは、前記画像要素のグループのサイズと、前記グループ内の各画像要素から生じる輝度の空間パターンの、いずれかまたは両方を変更するために再構成可能であることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項20】
前記画像要素のグループは、合成された白い画像要素で構成される第2のグループ内における、同じタイプのカラー副画像要素から構成されることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項21】
前記画像データ値に基づき表される画像の、高い周波数部分をぼやけさせるフィルタをかけるフィルタ部を備えることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項22】
前記表示制御部は中央処理ユニットまたはグラフィック処理ユニット上で実行されるプログラムであって、前記マッピングはメモリに保持され、前記マッピングへの前記画像データ値および前記二次データ値の入出力も前記中央処理ユニットまたは前記グラフィック処理ユニット上のプログラムとして実行されることを特徴とする請求項1から21のいずれか1項に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−61668(P2013−61668A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251599(P2012−251599)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2010−521584(P2010−521584)の分割
【原出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】