説明

表示装置

【課題】高い直流電圧を印加してもコロイド粒子が凝集して固着するのを防止可能な表示装置を低コストに提供する。
【解決手段】表示装置10は、少なくとも可視光領域の光を透過する表示電極13と、表示基板に間隙をもって対向して配置された背面電極14と、各電極13,14間に挟持されたコロイド結晶溶液15と、各13,14電極とコロイド結晶溶液15との界面に介在された誘電体液膜16とを備える。コロイド結晶溶液15は、液体の分散媒15a中に分散質である多数個のコロイド粒子15bが所定間隔で周期的に配列されて形成されたコロイド結晶構造を備える。誘電体液膜16は、コロイド結晶溶液15と混合せず、コロイド結晶溶液15中に流入しない性質を有する誘電体の液体から成る薄膜である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、詳しくは、構造色による発色機構を利用した表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、構造色による発色機構を利用した表示装置がある。
構造色とは、特定の周期構造を有する材料(周期構造体)において、ブラッグの法則に基づき特定の波長の光を干渉反射することにより得られるものである。
そして、特定の周期構造を有する材料として、コロイド粒子によるコロイド結晶が知られている。
【0003】
非特許文献1には、コロイド結晶に電圧を印加し、コロイド結晶の構造色を制御する技術が開示されている。
特許文献1には、コロイド結晶に電極を接触させて直流電圧を印加した際に、電極とコロイド結晶との界面にコロイド粒子が凝集して固着してしまい、コロイド結晶の構造色が制御不能になるのを防止するため、電極の表面に固体の誘電体膜を形成しておく技術が開示されている(段落[0072]〜[0075]参照)。
【0004】
特許文献2には、空隙構造として多孔質構造を有する周期構造体に隣接して第1流体(移動流体)を配置し、周期構造体に電圧を印加して空隙構造に第1流体を吸収させたり、周期構造体への電圧印加を解除して空隙構造から第1流体を排出させことにより、空隙構造内の屈折率を変化させて周期構造体の構造色を変化させる技術が開示されている。
尚、特許文献2には、周期構造体として、コロイド結晶、ブロック共重合体のミクロドメイン構造、界面活性剤のラメラ構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−304871号公報
【特許文献2】特開2008−46359号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ADVANCED MATERIALS.2010,22.4973-4977
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術では、電極の表面に固体の誘電体膜を形成しておいても、電極に印加する直流電圧を高くすると、固体の誘電体膜とコロイド結晶との界面にコロイド粒子が凝集して固着してしまい、コロイド結晶の構造色が制御不能になるという問題がある。
【0008】
特許文献2の技術では、空隙構造として多孔質構造を有する周期構造体を作製するのに手間がかかるため製造コストが高くなるという問題がある。
【0009】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、高い直流電圧を印加してもコロイド粒子が凝集して固着するのを防止可能な表示装置を低コストに提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0011】
<第1の局面>
第1の局面は、
少なくとも可視光領域の光を透過する表示電極と、
前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面電極と、
前記各電極の間に挟持されたコロイド結晶溶液と、
前記各電極と前記コロイド結晶溶液との界面に介在された誘電体液膜と
を備えた表示装置であって、
前記コロイド結晶溶液は、液体の分散媒の中に分散質である多数個のコロイド粒子が所定間隔で周期的に配列されて形成されたコロイド結晶構造を備え、
前記誘電体液膜は、前記コロイド結晶溶液と混合せず、前記コロイド結晶溶液の中に流入しない性質を有する誘電体の液体から成る薄膜である表示装置である。
【0012】
第1の局面によれば、各電極間に印加する直流電圧を高くしても、誘電体液膜とコロイド結晶溶液との界面にコロイド粒子が凝集して固着することが無いため、コロイド結晶溶液の構造色が制御不能になるのを防止できる。
その理由は、コロイド粒子が電気泳動によって移動する際に、コロイド結晶溶液と誘電体液膜との界面に平行な方向へのコロイド粒子の移動を、誘電体液膜が阻害しないためであると考えられる。
それに対して、特許文献1の技術のように、各電極の表面に固体の誘電体膜を形成した場合には、コロイド粒子の移動を固体の誘電体膜が阻害するため、各電極間に印加する直流電圧を高くすると、固体の誘電体膜とコロイド結晶溶液との界面にコロイド粒子が凝集して固着してしまうと考えられる。
そして、第1の局面では、誘電体液膜でコロイド結晶溶液を覆う構造を容易に実現可能であるため、特許文献2の技術に比べて製造コストを低減することができる。
【0013】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、前記誘電体液膜で覆われた前記コロイド結晶溶液が封入された密閉カプセルを備え、前記密閉カプセルは固体の誘電体膜から成り、前記各電極の間に前記密閉カプセルが挟設されている表示装置である。
【0014】
第2の局面によれば、固体の誘電体膜から成る密閉カプセルを設けることで、各電極間からコロイド結晶溶液および誘電体液膜が流出するのを確実に防止すると共に、コロイド結晶溶液の分散媒が蒸発するのを確実に防止できる。
【0015】
<第3の局面>
第3の局面は、第1または第2の局面において、前記各電極の間に挟設された隔壁部材を備え、前記各電極および前記隔壁部材で囲まれた空間内に、前記誘電体液膜で覆われた前記コロイド結晶溶液が封入されている表示装置である。
【0016】
第3の局面によれば、隔壁部材を設けることで、各電極間からコロイド結晶溶液および誘電体液膜が流出するのを確実に防止すると共に、コロイド結晶溶液の分散媒が蒸発するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の表示装置10の概略構成を示す概略縦断面図。
【図2】本発明を具体化した第2実施形態の表示装置20の概略構成を示す概略縦断面図。
【図3】本発明を具体化した第3実施形態の表示装置30の概略構成を示す概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略する。
また、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは異なっている。
【0019】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態の表示装置10は、表示基板11、背面基板12、表示電極13、背面電極14、コロイド結晶溶液15(分散媒15a、コロイド粒子15b)、誘電体液膜16などから構成されており、直流電圧印加装置Eに接続されている。
【0020】
表示基板11は、少なくとも可視光領域の光を透過する透明な絶縁材料(例えば、ガラス、合成樹脂など)の板材によって形成されている。
背面基板12は、絶縁材料(例えば、ガラス、合成樹脂など)の板材によって形成されている。
各基板11,12は間隙を空けて対向して配置されている。
【0021】
表示基板11の内面には表示電極13が形成され、背面基板12の内面には背面電極14が形成され、各電極13,14はそれぞれ各基板11,12の対向する面に形成されている。
表示電極13は、少なくとも可視光領域の光を透過する透明な導電材料(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)など)の薄膜によって形成されている。
背面電極14は、導電材料(例えば、ITO、FTO、その他の金属、導電性樹脂など)の薄膜によって形成されている。
直流電圧印加装置Eは、表示電極13および背面電極14に対して電気的に接続され、各電極13,14間に直流電圧を印加する。
【0022】
各電極13,14間には、誘電体液膜16で全体が覆われたコロイド結晶溶液15が挟持されている。
コロイド結晶溶液15は、液体の分散媒15a中に分散質である多数個のコロイド粒子15bが所定間隔で周期的に配列されて形成されたコロイド結晶構造を備える。
第1実施形態の表示装置10では、分散媒15aとしてプロピレンカーボネートを用い、コロイド粒子15bとしてシリカナノ粒子を用いている。
【0023】
分散媒15aは、コロイド粒子15bの表面特性に応じて定まり、分散状態では分散媒15aとコロイド粒子15bとの親和性が高く、凝集状態では分散媒15aとコロイド粒子15bとの親和性が低くなる特性を有する液体が用いられ、コロイド粒子15bの電気泳動に必要な電位勾配を与えるために絶縁性を有することが好ましい。
【0024】
誘電体液膜16は、十分な耐熱性および絶縁性を有すると共に、コロイド結晶溶液15と混合せず、コロイド結晶溶液15中に流入しない性質を有する液体の薄膜によって形成され、各電極13,14間にて表面張力によりコロイド結晶溶液15全体を覆っている。
第1実施形態の表示装置10では、誘電体液膜16としてシリコンオイルを用いている。
すなわち、誘電体液膜16で覆われたコロイド結晶溶液15は、オイルカプセル構造になっている。
そして、各電極13,14とコロイド結晶溶液15との界面に誘電体液膜16が介在されている。
【0025】
コロイド結晶溶液15のコロイド結晶構造によれば、コロイド粒子15bの粒子配列の周期と同程度の波長の光をブラッグ反射し、それに起因して特定の波長の光が増幅されて、その特定の波長の光(いわゆる構造色)を発することができる。
このようなブラッグ反射による構造色の色調は、コロイド結晶構造を形成する粒子配列の周期に依存するため、粒子配列の周期を適宜設定することで所望の色調の構造色が得られる。さらに、粒子配列の周期を変化させることにより、構造色の色調も変化させることができる。
尚、コロイド粒子15bの配列における規則性は、特に限定されないが、例えば、面心立方構造、体心立方構造、単純立方構造などにすればよく、特に面心立方構造(六方最密充填構造)が好ましい。
【0026】
コロイド粒子15bに応じて予め定められた電気泳動に必要な電圧範囲(泳動電圧範囲)の直流電圧が各電極13,14間に印加され、各電極13,14間に所定の電界強度以上の電界が形成されることにより、その電界強度に応じて分散媒15a中をコロイド粒子15bが電気泳動して移動する。
そして、分散媒15a中のコロイド粒子15bの移動により、コロイド粒子15b間の距離が変化して粒子配列の周期をも変化することにより、コロイド結晶溶液15の構造色が変化する。
【0027】
このとき、各電極13,14間に印加する直流電圧を、例えば0〜50Vの電圧範囲で高くするにつれて、コロイド結晶溶液15の構造色は、赤色→緑色→青色→無色透明の順番で変化する。
また、各電極13,14間に逆方向の直流電圧を印加すると、コロイド結晶溶液15の構造色が可逆的に変化する。
これにより、分散媒15a中のコロイド粒子15bの電気泳動による移動と、コロイド結晶構造を形成する粒子配列の周期の変化との両立が可能であり、各電極13,14間に印加する直流電圧の電圧値および方向を制御することで、コロイド結晶溶液15の構造色を自由に制御可能なことがわかる。
コロイド結晶溶液15の構造色は、表示電極13および表示基板11を介して、表示基板11の上方から視認できる。すなわち、表示基板11の表面が表示装置10の表示面となる。
【0028】
加えて、第1実施形態の表示装置10によれば、各電極13,14間に印加する直流電圧を高くしても、誘電体液膜16とコロイド結晶溶液15との界面にコロイド粒子15bが凝集して固着することが無いため、コロイド結晶溶液15の構造色が制御不能になるのを防止できる。
その理由は、コロイド粒子15bが電気泳動によって移動する際に、コロイド結晶溶液15と誘電体液膜16との界面に平行な方向へのコロイド粒子15bの移動を、誘電体液膜16が阻害しないためであると考えられる。
それに対して、特許文献1の技術のように、各電極13,14の表面に固体の誘電体膜を形成した場合には、コロイド粒子15bの移動を固体の誘電体膜が阻害するため、各電極13,14間に印加する直流電圧を高くすると、固体の誘電体膜とコロイド結晶溶液15との界面にコロイド粒子15bが凝集して固着してしまうと考えられる。
【0029】
そして、第1実施形態の表示装置10では、誘電体液膜16でコロイド結晶溶液15を覆う構造を容易に実現可能であるため、特許文献2の技術に比べて製造コストを低減することができる。
【0030】
<第2実施形態>
図2に示すように、第2実施形態の表示装置20は、表示基板11、背面基板12、表示電極13、背面電極14、コロイド結晶溶液15(分散媒15a、コロイド粒子15b)、誘電体液膜16、誘電体膜21、密閉カプセル22などから構成されており、直流電圧印加装置Eに接続されている。
【0031】
第2実施形態の表示装置20において、第1実施形態の表示装置10と異なるのは、誘電体液膜16で覆われたコロイド結晶溶液15が、固体の誘電体膜21から成る密閉カプセル22内に封入・密閉され、密閉カプセル22が各電極13,14間に挟設されている点だけである。
固体の誘電体膜21は、絶縁材料(例えば、合成樹脂、合成ゴムなど)の薄膜によって形成されている。
【0032】
第2実施形態によれば、第1実施形態の前記作用・効果に加えて、固体の誘電体膜21から成る密閉カプセル22を設けることで、各電極13,14間からコロイド結晶溶液15および誘電体液膜16が流出するのを確実に防止すると共に、コロイド結晶溶液15の分散媒15aが蒸発するのを確実に防止できる。
【0033】
<第3実施形態>
図3に示すように、第3実施形態の表示装置30は、表示基板11、背面基板12、表示電極13、背面電極14、コロイド結晶溶液15(分散媒15a、コロイド粒子15b)、誘電体液膜16、隔壁部材31などから構成された複数個のセルSを備え、直流電圧印加装置Eに接続されている。
【0034】
第3実施形態の表示装置30において、第1実施形態の表示装置10と異なるのは、各電極13,14間に複数個の隔壁部材31が挟設されており、各電極13,14および隔壁部材31で囲まれた空間内に、誘電体液膜16で覆われたコロイド結晶溶液15が封入・密閉され、当該空間内の部材(各電極13,14、誘電体液膜16、コロイド結晶溶液15)により個々のセルSが形成されている点だけである。
隔壁部材31は、絶縁材料(例えば、ガラス、合成樹脂、合成ゴムなど)によって形成されている。
【0035】
第3実施形態によれば、第1実施形態の前記作用・効果に加えて、隔壁部材31を設けることで、各電極13,14間からコロイド結晶溶液15および誘電体液膜16が流出するのを確実に防止すると共に、コロイド結晶溶液15の分散媒15aが蒸発するのを確実に防止できる。
【0036】
そして、同一寸法形状の多数個のセルSを縦横方向にマトリクス状に配置し、各電極13,14を各セルS毎に分割すれば、各セルSにより表示装置30の画素(ピクセル)が構成される。
そのため、各セルS毎に各電極13,14に印加する直流電圧を制御することにより、各セルSから成る画素の色調を任意に設定することが可能になることから、複数個の画素から成る所望の画像をフルカラーで表示できる。
【0037】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0038】
[1]分散媒15aの材料としては、プロピレンカーボネートの他に、例えば、イミダゾリウム塩系イオン液体、ピロリジニウム塩系イオン液体、ピリジニウム塩系イオン液体、アンモニウム塩系イオン液体、ホスホニウム塩系イオン液体、
スルホニウム塩系イオン液体、エチレンカーボネート、1,2−ジメトテシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アクリルモノマー、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。
【0039】
尚、分散媒15aには、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。
また、分散媒15aには、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類などを添加してもよい。
【0040】
[2]コロイド粒子15bの材料には、粒径が約1nm〜約1000nmであり、可視光が透過可能で、略球形になる材料であれば、どのような材料を用いてもよく、例えば、二酸化珪素、ホウ珪酸ガラス、アルミン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、カルサイト、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、臭ヨウ化タリウム、ダイアモンド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタル酸、塩化ビニル、酸化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなど、珪素、ゲルマニウム、各種強誘電体(チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)など)などを用いればよい。
【0041】
また、コロイド粒子15bの材料には、ポリスチレン,ポリメタクリル酸メチル,二酸化珪素,二酸化チタンの内のいずれか2種以上の混合体や、これらの内の1種をコアとして他の1種以上によりコアを被覆したコアシェル構造なども用いることができる。
【0042】
コロイド粒子15bの製造方法には、例えば、UV(紫外線)重合法、乳化重合法、懸濁重合法、二段階鋳型重合法、化学気相反応法、電気炉加熱法、熱プラズマ法、レーザ加熱法、ガス中蒸発法、共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱合成法、ゾルゲル法、噴霧法、凍結法、硝酸塩分解法などがある。
【0043】
[3]前記各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
【0044】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0045】
10,20,30…表示装置
11…表示基板
12…背面基板
13…表示電極
14…背面電極
15…コロイド結晶溶液
15a…分散媒
15b…コロイド粒子
16…誘電体液膜
21…固体の誘電体膜
22…密閉カプセル
31…隔壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可視光領域の光を透過する表示電極と、
前記表示基板に間隙をもって対向して配置された背面電極と、
前記各電極の間に挟持されたコロイド結晶溶液と、
前記各電極と前記コロイド結晶溶液との界面に介在された誘電体液膜と
を備えた表示装置であって、
前記コロイド結晶溶液は、液体の分散媒の中に分散質である多数個のコロイド粒子が所定間隔で周期的に配列されて形成されたコロイド結晶構造を備え、
前記誘電体液膜は、前記コロイド結晶溶液と混合せず、前記コロイド結晶溶液の中に流入しない性質を有する誘電体の液体から成る薄膜である表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記誘電体液膜で覆われた前記コロイド結晶溶液が封入された密閉カプセルを備え、
前記密閉カプセルは固体の誘電体膜から成り、
前記各電極の間に前記密閉カプセルが挟設されている表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示装置において、
前記各電極の間に挟設された隔壁部材を備え、
前記各電極および前記隔壁部材で囲まれた空間内に、前記誘電体液膜で覆われた前記コロイド結晶溶液が封入されている表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−73002(P2013−73002A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211683(P2011−211683)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】