説明

表示装置

【課題】ユーザが蓄電池の電池残量を気にせずに使用できる電子書籍を提供する。
【解決手段】表示装置は、表示部と、1以上の発電機構を含み、表示部に表示される情報の書き換えに必要な電力を発生させる発電部と、全体として略平板状とされるとともに、表示部および発電部を格納する筺体とを備える。1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構による電力の発生とユーザによる入力操作とが、関連づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。本開示は、特に、入力操作などに伴うユーザの動作より発電する機構を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙に印刷することにかえ、各種コンテンツを画像として画面上に表示する電子書籍が知られている。例えば、下記の特許文献1には、ユーザの操作を検知するタッチスクリーンを備える電子書籍が開示されている。電子書籍は、紙媒体の場合と比較して、大量のコンテンツを持ち運ぶことができ、情報の検索も容易であるという利点を有している。
【0003】
一方、電子書籍は、一般的にコンテンツの表示または書き換えなどに電力を必要とするため、電子書籍が駆動用電源として蓄電池などを備えていることが一般的である。したがって、例えば、電子書籍のユーザが戸外でコンテンツを楽しむには、電子書籍の使用の前に、ユーザがあらかじめ蓄電池の充電を行っておく必要がある。
【0004】
電子書籍が蓄電池を電源とする場合、ユーザによる電子書籍の使用に伴う電池残量の低下により、ユーザが電子書籍を使用できなくなることがある。また、ユーザが電子書籍を長時間使用せずにいた場合、自己放電により蓄電池の電池残量が低下し、ユーザが電子書籍を即時に起動できないこともある。電子書籍は、戸外での使用が想定されることから、ユーザが蓄電池の電池残量を気にせずに電子書籍を使用できることが望ましい。
【0005】
電池残量が低下してしまった場合であっても、電子機器の使用を可能とするために、例えば、下記の特許文献2には、本体部に設けられた開閉可能な蓋部の開け閉めの際の衝撃力により発電し、電力を補うようにされた携帯電話が開示されている。下記の非特許文献1には、本体部に設けられた、フリッパー(flipper)と呼ばれる可動部がめくられることにより発電する電子書籍が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示される携帯電話では、携帯電話に必要とされる通話機能の発揮とは直接的に関連のない操作が必要となってしまう。非特許文献1に開示される電子書籍では、フリッパーが設けられることにより、コンテンツを表示するための画面のサイズが制限されてしまう。また、電子書籍の形状が、ユーザが片手で保持しにくい形状となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0050594号明細書
【特許文献2】特開2002−190627号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nadeem Haidary ‘Portfolio’ 15 Bibliofile [online]. Nadeem Haidary, 2009. [retrieved on 2011-7-6]. Retrieved from the Internet: <URL:http://nadeemhaidary.com/bibliofile.html>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ユーザが蓄電池の電池残量を気にせずに電子書籍を使用できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の好ましい実施態様は、
表示装置が、表示部と、発電部と、筺体とを備える。
発電部が、1以上の発電機構を含み、表示部に表示される情報の書き換えに必要な電力を発生させる。
筺体が、全体として略平板状とされるとともに、表示部および発電部を格納する。
1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構による電力の発生とユーザによる入力操作とが、関連づけられる。
【0011】
本開示によれば、表示装置が、1以上の発電機構を含む。また、発電機構による発電が、ユーザによる入力操作と関連づけられている。ユーザによる入力操作とは、ユーザによる表示装置に対して画像の切り替えの指示を与えるための能動的な動作であり、例えば、電子書籍などにおけるページめくりのための入力操作である。すなわち、発電機構は、表示装置のユーザインターフェースを介して、ユーザの入力操作により発電を行う。発電により得られた電力は、表示部に表示される情報の書き換えに使用される。
【0012】
本開示では、表示装置に対して、ユーザにより入力操作が行われるたびに、発電機構が発電を行う。したがって、表示装置の使用の前に、ユーザがあらかじめ蓄電池の充電を行う必要がない。また、発電機構による発電がユーザによる入力操作と関連づけられているため、発電に際して、表示装置の本来の機能の発揮とは直接的に関連のない操作をユーザが行う必要はない。
【0013】
本明細書においては、「電子書籍」は、コンテンツ自体ではなく、コンテンツを表示するための媒体を指すものとする。したがって、本明細書における「電子書籍」には、情報端末などの各種の表示装置が含まれる。また、本明細書においては、「発電機」は、電磁誘導現象を利用したものに限られないものとする。なお、本明細書において、単に「ユーザ」という場合には、「ユーザ」は、電子書籍などの表示装置の操作を行う者を指すものとする。
【発明の効果】
【0014】
少なくとも1つの実施例によれば、ユーザが蓄電池の電池残量を気にせずに使用できる電子書籍を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは、第1の実施形態にかかる電子書籍の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示す電子書籍の底面図である。
【図2】図2は、図1Aおよび図1Bに示す電子書籍の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施形態にかかるディスプレイ部の構成の一例を示す断面模式図である。
【図4】図4Aは、エレクトレットを利用した発電機の一例を示す概略図である。図4Bは、エレクトレットを利用した発電機の他の一例を示す概略図である。図4Cは、回転子における、固定子との対向面を示す平面図である。図4Dは、固定子における、回転子との対向面を示す平面図である。
【図5】図5は、本開示の実施形態にかかる電子書籍における処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6A〜図6Dは、電子書籍のディスプレイ部に表示される画像の一例を示す図である。
【図7】図7Aは、電子書籍の第1の構成例を示す平面図である。図7Bは、電子書籍のVII−VII断面を示す模式図である。
【図8】図8Aは、電子書籍の使用状態を示す概略図である。図8Bは、ユーザが電子書籍の右端側を押しこんだときの電子書籍の断面を示す模式図である。図8Cは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【図9】図9Aおよび図9Bは、発電機がさらに配置された電子書籍の断面を示す模式図である。図9Cは、ページを逆方向に送るためのページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは、上部ユニットがヒンジなどで結合された2つのパネルから構成された電子書籍の断面を示す模式図である。図10Cは、ディスプレイ部に初期画面が表示された電子書籍を示す概略図である。
【図11】図11Aは、電子書籍の第2の構成例を示す平面図である。図11Bは、電子書籍のXI−XI断面を示す模式図である。図11Cは、ユーザが下部ユニットを180°回転させたときの電子書籍を示す平面図である。図11Dは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【図12】図12Aは、背面側に回転部材が配置された電子書籍の構成例を示す概略図である。図12Bは、筺体内に配置されるとともに一部が筺体の外部に露出する回転部材を備えた電子書籍の構成例を示す概略図である。
【図13】図13Aは、電子書籍の第3の構成例を示す概略図である。図13Bは、筺体の一部にトラックボールが配置された電子書籍の構成例を示す概略図である。
【図14】図14Aは、電子書籍の第4の構成例を示す平面図である。図14Bは、電子書籍のXIV−XIV断面を示す模式図である。図14Cは、図14Aに示す電子書籍の背面図である。
【図15】図15Aは、電子書籍の第5の構成例を示す概略図である。図15Bは、筺体の円筒形状の中心軸に垂直な断面を示す模式図である。図15Cは、電子書籍の背面側に表示される画像の例を説明するための概略図である。
【図16】図16Aは、電子書籍の第6の構成例を示す平面図である。図16Bは、電子書籍のXVI−XVI断面を示す模式図である。図16Cは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。図16Dは、逆送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【図17】図17Aは、電子書籍の使用状態を示す概略図である。図17Bは、ロールおよびシートの組と発電機とを2つ備える電子書籍の構成例を示す平面図である。
【図18】図18Aは、電子書籍の第8の構成例を示す概略図である。図18Bは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【図19】図19Aは、電子書籍の第9の構成例を示す平面図である。図19Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。図19Cは、電子書籍に逆送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。図19Dは、逆送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【図20】図20Aは、電子書籍の第10の構成例を示す平面図である。図20Bは、電子書籍に順送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。
【図21】図21Aは、コイルを少なくとも2つ備える電子書籍の構成例を示す平面図である。平面図である。図21Bは、電子書籍に逆送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。
【図22】図22Aは、第2の実施形態にかかる電子書籍の一構成例を示す平面図である。図22Bは、図22Aに示す電子書籍の底面図である。
【図23】図23Aは、電子書籍の第11の構成例を示す平面図である。図23Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【図24】図24Aは、電子書籍の第12の構成例を示す平面図である。図24Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【図25】図25Aは、電子書籍の他の構成例を示す平面図である。図25Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電子書籍を例にとり、表示装置の実施形態について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
[電子書籍の概略的構成]
(ディスプレイ部)
(発電部)
(蓄電部)
(システム制御部)
(筺体)
[電子書籍の動作の概略]
「電子書籍の第1の構成例」
「電子書籍の第2の構成例」
「電子書籍の第3の構成例」
「電子書籍の第4の構成例」
「電子書籍の第5の構成例」
「電子書籍の第6の構成例」
「電子書籍の第7の構成例」
「電子書籍の第8の構成例」
「電子書籍の第9の構成例」
「電子書籍の第10の構成例」
<2.第2の実施形態>
[電子書籍の概略的構成]
(発電部)
[電子書籍の動作の概略]
「電子書籍の第11の構成例」
「電子書籍の第12の構成例」
<3.変形例>
【0017】
なお、以下に説明する実施形態は、表示装置の好適な具体例である。以下の説明においては、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、表示装置の例は、以下に示す実施形態に限定されないものとする。
【0018】
<1.第1の実施形態>
[電子書籍の概略的構成]
図1Aは、第1の実施形態にかかる電子書籍の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示す電子書籍の底面図である。図2は、図1Aおよび図1Bに示す電子書籍の一構成例を示すブロック図である。なお、図1Aおよび図1Bならびに図2では、ディスプレイ部3を駆動するための駆動回路の図示を省略したが、以下の説明においても、同様とする。
【0019】
図1Aおよび図1Bに示すように、第1の実施形態にかかる電子書籍1は、ディスプレイ部3と、発電部5と、ディスプレイ部3および発電部5を格納する筺体7とを備えている。また、本開示の電子書籍1は、必要に応じて、発電部5で発生させた電力を蓄えるための蓄電部9を備える。
【0020】
図1Aに示すように、電子書籍1には、必要に応じて、カメラC1やマイクロフォンM1などが配置される。また、電子書籍1には、必要に応じて、ユーザの入力操作を支援する機能ボタンF1,F2などが配置される。機能ボタンにかえて、タッチセンサなどが配置されていてもよい。図1Bに示すように、例えば、電子書籍1の底部などに、電力を外部に取りだすためのジャックJ1や外部インターフェースIFなどが配置されていてもよい。
【0021】
図1Aおよび図1Bに示すように、本開示の実施形態にかかる電子書籍は、筺体が全体として略平板状とされることにより、ユーザが使用する状態において、略平板状とされる。電子書籍が全体として略平板状であると、ユーザが電子書籍を持ち運びやすく、ユーザが電子書籍の操作を片手で容易に行うことができる。
【0022】
上述したように、電子書籍1は、発電部5を備えている。発電部5は、少なくとも1種の発電機構を備える。発電機構は、例えば、ユーザによる電子書籍の操作に伴う動作(運動エネルギなど)を電気エネルギに変換する。発電部により得られた電力は、例えば、ディスプレイ部に供給され、ディスプレイ部に表示される情報を書き換えるために消費される。ここで、ユーザによる電子書籍の操作に伴う動作とは、具体的には、例えば、いわゆるページめくりである。
【0023】
一般に、電子書籍では、ディスプレイ部に表示された画像の切り替えが紙媒体の書籍などにおけるページめくりに対応するが、電子書籍ではなく、紙媒体の書籍などを愛用する者もいまだ多い。紙媒体の書籍などを愛用する者が多い理由の一つは、電子書籍ではページめくりの感覚が得られにくいためであると推測される。そこで、本開示では、電子書籍に対して画像の切り替えの指示を与えるための能動的な動作と、発電機構による発電とが関連づけられている。
【0024】
したがって、本開示によれば、電子書籍のユーザに対してページめくりの感覚を与えながら、ページめくりに対応する、画像の切り替えなどに必要な電力を得ることができる。すなわち、本開示によれば、電子書籍を戸外で使用する前の充電を必要としないので、電子書籍をより軽量かつ小型で扱いやすいものとすることができる。さらに、本開示によれば、電子書籍がユーザの能動的な動作により発電を行うので、電子書籍の駆動または蓄電池の充電のための特別な動作が必要とされることがない。
【0025】
以下、ディスプレイ部3、発電部5、蓄電部9、システム制御部163および筺体7について、図1Aおよび図1Bならびに図2を参照しながら、順に説明する。
【0026】
(ディスプレイ部)
ディスプレイ部3は、ユーザの指示に応答してコンテンツを表示する。このとき、コンテンツに含まれる文字情報や映像情報は、静止画像としてディスプレイ部3に表示される。ディスプレイ部3に一度に表示される情報は、電子書籍の大きさの制約上、通常、コンテンツ全体の一部である。したがって、電子書籍は、一般的に、ユーザの指示をもとにして複数の画像を切り替えることにより、コンテンツの内容の全てを表示する。
【0027】
ディスプレイ部3における表示方式としては、例えば、電気泳動方式、磁気泳動方式、ツイストボール方式、電子粉流体方式、液晶方式、感熱方式、電解析出方式、エレクトロウェッティング方式、フォトクロミック方式、エレクトロクロミック方式など、特に限定されないが、電子書籍の消費電力を低減する観点から、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えのための消費電力が小さいことが好ましい。蓄電池を不要とする観点から、ディスプレイ部3における表示方式としては、例えば、トナーディスプレイ方式やコレステリック液晶を利用する方式のように、表示された画像の保持のための電力消費がない、または表示された画像の保持のための電力消費が僅かであることが好ましい。
【0028】
なお、ディスプレイ部3は、カラー表示であってもよく、モノクロ表示であってもよい。ディスプレイ部3が、入力操作の可能なタッチパネルとして構成されていてもよい。
【0029】
ディスプレイ部3の情報表示方法の一例として、図3を参照しながら、いわゆるマイクロカプセル電気泳動方式による情報表示方法を以下に説明する。マイクロカプセル電気泳動方式は、一度表示された画像の保持に電力を必要としないため、ディスプレイ部3の情報表示方法として好適である。
【0030】
図3は、第1の実施形態にかかるディスプレイ部の構成の一例を示す断面模式図である。図3に示すディスプレイ183は、上部ユニット187uと、上部ユニット187uに対向して配置された下部ユニット187bと、マイクロカプセル層(媒質層)189とを備える。上部ユニット187uは、透明基材186uおよび透明導電層188uからなり、透明基材186uの主面のうち、下部ユニット187bと対向する主面上に、透明導電層188uが形成されている。同様に、下部ユニット187bは、透明基材186bおよび透明導電層188bからなり、透明基材186bの主面のうち、上部ユニット187uと対向する主面上に、透明導電層188bが形成されている。透明導電層188uと透明導電層188bとの間に、マイクロカプセル層189が配置される。マイクロカプセル層189は、多数のマイクロカプセル180を含み、それぞれのマイクロカプセル180内には、例えば、黒色粒子および白色粒子が分散された透明な液体(分散媒)が封入されている。
【0031】
マイクロカプセル180内の黒色粒子および白色粒子は、例えば、それぞれ正および負に帯電している。そのため、透明導電層188uおよび透明導電層188bに通電して、透明導電層188uと透明導電層188bとの間に電場を発生させることにより、例えば、透明導電層188uに近い側に黒色粒子を選択的に集めることができる。このとき、上部ユニット187u側からディスプレイ183を観察すると、マイクロカプセル180が黒く見えることになる。透明導電層188uと透明導電層188bとの間の電場を反転させると、透明導電層188uに近い側に白色粒子が集まる。そのため、上部ユニット187u側からディスプレイ183を観察すると、マイクロカプセル180が白く見えることになる。したがって、透明導電層188uと透明導電層188bとの間の電場の方向により、黒色または白色を選択的に表現することができる。
【0032】
(発電部)
発電部5は、1以上の発電機構を含む。発電機構は、例えば、発電素子もしくは発電機またはこれらと機械的機構の組み合わせからなり、発電機構は、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作に伴う運動エネルギや熱エネルギなどを電気エネルギに変換する。発電部5が、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作から得られたエネルギを、弾性エネルギや熱エネルギなどとしていったん蓄積し、蓄積したエネルギを必要に応じて電気エネルギへの変換を行う発電システムとして構成されていてもよい。
【0033】
ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作としては、例えば、回す、スライドさせる、振る(揺する)、押す、たたく、曲げる(ひねる)、温めるなどの各種の動作が挙げられる。ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作は、簡易な動作であることが好ましい。
【0034】
電子書籍1において、発電機構の占める容積が、電子書籍1全体に対して大きすぎないことが好ましい。すなわち、例えば、発電機構が可動部分を備える場合、該可動部分の動作が平面内で完結することがより好ましい。
【0035】
発電機構は、例えば、機械的な運動または温度差から電圧を発生させる発電素子を含む。発電素子としては、例えば、圧電素子(モノモルフ型、バイモルフ型、積層型など)、磁歪素子、熱電変換素子(ゼーベック効果やスピンゼーベック効果を利用するものなど)、焦電素子、光起電力素子などが挙げられ、発電素子が、これらの1種以上の組み合わされたハイブリッドタイプの発電素子であってもよい。発電機構が、発電素子と機械的機構との組み合わせによる発電モジュールとして構成されていてもよい。
【0036】
または、例えば、発電機構が、部材間の相対運動により電圧を発生する発電機として構成されていてもよい。部材間の相対運動により電圧を発生する発電機としては、例えば、電磁誘導現象を利用するもの、エレクトレットを利用するものなどが挙げられる。
【0037】
図4Aは、エレクトレットを利用した発電機の一例を示す概略図である。図4Aに示すように、発電機193では、金属などからなる導体基板192とエレクトレット194とが対向して配置されている。エレクトレットは、電荷が打ち込まれた誘電体であり、半永久的に静電場を発生させることができる。エレクトレット194が静電場を形成するため、導体基板192のうち、エレクトレット194と対向する部分には、エレクトレット194が形成する静電場によって誘導電荷が生じる。したがって、例えば、導体基板192またはエレクトレット194を直線運動させて導体基板192とエレクトレット194とが重なり合う部分の面積を変化させると、導体基板192に誘導される電荷量が変化する。すなわち、発電機193の外部に電流が取り出され、負荷190には電流が流れる。導体基板192とエレクトレット194との間の距離が変化する方向に沿って導体基板192またはエレクトレット194を直線運動させるようにしてもよい。
【0038】
なお、機械的な運動から電圧を発生させる場合、直線運動を回転運動に変換して発電を行うことが好ましい。例えば、発電素子または部材に加えられた撃力を利用する場合と比較して、発生する電圧の時間的な変化を緩やかにできるからである。
【0039】
図4Bは、エレクトレットを利用した発電機の他の一例を示す概略図である。図4Bに示すように、発電機195では、円板形状の回転子197と固定子199とが対向して略平行に配置されている。例えば、回転子197が金属などの導体基板を備える円板とされ、固定子199がエレクトレットを備える円板とされる。回転子197がエレクトレットを備える円板とされ、固定子199が金属などの導体基板を備える円板とされてももちろんかまわない。
【0040】
図4Cは、回転子における、固定子との対向面を示す平面図である。図4Dは、固定子における、回転子との対向面を示す平面図である。図4B〜図4Dに示すように、回転子197および固定子199は、ともにパターニングがなされている。例えば、図4Cに示すように、樹脂材料などからなる基材196rの一主面上に導体基板からなる導電部c1、c2、c3およびc4が形成され、回転子197が構成される。また、例えば、図4Dに示すように、樹脂材料などからなる基材196sの一主面上にエレクトレットe1、e2、e3およびe4が形成され、固定子199が構成される。
【0041】
したがって、固定子199に対して回転子197が回転することにより、導体基板とエレクトレットとが重なり合う部分の面積が変化し、導体基板に誘導される電荷量が変化することになり、電流が外部に取り出される。なお、摩擦などによるロスを低減するため、回転子197を支持する軸受として、空気軸受が適用されることが好ましい。
【0042】
直線運動を回転運動に変更する機構としては、例えば、クランク機構、ギア機構などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。発電機構が、ぜんまい、フライホイールなどを備えていてもよい。
【0043】
なお、電子書籍が、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作とは直接的な関連性なしに発電を行う発電素子または発電機をさらに備えていてもよい。具体的には、例えば、電子書籍が、太陽電池や酵素電池、燃料電池、原子力電池、熱電変換素子などの発電素子または電磁波の整流を利用した発電素子などを備えていてもよい。電磁波を利用した発電素子としては、例えば、レクテナ(rectenna:rectifying antenna)などが挙げられる。
【0044】
または、例えば、電子書籍が、ユーザによる電子書籍の持ち運びに伴う振動から電圧を発生させる発電機構をさらに備えていてもよい。ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作とは直接的な関連性なしに発電を行う発電素子または発電機により得られた電力は、例えば、後述する蓄電部に一時的に蓄えられ、必要に応じて電子書籍の駆動のために消費される。
【0045】
(蓄電部)
蓄電部9は、例えば、発電機構により得られた電力を一時的に蓄え、必要に応じて、電子書籍1の各部に電力を供給する。
【0046】
蓄電部9は、例えば、二次電池、キャパシタなどの蓄電デバイスを含む。二次電池としては、例えば、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、鉛電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、ニッケル鉄電池、銀亜鉛電池、ニッケルカドミウム電池、レドックスフロー電池などが挙げられる。もちろん、二次電池は、これらに限定されず、これらの1種以上を組み合わせて用いてもよい。キャパシタとしては、例えば、電気二重層キャパシタ、ナノゲートキャパシタ(「ナノゲート」は、ナノゲートアクチエンゲゼルシャフトの登録商標)、リチウムイオンキャパシタ、ポリアセン系有機半導体(Polyacenic Semiconductor(PAS))キャパシタなどが挙げられる。もちろん、キャパシタは、これらに限定されない。
【0047】
蓄電部9が、二次電池やキャパシタなど、2種以上の蓄電デバイスの組からなる複合的な蓄電システムであることが好ましい。例えば、個々の蓄電デバイスの充放電特性の違いにあわせて、個々の蓄電デバイスを選択的に使用することができるからである。もちろん、蓄電システムが一次電池を含んでいてもよい。
【0048】
(システム制御部)
システム制御部163は、例えば、電源管理部173、制御信号検出部175、中央処理装置177および表示制御部179などから構成され、電子書籍1の各部を制御する。
【0049】
電源管理部173は、例えば、整流回路や平滑回路、昇圧回路、充放電制御回路などを含み、後述する中央処理装置177からの制御信号に応じて、電子書籍1の各部で必要とされる電力を送出する。
【0050】
また、電源管理部173は、発電部5との電気的接続を有している。例えば、発電部5から送出された電流が交流電流である場合には、整流回路および平滑回路を介して、交流電流が直流電流に変換される。発電部5により得られた電力は、いったん電源管理部173に供給され、その後、電源管理部173から電子書籍1の各部へ送出される。また、例えば、電子書籍1が蓄電部9を備える場合、電源管理部173は、発電部5により得られた電力のうち、余剰電力を蓄電部9の蓄電デバイスの充電にあてる。発電部5により得られた電力が、例えば、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えに必要な電力に満たない場合は、電源管理部173は、蓄電部9に蓄えられている電力をディスプレイ部3の駆動のための電力にあてる。
【0051】
電源管理部173は、電子書籍1に内蔵された記憶部167や、外部インターフェースIFに対する給電も行う。外部記憶装置168が外部インターフェースIFに接続される場合には、外部インターフェースIFを介して、外部記憶装置168に電力が供給される。
【0052】
記憶部167は、具体的には、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶媒体であり、ディスプレイ部3に表示されるコンテンツのデータを格納する。データの追加または更新は、例えば、有線または無線の方法により、外部インターフェースIFを介して行われる。例えば、外部インターフェースIFが通信手段を備える場合には、インターネットなどのネットワークNWから、コンテンツのデータを新たに取得することができる。また、例えば、外部記憶装置168が、コンテンツのデータを格納したフラッシュメモリなどの外部記憶装置である場合、例えば、筺体7に設けられたスロットに外部記憶装置168が挿入される。外部記憶装置168は、該スロット内に配置された外部インターフェースIFと接続され、外部記憶装置168に格納されたコンテンツのデータの取得が行われる。
【0053】
制御信号検出部175は、例えば、発電部5やセンサ165からの入力信号をもとにして、電子書籍に対するユーザからの指示の内容の判別を行う。例えば、制御信号検出部175が、発電部5で発生する電圧の変化を検出することにより、発電部5で発生する電力を電気信号として利用するようにしてもよい。発電部5で発生する電力を電気信号として利用することにより、電力線を信号線とすることができ、信号線の省略が可能である。
【0054】
また、センサ165は、例えば、筺体7の現在の移動方向または現在の傾きを検知して制御信号検出部175に通知する。または、例えば、センサ165は、ユーザが現在電子書籍の特定の部分に触れているか否かを検知して制御信号検出部175に通知する。制御信号検出部175は、センサ165からの入力信号により、例えば、電子書籍1がユーザに現在使用されている状態か否かを判別することが可能である。
【0055】
表示制御部179は、記憶部167に格納されたコンテンツのデータの読み出しを行い、ディスプレイ部3の駆動信号を生成して、ディスプレイ部3にユーザの所望する情報を表示させる。
【0056】
中央処理装置177は、プロセッサを含む処理装置であり、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor(DSP))やCPU(Central Processing Unit)として構成される。中央処理装置177は、上述した電源管理部173、制御信号検出部175および表示制御部179の制御を行うとともに、蓄電部9の蓄電池などの電池残量の低下を監視する。
【0057】
(筺体)
筺体7は、上述したディスプレイ部3や発電部5、蓄電部9、システム制御部163などを格納する。ユーザが電子書籍の操作を片手で容易に行えるようにする観点と、ディスプレイ部の表示面積を確保する観点とから、筺体7の形状としては、全体として略平板状であることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、筺体7の一部にくびれなどが形成されていてもよい。筺体7を構成する材料は、例えば、樹脂材料や金属材料などから適宜選択することが可能である。
【0058】
[電子書籍の動作の概略]
次に、図5を参照しながら、本開示の実施形態にかかる電子書籍の動作の概略について説明する。
【0059】
図5は、本開示の実施形態にかかる電子書籍における処理の一例を示すフローチャートである。図5は、システム制御部163による処理の流れの一例を示している。
【0060】
まず、ステップS1において、システム制御部163は、発電部5において起電力が発生したか否かを判断する。発電部5において起電力が発生した場合には、処理はステップS2へと進められる。一方、発電部5において起電力が発生していない場合には、ユーザがページめくりを所望していないということであるから、処理はステップS10へと進められる。
【0061】
次に、ステップS2において、必要に応じて、発電部5から得られた電力が蓄電される。このときの蓄電は、例えば、キャパシタに対する充電などの一時的な蓄電である。
【0062】
次に、ステップS3において、システム制御部163は、発電部5における起電力の発生が、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作に伴うものであるか否かを判断する。発電部5における起電力の発生が、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作に伴うものでない場合、ユーザは電子書籍1の操作を意図していないということなので、処理はステップS4へと進められる。ステップS4においては、発電部5から得られた電力が蓄電部9に供給され、蓄電部9の蓄電デバイスの充電が行われる。発電部5における起電力の発生が、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作に伴うものであると判断された場合には、処理はステップS5へと進められる。
【0063】
次に、ステップS5において、システム制御部163は、発電部5からの入力が電子書籍1の電源OFFのための入力であるか否かを判断する。発電部5からの入力が電子書籍1の電源OFFのための入力である場合には、処理はステップS6へと進められ、電子書籍1の電源が落とされる。一方、発電部5からの入力が電子書籍1の電源OFFのための入力でない場合には、処理はステップS7へと進められる。
【0064】
次に、ステップS7において、システム制御部163は、発電部5からの入力が電子書籍1の電源ONのための入力であるか否かを判断する。発電部5からの入力が電子書籍1の電源ONのための入力である場合には、処理はステップS8へと進められ、電子書籍1が起動状態とされる。例えば、ステップS8において、システム制御部163は、メニュー画面などの初期画面をディスプレイ部3に表示させる。一方、発電部5からの入力が電子書籍1の電源ONのための入力でない場合には、処理はステップS9へと進められる。
【0065】
ステップS9において、システム制御部163は、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えを行う。すなわち、ページめくりが実行される。なお、電子書籍1が起動状態になかった場合に、例えば、ページめくりのための入力など、電源OFFのための入力でもなく、かつ電源ONのための入力でもない入力があったときは、ユーザが電子書籍1の使用を所望していると考えられる。そのため、このような場合には、例えば、前回の使用時に表示されていた情報または初期画面が表示されるようにしておけばよい。
【0066】
ステップS9においてページめくりが実行されると、処理はステップS1に戻される。なお、電子書籍1が起動状態のまま、ユーザが入力操作を行わずに、あらかじめ設定された時間T0が経過した場合、処理はステップS10からステップS6へと進められ、電子書籍1の電源がOFFとされる。
【0067】
図6A〜図6Dは、電子書籍のディスプレイ部に表示される画像の一例を示す図である。電子書籍1が起動状態とされると、図6Aに示すように、例えば、電子書籍1のディスプレイ部3には初期画面が表示される。図6Aに例示する初期画面では、電子書籍1には、「小説」や「辞書」、「漫画」などのコンテンツが保存されていることが示されている。また、ディスプレイ部3の下部には、現在選択状態にあるコンテンツの内容の一部がプレビューされている。
【0068】
ユーザが、電子書籍1に保存されているコンテンツのうちから、例えば、「辞書」を選択するための入力操作を行ったとする。このとき、「辞書」を選択するための入力操作により、発電部5の発電機構が発電を行い、発電部5により得られた電力がディスプレイ部3に供給される。したがって、ディスプレイ部3に表示されている情報が書き換えられ、図6Bに示すように、ディスプレイ部3には、「辞書」の内容が表示される。
【0069】
図6Bに示す例では、「A」、「B」、「C」、・・・などのタブが表示されており、例えば、ユーザが「A」のタブを選択するための入力操作を行うと、発電部5の発電機構による発電と、ディスプレイ部3に表示されている情報の書き換えとが行われる。そして、図6Cに示すように、ディスプレイ部3には、「辞書」の内容のうち、「A」の群に収録された内容が表示される。
【0070】
例えば、ユーザが、電子書籍1に保存されているコンテンツのうちから、例えば、「小説」を選択するための入力操作を行ったとすると、ディスプレイ部3には、図6Dに示すように、「小説」の内容が表示される。このとき、例えば、各章が見出しとして各タブに表示され、ユーザによるタブの選択のための入力操作に伴い、発電部5の発電機構による発電と、ディスプレイ部3に表示されている情報の書き換えとが行われる。すなわち、ユーザが現在どの章のタブを選択しているかの表示が切り替えられる。
【0071】
「電子書籍の第1の構成例」
図7Aは、電子書籍の第1の構成例を示す平面図である。図7Bは、電子書籍のVII−VII断面を示す模式図である。
【0072】
電子書籍11Aは、例えば、図7Aおよび図7Bに示すように、ディスプレイ部3が配置された上部ユニット17uと、上部ユニット17uと1mm〜10mm程度の間隔をもって対向する下部ユニット17bとを備えている。すなわち、上部ユニット17uと下部ユニット17bとの組から電子書籍11Aの筺体17が構成される。
【0073】
下部ユニット17bの左端側と上部ユニット17uの右端側とが、例えば、樹脂材料や金属材料からなる支持部材16により連結されている。同様に、上部ユニット17uの左端側と下部ユニット17bの右端側とが、例えば、樹脂材料や金属材料からなる支持部材18により連結されている。支持部材16および支持部材18は、例えば、平板形状とされ、支持部材16および支持部材18は、支持部材16の主面と支持部材18の主面とがなす交線を軸として回転自在に保持されている。支持部材16および支持部材18は、弾性を有するものとされ、具体的には、板ばねとして機能する。
【0074】
また、図7Bに示すように、電子書籍11Aの左端側における、上部ユニット17uと下部ユニット17bの間には、発電素子15aが配置され、電子書籍の右端側における、上部ユニット17uと下部ユニット17bの間には、発電素子15bが配置されている。発電素子15aおよび発電素子15bは、例えば、圧電素子など、力が加わることにより電圧を発生させる発電素子である。なお、図7Aおよび図7Bでは、蓄電部やシステム制御部などの図示を省略したが、特に断りがない限り、以下の説明においても同様とする。
【0075】
図8Aは、電子書籍の使用状態を示す概略図である。図8Bは、ユーザが電子書籍の右端側を押しこんだときの電子書籍の断面を示す模式図である。図8Cは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。図8Aに示すように、電子書籍11Aの使用時において、ユーザは、電子書籍11Aの左端側および右端側の少なくとも一方をつかむことにより、電子書籍11Aを保持する。いま、上部ユニット17uおよび下部ユニット17bは、たわまない程度の剛性を有しているものとする。すると、電子書籍11Aの上部ユニット17uと下部ユニット17bとが、弾性を有する支持部材16および支持部材18により連結されているので、ユーザは、電子書籍11Aの左端側または右端側を、上部ユニット17uと下部ユニット17bとが互いに近づくように押しこむことができる。
【0076】
図8Bに示すように、ユーザが、例えば、電子書籍11Aの右端に圧力P1を加えて電子書籍11Aの右端側を押しこむと、ユーザの押しこみ動作により、発電素子15bに力が加わる。発電素子15bは、加えられた力に応じた電圧を発生させる。したがって、電子書籍は、ユーザによる押しこみ動作から発電を行い、電力を得る。
【0077】
ユーザによる押しこみ動作により得られた電力は、例えば、電源管理部173に供給される。電源管理部173は、制御信号検出部175に対して、発電素子15bから供給された電力の一部を供給する。制御信号検出部175は、電源管理部173からの信号を入力として、または、電源管理部173からの電力の供給を入力として、発電素子15bから電力の供給があったことを中央処理装置177に通知する。中央処理装置177は、表示制御部179に対して制御信号を送出する。中央処理装置177からの制御信号を受け取った表示制御部179は、記憶部167からの情報の読み出しを行う。電源管理部173は、ディスプレイ部3に対して、ディスプレイ部3に現在表示されている画像を切り替えるための電力を供給する。表示制御部179は、ディスプレイ部3に現在表示されている画像を新たな画像に書き換える。したがって、ユーザによる押しこみ動作により、電子書籍11Aにおけるページめくりが実行されたことになる。
【0078】
図9Aおよび図9Bは、発電機がさらに配置された電子書籍の断面を示す模式図である。図9Cは、ページを逆方向に送るためのページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。図9Aおよび図9Bに示すように、電子書籍11Bの左端と右端との中央部分に、発電機15cがさらに配置されていてもよい。発電機15cは、例えば、回転子および固定子を有するものとされる。また、回転子の回転軸は、例えば、支持部材16または支持部材18の回転軸と一致するものとされ、回転子は、支持部材16または支持部材18の回転に従って回転する。したがって、ユーザによる押しこみ動作に伴って回転子が回転することとなり、発電機15cから電力が得られる。
【0079】
なお、発電素子による発電で得られた電力がディスプレイ部3に表示される情報の書き換えに必要な電力を超えていた場合、余剰な電力は、例えば、蓄電部に蓄えられる。一方、発電素子による発電で得られた電力がディスプレイ部3に表示される情報の書き換えに必要な電力に満たなかった場合に、蓄電部に蓄えられている電力を補うようにしてもよい。
【0080】
ところで、ページめくりとしては、ページを順方向に送るためのページめくり(以下、順送りという。)と、ページを逆方向に送るためのページめくり(以下、逆送りという。)とが考えられる。順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、電子書籍の右端側の押し込みと左端側の押し込みとにそれぞれ対応させることができる。
【0081】
図9Bに示すように、ユーザが、例えば、電子書籍11Bの左端に圧力P2を加えて電子書籍11Bの左端側を押しこむと、ユーザの押しこみ動作により、発電素子15aに力が加わる。発電素子15aは、加えられた力に応じた電圧を発生させる。一方、発電素子15bに対しては、発電素子15aに加えられた力とは逆方向の力が加わることになる。すなわち、押し込み動作がなされたのが、電子書籍の右端側と左端側のどちらであるかは、例えば、発電素子15a、発電素子15bまたは発電機15cで発生した電圧の極性から判定することが可能である。言い換えれば、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、発電素子15a、発電素子15bまたは発電機15cで発生した電圧の極性から判定することが可能である。
【0082】
図10Aおよび図10Bは、上部ユニットがヒンジなどで結合された2つのパネルから構成された電子書籍の断面を示す模式図である。図10Cは、ディスプレイ部に初期画面が表示された電子書籍を示す概略図である。図10Aおよび図10Bに示すように、電子書籍の上部ユニットが、例えば、ヒンジなどで結合された複数個のパネルから構成されるようにしてもよい。図10Aおよび図10Bに示す構成例は、左右に並べられ、ヒンジHにより結合されたパネル17Lおよびパネル17Rから上部ユニットが構成された電子書籍の例である。この場合、電子書籍11Cは左右に並んだ2つのディスプレイ部を備えるものとなり、上部ユニットは、ヒンジHの部分を軸として折り曲げが可能である。
【0083】
上部ユニットにかえて、下部ユニットが、例えば、ヒンジなどで結合された複数個のパネルから構成されるようにしてもよい。この場合、上部ユニットに備えられるディスプレイ部の表示面を、ヒンジなどによる断絶のないフラットな表示面とすることができる。
【0084】
または、上部ユニットに可撓性を有するディスプレイ部を配置し、上部ユニットが全体として可撓性を有するユニットとして構成されていてもよい。この場合、下部ユニットは、可撓性を有していてもよいが、たわまない程度の剛性を有していることが好ましい。発電素子として圧電素子などを用いる場合には、圧電素子に対して、押す力が確実に伝達することが好ましいからである。
【0085】
図7Aおよび図7B、図8A〜図8C、図9A〜図9Cならびに図10Aおよび図10Bに示す構成例では、ユーザの動作に複数種類の入力を対応させることも可能である。例えば、電子書籍の右端側の押し込みに対しては第1の入力を、電子書籍の左端側の押し込みに対しては第2の入力を、電子書籍の右端側および左端側の押し込みに対しては第3の入力を割り当てることも可能である。例えば、第1の入力、第2の入力および第3の入力を、順送りのための入力、逆送りのための入力、電子書籍の起動のための入力にそれぞれ割り当てるといったことも可能である。
【0086】
例えば、図10Bに示すように、ユーザが電子書籍11Cの左端および右端に圧力P1、P2をそれぞれ加えて電子書籍11Cの左端側および右端側を押しこむと、図10Cに示すように、電子書籍11Cのディスプレイ部に初期画面が表示される。
【0087】
図7Bでは、2つの発電素子が、電子書籍の左端側および右端側に配置された構成例を示したが、上部ユニットと下部ユニットとの間に、さらに多くの発電素子を配置するようにしてもよい。例えば、電子書籍の左上隅、右上隅、左下隅および右下隅に4つの発電素子を配置した場合には、さらに多くの入力を割り当てることが可能である。例えば、電子書籍の右下隅の押し込みに対しては1ページ単位、電子書籍の右上隅の押し込みに対しては10ページ単位など、ページめくりの枚数を個別に設定することも可能である。押しこみ動作が行われる部位の組み合わせ方に応じて、個々の入力を割り当てるようにしてもよい。
【0088】
さらに、発電素子または発電機からの入力電圧に対して多段階のしきい値を設定しておくことにより、発電素子または発電機で発生した電圧の大きさに応じて、複数の入力を割り当てることも可能である。
【0089】
なお、ユーザの意図しないページめくりが実行されることを防止するため、ユーザによる押しこみ動作が、いわゆるダブルクリックに相当する場合にのみページめくりが実行されるようにしてもよい。または、ユーザによる押しこみ動作が、あらかじめ設定された時間を超えて継続する場合にのみページめくりが実行されるようにしてもよい。そのほか、押しこみ動作が行われる部位とは別の部位に設けられた機能ボタンなどが押さえられており、かつユーザによる押しこみ動作があった場合にのみページめくりが実行されるようにしてもよい。
【0090】
また、例えば図7Bでは、支持部材16および支持部材18が、1つの回転軸を中心にして回転自在に保持された構成例を示したが、2以上の支持部材を互いに干渉しない形状としたうえで、2以上の支持部材を交差させて配置してもよい。支持部材は、例えば、弾性を有するものとされるが、支持部材にかえ、または、支持部材とともに、上部ユニットと下部ユニットの間にそれぞれコイルばねを配置するようにしてもよい。
【0091】
例えば図7Bでは、電子書籍11Aが、発電素子15aおよび発電素子15bを備える構成例を示したが、発電素子15aおよび発電素子15bのうちの一方が省略されてももちろんかまわない。なお、発電の方式は、静電型や電磁型、逆磁歪型、圧電型など、いずれであってもよい。
【0092】
上述のように、電子書籍は、ユーザによる押しこみ動作から発電を行い、電力を得る。言い換えれば、本開示では、ユーザによるページめくりのための入力操作により、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得るための発電が行われる。本開示によれば、電子書籍が、内蔵した発電素子または発電機から電力を得てディスプレイ部に表示される情報の書き換えを行うため、電子書籍を使用する前の充電を必要とせずに、電子書籍におけるページめくりを実現することができる。
【0093】
「電子書籍の第2の構成例」
図11Aは、電子書籍の第2の構成例を示す平面図である。図11Bは、電子書籍のXI−XI断面を示す模式図である。図11Cは、ユーザが下部ユニットを180°回転させたときの電子書籍を示す平面図である。図11Dは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【0094】
電子書籍21Aは、例えば、図11Aおよび図11Bに示すように、ディスプレイ部3が配置された上部ユニット27uと、上部ユニット27uと重なり合うようにして配置された下部ユニット27bとを備えている。すなわち、上部ユニット27uと下部ユニット27bとの組から電子書籍21Aの筺体27が構成される。下部ユニット27bは、例えば、上部ユニット27uに対して回転自在とされ、該回転軸は、例えば、上部ユニット27uの中心に位置し、上部ユニット27uの主面に垂直な軸と一致される。上部ユニット27uと下部ユニット27bとの間には、例えば、発電機25が配置される。発電機25は、例えば、固定子25sおよび回転子25rの組からなる。例えば、電子書籍21Aの上部ユニット27uには固定子25sが配置され、上部ユニット27uに対する下部ユニット27bの回転軸と回転軸を共通にして、回転子25rが電子書籍21Aの下部ユニット27bに配置される。
【0095】
電子書籍21Aの下部ユニット27bが、上部ユニット27uに対して回転自在とされているので、ユーザは、電子書籍21Aの下部ユニット27bを、例えば、上部ユニット27uに対して180°回転させることができる。
【0096】
図11Cに示すように、ユーザが、例えば、電子書籍21Aの下部ユニット27bを上部ユニット27uに対して180°回転させると、上部ユニット27uと下部ユニット27bの間に発電機25が配置されているため、ユーザによる下部ユニット27bの回転動作により、発電機25が、発電を行う。したがって、電子書籍21Aは、ユーザによる下部ユニット27bの回転動作から発電を行い、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0097】
図11Aおよび図11Bに示す構成例では、上部ユニット27uに対して、下部ユニット27bが電子書籍21Aのディスプレイ部3の主面と平行な面内で回転する。そのため、ディスプレイ部3の主面と垂直な面内で回転する場合と比較して、下部ユニット27bの回転動作に必要なスペースを小さくすることができる。
【0098】
順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、電子書籍の上部ユニットに対する下部ユニットの時計回りの回転と反時計回りの回転とにそれぞれ対応させることができる。すなわち、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、例えば、発電機で発生した電圧の極性から判定することが可能である。または、例えば、電子書籍に、2つの発電機とワンウェイクラッチ(スプラグクラッチ(Sprag clutch)ともいう。)とを含む発電ユニットを配置し、下部ユニットの回転方向に応じて、どちらか一方の発電機のみが発電を行うように構成してもよい。
【0099】
なお、上部ユニットに対して回転自在とされる部材の形状は、上部ユニットと同一の形状に限定されない。例えば、上部ユニットに対して回転自在とされる部材(以下、回転部材と適宜称する。)の形状を、円板形状としてもよい。
【0100】
図12Aは、背面側に回転部材が配置された電子書籍の構成例を示す概略図である。図12Bは、筺体内に配置されるとともに一部が筺体の外部に露出する回転部材を備えた電子書籍の構成例を示す概略図である。例えば、図12Aに例示する電子書籍21Bでは、電子書籍21Bの筺体27Dの背面側に回転部材28dが配置されている。図12Aに示す構成例によれば、ユーザは、電子書籍21Bを片手で保持しながら、指先のみでページめくりのための入力操作を行うことができる。
【0101】
または、例えば、図12Bに示すように、回転部材29dを電子書籍21Cの筺体27Eの内部に配置し、筺体27Eに設けられた切り欠き部から回転部材29dの一部が覗くようにしてもよい。この場合、ユーザは、回転部材29dの一部に対して、回転部材29dを回転させるための力を与えることができる。
【0102】
「電子書籍の第3の構成例」
図13Aは、電子書籍の第3の構成例を示す概略図である。図13Bは、筺体の一部にトラックボールが配置された電子書籍の構成例を示す概略図である。
【0103】
電子書籍31Aには、例えば、図13Aに示すように、筺体37Aの一部に、回転自在とされた円筒状のダイヤル(以下、ジョグダイヤルと称する。)39Jが配置されている。また、電子書籍31Aの内部には、ジョグダイヤル39Jの回転に伴って発電を行う発電機35Jが配置されている。ジョグダイヤル39Jは、ユーザが電子書籍31Aを保持する場合において、ユーザの親指が添えられる部分の近く、または、ユーザの人差し指が添えられる部分の近くに配置されていることが好ましい。ユーザが電子書籍31Aを片手で保持した場合であっても、ユーザが容易にページめくりのための入力操作を行えるからである。
【0104】
ユーザが、例えば、ジョグダイヤルを回転させると、電子書籍の内部には、ジョグダイヤルの回転に伴って発電を行う発電機が配置されているため、ユーザによるジョグダイヤルの回転動作により、発電機が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによるジョグダイヤルの回転動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0105】
ここで、ジョグダイヤルを回転させる方向としては2通りの方向が考えられる。したがって、順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とを、ジョグダイヤルの2つの回転方向にそれぞれ対応させることができる。
【0106】
図13Bに示すように、ジョグダイヤルにかえて、筺体の一部にトラックボールが配置されていてもよい。図13Bに示す構成例では、電子書籍31Bの筺体37Bの一部にトラックボール39Tが配置されている。電子書籍31Bの内部には、トラックボール39Tの回転に伴って発電を行う発電機35Tが配置される。
【0107】
「電子書籍の第4の構成例」
図14Aは、電子書籍の第4の構成例を示す平面図である。図14Bは、電子書籍のXIV−XIV断面を示す模式図である。図14Cは、図14Aに示す電子書籍の背面図である。
【0108】
図14A〜図14Cに示すように、電子書籍41は、例えば、筺体47の内部に、平行に配置された少なくとも2つのローラを備えている。筺体47は、例えば、ディスプレイ部3が配置された上部ユニット47uと、上部ユニット47uと対向して配置された下部ユニット47bとから構成される。図14A〜図14Cに示す構成例では、上部ユニット47uと下部ユニット47bとの間に、回転軸が電子書籍41の左右方向に対して平行とされたローラ42aおよびローラ42bが配置されている。また、電子書籍41の内部には、ローラ42aまたはローラ42bの回転に伴って発電を行う発電機45が配置されている。
【0109】
また、ローラ42aおよびローラ42bの外側には、ローラ42aおよびローラ42bの回転に連動して移動するベルト44が巻きつけられている。ベルト44の一部は、例えば、電子書籍41の筺体47の背面側(下部ユニット47b側)に設けられた開口部Apから露出している。したがって、ユーザは、電子書籍41の筺体47の背面側から、ベルト44の一部に直接触れることができる。
【0110】
ユーザが、例えば、ベルト44を送ることにより、ローラ42aおよびローラ42bを回転させると、電子書籍41の内部には、ローラ42aまたはローラ42bの回転に伴って発電を行う発電機45が配置されているため、発電機45が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによるベルトの送り動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0111】
ベルトを送る方向(筺体の内部に配置されたローラを回転させる方向)としては2通りの方向が考えられる。したがって、順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とを、ローラの回転方向にそれぞれ対応させることができる。ジョグダイヤルを回転させる場合と比較して、ローラとベルトの組み合わせを利用することにより、ユーザによる入力操作から、より大きな電圧を得ることが可能である。
【0112】
「電子書籍の第5の構成例」
図15Aは、電子書籍の第5の構成例を示す概略図である。図15Bは、筺体の円筒形状の中心軸に垂直な断面を示す模式図である。図15Cは、電子書籍の背面側に表示される画像の例を説明するための概略図である。
【0113】
図15Aおよび図15Bに示すように、電子書籍51は、例えば、略円筒形状とされた筺体57と、筺体57の外周面に巻きつけられるようにして配置された、可撓性を有するディスプレイ部53とを備えている。また、電子書籍51の内部には、ディスプレイ部53の回転に伴って発電を行う発電機または発電素子が配置されている。ディスプレイ部53は、例えば、筺体57に対して、画面の上下方向または左右方向に回転自在とされている。なお、筺体57の円筒形状の中心軸は、画面の上下方向と平行とされていてもよいし、画面の左右方向と平行とされていてもよい。
【0114】
電子書籍51は、図15Bに示すように、例えば、ディスプレイ部53と筺体57との間に、発電機55を備えている。電子書籍51に備えられた発電機55は、ディスプレイ部53および筺体57の相対運動を利用して発電を行う。
【0115】
例えば、ディスプレイ部53の裏面(筺体57と対向する側の面)にエレクトレットを、筺体57の外周面に導体基板をそれぞれ配置しておけば、筺体57に対してディスプレイ部53を筺体57の外周面に沿って回転させることにより、静電誘導による発電が可能である。エレクトレットと導体基板とを、磁石とコイルとに置き換えれば、電磁誘導による発電が可能となる。
【0116】
発電機にかえ、または発電機とともに、ディスプレイ部53と筺体57との間に発電素子を配置してもよい。例えば、ディスプレイ部53と筺体57との間に圧電素子を配置しておけば、ユーザがディスプレイ部53を回転させようとするときに、圧電素子に力が加わるようにすることもでき、したがって、圧電効果による発電が可能となる。さらに、例えば、ディスプレイ部53と筺体57との間に熱電変換素子を配置しておけば、ディスプレイ部53の回転に伴って発生した摩擦熱を利用した熱電発電が可能となる。
【0117】
ユーザが、例えば、筺体に対してディスプレイ部を回転させると、電子書籍の内部には、ディスプレイ部の回転に伴って発電を行う発電素子または発電機が配置されているため、ユーザによるディスプレイ部の回転動作により、発電素子または発電機が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによるディスプレイ部の回転動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0118】
なお、上述した構成によれば、巻物のように、一方向に連なった一連の情報を途切れなく表示することも可能である。また、上述した構成によれば、例えば、ディスプレイ部53に表示される画像のうち、ユーザに対向する側、すなわち電子書籍51の表面側にはユーザの所望するコンテンツを表示させ、電子書籍51の裏面側には他の情報を表示させることもできる。例えば、図15Cに示すように、ユーザが電子書籍51を使用している状態で、電子書籍51の裏面側に、広告を表示させることもできる。または、電子書籍51の裏面側に、ユーザの指定した絵柄などを表示させたりすることも可能である。
【0119】
「電子書籍の第6の構成例」
図16Aは、電子書籍の第6の構成例を示す平面図である。図16Bは、電子書籍のXVI−XVI断面を示す模式図である。図16Cは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。図16Dは、逆送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【0120】
電子書籍61は、例えば、図16Aおよび図16Bに示すように、ディスプレイ部3が配置された上部ユニット67uと、下部ユニット67bとを備え、下部ユニット67bが、上部ユニット67uと重なり合うようにして配置されている。すなわち、図16Aおよび図16Bに示す構成例では、ディスプレイ部3が配置された上部ユニット67uと、上部ユニット67uと対向して配置された下部ユニット67bとから、筺体67が構成されている。
【0121】
図16Bに示すように、上部ユニット67uと下部ユニット67bとは、例えば、ガイドレール69aおよびガイドレール69bの組からなるスライド機構を介して接続される。したがって、下部ユニット67bは、例えば、上部ユニット67uに対して、左方向または右方向に平行にずらすことができるようにされている。また、電子書籍61の内部には、上部ユニット67uに対する下部ユニット67bのスライドに伴って発電を行う発電機65が配置されている。
【0122】
発電の方式としては、静電型や電磁型、逆磁歪型、圧電型など、いずれであってもよいが、下部ユニットは、上部ユニットに対して直線運動を行うので、発電機65としては、例えば、エレクトレットを利用した発電機が好適である。発電機を軽量に構成することができるからである。図16Bに示す構成例では、上部ユニット67uに固定された導電基板62と、導電基板62に対向するようにして下部ユニット67bに固定されたエレクトレット64とから発電機65が構成されている。
【0123】
図16Cに示すように、ユーザが、例えば、電子書籍61の上部ユニット67uに対して下部ユニット67bを右側にスライドさせると、上部ユニット67uと下部ユニット67bの間に発電機65が配置されているため、ユーザによる下部ユニット67bのスライド動作により、発電機65が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによる下部ユニットのスライド動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。なお、スライドさせられた下部ユニットは、もとの位置に戻される必要があるが、発電部は、下部ユニットのもとの位置への移動からも発電を行うことができる。
【0124】
順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、電子書籍の上部ユニットに対する下部ユニットの右方向への移動と左方向への移動とにそれぞれ対応させることができる。すなわち、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、例えば、発電機で発生した電圧の極性から判定することが可能である。例えば、図16Dに示すように、ユーザが、電子書籍61の上部ユニット67uに対して下部ユニット67bを左側にスライドさせると、逆送りが実行される。
【0125】
「電子書籍の第7の構成例」
図17Aは、電子書籍の使用状態を示す概略図である。図17Bは、ロールおよびシートの組と発電機とを2つ備える電子書籍の構成例を示す平面図である。
【0126】
電子書籍71Aは、例えば、図17Aに示すように、筺体77の内部に、ロール76Rと、ロール76Rに巻きつけられたシート76Sとを備えている。シート76Sは、例えば、その一端がロール76Rに固定され、シート76Sの他端は、筺体77に設けられた開口部を介して、筺体77の外部に引き出せるようにされている。なお、シートにかえてリボンやロープなどを使用してもよい。
【0127】
ロール76Rは、例えば、電子書籍71Aの上下方向に対して平行とされた回転軸を中心として回転自在とされ、シート76Sの巻き取りおよび引き出しに伴って回転する。また、電子書籍71Aの内部には、ロール76Rの回転に伴って発電を行う発電機75が配置されている。
【0128】
図17Aに示すように、ユーザは、例えば、図17Aに示す矢印Sの方向に沿って、シート76Sの一端を筺体77の外部に引き出すことができる。ユーザが、例えば、シート76Sの一端を筺体77の外部に引き出すと、電子書籍71Aの内部には、ロール76Rの回転に伴って発電を行う発電機75が配置されているため、発電機76が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによるシートの引き出し動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。なお、筺体の外部に引き出されたシートは、ロールの内部に配置されたコイルばねなどの復元力により、シートを引き出すための力がなくなると自動的にロールに巻き取られるようにされている。したがって、電子書籍の内部に配置された発電機は、シートの巻き取りの際も発電を行うことができる。
【0129】
ユーザによるシートの引き出し動作と、順送りおよび逆送りのための入力操作とを対応付けるには、例えば、図17Bに示すように、電子書籍に、ロールおよびシートの組と、発電機とを少なくとも2つ設けることが簡便である。図17Bに示す電子書籍71Bは、ロール、シートおよび発電機の組を2つ備える電子書籍の例である。すなわち、電子書籍71Bは、筺体77Dの内部に、ロール76Ra,76Rbと、ロール76Ra,76Rbにそれぞれ巻きつけられたシート76Sa,76Sbと、ロール76Ra,76Rbの回転に伴ってそれぞれ発電を行う発電機75a,75bとを備えている。ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、例えば、2つの発電機のうち、いずれの発電機で発電が行われたかにより判定することが可能である。
【0130】
「電子書籍の第8の構成例」
図18Aは、電子書籍の第8の構成例を示す概略図である。図18Bは、ページめくりが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【0131】
電子書籍81は、例えば、可撓性を有する筺体87および可撓性を有するディスプレイ部83を備え、電子書籍81は、図18Aおよび図18Bに示すように、全体として折り曲げができるように構成されている。また、電子書籍81の内部には、電子書籍81がたわむことにより発電を行う発電層85が配置されている。
【0132】
発電層85としては、例えば、圧電材料からなる層や、人工筋肉(Electroactive Polymer Artificial Muscle(EPAM))またはポリマアクチュエータなどの、静電分極を起こす材料からなる層、磁歪材料と薄膜コイル(金属薄膜などにより形成されたコイル)との組からなる発電層などが挙げられる。人工筋肉は、例えば、シート状のエラストマの両面に、伸び縮み可能な電極が形成された素子である。
【0133】
図18Bに示すように、ユーザが、例えば、電子書籍81の左端側および右端側をつかみながら電子書籍81を曲げると、電子書籍81が発電層85を備えるため、ユーザによる電子書籍81の曲げ動作により、発電層85が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによる電子書籍の曲げ動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0134】
順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、電子書籍の左右方向に対する曲げと上下方向に対する曲げとにそれぞれ対応させることができる。または、例えば、電子書籍の表面側(ディスプレイ部がユーザと対向する側)を圧縮方向とする曲げと電子書籍の表面側を引っ張り方向とする曲げとにそれぞれ対応させることができる。
【0135】
そのほか、順送りにおける情報の書き換えに必要な電力を得るための発電層と、逆送りにおける情報の書き換えに必要な電力を得るための発電層とを分離して形成するようにしてもよい。発電層において発生した電圧の分布を信号処理することにより、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかを判定するようにしてもよい。
【0136】
「電子書籍の第9の構成例」
図19Aは、電子書籍の第9の構成例を示す平面図である。図19Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。図19Cは、電子書籍に逆送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。図19Dは、逆送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【0137】
電子書籍91は、例えば、発電部95としての熱電変換素子を備えている。熱電変換素子の高温側接点95Htまたは低温側接点95Ltは、例えば、筺体97の外部の少なくとも一部に直接露出または熱伝導体を介して露出している。熱伝導体としては、例えば、ヒートパイプや熱伝導シート、銅やアルミニウムなどからなるブロックなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
電子書籍91の使用時に、ユーザが、例えば、電子書籍91の裏面側を支えるようにして、左手で電子書籍91の左端側を持っているとすると、電子書籍91のうち、ユーザの触れる部分(電子書籍91の左端側)とそうでない部分との間に、温度差が生じる。例えば、ユーザの触れる部分がユーザの体温により温められ、電子書籍91の裏面が、電子書籍91の表面より高温となることが想定される。
【0139】
このとき、例えば、熱電変換素子の高温側接点95Htが、電子書籍91の裏面に露出し、熱電変換素子の低温側接点95Ltが、電子書籍91の表面に露出していたとする。すると、熱電変換素子は、電子書籍91の裏面と表面との間に生じる温度差により発電し、ユーザが電子書籍91を使用する間は、熱電変換素子による発電が継続する。熱電変換素子から得られる電力は、例えば、蓄電部99に蓄えられる。
【0140】
図19Bに示すように、例えば、ユーザがさらに右手で電子書籍91の裏面に触れると、ユーザからの熱電変換素子への熱流束は増加する。すなわち、熱電変換素子による発電量が増加することとなる。例えば、熱電変換素子が発生させる電圧の増加を検知することにより、電子書籍91は、ユーザがページめくりを所望していると判定することができる。この場合、電子書籍91は、熱電変換素子により発生した電圧の増加を検知すると、電子書籍91は、例えば、蓄電部99に蓄えられた電力を利用して、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えを実行する。
【0141】
また、図19Cに示すように、例えば、ユーザが右手で電子書籍91の表面に触れると、電子書籍91の裏面と表面との間の温度差が小さくなる。すなわち、熱電変換素子による発電量が減少することとなる。この場合も、熱電変換素子が発生させる電圧の減少を検知することにより、電子書籍91は、ユーザがページめくりを所望していると判定することができる。
【0142】
また、順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、熱電変換素子による発電量の増加と減少とにそれぞれ対応させることができる。言い換えれば、ユーザが電子書籍のどこを触れるかによって、ユーザは、電子書籍の入力操作を行うことができる。複数個の熱電変換素子を電子書籍に配置すれば、より多くの入力操作を設定することも可能である。
【0143】
「電子書籍の第10の構成例」
図20Aは、電子書籍の第10の構成例を示す平面図である。図20Bは、電子書籍に順送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。
【0144】
電子書籍101Aには、例えば、図20Aに示すように、筺体7の内部に、十分に巻き数の大きいコイル105cが1以上配置されている。
【0145】
第10の構成例では、ユーザは、例えば、指輪状や指サック状の操作補助具105rを指に装着する。操作補助具105rには、例えば、希土類磁石などの残留磁束密度の比較的大きな磁石が内蔵されている。
【0146】
図20Bに示すように、操作補助具105rを装着したユーザが、例えば、操作補助具105rが電子書籍101Aに内蔵されたコイル105cに近接するようにしながら、指を動かしたとする。すると、操作補助具105rとコイル105cとにより発電機105が構成され、電磁誘導現象により、コイル105cが起電力を発生させる。
【0147】
すなわち、電子書籍に内蔵された1以上のコイルは、電子書籍の外部の操作補助具との間で相対運動を行うことにより、発電機として機能する。したがって、電子書籍は、ユーザによる、いわゆるフリック動作から発電を行い、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得る。
【0148】
順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、筺体の内部に配置されたコイルに対する、操作補助具の右方向への移動と左方向への移動とにそれぞれ対応させることができる。すなわち、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、例えば、筺体の内部に配置されたコイルで発生した電圧の極性から判定することが可能である。
【0149】
または、ユーザによるフリック動作と、順送りおよび逆送りのための入力操作とを対応付けるには、電子書籍に、コイルを少なくとも2つ設けることが簡便である
【0150】
図21Aは、コイルを少なくとも2つ備える電子書籍の構成例を示す平面図である。平面図である。図21Bは、電子書籍に逆送りを指示するためのユーザの入力動作を説明するための図である。
【0151】
図21Aおよび図21Bに示す電子書籍101Bには、例えば、筺体7の内部に、十分に巻き数の大きいコイル105caおよびコイル105cbが配置されている。したがって、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかは、例えば、図21Aおよび図21Bに示すコイル105caおよびコイル105cbのうち、いずれのコイルで発電が行われたかにより判定することが可能である。そのほか、それぞれのコイルにおいて発生した電圧の分布を信号処理することにより、ユーザの意図するページ送りが順送りまたは逆送りのいずれであるかを判定するようにしてもよい。
【0152】
<2.第2の実施形態>
[電子書籍の概略的構成]
図22Aは、第2の実施形態にかかる電子書籍の一構成例を示す平面図である。図22Bは、図22Aに示す電子書籍の底面図である。
【0153】
図22Aおよび図22Bに示すように、第2の実施形態にかかる電子書籍2は、ディスプレイ部3と、発電部6と、ディスプレイ部3および発電部6を格納する筺体8とを備えている点で、第1の実施形態と共通する。電子書籍2には、必要に応じて、ユーザの入力操作を支援する機能ボタンF3などや、ユーザとの接触を検知するタッチセンサSE1などが配置される。
【0154】
ここで、第2の実施形態にかかる電子書籍2は、蓄電部9を備えるとともに、発電部6が、少なくとも、電子書籍に加えられた振動により発電を行う発電機構を含む。第2の実施形態では、ユーザによる電子書籍の持ち運びに伴う振動によっても発電を行い、このときに得られる電力を蓄電部に蓄える。
【0155】
(発電部)
図22Aに示す発電部6は、少なくとも、振動により発電する発電機構を含んでいる。振動により発電する発電機構としては、例えば、コイルおよび該コイルの内部を移動自在とされた磁石または磁性流体の組からなる発電機、導電基板および電子書籍の面内方向に移動自在とされたエレクトレットの組からなる発電機、圧電素子および電子書籍の内部で移動自在とされた金属球などの組からなる発電機などが挙げられる。または、例えば、一端におもりが取りつけられた圧電バイモルフからなるカンチレバーにより電力を得るようにしてもよい。上述した構成によれば、発電機構は、低い振動数の振動や不規則な振動によっても発電が可能である。
【0156】
[電子書籍の動作の概略]
電子書籍2が、少なくとも、電子書籍2に加えられた振動から電力を得る発電部6を備えるため、ユーザが電子書籍2を持ち運ぶことにより電子書籍2に振動が伝わると、発電部6は、加えられた振動に応じて電圧を発生させる。ユーザによる電子書籍2の持ち運びに伴う振動により得られた電力は、蓄電部9に蓄えられる。
【0157】
電子書籍2に対して、電子書籍2を起動するための入力操作や、ページめくりのための入力操作がなされると、システム制御部163の制御のもとに、蓄電部9に蓄えられていた電力が電子書籍2の各部に送出される。なお、電子書籍2に対してページめくりのための入力操作がなされた場合において、ページめくりのための入力操作により得られる電力が、ディスプレイ部3に表示される情報の書き換えに必要な電力を超える場合には、蓄電部9に蓄えられた電力は消費されない。
【0158】
第2の実施形態によれば、ユーザによる電子書籍の持ち運びにより、蓄電部への充電が行われるため、ディスプレイ部における表示方式として、表示された画像の保持のための電力消費がトナーディスプレイ方式などと比較して大きい表示方式を適用することもできる。また、図22Bに示すように、電子書籍2に電力取り出し用のジャックJ1を設けておけば、電子書籍2を携帯用電源として使用することもできる。
【0159】
「電子書籍の第11の構成例」
図23Aは、電子書籍の第11の構成例を示す平面図である。図23Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す概略図である。
【0160】
電子書籍111Aは、例えば、図23Aに示すように、筺体8の内部に、コイル116cおよび該コイル116cの内部を移動自在とされた磁石116mの組からなる発電機116を備えている。
【0161】
ユーザが、例えば、かばんなどに電子書籍111Aを入れて持ち運ぶと、電子書籍111Aには、ユーザの歩行などに伴って振動が加わる。そのため、発電機116が、ユーザの歩行などに伴う振動により発電を行う。なお、電子書籍111Aの不使用時において発電機116が発電した電力は、蓄電部9にいったん蓄えられる。
【0162】
電子書籍の使用時において、ユーザが、例えば、電子書籍を上下に振ると、電子書籍の内部には、加えられた振動に応じて発電を行う発電機が配置されているため、ユーザによる電子書籍の加振動作により、発電機が、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによる電子書籍の加振動作から発電を行うとともに、ディスプレイ部に表示する情報を書き換える。ユーザによる電子書籍の加振動作から得られた電力が、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力に満たなかった場合には、蓄電部に蓄えられていた電力が、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに使用される。
【0163】
上述の構成例では、ユーザによる電子書籍111Aの持ち運びにより発電が行われるため、電子書籍111Aの持ち運び時に、電子書籍111Aが誤動作することも考えられる。そこで、電子書籍が、誤動作防止機能を備えていることが好ましい。例えば、電子書籍が、現在ユーザにより使用されている状態(第1の状態)であるか、現在ユーザにより使用されていない状態(第2の状態)であるかを判定したうえでページめくりなどを実行することが好ましい。
【0164】
例えば、図23Aおよび図23Bに示すように、電子書籍111Aの筺体8に機能ボタンF3などを設けておき、ユーザが機能ボタンF3を押しながら電子書籍111Aを振る場合にのみ、ディスプレイ部3に表示される情報が書き換えられるようにしてもよい。または、例えば、電子書籍111Aが、ユーザとの接触を検知するタッチセンサSE1などを備え、タッチセンサSE1からの入力および振動による発電があった場合に、ディスプレイ部3に表示される情報が書き換えられるようにしてもよい。
【0165】
なお、電子書籍が、ユーザによる電子書籍の加振動作に対して、電子書籍の移動方向を検知できることが好ましい。例えば、電子書籍が加速度センサやジャイロセンサなどのセンサ165を備えるようにし、電子書籍が移動方向または傾きを検知するようにしてもよい。
【0166】
例えば、ユーザが電子書籍を振るときに、電子書籍がはじめに移動した方向が鉛直上方であるか鉛直下方であるかに応じて、順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とをそれぞれ対応させることができる。または、例えば、電子書籍が複数個のタッチセンサを備える場合には、ユーザがいずれのタッチセンサに触れているかに応じて、複数種類の入力操作が割り当てられていてもよい。
【0167】
なお、電子書籍が加速度センサやジャイロセンサなどのセンサ165を備える場合、センサ類の入力を解析して、ユーザや電子書籍の姿勢を推定することにより、電子書籍が現在使用状態にあるか否かを判定するようにしてもよい。
【0168】
「電子書籍の第12の構成例」
図24Aは、電子書籍の第12の構成例を示す平面図である。図24Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【0169】
図24Aおよび図24Bに示すように、電子書籍が、ユーザによる電子書籍の持ち運びに伴う振動により発電を行う発電部と、ページめくりのための入力操作により発電を行う発電機構とを備えていてもよい。
【0170】
図24Aおよび図24Bに例示する電子書籍121では、電子書籍121が、ユーザによる電子書籍の持ち運びに伴う振動により発電を行う発電部126を備えている。また、電子書籍121は、筺体128の一部に可動部128maおよび可動部128mbを備えている。例えば、筺体128の左下側および右下側にそれぞれ設けられた可動部128maおよび可動部128mbは、筺体128の中心方向に向かって押しこむことが可能とされている。また、可動部128maおよび可動部128mbは、筺体128の中心方向に向かって押しこまれると、例えば、ばね機構などにより、もとの位置に復帰するように構成されている。
【0171】
筺体128の内部において、筺体128の左下側および右下側には、例えば、圧電素子125aおよび圧電素子125bが、それぞれ配置されている。圧電素子125aは、可動部128maと筺体128の中心との間に配置され、可動部128maが筺体128の中心方向に向かって押しこまれると、圧電素子125aに力が加わるようにされている。同様に、圧電素子125bは、可動部128mbと筺体128の中心との間に配置され、可動部128mbが筺体128の中心方向に向かって押しこまれると、圧電素子125bに力が加わるようにされている。
【0172】
図24Bに示すように、ユーザが、例えば、可動部128mbを手のひらにぶつけるなどして可動部128mbに衝撃力P3を与えると、圧電素子125bに力が加わるため、ユーザによる電子書籍121のたたき動作により、圧電素子125bが、発電を行う。したがって、電子書籍は、ユーザによる電子書籍のたたき動作を入力として、ディスプレイ部に表示する情報を書き換える。
【0173】
順送りのための入力操作と逆送りのための入力操作とは、例えば、可動部128mbに対するたたき動作と可動部128maに対するたたき動作とにそれぞれ対応させることができる。
【0174】
以上に説明したように、本開示によれば、電子書籍が発電機構を備えるため、ユーザが電子書籍の使用の前にあらかじめ蓄電池の充電を行う必要がなく、ユーザは、蓄電池の電池残量を気にせずに電子書籍を使用することができる。また、本開示では、電子書籍に対する画像の切り替えの指示を与えるための能動的な動作と発電とが関連づけられているため、ユーザは、特別な動作を必要とせずに電子書籍を駆動させることができる。したがって、本開示によれば、電子書籍は、ユーザによるページめくりのための入力操作により、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えを実現することができる。
【0175】
さらに、本開示の構成によれば、電子書籍の形状を、例えば、平板状などの、ユーザが片手で保持しやすい形状とすることができるとともに、電子書籍の画面サイズを犠牲にすることもない。
【0176】
<3.変形例>
以上、好適な実施形態について説明してきたが、好適な具体例は、上述した説明に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0177】
例えば、ユーザによる画像の切り替えの指示のための動作に伴う運動エネルギや熱エネルギなどをいったん蓄積しておき、ユーザによる画像の切り替えの指示の最終段において、蓄積されたエネルギを電気エネルギに変換するようにしてもよい。
【0178】
図25Aは、電子書籍の他の構成例を示す平面図である。図25Bは、順送りが実行された後の電子書籍を示す平面図である。
【0179】
図25Aおよび図25Bに示すように、電子書籍131は、例えば、ぜんまい139fなどからなるばね機構139、筺体138の外部に露出したレバー138Rおよびストッパ138Sを備えている。
【0180】
ユーザが、例えば、レバー138Rをスライドさせると、レバー138Rは、ストッパ138Sによりスライド後の位置において保持される。このとき、レバー138Rの移動に伴い、ばね機構139のぜんまい139fが巻きあげられ、ユーザの動作に伴う運動エネルギが、ばね機構139のぜんまい139fに蓄積される。
【0181】
ユーザがストッパ138Sを解除すると、ぜんまい139fに蓄積されたエネルギが解放されるとともに、発電部135により、解放されたエネルギが電気エネルギに変換される。発電部135の発電方式は特に限定されず、例えば、上述の実施形態で挙げられた方式の適用が可能である。上述した例では、ユーザによるストッパ138Sの解除が、ユーザによる画像の切り替えのための入力操作に対応する。なお、ユーザがストッパ138Sを解除することにより、レバー138Rはもとの位置に戻る。
【0182】
また、例えば、電子書籍が、ぜんまいの自動巻き機構(automatic winding mechanism)を備えるようにしてもよい。このような自動巻き機構は、例えば、半導体製造技術の応用またはメカトロニクス技術の微小化により得られる微小電気機械システム(microelectromechanical system(MEMS))として構成されることも可能である。
【0183】
電子書籍が自動巻き機構を備える場合、ユーザが電子書籍を持ち運ぶことで電子書籍に振動が伝わると、該振動により、ぜんまいを巻き上げることができる。すなわち、電子書籍は、電子書籍に加えられた振動から得られるエネルギをぜんまいに蓄えておくことができる。
【0184】
ぜんまいに蓄えられたエネルギを、ユーザによる電子書籍の操作にあわせて解放させて電気エネルギに変換することにより、電子書籍は、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得ることができる。
【0185】
上述した例では、蓄電を必要とせずに、ディスプレイ部に表示する情報を書き換えるために必要な程度の電力を発生させ、ページめくりの機能を実現することが可能となる。
【0186】
または、例えば、運動エネルギから電気エネルギへの変換の間に、熱エネルギへの変換を介在させてもよい。すなわち、摩擦運動を利用したり、スターリングエンジンや熱音響エンジンなどの外燃機関を利用したりすることにより、運動エネルギをいったん熱エネルギに変換し、熱電変換素子や熱電子発電素子(熱電子発電器)などに熱エネルギを供給して発電を行わせるようにしてもよい。
【0187】
上述の実施形態で例示したように、ユーザが熱電変換素子に温度差を与えるなど、電子書籍への入力操作に熱の移動を利用する場合は、エネルギの蓄積機構として、例えば、蓄熱材を利用することも可能である。すなわち、蓄電池に電気エネルギを蓄積することにかえ、または蓄電池に電気エネルギを蓄積するとともに、蓄熱材に熱エネルギを蓄積しておくこともできる。
【0188】
蓄熱材に蓄えられた熱エネルギを、ユーザによる電子書籍の操作にあわせて解放させて電気エネルギに変換することにより、電子書籍は、ディスプレイ部に表示される情報の書き換えに必要な電力を得ることができる。熱エネルギから電気エネルギへの変換において、外燃機関または内燃機関を利用してもよい。
【0189】
上述した例によっても、蓄電を必要とせずに、ディスプレイ部に表示する情報を書き換えるために必要な程度の電力を発生させ、ページめくりの機能を実現することが可能となる。
【0190】
なお、電子書籍が、独立した領域ごとに複数の発電機構からなる発電システムを備えるようにすれば、各発電機構が独立しているため、発電システムを安定化させることが可能である。
【0191】
また、例えば、電子書籍が、電磁誘導現象を利用した電力伝送装置または磁場共鳴もしくは電場共鳴による電力伝送装置を備えるようにしてもよい。電子書籍が、通信機能を備える表示端末であってもよい。
【0192】
本開示の技術は、電子書籍のほかに、例えば、ラップトップ型コンピュータ、携帯情報端末(personal digital assistance(PDA))、スマートフォン、携帯電話、電子辞書、電子手帳などにも適用が可能である。また、本開示の技術は、可搬性のある表示装置だけでなく、建築物に設置されたデジタルサイネージなどにも適用が可能である。
【0193】
なお、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。上述の実施形態の構成、方法、形状、材料および数値などは、本開示の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0194】
例えば、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
表示部と、
1以上の発電機構を含み、前記表示部に表示される情報の書き換えに必要な電力を発生させる発電部と、
全体として略平板状とされるとともに、前記表示部および前記発電部を格納する筺体と
を備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構による電力の発生とユーザによる入力操作とが、関連づけられる表示装置。
(2)
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、振動により電力を発生させる(1)に記載の表示装置。
(3)
蓄電部をさらに備え、
前記発電部により得られた電力が、前記蓄電部に蓄えられる(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)
第1の状態および第2の状態を有するとともに、前記第1の状態と前記第2の状態とが、前記筺体の少なくとも一部がユーザに接触しているか否かに応じて切り替えられる(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の表示装置。
(5)
前記筺体の現在の移動方向または現在の傾きを検知するセンサをさらに備え、
第1の状態および第2の状態を有するとともに、前記第1の状態と前記第2の状態とが、前記センサの出力に応じて切り替えられる(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の表示装置。
(6)
前記発電部により得られた電力が、前記第1の状態および前記第2の状態のうちの一方の状態において、前記蓄電部に蓄えられる(4)または(5)に記載の表示装置。
(7)
前記筺体に対して移動自在または回転自在とされた可動部材をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記筺体と前記可動部材との間の相対運動から発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(8)
前記筺体と前記可動部材との間の相対運動が、前記表示部の主面と平行な面内における運動である(7)に記載の表示装置。
(9)
前記筺体が、第1の部材および第2の部材からなるとともに、前記第1の部材および前記第2の部材の間に配置される弾性機構をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記第1の部材に対して前記第2の部材の少なくとも一部が傾けられることにより発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(10)
前記筺体に設けられた開口部から一部が外部に露出する回転体をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記回転体の回転により発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(11)
ローラの組と、
前記ローラの組の外周面に配置されるとともに、前記ローラの組を構成する個々のローラの回転に従って移動自在とされ、前記筺体に設けられた開口部から一部が外部に露出するベルトと
をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記ローラの組を構成するローラのうち、少なくとも1のローラの回転により発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(12)
前記発電部および前記筺体が、可撓性を有し、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記発電部に加えられる屈曲により発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(13)
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記筺体における第1の領域と前記筺体における第2の領域との間の温度差により発電を行う(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の表示装置。
(14)
前記表示部に表示される情報の書き換え指示のための信号が、前記1以上の発電機構のうちの少なくとも1の発電機構により発生させられる、電気信号としての電力である(1)ないし(13)のいずれか1項に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0195】
1,2・・・電子書籍
3・・・ディスプレイ部
5,6・・・発電部
7,8・・・筺体
9・・・蓄電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
1以上の発電機構を含み、前記表示部に表示される情報の書き換えに必要な電力を発生させる発電部と、
全体として略平板状とされるとともに、前記表示部および前記発電部を格納する筺体と
を備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構による電力の発生とユーザによる入力操作とが、関連づけられる表示装置。
【請求項2】
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、振動により電力を発生させる請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
蓄電部をさらに備え、
前記発電部により得られた電力が、前記蓄電部に蓄えられる請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
第1の状態および第2の状態を有するとともに、前記第1の状態と前記第2の状態とが、前記筺体の少なくとも一部がユーザに接触しているか否かに応じて切り替えられる請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記筺体の現在の移動方向または現在の傾きを検知するセンサをさらに備え、
第1の状態および第2の状態を有するとともに、前記第1の状態と前記第2の状態とが、前記センサの出力に応じて切り替えられる請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発電部により得られた電力が、前記第1の状態および前記第2の状態のうちの一方の状態において、前記蓄電部に蓄えられる請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記筺体に対して移動自在または回転自在とされた可動部材をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記筺体と前記可動部材との間の相対運動から発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記筺体と前記可動部材との間の相対運動が、前記表示部の主面と平行な面内における運動である請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記筺体が、第1の部材および第2の部材からなるとともに、前記第1の部材および前記第2の部材の間に配置される弾性機構をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記第1の部材に対して前記第2の部材の少なくとも一部が傾けられることにより発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記筺体に設けられた開口部から一部が外部に露出する回転体をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記回転体の回転により発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
ローラの組と、
前記ローラの組の外周面に配置されるとともに、前記ローラの組を構成する個々のローラの回転に従って移動自在とされ、前記筺体に設けられた開口部から一部が外部に露出するベルトと
をさらに備え、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記ローラの組を構成するローラのうち、少なくとも1のローラの回転により発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記発電部および前記筺体が、可撓性を有し、
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記発電部に加えられる屈曲により発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記1以上の発電機構のうち、少なくとも1の発電機構が、前記筺体における第1の領域と前記筺体における第2の領域との間の温度差により発電を行う請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示部に表示される情報の書き換え指示のための信号が、前記1以上の発電機構のうちの少なくとも1の発電機構により発生させられる、電気信号としての電力である請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−64921(P2013−64921A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204304(P2011−204304)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】