説明

表示装置

【課題】導光板の一つの板面に、2種以上の絵柄や文字、記号、模様などのパターンを、異なる色又は異なるタイミングで表示させるようにした表示装置として、表示面に筋状のムラが出現することを防止した表示装置を提供する。
【解決手段】導光板1の板面にそれぞれ多数のドットの集合体からなる複数の表示パターン部を形成して、導光板の端面側の複数の光源12A,12Bから異なる方向で光を入射させるようにし、各ドットを構成する反射用凹部16A、16Bとして、その内側の反射面が、円錐面の側面の一部もしくはそれに近い形状のテーパー面、すなわち板面に直交する方向に対して傾斜し、かつ板面に平行な面内で湾曲するテーパー面となるようにして、そのテーパー面の凸湾曲側が、対応する光源に向くように構成し、しかも反射用凹部におけるテーパー面以外の面は、前記各光源からの光を前記他方の板面に実質的に導かないように構成さした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ディスプレイ装置などとして、絵柄や文字、記号、模様などの二次元パターンを表示するための表示装置に関し、特に透明材料からなる導光板の板面に、表示すべき二次元情報に相当するパターンで多数のドット(微小凹部)を形成しておき、導光板の端面から光を導光板内に入射させて、前記ドット内の反射面により光を反射させることにより、前記パターンを発光表示させるようにした表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近に至り、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、そのほかガラスなどの透明材料からなる導光板の板面に、所定の絵柄や文字、記号、模様などのパターンに従って、微小凹部からなる多数のドットを形成し、かつその導光板の端面に、LEDなどの光源を配置しておき、その光源から導光板内に入射された光を、微小凹部からなる多数のドットの内側面により反射させることにより、所定のパターンを発光表示させるようにした表示装置が実用化されるに至っている。
【0003】
この種の表示装置としては、導光板の同じ側の一つの板面に、2種以上の絵柄や文字、記号、模様などのパターンを、異なる色、あるいは異なるタイミングで表示させるようにしたものが開発されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
その代表的な従来の例を、図13〜図16に模式的に示す。
図13において、全体として方形をなす透明材料からなる導光板1における、一つの端面2の側には、その端面2に接するかまたは近接するようにLEDなどからなる第1の光源12Aが配設され、上記端面2に対して直角となる別の端面3の側には、同じくLEDなどからなる第2の光源12Bが、端面3に接するかまたは近接するように配設されている。ここで、第1の光源12Aおよび第2の光源12Bは、同じ色の光を発光するものであっても良いが、ここでは分かりやすくするため、第1の光源12Aは赤色光を発光し、第2の光源は青色光を発光するものとする。
【0005】
前記導光板1の一つの板面6には、それぞれ微小な反射用凹部からなる多数のドットによって、二つの表示パターン部14A、14B、すなわち第1の表示パターン部14Aおよび第2の表示パターン部14Bが形成されている。ここで、第1の表示パターン部14Aは、例えばアルファベットの大文字の“A”のパターンとされ、第2の表示パターン部14Bは、例えばアルファベットの大文字の“B”のパターンとされている。各表示パターン部14A、14Bを構成するドットは、図14、図15、図16に示すように、それぞれ導光板1の板面6から切り込まれた(窪んだ)反射用凹部16によって構成されている。各反射用凹部16は、それぞれ垂直断面形状がレの字状となるように作られている。より具体的には、各反射用凹部16は、板面6の側から平面的に見て長方形をなし、かつその長方形の長さ方向に沿う一つの平面16Aが、導光板1の板面6に垂直な面に対して所定角度傾斜する平面(反射面)とされ、その平面16Aに対向しかつ前記長方形の長さ方向に沿う他の平面16Bが、導光板1の板面6に垂直な面とされている。
【0006】
ここで、第1の表示パターン14Aに属するドットと、第2の表示パターン14Bに属するドットとでは、それぞれの反射用凹部16の向きが異なるように定められている。すなわち、第1の表示パターン14Aに属するドットの反射用凹部16は、その長さ方向が、導光板の前記一方の端面2と平行となるように(すなわち第1の光源12Aからの光の入射方向に対してほぼ直交するように)形成され、かつその反射面16Aが第1の光源12Aに対し所定角度(例えば45度)の角度で傾斜するように形成されている。一方、第2の表示パターン14Bに属するドットの反射用凹部16は、長さ方向が導光板の他方の端面3と平行となるように(すなわち第2の光源12Bからの光の入射方向に対してほぼ直交するように)形成され、かつその反射面16Aが第2の光源12Bに対し所定角度(例えば45度)の角度で傾斜するように形成されている。したがってこの場合、第1の表示パターン14Aに属するドットの反射用凹部16の反射面16Aは、第1の光源12Aからの光を、板面7に向けて板面6に対しほぼ垂直な方向に反射させ、第2の表示パターン14Bに属するドットの反射用凹部16の反射面16Bは、第2の光源12Bからの光を、板面7に向けて板面6に対しほぼ垂直な方向に反射させることになる。なお各反射用凹部16における、反射面16A以外の面は、導光板1の板面6に対し垂直な面とされているため、各光源12A、12Bからの光を、板面7に向かっては実質的に反射させない。
【0007】
したがってこのような表示装置では、第1の光源12Aから導光板1に入射された赤色光は、第1の表示パターン14Aを構成する各ドット(反射用凹部16)の反射面16Aによって、板面7に向けて反射され、これらのドットの集合体からなる第1の表示パターン14Aの文字“A”が、板面7の側に赤色光で表示される。またこの第1の光源12Aからの赤色光は、第2の表示パターン14Bを構成する各ドット(反射用凹部16)では、少なくとも板面7に向けては反射されない。一方、第2の光源12Bから導光板1に入射された青色光は、第2の表示パターン14Bを構成する各ドット(反射用凹部16)の反射面16Aによって、板面7に向けて反射され、これらのドットの集合体からなる第2の表示パターン14Bの文字“B”が板面7の側に青色光で表示される。またこの第2の光源12Bからの赤色光は、第2の表示パターン14Bを構成する各ドット(反射用凹部16)では、少なくとも板面7に向けては反射されない。このようにして、導光板1の板面7には、第1の表示パターン14Aの文字“A”が赤色光によって表示されると同時に、第2の表示パターン14Bの文字“B”が青色光によって表示される。
【0008】
ところで図13〜図16に示される従来の表示装置では、その表示パターンを目視したときに、筋ムラが観察されてしまうという問題があった。これは、表示パターンのドットを構成する反射用凹部の反射面が平面であること、およびこの種の表示装置では、反射用凹部の反射面に到達する光が、その反射面に正対する一方向からだけではないことに起因する。
【0009】
すなわち、ある広がりを持ったパターンを表示させるための表示装置における光源としては、単一の点光源を用いることは稀であり、実際上は、複数の点光源を並べたり、あるいは線状光源を用いたりすることが多い。例えば図13の例では、端面2の側の第1の光源12Aとして、実際にはLEDなどの複数の発光素子12A、12A、12Aを、端面2の長さ方向に間隔を置いて並設しておくのが一般的であり、また端面3の側の第2の光源12Bとしても、LEDなどの複数の発光素子12B、12B、12Bを、端面3の長さ方向に間隔を置いて並設しておくのが一般的である。したがって、各反射用凹部の反射面に到達する光も、正面の一方向からだけではなく、各発光素子の並ぶ方向(導光板の端面の長さ方向)に沿う面内での、種々の方向から到来することになるのが通常である。また、線状光源を、端面2、端面3に、それぞれその長さ方向に沿って配設した場合も同様である。
【0010】
一方反射用凹部16の反射面16Aは、図17に模式的に示しているように、ある長さ、ある幅を有する平面であり、その平面に異なった方向から光が入射すれば、反射光も異なる方向に向けて反射されることになる。そのため、各反射用凹部16の反射面16Aにより反射された光を板面7の側から見た像(反射像)は、発光素子の並ぶ方向と平行に引き伸ばされた像に見える。さらに、その引き伸ばされた反射像が、隣り合う反射用凹部の反射面からの反射光による像同士で連続してしまって、筋状の模様(ムラ)が出現してしまう、と考えられる。
【0011】
このような筋状のムラは、本来表示すべき絵柄や文字、記号、模様などに対して、視覚的なノイズとなるから、美麗で精緻な表示が望まれるディスプレイ装置では、その出現を回避することが強く望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−75362公報
【特許文献2】特開2008−275921公報
【特許文献3】特開2001−312233公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、導光板の同じ側の一つの板面(パターン表示面)に、2種以上の絵柄や文字、記号、模様などのパターンを、異なる色、あるいは異なるタイミングで表示させるようにした表示装置として、パターン表示面に筋状のムラが出現することを防止し、これによって、ノイズの少ない美麗で精緻な表示を行ないようにした表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述のような課題を解決するための手法、特に筋ムラの出現を防止するための手法として、本発明者等は、反射用凹部の形状(内面形状)、特に反射面の形状を変更することを考えた。そして、反射面を、従来の一般的な平面(傾斜状平面)ではなく、円錐面とすることに着目した。
【0015】
ここで、表示装置における反射用凹部として、図18に示すような円錐状の凹部16を形成し、その側面(円錐面)を反射面16Aとすること自体は、例えば特許文献1の図32(a)や、特許文献3などによって、従来から知られている。このような円錐状の反射用凹部16では、その反射面(円錐面)16Aが全周にわたって連続しているため、図18中に示しているように、円錐の軸Oに対して直交する面内で、その軸Oに向かって種々の方向から到来する光は、円錐面からなる反射面16Aによって、すべて軸線Oと平行な方向に反射される。そのため、前述のように複数の発光素子を並べた場合でも、板面7の側から見た反射像が発光素子の並ぶ方向と平行に引き伸ばされることがなく、したがって前述のような筋ムラは発生しにくい。しかしながら、円錐面を反射面16Aとした場合、その軸線Oに直交する面内のいずれの方向から到来した光も、すべて一方の板面に向けて反射されるため、図13に示すような表示装置に適用しても、異なる色で異なるパターンを表示させることはできない。すなわち、図13に示す表示装置における各表示パターン部14A、14Bのドットを構成する反射用凹部16を、すべて円錐状凹部に置き換えた場合、第1の光源12Aからの赤色光および第2の光源12Bからの青色光のいずれもが、第1および第2の表示パターン部14A、14Bの各反射用凹部16の反射面(円錐面)によって板面7に向けて反射され、そのため第1および第2の表示パターン部14A、14Bは、すべて赤色光と青色光の混色光で表示されてしまうことになる。
【0016】
したがって、反射用凹部の反射面を円錐面とすることは、そのままでは、本発明で基本的な前提としている、2種以上パターンを、異なる色、あるいは異なるタイミングで表示させるための表示装置には適用できない。そこで本発明者等は、円錐面の全面ではなく、その一部の面(テーパー面)を反射用凹部の反射面に利用すれば、筋ムラの出現を防止すると同時に、2種以上パターンを、異なる色、あるいは異なるタイミングで表示させ得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0017】
したがって本発明では、基本的には、複数の光源から導光板内に異なる方向で光を入射させて、異なる色もしくは異なるタイミングで異なるパターンを表示させることを前提とし、その場合に、表示パターンのドットを構成する反射用凹部として、その内側の反射面が、円錐面の側面の一部もしくはそれに近い形状のテーパー面、すなわち板面に直交する方向に対して傾斜し、かつ板面に平行な面内で湾曲するテーパー面となるようにして、そのテーパー面の凸湾曲側が、対応する光源に向くように構成することとした。
【0018】
すなわち本発明の基本的な態様(第1の態様)による表示装置は、
透明材料からなり、かつ二つの板面のうちの一方の板面に、それぞれ多数のドットの集合体からなる複数の表示パターン部が形成された導光板と、
前記導光板の端面側から導光板内に、導光板の前記一方の板面に沿ってそれぞれ異なる方向に光を入射させるための複数の光源とを有し、
前記複数の表示パターン部を構成する各ドットは、それぞれ導光板の前記一方の板面から窪む反射用凹部によって構成され、
かつ各ドットの反射用凹部は、その内面の一部が、前記一方の板面に直交する方向に対し傾斜するとともに、前記一方の板面に平行な面内で湾曲するテーパー面によって形成されて、そのテーパー面が、前記複数の光源のうちのいずれかの光源からの光を、他方の板面に向けて反射させる反射面とされ、
さらに各ドットの反射用凹部の内面のうち、前記テーパー面以外の面は、前記各光源からの光を前記他方の板面に実質的に導かないように構成され、
前記ドットを構成する反射用凹部内面のテーパー面の凸湾曲側が、それぞれそのドットが属する表示パターン部ごとに、異なる光源に向いて、それぞれ異なる光源からの光を前記他方の板面に向けて反射するように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
このような第1の態様の表示装置においては、導光板の一方の板面(以下“ドット形成面”と言う)に、それぞれ多数のドットの集合体からなる複数の表示パターン部が形成されている。そして各ドットは、ドット形成面から窪む反射用凹部によって構成されている。
さらに反射用凹部の内面は、いずれかの光源からの光を導光板の前記他方の板面(以下“パターン表示面”と言う)に向けて反射させるテーパー面(反射面)と、それ以外の面(各光源からの光を前記他方の板面に実質的に導かない面)を有している。
【0020】
そして複数の表示パターン部のうちのある表示パターン部(以下“第1の表示パターン部”という)のドットを構成している各反射用凹部のテーパー面は、その凸湾曲側がある特定の光源(以下“第1の光源”という)に向いており、別の表示パターン部(以下“第2の表示パターン部”という)のドットを構成している各反射用凹部のテーパー面は、その凸湾曲側が別の光源(以下“第2の光源”という)に向いている。
そのため、第1の光源からの光は、第1の表示パターン部のドットを構成している反射用凹部のテーパー面により、パターン表示面に向けて反射されて、第1の表示パターン部のドットが発光し、その発光したドットの集合により、所定の絵柄や文字などのパターンが、第1のパターン表示部において発光表示される。このとき、第2の光源からの光は、第1のパターン表示部のドットを構成している反射用凹部によっては、パターン表示面に導かれないため、第1のパターン表示部は、第1の光源からの光のみによって発光表示することになる。
一方、第2の光源からの光は、第2の表示パターン部のドットを構成している反射用凹部のテーパー面により、パターン表示面に向けて反射されて、第2の表示パターン部のドットが発光し、その発光したドットの集合により、所定の絵柄や文字などのパターンが第2のパターン表示部において発光表示される。このとき、第1の光源からの光は、第2のパターン表示部のドットを構成している反射用凹部によっては、パターン表示面に導かれないため、第2のパターン表示部は、第2の光源からの光のみによって発光表示することになる。したがって、例えば、第1の光源と第2の光源とでその発光色を異ならしめておけば、各パターン表示部において異なる色でそれぞれのパターンを発光表示することができる。
【0021】
ここで、上記の説明では、第1および第2のパターン表示部、すなわち二つのパターン表示部を有し、かつそれに対応して二つの光源を有している場合について記述したが、三つ以上の多数のパターン表示部を有し、かつそれに対応して三つ以上の多数の光源を有している場合も、それぞれの光源からの光により、異なる別のパターン表示部を発光させることができることはもちろんである。
【0022】
さらに、各ドットを構成する反射用凹部における反射面は、ドット形成面に直交する方向に対し傾斜するとともに、ドット形成面に平行な面内で湾曲するテーパー面によって構成されているため、ドット形成面と平行な面内で各光源からテーパー面(凸湾曲面)に至った光は、ドット形成面に直交する方向に沿った一方向、もしくはその一方向を含む狭い角度範囲内の方向に反射される。そのため、反射面を平面とした従来技術の場合のような、各ドットの反射面からの反射光の像が、ある方向に引き伸ばされてしまうおそれが少ない。したがって、隣り合うドット(反射用凹部)の間隔を小さくしても、隣り合う各ドットの反射像が連続してしまって、筋状の模様(筋ムラ)が現出するおそれが少ない。
【0023】
また本発明の第2の態様による表示装置は、前記第1の態様の表示装置において、
前記テーパー面以外の面が、前記一方の板面に対して垂直な面とされていることを特徴とするものである。
【0024】
このような第2の態様の表示装置によれば、各光源からドット形成面と平行な面内で各光源から前記テーパー面以外の面に入射した光は、ドット形成面と平行な方向に反射されるか、または屈折が生じないため、パターン表示面に導かれることが有効に防止される。
【0025】
また本発明の第3の態様による表示装置は、前記第1の態様の表示装置において、
前記テーパー面以外の面が、前記一方の板面に対して傾斜する面とされ、かつその傾斜方向は、各光源からの光を前記他方の板面に向けて反射もしくは屈折させない方向に定められていることを特徴とするものである。
【0026】
このような第3の態様の表示装置によれば、各光源からドット形成面と平行な面内で各光源から前記テーパー面以外の面に入射した光、特にテーパー面に対して反対側から入射した光がパターン表示面に導かれることが、確実に防止される。
【0027】
また本発明の第4の態様による表示装置は、前記第1の態様の表示装置において、
前記テーパー面が、前記一方の板面に対して垂直な軸線を有する直円錐の側面の一部に相当する形状の面とされていることを特徴とするものである。
【0028】
このような第4の態様の表示装置によれば、ドット形成面と平行な面内で各光源からテーパー面(凸湾曲面)に至った光は、すべてドット形成面に直交する方向に沿った一方向(元の分割前の直円錐の軸線と平行な一方向)に沿って反射され、そのため、反射面を平面とした従来技術の場合のような、各ドットの反射面からの反射光の像が、ある方向に引き伸ばされてしまうことを確実に防止することができ、その結果、隣り合うドット(反射用凹部)の間隔が小さい場合でも、隣り合う各ドットの像が連続して、筋状の模様(筋ムラ)が現出してしまうことを、確実に防止できる。
【0029】
また本発明の第5の態様による表示装置は、前記第4態様の表示装置において、
前記反射用凹部の内面が、前記直円錐を、その回転軸を含む1以上の平面で分割したときの、分割された一つの円錐分割体の形状に作られていることを特徴とするものである。
【0030】
このような第5の態様の表示装置は、2以上の表示パターン部および2以上の光源を有していて、その2以上の光源が、導光板におけるそれぞれ異なる側の端面に配置されている場合、すなわち各光源からの入射光の向きがそれぞれ異なる場合に有効である。
【0031】
さらに本発明の第6の態様による表示装置は、前記第4態様の表示装置において、
前記反射用凹部が、円錐台を、その回転軸を含む1以上の平面で分割したときの、分割された一つの円錐台分割体の形状に作られていることを特徴とするものである。
【0032】
第6の態様の表示装置においても、各反射用凹部の内面形状として直円錐を分割した形状とした場合と同様に機能する。
【0033】
さらに本発明の第7の態様による表示装置は、前記第1〜第6のいずれかの態様の表示装置において、
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、導光板の端面に沿った方向に並ぶ複数の発光素子によって構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
既に述べたところから明らかなように、筋ムラは、一つの表示パターン部でドットを発光表示させるための光源として複数の発光素子を用い、かつそれらの発光素子を、導光板の端面に沿って一方向に並べている場合に生じやすい。しかるに、第1〜第6のいずれかの態様を前提とすれば、光源を構成する複数の発光素子を導光板の端面に沿って一方向に並べた場合でも、確実に筋ムラの出現を抑制することができるのである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の表示装置によれば、導光板の同じ側の一つの板面(パターン表示面)に、絵柄や文字、記号、模様などの2種以上のパターンを、それぞれ異なる色、あるいは異なるタイミングで表示させることができると同時に、パターン表示面に、筋状のムラが出現することを抑制し、これによって、ノイズの少ない美麗で精緻なパターン表示を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の表示装置の第1の実施形態を示す模式的な平面図である。
【図2】図1のI−I線における拡大断面図である。
【図3】図1のII−II線における拡大断面図である。
【図4】図1に示される第1の実施形態における各パターン表示部のドットを構成する反射用凹部を示す図で、(A)は第1のパターン表示部のドットを構成する反射用凹部についての模式的な斜視図、(B)は第2のパターン表示部のドットを構成する反射用凹部についての模式的な斜視図である。
【図5】本発明の表示装置の第2の実施形態を示す模式的な平面図である。
【図6】図5に示される第2の実施形態における各パターン表示部のドットを構成する反射用凹部を模式的に示す図で、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
【図7】本発明の表示装置の第3の実施形態を示す模式的な平面図である。
【図8】本発明の表示装置における反射用凹部の別の例を示す図で、(A)は反射用凹部の形状の模式的な斜視図、(B)は導光板を含む反射用凹部の縦断面図である。
【図9】本発明の表示装置における反射用凹部のさらに別の例を示す図で、(A)は反射用凹部の形状の模式的な斜視図、(B)は反射用凹部の形状の模式的な平面図である。
【図10】本発明の表示装置における反射用凹部のさらに別の例を示す図で、(A)は反射用凹部の形状の模式的な斜視図、(B)は反射用凹部の形状の模式的な平面図である。
【図11】本発明の表示装置における反射用凹部のさらに別の例を示す図で、反射用凹部の形状の模式的な斜視図である。
【図12】本発明の表示装置における反射用凹部のさらに別の例を示す図で、反射用凹部の形状の模式的な斜視図である。
【図13】従来の表示装置の一例を模式的に示す平面図である。
【図14】図13の矢印IIIの部分を拡大して示す模式的な平面図である。
【図15】図13に示される従来の表示装置における第1のパターン表示部のドットを構成する反射用凹部を拡大して示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のV−V線における断面図、(C)は(A)のVI−VI線における断面図である。
【図16】図13に示される従来の表示装置における第2のパターン表示部のドットを構成する反射用凹部を拡大して示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のVII−VII線における断面図、(C)は(A)のVIII−VIII線における断面図である。
【図17】図13に示される従来の表示装置におけるパターン表示部のドットを構成する反射用凹部の反射面の作用を示す模式的な斜視図である。
【図18】従来の別の表示装置におけるパターン表示部のドットを構成する反射用凹部の反射面の作用を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1〜図4には本発明の表示装置の第1の実施形態を示す。
図1において、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、その他ガラスなどの透明材料からなる導光板1は、ある厚みを有する方形板状に作られている。なおここで、透明材料とは、無色透明の材料のみならず、着色透明の材料も含むが、本実施形態では、無色透明の材料からなるものとする。
導光板1の一つの端面5には、その長さ方向に沿って、LEDなどの複数(図示の例では4個)の発光素子12A、12A、12A、12Aが配設されており、これらの12A〜12Aによって、第1の光源12Aが構成されている。なお第1の光源12Aの発光素子12A〜12Aは、本実施例では、それぞれ赤色光を発光するものとする。
また導光板1における前記端面5に対し反対側の端面3にも、その長さ方向に沿ってLEDなどの複数(図示の例では4個)の発光素子12B〜12Bが配設されており、これらの12B〜12Bによって、第2の光源12Bが構成されている。なお第2の光源12Bの発光素子12B〜12Bは、本実施例では、それぞれ青色光を発光するものとする。
【0038】
前記導光板1における二つの板面6、7のうち、一方の板面6(図1における裏側の面;図2、図3に現れている)は、後述するようなドット形成面とされ、他方の板面7は、所望のパターンで発光してそのパターンを表示するパターン表示面とされている。
そしてドット形成面6には、前記第1の光源12Aからの赤色光によって発光して所定のパターンを赤色でパターン表示面7に表示させるための第1の表示パターン部14Aと、前記第2の光源12Bからの青色光によって発光して所定のパターンを青色でパターン表示面7に表示させるための第2の表示パターン部14Bとが形成されている。
これらの第1および第2の表示パターン部14A、14Bは、それぞれ後述するような微小な反射用凹部からなる多数のドットの集合によって、絵柄や文字、記号、模様などのパターンを表したしたものである。本実施形態では、第1の表示パターン部14Aには、大文字のアルファべットの“A”、“B”、“C”の文字パターンがドットにより形成され、第2の表示パターン部14Bには、大文字のアルファべットの“D”、“E”、“F”の文字パターンがドットにより形成されている。
【0039】
第1および第2の表示パターン部14A、14Bを構成する多数のドットは、それぞれ図4(A)、(B)に模式的に示すように、直円錐を、その軸線Oを含む垂直な平面によって縦に2分割した形状、すなわち円錐2分割体の形状をなす凹部(反射用凹部)16によって構成されている。なおこの反射用凹部に付す符号については、第1の表示パターン部14Aに属する反射用凹部と、第2の表示パターン部14Bに属する反射用凹部とで区別する必要がある場合は、前者の反射用凹部には“16(A)”の符号を付し、後者の反射用凹部には“16(B)”の符号を付すこととし、一方、特に区別する必要がない場合には、“16”の符号を付す。ここで、第1のパターン表示部14Aに属するドットの反射用凹部16(A)を図4(A)に、また第2のパターン表示部14Bに属するドットの反射用凹部16(B)を図4(A)に、それぞれ光源12A、12Bからの光の入射方向と関連させて模式的に示している。
【0040】
各反射用凹部16は、その軸線(2分割前の円錐の軸線)Oが、導光板1のドット形成面6に対して垂直となるように、かつ円錐の底面に相当する側がドット形成面6に開口するように、ドット形成面6から窪んだ状態で形成されている。したがって、各反射用凹部16の内面は、軸線Oを基準として180度の角度で広がるテーパー面(2分割する前の円錐における側面の半分の面)18と、そのテーパー面18の両端間を結ぶ平面20とによって構成されていることになる。そしてテーパー面18は、導光板1のドット形成面6に対して垂直な方向に対して所定の角度で傾斜し、かつドット形成面6と平行な面内において湾曲する湾曲面となっており、また前記平面20は、導光板1のドット形成面6に対して垂直な面となっている。
なお上記テーパー面18は、後述するように、光源12Aもしくは光源12Bから導光板1内に導かれた光を、パターン表示面7に向けて反射させるための反射面に相当する。一方、前記平面20は、各光源12A、12Bから導光板1内に導かれた光を、パターン表示面7に向けては、反射もしくは屈折により実質的に導かない非反射面に相当うる。
【0041】
ここで、テーパー面(反射面)18の向きは、第1の表示パターン部14Aと、第2の表示パターン部14Bとで、異なった向きとされている。
すなわち、図1の右側上段および図4(A)に模式的に示しているように、第1の表示パターン部14Aに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(A)では、テーパー面18の凸湾曲側が第1の光源12Aに向き、第2の表示パターン部14Bに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(B)では、テーパー面18の凸湾曲側が第2の光源12Bに向くように定められている。
【0042】
なお反射用凹部16の内面のテーパー面18のテーパー角度(2分割前の直円錐における垂直な軸Oに対する側面の角度)θは、軸Oに対して直交する平面(したがって導光板1のドット形成面6と平行な面)に沿ってテーパー面18に入射する光を、パターン表示面7に向けて(好ましくはパターン表示面7に垂直な方向、もしくはそれに近い角度で)反射させ得るように定めればよく、特に限定されるものではないが、一般には45度、あるいはそれに近い30〜60度程度の範囲内の角度に定めればよい。
【0043】
以上の実施形態において、複数の発光素子12A〜12Aからなる第1の光源12Aから、端面5を経て導光板1内に赤色光を入射させると同時に、複数の発光素子12B〜12Bからなる第2の光源12Bから、端面3を経て導光板1内に青色光を入射させた時の状況を以下に説明する。
【0044】
第1の光源12Aからの赤色光が、第1の表示パターン部14Aに属する多数のドット(反射用凹部16(A))のテーパー面(反射面)18に到達すれば、その赤色光は、テーパー面18によりパターン表示面7に向けて反射され、これらの多数のドットの集合体によって、第1の表示パターン部14Aのパターン(“A”、“B”、“C”の文字パターン)が赤色に発光し、表示される。一方、第2の光源12Bからの青色光が、第2の表示パターン部14Bに属するドット(反射用凹部16(B))のテーパー面(反射面)18に到達すれば、その赤色光は、テーパー面18によって、パターン表示面7に向けて反射され、これらの多数のドットの集合体によって、第2の表示パターン部14Bのパターン(“D”、“E”、“F”の文字パターン)が青色に発光し、表示される。
【0045】
このとき、第1の光源12Aからの赤色光は、第2の表示パターン部14Bに属するドット(反射用凹部16(B))内の平面(非反射面)20にも到達する。しかしながらこの平面20に入射した赤色光は、パターン表示面7に向かっては反射されず、かつ屈折によりパターン表示面7に向かって導かれることもないため、パターン表示面7において赤色光は発光されず、第2の表示パターン部14Bで青色と赤色との混色は生じない。
また逆に、第2の光源12Bからの青色光は、第1の表示パターン部14Aに属するドット(反射用凹部16(A))内の平面(非反射面)20にも到達する。しかしながらこの平面20に入射した青色光も、パターン表示面7に向かっては反射もしくは屈折されないため、パターン表示面7において青色光は発光されず、第1の表示パターン部14Aで青色と赤色の混色は生じない。
したがって、第1の表示パターン部14Aと第2の表示パターン部14Bとで、明確に異なる発光色によってそれぞれのパターンを表示させることができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、第1の表示パターン部14Aと第2の表示パターン部14Bとを問わず、筋ムラの発生を防止することができる。
すなわち、反射用凹部16の反射面(テーパー面)18は、直円錐の側面(円錐面)の一部をなす面で構成されているから、その軸線Oに対して直交する面内(すなわち導光板1のドット形成面6と平行な面内)の種々の方向から反射面18に到達した光は、すべて軸線Oと平行な一方向、すなわちドット形成面6に対して垂直な一方向に反射される。
具体的には、本実施形態の場合、赤色光を発する第1の光源12Aは、4個の発光素子12A、12A、12A、12Aを、導光板1の端面5に一方向に並べた構成とされており、そのため第1の表示パターン部14Aの文字パターン(例えば“B”の文字)を構成しているドットの反射用凹部16(A)の反射面(テーパー面)18には、各発光素子ごとに異なる方向から赤色光が入射されるが、いずれの発光素子からの光も、すべて前記軸線Oと平行な一方向、すなわちドット形成面6に垂直な一方向に反射される。
そのため、パターン表示面7の側から見た各反射面18からの反射像は、その反射面18をパターン表示面7に投影させた形状とほぼ同じとなり、従来技術のように、反射像がある方向に引き伸ばされてしまうことはない。したがって、たとえ隣り合う反射用凹部16が相互に近接していても、隣り合う反射用凹部16の反射面からの各販社像が連続してしまうおそれが少なく、そのため筋状のムラが出現することを抑制することができるのである。
【0047】
図5には、本発明の第2の実施形態の表示装置を示す。
この第2の実施形態の表示装置は、一つのパターン表示面に、異なる4色でそれぞれ所定の図柄や文字などのパターンを表示させるためのものである。
【0048】
図5において、導光板1の一つの端面5に、その長さ方向に沿って、LEDなどの複数(図示の例では4個)の例えば赤色光を発光する発光素子12A、12A、12A、12Aが配設されており、これらの12A〜12Aによって、第1の光源12Aが構成されている。また導光板1における前記端面5に対して反対側の端面3には、その長さ方向に沿ってLEDなどの例えば青色光を発光する複数(図示の例では4個)の発光素子12B〜12Bが配設されており、これらの12B〜12Bによって、第2の光源12Bが構成されている。さらに、前記端面5に対して時計回り方向に隣り合う端面4には、その長さ方向に沿ってLEDなどの例えば緑色光を発光する複数(図示の例では4個)の発光素子12C〜12Cが配設されており、これらの12C〜12Cによって、第3の光源12Cが構成されている。そしてまた、前記端面3に対して時計回り方向に隣り合う端面2には、その長さ方向に沿ってLEDなどの例えば黄色光を発光する複数(図示の例では4個)の発光素子12D〜12Dが配設されており、これらの12D〜12Dによって、第4の光源12Dが構成されている。
【0049】
前記導光板1における二つの板面6、7のうち、一方の板面6(図7における裏側側の面)は、ドット形成面とされ、他方の板面7(図7における表側の面)は、パターン表示面とされている。
そしてドット形成面6には、前記第1の光源12Aからの赤色光によって発光して所定のパターンを赤色光でパターン表示面7に表示させるための第1の表示パターン部14Aと、前記第2の光源12Bからの青色光によって発光して所定のパターンを青色光で表示面7に表示させるための第2の表示パターン部14Bと、記第3の光源12Cからの緑色光によって発光して所定のパターンを緑色光で表示面7に表示させるための第3の表示パターン部14Cと、前記第4の光源12Dからの黄色光によって発光して所定のパターンを黄色光で表示面7に表示させるための第4の表示パターン部14Dとが形成されている。
これらの第1〜第4の表示パターン部14A〜14Dは、それぞれ反射用凹部16からなる多数のドットの集合体によって、絵柄や文字、記号、模様などのパターンを形成したものであり、本実施形態では、第1の表示パターン部14Aには、大文字のアルファべットの“A”、“B”の文字パターンがドットにより形成され、第2の表示パターン部14Bには、大文字のアルファべットの“E”、“F”の文字パターンがドットにより形成され、さらに第3の表示パターン部14Cには、大文字のアルファべットの“C”、“D”の文字パターンがドットにより形成され、第4の表示パターン部14Dには、大文字のアルファべットの“G”、“H”の文字パターンがドットにより形成されている。
【0050】
各表示パターン部14A〜14Dを構成する多数のドットは、それぞれ図6(A)、(B)に模式的に示しているように、直円錐を、その軸線Oを含む二つの平面(互いに直交する2平面)によって縦方向に均等に4分割した場合の、一つの分割体の形状、すなわち円錐4分割体の形状をなす凹部(反射用凹部)16によって構成されている。そして各反射用凹部16は、その軸線(4分割前の円錐の回転軸線)Oが、導光板1のドット形成面6に対して垂直となるように、かつ円錐の底面に相当する側がドット形成面6に開口するように、その面6から窪んだ状態で形成されている。したがって、各反射用凹部16の内面は、軸線Oを基準として90度の角度で広がるテーパー面(4分割する前の円錐における側面の1/4の面)18´と、そのテーパー面18´の両端縁と軸線Oとの間を結ぶ二つの平面20A、20Bとによって構成されていることになる。そしてテーパー面18´は、ドット形成面6に垂直な方向に対して所定の角度で傾斜し、また前記平面20A、20Bは、ドット形成面6に垂直な面となっている。
なお上記テーパー面18´は、前記第1の実施形態の場合と同様に、それぞれ光源12A〜12Dから導光板1内を導かれた光を、パターン表示面7に向けて反射させるための前記反射面に相当する。また平面20A、20Bは、光源12A〜12Dから導光板1内を導かれた光をパターン表示面7に向けて実質的に導かない前記非反射面に相当する。
【0051】
ここで、テーパー面(反射面)18´の向きは、各表示パターン部14A〜14Dごとに、異なった向きとされている。
すなわち、図5の4隅の位置に模式的に示しているように、第1の表示パターン部14Aに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(A)では、テーパー面18´の凸湾曲側が第1の光源10Aに向き、第2の表示パターン部14Bに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(B)では、テーパー面18´の凸湾曲側が第2の光源10Bに向き、第3の表示パターン部14Cに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(C)では、テーパー面18´の凸湾曲側が第3の光源10Cに向き、第4の表示パターン部14Dに属する多数のドットを構成する反射用凹部16(D)では、テーパー面18´の凸湾曲側が第4の光源10Dに向くように定められている。
【0052】
このような第2の実施形態において、各光源12A〜12Dから、それぞれ赤色光、青色光、緑色光、黄色光を、導光板1内に入射させた時の状況を以下に説明する。
【0053】
第1のパターン表示部14Aのドットを構成している反射用凹部16(A)は、そのテーパー面18´の凸湾曲面側が第1の第1の光源12Aに向いているため、そのテーパー面18´は、第1の光源12Aからの赤色光をパターン表示面7に向けて反射させる。一方、その他の光源12B、12C、12Dは、第1のパターン表示部14Aの反射用凹部16(A)のテーパー面18´の凸湾曲面側に向いていないため、これらの光源12B、12C、12Dからの青色光、緑色光、黄色光は、パターン表示面7に向かっては導かれない。また第1のパターン表示部14Aの反射用凹部16(A)の平面20A、20Bは、各光源12A〜12Dからの光をパターン表示面7に向けて実質的に導かない。
したがって第1のパターン表示部14Aでは、赤色光に他の色の光が混色することなく、所定のパターン(“A”、“B”の文字パターン)を赤色で発光表示する。その他のパターン表示部14B、14C、14Dでも、同様に、反射用凹部のテーパー面が向いている側の各光源12B、12C、12Dからの青色光、緑色光、黄色光によって互いに混色が生じることなく、それぞれ所定の発光色でパターンを発光表示させることができる。
またこの第2の実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、筋ムラの発生を抑制することができる。
【0054】
以上のように、第1の実施形態では、導光板10を方形として、その二つの端面に異なる発光色の光源を配設しておき、二つの表示パターン部をそれぞれ異なる色で発光させることとし、また第2の実施形態では、同じく導光板10を方形として、その四つの端面に異なる発光色の光源を配設しておき、四つの表示パターン部を異なる色で発光させることとしているが、方形の導光板の四つの端面のうちの三つの端面に、それぞれ異なる発光色の光源を配設して、各光源から導光板に入射する光の向きが90度ずつずれるようにし、併せて、パターン表示面に三つの表示パターン部を形成しておき、これらの三つの表示パターン部を、それぞれ異なる色で発光させることとしてもよいことはもちろんである。その場合、反射用凹部は、第2の実施例と同様に、直円錐を4分割した内面形状とすればよい。
【0055】
さらに、導光板10を平面的に見て三角形をなす形状とし、その三つの端面に異なる発光色の光源を配設して、三角形状のパターン表示面に三つの表示パターン部をそれぞれ異なる色で発光させる構成としてもよい。その場合、導光板が正三角形であれば、反射用凹部は、直円錐を、その軸線を含む平面により3等分に縦割り上に分割した円錐3分割体の形状とすればよい。そのほか、5角形あるいはそれ以上の多角形の導光板や、円盤状の導光板を用いて、それぞれの端面もしくは外周面の異なる個所に複数の光源を配置するとともに、各表示パターン部のドットを構成する反射用凹部として、円錐面の一部を構成するテーパー面を有する形状とし、それぞれのテーパー面の凹凸湾曲面側を、対応する光源に向けた構成としても良い。
【0056】
なお、前述の各実施形態では、各表示パターン部に対応するドットの集合体を、導光板の板面において相互に離隔させて形成しているが、場合によっては、各表示パターン部に対応するドットの集合体の一部もしくは全部が、導光板の板面において重なり合ってもよい。その一例を、第1の実施形態を示す図1に準じて、図7に示す。この場合、第1のパターン表示部14Aにおいて発光表示されるパターン(“A”、“B”、“C”の文字)と、第2のパターン表示部14Bにおいて発光表示されるパターン(“D”、“E”、“F”の文字)とが、一部重なり合っており、その重なり部分では混色が生じるが、適切に各発光色を選定して、重なり部分で適切な色調の混色が生じるように設定すれば、光源による発光色の数よりも、表示される発光色の数を多くし、多彩な色調で表示することが可能となる。
【0057】
さらに、前述の各実施形態では、各光源がそれぞれ異なる色の光を発光するものとしたが、各光源の発光色はすべて異なる色とする必要はない。例えば、複数の光源のすべての発光色を同色とするか、または複数の光源のうちの一部の2以上の光源の発光色を同色としておき、各光源が点滅するように、しかもその点滅のタイミングが、少なくとも同色の光源の間では異なるように制御してもよい。この場合、2以上のパターン表示部の発光色が同色であっても、それらのパターン表示部は、異なるタイミングで発光表示することになり、このような制御方法を適用する場合にも、本発明は有効である。
【0058】
そしてまた、図7に示したように、各光源の発光色を異ならしめるとともに、各表示パターン部の一部または全部が重なり合うようにした場合において、各光源が点滅するように、しかもその点滅のタイミングが異なるように制御すれば、パターンが重なり合う部分で混色が生じることを回避することができる。さらに、このような発光タイミングの制御と、発光色の設定とを、適宜組み合わせることによって、種々の表示態様を得ることができる。
【0059】
ここで、上述の各実施形態では、反射用凹部16の内面形状を、直円錐を縦割りに2分割もしくは3分割以上の多分割した形状とし、その分割面に相当する平面(非反射面)が、導光板1のドット形成面6に対して垂直となるように構成しているが、反射面となるテーパー面18以外の非反射面(第1の実施形態では平面20、第2の実施形態では平面20A、20Bに相当)は、必ずしもドット形成面6に対し垂直な面としなくても良い。すなわち、反射用凹部16の内面のうち、反射面となるべきテーパー面18以外の非反射面は、要は、各光源から導かれた光を、反射もしくは屈折によりパターン表示面7に向けて実質的に導かない面であればよく、その観点からすれば、非テーパー面は、ドット形成面6に対し垂直な面とするよりも、テーパー面18の凸湾曲側に若干傾斜した平面とすることが好ましい。例えば、前記第1の実施形態として示した図4(A)の反射用凹部(円錐2分割体形状)における平面(非反射面)20を、ドット形成面6に垂直な面から傾斜させた反射用凹部16の例を、図8(A)、(B)に示す。
【0060】
図8(A)、(B)に示す例の反射用凹部16は、直円錐における頂点Pを通りかつ軸線Oに対して小角度φだけ傾斜する直線Mに沿った平面20によって直円錐体を切断し、頂角ρを、
ρ=θ−φ
とした直円錐不均等分割体の形状としている。この場合、テーパー面(反射面)18に対して反対側の方向から到来した光(黒矢印)は、傾斜した平面20によってドット形成面6の側に向けて反射されるから、パターン表示面7にその反射光が到達することを確実に回避することが可能となる。したがって各パターン表示部での混色の発生を、より確実に防止することが可能となる。但し、反射用凹部の形成のための導光板の加工上の観点からは、既に述べた実施形態のように、平面(非反射面)20を垂直面とする方が反射用凹部16の形成加工が容易で加工コストも低く、したがって加工コストを重視する場合は、平面(非反射面)20を垂直面とすることが望ましい。
【0061】
また図5に示した第2の実施形態の表示装置に適用する反射用凹部(図6(A)、(B)参照)についても、図9(A)、(B)に示すように、反射面であるテーパー面18´以外の非反射面、すなわち平面20A,20Bを、傾斜面としてもよい。
【0062】
さらに各反射用凹部16の内面形状は、図10に示すように、円錐台を、その軸線Oを含む面によって縦割りに2分割した形状であってもよい。ここで、円錐台とは、直円錐をその底面と平行な面で切断した場合の底面側の部分を意味する。このような円錐台を縦割りに2分割した形状の内面を有する反射用凹部16の場合も、テーパー面18の部分を反射面として、その凸湾曲面側を、対応する光源に向けることにより、図1〜図4に示した実施形態と同様な混色防止および筋ムラ発生防止を図ることができる。
またこのような円錐台の分割体の形状とした場合も、そのテーパー面18以外の平面(非反射面20)を、図8に示したと同様に、傾斜面としてもよい。
【0063】
そのほか、反射用凹部の内面形状、特にテーパー面(反射面)の形状としては、種々の湾曲面を適用することができ、例えば反射用凹部の内面形状として、図11に示すように直円柱の軸線Oを、導光板のドット形成面に垂直な方向Qから所定角度αだけ傾斜させ、その直円柱の一部を切り取った形状を適用し、前記直円柱の外周面の一部に相当する面を反射面(テーパー面)18とし、切り取り面の一つを非反射面20としてもよい。
【0064】
また、図12に示すように、直円錐の軸線Oを導光板のドット形成面に垂直な方向Qから所定角度βだけ傾斜させた斜円錐を、その軸線0を含む平面によって2分割(あるいは3分割以上の多分割)した形状によって反射用凹部16を構成してもよい。さらに、図示はしないが、同様な斜円錐を、導光板のドット形成面に垂直な面によって2分割(あるいは3分割以上の多分割)した形状としてもよい。
【0065】
なおまた、導光板は、その厚み(ドット形成面とパターン表示面との間の距離)を均一にすることが一般的ではあるが、場合によってはその厚みを変化させても良い。例えばパターン表示面を、ドット形成面に対して若干傾斜させ、導光板のある端面から反対側の端面に向けて厚みが大きくなるようにしたり、あるいはパターン表示面の中間に段差を設けたりしても良い。さらに、導光板の平面的な全体形状は、既に述べたような方形状、三角形状、多角形状、円形状のほか、任意の形状とすることができる。また方形状の場合でも、正方形に限らず、長方形でもよく、特に平行な2辺(2端面)を、それに対し直角となる2辺(2端面)よりも著しく長くして、角棒もしくはそれに近い形状とすることもできる。
【0066】
さらに、導光板における端面は、必ずしも板面、特にドット表示面に対して垂直とする必要はないが、光源からの光を、導光板内にドット形成面と平行な方向に入射させるためには、少なくとも光源を配置する側の端面は、ドット形成面に対して垂直とすることが好ましい。
【0067】
また、前述の各実施形態では、各光源を、それぞれ複数の発光素子によって構成して、各光源に属する複数の発光素子を、導光板の一つの端面に、その端面の長さ方向に沿って並べているが、各光源を、それぞれある長さを有する1または2以上の線状光源によって構成し、その線状光源を導光板の端面に、その端面の長さ方向に沿って配設してもよい。このような線状光源を用いた場合でも、既に述べたように従来技術では筋ムラが出現しやすいが、本発明の場合は、その場合でも筋ムラの出現を抑制することができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1・・・導光板、2,3,4,5・・・端面、6・・・板面(ドット形成面)、7・・・板面(パターン形成面、12A,12B,12C,12D・・・光源、14A,14B,14C,14D・・・表示パターン、16,16(A),16(B),16(C),16(D)・・・反射用凹部、18・・・テーパー面(反射面)、20,20A,20B・・・平面(非反射面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料からなり、かつ二つの板面のうちの一方の板面に、それぞれ多数のドットの集合体からなる複数の表示パターン部が形成された導光板と、
前記導光板の端面側から導光板内に、導光板の前記一方の板面に沿ってそれぞれ異なる方向に光を入射させるための複数の光源とを有し、
前記複数の表示パターン部を構成する各ドットは、それぞれ導光板の前記一方の板面から窪む反射用凹部によって構成され、
かつ各ドットの反射用凹部は、その内面の一部が、前記一方の板面に直交する方向に対し傾斜するとともに、前記一方の板面に平行な面内で湾曲するテーパー面によって形成されて、そのテーパー面が、前記複数の光源のうちのいずれかの光源からの光を、他方の板面に向けて反射させる反射面とされ、
さらに各ドットの反射用凹部の内面のうち、前記テーパー面以外の面は、前記各光源からの光を前記他方の板面に実質的に導かないように構成され、
前記ドットを構成する反射用凹部内面のテーパー面の凸湾曲側が、それぞれそのドットが属する表示パターン部ごとに、異なる光源に向いて、それぞれ異なる光源からの光を前記他方の板面に向けて反射するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記テーパー面以外の面が、前記一方の板面に対して垂直な面とされていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記テーパー面以外の面が、前記一方の板面に対して傾斜する面とされ、かつその傾斜方向は、各光源からの光を前記他方の板面に向けて反射もしくは屈折させない方向に定められていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記テーパー面が、前記一方の板面に対して垂直な軸線を有する直円錐の側面の一部に相当する形状の面とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記各反射用凹部の内面が、直円錐を、その回転軸を含む1以上の平面で分割したときの、分割された一つの円錐分割体の形状に作られていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記反射用凹部が、円錐台を、その回転軸を含む1以上の平面で分割したときの、分割された一つの円錐台分割体の形状に作られていることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、導光板の端面に沿った方向に並ぶ複数の発光素子によって構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれかの請求項に記載の表示装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−80120(P2013−80120A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220241(P2011−220241)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】