説明

表示装置

【課題】加工設置及び表示内容の変更、修正を容易に行うことができる、低消費電力で視認性に優れた表示装置を提供する。
【解決手段】透光性の板状部材からなる導光板10と、前記導光板10の端面10cに光を照射する発光装置20と、前記導光板10の表面10bに貼付される透光性の表示シート30と、を備え、光表示される文字、図形、記号等の表示対象物Aを、前記表示シート30の表面30aに形成する。発光装置20から発せられた光が導光板10の内面に進入し、導光板10の表面10a、10bの内側面で反射を繰返して、表示対象物Aに照射され、散乱し、表示対象物Aが光表示される。これにより、低電力消費で鮮明な光表示を行うことができ、且つ前記表示シート30を貼り替えることにより、表示内容の変更、修正を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の端面から光を照射して、該導光板表面に文字、図形、記号等を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の表示装置として、光源としてLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)を採用し、透明板の表面に、断面略三角形状の凹溝からなる文字や図柄等を形成すると共に、前記凹溝内面に微細凹凸形状を加工し、該透明板の側面(端面)より前記光源からの光を導入することにより、該透明板の表面に文字や図柄等を光により表示させる表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、同じく光源としてLEDを用いた表示装置であって、導光板の外面に、スクリーン印刷によって、凸状印刷層を盛り上げ形成し、前記導光板の端面から前記光源の光を照射することにより、前記凸状印刷層を発光させて光表示させる光表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。係る従来技術の表示装置では、光源としてLEDを採用しているので、低消費電力で、長寿命、且つコンパクトな装置構成が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3864342号公報
【特許文献2】特開2007−286464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表示装置は、何れも導光板外面に、直接、文字や図形等を形成していたので、表示内容の変更や修正を容易に行うことができないという問題があった。即ち、表示内容の一部を修正するような場合であっても、導光板を再利用することはできず、新しい表示内容を形成した導光板を改めて製作し、古い表示内容の導光板と交換設置する必要があった。そのため、表示内容の変更に要する時間が長く、また、必要とする費用も高く、更には、資源の有効利用の観点からも好ましくなかった。
【0006】
また、特許文献1記載の従来技術のように、導光板の表面に凹溝を設ける方法では、エンドミル加工やレーザ加工等により凹溝を形成することが必要であり、更には、良好な光散乱効果を得るために、前記加工後の凹溝部分にショットブラスト処理等を施し、該凹溝内面に微細凹凸部を加工する必要があった。そのため、表示図形等の加工が容易ではなく、加工のための時間が長く、費用が高いという問題もあった。
【0007】
また、特許文献2記載の従来技術のように、導光板の表面に凸状印刷層を盛り上げ形成する方法では、前記の印刷によって形成された凸状突起物の形状が光の反射や透過の方向に大きく影響を及ぼすので、表示図形等の輝度にバラツキが発生し、観察する方向によっては、表示内容の視認性が劣るという問題があった。このような方法で表示図形等を高画質に表示させるためには、凸状印刷層の形状、大きさ、分布等を適切にするための高度な印刷制御が必要となっていた。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、加工設置及び表示内容の変更、修正を容易に行うことができる、低消費電力で視認性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の表示装置は、透光性の板状部材からなる導光板と、前記導光板の端面に光を照射する発光装置と、前記導光板の表面に貼付される透光性の表示シートと、を備え、光表示される文字、図形、記号等の表示対象物が、前記表示シートの表面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
第2発明の表示装置は、第1発明の表示装置において、前記表示対象物が、白色インキを用いて描かれていること特徴とする。
【0011】
第3発明の表示装置は、第1発明乃至第2発明何れか一発明の表示装置において、前記表示対象物が、印刷により形成されていることを特徴とする。
【0012】
第4発明の表示装置は、第1発明乃至第3発明何れか一発明の表示装置において、前記表示対象物が、二酸化チタンを含有する紫外線硬化インキを用いて印刷されていることを特徴とする。
【0013】
第5発明の表示装置は、第1発明乃至第4発明何れか一発明の表示装置において、前記導光板の表面若しくは前記表示対象物が形成された前記表示シートの表面に遮光層を設けたことを特徴とする。
【0014】
第6発明の表示装置は、第1発明乃至第5発明何れか一発明の表示装置において、前記発光装置は、赤色、青色及び緑色を発光する複数のLED素子と、制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記各LED素子の発光を調整することにより、前記導光板に導入する光の輝度及び色彩を制御することを特徴とする。
【0015】
第7発明の表示装置は、第1発明乃至第6発明何れか一発明の表示装置において、人の接近を検知する人感センサを備え、前記人感センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯、消灯、発する光の輝度及び色彩の何れかを制御することを特徴とする。
【0016】
第8発明の表示装置は、第1発明乃至第7発明何れか一発明の表示装置において、周囲の明るさを検知する光量センサを備え、前記光量センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯、消灯、発する光の輝度及び色彩の何れかを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明の表示装置によれば、透光性の板状部材からなる導光板と、前記導光板の端面に光を照射する発光装置と、前記導光板の表面に貼付される透光性の表示シートと、を備え、光表示される文字、図形、記号等の表示対象物が、前記表示シートの表面に形成されているので、前記表示シートを貼り替えることにより、表示内容の変更、修正を容易に行うことができる。
【0018】
第2発明の表示装置によれば、前記表示対象物が、白色インキを用いて描かれているので、発光装置の発光色に応じた色彩を鮮明に映し出すことができる。そのため、表示装置の視認性が向上すると共に、看者の関心を惹きつける効果を奏し、案内板や宣伝広告板としての機能が向上する。
【0019】
第3発明の表示装置によれば、前記表示対象物が、印刷により形成されているので、導光板に凹溝や凸形状を加工する必要がなくなり、表示装置の加工性、生産性が向上し、且つ、表示内容の変更や修正も容易に行うことができるようになる。
【0020】
第4発明の表示装置によれば、前記表示対象物が、二酸化チタンを含有する紫外線硬化インキを用いて印刷されているので、表示内容の形成を容易に行うことができると共に、発光装置の発光色を鮮明に表示することが可能となる。
【0021】
第5発明の表示装置によれば、前記導光板の表面若しくは前記表示対象物が形成された前記表示シートの表面に遮光層を設けたので、周囲の光が導光板に進入することを防止できる。その結果、光表示内容を鮮明に視認できるようになる。
【0022】
第6発明の表示装置によれば、前記発光装置は、赤色、青色及び緑色を発光する複数のLED素子と、制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記各LED素子の発光を調整することにより、前記導光板に導入する光の輝度及び色彩を制御するので、三原色光の合成により、様々な色彩の光で文字等を表示することができる。また、LED素子の採用により、低消費電力で高効率な光表示が可能となる。
【0023】
第7発明の表示装置によれば、人の接近を検知する人感センサを備え、前記人感センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯及び/又は消灯を制御するので、周囲に人がいないときの不要な光表示による電力消費を削減でき、表示装置の効率を更に向上させることができる。また、人の接近を検知して前記発光装置が発する光の輝度及び色彩を制御するので、看者の注意を惹きつけ、より印象的に表示内容を伝達することができる。
【0024】
第8発明の表示装置によれば、周囲の明るさを検知する光量センサを備え、前記光量センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯及び/又は消灯を制御するので、周囲が明るく光表示を必要としない状況における不要な光表示を防止でき、表示装置の電力消費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の概略構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の導光板及び表示シート部の構造を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の導光板支持部及びLED素子取り付け部の構造を示す部分断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る表示装置のLED素子配置を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の発光装置を示す制御ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の概略構造を示す部分断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る表示装置の概略構造を示す正面図である。
【図8】図7におけるX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置1の構造を示す斜視図である。図1(a)は、表示装置1を前面、即ち看者が視認する方向、の斜め上方から見た斜視図であり、(b)は、背面の斜め上方から見た斜視図である。
【0027】
第1の実施形態に係る表示装置1は、透光性の板状部材からなる導光板10と、導光板10の表面10bに貼付される透光性の表示シート30を備え、表示シート30の表面30a(図2参照)には、光表示させる文字、図形、記号等の表示対照物A(以下、適宜「表示A」という。)が印刷されている。また、導光板10は、ケース40によって保持されており、ケース40の内部には、導光板10の下側端面10c(図3参照)に光を照射する発光装置20が収納されている。
【0028】
導光板10は、発光装置20から照射された光を内部に導入し、該光を表示Aまで導くためのものである。導光板10の形状は板状であり、任意の曲げ形状を採用し得るが、本実施形態では平板状である。また、導光板10の厚みは、約10mmである。発光装置20から発せられた光は、図2及び図3に破線矢印Lで示すように、導光板10の下方端面10cから導光板10の内部に進入し、表面10bと表面10aによって反射されて導光板10の内部を進み、表示Aへと照射される。そのため、導光板10の外表面(表面10a、表面10b、端面10c、端面10d、端面10e及び端面10f)には、光の散乱を防止して透過及び反射の効率を向上させるため、磨き仕上げ加工を施している。
【0029】
また、導光板10の端面10d乃至10fは、発光装置からの光を導入する部分ではないので、該表面に反射シートを貼付する等の加工を行い、導光板10の内面における反射効率を高めることも可能である。これにより、導光板10の端面10d乃至10fから外部に逃げる光を減らすことができるので、表示Aの発光輝度を高め、視認性を向上させることができる。
【0030】
本実施形態に係る導光板10の材質は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、即ち所謂アクリル樹脂である。アクリル樹脂は、透明性が高いので、発光装置20から発せられた光を効率よく表示Aへと導くことができ、また、耐衝撃性に優れているので、生産時や使用時の取り扱いも容易である。また、切削加工も容易に行うことができるので、生産性に優れている。尚、導光板10の材質としては、ポリカーボネイト(PC)やポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂材料、或いはガラス等を採用することも可能である。
【0031】
また、本実施形態に係る導光板10の色彩は、無色で透明である。導光板10を無色透明としたので、発光装置20から照射された光を、特定の波長について散乱、減衰させることなく、表示Aへと導くことができる。これにより、発光装置20から照射される光の色彩に基づき、表示Aを鮮明に発光させることができる。尚、美感的な観点から、導光板10に、透光性を損なわない程度の着色をしても勿論構わない。
【0032】
図1(b)に斜視図の部分破断で、また、図2の部分断面図に示すように、導光板10の背面側の表面10bには、表示Aを印刷した表示シート30が貼付されている。導光板10の背面側に表示シート30を貼り付けることとしたのは、看者が導光板10に触れるなどした場合であっても、表示A部分の汚れや脱落を防止することができ、また、導光板10の前面側の汚れ等を布等で容易に拭き取ることができるようするためである。尚、表示Aは導光板10の表面10a側及び表面10b側の何れの方向からも鮮明に視認することができるので、表示シート30を導光板10の前面側の表面10aに貼付することとしても良い。
【0033】
表示シート30は、文字、記号等の表示対照物A(表示A)を表面30aに印刷表示するもので、厚み0.1mmから1.0mm程度のシート状(フィルム状)の形態をしている。表示シート30の材質としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等を採用し得るが、本実施形態では、ポリエチレンテレフタラート(PET)を用いている。ポリエチレンテレフタラート(PET)は、透明性が高く、光の透過性に優れているので、表示Aを鮮明に発光させることができる。他方、ポリプロピレン(PP)は、柔らかく、取り扱いが容易で、加工性に優れている。
【0034】
表示シート30の表面30aには、文字、図形、記号等の表示対照物A(表示A)が印刷されている。他方、表示シート30の裏面30bには、粘着剤31が塗布されている。そして、図2に示すように、表示Aが印刷された表示シート30は、導光板10の背面側の表面10bに、粘着剤31により、貼り付けられている。このように、表示シート30に表示Aを印刷して、導光板に貼付する構成としたので、表示内容の変更や修正を容易に行うことができる。即ち、表示内容を変更する場合には、古い表示内容の表示シート30を導光板10から剥がし、新しい表示Aを印刷した表示シート30を導光板に貼り付ければ良い。
【0035】
表示シート30への表示Aの印刷は、二酸化チタン(TiO2)を顔料として含有する紫外線硬化インキを用いて行われる、所謂UV印刷である。紫外線硬化インキは、皮膜の強度が高く、乾燥硬化時間が短いので、非吸収性素材である樹脂フィルム製の表示シート30への印刷に特に適している。即ち、紫外線を照射することにより、瞬時に強度ある印刷面を形成できるので、印刷時間を大幅に短縮することができ、印刷後の加工性や取り扱い性も向上させることができる。また、顔料としての二酸化チタンの微粒子は、可視光線の略全ての波長に対して乱反射性を有するので、発光装置20から発射された光の色彩通りに表示Aを鮮明に発光させることができる。尚、二酸化チタンは、屈折率が大きく着色力が強いという利点を有するが、これに代えて他の白色顔料、例えば、酸化亜鉛(ZnO)や炭酸カルシウム(CaCO3)等、を用いることも可能である。
【0036】
また、表示Aの印刷方式は、インクジェット方式を採用している。インクジェット方式は、印刷版下の製作が不要なので、小ロット印刷に適している。そのため、個別の用途に応じた表示内容を、短時間で安価に印刷することができる。インクジェット方式は、インクを直接吐出して印刷する方式であるので、印刷面が平坦にならないという欠点がある。しかし、本発明の表示装置1では、前述の通り、二酸化チタン粒子による光散乱効果を利用して表示Aを発光させるので、印刷面が平坦にならないインクジェット方式を採用しても、表示Aを均一且つ鮮明に光表示させることができる。尚、印刷方式として、その他の方式、例えば、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷を採用しても構わない。
【0037】
ケース40は、発光装置20を収納し、導光板10を支持固定するためのものである。ケース40の全体的な概略形状は略箱型であり、曲げ加工した金属板を組み合わせることにより構成されている。図3は、導光板10の下方部分の断面図であり、ケース40によって導光板10が支持されている状態を示している。ケース40の上板41には、上方に曲げ加工された導光板保持部41aが形成されており、導光板保持部41aには、導光板10を固定する固定ボルト45を挿入するための固定穴41hが設けられている。他方、ケース40の底板42は、上方に曲げ加工された導光板保持部42aと、導光板保持部42aに加工された固定穴42hを備えている。また、導光板10の下方部分には、固定穴10hが設けられている。そして、導光板10は、導光板保持部41aと導光板保持部42aによって挟み込まれるように支持され、且つ固定ボルト45及び袋ナット46によって締め付け固定されている。これにより、光を導入する端面10cを遮ることなく、導光板10を強固に支持固定することができる。
【0038】
尚、本実施形態に係るケース40は、展示商品等を載せる台を兼ねているので、ケース40の上板41上面には、展示商品やその他の物品を載せることができる。そして、展示商品等の背面に位置する導光板10に、該展示商品等の説明を光表示させることにより、効果的な展示説明を行うことができるようになる。
【0039】
また、本実施形態に係る表示装置1を、会社の受付等で使用される案内板として使用する場合には、ケース40の上板41上面に内線通話用の電話機を載せ、表示Aとして、部署別の内線番号やその他の案内表示を掲載することもできる。本発明に係る表示装置1は、表示Aを表示シート30に印刷して導光板に貼付しているので、組織変更等に伴う表示内容の変更に対しても容易に対応することができる。
【0040】
図5は、発光装置20の構成を示す制御ブロック図である。発光装置20は、発光源として複数のLED素子21と、LED素子21を発光させるための制御回路22を備えている。また更に、発光装置20は、発光の開始及び停止の指示を入力するためのスイッチ24や、色彩や発光パターンを切り替えるための入力手段25、人の接近を検知するための人感センサ23a、周囲の明るさを検知する光量センサ23b、及び装置に供給された商用100V交流電源を制御回路22で使用する所定電圧の直流電源に変換する電源回路29を備えている。
【0041】
LED素子21は、所謂発光ダイオード(Light Emitting Diode)であり、表示Aを光表示するための光を発するものである。図3に示す通り、LED素子21は、導光板10の下方、且つ、発光軸方向が上方、即ち導光板10の端面10cに向う方向、に配置されている。これにより、LED素子21から発せられた光を効率的に導光板10の内部に導くことができる。
【0042】
ここで、LED素子21は、固定金具43により固定支持されている。そして、固定金具43の固定部43aは、ケース40を構成する底板42の導光板保持部42aに、ネジ留め固定されている。尚、固定金具43の固定方法については、リベットや溶接等の方法も採用し得る。また、固定金具43のガイド部43bは、導光板10の表面10aに平行し、且つ接するように形成されており、これにより、LED素子21から発せられた光が外部に漏れることを防止し、該光を導光板10の内部へ確実に導入させる効果を奏する。尚、図3において、符号27は、透明のシリコーンコーティングであり、LED素子21を保護するためのものである。
【0043】
図4(a)は、LED素子21の配置を示したもので、LED素子21の光軸に対向する方向、即ち表示装置1の上方から見た図である。複数のLED素子21は、所謂チップ型の素子であり、所定の間隔(本実施形態では、16.5mm)で、LED基板26上に配置されている。図4(b)は、LED素子21の配置と前述の固定ボルト45との位置関係を示している。図4(b)も、図4(a)と同様に、表示装置1の上方から見た図である。導光板10を固定する固定ボルト45は、LED素子21の光軸に対向する方向から見て、隣接する素子間の略中央になるように配置されている。これにより、LED素子21から発せられた光が固定ボルト45に遮られることを防止でき、表示Aの均一な発光を可能にしている。
【0044】
また、LED素子21は、赤色発光するLED素子21R、緑色発光するLED素子21G及び青色発光するLED素子21Bから構成されている。そして、制御回路22によって各々のLED素子21R、21G、21Bの発光輝度が調整されるので、発光装置20は、三原色の合成により、様々な色彩の光を発することができる。
【0045】
制御回路22は、LED素子21に素子が発光するための電力を供給し、また、各LED素子21(各色素子21R、21G、21B)の点灯と消灯、発光輝度等を制御するためのものである。制御回路22により、発光させるLED素子21(各色素子21R、21G、21B)の選択や、発光輝度が制御されるので、様々な色彩の光を、様々な点滅パターンで発光させることができ、また、時間と共に色彩を変化させることも可能である。その結果、表示装置1は、効果的な表示伝達機能を発揮することが可能となる。
【0046】
スイッチ24は、所謂電源スイッチであり、発光装置20の点灯と消灯を指示するものである。入力手段25は、発光の色彩や点滅パターンを切り替えるためのものである。本実施形態では、スイッチ24及び入力手段25として、ボタン式のスイッチを採用している。入力手段25を操作することにより、予め設定された色彩や点滅パターンが順次切り替わるので、これにより所望の色彩や点滅パターンを選択することができる。
【0047】
人感センサ23aは、人の接近を検出するためのものであり、焦電型赤外線検知方式のセンサを採用している。人感センサ23aは、ケース40の前面に、該検出方向がケース40の外側を向くように取り付けられている。人感センサ23aによって、表示装置1の近くに人がいるかどうかを判別できるので、周囲に人がいるときのみ発光装置20を発光させることができる。これにより、周囲に人がいないときの不必要な点灯を防止でき、表示装置1の電力消費量を削減することができる。また、人の接近を検出して、表示色や表示パターンを変化させることができるので、看者の注意を惹きつけることができ、表示装置1の宣伝広告機能を向上させることができる。
【0048】
光量センサ23bは、周囲の明るさを検知するものである。光量センサ23bによって、表示装置1周囲の明るさを判別できるので、周囲が暗いときにのみ発光装置20を発光させることができる。これにより、周囲が明るく表示Aの発光が不要な場合における不必要な点灯を防止でき、表示装置1の電力消費量を更に削減することができる。
【0049】
次に、第1の実施形態に係る表示装置1の製造方法の内、特に重要な、表示シート30の貼り付け方法について説明する。
表示シート30と導光板10とは、隙間なく密着していることが求められる。両者の間に隙間、即ち空気層、が残っていると、導光板10と該空気層との境界において、導光板10内部から入射する光が反射され、表示シート30の内部へと進入することが妨げられてしまうからである。表示シート30の内部に進入する光が弱まると、表示Aの視認性が低下してしまう。
【0050】
そこで、表示シート30を導光板10に貼り付ける際には、予め、表示シート30の裏面30b及び導光板10の表面10bに、濃度約5%の中性洗剤水溶液を塗布している。尚、既に説明した通り、表示シート30の裏面30bには、予め、粘着材31が塗布されている。中性洗剤を塗布した後、表示シート30を導光板10の表面10bに貼り付ける。そして、スクレーパ等を表示シート30の表面30aに押し当てて滑らせ、表示シート30と導光板10との間に残った中性洗剤を表示シート30の周辺縁部より外部に掻き出している。これにより、表示シート30と導光板10との間に残った気泡も中性洗剤と共に外部に排出され、表示シート30と導光板10とを密着させることができる。その結果、導光板10内の光が表示シート30へと進入する際の、又は逆に表示シート30内から導光板10へと光が進む際の、境界面における光の反射を抑えることができるので、表示Aを高輝度且つ鮮明に光表示させることができる。
【0051】
次に、第1の実施形態に係る表示装置1の動作について説明する。
表示装置1の発光装置20に電源配線を接続して電源を供給し、スイッチ24をONにすると、制御回路22から予め設定されたLED素子21に対して所定の直流電圧が印加され、所定の輝度で各LED素子21が発光する。前述の通り、LED素子21は、赤色21R、緑色21G,青色21Bの素子を備えているので、必要な色の素子を選択的に発光させることで、発光装置20は、所望の発光色を発することができる。
【0052】
ここで、前述の通り、制御回路22は、人感センサ23aと光量センサ23bによる検出信号に基づき、各LED素子21の点灯と消灯や、輝度、色彩を制御することができるので、周囲の状況に応じて好適な色彩、輝度でLED素子21を発光させることができる。発光のパターンとしては、一定輝度で同じ色を発するのみではなく、時間と共に色彩を変化させたり、輝度を変えたり、或いは所定の間隔で点滅させたり、様々な方法を採用することができる。
【0053】
LED素子21から発射された光は、図3に破線矢印Lで示すように、導光板10の端面10cから、導光板10の内部に進入する。そして、図2に破線矢印Lで示すように、導光板10の表面10a及び表面10bの各内面、若しくは表示シート30の表面30aの内面で反射を繰り返しながら、導光板10の内部を進んで行く。
【0054】
ここで、導光板10の材質はアクリル樹脂であり、屈折率は約1.5である。他方、周囲の空気の屈折率は約1.0であるので、導光板10の端面10cから進入する光の屈折角、即ち端面10cの法線に対する屈折光の角度は、スネルの法則より、約42度以下であることがわかる。他方、同じくスネルの法則により、導光板10の内面における全反射の臨界角度は、約42度と求められる。そのため、導光板10に導入された光は、境界面である表面10a及び表面10bの内面に対して、必ず臨界角度以上の入射角度で入射することになる。その結果、導光板10の内部に進入した光は、境界面となる表面10a及び表面10bの各内面で全反射されることになる。
【0055】
また、表示シート30が貼付されている部分については、表示シート30の材質はポリエチレンテレフタラートであり、該屈折率が約1.6〜1.7であるので、導光板10の内面から当該部分に進入する光の一部は、導光板10から表示シート30の内部へと進入する。そして、表示シート30の表面30aの内面において全反射され、導光板10の内面へと戻ることになる。
【0056】
以上説明のように導光板10の内面を反射を繰返して進んできた光が、表示シート30の表面30aに印刷された表示Aに進入すると、そこで、顔料として存在する二酸化チタン粒子によって散乱され、表示Aが発光する。そして、その散乱光の一部が表示シート30及び導光板10の内面を透過して、表示装置1の前面にいる看者の目に届き、光表示された表示Aが視認されるのである。
【0057】
このように、本実施形態に係る表示装置1では、印刷された表示Aに含まれる顔料によって光が散乱し、表示Aが発光するので、表示A部の微細なインク凹凸形状等による影響を受けにくく、均一で鮮明な光表示をすることが可能となる。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態である第2の実施形態に係る表示装置について、図面に基づき詳細に説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置101の導光板10部の垂直方向部分断面図である。図6において、第1の実施形態に係る表示装置1と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同じ番号を付している。
【0059】
第2の実施形態に係る表示装置101は、表示シート30の表面30a及び表示Aの外表面に遮光層33を備えている。この点が、前述の第1の実施形態に係る表示装置1との相違点である。導光板10、発光装置20、表示シート30及び表示A等は、既に説明した第1の実施形態に係る表示装置1と同一の構成で同一の作用、効果を奏するので、その説明を省略し、第1の実施形態との相違点についてのみ詳細に説明する。
【0060】
本実施形態に係る表示装置101は、遮光層33を備えている。遮光層33は、表示装置1の外部(背面側)から、導光板10内部へ、光が進入することを防止するためのものである。遮光層33は、導光板10の背面側で、表示シート30の表面30a及び印刷によって描かれた表示Aの外側に設けられる。遮光層33は、黒色に着色された薄いシート(フィルム)で、粘着剤によって、表示シート30等に貼付されている。尚、遮光層33として、黒色以外の遮光性フィルムを採用することも可能である。また、遮光層33としてフィルム材を貼付する構成に代えて、表示シート30の表面30a及び表示Aに直接着色塗装して遮光層33を形成しても構わない。
【0061】
尚、既に説明した通り、光表示された表示Aは、導光板10の表面10a側及び10b側、何れの方向からでも視認することができるので、表示シート30を貼付した表面10b側を看者から視認される方向、即ち前面、とすることもできる。そのような構成を採用した場合には、遮光層33は、背面側となる、表示シート30が貼付されていない表面10a側に設けることになる。
【0062】
以上説明のごとく、本実施形態に係る表示装置101は、導光板10の背面側の最外面に遮光層33を設けたので、表示装置101の背面側から導光板10の内部への光の進入を防止できる。その結果、表示装置101の周囲の光に邪魔されずに、表示シート30に印刷された表示Aを、より鮮明に映し出すことができる。また、発光装置20の発光輝度を低くしても、表示Aの視認性を維持することができるので、これにより、表示装置101の電力消費を更に削減することが可能となる。
【0063】
次に、本発明の他の実施形態である第3の実施形態に係る表示装置について、図面に基づき詳細に説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る表示装置201の概略構成図であり、表示装置201を前面から見た図である。図8は、図7に示すX−X断面であり、表示装置201の導光板210保持部及びLED素子221の取り付け部を示している。尚、図7及び図8において、第1の実施形態に係る表示装置1と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同じ番号を付している。
【0064】
本発明の第3の実施形態に係る表示装置201は、LED素子221を導光板210の両側の側面に配置し、端面210e及び端面210fから光を照射する構成としている。この点が、前述の第1乃至第2の実施形態に係る表示装置1及び表示装置101との相違点である。表示シート230及び表示A等は、既に説明した第1の実施形態に係る表示装置1の表示シート30及び表示A等と同一又は同様の構成で同一又は同様の作用、効果を奏するので、その説明を省略し、第1の実施形態との相違点についてのみ詳細に説明する。
【0065】
図7に示すように、本実施形態に係る表示装置201では、導光板210は、両側の側面付近で導光板保持具241、242及び固定ボルト45によって保持されている。具体的には、図8に示すように、導光板保持具241と導光板保持具242との間に導光板210を挟み込むように配置し、固定ボルト45及び袋ナット46によって締め付けることにり、導光板210を支持固定している。尚、図8において、符号210h、241h及び242hは、各々、導光板210、導光板保持具241及び導光板保持具242に設けられたボルト取り付け用の穴を示している。
【0066】
LED素子221は、導光板210の両側の側面部に配置されている。LED素子221は、固定金具243に取り付け固定されており、固定金具243は、導光板保持具241と導光板保持具242にネジ等により固定されている。第1の実施形態に係る表示装置1と同様に、LED素子221は、所定の間隔で複数設けられており、各素子の発光方向が各々の端面210e及び端面210fに対向し、且つ該発光軸が各端面210e及び端面210fの法線と略平行な方向を向くように配置されている。
【0067】
また、LED素子221と固定ボルト45との位置関係についても、第1の実施形態に係る表示装置1のLED素子21と固定ボルト45の位置関係と同様に、LED素子221の発光軸に対向する方向、即ち端面210e及び端面210fの法線方向、から見て、LED素子221と固定ボルト45が重ならないようにしている。
【0068】
導光板210及び発光装置220について、その他の詳細事項は、既に説明した第1の実施形態に係る導光板10及び発光装置20と同一又は同様の構成で同一又は同様の作用、効果を奏するので、その説明を省略する。
【0069】
以上説明の表示装置201によれは、発光装置220で発せられた光を、導光板210両側の端面210e及び端面210fから、導光板210の内部に導入できるので、表示Aを高輝度、且つ均一に表示することができる。特に、導光板210のサイズを大きくし、例えば一辺が1mを超えるような場合であっても、鮮明に表示Aを発光させることが可能になる。その結果、建物の窓や、その他建具のガラス部等へ、光を利用した表示を取り付けることが可能となる。
【0070】
尚、本実施形態では、導光板210の左右両側の端面210e、210fから光を導入することとしたが、他の端面210cや端面210dから光を導入する構成にすることも可能である。そのことにより、表示Aの発光輝度を更に高めることができるので、更に大きなサイズの光表示を行うことが可能になる。また、導光板210の支持固定位置についても、本実施形態では左右両端部付近を支持することとしたが、導光板210の上方部や下方部に変更して、或いは追加して支持固定することもできる。
【0071】
尚、上述の実施形態は、本発明の一具体例を示したものであり、従って本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、種々の変更実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の表示装置は、案内板、展示商品表示板、宣伝広告用その他の看板、表札等、文字、図形、記号等の表示が必要な他の用途においても産業上広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1、101、201・・・表示装置
10、210・・・導光板
20・・・発光装置
21、221・・・LED素子
21R・・・赤色LED素子
21G・・・緑色LED素子
21B・・・青色LED素子
22・・・制御回路(基板)
23a・・・人感センサ
23b・・・光量センサ
30、230・・・表示シート
33・・・遮光層
A・・・表示対象物(表示)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の板状部材からなる導光板と、
前記導光板の端面に光を照射する発光装置と、
前記導光板の表面に貼付される透光性の表示シートと、を備え、
光表示される文字、図形、記号等の表示対象物が、前記表示シートの表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示対象物が、白色インキを用いて描かれていること特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示対象物が、印刷により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2何れか一項記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示対象物が、二酸化チタンを含有する紫外線硬化インキを用いて印刷されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか一項記載の表示装置。
【請求項5】
前記導光板の表面若しくは前記表示対象物が形成された前記表示シートの表面に遮光層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか一項記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光装置は、赤色、青色及び緑色を発光する複数のLED素子と、制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記各LED素子の発光を調整することにより、前記導光板に導入する光の輝度及び色彩を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか一項記載の表示装置。
【請求項7】
人の接近を検知する人感センサを備え、前記人感センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯、消灯、発する光の輝度及び色彩の何れかを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6何れか一項記載の表示装置。
【請求項8】
周囲の明るさを検知する光量センサを備え、前記光量センサによる検出信号に基づき、前記発光装置の点灯、消灯、発する光の輝度及び色彩の何れかを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか一項記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−64806(P2013−64806A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202476(P2011−202476)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(393009323)オグラ金属株式会社 (2)
【Fターム(参考)】