表示装置
【課題】メガネ等の表示装置取付部材に固定できる近距離での視認が可能で、かつ、背面方向の視野を損なわない表示装置を得る。
【解決手段】複数の反射集光ミラー単体111tと複数の画素(発光領域121)は1対1に対応する。そして、反射集光ミラー単体111tと発光領域121との位置関係は、発光表示面129における全領域において、複数の発光領域121から発光された光がそれぞれ対応する反射集光ミラー単体111tの半透過反射層114で反射される際、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチ程度の細い直径のビーム状の光線151となって、表示装置100の発光表示面129における透明領域123を通過して、前方における所定の集光点108aを通過する位置に設定されている。
【解決手段】複数の反射集光ミラー単体111tと複数の画素(発光領域121)は1対1に対応する。そして、反射集光ミラー単体111tと発光領域121との位置関係は、発光表示面129における全領域において、複数の発光領域121から発光された光がそれぞれ対応する反射集光ミラー単体111tの半透過反射層114で反射される際、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチ程度の細い直径のビーム状の光線151となって、表示装置100の発光表示面129における透明領域123を通過して、前方における所定の集光点108aを通過する位置に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、老眼者や近視者によらず、メガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて高精細な画像を視認することのできる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯電話などの電子機器には小型で解像度の高い液晶ディスプレイが用いられている。その画素サイズは0.1mmに近く、小さい画面でも小さなフォントの文字を用いることにより多くの文字数を表示することができる。このような画面を見る場合は、画面を近づけて見ることで、細かい文字でも判読できるが、40歳を過ぎた視覚機能に関する高齢者は通常、老眼化が進み、目の焦点調節機能が衰えているため、画面を近づけると画面がぼやけて文字が判読できないという課題があった。
【0003】
そこで、目の焦点調節機能が正常ではないユーザでも、画面を近づけて、表示させた画像を見ることのできる表示装置が必要とされてきた。そのような表示装置として例えば特許文献1に開示された表示装置がある。
【0004】
特許文献1に開示された表示装置は、透過型画像表示板に表示された画像を投影する手段として、点光源を所定位置に結像させる結像部材を設けた画像表示装置である。
【0005】
この画像表示装置は、上記点光源を面方向に多数分散配置してアレイ状とした点光源アレイを設け、該点光源アレイから上記結像部材までの距離に対する、隣り合う点光源の間隔の比率が、上記結像部材から上記所定位置の距離における一般的な人の瞳径の比率とほぼ等しくなるように設定した画像表示装置である。
【0006】
このような構成の画像表示装置は、点光源からの光を上記所定位置に結像させる結像部材の前面に置かれた光透過型の表示デバイスの画面上の各画素を通過する光が上記所定位置に集光されるように構成されており、上記所定位置に目の瞳が来るようにすれば、ピンホールアイマスクと同じ原理で、目の調節機能によらずに透過型表示デバイスの画像が鮮明に網膜上に結像される。
【0007】
また、該結像部材に対し複数の点光源を設けることにより可能な観察位置の数を増やし、しかも同時に二つ以上の光源の光が瞳に入射し網膜上に2重像を形成しないように光源のピッチが工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/116722号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した構成の従来の画像表示装置では、結像部材としてフライアイレンズを用いた場合には、フライアイレンズには結像する所定位置にフライアイレンズの複数のレンズの結像位置を一点に一致させなければ、フライアイレンズの個々のレンズに対応した場所の透過型表示デバイスの画像を視認することができなくなる特質を有している。
【0010】
このため、所定の光学性能を実現するためにフライアイレンズに要求される形状精度は高くなり、その製造は困難となるという問題点があった。さらに、樹脂でフライアイレンズを形成した場合、環境条件で形状の歪みが生じ光学性能が変化するため表示性能が落ちるというか問題点があった。
【0011】
また、光源はアレイ上に配置されているため、観察ポイントは左右上下方向に複数実現されるが、観察ポイントと観察ポイントの間に観察者の瞳が位置すると輝度の低下あるいは2重像が発生し画質が低下するため使いづらいという問題点があった。
【0012】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、観察ポイントに瞳の位置を固定するために、メガネ等の表示装置取付部材に固定できる近距離での視認が可能で、しかも、半透明で背面方向の視野を損なわない表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る請求項1記載の表示装置は、マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群を有する反射集光ミラー部とを備え、前記発光表示面は、前記複数の画素を構成する複数の発光領域と、前記複数の発光領域の周辺に形成される透明領域とを含み、前記発光表示部は、前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への発光を遮断する遮光板をさらに含み、前記反射集光ミラー群は、マトリクス状に配置され、各々が前記第1の方向に沿って球面凸状となる複数の単レンズを有するフライアイレンズ板と、前記フライレンズ板における前記複数の単レンズ面の表面に形成された半透過反射膜とを含み、前記反射集光ミラー単体は前記単レンズとその表面に形成された前記半透過反射膜との組合せ構造を含み、前記複数の反射集光ミラー単体は前記複数の画素に1対1に対応づけられ、前記複数の画素から発光される複数の初期光線が前記複数の反射集光ミラーの前記半透過反射膜によって反射されビーム状の複数の反射光線となって、前記第2の方向側の所定の観察点を通過するように設定され、前記反射集光ミラー部は、前記反射集光ミラー群に対し前記第1の方向側に形成される表面平坦化層をさらに含み、前記表面平坦化層は前記フライアイレンズ板と等しい屈折率を有する透明な材質で構成され、その表面が平坦化されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本願発明によれば、表示装置の第2の方向側の所定の観察点に観察者の瞳が位置するように、本表示装置をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置から瞳まで距離である観察距離が20mm程度の比較的短い場合においても、発光表示面から観察距離上に位置する観察者の瞳に一点に集光される表示形態を実現することができるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0015】
また、複数の反射集光ミラー単体は複数の画素に1対1に対応づけることにより、表示装置全体を薄く軽い構造で形成することができるため、メガネ等の表示装置取付部材への装着に違和感が無く使い易い表示装置を得ることができる。また、本表示装置における画像表示面は、複数の画素(発光領域)の周辺に透明領域を形成している半透明の形態であるため、観察者から視て表示装置の背面方向(第1の方向)の視野をさえぎることが無く使いやすい効果をさらに奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1である表示装置の使用状況を模式的に示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1である表示装置の断面構成と光の経路を示す模式図である。
【図4】実施の形態1における発光表示パネル部及びフライアイ状反射集光ミラー部それぞれの設計寸法例を表形式で示す説明図である。
【図5】平行光線をさえぎるスリットを通過した光による距離20mmのスクリーン上の光度分布の解析解による計算結果を示す説明図である。
【図6】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その1)を示す説明図である。
【図7】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その2)を示す説明図である。
【図8】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その3)を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図10】実施の形態2の表示装置の側面における断面構造を示す説明図である。
【図11】実施の形態2の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。
【図12】実施の形態2の発光表示パネル部から出た光の挙動に関する幾何光学計算結果を示すグラフである。
【図13】実施の形態3における表示装置の構成を示す説明図である。
【図14】実施の形態3の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である表示装置の使用状況を模式的に示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、メガネ2の内側レンズ面に貼り付けられた表示装置100、及び、有線あるいは無線通信による通信経路8を介して表示装置100に画像データを送る画像データ生成装置3から構成されている。
【0019】
特許文献1に開示された表示装置では、点光源からの光を所定位置の集光点に結像させる結像部材の前面に置かれた光透過型の表示デバイスの画面上の各画素を通過する光が上記所定位置に集光されるように構成されており、上記所定位置に目の瞳が来るようにすれば、ピンホールアイマスクと同じ原理で、目の調節機能によらずに透過型表示デバイスの画像が鮮明に網膜上に結像される。しかし、集光位置である所定位置から瞳がずれると輝度の低下や2重像が発生するため、瞳の大きさの位置精度で表示装置の位置を制御しなければならず、使いづらいという問題点があった。これに対し、本願発明における実施の形態1の表示装置100では、メガネ200に代表される表示装置取付部材に取り付けて固定することができるため、集光点108に観察者の瞳31を固定するのを容易にしている。
【0020】
図2はこの発明の実施の形態1である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素を有する発光表示パネル部120と、発光表示パネル部120の観察者から見て裏面側(第1の方向側)に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群111及びその反射集光ミラー群111の球面上に形成された表面平坦化コート層112とからなるフライアイ状反射集光ミラー部110とから構成されている。
【0021】
発光表示パネル部120は、たとえば有機ELディスプレイを用いて構成することができる。発光表示パネル部120の複数の画素となる複数の発光領域121が透明基板124上に形成され、複数の発光領域121の周囲を囲んで形成される透明領域123を備えている。なお、透明基板124の裏面は平坦化されている。
【0022】
また、複数の発光領域121に1対1に対応して設けられ、透明基板124と発光領域121との間に複数の遮光板122が設けられる。複数の遮光板122は、観察者の瞳31の方向(表示装置100における第2方向)への対応する発光領域121からの直接の発光光線を遮るように形成される。そして、複数の発光領域121、複数の遮光板122及び透明領域123によって発光表示パネル部120における発光表示面129が構成される。
【0023】
この遮光板122の背面に発光領域に電力を制御して供給するための駆動用のトランジスタ(図示せず)などを配置し、透明領域123に透明配線を配置することにより発光表示パネル部120の透過率を高めることができる。
【0024】
フライアイ状反射集光ミラー部110内の反射集光ミラー群111を構成する複数の反射集光ミラー単体111tは、発光表示部120における複数の画素(発光領域121)に1対1に対応づけて形成されている。さらに、反射集光ミラー111の表面には表面平坦化コート層112が形成され、フライアイ状反射集光ミラー部110の表面は平坦化されて平面になっている。
【0025】
図3は、この発明の実施の形態1である表示装置100の断面構成と光の経路を示す模式図である。
【0026】
同図に示すように、発光表示パネル部120は、発光領域121、遮光板122、透明領域123及び透明基板124から構成される。
【0027】
透明基板124の表面側(第1の方向側)に複数の遮光板122を介して複数の発光領域121が選択的に形成される。そして、発光領域121及び遮光板122の存在しない、透明基板124の表面上に透明領域123が設けられる。これら複数の発光領域121、複数の遮光板122及び透明領域123によって前述したように発光表示面129が構成される。
【0028】
各遮光板122は平面視して対応する発光領域121全体を含み、少し広い形状で形成されることにより、発光領域121から瞳31の方向への直接光を遮断することができる。なお、遮光板122の形状を大きくし過ぎると、その分、透明領域123による透過領域を狭めることになるため、遮光板122の形成面積は必要最小限の大きさで形成されることが望ましい。
【0029】
一方、フライアイ状反射集光ミラー部110は反射集光ミラー群111及び表面平坦化コート層112から構成され、反射集光ミラー群111はフライアイレンズ板113及び半透過反射層114から構成される。フライアイレンズ板113の裏面と発光表示面129の表面とを接着材等を用いて貼り付けることにより、発光表示パネル部120とフライアイ状反射集光ミラー部110とを一体化することができる。なお、図3におけるフライアイレンズ板113,発光表示面129との間の余白部分は接着領域を意味している。
【0030】
反射集光ミラー群111は、透明な材料でできたフライアイレンズ板113と、その凹凸面に半透過反射層114が形成されて構成されている。ここで、フライアイレンズ板113の材料の屈折率は、表面平坦化コート層112の屈折率と等しくなるように材料を選定している。
【0031】
フライアイレンズ板113は、各々がマトリクス状に配置され、メガネレンズ2Lの方向(第1の方向)に沿って球面凸状を呈している複数の単レンズ部分を有し、各単レンズ部分とその凹凸面に形成された半透過反射層114の部分とにより1単位の反射集光ミラー単体111tを構成している。
【0032】
そして、前述したように、複数の反射集光ミラー単体111tは複数の発光領域121(画素)と1対1に対応して設けられ、反射集光ミラー群111の平坦面と発光表示面129とが接着材等を用いて接着される。
【0033】
さらに、表面平坦化コート層112によって、フライアイ状反射集光ミラー部110の表面は平坦化されている。したがって、表面平坦化コート層112の表面をメガネレンズ2Lの内側レンズ面に比較的容易に貼り付けることができる。なお、図3における表面平坦化コート層112,メガネレンズ2L間の余白部分が接着領域を示している。
【0034】
以下、図3を参照して、実施の形態1の表示装置100の動作を説明する。
【0035】
反射集光ミラー単体111tに対し、対応する発光表示パネル部120の発光領域121の位置関係は以下の通りである。発光表示パネル部120の発光表示面129における全領域において、複数の発光領域121から発光された複数の初期光線がそれぞれ対応する反射集光ミラー単体111tの半透過反射層114で反射される際、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチ程度の細い直径のビーム状の光線151となって、表示装置100の発光表示面129における透明領域123を通過し、前方(第2の方向)における所定の集光点108aを通過する位置に設定されている。
【0036】
この時、表示装置100の裏面方向(第1の方向)側から来た外光180は、フライアイ状反射集光ミラー部110のフライアイレンズ板113の凹凸面の半透過反射層114を通過するが、フライアイレンズ板113の材料の屈折率と表面平坦化コート層112の材料の屈折率が等しいので屈折散乱されることなく直進する。このため、観察者は、表示装置100を透かして、表示装置100の向こう側を視認することができる。
【0037】
図4は発光表示パネル部120及びフライアイ状反射集光ミラー部110それぞれの設計寸法例を表形式で示す説明図である。
【0038】
同図に示すように、視距離に相当する集光点108の位置は、メガネ2に表示装置100を図1,図3に示すように接着材による接着等により取り付けることを想定して、表示装置100の前方(第2の方向)20mmとしている。
【0039】
発光表示パネル120の解像度は横320画素×縦240画素であり、画素のピッチは横方向縦方向共通で0.040mmである。発光表示パネル部120の表示面の大きさは、横12.8mm、縦9.6mmになる。したがって、半値は横6.4mm、縦4.8mmとなる。
【0040】
一方、反射集光ミラー単体111tの球半径は0.6mmで、画素(発光領域121)と反射集光ミラー単体111tの球中心距離が0.3mmとなる。また、発光表示面129の最も端部にある反射集光ミラー単体111tの対応する発光領域121に対する位置ズレは0.062×0.0465(mm)となる。また、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチは、0.040391mmである。また、発光表示面129の最も端部にある反射集光ミラー単体111tの中心部の座標位置は横6.463mm、縦4.847mmとなる。
【0041】
図4で示した寸法特性から、視距離200mmで眺めた場合の横128mm、縦96mmの視角に相当し、一般的なディスプレイと比較してやや粗いがテキストを読むためには十分な解像度感を与える程度となることがわかる。
【0042】
まず、反射集光ミラー群111におけるピッチの制約に関して述べる。反射集光ミラー群111における反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチが小さくなると、回折によるビーム151の広がりが大きくなる。
【0043】
図5は、平行光線をさえぎるスリットを通過した光による距離20mmのスクリーン上の光度分布の解析解による計算結果を示す説明図である。
【0044】
同図の光度分布L1〜L4に示すように、スリット幅が0.052mm(L1)、0.033mm(L2)、0.020mm(L3)、0.012mm(L4)と小さくなるにつれて、光度分布の半値幅が0.10mm、0.30mm、0.50mm、0.8mm程度と大きくなるのがわかる。2次元の細孔の回折も同程度である。
【0045】
図5で示す計算結果から、通常の瞳の径である直径0.8〜4mmに比べて、小さな直径の光線151を実現するためには、反射集光ミラー群111のピッチを少なくとも0.012mmより大きく、望ましくは2倍の0.024mm以上にすることが必要であることがわかる。ただし、反射集光ミラー群111のピッチの拡大は、表示画像の精細感の低下につながる。このため、図4の表の設計例では、反射集光ミラー群111の(反射集光ミラー単体111t間の)ピッチを0.04mmにしている。
【0046】
次に、フライアイ状反射集光ミラー部110の形状に関して述べる。反射集光ミラー群111の面の形状としては、球面や、楕円体面、法物面が利用可能である。ここでは、反射集光ミラー群111の各単レンズ部分の形状は球面としている。球面からなるフライアイレンズの製造は比較的容易であり、安価で行うことができる。
【0047】
反射集光ミラー群111の単レンズ部分の形状が球面の場合は、幾何光学計算では、球面を形成する球の中心点から、当該球面を形成する球の半径の半分だけ球面側(第1の方向側)にずれた位置にあるミラーの焦点距離に発光領域121の発光面を配置すると、反射光151は平行光線になる。すなわち、反射集光ミラー単体111tの単レンズ部分の半球面の中心点は発光領域121に対し瞳31側(第2の方向側)に、上記半径の半分シフトさせた位置に存在する。
【0048】
図6は図4で示した寸法特性を有する一の反射集光ミラー単体111tによる対応する発光領域121から発光される光線(初期光線)に対する反射光の幾何光学計算結果(その1)を示す説明図である。
【0049】
同図に示すように、距離20mmの集光点まで、十分に反射集光ミラー群111のピッチと同程度(0.04mm程度)の細い光線径の反射光が維持されることがわかる。
【0050】
フライアイレンズ板113の単レンズ間の球面のピッチは横縦共通で、発光表示パネル部120の画素のピッチよりもやや大きい0.0403912mmである。この設定により、表示装置100の端部の画素(発光領域121)を発光源とした反射光線151を画面中央の正面に位置する集光点108に確実に向けることができる。
【0051】
図7は図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群111による反射光の幾何光学計算結果(その2)を示す説明図である。同図に示すように、表面幅が12.8mm程度あっても、距離20mmの中央に位置する集光点に画面の端から光線が集光できることがわかる。ここで、フライアイ状反射集光ミラー部110のフライアイレンズ板113の材料の屈折率は、アクリルやガラスなどを想定して1.5としている。
【0052】
この時、発光領域121から出て本来対応する反射集光ミラー単体111tの隣の反射集光ミラー単体111tに反射された光は、同様にビーム状の光線152となって、表示装置100の前方の所定の集光点108aの隣の集光点108bに進む。この集光点108bは、集光点108aから瞳31の径(一般的には明るさにより変化するが0.8〜4mm程度)よりも大きい距離だけ離れていることが必要である。
【0053】
これにより、観察者の瞳31には常にひとつの集光点108の光しか通過しないことになる。このため、2重像の無い、鮮明な画像を観察者の網膜上に形成することができる。他方、集光点108bと集光点108aの間隔は狭い方が、瞳を移動させて観察できる位置が密あることになるので使いやすい。したがって、集光点108bの中心と集光点108aの中心との距離を間隔Dlとしたとき、間隔D1は瞳31の直径よりもやや大きい程度が望ましいことになる。
【0054】
ここで、反射集光ミラー群111からの反射光であるビーム状光線152のビーム状光線151に対するずれ角度Kaは、以下の式(1)で決定する。ここで、この集光点108と表示装置100との距離L=20mm、目標とする集光点108bと集光点108aとの間隔Dl=4mmとすると以下のように求められ、
Ka=arctan(Dl/L)=0.20 rad …(1)
Ka=0.20(rad)を得ることができる。
【0055】
また、表示装置100の材料内での光線角度Kdは、材料の屈折率n=1.5を考慮して、以下の式(2)で求められ、
Kd= arcsin(sin(KA)/n) =0.13 rad …(2)
Kd=0.13(rad) を得ることができる。
【0056】
そして、画素のピッチPg=0.04mm、とすると、画素の発光領域121の位置を球の中心点から半径Rの半分だけずれた位置にあるので、球面の半径Rは以下の式(3)で導出され、
R = 2・Pg/ tan( K ) = 0.6 mm…(3)
R=0.6(mm)を得ることができる。
【0057】
図8は図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群111による反射光の幾何光学計算結果(その3)を示す説明図である。同図に示すように、距離20mmの中央に位置する集光点のほかに、上方4mmの地点にも光線が集光されることがわかる。
【0058】
次に、発光領域121の形成幅は、横方向縦方向共通で0.004mmにしている。これは、画素ピッチの1/10であり、集光点108での発光エリア121の像の幅は、集光点の間隔の(1/10)になり4mm×(1/10)=0.4mmになる。
【0059】
これは、図5に示すようにピッチ0.04mmの反射集光ミラー群111の回折ぼやけによるビーム光151の直径と同程度である。ピンホールアイマスクの効果は、ビーム光151の回折による広がりと発光領域1211の像の幅の和で決まるため、発光領域121の形成幅は小さいほうが望ましいが、ビーム光151の回折による広がりに比べて大幅に小さくてもその寄与は少なく、逆に輝度の低下を招くため、ビーム光151の回折による広がりと発光領域121の像の幅が等しい程度が適している。
【0060】
このとき、発光領域121の幅は遮光板122の幅と等しいとすると発光表示パネル部120の透過率は、以下の式(4)により導から、
1-(4/40)×(4/40)=0.99…(4)
透過率=0.99(%)を得ることができる。
【0061】
そして、半透過反射層114の透過率は90%、反射率は10%である。したがって、表示装置100の裏面方向側(第1の方向側)から来た外光180の透過率は、半透過反射層114の透過率は90%、反射率は10%とすると、0.89(=0.99×0.9)となる。
【0062】
前述したように、表面平坦化コート層112の屈折率をフライアイレンズ板の材料の屈折率と等しい1.5にすれば、透過光は屈折散乱されることなく直進する。このため、観察者は、表示装置100を透かして、表示装置100の向こう側を見ることができる。
【0063】
なお、ここで、光のビーム(151,152)の径は反射集光ミラー群111における各単レンズの直径(ここではピッチにほぼ等しい)と発光領域121の集光点108の位置での結像サイズの和で決まるが、反射集光ミラー群111(における反射集光ミラー単体111t間の)のピッチと発光領域121の幅は観察者の瞳の径に比べ十分細いので、反射光151は完全に平行光線である必要は無い。集光点108において光線151の直径が瞳の直径よりも小さければ、ピンホールアイマスクと同じ原理で観察者の調節機能を補って網膜上にぼやけの少ない像が結像される。
【0064】
このように、実施の形態1の表示装置100は複数の画素(発光領域121)に1対1に対応する複数の反射集光ミラー単体111tを設けることにより、薄型で軽量化可能な構造を実現することができる。このため、フライアイ状反射集光ミラー部110側及び発光表示パネル部120側のうち、いずれかの表面に粘着層を形成し、メガネ2のメガネレンズ2Lの外側レンズ面及び内側レンズ面のうちの一方に貼り付けることができる。このため、メガネ3へ容易に取り付け取りはずしができるため、保持用のメガネには、観察者が使い慣れた、自分のメガネを使用することができる。
【0065】
このように、実施の形態1の表示装置100によれば、表示装置100の発光表示パネル部120側(第2の方向側)の所定の観察点に観察者の瞳31が位置するように、表示装置100の表面平坦化コート層112の表面をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置100から瞳31まで距離である観察距離が20mm程度の比較的短い場合においても、発光表示面129から観察距離上に位置する観察者の瞳に一点に集光される表示形態を前述したような寸法特性で実現することができるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0066】
また、複数の反射集光ミラー単体111tを複数の画素(発光領域121)に1対1に対応づけることにより、表示装置100全体を比較的薄く軽い構造で形成することができるため、メガネ2等の表示装置取付部材への装着に違和感が無く使い易い表示装置100を得ることができる。また、表示装置100における発光表示面129は、複数の画素(発光領域121)以外の周辺領域に透明領域123を形成している半透明の形態であるため、観察者から視て表示装置100の背面方向(第1の方向)の視野をさえぎることが無く使いやすい効果をさらに奏する。
【0067】
さらに、実施の形態1の表示装置100は、フライアイ状反射集光ミラー部110側(第1の方向)への単レンズ発光領域間距離(対応関係にある反射集光ミラー単体111tの半休面の中心点から発光領域121に至る距離)を反射集光ミラー単体111tの半球面を規定する半径の半分の値に設定している。このため、反射集光ミラー群111の(反射集光ミラー単体111t間の)ピッチを例えば0.04mm程度に設定することにより、発光表示面129の各画素から発光される初期光線が反射集光ミラー部を反射して得られる反射光を、瞳の大きさよりも十分小さい径の平行ビームとして出射することができる。
【0068】
加えて、各々の反射集光ミラー単体111tのレンズ面が半球面からなる複数の単レンズの製造は比較的容易であるため、表示装置100を安価に構成することができる。
【0069】
なお、本実施の形態1では、フライアイレンズ1の単レンズをマトリクス状に配置した場合を例に説明したが、正三角形の頂点が並んだ配列にしても、同じ構成を実現できる。
【0070】
また、本実施の形態では、メガネレンズ2Lの内側レンズ面に表示装置100の表面平坦化コート層112を貼り付けた使用例を示したが、メガネレンズ2Lの外側レンズ面に表示装置100の透明基板124を貼り付けた使用も勿論可能である。ただし、後者の場合、反射光がメガネレンズ2Lを透過することになるため、メガネレンズ2Lを透過させない観点からは図3で示した貼り付け使用の方が望ましい。
【0071】
<実施の形態2>
実施の形態1では、回折による光散乱を防ぐために、反射集光ミラー群111のサイズをある程度大きくする必要があり、このため、反射集光ミラー単体111tが発光表示パネル部120の一つ画素(発光領域121)に対応する実施の形態1では、表示装置100の画素ピッチを小さくできないという制約がある。
【0072】
解決策としては、ひとつの反射集光ミラーで表示装置のすべての画素の光を制御する方式も考えられるが、その場合、反射集光ミラーの焦点距離が大きくなり、発光表示パネル部120から出る放射光を反射集光して平行光線となる反射光を得るために必要な発光表示パネル部120と反射集光ミラーとの間の距離が大きくとる必要が生じ、必然的に表示装置全体の厚さが厚くなるとの課題がある。
【0073】
そこで、実施の形態2では、発光表示パネル部と反射集光ミラー部との間の距離を短縮できる構造の表示装置200を考案した。この表示装置200により、反射集光ミラー部のサイズを大きくできるため、回折による光散乱を防ぐことができ、高精細な表示が可能になる。
【0074】
図9はこの発明の実施の形態2である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、表示装置200は、マトリクス状に複数の画素(発光領域221)が配置された発光表示パネル部220と、発光表示パネル部220に対し観察者と逆方向(第1の方向)に設けられた反射集光ミラー部210とから構成されている。
【0075】
図10は実施の形態2の表示装置200の側面における断面構造を示す説明図である。同図に示すように、発光表示パネル部220は、透明基板224の表面上に複数の画素に相当し観察者と逆の方向(第1の方向)に光を放射する複数の発光領域221が形成される。そして、複数の発光領域221に1対1に対応する複数の遮光板222が各発光領域221の裏面(第2の方向側)に配置される。これら発光領域221及び透明領域223の周囲を囲んで透明基板224上に透明領域223が形成される。これら透明基板224の表面上に形成される、発光領域221,遮光板222及び透明領域223が発光表示面229を構成する。
【0076】
一方、発光表示パネル部220に対し観察者と反対方向(第1の方向)における発光表示面229(発光領域221、遮光板222、及び透明領域223)の表面には偏光板225、反射偏光板226、及び1/4波長位相差板227が225〜227の順に貼り付けて積層構造を呈している。
【0077】
一方、反射集光ミラー部210は、透明樹脂で形成された凹面板212の観察者側の表面にアルミニウムや銀などから金属薄膜が蒸着されることにより反射ミラー211が形成されている。このとき、凹面板212を構成する透明樹脂の厚さが均一であり、反射ミラー211を構成する金属薄膜が薄ければ、背面からきた外光を屈折させないで透過させる半透過反射ミラーとして機能させることもできる。
【0078】
反射偏光板227と反射集光ミラー部210の間には幅Lgの空間を設けている。発光表示パネル部220から放射された光L20は、この距離Lgを略2往復し、この間に反射集光ミラー部210の反射ミラー211による反射によって2回集光されて最終的に平行光線となり観察者の瞳31に向かう。したがって、表示装置200の幅を反射集光ミラーの焦点距離に比べ十分薄くしても、反射光L20として平行光線を出射することができる。なお、実際には反射偏光板226,反射集光ミラー部210間で反射が繰り返されるが、1/4波長位相差板227の膜厚は十分薄いため、反射偏光板227と反射集光ミラー部210との間の距離Lgを反射により往復する距離としても問題は無い。
【0079】
図11は実施の形態2の表示装置200における発光表示パネル部220を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。同図に示すように、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225それぞれの透過軸の向きは等しい。
【0080】
1/4波長位相差板227は、一軸性の位相差板であり、遅相軸の向きが、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225の透過軸の向きから45度傾いた向きに張り付けられている。ここでは、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225の透過軸の向きは0度、1/4波長位相差板227の遅相軸の向きは45度としている。
【0081】
以下、図11を参照して、実施の形態2の表示装置200の動作について説明する。同図に示すように、表示パネル部220の発光領域221から放射された放射光L21(初期光線)は、偏光板225により0度方向の直線偏光となる。反射偏光板226と偏光板225との透過軸の向きは等しいので、この直線偏光はそのまま反射偏光板226を通過して、1/4波長位相差板227により円偏光となり、発光表示パネル部220から距離Lg離れた位置にある反射ミラー211に向かう。反射ミラー211で反射集光された反射光L22は、再び1/4波長位相差板227を通過し90度方向の直線偏光になるため、反射偏光板226を通過せず反射される。
【0082】
反射偏光板226で反射された反射光L23は、みたび1/4波長位相差板227を通過し円偏光となり、距離Lg離れた位置にある反射ミラー211に向かう。反射ミラー211で再度反射集光された反射光L24は、よたび1/4波長位相差板227を通過し、今回は0度方向の直線偏光になる。このため、反射光L24は反射偏光板226で反射されることなく通過し、さらに発光表示パネル部220の透明領域223を通過して観察者方向に進む。
【0083】
このとき、発光領域221から出た放射光L21(初期光線)及びその後の反射光L22〜L24は、距離Lgの約4倍の距離を進んだことになり、さらに、反射集光ミラー部210における反射ミラー211による反射によって2回集光されるため、表示装置200から放射される光は最終的に平行光線となるように、距離Lg及び反射集光ミラー部210の形状等を設定することができる。このため、表示装置200を目の近くに置いても、観察者は眼の焦点を遠方にすることにより、網膜上に鮮明な結像することが可能になる。
【0084】
図12は、発光表示パネル部220から出た光の挙動に関する幾何光学計算結果を示すグラフである。なお、図12では、理解を容易にするためにミラーによる反射による光線の折り返しを、上下方向の角度を維持した屈折で前方に進むとして示している。条件は、反射ミラー211は球面ミラーであり半径は22.7mm、1/4波長位相差板227と反射集光ミラー部210との間の距離Lgは3mm、発光表示パネル部220の幅は4mm、であり、発光表示パネル部220の両端と中央からそれぞれ放射された3本の光L21a〜L21c(それぞれ0度方向と±30度方向への放射光)の進行経路を示している。
【0085】
図12において、発光表示パネル部220の中央から放射された3本の放射光L21a(0度方向と±30度方向への放射光)は反射集光ミラー部210による1回目の反射偏光R1後の反射光L22,反射偏光板226による反射後の反射光L23の状態を経て、最終的に反射集光ミラー部210による2回目の反射偏光R2後の反射光L24が得られる。
【0086】
そして、発光表示パネル部220において同一の画素(発光領域221)から発光された放射光L21aに基づく反射光L24aは、互いに平行な平行光線となってその一部が、表示装置200の前方10mmに位置する観察者の瞳31に入射している。したがって、観察者は、眼の焦点を、遠方を見る状態にすることにより、網膜上に鮮明な光点を結像することができる。このとき、発光領域221から放射状に出た放射光L21aは反射集光ミラー部210にて2回反射されることにより、緩やかな曲率の形状でも効果的な集光が可能となるため、球面ミラー収差による網膜像のぼやけが少ない。
【0087】
次に、発光表示パネル部220の両端から放射された3本の光L21b、L21c(0度方向と±30度方向への放射光)も同様に反射集光ミラー部210内の2回の偏向によりお互いに平行な平行光線な反射光L24b,L24cとなって、その一部が表示装置200の前方10mmに位置する観察者の瞳31に入射している。したがって、観察者は表示装置200における発光表示パネル部220の両端部分の表示も問題なく観察できる。
【0088】
集光発光表示パネル部220の両端から放射され平行光になった光の角度は、図12から30mmの距離で16mmの画面幅の虚像に相当しており、300mmの視距離では160mmの画面幅の表示装置の虚像を見ることになる。
【0089】
このとき、必要な反射集光レンズ211の左右幅は、図12から±5mmの10mmであることがわかる。ただし、瞳31の位置の自由度を大きくするためには、より大きな幅が望ましい。反射集光レンズ211は半径22.7mmの球面であり、収差を考慮しても、幅の拡大は可能である。
【0090】
実施の形態2の表示装置200によれば、表示装置200の発光表示パネル部220側(第2の方向側)の所定位置に観察者の瞳31が位置するように、表示装置200をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置200から瞳まで距離である観察距離が10mm程度の比較的短い場合においても、複数の画素から発光された複数の初期光線に基づき得られる複数の外部出射光(図11,図12の反射光L24)が平行光線として観察者に認識されるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0091】
そして、実施の形態2の表示装置200は、主として反射集光ミラー部210,反射偏光板226間で、複数の画素からの放射される初期光線をミラー偏光板間距離(反射集光ミラー部210,反射偏光板226間の距離(≒Lg,正確には1/4波長位相差板227の分長い)の約4倍の長さで内部反射させているため、最終反射光(図11,図12の反射光L24)を平行光線として出力可能な直線距離の1/4程度に表示装置200全体の厚みを設定することができる。このため、厚みが薄く、全体の重量を軽い表示装置200を実現できる。その結果、観察者のメガネ等の表示装置取付部材への装着を違和感無く行うことができ、観察者に使い易い表示装置200を得ることができる効果を奏する。
【0092】
さらに、実施の形態2の表示装置200によれば、反射ミラー211の反射面(凹面)で複数の画素からの複数の初期光線が2回反射された後に複数の最終反射光(図11,図12の反射光L24)を得ているため、反射ミラー211の反射面の曲率を緩やかにしても効果的な集光が可能であり、収差による網膜像のぼやけが少ない最終反射光を得ることができる。
【0093】
このように、本発明の実施の形態2の表示装置200は薄い構造で実現でき、メガネ2への装着に違和感が無く使い易い。
【0094】
なお、ここで、反射集光ミラー部210を半透過反射ミラーとすれば、表示装置200を通過する光は直進するため、表示装置200の向こう側を透かして眺めることも可能である。
【0095】
また、ここでは、反射集光ミラー部210の形状を球面としたが、これに限るものではなく 放物面形状や3次元非球面など集光効果を持つ形状ならば、用いることができる。
【0096】
さらに、表示装置200の寸法を相似的に拡大することを考える。たとえば20倍に拡大し、集光反射ミラー211の半径は454mm、反射偏光板227と反射集光ミラー部210の間の距離Lgは60mm、発光表示パネル部220の幅を80mmとすると、表示装置200の前方200mmの位置で、観察者は、眼の焦点を、遠方を見る状態にすることにより、3m先に幅1.6mの画面幅の表示装置の虚像を見ることができることになる。すなわち、限界近接視認距離が2mの老眼者でも、視距離200mmで鮮明な画像を見ることができる。
【0097】
以上の説明では、集光光学系として集光反射ミラー211を用いたが、これに限るのではなく、観察者の瞳に入射する光を平行光線にするために、他の集光光学系を組み合わせることができる。たとえば、図10に示す表示装置200において、1/4波長位相差板227の表面にさら集光光学系として凸レンズを形成しても良い、この場合は、発光表示パネル部220から放射された光20は、表示装置200から放射されるまでに4回偏向されるので、効果的である。同様に反射集光ミラー部210の表面に集光光学系として凸レンズを形成しても良い。また、反射集光ミラー部210と1/4波長位相差板227との間に集光光学系として凸レンズを設置しても良い。これにより、反射集光ミラー部210と1/4波長位相差板227の間の距離Lgをさらに短縮でき、必要な発光表示パネル部220のサイズを小さくすることができる。
【0098】
<実施の形態3>
図13に実施の形態3における表示装置300の構成を示す説明図である。同図に示すように、実施の形態3の表示装置は、マトリクス状に複数の画素(発光領域321)が配置された発光表示パネル部320と、発光表示パネル部320に対し観察者と逆方向に設けられた平面反射ミラー311とから構成されている。発光表示パネル部320は、遮光基板322の表面上にマトリクス状に形成された発光領域321とその周辺に形成された透明領域323とを備える。そして、複数の発光領域321と透明領域323とにより発光表示面329を構成する。なお、遮光基板322は発光表示面329の上端からさらに少し延在して形成される。
【0099】
上述したように、発光表示パネル部320は、表示観察者と逆の方向(第1の方向)に光を放射する複数の発光領域321とその観察者側に配置された遮光基板322とを基本構成として備えている。
【0100】
さらに、発光表示パネル部320は、発光表示面329に対し観察者と反対方向(第1の方向)の表面に偏光板325、反射偏光板326、及び1/4波長位相差板327が325〜327の順に貼り付けられ積層構造を呈している。偏光板325、反射偏光板326及び1/4波長位相差板327は発光表示面329の上端からさらに上方に延在して形成される。
【0101】
なお、1/4波長位相差板327と反射集光ミラー311の間には距離Lg2の空間を設けている。さらに発光表示パネル320の偏光板325の裏面側に、発光表示面329から離れて集光レンズ330が設けられる。この集光レンズ330は、遮光基板322の最上端より上方に位置して形成される。
【0102】
そして、発光表示パネル部320の1/4波長位相差板327と平面集光ミラー311の上部及び下部に迷光吸収板340及び341が設けられる。
【0103】
図14は実施の形態3の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。実施の形態3の表示装置300において、光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細は実施の形態2の表示装置200と同一である。
【0104】
図14に示すように、表示パネル部320の反射偏光板326及び偏光板325の透過軸の向きは等しい。1/4波長位相差板327は、一軸性の位相差板であり、遅相軸の向きが、表示パネル部320の反射偏光板326及び偏光板325の透過軸の向きから45度傾いた向きに張り付けられている。ここでは、表示パネル部320の反射偏光板326と偏光板325の透過軸の向きは0度、1/4波長位相差板327の遅相軸の向きは45度としている。
【0105】
以下、図14を参照して、実施の形態3の表示装置300の動作について説明する。
【0106】
図14において、表示パネル部320の発光領域321から放射された光L31(図13のL30a〜L30cに相当)は、偏光板325により0度方向の直線偏光となる。反射偏光板326と偏光板325の透過軸の向きは等しいので、この直線偏光L31はそのまま反射偏光板326を通過して、1/4波長位相差板327により円偏光となり、距離Lg2離れた距離にある平面反射ミラー311に向かう。反射ミラー211で反射集光された反射光L32は、再び1/4波長位相差板327を通過し90度方向の直線偏光になるため、反射偏光板326を通過せず反射される。
【0107】
反射偏光板326で反射され反射光L33は、みたび1/4波長位相差板327を通過し円偏光となり、距離Lg2離れた距離にある平面反射ミラー311に向かう。反射ミラー311で再度反射された反射光L34(最終反射光)は、よたび1/4波長位相差板327を通過し、今回は0度方向の直線偏光になる。このため、反射偏光板326では反射されず通過する。このとき、光の角度により異なり、発光表示パネル320の発光表示面329に対し垂直に近い角度で放射された反射光L34は、遮光基板322で吸収され、これ以降は伝播を行わない。これは、図13の光L30bに相当する。なお、遮光基板322を発光表示面329に対し上方に延在して形成することにより、最上端にある発光領域321から発光表示面329に対し垂直に近い角度で放射された部分の反射光L34も確実に吸収することができる。
【0108】
また、発光表示パネル320における発光表示面329に対し所定の角度で傾いて放射された部分における反射光L34(最終反射光)は集光レンズ330を通過する。集光レンズ330から、複数の画素からの放射光に対応する複数の(外部)出射光(図13で示す出射光L39に相当)が出射される。このように、集光レンズ330から外部出射光が出力されるのは、図13の光L30aのように、発光表示面329に対し所定の傾きをもって発光領域321から放射される光に限定される。なお、遮光基板322の最上端より上方に集光レンズ330を形成しているため、集光レンズ330からの出射光L39が遮光基板322より遮られることはない。
【0109】
さらに、垂直方向から大きく傾いた角度で放射された光は、図13の光L30cに示す様に、上部の平面集光ミラー311,1/4波長位相差板327間に設けられた上方の迷光収板340によって吸収される。
【0110】
すなわち、集光レンズ330を通過して得られる出射光L39は、距離Lg2に相当する距離を2回往復した光に限られることになる。したがって、反射光L30aが入射され集光レンズ330により集光される(外部)出射光が平行光線になるように、平面反射ミラー311の反射面、平面反射ミラー311の反射面と反射偏光板326との距離であるミラー偏光板間距離等を比較的容易に設定することができる。
【0111】
このとき、発光領域321から出た光L30aは、斜めに進むため上記距離Lg2の4倍以上の距離を進むことになり、集光レンズ330から出射される出射光L39は集光レンズ330の焦点距離の1/4よりも狭い長さの間隔Lg2でも平行光線とすることができる。このため、表示装置300を眼の近くに置いても、観察者は眼の焦点を遠方にすることにより、網膜上に鮮明な結像することが可能になる。このとき、集光レンズ330において、発光表示パネル部320における発光表示面329から離れた領域を通過する光の光路長さは、発光表示面329に近い領域を通過する光の光路長さよりも長くなるため、発光表示面329から比較的離れた位置にある遠い領域の焦点距離を発光表示面329から比較的近い領域の焦点距離よりも長くした非球面のレンズ形状の集光レンズ330を備えることが望ましい。
【0112】
実施の形態3の表示装置300では、観察者が観察する光の光路に発光表示パネル320における発光表示面329が存在しないため、上記発光表示面329の通過時の散乱がないため、より鮮明な像を観察できる。
【0113】
ここでは、記載していないが、集光レンズ330の前後に、プリズムやプリズムシートなどの光偏向部材を設置し、観察者の観察方向を表示装置300の正面方向(第1の方向)に設定することもできる。
【0114】
実施の形態3の表示装置300は、複数の画素からの複数の初期光線をミラー偏光板間距離(≒Lg2(正確には1/4波長位相差板327の膜厚分長い))の4倍以上の長さで内部反射させることにより、集光レンズ330に入力される最終反射光を集光して得られる出射光L39(外部出射光)を平行光線として出力可能な光線経路の距離の1/4以下に表示装置300全体の厚みを設定することができる。このため、厚みが薄く、全体の重量を軽い表示装置300を実現できる。その結果、観察者のメガネ等の表示装置取付部材への装着を違和感無く行うことができ、観察者に使い易い表示装置を得ることができる効果を奏する。
【0115】
なお、迷光吸収板340は図13で示す反射光L30cを吸収するため必要であるが、迷光吸収板341はその必要はないため、省略することは可能である。
【0116】
また、表示装置取付部材として用いたメガネ2一般的な度付き眼鏡は勿論、度のないサングラス等を用いることも勿論可能である。
【0117】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
100,200,300 表示装置、110 フライアイ状反射集光ミラー部、111 反射集光ミラー群、112 表面平坦化コート層、113 フライアイレンズ板、114 半透過反射層、120,220,320 発光表示パネル部、121,221,321 発光領域、122,222 遮光板、123,223,323 透明領域、124,224 透明基板、210 反射集光ミラー部、211 反射ミラー、212 凹面板、225,325 偏光板、226,326 反射偏光板、227,327 1/4波長位相差板、311 平面集光ミラー、330 集光レンズ、340,341 迷光吸収板。
【技術分野】
【0001】
この発明は、老眼者や近視者によらず、メガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて高精細な画像を視認することのできる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯電話などの電子機器には小型で解像度の高い液晶ディスプレイが用いられている。その画素サイズは0.1mmに近く、小さい画面でも小さなフォントの文字を用いることにより多くの文字数を表示することができる。このような画面を見る場合は、画面を近づけて見ることで、細かい文字でも判読できるが、40歳を過ぎた視覚機能に関する高齢者は通常、老眼化が進み、目の焦点調節機能が衰えているため、画面を近づけると画面がぼやけて文字が判読できないという課題があった。
【0003】
そこで、目の焦点調節機能が正常ではないユーザでも、画面を近づけて、表示させた画像を見ることのできる表示装置が必要とされてきた。そのような表示装置として例えば特許文献1に開示された表示装置がある。
【0004】
特許文献1に開示された表示装置は、透過型画像表示板に表示された画像を投影する手段として、点光源を所定位置に結像させる結像部材を設けた画像表示装置である。
【0005】
この画像表示装置は、上記点光源を面方向に多数分散配置してアレイ状とした点光源アレイを設け、該点光源アレイから上記結像部材までの距離に対する、隣り合う点光源の間隔の比率が、上記結像部材から上記所定位置の距離における一般的な人の瞳径の比率とほぼ等しくなるように設定した画像表示装置である。
【0006】
このような構成の画像表示装置は、点光源からの光を上記所定位置に結像させる結像部材の前面に置かれた光透過型の表示デバイスの画面上の各画素を通過する光が上記所定位置に集光されるように構成されており、上記所定位置に目の瞳が来るようにすれば、ピンホールアイマスクと同じ原理で、目の調節機能によらずに透過型表示デバイスの画像が鮮明に網膜上に結像される。
【0007】
また、該結像部材に対し複数の点光源を設けることにより可能な観察位置の数を増やし、しかも同時に二つ以上の光源の光が瞳に入射し網膜上に2重像を形成しないように光源のピッチが工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/116722号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した構成の従来の画像表示装置では、結像部材としてフライアイレンズを用いた場合には、フライアイレンズには結像する所定位置にフライアイレンズの複数のレンズの結像位置を一点に一致させなければ、フライアイレンズの個々のレンズに対応した場所の透過型表示デバイスの画像を視認することができなくなる特質を有している。
【0010】
このため、所定の光学性能を実現するためにフライアイレンズに要求される形状精度は高くなり、その製造は困難となるという問題点があった。さらに、樹脂でフライアイレンズを形成した場合、環境条件で形状の歪みが生じ光学性能が変化するため表示性能が落ちるというか問題点があった。
【0011】
また、光源はアレイ上に配置されているため、観察ポイントは左右上下方向に複数実現されるが、観察ポイントと観察ポイントの間に観察者の瞳が位置すると輝度の低下あるいは2重像が発生し画質が低下するため使いづらいという問題点があった。
【0012】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、観察ポイントに瞳の位置を固定するために、メガネ等の表示装置取付部材に固定できる近距離での視認が可能で、しかも、半透明で背面方向の視野を損なわない表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る請求項1記載の表示装置は、マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群を有する反射集光ミラー部とを備え、前記発光表示面は、前記複数の画素を構成する複数の発光領域と、前記複数の発光領域の周辺に形成される透明領域とを含み、前記発光表示部は、前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への発光を遮断する遮光板をさらに含み、前記反射集光ミラー群は、マトリクス状に配置され、各々が前記第1の方向に沿って球面凸状となる複数の単レンズを有するフライアイレンズ板と、前記フライレンズ板における前記複数の単レンズ面の表面に形成された半透過反射膜とを含み、前記反射集光ミラー単体は前記単レンズとその表面に形成された前記半透過反射膜との組合せ構造を含み、前記複数の反射集光ミラー単体は前記複数の画素に1対1に対応づけられ、前記複数の画素から発光される複数の初期光線が前記複数の反射集光ミラーの前記半透過反射膜によって反射されビーム状の複数の反射光線となって、前記第2の方向側の所定の観察点を通過するように設定され、前記反射集光ミラー部は、前記反射集光ミラー群に対し前記第1の方向側に形成される表面平坦化層をさらに含み、前記表面平坦化層は前記フライアイレンズ板と等しい屈折率を有する透明な材質で構成され、その表面が平坦化されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本願発明によれば、表示装置の第2の方向側の所定の観察点に観察者の瞳が位置するように、本表示装置をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置から瞳まで距離である観察距離が20mm程度の比較的短い場合においても、発光表示面から観察距離上に位置する観察者の瞳に一点に集光される表示形態を実現することができるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0015】
また、複数の反射集光ミラー単体は複数の画素に1対1に対応づけることにより、表示装置全体を薄く軽い構造で形成することができるため、メガネ等の表示装置取付部材への装着に違和感が無く使い易い表示装置を得ることができる。また、本表示装置における画像表示面は、複数の画素(発光領域)の周辺に透明領域を形成している半透明の形態であるため、観察者から視て表示装置の背面方向(第1の方向)の視野をさえぎることが無く使いやすい効果をさらに奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1である表示装置の使用状況を模式的に示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1である表示装置の断面構成と光の経路を示す模式図である。
【図4】実施の形態1における発光表示パネル部及びフライアイ状反射集光ミラー部それぞれの設計寸法例を表形式で示す説明図である。
【図5】平行光線をさえぎるスリットを通過した光による距離20mmのスクリーン上の光度分布の解析解による計算結果を示す説明図である。
【図6】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その1)を示す説明図である。
【図7】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その2)を示す説明図である。
【図8】図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群による反射光の幾何光学計算結果(その3)を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図10】実施の形態2の表示装置の側面における断面構造を示す説明図である。
【図11】実施の形態2の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。
【図12】実施の形態2の発光表示パネル部から出た光の挙動に関する幾何光学計算結果を示すグラフである。
【図13】実施の形態3における表示装置の構成を示す説明図である。
【図14】実施の形態3の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
図1はこの発明の実施の形態1である表示装置の使用状況を模式的に示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、メガネ2の内側レンズ面に貼り付けられた表示装置100、及び、有線あるいは無線通信による通信経路8を介して表示装置100に画像データを送る画像データ生成装置3から構成されている。
【0019】
特許文献1に開示された表示装置では、点光源からの光を所定位置の集光点に結像させる結像部材の前面に置かれた光透過型の表示デバイスの画面上の各画素を通過する光が上記所定位置に集光されるように構成されており、上記所定位置に目の瞳が来るようにすれば、ピンホールアイマスクと同じ原理で、目の調節機能によらずに透過型表示デバイスの画像が鮮明に網膜上に結像される。しかし、集光位置である所定位置から瞳がずれると輝度の低下や2重像が発生するため、瞳の大きさの位置精度で表示装置の位置を制御しなければならず、使いづらいという問題点があった。これに対し、本願発明における実施の形態1の表示装置100では、メガネ200に代表される表示装置取付部材に取り付けて固定することができるため、集光点108に観察者の瞳31を固定するのを容易にしている。
【0020】
図2はこの発明の実施の形態1である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素を有する発光表示パネル部120と、発光表示パネル部120の観察者から見て裏面側(第1の方向側)に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群111及びその反射集光ミラー群111の球面上に形成された表面平坦化コート層112とからなるフライアイ状反射集光ミラー部110とから構成されている。
【0021】
発光表示パネル部120は、たとえば有機ELディスプレイを用いて構成することができる。発光表示パネル部120の複数の画素となる複数の発光領域121が透明基板124上に形成され、複数の発光領域121の周囲を囲んで形成される透明領域123を備えている。なお、透明基板124の裏面は平坦化されている。
【0022】
また、複数の発光領域121に1対1に対応して設けられ、透明基板124と発光領域121との間に複数の遮光板122が設けられる。複数の遮光板122は、観察者の瞳31の方向(表示装置100における第2方向)への対応する発光領域121からの直接の発光光線を遮るように形成される。そして、複数の発光領域121、複数の遮光板122及び透明領域123によって発光表示パネル部120における発光表示面129が構成される。
【0023】
この遮光板122の背面に発光領域に電力を制御して供給するための駆動用のトランジスタ(図示せず)などを配置し、透明領域123に透明配線を配置することにより発光表示パネル部120の透過率を高めることができる。
【0024】
フライアイ状反射集光ミラー部110内の反射集光ミラー群111を構成する複数の反射集光ミラー単体111tは、発光表示部120における複数の画素(発光領域121)に1対1に対応づけて形成されている。さらに、反射集光ミラー111の表面には表面平坦化コート層112が形成され、フライアイ状反射集光ミラー部110の表面は平坦化されて平面になっている。
【0025】
図3は、この発明の実施の形態1である表示装置100の断面構成と光の経路を示す模式図である。
【0026】
同図に示すように、発光表示パネル部120は、発光領域121、遮光板122、透明領域123及び透明基板124から構成される。
【0027】
透明基板124の表面側(第1の方向側)に複数の遮光板122を介して複数の発光領域121が選択的に形成される。そして、発光領域121及び遮光板122の存在しない、透明基板124の表面上に透明領域123が設けられる。これら複数の発光領域121、複数の遮光板122及び透明領域123によって前述したように発光表示面129が構成される。
【0028】
各遮光板122は平面視して対応する発光領域121全体を含み、少し広い形状で形成されることにより、発光領域121から瞳31の方向への直接光を遮断することができる。なお、遮光板122の形状を大きくし過ぎると、その分、透明領域123による透過領域を狭めることになるため、遮光板122の形成面積は必要最小限の大きさで形成されることが望ましい。
【0029】
一方、フライアイ状反射集光ミラー部110は反射集光ミラー群111及び表面平坦化コート層112から構成され、反射集光ミラー群111はフライアイレンズ板113及び半透過反射層114から構成される。フライアイレンズ板113の裏面と発光表示面129の表面とを接着材等を用いて貼り付けることにより、発光表示パネル部120とフライアイ状反射集光ミラー部110とを一体化することができる。なお、図3におけるフライアイレンズ板113,発光表示面129との間の余白部分は接着領域を意味している。
【0030】
反射集光ミラー群111は、透明な材料でできたフライアイレンズ板113と、その凹凸面に半透過反射層114が形成されて構成されている。ここで、フライアイレンズ板113の材料の屈折率は、表面平坦化コート層112の屈折率と等しくなるように材料を選定している。
【0031】
フライアイレンズ板113は、各々がマトリクス状に配置され、メガネレンズ2Lの方向(第1の方向)に沿って球面凸状を呈している複数の単レンズ部分を有し、各単レンズ部分とその凹凸面に形成された半透過反射層114の部分とにより1単位の反射集光ミラー単体111tを構成している。
【0032】
そして、前述したように、複数の反射集光ミラー単体111tは複数の発光領域121(画素)と1対1に対応して設けられ、反射集光ミラー群111の平坦面と発光表示面129とが接着材等を用いて接着される。
【0033】
さらに、表面平坦化コート層112によって、フライアイ状反射集光ミラー部110の表面は平坦化されている。したがって、表面平坦化コート層112の表面をメガネレンズ2Lの内側レンズ面に比較的容易に貼り付けることができる。なお、図3における表面平坦化コート層112,メガネレンズ2L間の余白部分が接着領域を示している。
【0034】
以下、図3を参照して、実施の形態1の表示装置100の動作を説明する。
【0035】
反射集光ミラー単体111tに対し、対応する発光表示パネル部120の発光領域121の位置関係は以下の通りである。発光表示パネル部120の発光表示面129における全領域において、複数の発光領域121から発光された複数の初期光線がそれぞれ対応する反射集光ミラー単体111tの半透過反射層114で反射される際、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチ程度の細い直径のビーム状の光線151となって、表示装置100の発光表示面129における透明領域123を通過し、前方(第2の方向)における所定の集光点108aを通過する位置に設定されている。
【0036】
この時、表示装置100の裏面方向(第1の方向)側から来た外光180は、フライアイ状反射集光ミラー部110のフライアイレンズ板113の凹凸面の半透過反射層114を通過するが、フライアイレンズ板113の材料の屈折率と表面平坦化コート層112の材料の屈折率が等しいので屈折散乱されることなく直進する。このため、観察者は、表示装置100を透かして、表示装置100の向こう側を視認することができる。
【0037】
図4は発光表示パネル部120及びフライアイ状反射集光ミラー部110それぞれの設計寸法例を表形式で示す説明図である。
【0038】
同図に示すように、視距離に相当する集光点108の位置は、メガネ2に表示装置100を図1,図3に示すように接着材による接着等により取り付けることを想定して、表示装置100の前方(第2の方向)20mmとしている。
【0039】
発光表示パネル120の解像度は横320画素×縦240画素であり、画素のピッチは横方向縦方向共通で0.040mmである。発光表示パネル部120の表示面の大きさは、横12.8mm、縦9.6mmになる。したがって、半値は横6.4mm、縦4.8mmとなる。
【0040】
一方、反射集光ミラー単体111tの球半径は0.6mmで、画素(発光領域121)と反射集光ミラー単体111tの球中心距離が0.3mmとなる。また、発光表示面129の最も端部にある反射集光ミラー単体111tの対応する発光領域121に対する位置ズレは0.062×0.0465(mm)となる。また、反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチは、0.040391mmである。また、発光表示面129の最も端部にある反射集光ミラー単体111tの中心部の座標位置は横6.463mm、縦4.847mmとなる。
【0041】
図4で示した寸法特性から、視距離200mmで眺めた場合の横128mm、縦96mmの視角に相当し、一般的なディスプレイと比較してやや粗いがテキストを読むためには十分な解像度感を与える程度となることがわかる。
【0042】
まず、反射集光ミラー群111におけるピッチの制約に関して述べる。反射集光ミラー群111における反射集光ミラー単体111t,111t間のピッチが小さくなると、回折によるビーム151の広がりが大きくなる。
【0043】
図5は、平行光線をさえぎるスリットを通過した光による距離20mmのスクリーン上の光度分布の解析解による計算結果を示す説明図である。
【0044】
同図の光度分布L1〜L4に示すように、スリット幅が0.052mm(L1)、0.033mm(L2)、0.020mm(L3)、0.012mm(L4)と小さくなるにつれて、光度分布の半値幅が0.10mm、0.30mm、0.50mm、0.8mm程度と大きくなるのがわかる。2次元の細孔の回折も同程度である。
【0045】
図5で示す計算結果から、通常の瞳の径である直径0.8〜4mmに比べて、小さな直径の光線151を実現するためには、反射集光ミラー群111のピッチを少なくとも0.012mmより大きく、望ましくは2倍の0.024mm以上にすることが必要であることがわかる。ただし、反射集光ミラー群111のピッチの拡大は、表示画像の精細感の低下につながる。このため、図4の表の設計例では、反射集光ミラー群111の(反射集光ミラー単体111t間の)ピッチを0.04mmにしている。
【0046】
次に、フライアイ状反射集光ミラー部110の形状に関して述べる。反射集光ミラー群111の面の形状としては、球面や、楕円体面、法物面が利用可能である。ここでは、反射集光ミラー群111の各単レンズ部分の形状は球面としている。球面からなるフライアイレンズの製造は比較的容易であり、安価で行うことができる。
【0047】
反射集光ミラー群111の単レンズ部分の形状が球面の場合は、幾何光学計算では、球面を形成する球の中心点から、当該球面を形成する球の半径の半分だけ球面側(第1の方向側)にずれた位置にあるミラーの焦点距離に発光領域121の発光面を配置すると、反射光151は平行光線になる。すなわち、反射集光ミラー単体111tの単レンズ部分の半球面の中心点は発光領域121に対し瞳31側(第2の方向側)に、上記半径の半分シフトさせた位置に存在する。
【0048】
図6は図4で示した寸法特性を有する一の反射集光ミラー単体111tによる対応する発光領域121から発光される光線(初期光線)に対する反射光の幾何光学計算結果(その1)を示す説明図である。
【0049】
同図に示すように、距離20mmの集光点まで、十分に反射集光ミラー群111のピッチと同程度(0.04mm程度)の細い光線径の反射光が維持されることがわかる。
【0050】
フライアイレンズ板113の単レンズ間の球面のピッチは横縦共通で、発光表示パネル部120の画素のピッチよりもやや大きい0.0403912mmである。この設定により、表示装置100の端部の画素(発光領域121)を発光源とした反射光線151を画面中央の正面に位置する集光点108に確実に向けることができる。
【0051】
図7は図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群111による反射光の幾何光学計算結果(その2)を示す説明図である。同図に示すように、表面幅が12.8mm程度あっても、距離20mmの中央に位置する集光点に画面の端から光線が集光できることがわかる。ここで、フライアイ状反射集光ミラー部110のフライアイレンズ板113の材料の屈折率は、アクリルやガラスなどを想定して1.5としている。
【0052】
この時、発光領域121から出て本来対応する反射集光ミラー単体111tの隣の反射集光ミラー単体111tに反射された光は、同様にビーム状の光線152となって、表示装置100の前方の所定の集光点108aの隣の集光点108bに進む。この集光点108bは、集光点108aから瞳31の径(一般的には明るさにより変化するが0.8〜4mm程度)よりも大きい距離だけ離れていることが必要である。
【0053】
これにより、観察者の瞳31には常にひとつの集光点108の光しか通過しないことになる。このため、2重像の無い、鮮明な画像を観察者の網膜上に形成することができる。他方、集光点108bと集光点108aの間隔は狭い方が、瞳を移動させて観察できる位置が密あることになるので使いやすい。したがって、集光点108bの中心と集光点108aの中心との距離を間隔Dlとしたとき、間隔D1は瞳31の直径よりもやや大きい程度が望ましいことになる。
【0054】
ここで、反射集光ミラー群111からの反射光であるビーム状光線152のビーム状光線151に対するずれ角度Kaは、以下の式(1)で決定する。ここで、この集光点108と表示装置100との距離L=20mm、目標とする集光点108bと集光点108aとの間隔Dl=4mmとすると以下のように求められ、
Ka=arctan(Dl/L)=0.20 rad …(1)
Ka=0.20(rad)を得ることができる。
【0055】
また、表示装置100の材料内での光線角度Kdは、材料の屈折率n=1.5を考慮して、以下の式(2)で求められ、
Kd= arcsin(sin(KA)/n) =0.13 rad …(2)
Kd=0.13(rad) を得ることができる。
【0056】
そして、画素のピッチPg=0.04mm、とすると、画素の発光領域121の位置を球の中心点から半径Rの半分だけずれた位置にあるので、球面の半径Rは以下の式(3)で導出され、
R = 2・Pg/ tan( K ) = 0.6 mm…(3)
R=0.6(mm)を得ることができる。
【0057】
図8は図4で示した寸法特性を有する反射集光ミラー群111による反射光の幾何光学計算結果(その3)を示す説明図である。同図に示すように、距離20mmの中央に位置する集光点のほかに、上方4mmの地点にも光線が集光されることがわかる。
【0058】
次に、発光領域121の形成幅は、横方向縦方向共通で0.004mmにしている。これは、画素ピッチの1/10であり、集光点108での発光エリア121の像の幅は、集光点の間隔の(1/10)になり4mm×(1/10)=0.4mmになる。
【0059】
これは、図5に示すようにピッチ0.04mmの反射集光ミラー群111の回折ぼやけによるビーム光151の直径と同程度である。ピンホールアイマスクの効果は、ビーム光151の回折による広がりと発光領域1211の像の幅の和で決まるため、発光領域121の形成幅は小さいほうが望ましいが、ビーム光151の回折による広がりに比べて大幅に小さくてもその寄与は少なく、逆に輝度の低下を招くため、ビーム光151の回折による広がりと発光領域121の像の幅が等しい程度が適している。
【0060】
このとき、発光領域121の幅は遮光板122の幅と等しいとすると発光表示パネル部120の透過率は、以下の式(4)により導から、
1-(4/40)×(4/40)=0.99…(4)
透過率=0.99(%)を得ることができる。
【0061】
そして、半透過反射層114の透過率は90%、反射率は10%である。したがって、表示装置100の裏面方向側(第1の方向側)から来た外光180の透過率は、半透過反射層114の透過率は90%、反射率は10%とすると、0.89(=0.99×0.9)となる。
【0062】
前述したように、表面平坦化コート層112の屈折率をフライアイレンズ板の材料の屈折率と等しい1.5にすれば、透過光は屈折散乱されることなく直進する。このため、観察者は、表示装置100を透かして、表示装置100の向こう側を見ることができる。
【0063】
なお、ここで、光のビーム(151,152)の径は反射集光ミラー群111における各単レンズの直径(ここではピッチにほぼ等しい)と発光領域121の集光点108の位置での結像サイズの和で決まるが、反射集光ミラー群111(における反射集光ミラー単体111t間の)のピッチと発光領域121の幅は観察者の瞳の径に比べ十分細いので、反射光151は完全に平行光線である必要は無い。集光点108において光線151の直径が瞳の直径よりも小さければ、ピンホールアイマスクと同じ原理で観察者の調節機能を補って網膜上にぼやけの少ない像が結像される。
【0064】
このように、実施の形態1の表示装置100は複数の画素(発光領域121)に1対1に対応する複数の反射集光ミラー単体111tを設けることにより、薄型で軽量化可能な構造を実現することができる。このため、フライアイ状反射集光ミラー部110側及び発光表示パネル部120側のうち、いずれかの表面に粘着層を形成し、メガネ2のメガネレンズ2Lの外側レンズ面及び内側レンズ面のうちの一方に貼り付けることができる。このため、メガネ3へ容易に取り付け取りはずしができるため、保持用のメガネには、観察者が使い慣れた、自分のメガネを使用することができる。
【0065】
このように、実施の形態1の表示装置100によれば、表示装置100の発光表示パネル部120側(第2の方向側)の所定の観察点に観察者の瞳31が位置するように、表示装置100の表面平坦化コート層112の表面をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置100から瞳31まで距離である観察距離が20mm程度の比較的短い場合においても、発光表示面129から観察距離上に位置する観察者の瞳に一点に集光される表示形態を前述したような寸法特性で実現することができるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0066】
また、複数の反射集光ミラー単体111tを複数の画素(発光領域121)に1対1に対応づけることにより、表示装置100全体を比較的薄く軽い構造で形成することができるため、メガネ2等の表示装置取付部材への装着に違和感が無く使い易い表示装置100を得ることができる。また、表示装置100における発光表示面129は、複数の画素(発光領域121)以外の周辺領域に透明領域123を形成している半透明の形態であるため、観察者から視て表示装置100の背面方向(第1の方向)の視野をさえぎることが無く使いやすい効果をさらに奏する。
【0067】
さらに、実施の形態1の表示装置100は、フライアイ状反射集光ミラー部110側(第1の方向)への単レンズ発光領域間距離(対応関係にある反射集光ミラー単体111tの半休面の中心点から発光領域121に至る距離)を反射集光ミラー単体111tの半球面を規定する半径の半分の値に設定している。このため、反射集光ミラー群111の(反射集光ミラー単体111t間の)ピッチを例えば0.04mm程度に設定することにより、発光表示面129の各画素から発光される初期光線が反射集光ミラー部を反射して得られる反射光を、瞳の大きさよりも十分小さい径の平行ビームとして出射することができる。
【0068】
加えて、各々の反射集光ミラー単体111tのレンズ面が半球面からなる複数の単レンズの製造は比較的容易であるため、表示装置100を安価に構成することができる。
【0069】
なお、本実施の形態1では、フライアイレンズ1の単レンズをマトリクス状に配置した場合を例に説明したが、正三角形の頂点が並んだ配列にしても、同じ構成を実現できる。
【0070】
また、本実施の形態では、メガネレンズ2Lの内側レンズ面に表示装置100の表面平坦化コート層112を貼り付けた使用例を示したが、メガネレンズ2Lの外側レンズ面に表示装置100の透明基板124を貼り付けた使用も勿論可能である。ただし、後者の場合、反射光がメガネレンズ2Lを透過することになるため、メガネレンズ2Lを透過させない観点からは図3で示した貼り付け使用の方が望ましい。
【0071】
<実施の形態2>
実施の形態1では、回折による光散乱を防ぐために、反射集光ミラー群111のサイズをある程度大きくする必要があり、このため、反射集光ミラー単体111tが発光表示パネル部120の一つ画素(発光領域121)に対応する実施の形態1では、表示装置100の画素ピッチを小さくできないという制約がある。
【0072】
解決策としては、ひとつの反射集光ミラーで表示装置のすべての画素の光を制御する方式も考えられるが、その場合、反射集光ミラーの焦点距離が大きくなり、発光表示パネル部120から出る放射光を反射集光して平行光線となる反射光を得るために必要な発光表示パネル部120と反射集光ミラーとの間の距離が大きくとる必要が生じ、必然的に表示装置全体の厚さが厚くなるとの課題がある。
【0073】
そこで、実施の形態2では、発光表示パネル部と反射集光ミラー部との間の距離を短縮できる構造の表示装置200を考案した。この表示装置200により、反射集光ミラー部のサイズを大きくできるため、回折による光散乱を防ぐことができ、高精細な表示が可能になる。
【0074】
図9はこの発明の実施の形態2である表示装置の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、表示装置200は、マトリクス状に複数の画素(発光領域221)が配置された発光表示パネル部220と、発光表示パネル部220に対し観察者と逆方向(第1の方向)に設けられた反射集光ミラー部210とから構成されている。
【0075】
図10は実施の形態2の表示装置200の側面における断面構造を示す説明図である。同図に示すように、発光表示パネル部220は、透明基板224の表面上に複数の画素に相当し観察者と逆の方向(第1の方向)に光を放射する複数の発光領域221が形成される。そして、複数の発光領域221に1対1に対応する複数の遮光板222が各発光領域221の裏面(第2の方向側)に配置される。これら発光領域221及び透明領域223の周囲を囲んで透明基板224上に透明領域223が形成される。これら透明基板224の表面上に形成される、発光領域221,遮光板222及び透明領域223が発光表示面229を構成する。
【0076】
一方、発光表示パネル部220に対し観察者と反対方向(第1の方向)における発光表示面229(発光領域221、遮光板222、及び透明領域223)の表面には偏光板225、反射偏光板226、及び1/4波長位相差板227が225〜227の順に貼り付けて積層構造を呈している。
【0077】
一方、反射集光ミラー部210は、透明樹脂で形成された凹面板212の観察者側の表面にアルミニウムや銀などから金属薄膜が蒸着されることにより反射ミラー211が形成されている。このとき、凹面板212を構成する透明樹脂の厚さが均一であり、反射ミラー211を構成する金属薄膜が薄ければ、背面からきた外光を屈折させないで透過させる半透過反射ミラーとして機能させることもできる。
【0078】
反射偏光板227と反射集光ミラー部210の間には幅Lgの空間を設けている。発光表示パネル部220から放射された光L20は、この距離Lgを略2往復し、この間に反射集光ミラー部210の反射ミラー211による反射によって2回集光されて最終的に平行光線となり観察者の瞳31に向かう。したがって、表示装置200の幅を反射集光ミラーの焦点距離に比べ十分薄くしても、反射光L20として平行光線を出射することができる。なお、実際には反射偏光板226,反射集光ミラー部210間で反射が繰り返されるが、1/4波長位相差板227の膜厚は十分薄いため、反射偏光板227と反射集光ミラー部210との間の距離Lgを反射により往復する距離としても問題は無い。
【0079】
図11は実施の形態2の表示装置200における発光表示パネル部220を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。同図に示すように、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225それぞれの透過軸の向きは等しい。
【0080】
1/4波長位相差板227は、一軸性の位相差板であり、遅相軸の向きが、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225の透過軸の向きから45度傾いた向きに張り付けられている。ここでは、表示パネル部220の反射偏光板226及び偏光板225の透過軸の向きは0度、1/4波長位相差板227の遅相軸の向きは45度としている。
【0081】
以下、図11を参照して、実施の形態2の表示装置200の動作について説明する。同図に示すように、表示パネル部220の発光領域221から放射された放射光L21(初期光線)は、偏光板225により0度方向の直線偏光となる。反射偏光板226と偏光板225との透過軸の向きは等しいので、この直線偏光はそのまま反射偏光板226を通過して、1/4波長位相差板227により円偏光となり、発光表示パネル部220から距離Lg離れた位置にある反射ミラー211に向かう。反射ミラー211で反射集光された反射光L22は、再び1/4波長位相差板227を通過し90度方向の直線偏光になるため、反射偏光板226を通過せず反射される。
【0082】
反射偏光板226で反射された反射光L23は、みたび1/4波長位相差板227を通過し円偏光となり、距離Lg離れた位置にある反射ミラー211に向かう。反射ミラー211で再度反射集光された反射光L24は、よたび1/4波長位相差板227を通過し、今回は0度方向の直線偏光になる。このため、反射光L24は反射偏光板226で反射されることなく通過し、さらに発光表示パネル部220の透明領域223を通過して観察者方向に進む。
【0083】
このとき、発光領域221から出た放射光L21(初期光線)及びその後の反射光L22〜L24は、距離Lgの約4倍の距離を進んだことになり、さらに、反射集光ミラー部210における反射ミラー211による反射によって2回集光されるため、表示装置200から放射される光は最終的に平行光線となるように、距離Lg及び反射集光ミラー部210の形状等を設定することができる。このため、表示装置200を目の近くに置いても、観察者は眼の焦点を遠方にすることにより、網膜上に鮮明な結像することが可能になる。
【0084】
図12は、発光表示パネル部220から出た光の挙動に関する幾何光学計算結果を示すグラフである。なお、図12では、理解を容易にするためにミラーによる反射による光線の折り返しを、上下方向の角度を維持した屈折で前方に進むとして示している。条件は、反射ミラー211は球面ミラーであり半径は22.7mm、1/4波長位相差板227と反射集光ミラー部210との間の距離Lgは3mm、発光表示パネル部220の幅は4mm、であり、発光表示パネル部220の両端と中央からそれぞれ放射された3本の光L21a〜L21c(それぞれ0度方向と±30度方向への放射光)の進行経路を示している。
【0085】
図12において、発光表示パネル部220の中央から放射された3本の放射光L21a(0度方向と±30度方向への放射光)は反射集光ミラー部210による1回目の反射偏光R1後の反射光L22,反射偏光板226による反射後の反射光L23の状態を経て、最終的に反射集光ミラー部210による2回目の反射偏光R2後の反射光L24が得られる。
【0086】
そして、発光表示パネル部220において同一の画素(発光領域221)から発光された放射光L21aに基づく反射光L24aは、互いに平行な平行光線となってその一部が、表示装置200の前方10mmに位置する観察者の瞳31に入射している。したがって、観察者は、眼の焦点を、遠方を見る状態にすることにより、網膜上に鮮明な光点を結像することができる。このとき、発光領域221から放射状に出た放射光L21aは反射集光ミラー部210にて2回反射されることにより、緩やかな曲率の形状でも効果的な集光が可能となるため、球面ミラー収差による網膜像のぼやけが少ない。
【0087】
次に、発光表示パネル部220の両端から放射された3本の光L21b、L21c(0度方向と±30度方向への放射光)も同様に反射集光ミラー部210内の2回の偏向によりお互いに平行な平行光線な反射光L24b,L24cとなって、その一部が表示装置200の前方10mmに位置する観察者の瞳31に入射している。したがって、観察者は表示装置200における発光表示パネル部220の両端部分の表示も問題なく観察できる。
【0088】
集光発光表示パネル部220の両端から放射され平行光になった光の角度は、図12から30mmの距離で16mmの画面幅の虚像に相当しており、300mmの視距離では160mmの画面幅の表示装置の虚像を見ることになる。
【0089】
このとき、必要な反射集光レンズ211の左右幅は、図12から±5mmの10mmであることがわかる。ただし、瞳31の位置の自由度を大きくするためには、より大きな幅が望ましい。反射集光レンズ211は半径22.7mmの球面であり、収差を考慮しても、幅の拡大は可能である。
【0090】
実施の形態2の表示装置200によれば、表示装置200の発光表示パネル部220側(第2の方向側)の所定位置に観察者の瞳31が位置するように、表示装置200をメガネ等の表示装置取付部材に貼り付けて用いることができる。この際、表示装置200から瞳まで距離である観察距離が10mm程度の比較的短い場合においても、複数の画素から発光された複数の初期光線に基づき得られる複数の外部出射光(図11,図12の反射光L24)が平行光線として観察者に認識されるため、観察者の目の焦点調節機能に関係なくぼやけの少ない画像を表示することができる。
【0091】
そして、実施の形態2の表示装置200は、主として反射集光ミラー部210,反射偏光板226間で、複数の画素からの放射される初期光線をミラー偏光板間距離(反射集光ミラー部210,反射偏光板226間の距離(≒Lg,正確には1/4波長位相差板227の分長い)の約4倍の長さで内部反射させているため、最終反射光(図11,図12の反射光L24)を平行光線として出力可能な直線距離の1/4程度に表示装置200全体の厚みを設定することができる。このため、厚みが薄く、全体の重量を軽い表示装置200を実現できる。その結果、観察者のメガネ等の表示装置取付部材への装着を違和感無く行うことができ、観察者に使い易い表示装置200を得ることができる効果を奏する。
【0092】
さらに、実施の形態2の表示装置200によれば、反射ミラー211の反射面(凹面)で複数の画素からの複数の初期光線が2回反射された後に複数の最終反射光(図11,図12の反射光L24)を得ているため、反射ミラー211の反射面の曲率を緩やかにしても効果的な集光が可能であり、収差による網膜像のぼやけが少ない最終反射光を得ることができる。
【0093】
このように、本発明の実施の形態2の表示装置200は薄い構造で実現でき、メガネ2への装着に違和感が無く使い易い。
【0094】
なお、ここで、反射集光ミラー部210を半透過反射ミラーとすれば、表示装置200を通過する光は直進するため、表示装置200の向こう側を透かして眺めることも可能である。
【0095】
また、ここでは、反射集光ミラー部210の形状を球面としたが、これに限るものではなく 放物面形状や3次元非球面など集光効果を持つ形状ならば、用いることができる。
【0096】
さらに、表示装置200の寸法を相似的に拡大することを考える。たとえば20倍に拡大し、集光反射ミラー211の半径は454mm、反射偏光板227と反射集光ミラー部210の間の距離Lgは60mm、発光表示パネル部220の幅を80mmとすると、表示装置200の前方200mmの位置で、観察者は、眼の焦点を、遠方を見る状態にすることにより、3m先に幅1.6mの画面幅の表示装置の虚像を見ることができることになる。すなわち、限界近接視認距離が2mの老眼者でも、視距離200mmで鮮明な画像を見ることができる。
【0097】
以上の説明では、集光光学系として集光反射ミラー211を用いたが、これに限るのではなく、観察者の瞳に入射する光を平行光線にするために、他の集光光学系を組み合わせることができる。たとえば、図10に示す表示装置200において、1/4波長位相差板227の表面にさら集光光学系として凸レンズを形成しても良い、この場合は、発光表示パネル部220から放射された光20は、表示装置200から放射されるまでに4回偏向されるので、効果的である。同様に反射集光ミラー部210の表面に集光光学系として凸レンズを形成しても良い。また、反射集光ミラー部210と1/4波長位相差板227との間に集光光学系として凸レンズを設置しても良い。これにより、反射集光ミラー部210と1/4波長位相差板227の間の距離Lgをさらに短縮でき、必要な発光表示パネル部220のサイズを小さくすることができる。
【0098】
<実施の形態3>
図13に実施の形態3における表示装置300の構成を示す説明図である。同図に示すように、実施の形態3の表示装置は、マトリクス状に複数の画素(発光領域321)が配置された発光表示パネル部320と、発光表示パネル部320に対し観察者と逆方向に設けられた平面反射ミラー311とから構成されている。発光表示パネル部320は、遮光基板322の表面上にマトリクス状に形成された発光領域321とその周辺に形成された透明領域323とを備える。そして、複数の発光領域321と透明領域323とにより発光表示面329を構成する。なお、遮光基板322は発光表示面329の上端からさらに少し延在して形成される。
【0099】
上述したように、発光表示パネル部320は、表示観察者と逆の方向(第1の方向)に光を放射する複数の発光領域321とその観察者側に配置された遮光基板322とを基本構成として備えている。
【0100】
さらに、発光表示パネル部320は、発光表示面329に対し観察者と反対方向(第1の方向)の表面に偏光板325、反射偏光板326、及び1/4波長位相差板327が325〜327の順に貼り付けられ積層構造を呈している。偏光板325、反射偏光板326及び1/4波長位相差板327は発光表示面329の上端からさらに上方に延在して形成される。
【0101】
なお、1/4波長位相差板327と反射集光ミラー311の間には距離Lg2の空間を設けている。さらに発光表示パネル320の偏光板325の裏面側に、発光表示面329から離れて集光レンズ330が設けられる。この集光レンズ330は、遮光基板322の最上端より上方に位置して形成される。
【0102】
そして、発光表示パネル部320の1/4波長位相差板327と平面集光ミラー311の上部及び下部に迷光吸収板340及び341が設けられる。
【0103】
図14は実施の形態3の表示装置における発光表示パネル部を構成する光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細を示す説明図である。実施の形態3の表示装置300において、光学部材の軸の向きと光の挙動の詳細は実施の形態2の表示装置200と同一である。
【0104】
図14に示すように、表示パネル部320の反射偏光板326及び偏光板325の透過軸の向きは等しい。1/4波長位相差板327は、一軸性の位相差板であり、遅相軸の向きが、表示パネル部320の反射偏光板326及び偏光板325の透過軸の向きから45度傾いた向きに張り付けられている。ここでは、表示パネル部320の反射偏光板326と偏光板325の透過軸の向きは0度、1/4波長位相差板327の遅相軸の向きは45度としている。
【0105】
以下、図14を参照して、実施の形態3の表示装置300の動作について説明する。
【0106】
図14において、表示パネル部320の発光領域321から放射された光L31(図13のL30a〜L30cに相当)は、偏光板325により0度方向の直線偏光となる。反射偏光板326と偏光板325の透過軸の向きは等しいので、この直線偏光L31はそのまま反射偏光板326を通過して、1/4波長位相差板327により円偏光となり、距離Lg2離れた距離にある平面反射ミラー311に向かう。反射ミラー211で反射集光された反射光L32は、再び1/4波長位相差板327を通過し90度方向の直線偏光になるため、反射偏光板326を通過せず反射される。
【0107】
反射偏光板326で反射され反射光L33は、みたび1/4波長位相差板327を通過し円偏光となり、距離Lg2離れた距離にある平面反射ミラー311に向かう。反射ミラー311で再度反射された反射光L34(最終反射光)は、よたび1/4波長位相差板327を通過し、今回は0度方向の直線偏光になる。このため、反射偏光板326では反射されず通過する。このとき、光の角度により異なり、発光表示パネル320の発光表示面329に対し垂直に近い角度で放射された反射光L34は、遮光基板322で吸収され、これ以降は伝播を行わない。これは、図13の光L30bに相当する。なお、遮光基板322を発光表示面329に対し上方に延在して形成することにより、最上端にある発光領域321から発光表示面329に対し垂直に近い角度で放射された部分の反射光L34も確実に吸収することができる。
【0108】
また、発光表示パネル320における発光表示面329に対し所定の角度で傾いて放射された部分における反射光L34(最終反射光)は集光レンズ330を通過する。集光レンズ330から、複数の画素からの放射光に対応する複数の(外部)出射光(図13で示す出射光L39に相当)が出射される。このように、集光レンズ330から外部出射光が出力されるのは、図13の光L30aのように、発光表示面329に対し所定の傾きをもって発光領域321から放射される光に限定される。なお、遮光基板322の最上端より上方に集光レンズ330を形成しているため、集光レンズ330からの出射光L39が遮光基板322より遮られることはない。
【0109】
さらに、垂直方向から大きく傾いた角度で放射された光は、図13の光L30cに示す様に、上部の平面集光ミラー311,1/4波長位相差板327間に設けられた上方の迷光収板340によって吸収される。
【0110】
すなわち、集光レンズ330を通過して得られる出射光L39は、距離Lg2に相当する距離を2回往復した光に限られることになる。したがって、反射光L30aが入射され集光レンズ330により集光される(外部)出射光が平行光線になるように、平面反射ミラー311の反射面、平面反射ミラー311の反射面と反射偏光板326との距離であるミラー偏光板間距離等を比較的容易に設定することができる。
【0111】
このとき、発光領域321から出た光L30aは、斜めに進むため上記距離Lg2の4倍以上の距離を進むことになり、集光レンズ330から出射される出射光L39は集光レンズ330の焦点距離の1/4よりも狭い長さの間隔Lg2でも平行光線とすることができる。このため、表示装置300を眼の近くに置いても、観察者は眼の焦点を遠方にすることにより、網膜上に鮮明な結像することが可能になる。このとき、集光レンズ330において、発光表示パネル部320における発光表示面329から離れた領域を通過する光の光路長さは、発光表示面329に近い領域を通過する光の光路長さよりも長くなるため、発光表示面329から比較的離れた位置にある遠い領域の焦点距離を発光表示面329から比較的近い領域の焦点距離よりも長くした非球面のレンズ形状の集光レンズ330を備えることが望ましい。
【0112】
実施の形態3の表示装置300では、観察者が観察する光の光路に発光表示パネル320における発光表示面329が存在しないため、上記発光表示面329の通過時の散乱がないため、より鮮明な像を観察できる。
【0113】
ここでは、記載していないが、集光レンズ330の前後に、プリズムやプリズムシートなどの光偏向部材を設置し、観察者の観察方向を表示装置300の正面方向(第1の方向)に設定することもできる。
【0114】
実施の形態3の表示装置300は、複数の画素からの複数の初期光線をミラー偏光板間距離(≒Lg2(正確には1/4波長位相差板327の膜厚分長い))の4倍以上の長さで内部反射させることにより、集光レンズ330に入力される最終反射光を集光して得られる出射光L39(外部出射光)を平行光線として出力可能な光線経路の距離の1/4以下に表示装置300全体の厚みを設定することができる。このため、厚みが薄く、全体の重量を軽い表示装置300を実現できる。その結果、観察者のメガネ等の表示装置取付部材への装着を違和感無く行うことができ、観察者に使い易い表示装置を得ることができる効果を奏する。
【0115】
なお、迷光吸収板340は図13で示す反射光L30cを吸収するため必要であるが、迷光吸収板341はその必要はないため、省略することは可能である。
【0116】
また、表示装置取付部材として用いたメガネ2一般的な度付き眼鏡は勿論、度のないサングラス等を用いることも勿論可能である。
【0117】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
100,200,300 表示装置、110 フライアイ状反射集光ミラー部、111 反射集光ミラー群、112 表面平坦化コート層、113 フライアイレンズ板、114 半透過反射層、120,220,320 発光表示パネル部、121,221,321 発光領域、122,222 遮光板、123,223,323 透明領域、124,224 透明基板、210 反射集光ミラー部、211 反射ミラー、212 凹面板、225,325 偏光板、226,326 反射偏光板、227,327 1/4波長位相差板、311 平面集光ミラー、330 集光レンズ、340,341 迷光吸収板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、
前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群を有する反射集光ミラー部とを備え、
前記発光表示面は、前記複数の画素を構成する複数の発光領域と、前記複数の発光領域の周辺に形成される透明領域とを含み、
前記発光表示部は、
前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への発光を遮断する遮光板をさらに含み、
前記反射集光ミラー群は、
マトリクス状に配置され、各々が前記第1の方向に沿って球面凸状となる複数の単レンズを有するフライアイレンズ板と、
前記フライレンズ板における前記複数の単レンズ面の表面に形成された半透過反射膜とを含み、前記反射集光ミラー単体は前記単レンズとその表面に形成された前記半透過反射膜との組合せ構造を含み、
前記複数の反射集光ミラー単体は前記複数の画素に1対1に対応づけられ、前記複数の画素から発光される複数の初期光線が前記複数の反射集光ミラーの前記半透過反射膜によって反射されビーム状の複数の反射光線となって、前記第2の方向側の所定の観察点を通過するように設定され、
前記反射集光ミラー部は、
前記反射集光ミラー群に対し前記第1の方向側に形成される表面平坦化層をさらに含み、前記表面平坦化層は前記フライアイレンズ板と等しい屈折率を有する透明な材質で構成され、その表面が平坦化されている、
表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置であって、
前記複数の単レンズそれぞれのレンズ面は半球面であり、互いに対応する前記反射集光ミラー単体と前記発光領域との位置関係は、前記単レンズの半球面を形成する球の中心点から対応する前記発光領域までの前記第1の方向に沿った距離である単レンズ発光領域間距離が、前記単レンズの半球面を規定する半径の半分の値に設定される、
表示装置。
【請求項3】
マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、
前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられた反射ミラー部とを備え、
前記発光表示面は前記複数の画素を構成する複数の発光領域を含み、
前記発光表示部は、
前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への直接の発光を遮断する遮光板と、
前記発光表示面に対し前記第1の方向側に設けられる反射偏光板と、
前記反射偏光板に対し前記第1の方向側に設けられる1/4波長位相板とを備え、
前記複数の画素からの前記第1の方向に発光された初期光線が、前記反射集光ミラー,前記反射偏光板間で3度反射された後に得られる前記第2の方向への最終反射光が外部出射光となり出射され、
前記初期光線から前記外部出射光に至る経路上に設けられ、前記外部出射光を平行光線として集光可能な集光光学系をさらに備えることを特徴する、
表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置であって、
前記反射ミラー部は反射面を前記第2の方向に凹面となる曲面とした反射集光ミラー部を含み、
前記集光光学系は前記反射集光ミラー部を含み、
前記外部出射光は前記最終反射光自体を含む、
表示装置。
【請求項5】
請求項3記載の表示装置であって、
前記遮光板は、少なくとも第2の方向側における前記発光表示面の全面に形成される遮光基板を含み、
前記集光光学系は前記発光表示部の前記反射偏光板に対し前記第2の方向に、前記発光表示面と分離して設けられ、前記最終反射光を集光して前記外部出射光を得る集光レンズを含み、前記初期光線において前記発光表示面に対し所定の傾きをもった部分のみが前記最終反射光として前記集光レンズに入射される、
表示装置。
【請求項1】
マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、
前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられ、マトリクス状に配置された複数の反射集光ミラー単体からなる反射集光ミラー群を有する反射集光ミラー部とを備え、
前記発光表示面は、前記複数の画素を構成する複数の発光領域と、前記複数の発光領域の周辺に形成される透明領域とを含み、
前記発光表示部は、
前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への発光を遮断する遮光板をさらに含み、
前記反射集光ミラー群は、
マトリクス状に配置され、各々が前記第1の方向に沿って球面凸状となる複数の単レンズを有するフライアイレンズ板と、
前記フライレンズ板における前記複数の単レンズ面の表面に形成された半透過反射膜とを含み、前記反射集光ミラー単体は前記単レンズとその表面に形成された前記半透過反射膜との組合せ構造を含み、
前記複数の反射集光ミラー単体は前記複数の画素に1対1に対応づけられ、前記複数の画素から発光される複数の初期光線が前記複数の反射集光ミラーの前記半透過反射膜によって反射されビーム状の複数の反射光線となって、前記第2の方向側の所定の観察点を通過するように設定され、
前記反射集光ミラー部は、
前記反射集光ミラー群に対し前記第1の方向側に形成される表面平坦化層をさらに含み、前記表面平坦化層は前記フライアイレンズ板と等しい屈折率を有する透明な材質で構成され、その表面が平坦化されている、
表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置であって、
前記複数の単レンズそれぞれのレンズ面は半球面であり、互いに対応する前記反射集光ミラー単体と前記発光領域との位置関係は、前記単レンズの半球面を形成する球の中心点から対応する前記発光領域までの前記第1の方向に沿った距離である単レンズ発光領域間距離が、前記単レンズの半球面を規定する半径の半分の値に設定される、
表示装置。
【請求項3】
マトリクス状に配置され、各々が発光可能な複数の画素を有する発光表示面を含む発光表示部と、
前記発光表示部に対し第1の方向側に設けられた反射ミラー部とを備え、
前記発光表示面は前記複数の画素を構成する複数の発光領域を含み、
前記発光表示部は、
前記発光表示面に対し前記第1の方向と反対側の第2の方向側に設けられ、前記複数の画素からの前記第2の方向への直接の発光を遮断する遮光板と、
前記発光表示面に対し前記第1の方向側に設けられる反射偏光板と、
前記反射偏光板に対し前記第1の方向側に設けられる1/4波長位相板とを備え、
前記複数の画素からの前記第1の方向に発光された初期光線が、前記反射集光ミラー,前記反射偏光板間で3度反射された後に得られる前記第2の方向への最終反射光が外部出射光となり出射され、
前記初期光線から前記外部出射光に至る経路上に設けられ、前記外部出射光を平行光線として集光可能な集光光学系をさらに備えることを特徴する、
表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置であって、
前記反射ミラー部は反射面を前記第2の方向に凹面となる曲面とした反射集光ミラー部を含み、
前記集光光学系は前記反射集光ミラー部を含み、
前記外部出射光は前記最終反射光自体を含む、
表示装置。
【請求項5】
請求項3記載の表示装置であって、
前記遮光板は、少なくとも第2の方向側における前記発光表示面の全面に形成される遮光基板を含み、
前記集光光学系は前記発光表示部の前記反射偏光板に対し前記第2の方向に、前記発光表示面と分離して設けられ、前記最終反射光を集光して前記外部出射光を得る集光レンズを含み、前記初期光線において前記発光表示面に対し所定の傾きをもった部分のみが前記最終反射光として前記集光レンズに入射される、
表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−97215(P2013−97215A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240734(P2011−240734)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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