説明

表示装置

【課題】外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供可能な、タクシー内において使用される表示装置を提供する。
【解決手段】各種情報を表示する表示部21と、選択入力を受け付ける入力部22と、を備え、前記表示部21は、タクシーメータによって第1の通貨にて算出される第1の運賃が、前記選択入力により選択される第2の通貨に換算されて算出される第2の運賃を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー内において使用される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タクシーにはタクシーメータが搭載され、乗客にはタクシーメータを用いて運賃表示等のサービスが提供される。例えば、特許文献1には、表示部に種々の運賃を表示可能なタクシーメータが開示されている。
【0003】
一方、近年では、多くの外国人が、観光のために我が国を訪れたり、我が国に居住したりしている。このため、我が国において外国人がタクシーを利用する機会は数多くある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―22969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のタクシーメータは、特許文献1に開示されたタクシーメータのように、日本人のみを乗客として想定して設計されている。このため、従来のタクシーメータが搭載されたタクシーでは、外国人のタクシー利用客に対して十分なサービスを提供することが困難であった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供可能な、タクシー内において使用される表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 各種情報を表示する表示部と、
選択入力を受け付ける入力部と、を備え、
前記表示部は、タクシーメータによって第1の通貨にて算出される第1の運賃が、前記選択入力により選択される第2の通貨に換算されて算出される第2の運賃を出力すること。
(2) 上記(1)に記載の表示装置であって、
為替レートを取得する為替レート取得手段をさらに備え、
前記表示部は、前記第1の運賃が、前記為替レート取得手段から取得された前記第1の通貨と前記第2の通貨との間の為替レートに基づいて前記第2の通貨に換算されて算出される前記第2の運賃を出力すること。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の表示装置であって、
前記表示部は、前記第1の運賃が、前記選択入力により選択される言語に対応する前記第2の通貨に換算されて算出される前記第2の運賃を出力すること。
【0008】
上記(1)の構成の表示装置によれば、選択入力により選択される通貨を単位とする運賃が表示部に示される。
上記(2)の構成の表示装置によれば、選択入力により選択される通貨を単位とする運賃が、為替レートに基づいて算出されて表示部に示される。
上記(3)の構成の表示装置によれば、選択入力により選択される言語に対応する通貨を単位とする運賃が表示部に示される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置によれば、外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供可能な、タクシー内において使用される表示装置を提供できる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に係る表示システムのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る表示システムの動作フローを示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態における通常運賃表示画面の表示を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態における言語選択画面の表示を示す図である。
【図5】図5は、実施形態における換算運賃表示画面の表示を示す図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る表示システムの動作フローを示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2の実施形態における通常運賃表示画面の表示を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態における通貨選択画面の表示を示す図である。
【図9】図9は、第3の実施形態に係る表示システムの動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の表示装置を含む表示システムに関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0013】
実施形態に係る表示システムは、運転席、助手席、及び後部座席を有する一般的なタクシーに搭載されて使用される。また、実施形態に係る表示システムが搭載されたタクシーには、日本人だけではなく、日本語を理解できない外国人、又は、我が国における通貨の単位である「円」と自国の通貨との間の為替レートを把握していない外国人が乗車することが想定されている。また、以下では、乗客は後部座席に着座するとして説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る表示システム100のハードウェアの構成例をブロック図により示している。図1に示すように、表示システム100は、タクシーメータ本体10及び表示装置20により構成されている。
【0015】
タクシーメータ本体10は、演算部11、表示部12、操作部13、営業データ格納部14、設定データ格納部15、外部インタフェース(I/F)16、及びメモリーカードI/O部17を備えている。タクシーメータ本体10は、例えばダッシュボードの運転席と助手席との間に位置する部分に取付けられている。
【0016】
表示装置20は、表示部21、操作部22、表示制御部23、及び外部インタフェース(I/F)24を備えている。表示装置20は、タクシーの後部座席側に配置されており、例えば運転席のシートの背面に乗客が視認可能な態様で取付けられている。また、表示装置20は、外部インタフェース16を介してタクシーメータ本体10に接続されている。以下では、まず、タクシーメータ本体10を構成する各要素について説明する。
【0017】
演算部11は、マイクロコンピュータ(CPU)により構成されている。演算部11は、予め用意されたプログラムを実行し、表示システム100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、図2のフローチャートに示した処理を演算部11が行う。
【0018】
表示部12は、液晶表示器(LCD)であり、タクシーの現在の状態として「空車」、「実車」、「支払」等を表示したり、現在の運賃を表示するために利用される。ここで、「空車」とは、顧客が乗車しておらず、任意の顧客に対して営業運行可能な状態を表す。「実車」とは、顧客が乗車しており、運賃を算出しながら営業運行している状態を表す。「支払」とは、目的地に到着したときに、運賃の更新を止めて運賃を精算している状態を表す。
【0019】
操作部13は、乗務員が操作できるようにタクシーメータ本体10の前面パネル上に配置されており、多数の操作ボタンにより構成されている。例えば、タクシーの現在の状態を識別するための「空車ボタン」、「実車ボタン」、「支払ボタン」等が操作部13に含まれている。
【0020】
営業データ格納部14は、データの読み書きが自在のメモリ(RAM)で構成されており、一時的に使用する各種データを保持するために利用される。例えば、営業運行を開始してからの走行距離のデータや、現在の運賃の算出の基礎となる料金体系を表すデータ等が営業データ格納部14上に保持される。
【0021】
設定データ格納部15は、読み出し専用メモリ(ROM)で構成されており、演算部11が実行すべきプログラムや必要なデータを予め保持している。尚、設定データ格納部15が保持するデータについては、特別な電気的処理により内容を書き換えることが可能である。設定データ格納部15には、例えば、後述する表1に示すような所定の種類の言語についての言語と通貨との対応関係を表すデータテーブルが保持されている。
【0022】
外部インタフェース(I/F)16は、表示装置20や予め用意された様々な機器をタクシーメータ本体10に接続するために利用される。例えば、領収書を発行するための印刷に用いるプリンタや、車両の現在位置を検出するGPS受信機等を、インタフェース16を介してタクシーメータ本体10に接続するために利用される。
【0023】
メモリーカードI/O部17は、乗務員のデータや営業履歴データ等を格納するための記録媒体(メモリーカード)を、タクシーメータ本体10に接続するためのインタフェースである。メモリーカードには、後述する表2に示すような所定の種類の言語についての当日の為替レートに関するデータが、表示システム100を搭載したタクシーが事務所から出庫する前に事務所において入力され、保持されている。
【0024】
続いて、表示装置20を構成する各要素について説明する。
表示部21及び操作部22は、液晶表示器(LCD)による2次元画面表示を行うと同時に、該画面への指の接触による操作入力を受け付け可能なタッチパネルにより構成されている。
【0025】
表示部21は、タッチパネルに一体的に備えられており、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向及びY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有している。多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の所望の情報をグラフィック表示することができる。表示部21は、2次元画面表示によって図3〜図5に示すようなグラフィック表示画面を表示する。表示部21の具体的な表示内容については後述する。
【0026】
操作部22は、表示部21の2次元表示画面上にグラフィック表示されて構成されており、各種操作入力を受け付ける。操作部22が受け付ける操作入力の具体的な内容については後述する。
【0027】
表示制御部23は、表示部21の画面への出力を制御するための要素である。表示制御部23は、タクシーメータ本体10の演算部11から出力される制御信号に基づいて、表示部21の画面への出力を行う。表示制御部23は、制御信号にしたがって様々なグラフィック要素を表示部21の画面上に表示するグラフィックコントローラ(図示せず)等により構成されている。また、外部インタフェース16及び後述する外部インタフェース24を介して、演算部11と信号の伝達を行う。伝達する信号には、例えば操作部22により受け付けた操作入力信号が含まれる。以下、簡潔化のため、演算部11が、操作部22により受け付けた操作入力信号を、外部インタフェース16,24を介して表示制御部23より取得する処理については省略して記載する場合がある。
【0028】
外部インタフェース(I/F)24は、表示装置20をタクシーメータ本体10に接続するために用いられる。タクシーメータ本体10の外部インタフェース16と表示装置20の外部インタフェース24とが接続されることにより、表示装置20はタクシーメータ本体10に接続される。この接続は、ケーブルを用いて接続する構成でもよいし、或いは無線通信に基づく接続でもよい。
【0029】
次に、表示システム100の具体的な動作について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る表示システムにおいて演算部11が行う一連の処理をフローチャートにより示している。
【0030】
まず、運転手は、乗客が後部座席に着座した後、操作部13に構成された実車ボタンを押下する。操作部13からの入力信号を受け付けた演算部11は、運賃の計算を開始する。より具体的には、車両に搭載された各種センサ(図示せず)からのデータに基づいて走行距離や走行時間の値を把握し、営業データ格納部14に格納された運賃の算出の基礎となる料金体系を表すデータを参照して、現在の運賃を算出する。この際、算出する運賃の通貨の単位は、実車ボタンの押下の直後には初期設定として「円」に設定されており、演算部11は「円」を通貨の単位として現在の運賃を算出する。
【0031】
ステップS21では、演算部11は、「円」を通貨の単位として算出した現在の運賃を、外部インタフェース16,23を介して表示制御部23に伝達する。また、演算部11は、表示制御部23に制御信号を出力する。この結果、図3に示すような通常運賃表示画面が表示部21の画面に出力される。
【0032】
図3に示すように、通常運賃表示画面では、一般的なタクシーメータにおける表示と同様に、通貨の単位を「円」として現在の運賃が表示されている。表示画面に現在の運賃が表示されていることを乗客に示すために、運賃の表示位置の左側には、「運賃」という単語が、日本語により表示されている。また、画面の右下隅には、矩形状に構成されたLANGUAGEボタンがグラフィック表示されている。LANGUAGEボタン上には、英語において言語という意味を有する「LANGUAGE」という単語が重畳して表示されている。これにより、LANGUAGEボタンを押下することによって表示言語を切り替え可能であることが乗客に対して示唆されている。
【0033】
ステップS22では、演算部11は、LANGUAGEボタンの押下の状態を判定する。判定の結果、LANGUAGEボタンが押下されていないと判断した場合には、再度ステップS22の処理を繰り返す。一方、判定により、LANGUAGEボタンが押下されたと判断した場合には、ステップS23の処理を実行する。
【0034】
ステップS23では、まず、演算部11は、設定データ格納部15より、以下の表1に示すような言語と通貨との対応関係を表すデータテーブルを取得する。演算部11は、このデータを、外部インタフェース16,23を介して表示制御部23に伝達する。また、演算部11は、表示制御部23に制御信号を出力する。この結果、図4に示すような言語選択画面が表示部21の画面に出力される。表1に示すデータテーブルのうち、いずれのデータに基づいて言語選択画面が表示されるかは、操作部13又は操作部22からの操作入力にしたがって決定される。図4では、NO.1〜NO.4までのデータに基づいて言語選択画面が表示される場合の表示例が示されている。
【0035】
【表1】

【0036】
図4に示すように、言語選択画面では、「言語を選択して下さい」,「Please Choose language」という、画面下半分に表示された4つの言語選択ボタンの押下を乗客に促すための文章が、日本語と英語により画面上半分に表示されている。また、矩形状に構成された4つの言語選択ボタン上には、日本語を示す「JPN」、中国語を示す「CHI」、フランス語を示す「FRA」、英語を示す「ENG」という文字列がそれぞれ重畳して表示されている。これにより、言語選択ボタンのうちのいずれかのボタンを選択して押下することによって、運賃表示に使用される言語を、押下したボタン上に表示されている文字列が示す言語に切り替え可能であることが乗客に対して示唆されている。
【0037】
ステップS23では、演算部11は、4つの言語選択ボタンのうち、どのボタン押下されたかを判定する。演算部11は、押下されたボタンに対応する言語を、乗客の選択入力により選択された選択言語として保持する。その後、ステップS24の処理を実行する。
【0038】
ステップS24では、まず、演算部11は、設定データ格納部15に保持された、表1に示した言語と通貨の対応関係を表すデータテーブルを再び参照して、選択言語に対応する対応通貨を取得する。次に、演算部11は、メモリーカードI/O部17を介して、メモリーカードより、以下の表2に示すような所定の通貨の「円」に対する当日の為替レートを表すデータテーブルを取得する。また、演算部11は、取得したデータテーブルを参照して、対応通貨の「円」に対する為替レートを取得する。そして、演算部11は、この為替レートの値に基づいて、通貨の単位を「円」として算出されている現在の運賃を、対応通貨を単位とする換算運賃に換算して算出する。その後、演算部11は、取得した対応通貨の為替レート及び算出した換算運賃を、外部インタフェース16,24を介して表示制御部23に伝達する。また、演算部11は、表示制御部23に制御信号を出力する。この結果、図5に示すような換算運賃表示画面が表示部21の画面に出力される。図5では、英語が選択言語として選択され、現在の運賃が1000円である場合が例示されている。表1より英語に対応する対応通貨は「ドル」である。表2より「ドル」の「円」に対する為替レートは80であるため、換算運賃は12.5ドルと算出される。
【0039】
【表2】

【0040】
図5に示すように、換算運賃表示画面では、罫線で仕切られた上下2つの欄のうちの上欄には対応通貨の「円」に対する為替レートが表示されており、下欄には換算運賃と「円」を通貨の単位とする現在の運賃とが上から順に表示されている。また、下欄には、選択言語である英語において運賃という意味を有する「FARE」という単語が、欄の左側の表示されている各運賃と対応した位置に表示されている。これにより、表示画面に現在の運賃が表示されていることが乗客に示されている。また、画面に為替レートが表示されていることにより、通貨間の換算比率が乗客に示されている。
【0041】
[第2の実施形態]
第1の実施形態に係る表示システムでは、言語が操作入力により選択され、選択された選択言語に対応する対応通貨の「円」に対する為替レートに基づいて現在の運賃を換算して換算運賃を算出するのに対して、第2の実施形態に係る表示装置では、通貨の単位が操作入力により選択され、選択された選択通貨の「円」に対する為替レートに基づいて現在の運賃を換算して換算運賃を算出する。
【0042】
以下、第2の実施形態に係る表示システムのハードウェアの構成は、第1の実施形態に係る表示システムと同一であるので記載を省略する。また、第1の実施形態の各要素の符号を援用して説明する。
【0043】
第2の実施形態に係る表示システム100の具体的な動作について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る表示システムにおいて演算部11が行う一連の処理をフローチャートにより示している。図2に示した第1の実施形態に係る表示システム100の動作フローと同一である部分については、記載を適宜省略して説明する。
【0044】
ステップS61では、演算部11は、「円」を通貨の単位として算出した現在の運賃を、外部インタフェース16,24を介して表示制御部23に伝達する。また、演算部11は、表示制御部23に制御信号を出力する。この結果、図7に示すような通常運賃表示画面が表示部21の画面に出力される。
【0045】
図7に示すように、第2の実施形態における通常運賃表示画面では、画面の右下隅に、矩形状に構成されたCURRENCYボタンがグラフィック表示されている。CURRENCYボタン上には、英語において通貨という意味を有する「CURRENCY」という単語が重畳して表示されている。これにより、CURRENCYボタンを押下することによって通貨の単位を切り替え可能であることが乗客に対して示唆されている。
【0046】
ステップS62では、演算部11は、CURRENCYボタンの押下の状態を判定する。判定の結果、CURRENCYボタンが押下されていないと判断した場合には、再度ステップS62の処理を繰り返す。一方、判定により、CURRENCYボタンが押下されたと判断した場合には、ステップS63の処理を実行する。
【0047】
ステップS63では、図8に示すような通貨選択画面が表示部21の画面に出力される。
【0048】
図8に示すように、第2の実施形態における通貨選択画面では、「通貨を選択して下さい」,「Please Choose currency」という、画面下半分に表示された4つの通貨選択ボタンの押下を乗客に促すための文章が、日本語と英語により画面上半分に表示されている。また、矩形状に構成された4つの通貨選択ボタン上には、日本の通貨の単位である「円」を示す「JPY」、中国の通貨の単位である「元」を示す「CNY」、フランスの通貨の単位である「ユーロ」を示す「EUR」、アメリカの通貨の単位である「アメリカドル」を示す「USD」という文字列がそれぞれ重畳して表示されている。これにより、通貨選択ボタンのうちのいずれかのボタンを選択して押下することによって、運賃表示に使用される通貨を、押下したボタン上に表示されている文字列が示す通貨に切り替え可能であることが乗客に対して示唆されている。
【0049】
ステップS63では、演算部11は、4つの通貨選択ボタンのうち、どのボタン押下されたかを判定する。演算部11は、押下されたボタンに対応する通貨を、乗客の選択入力により選択された選択通貨として保持する。その後、ステップS24の処理を実行する。
【0050】
ステップ64では、演算部11は、メモリーカードI/O部17を介して、メモリーカードより、前述の表2に示すような所定の通貨の「円」に対する当日の為替レートを表すデータテーブルを取得する。演算部11は、取得したデータテーブルを参照して、選択通貨の「円」に対する為替レートを取得する。そして、演算部11は、この為替レートの値に基づいて、通貨の単位を「円」として算出されている現在の運賃を、選択通貨を単位とする換算運賃に換算して算出する。その後、演算部11は、取得した選択通貨の為替レート及び算出した換算運賃を、外部インタフェース16,24を介して表示制御部23に伝達する。また、演算部11は、表示制御部23に制御信号を出力する。この結果、図5に示すような換算運賃表示画面が表示部21の画面に出力される。
【0051】
[第3の実施形態]
第1の実施形態に係る表示システム及び第2の実施形態に係る表示システムでは、通常運賃表示画面が表示されている状態でLANGUAGEボタン又はCURRENCYボタンが押下されることにより、画面が換算運賃表示画面へと遷移するフローが実行されるのに対して、第3の実施形態に係る表示システムでは、支払ボタンが押下されることによっても、画面が換算運賃表示画面へと遷移するフローが実行される。
【0052】
第3の実施形態に係る表示システムのハードウェアの構成は、第1の実施形態に係る表示システムと同一であるので記載を省略する。また、第1の実施形態の各要素の符号を援用して説明する。
【0053】
第3の実施形態に係る表示システム100の具体的な動作について説明する。
図9は、第3の実施形態に係る表示システムにおいて演算部11が行う一連の処理をフローチャートにより示している。ステップS63、ステップS64における動作フローは、図6に示した第2の実施形態に係る表示システム100と同一であるため記載を省略する。
【0054】
運転手は、タクシーが目的地に到着し、運賃の更新を止める際には、支払ボタンを押下する。支払ボタンからの入力信号を受け付けた演算部11は、運賃の計算を停止する。その後、演算部11はステップS63を実行する。
【0055】
以下では、第1〜第3の実施形態に係る表示装置20の作用及び効果について説明する。
【0056】
第1〜第3の実施形態に係る表示装置20は、各種情報を表示する表示部21と、選択入力を受け付ける操作部22と、を備え、表示部21は、タクシーメータによって通貨の単位を「円」として算出される運賃が、選択入力により選択される選択通貨(又は選択通貨に対応する対応通貨)に換算されて算出される換算運賃を出力する。
これにより、選択入力により選択される選択通貨(又は対応通貨)を単位とする運賃が表示部21に示される。
この結果、「円」と自国の通貨との間の為替レートを把握していない外国人の乗客がタクシーを利用する場合であっても、該外国人の乗客は、表示される運賃の通貨を自身で選択できるために、運賃の多寡を容易に把握できる。よって、実施形態に係る表示装置によれば、外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供できる。
【0057】
また、第1〜第3の実施形態に係る表示装置20は、メモリーカードから為替レート情報を取得し、表示部21は、通貨の単位を「円」として算出される運賃が、「円」と選択通貨(又は対応通貨)との間の為替レートに基づいて選択通貨(又は対応通貨)に換算されて算出される換算運賃を出力する。
これにより、選択入力により選択される選択通貨(又は対応通貨)を単位とする運賃が、為替レートに基づいて算出されて表示部21に示される。即ち、予めタクシー会社が決定した通貨間の換算比率ではなく、リアルタイム且つ世界的に広く知られた、通貨間の換算比率に関する情報である為替レート情報に基づいて換算運賃が算出される。
この結果、外国人の乗客は、現在の通貨の取引状況に即した換算比率により運賃を把握することができる。また、換算比率として為替レートが使用されることを予め把握することにより、換算後の運賃の額を容易に予測できる。よって、実施形態に係る表示装置によれば、外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供できる。
【0058】
また、第1の実施形態に係る表示装置20では、表示部21は、通貨の単位を「円」として算出される運賃が、選択入力により選択される選択言語に対応する対応通貨に換算されて算出される換算運賃を出力する。
これにより、選択入力により選択される選択言語に対応する対応通貨を単位とする運賃が表示部21に示される。
この結果、外国人の乗客は、表示部に表示する言語を選択しさえすれば、選択した言語に対応する通貨を単位とする運賃が表示部に表示されるために、運賃の多寡を容易に把握することができる。よって、実施形態に係る表示装置によれば、外国人のタクシー利用客に対してより良いサービスを提供できる。
【0059】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0060】
例えば、本実施形態では、表示装置20は、タクシーの後部座席側に配置されているとしたが、乗客が視認可能且つ操作可能であれば、タクシーの車内のどこに配置されていても構わない。また、本実施形態では、表示システム100は、運転席、助手席、及び後部座席を有する一般的なタクシーに搭載されて使用されるとしたが、どのような席配置を有するタクシーに搭載されて使用されても構わない。また、本実施形態では、表示装置20は、タクシーに取付けられるとしたが、タクシー外に持ち運び可能なデバイスにより構成されていても構わない。
【0061】
また、本実施形態では、まず、「円」を通貨の単位として現在の運賃を算出した後に換算運賃を算出するとしたが、異なる通貨の単位により現在の運賃を算出した後に換算運賃を算出するとしてもよい。例えば、我が国以外で使用される場合には、当該国の通貨の単位により現在の運賃を算出した後に換算運賃を算出することが好ましい。
【0062】
また、本実施形態では、タクシーメータ本体10に備えられた演算部11が、選択通貨を単位とする換算運賃を算出する構成としたが、表示制御部23が、又は表示装置20に備えられた演算部11とは異なる演算部が、選択通貨を単位とする換算運賃を算出する構成としても構わない。
【0063】
また、本実施形態では、当日の為替レートに関するデータテーブルは、タクシーが事務所から出庫する前に事務所においてメモリーカードに入力されるとしたが、当日の為替レートに関するデータテーブルは、例えば無線通信により事務所から取得されるとしてもよいし、運転手が操作部13より直接入力して取得されるとしてもよい。また、当日の為替レートを用いない場合には、予めタクシー会社により規定した通貨間の換算レートに関するデータを設定データ格納部15に保持しておき、演算部11は必要に応じて設定データ格納部15に格納されたデータを参照する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 表示システム
10 タクシーメータ本体
11 演算部
12 表示部
13 操作部
14 営業データ格納部
15 設定データ格納部
16 外部I/F
17 メモリーカードI/O部
20 表示装置
21 表示部
22 操作部
23 表示制御部
24 外部I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示する表示部と、
選択入力を受け付ける入力部と、を備え、
前記表示部は、タクシーメータによって第1の通貨にて算出される第1の運賃が、前記選択入力により選択される第2の通貨に換算されて算出される第2の運賃を出力することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
為替レートを取得する為替レート取得手段をさらに備え、
前記表示部は、前記第1の運賃が、前記為替レート取得手段から取得された前記第1の通貨と前記第2の通貨との間の為替レートに基づいて前記第2の通貨に換算されて算出される前記第2の運賃を出力することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第1の運賃が、前記選択入力により選択される言語に対応する前記第2の通貨に換算されて算出される前記第2の運賃を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97720(P2013−97720A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242489(P2011−242489)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】