説明

表面の殺菌または消毒方法

【課題】金属−ポリマー錯体を含む抗微生物剤組成物を適用することによる表面の殺菌または消毒方法を提供する。
【解決手段】表面を消毒する方法であって;該方法は、(a)エタノールおよびイソプロパノールから選択されるアルコールを少なくとも50%;および(b)ポリマーで錯化された金属:を含む抗微生物剤組成物を、表面に適用することを含み;ここで、金属は銅、銀、金、スズ、亜鉛、及びその組み合わせから選択され;かつ、ポリマーは、残基A、残基B、残基C、およびその混合物から選択されるモノマー残基を含み;ただし、ポリマーは99.5重量%を超えない残基Bのモノマー残基を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤組成物を適用することによって表面を殺菌または消毒する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バクテリア汚染の絶え間ない脅威およびそれに伴う健康への影響のため、抗微生物溶液は産業および住宅用の洗浄および殺菌工程の一般的な部品になった。希釈された水性洗剤は、病院や住宅の台所および浴室領域など、バクテリアの成長と増殖に敏感な環境中の表面のバクテリアレベルを検出できるほど低減させない。一方、水性次亜塩素酸塩などの酸化剤およびフェノール組成物はバクテリアのレベルの低減を行い、これは比較的短寿命(3〜6時間)である。これは、しばしばそれらの表面の再使用による再汚染を招き、殺菌剤を頻繁に使用することが必要になる。さらに、広いスペクトルの殺菌を得るためには、比較的高い濃度の活性剤をそのような配合物中に混合しなければならない。これらの高い濃度は、食物に接触したときに有害である可能性に加えて、しばしば皮膚および眼の刺激などの望ましくない副作用を有する。したがって、洗浄溶液との接触および表面の再使用後でも、再適用することなく長期間にわたって表面に広いスペクトルの微生物殺菌作用を持続することのできる、新しい殺菌配合物を開発する必要がある。さらに、使用者に対して毒性の問題のない殺菌作用を達成することが望ましい。
【0003】
適用組成物、樹脂成型品、紙及び結合剤に含まれるとき抗菌活性を示すことのできる殺微生物剤が多数提案された。その中で、無機殺微生物剤、すなわち金属イオンを担持した無機化合物がある。無機殺微生物剤の例は、活性炭、アパタイト、ゼオライト、および様々なリン酸塩上の金属を含む。
【0004】
無機殺微生物剤を含む組成物はしばしば熱および/または光に暴露されると退色する。それらの退色を抑制する一方法は、Ohsumiらの米国特許第5,698,229号に提供される。Ohsumiらは、その上に銀イオンを担持した無機化合物と以下の式の化合物の組み合わせを開示する。
【化1】

式中、Rは水素または低級アルキル基であり、Rは水素またはアルカリ金属である。
【特許文献1】米国特許第5,698,229号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それでもなお、それらの金属イオンを組み込む組成物に伴う望ましくない熱および光に対する安定性の問題がなく、金属イオンの積極的な抗菌活性を示す組成物を使用する新しい殺菌方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様において、表面を消毒する方法が提供され、該方法は、(a)エタノールおよびイソプロパノールから選択される少なくとも50%のアルコールと、(b)ポリマーと錯体化した金属と:を含む抗微生物剤組成物を表面に適用することを含み、金属は銅、銀、金、スズ、亜鉛、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銅、銀、金、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銅、銀、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銀であり;かつ、ポリマーは、残基A、残基B、残基C、およびその混合物から選択されるモノマー残基を含み、ただし、ポリマーは99.5重量%を超えない残基Bのモノマー残基、あるいは99重量%を超えない残基Bのモノマー残基、あるいは98重量%を超えない残基Bのモノマー残基、あるいは95重量%を超えない残基Bのモノマー残基、あるいは90重量%を超えない残基Bのモノマー残基を含み;
残基Aは
【化2】

であり;
残基Bは
【化3】

であり;および
残基Cは
【化4】

であり;
式中、XはN、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する不飽和または芳香族ヘテロ環から選択され;あるいはXは少なくとも1個のヘテロN原子を有する不飽和または芳香族ヘテロ環から選択され;
cは0または1であり;あるいはcは0であり;
はH、CH、および−COから選択され;RはH、CH、C、C〜C24アルキルから選択され;
はH、CH、C、フェニル、−CHCO、および−COから選択され;Rは式(I)〜(V)から選択され、
【化5】

式中、R11はH、メチル、およびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZ、およびXから選択され;ZはH、ナトリウム、カリウム、およびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基、および0重量%の残基Cのモノマー残基を含む場合には、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、かつYはXである;
はH、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(Rは前に定義した通りである)、−CO12、および−CONRから選択され;RおよびRは独立にH、メチル、エチル、C(CH)CHSOZ(Zは前に定義した通りである)、C〜Cアルキル、および結合した環構造から選択され、並びにR12はH、CH、C、およびC〜C24アルキルから選択され;
およびRは独立に水素、メチル、エチル、およびC〜C分岐または直鎖アルキルから選択され;あるいはRおよびRは両方とも水素であり;
10はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10不飽和非環式、C〜C10環式、C〜C10芳香族、C〜Cアルキレンオキシド、およびポリ(C〜Cアルキレン)オキシドから選択され;bは2〜20の整数であり;あるいはR10はC〜C分岐および直鎖アルキル基から選択される。
【0007】
本発明の他の態様において、抗微生物剤組成物は、(a)エタノール及びイソプロパノールから選択される少なくとも50%のアルコールと(b)ポリマーと錯体化した金属とを含み;金属は銅、銀、金、スズ、亜鉛、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銅、銀、金、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銅、銀、およびその組み合わせから選択され、あるいは金属は銀であり;かつ、ポリマーは少なくとも0.5重量%の架橋剤と、残基A、残基B、残基C、およびその組み合わせから選択されるモノマー残基を少なくとも5重量%、あるいは少なくとも75重量%、あるいは少なくとも80重量%、あるいは少なくとも85重量%、あるいは少なくとも90重量%、あるいは少なくとも95重量%含み;残基A、残基B、残基Cは前に定義した通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書に記載されるすべてのパーセントは他に示されない限り全て重量パーセントである。本明細書および添付の請求項に用いられる用語「銀」は、本発明の抗微生物剤組成物に組み込まれる金属銀を指す。抗微生物剤組成物に組み込まれる銀の酸化状態(Ag、Ag1+、またはAg2+)に関して拘束されることを望まないが、銀は、脱イオン水(「DI」)中の硝酸銀などの銀溶液中でポリマーを洗浄することによって抗微生物剤組成物に添加することができる。DI以外に、水、水性緩衝溶液、およびポリエーテルまたはアルコールなどの有機溶液など、他の液体媒体も用いることができる。他の銀源は酢酸銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ピクリン酸銀、および硫酸銀を含むが制限されない。これらの溶液中の銀濃度は、抗微生物剤組成物に周知の量の銀を加えるのに必要な濃度から飽和銀溶液まで変化することができる。
【0009】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物は少なくとも10ppmの金属、あるいは少なくとも25ppmの金属、あるいは少なくとも50ppmの金属、あるいは少なくとも75ppmの金属を含み;抗微生物剤組成物は500ppmを超えない金属を含み、あるいは300ppmを超えない金属、あるいは200ppmを超えない金属、あるいは150ppmを超えない金属を含む。本発明の一実施形態において、金属は銀を含む。
【0010】
本明細書および添付請求項に用いられる用語「アルキル」は、直鎖、分岐鎖および環状アルキル基の両方を含む。
【0011】
本明細書および添付請求項に用いられる用語「アルケニル」は、直鎖、分岐鎖のアルケニル基の両方を含む。
【0012】
本発明に使用するのに適した不飽和または芳香族へテロ環は、例えば、ある程度の不飽和を有する5〜7員のヘテロ環;N、O、およびS原子から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を有する芳香族へテロ環;それらのヘテロ環の異性体、およびその組み合わせを含む。さらに、適切なヘテロ環は、例えば、互いに融合して少なくとも1つのN、O、またはS原子を有する、より大きな9〜14員のヘテロ環を形成する5〜7員のヘテロ環;それらのヘテロ環の異性体、及びその組み合わせを含むことができる。本発明に使用するのに適した追加のヘテロ環は、炭素環と融合して、より大きな9〜14員のヘテロ環を形成する5〜7員のヘテロ環を含む。
【0013】
他の実施形態において、本発明の抗微生物剤組成物は、イミダゾール;チオフェン;ピロール;オキサゾール;チアゾール、およびそれらのそれぞれの異性体(例えばチアゾール−4−イル、チアゾール−3−イル、およびチアゾール−2−イル);テトラゾール;ピリジン;ピリダジン;ピリミジン;ピラジン;アゾール;インダゾール;トリアゾール、およびそれらのそれぞれの異性体(例えば、1,2,3−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾール);およびその組み合わせ、例えば、イミダゾール1,2,3−トリアゾール−1,2,4−トリアゾール;ベンゾトリアゾール;メチル−ベンゾトリアゾール;ベンゾチアゾール;メチルベンゾチアゾール;ベンズイミダゾール、及びメチルベンズイミダゾールから選択されるヘテロ環式基を含むポリマーを含む。この実施形態の一態様において、本発明の抗微生物剤組成物はイミダゾール、ベンゾトリアゾール、およびベンズイミダゾールから選択されるヘテロ環式基を含むポリマーを含む。
【0014】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物はヘテロ環含有モノマーおよびヘテロ環非含有モノマーを含む。この実施形態の一態様において、ヘテロ環含有モノマーの、ヘテロ環非含有モノマーに対する比は95:5〜5:95であり、あるいは80:20〜20:80であり、あるいは60:40〜40:60である。この実施形態の一態様において、ヘテロ環含有モノマーはビニルイミダゾールである。
【0015】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物は銀と錯体化したヘテロ環含有モノマーを含む。この実施形態の一態様において、ヘテロ環含有モノマーの銀に対する重量比は95:5〜5:95であり、あるいは90:10〜10:90であり、あるいは80:20〜20:80である。この実施形態の一態様において、銀のヘテロ環含有モノマーに対するモル比は10:1〜1:10であり、あるいは4:1〜1:4であり、あるいは2:1〜1:2である。この実施形態の一態様において、ヘテロ環含有モノマーはビニルイミダゾールである。この実施形態の他の態様において、ポリマーは1−ビニルイミダゾール、(メタ)アクリル酸、およびアクリル酸アルキルのコポリマーであり;あるいはアクリル酸C〜C12アルキルとアクリル酸のコポリマーである。この態様において、好ましくは、1−ビニルイミダゾールは35〜50%の量で存在し、(メタ)アクリル酸は5〜15%の量で存在し、及びアクリル酸アルキルは35〜50%の量で存在する。この態様において、コポリマーは架橋剤も含むことができる。
【0016】
本発明の他の実施形態において、ポリマーは0.5〜60重量%の架橋剤を含み、あるいは少なくとも2重量%の架橋剤を含み、あるいは少なくとも5重量%の架橋剤を含み、あるいは少なくとも8重量%の架橋剤を含み、あるいは少なくとも10重量%の架橋剤を含み、あるいは40重量%を超えない架橋剤を含み、あるいは30重量%を超えない架橋剤を含み、あるいは20重量%を超えない架橋剤を含み、あるいは15重量%を超えない架橋剤を含む。本発明の他の実施形態において、ポリマーは0.5%未満の架橋剤で作られ、または実質上架橋剤なしに作られる。
【0017】
本発明に使用するのに適した架橋剤は、抗微生物剤組成物の物理的及び化学的安定性が架橋剤材料を含むことによって実質上影響を受けないことを条件に、任意の既知の架橋剤材料を含む。本発明に使用するのに適した架橋剤の例は、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタクリレート(「ALMA」)、エチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート(「DEGDMA」)、プロピレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、ジビニルベンゼン(「DVB」)、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)およびその混合物などのジ−、トリ−、テトラ−、およびそれよりも高次の多官能性のエチレン系不飽和モノマーを含むが制限されない。
【0018】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物は、アリルメタクリレート(ALMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、およびジビニルベンゼン(DVB)から選択される架橋剤で作られたポリマーを含む。この実施形態の一態様において、抗微生物剤組成物はトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)で作られたポリマーを含む。
【0019】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物を構成するポリマーは、200nm未満の平均粒子サイズを示し、あるいは50nm未満、あるいは1〜10nm、あるいは10nm未満、あるいは1〜8nm、あるいは5nm未満の平均粒子サイズを示す。他の実施形態において、ポリマーは実質上架橋剤なしに作られ、ポリマーは限定できる粒子サイズをもたない。
【0020】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物を構成するポリマーは、500,000未満、あるいは100,000未満、あるいは50,000未満、あるいは500〜5,000の分子量を示す。
【0021】
本発明の抗微生物剤組成物はエタノールおよびイソプロパノールから選択された溶媒を少なくとも50%含む。好ましい実施形態において、溶媒はエタノールである。組成物中に水が存在することも好ましい。本発明の一実施形態において、エタノールまたはイソプロパノールの量は少なくとも55%であり、あるいは少なくとも58%、あるいは80%を超えず、あるいは75%を超えず、あるいは70%を超えない。本発明の一実施形態において、組成物はエタノール、イソプロパノール、および水以外の溶媒を実質上含まない。手の消毒剤、ゲル、およびワイピングに用いられる抗微生物剤組成物中に存在することのできる他の溶媒および添加剤は、グリコール、特にプロピレングリコール、グリセリン、エステル、特にミリスチン酸イソプロピル、アミノメチルプロパノール、カーボマー(商標)ポリマー、またはレオロジー制御のために加えられる他のポリマー、香料、天然製品、アミン、錯化剤、pH緩衝剤等を含む。
【0022】
本発明の他の実施形態において、抗微生物剤組成物は光安定性である。この実施形態の一態様において、本発明の抗微生物剤系を長期間可視スペクトル光に暴露すると、抗微生物剤系のHunterL、a、b、およびL、a、b(CIELAB)の個々の値はそれらの暴露によって値がファクター3未満、あるいはファクター2未満の変化を示す。Hunter Color試験方法の説明については、Billmeyer,Jr.ら、色彩技術の基本(PRINCIPLES OF COLOR TECHNOLOGY)、John Wiley & Sons、2ED(1981)を参照されたい。
【0023】
本明細書および添付請求項に用いられる用語「長期間の暴露」は、少なくとも24時間の断続的な暴露期間、あるいは少なくとも1週間の断続的な暴露期間、あるいは少なくとも1年間の断続的な暴露期間、あるいは少なくとも2年間の断続的な暴露期間、あるいは少なくとも5年間の断続的な暴露期間を意味する。本明細書および添付請求項に用いられる用語「断続的な暴露期間」は、その期間中可視スペクトル光への暴露が一定ではない期間を指す。24時間の断続的な暴露期間の例は、夜明けから夜明けまでの戸外環境の光になるであろう。
【0024】
本発明に用いられる抗微生物剤組成物は、バクテリアまたは他の微生物が表面へ付着することを抑制し、バクテリアまたは他の微生物が表面で成長することを抑制し、および表面上または適用点から半径内に展延するバクテリアまたは他の微生物を死滅させる。本発明の抗微生物剤組成物は、微生物の増殖を少なくとも25%抑制し;あるいは本発明の抗微生物剤組成物は、mL当たりの微生物コロニー形成単位を少なくとも1−log減少(≧90%抑制)させ;あるいは本発明の抗微生物剤組成物はmL当たりの微生物コロニー形成単位を少なくとも2−log減少(≧99%抑制)させ;あるいは本発明の抗微生物剤組成物はmL当たりの微生物コロニー形成単位を少なくとも3−log減少(≧99.9%抑制)させ(この減少レベルは本明細書において「消毒」と呼ぶ);あるいは本発明の抗微生物剤組成物はmL当たりの微生物コロニー形成単位を少なくとも6−log減少(≧99.9%抑制)させる(この減少レベルは本明細書において「殺菌」と呼ぶ)。それらの細菌は、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ケトミウム・グロビスム(Chaetomium globosum)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogines)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、グリオクラツム・ビレンス(Gliocladtum virens)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella Pheumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumpophila)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria Monocytogenes)、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)、サルモネラ・ガリナルム(Salmonella gallinarum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、トリコフィトン・マルムステン(Trycophyton malmsten)、ビブリオ・パラヘモリティクス(Vibrio parahaemolyticus)、スタキボトリス(Stachybotrys)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、およびペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)を含むが制限されない。
【0025】
本発明の抗微生物剤組成物は基体の表面上に堆積されてその上に抗微生物剤層を形成する。表面は硬質表面、すなわち調理台、キャビネット、ドア取手、備品など非多孔質のものとすることができ、ガラス、セラミック、石、金属、プラスチック、仕上げ木材または例えば、ガラス繊維および他のプラスチック/ガラス及びプラスチック/セラミック複合材を含む複合材料から構成することができる。あるいは、表面は粘土、木材、皮革、織物、紙及び皮膚などの多孔質表面であってもよい。
【0026】
一実施形態において、本発明の抗微生物剤組成物は殺菌スプレーとして用いることができる。ポンプおよびエアロゾルスプレーが適している。他の適用方法はゲルの形の組成物のワイピングおよび適用を含む。典型的なスプレー手段による適用は、表面から5.08〜30.48cm(2〜12インチ)の距離で1〜10秒間噴霧して、処理領域を完全に被覆し飽和させることを含む。それらの適用は表面に0.01〜0.5g/cmの材料を与えるであろう。最適の結果を得るには、表面は少なくとも30秒間濡れていなければならない。典型的なワイピングによる適用は、組成物を織物または不織布で適用して、少なくとも30秒間それが濡れたままであるように完全に表面を濡らすことを含むことができよう。それらの適用は0.01〜0.5g/cmの材料を表面に与えるであろう。典型的なゲルの形態での適用は、ポンプ瓶からゲルをポンプ給送して表面を被覆することを含むことができ、これは少なくとも30秒間濡れたままであるべきである。それらの適用は0.1〜1g/cmの材料を表面に与えるであろう。
【0027】
他の実施形態において、本発明の抗微生物剤組成物は、抗微生物剤組成物の物理的及び化学的安定性がそれらを含むことによって実質上影響を受けなければ、1種または複数の抗微生物剤を任意選択的に含むことができる。本発明で使用するのに適した抗微生物剤は、例えば、3−イソチアゾロン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール、グルタルジアルデヒド、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、ジメチロール−ジメチル−ヒダンチオン、ベンズイソチアゾロン、および2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテルを含む。
【0028】
他の実施形態において、本発明の抗微生物剤組成物は、抗微生物剤組成物の物理的及び化学的安定性がそれらを含むことによって実質上影響を受けなければ、1種または複数の殺菌剤を任意選択的に含むことができる。本発明で使用するのに適した殺菌剤は、例えば、第四級アンモニウム殺菌剤およびフェノール系殺菌剤を含む。
【実施例】
【0029】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において詳細に説明する。実施例において記載される全ての割合およびパーセントは他に特記しない限り重量による。
実施例1〜4
ポリマー生成物の調製。
ポリマー生成物を以下の工程を用いて調製した。
(a)攪拌機、滴下漏斗、および凝縮器を備えた1リットルの釜にイソプロパノール(99重量%を515g)を装填した。
(b)釜の内容物を緩やかに一定に攪拌しながら80℃に加熱した。
(c)実施例1〜4の各々について、釜の内容物を一定に穏やかに攪拌しつつ80℃の温度に保ちながら、表1に記載した組成物の混合物を2時間かけて釜にゆっくり滴下して加えた。
(d)(c)の生成物を30分間一定に穏やかに攪拌しながら80℃に維持した。
(e)イソプロパノール(99重量%を5g)中のt−アミルペルオキシピバレート(2g)を(d)の生成物に加えた。
(f)(e)の生成物を30分間一定に穏やかに攪拌しながら80℃に維持した。
(g)イソプロパノール(99重量%を5g)中のt−アミルペルオキシピバレート(2g)を(f)の生成物に加えた。
(h)(g)の生成物を30分間一定に穏やかに攪拌しながら80℃に維持した。
(i)イソプロパノール(99重量%を5g)中のt−アミルペルオキシピバレート(2g)を(h)の生成物に加えた。
(j)(i)の生成物を30分間一定に穏やかに攪拌しながら80℃に維持した。
(k)加熱源を取り去り、(j)の生成物を室温まで冷却した。
(l)真空中で(k)の生成物からイソプロパノールを取り除き、ポリマー生成物を得た。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例5
架橋したイミダゾール含有ポリマーとの銀錯体の調製。
銀錯体を以下のように調製した。
(a)実施例1からの均一なポリマー生成物のサンプル(3g)を脱イオン水(17g)中に分散した。
(b)(a)の生成物にエタノール(95重量%を17g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に硝酸銀の水溶液(脱イオン水5g中0.44gのAgNO)を攪拌しながら加えて白い沈殿物を形成した。
(d)(c)の生成物に水酸化アンモニウム水溶液(5重量%溶液を4.4g)を攪拌しながら加えて0.53重量%の銀を含む透明な明黄色溶液の生成物を形成した。
【0032】
実施例6
対照品の調製。
銀を含まない錯体を以下のように調製した。
(a)実施例1からの均一なポリマー生成物のサンプル(9g)を脱イオン水(51g)中に分散した。
(b)(a)の生成物にエタノール(95重量%を51g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に水酸化アンモニウム水溶液(5重量%溶液を12.3g)を攪拌しながら加えて銀を含まない錯体を形成した。
【0033】
実施例7
イミダゾール含有ポリマーとの銀錯体の調製。
銀錯体を以下のように調製した。
(a)実施例3からの均一なポリマー生成物のサンプル(15g)を脱イオン水(85g)と水酸化アンモニウム水溶液(10重量%を15g)に混合した。
(b)(a)の生成物に硝酸銀水溶液(脱イオン水10g中2.2gのAgNO)を攪拌しながら加えて濁った明黄色溶液を形成した。
(c)(b)の生成物を濾過して0.62重量%の銀を含む透明な明黄色濾過物を残した。
【0034】
実施例8
ピロリドン含有ポリマーとの銀錯体の調製。
銀錯体は以下のように調製された。
(a)実施例4からの均一なポリマー生成物のサンプル(16.5g)を脱イオン水(6.2g)と混合した。
(b)(a)の生成物にイソプロパノール(6g)と水酸化アンモニウム水溶液(10重量%溶液を15g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に硝酸銀水溶液(脱イオン水10g中2.2gのAgNO)を攪拌しながら加えて0.63重量%の銀を含む無色の透明な溶液を形成した。
【0035】
実施例9
架橋したイミダゾール含有ポリマーとの銀錯体の調製(アンモニアなし)。
銀錯体を以下のように調製した。
(a)実施例1からの均一なポリマー生成物のサンプル(3.7g)を脱イオン水(6.2g)中に分散した。
(b)(a)の生成物にイソプロパノール(99重量%を6g)と2−アミノ−2メチルプロパノール(1.5g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に硝酸銀水溶液(脱イオン水2g中0.7gのAgNO)を攪拌しながら加えて2.2重量%の銀を含む明黄色溶液を形成した。
【0036】
実施例10
架橋したイミダゾール含有ポリマーとの銀錯体の調製(アンモニアあり)。
銀錯体を以下のように調製した。
(a)実施例1からの均一なポリマー生成物のサンプル(3g)を脱イオン水(17g)中に分散した。
(b)(a)の生成物にエタノール(95重量%を20g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に硝酸銀水溶液(脱イオン水2g中0.2gのAgNO)を攪拌しながら加えてガム状の白色沈殿物を形成した。
(d)(c)の生成物に水酸化アンモニウム水溶液(14重量%溶液を1.7g)を攪拌しながら加えて0.31重量%の銀を含む透明な明黄色溶液を形成した。
【0037】
実施例11
架橋したイミダゾールとポリビニルピロリドンを含むポリマーとの銀錯体の調製。
銀錯体を以下のように調製した。
(a)実施例1からの均一なポリマー生成物のサンプル(3g)を脱イオン水(17g)中に分散した。
(b)(a)の生成物にエタノール(95重量%を20g)を攪拌しながら加えた。
(c)(b)の生成物に硝酸銀水溶液(脱イオン水2g中0.2gのAgNO)を攪拌しながら加えて白色沈殿物を形成した。
(d)(c)の生成物にポリビニルピロリドン(0.4g)を攪拌しながら加えて0.32重量%の銀を含む透明な明黄色溶液を形成した。
【0038】
実施例12
実施例5および8の生成物を用いて形成したフィルムの安定性。
実施例5の生成物をガラススライド上に造膜してフィルムを形成した。同様に、実施例8の生成物を別のガラススライド上に造膜して透明な無色フィルムを形成した。ガラススライド上のフィルムを室温で一夜乾燥させた。次の日、透明で無色のフィルムを有するガラススライドを窓の下枠に置き、通常の太陽光に60日間暴露した。60日間の終わりに、実施例5の生成物から作られたフィルムは透明さと無色を保った。しかし、実施例8の生成物から作られたフィルムは暗い赤黒色の外観を呈した。
【0039】
実施例13
銀含有フィルムの殺菌効果。
ATCC6538株のスタフィロコッカス・アウレウスを成長培地(Nutrient Broth)中で成長させ、37℃でインキュベートした。顕微鏡カバーガラス平方インチ(6.45平方センチメートル)あたり約1×10個のバクテリアを含む10μlの接種原を2組の顕微鏡カバーガラスに接種した。次いで、顕微鏡カバーガラスを37℃で30〜40分間乾燥した。次いで、90ppmの銀に希釈した実施例10の生成物溶液のサンプルを、1組の顕微鏡カバーガラスの上に噴霧して処理した。次いで、90ppmの銀に希釈した実施例11の生成物溶液のサンプルを、他の組の顕微鏡カバーガラスの上に噴霧して処理した。顕微鏡カバーガラスをDey−Engley Neutralizing Broth(「D/E培地」)中に置いて生存物を回復させ、成長と非成長を測定した。すなわち、37℃で48時間の後、D/E媒体の濁度を観察した。濁度はバクテリアの増殖を表す。処理された顕微鏡カバーガラス上の継続的な成長の程度は、標準的な栄養寒天を用いた生存可能プレート計数によって測定した。これらの分析の結果は表IIに与えられ、実施例10および11の生成物の希釈溶液が、接触の24時間後、処理されたバクテリアの>99.99%を殺菌することを示す。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例14
銀含有フィルムの消毒効果。
2組の顕微鏡カバーガラスを銀含有フィルムで予備処理した。詳細には、実施例10の生成物溶液(脱イオン水で90ppmの銀に希釈)からのフィルムを1組の顕微鏡カバーガラスに噴霧した。実施例11の生成物溶液(脱イオン水で90ppmの銀に希釈)からのフィルムを他の組の顕微鏡カバーガラスに噴霧した。
【0042】
ATCC6538株のスタフィロコッカス・アウレウスを成長培地(Nutrient Broth)中で成長させ、37℃でインキュベートした。2組の予備処理された顕微鏡カバーガラスに、顕微鏡カバーガラス平方インチ(6.45平方センチメートル)あたり約1×10個のバクテリアを含む10μlの接種原を接種した。次いで、顕微鏡カバーガラスの水洗、研磨、および再接種を複数回行った。各洗浄サイクルの後、微生物の生存を実施例21に説明したように測定した。いずれの場合も、水洗および研磨手順に起因する殺菌を相殺するために、処理されたサンプルの効果を対照固体数と比較した。対照サンプルが水洗および研磨に続いてスライドあたり10未満のコロニーを示す試験は無効とみなした。これらの分析の結果は表IIIに提供され、実施例10および11の生成物の希釈溶液から造膜したフィルムの抗菌活性は、継続的な水洗/研磨サイクルの後、消滅しないことを示す。
【0043】
【表3】

【0044】
銀−ポリマー錯体のアルコール溶液についての殺菌剤及び残留効果のデータ。
方法および試験の説明。
試験の詳細な説明および結果の要約は以下の各部分に提供される。銀対照について:AgNOをエタノール/水60/40溶液で100ppm(重量)のAg(pH6〜6.5)に希釈し、第2サンプルも高いpHの銀−ポリマー錯体と比較するために(アンモニアで)pH9に調節した。
【0045】
接触殺菌または乾燥フィルム残留効果の評価に用いた銀―ポリマー配合物および全ての硝酸銀対照物は60:40部(重量)のエタノール:水の溶液中100ppm(重量)のAgに希釈した。60:40 エタノール/水のpHは、比較試験のときアンモニア(NH)でpH9に調節した。60:40 エタノール/水の溶液は生物学的効果試験のための対照品として用いた。
【0046】
表面殺菌および残留効果の試験にガラススライドを用いた。配合物は100ppm銀濃度で試験し、バクテリア接種の前または後に、100μlをガラス表面に適用した。
【0047】
試験に用いたバクテリアは、シュードモナス・アエルギノーサ(ATCC15442)およびサルモネラ・コレラスイス(ATCC10708)を含んだ。表面試験のために、ガラススライドにミリリットルあたり約10コロニー形成ユニット(cfu/ml)の一夜培養バクテリアを10μl接種した。バクテリアを有するサンプルを37℃の恒湿槽中で培養した。特定の接触時間の後、スライドをDE中和培地に置き、生存するバクテリアをトリプチケース大豆培地(TSB)上で37℃で24時間後、最確数法を用いて数値化した。バクテリア減少は特定の時間間隔を置いて取り出した対照(処理されていない)サンプルに対して計算した。
【0048】
水洗残留有効性の試験は、複数のスライドを特定の時間間隔で脱イオン水中に15秒間上下方向に水洗することによって行った。スライドは殺菌した紙タオル(天秤上で3000グラム・フォース)で吸い取り、再び接種した。このサイクルを5回まで繰り返した。
【0049】
試験されたポリマー−銀組成物。
以下の銀−ポリマー配合物(表IV)を効果の評価に用いた。配合物は、様々な比率のブチルアクリレート(BA)、1−ビニルイミダゾール(VI)、アクリル酸(AA)、およびラウリルアクリレート(LA)を含んでいた。トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を含む混合物は架橋したポリマー系であった。TMPTAを含まないサンプルは架橋されなかった。全ての組成物は等しい銀ベース(最終濃度=100ppm銀)で試験した。TMPTAで作られた組成物は10nm未満の平均粒子サイズを有した。
【0050】
【表4】

【0051】
実施例15
表面上のバクテリアに対する接触殺菌(殺菌試験)。
滅菌されたガラススライドにバクテリア接種原(シュードモナス・アエルギノーサ)を接種し、2時間まで乾燥した。次いで、ガラススライド上に配合物を広げた。バクテリアの成長を、30秒、および1、2、5、および10分間の接触時間後に評価した。全ての配合物は100ppmのAgで試験した。
【0052】
表面殺菌結果は、7個の銀−ポリマー錯体中の5個が、低いpH(6〜6.5)及びpH9(アンモニアNHで調節)の両方で硝酸銀単独に等しい殺菌(30秒有効性)を提供し、ポリマー錯体による活性の損失がないことを示した。
【0053】
架橋および非架橋のポリマー錯体は両方とも有効性が高かった。全ての銀−ポリマー配合物は1分間の接触時間の後完全な殺菌(検出可能なレベル未満のバクテリア)を示し、アルコール単独(2分有効性)に比較してより改善された活性を示した。結果は表Vに提供される。
【0054】
【表5】

【0055】
実施例16
硬質表面の残留有効性(自己消毒効果)。
殺生物剤配合物(100ppmの銀で試験)をガラススライドに適用し、乾燥し、接種した(サルモネラ・コレラスイスおよびシュードモナス・アエルギノーサ)。バクテリアの成長を10分、および1、4、24時間の接触時間後評価した。全ての配合物は100ppmの銀で試験した。
【0056】
残留有効性試験は、表面に適用し、乾燥した7種の全ての銀−ポリマー錯体(100ppmの銀)が、処理された表面に加えたとき、バクテリアに対して1〜4時間の殺菌(>3−log)を提供することを示した。大部分の銀−ポリマー配合物はシュードモナスに対して1時間以内に顕著な殺菌を示したが、サルモネラに対する有効性には4時間を必要とした。これらの試験も、試験用に同じアルコール:水の希釈剤、および対照の硝酸銀を用いた。
【0057】
結果は、銀−ポリマー錯体が硝酸銀単独(pH6〜6.5またはアンモニアでpH9に調節)と同様か、またはより効果的であり、ポリマーによる活性の損失のないことを示した。架橋および非架橋ポリマー錯体の両方とも有効性が高かった。エタノール−水対照溶液は乾燥後の残留有効性を示さなかった。結果を表VIに示す。
【0058】
【表6】

【0059】
実施例17
複数回洗浄残留有効性(水洗後の自己消毒効果)。
硬質表面(滅菌されたガラススライド)上に配合物を適用し、1〜2時間乾燥した。次いで乾燥フィルムを攪拌しながら計5回まで洗浄し、圧力をかけて乾燥し、再び接種した(S.コレラスイスを用いる)。バクテリアの回復は4時間の接触時間後に評価した。
【0060】
処理表面の洗浄とバクテリア再接種による残留有効性の追加の試験は、全ての7個の銀−ポリマー錯体(100ppm銀)が5回の水洗−接種サイクルによって最低3−logの殺菌を提供することを示した。アンモニアでpH9に調節した硝酸銀は有効性がより低く、5回目の水洗サイクル後、3−logの殺菌を提供しなかった。エタノール−水単独は最初の水洗後で不合格であった(洗浄で有効性がなくなる)。これは銀−ポリマー錯体が処理表面に加えられた水洗の圧力の下で持続的な有効性を有することを示唆する。架橋および非架橋ポリマー錯体の両方とも有効性が高かった。結果を表VIIに示す。
【0061】
【表7】

【0062】
実施例18
複数回の洗浄および拭払残留有効性。
試験は、スライドを接種前に各洗浄サイクル後に1回研磨して拭払すること以外、上記Cの説明と同じように設定した。
【0063】
拭払−研磨ステップによる追加の残留有効性試験は、7種の銀−ポリマー錯体溶液(100ppm銀)の中の6種が、最低5回の水洗−拭払−接種サイクルによって少なくとも3−log殺菌有効性を与えたことを示した。架橋および非架橋ポリマー錯体の両方とも有効性が高かった。硝酸銀対照サンプル(両pH値)は4回または5回の水洗−拭払サイクル後3−log殺菌を達成しなかった。エタノール単独は最初の水洗後に不合格であった。この試験は、処理された表面に加えられた手動の拭払または研磨および水洗の圧力の下で銀−ポリマー錯体が持続的な有効性を示し、AgNO単独に比べて改善された抗菌残留活性を有することを示す。結果を表VIIIに示す。
【0064】
【表8】

【0065】
実施例19
4時間洗浄試験(長期水洗試験)。
100ppm銀の希釈溶液を滅菌されたガラススライド上に広げ、乾燥した。次いで、スライドを流速1200ml/分の流水中に吊るした。4時間水洗した後、スライドを空気乾燥し、接種し(サルモネラ・コレラスイス)、4時間の接触時間後のバクテリア成長を評価した。全ての配合物は100ppmの銀で試験した。
【0066】
100ppm銀で処理した表面サンプルでの最後の試験は、4時間の水洗時間に続くバクテリアの接種を含んだ。結果は、7種の銀−ポリマー錯体サンプルの中の6種が、水洗時間の延長後も3−log殺菌効果を維持していることを示した。いくつかのバリエーションのポリマー組成物を観察した。架橋および非架橋ポリマー錯体の両方とも有効性は高かった。エタノール単独は水洗試験に不合格であった。低pHの硝酸銀(pH6〜6.5)サンプルは優れた効果を示したが、アンモニアで調節したpH9のサンプルは残留性殺菌効果を示さなかった。結果を表IXに示す。
【0067】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を消毒する方法であって;該方法は、
(a)エタノールおよびイソプロパノールから選択されるアルコールを少なくとも50%;および
(b)ポリマーで錯化された金属:を含む抗微生物剤組成物を、表面に適用することを含み;
ここで、金属は銅、銀、金、スズ、亜鉛、及びその組み合わせから選択され;かつ、ポリマーは、残基A、残基B、残基C、およびその混合物から選択されるモノマー残基を含み;ただし、ポリマーは99.5重量%を超えない残基Bのモノマー残基を含み;
残基Aは
【化1】

であり;
残基Bは
【化2】

であり;および
残基Cは
【化3】

であり;
式中、XはN、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する不飽和または芳香族ヘテロ環であり;
cは0または1であり;
はH、CH、および−COから選択され;RはH、CH、C、C〜C24アルキルから選択され;
はH、CH、C、フェニル、−CHCO、および−COから選択され;Rは(I)〜(V)から選択され、
【化4】

式中、R11はH、メチル、およびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZ、およびXから選択され;ZはH、ナトリウム、カリウム、およびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基、および0重量%の残基Cのモノマー残基を含む場合には、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、かつYはXである、
はH、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(Rは前に定義した通りである)、−CO12、および−CONRから選択され;RおよびRは独立にH、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(Zは前に定義した通りである)、C〜Cアルキル、および結合した環構造から選択され、かつR12はH、CH、C、およびC〜C24アルキルから選択され;
およびRは独立に水素、メチル、エチル、およびC〜Cアルキルから選択され;
10はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10不飽和非環式、C〜C10環式、C〜C10芳香族、C〜Cアルキレンオキシド、およびポリ(C〜Cアルキレン)オキシドから選択され;bは2〜20の整数である。
【請求項2】
ポリマーが少なくとも2重量%の架橋剤をさらに含み、かつポリマーが10nm未満の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗微生物剤組成物が少なくとも50ppmの銀を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマーがヘテロ環含有モノマーとヘテロ環非含有モノマーのコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ヘテロ環含有モノマーのヘテロ環非含有モノマーに対する比が95:5〜5:95である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗微生物剤組成物が、銀と錯化した1−ビニルイミダゾールコポリマーを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
表面が硬質表面である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
表面が抗微生物剤組成物で噴霧される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
表面が粘土、木材、皮革、織物、ゴム、紙、および皮膚からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
表面を消毒する方法であって;該方法は、
(a)エタノールおよびイソプロパノールから選択されるアルコールを少なくとも50%;および
(b)ポリマーで錯化された銀:を含む抗微生物剤組成物を、表面に適用することを含み;
ここで、ポリマーは、少なくとも0.5重量%の架橋剤、および少なくとも75重量%の、残基A、残基B、残基C、およびその混合物から選択されるモノマー残基を含み;
残基Aは
【化5】

であり;
残基Bは
【化6】

であり;および
残基Cは
【化7】

であり;
式中、XはN、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する不飽和または芳香族ヘテロ環であり、
cは0または1であり、
はH、CH、および−COから選択され;RはH、CH、C、C〜C24アルキルから選択され、
はH、CH、C、フェニル、−CHCO、および−COから選択され;Rは(I)〜(V)から選択され、
【化8】

式中、R11はH、メチル、およびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZ、およびXから選択され;ZはH、ナトリウム、カリウム、およびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基、および0重量%の残基Cのモノマー残基を含む場合には、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、かつYはXである;
はH、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(Rは前に定義した通りである)、−CO12、および−CONRから選択され;RおよびRは独立にH、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(Zは前に定義した通りである)、C〜Cアルキル、および結合した環構造から選択され、かつR12はH、CH、C、およびC〜C24アルキルから選択され;
およびRは独立に水素、メチル、エチル、およびC〜Cアルキルから選択され;
10はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜C10不飽和非環式、C〜C10環式、C〜C10芳香族、C〜Cアルキレンオキシド、およびポリ(C〜Cアルキレン)オキシドから選択され;bは2〜20の整数である。

【公開番号】特開2007−106763(P2007−106763A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−274820(P2006−274820)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】