説明

表面に薄膜を有する成形品の成形方法および成形装置

【課題】 蒸着面が汚染されることがなく、それ故蒸着不良による品質の低下がなく、また在庫管理も格別に必要としない、表面に薄膜を有する成形品の成形方法を提供する。
【解決手段】
固定側金型(2)と、スライド金型(15)とを使用して、第1の成形位置で第1の基板(K1)を、第2の成形位置で第2の基板(K2)を成形する。そして、第2の基板(K2)を成形中にその前に成形された第1の基板(K1)の表面に蒸着し、第1の基板(K1)を成形中にその前に成形された第2の基板(K2)の表面に蒸着する。このとき、内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバー(25)により、スライド金型(15)の凹部(16、17)に残っている状態の基板を覆って、金型内で蒸着条件を出して蒸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定金型と可動金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなる、表面に薄膜を有する成形品の成形方法およびこの成形方法の実施に使用される成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜センサのような表面に薄膜を有する成形品は従来周知で、その幕は反射防止膜、赤外線カット膜等として色々な方法により形成されている。例えば、基板とターゲットを対向させておき、数Pa〜数10Pa程度のアルゴンガス雰囲気中でターゲットに数kVの負の電圧を印加し、そして放電させて薄膜を形成するスパッタリング方法、真空容器の中に基板と蒸発源とを収納して成幕する真空蒸着法、基板に数kVの負の電圧を印加し数Paのアルゴンガスの圧力下で真空蒸着をするイオンプレーティング方法等により形成されている。また、化学蒸着法によっても形成されている。要するに、前もって成形された成形品あるいは基板にマスキングを施し、そして蒸着専用の真空タンク中に専用のハンガーを使用して吊り下げ、次いで前記したような蒸着方法に必要な条件を作り出して形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−19943号公報
【0004】
本発明の直接的な先行技術文献にはならないが、特許文献1には1次成形品の表面に異材質あるいは異色の材質を積層的に成形する成形方法が示されている。さらに具体的には、固定金型と、可動金型と、これらの金型の間に設けられているスライド金型とを使用し、スライド金型を前回の1次成形で成形されている1次半成形品と共働して2次成形用のキャビティが構成される第2位置へスライドさせる。そして、成形品を取り出した後のキャビティへ射出する1次成形と、2次成形用のキャビティへ射出する2次成形とを同一金型で同時に行い、次に2次成形により成形された成形品を取り出し、スライド金型を、1次成形により成形された1次半成形品と共働して2次成形用のキャビティが構成される第1位置へ移動させ、そして成形品を取り出した後のキャビティへ射出する1次成形と、2次成形用のキャビティへ射出する2次成形とを同一金型で同時に行う成形方法が示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の形成方法によると、前もって基板を例えば射出成形により成形し、そして真空タンク中へ搬入して蒸着しなければならないので、問題点も多い。例えば、基板は前もって成形され保管されるようになっているので、保管取扱中に蒸着する表面に手あか、塵埃等が付着し、蒸着不良を起こすことがある。これを避けるためには、取り扱いに最大限の注意を払わなければならないので、コスト高になる。また、前もって成形される基板は一旦保管されるようになっているので、在庫管理が必要となる問題もある。
一方、特許文献1に示されている成形方法によると、次のような色々な効果が得られる。2個の射出機による成形に無駄のない同時成形が可能となり、成形サイクルの短縮と生産性の向上とが得られ、同時に射出して休止する射出機がないので樹脂の滞留がなく、成形不良率の発生の少ない成形ができる、成形サイクルが短くて生産性が高い、等の利点があり、現在も有効に実施されているが、表面層が金型内で射出成形により成形されるようになっているので、数μmオーダの薄膜を形成することはできない。
本発明は、上記したような問題点を解決した成形方法を提供しようとするもので、具体的には蒸着面が汚染されることがなく、それ故蒸着不良による品質の低下がなく、また在庫管理も格別に必要としない、表面に薄膜を有する成形品の成形方法およびこの成形方法の実施に使用される成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、固定金型と可動金型とにより成形される基板の表面を、前記可動金型の凹部に残した状態で、該基板をその内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って蒸着するように構成される。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、固定金型と可動金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなり、前記蒸着形成は、前記1次成形後前記可動金型を開いて、前記可動金型の凹部に残っている状態の基板を、その内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って実施するように構成される。請求項2に記載の発明は、固定側金型と、可動型に第1、2の成形位置へスライド可能に設けられているスライド金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなり、前記1次成形により、前記スライド金型の第1の成形位置で第1の基板を、第2の成形位置で第2の基板を成形し、前記蒸着形成により第2の基板を成形中にその前に成形された第1の基板の表面に薄膜を、第1の基板を成形中にその前に成形された第2の基板の表面に薄膜を、以下これを繰り返しながら形成し、前記蒸着形成は、前記1次成形後の前記スライド金型の凹部に残っている状態の基板を、その内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って実施するように構成される。
請求項3に記載の発明は、固定金型と、該固定金型に対して型開閉される可動金型とにより基板が成形され、蒸着装置により基板の表面に薄膜が形成されるようになっている成形装置であって、前記可動金型のパーテイングライン側には、基板を成形するための凹部が形成され、前記蒸着装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられるように構成される。請求項4に記載の発明は、固定側金型と、該固定側金型に対して型開閉される可動型に第1、2の成形位置へスライド可能に設けられているスライド金型とにより基板が成形され、蒸着用チャンバーを有する蒸着装置により基板の表面に薄膜が形成されるようになっている成形装置であって、前記固定側金型には、そのパーテイングライン側に突き出て、その頂部に開口したホットランナが設けられている成形部が形成されていると共に、前記成形部の側部には、前記可動型を前記固定側金型に対して型締めしたときに前記蒸着用チャンバーが装着される空間が確保され、前記スライド金型のパーテイングライン側には、基板を成形するための少なくとも2個の、前記固定側金型のホットランナに整合する第1、2の凹部が設けられ、前記蒸着装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられるように構成される。請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の成形装置において、固定側金型が固定側枠と、該固定側枠に取り付けられている補助金型からなり、請求項6に記載の発明は、固定金型と、該固定金型に対して型開閉される可動金型とからなり、これらの金型により成形される基板の表面に、該基板が前記可動金型に残った状態で薄膜を形成する装置であって、前記装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられるように構成される。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によると、固定金型と可動金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなり、前記蒸着形成は、前記1次成形後前記可動金型を開いて、前記可動金型の凹部に残っている状態の基板を、その内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って実施するので、すなわち基板を金型から取り出すことなく、蒸着用チャンバーを使用して金型内で蒸着するので、蒸着する表面が手あか、塵埃等により汚染されることはない。したがって、蒸着状態の良好な高品質の薄膜を有する成形品を得ることができる。また、金型内に残っている状態で金型内で蒸着するので、基板の在庫管理が不要となる。他の発明によると、金型内で基板の成形と蒸着とが実質的に同時に行われるので、前もって成形するときに必要なコスト高になる在庫管理が不要となる効果がさらに得られる。また、成形効率が向上する効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
始めに、本発明の成形装置の実施の形態を説明する。本実施の形態に係わる成形装置は、図1の(イ)に示されている金型1と、図3に示されている蒸着装置20とからなっている。金型1は、概略的には図1の(イ)において右方に示されている固定側金型2と、この固定側金型2と対をなす可動型10とからなり、この可動型10の方に、図において上下方向にスライド的に駆動されるスライド金型15が設けられている。
【0010】
固定側金型1は、本実施の形態では、パーティングラインP側に補助金型5を備えている。補助金型5は、固定側枠3に取り付けられて板状部6と、この板状部6から縮径されて所定量Hでけ円柱状に突き出ているいる成形部7とからなっている。そして、成形部7の実質的に中心部に射出シリンダSの先端部に取り付けられている射出ノズルNに連通したホットランナ8が設けられている。このように、補助金型5には縮径された段部Hが設けられているので、詳しくは後述するように、可動型10を固定側金型2に対して型締めして基板を成形しているときにも、後述する蒸着装置20の蒸着用チャンバー25を外側から適用することができる。
【0011】
可動型10のパーティングラインP側には、スライドガイド枠11が固定されている。このスライドガイド枠11の上下の端部に、上下の支持部材12、13が固定側金型2の方へ突き出た形で一体的に形成されている。そして、これらの上下の支持部材12、13の間にスライド金型15が上下方向にスライド可能に設けられている。スライド金型15のパーティングラインP側には、所定の間隔をおいて図示の実施の形態では2個の第1、2の凹部16、17が設けられている。これらの凹部16、17と固定側金型2の成形部7のコア面9とにより基板が成形される第1、2のキャビティが構成される。このように構成されているスライド金型15は、下方の支持部材13に取り付けられている駆動装置例えば油圧ピストンシリンダユニットユニット18により下方の第1の位置と、上方の第2の位置とを採るように上下方向に駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態においても型締装置、成形品を取り出すための例えばエジェクタピン等も備えているが、これらの装置は図1の(イ)には示されていない。
【0012】
図3に、蒸着装置20が実施の形態が模式的に示されている。図3に示されている実施の形態によると、蒸着装置20は多関節ロボット21からなっている。そして、本実施の形態によると、スパッタリング法が適用されるので、真空蒸着に必要な排気ポンプなどからなる真空源30、不活性ガスタンクあるいは炭酸ガスのような不活性ガスを製造する不活性ガス供給源31、電源装置32等も備えている。多関節ロボット21の基台22から立ち上がっているスタンド23の頂部からは多関節アーム24が延び、その先端部に蒸着チャンバー25が取り付けられている。蒸着用チャンバー25は、所定開口面積あるいは容積の蒸着用凹部26を有する。そして、蒸着用凹部26の開口部に、スライド金型15のパーティングラインP面に圧接されるOリング27が設けられている。したがって、蒸着用凹部26をOリング27を介在させてスライド金型15のパーティングラインP面に圧接すると、その内部は基板を取り囲み蒸着に必要な真空度の蒸着用チャンバー25が形成されることになる。
【0013】
このように構成されている蒸着用凹部26内に蒸着要素が設けられている。蒸着要素は、本実施の形態ではスパッタリング法が適用されるので、図3には示されていないが、蒸着用凹部26の開口部の近くにターゲット電極が、そして奥の方に基板電極が設けられている。これらの電極には直流または高周波電源が接続されて、そして基板電極は金型内の基板に電気的に接続されるようになっている。また、蒸着用凹部26内にはアルゴンガスのような不活性ガスを導入するためのガス導入管が開口し、さらには真空吸引管も開口している。これらのガス導入管、真空吸引管、電極に連なった給電線等は、ロボットの多関節アーム24およびスタンド23の内部を延び、そして連結パイプ28、28、…を介して前述した不活性ガス供給源31、真空源30および電源装置32にそれぞれ接続されている。
【0014】
次に、上記金型を使用して基板の表面に薄膜を形成する成形方法を、図1、2および3を参照しながら説明する。図1の(イ)は可動型10を開き、そしてスライド金型15を下方の第1の位置へ駆動した状態を示しているが、この状態で可動型10を固定側金型2に対して型締めする。そうすると、スライド金型15の第1の凹部16と固定側金型1の成形部7のコア面9とにより第1のキャビティが構成される。また、ホットランナ8は第1のキャビティに開口する。射出ノズルNから従来周知のようにして第1のキャビティに溶融樹脂を射出する。このようにして射出を終わった状態が図1の(ロ)に示されている。この1次成形により、第1の基板K1が成形される。
【0015】
第1の基板K1が固化したら、可動型10を開き、スライド金型15を上方の第2の位置へ駆動する。可動型10を開いた状態が図1の(ハ)に、スライド金型15を第2の位置へ駆動した状態が図2の(イ)に示されている。この図21の(イ)に示されている状態は、第1の基板K1の表面に蒸着が可能な位置であり、第2の凹部17により第2の基板K2が成形可能な位置である。
【0016】
多関節ロボット21を利用して蒸着用チャンバー25を、第1の基板K1を取り囲むようにして、スライド金型15のパーティングラインP面にOリング27を介して圧接する。そして、型締めする。あるいは、固定側金型2の補助金型5には、段部Hが形成されているので、型締めしてから蒸着用チャンバー25を上記のようにして装着する。このようにして型締めした状態が、図2の(ロ)に示されている。蒸着装置20の真空源30と、不活性ガス供給源31とを駆動して蒸着用チャンバー25内を数Pa〜数10Pa程度のアルゴンガス雰囲気にする。そして、ターゲットには負の電圧を、第1の基板K1には正の数kVの電圧を印加し、そして放電させる。そうすると、第1の基板K1の表面に薄膜Uが形成され、薄膜を有する成形品KU1が得られる。上記のようにして、蒸着しているときに、第2の凹部17から構成されている第2のキャビティに、射出ノズルNから溶融樹脂を射出して第2の基板K2を成形する。
【0017】
第2の基板K2が固化したら、可動型10を開く。薄膜を有する成形品KU1を取り出す。取り出している状態が図2の(ハ)に示されている。なお、可動型10を開いても、蒸着用チャンバー25は可動型10に追従することができるので、蒸着は多少遅れてもよい。開いた状態でスライド金型15を下方の第1の位置へ駆動する。そして、前述したようにして、第2の基板K2の表面に蒸着を開始する。また、型締めして第1の凹部16からなる第1のキャビティに溶融樹脂を射出して第1の基板K1を成形する。第2の基板K2の表面に蒸着し、第1の基板K1を成形している状態が図2の(ニ)に示されている。可動型10を開いて薄膜を有する成形品KU2を取り出す。以下、上記操作を繰り返して成形する。
【0018】
本発明は、色々な形で実施できる。例えば、蒸着用チャンバー25を使用した蒸着法には上記したスパッタリング法以外の、従来周知の化学蒸着法、真空蒸着法、イオンプレーテイング法等が適用できることは明らかである。また、図1に示されている実施の形態では、1次成形と蒸着形成とが1つの金型内で実質的に同時に行われるようになっているが、従来周知の固定金型と可動金型とにより、基板を成形し、基板を可動金型に残した状態で可動金型を開いて、前述したように蒸着用チャンバーを適用して基板の表面に薄膜を形成できることも明らかである。このように実施すると、成形効率は落ちるが、基板の表面は汚染されないので、高品質の薄膜を有する成形品が得られ、また在庫管理も不要となる効果が得られる。さらには、図示の実施の形態では、固定側金型2に成形部7を有する補助金型5が取り付けられているが、補助金型5を固定側の枠体に一体的に設けることもできる。また、固定側金型2の成形部5は、板状部6から円柱状に突き出ている旨説明されているが、蒸着用チャンバー5が装着される空間が確保されれば、図示の実施の形態に限定されることがないことは明らかである。例えば、上方に位置する第1の基板K1と、下方に位置する第2の基板K2に、型締め状態でも蒸着用チャンバー25を装着できる構造であれば、切り欠き構造でも実施できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係わる金型を示す図で、その(イ)は可動型を開いて拡大して示す断面図、その(ロ)、(ハ)は本発明の実施の形態に係わる金型を使用した、各成形段階を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる金型を使用した、各成形段階を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に関わる蒸着装置の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 金型 2 固定側金型
9 コア面 10 可動型
15 スライド金型 16 第1の凹部
17 第2の凹部 20 蒸着装置
25 蒸着用チャンバー 30 真空源
32 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と可動金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなり、
前記蒸着形成は、前記1次成形後前記可動金型を開いて、前記可動金型の凹部に残っている状態の基板を、その内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って実施する、ことを特徴とする表面に薄膜を有する成形品の成形方法。
【請求項2】
固定側金型と、可動型に第1、2の成形位置へスライド可能に設けられているスライド金型とを使用して基板を成形する1次成形と、該1次成形により成形された基板の表面に薄膜を形成する蒸着形成とからなり、
前記1次成形により、前記スライド金型の第1の成形位置で第1の基板を、第2の成形位置で第2の基板を成形し、前記蒸着形成により第2の基板を成形中にその前に成形された第1の基板の表面に薄膜を、第1の基板を成形中にその前に成形された第2の基板の表面に薄膜を、以下これを繰り返しながら形成し、
前記蒸着形成は、前記1次成形後の前記スライド金型の凹部に残っている状態の基板を、その内部にターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている蒸着用チャンバーで覆って実施する、ことを特徴とする表面に薄膜を有する成形品の成形方法。
【請求項3】
固定金型と、該固定金型に対して型開閉される可動金型とにより基板が成形され、蒸着装置により基板の表面に薄膜が形成されるようになっている成形装置であって、
前記可動金型のパーテイングライン側には、基板を成形するための凹部が形成され、
前記蒸着装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている、ことを特徴とする表面に薄膜を有する成形品の成形装置。
【請求項4】
固定側金型と、該固定側金型に対して型開閉される可動型に第1、2の成形位置へスライド可能に設けられているスライド金型とにより基板が成形され、蒸着用チャンバーを有する蒸着装置により基板の表面に薄膜が形成されるようになっている成形装置であって、
前記固定側金型には、そのパーテイングライン側に突き出て、その頂部に開口したホットランナが設けられている成形部が形成されていると共に、前記成形部の側部には、前記可動型を前記固定側金型に対して型締めしたときに前記蒸着用チャンバーが装着される空間が確保され、
前記スライド金型のパーテイングライン側には、基板を成形するための少なくとも2個の、前記固定側金型のホットランナーに整合する第1、2の凹部が設けられ、
前記蒸着装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている、ことを特徴とする表面に薄膜を有する成形品の成形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成形装置において、固定側金型が固定側枠と、該固定側枠に取り付けられている補助金型からなる、表面に薄膜を有する成形品の成形装置。
【請求項6】
固定金型と、該固定金型に対して型開閉される可動金型とからなり、これらの金型により成形される基板の表面に、該基板が前記可動金型に残った状態で薄膜を形成する装置であって、
前記装置は、多関節ロボットのアームに取り付けられている蒸着用チャンバーからなり、該蒸着用チャンバーの開口部には前記可動金型のパーテイングライン側の面に基板を取り囲んで圧接されるシール手段が設けられ、その内部にはターゲット電極、基板電極、真空吸引管等の蒸着要素が設けられている、ことを特徴とする表面に薄膜を有する成形品の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−233248(P2006−233248A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46922(P2005−46922)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】