表面ひずみ検出計及びひずみ計測方法
【課題】多くの機器に適用可能であって、簡便かつ適正に機器のひずみ量を検出し損傷判断を行うようにすることができる表面ひずみ検出計を提供する。
【解決手段】箔状、薄板状等の金属板でなり、被計測物8の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端4を両端に有するよう形成された紡錘形状の開口部3を備えた計測体2を有し、該被計測物8に生じたひずみを、前記開口部3の前記尖鋭開口端4に生じた亀裂7を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする。
【解決手段】箔状、薄板状等の金属板でなり、被計測物8の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端4を両端に有するよう形成された紡錘形状の開口部3を備えた計測体2を有し、該被計測物8に生じたひずみを、前記開口部3の前記尖鋭開口端4に生じた亀裂7を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地震動により原子力プラントの配管や各種ポンプ等の機器の各部位に生じたひずみ量を検出、計測する表面ひずみ検出計及びひずみ計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力プラントの耐震設計は、日本の定めた耐震設計審査指針に従って行なわれる。原子力プラントの耐震設計においては、将来起きる可能性のある地震に対しても原子力プラントの安全が確保されるように予め十分な配慮がなされている。従って、原子力発電プラントの対震安全性は十分に確保されており、巨大地震に対しても、原子炉を安全に停止させることができる。
【0003】
そして、地震後に停止した発電プラントの再起動にあたっては、プラント内の配管や各種ポンプ等の膨大な機器の点検作業が不可欠であり、多くの人員と時間を必要とする。このような膨大な機器の点検作業を支援する方法として、地震時に、プラント内の個々のポンプ等に取り付けられたセンサで計測された振動応答出力を基に、ポンプ等の地震後の健全性を評価する方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に示された方法では、評価対象の機器にそれぞれセンサを設置する必要があり、プラントの小配管など全ての機器に適用することは大掛かりなことになり難しい状況にある。このため、全ての機器に適用可能であって、簡便に適正な機器のひずみ量を検出し損傷判断を行える方法の登場が切望されている。
【0004】
また、建築物等の構造体に取り付ける耐力要素表面に塗装された塗料の剥離量から累積損傷量を求める方法がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2に示された方法では、例えば原子力発電プラント内の機器等のように高温などの厳しい環境にさらされる多くの機器においては、塗装した塗料の劣化などの影響を受ける問題があり、簡便ではあるが適正な損傷判断を行うことが難しい。
【0005】
さらに、被計測物である建築物の鉄骨部材の損傷判定に、ひずみ特性の異なる複数の線材の両端を、同一長さで2つの端部材に共通に固定し、端部材を鉄骨部材のひずみ発生方向に固定し、線材の破断から鉄骨部材が被ったひずみ履歴を判断する方法がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、特許文献3に示された方法では、線材の材質を選ぶことで高温環境に耐えることができるが、荷重方向がある程度予想できる場合には有効であるものの、地震時に三次元的な動的挙動を示す配管系などの機器においては、ひずみ履歴を適正に検知することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−232508号公報
【特許文献2】特開2005−351742号公報
【特許文献3】特開平11−118624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、例えば地震で停止した原子力発電プラントの再起動の際、配管や各種ポンプ等の膨大な機器の点検作業が不可欠である。点検作業では膨大な機器が被った損傷の判断を適正に行わなければならないが、一方、点検作業に要する人員、時間も膨大となるため、これが軽減できるように機器の損傷判断が簡便に行えるようにする必要がある。塗膜の剥離量による損傷判断の方法は、簡便ではあるが原子力発電プラントの配管などの高温となる機器には適用が難しく、また、ひずみ特性の異なる複数の線材をひずみ発生方向に固定する方法は、簡便ではあるが原子力発電プラントの配管系などの地震時に三次元的な動的挙動を示す機器には適用が難しい。
【0008】
こうした状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは、高温となる機器や地震時に三次元的な動的挙動を示す機器等を含む多くの機器に適用可能であって、簡便かつ適正に機器に発生したひずみ量を検出し損傷判断を行うことができ、例えば地震で停止した原子力発電プラントを再起動するに際しても、膨大な機器の点検作業を軽減することができる表面ひずみ検出計及びひずみ計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記目的を達成するものであって、金属板でなり、被計測物の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有し、該被計測物に生じたひずみを前記開口部の前記尖鋭開口端に生じた亀裂を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする表面ひずみ検出計である。
【0010】
また、金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着し、該被計測物に生じた変形量を、前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量に基づいて計測することを特徴とするひずみ計測方法である。
【0011】
また、金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面の複数の測定箇所に取着し、前記測定個所のそれぞれにおいて各表面ひずみ検出計が計測した前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量と亀裂進展方向に基づいて、前記被計測物に生じた変形量分布、変形方向のデータを得るようにしたことを特徴とするひずみ計測方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多くの機器に適用することが可能で、簡便かつ適正に機器のひずみ量を検出することができ、機器の損傷判断を行えるようにしてその点検作業を軽減させることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計を示す上面図である。
【図2】図1に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す表面ひずみ検出計に変形が生じた状態を示す上面図である。
【図4】図3に示す表面ひずみ検出計の側面図である。
【図5】図1に示す表面ひずみ検出計における亀裂進展量と最大ひずみ量の相関関係図である。
【図6】図1に示す表面ひずみ検出計による永久変形量の計測方法の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第1の変形形態を示す上面図である。
【図8】図7に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第2の変形形態を示す上面図である。
【図10】図9に示す表面ひずみ検出計による永久変形量の計測方法の説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第3の変形形態を示す上面図である。
【図12】図11に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表面ひずみ検出計を示す上面図である。
【図14】図13に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図15】図13に示す表面ひずみ検出計に変形が生じた状態を示す上面図である。
【図16】図15に示す表面ひずみ検出計の側面図である。
【図17】図13に示す表面ひずみ検出計を配管に取着した状態を示す側面図である。
【図18】図17に示す表面ひずみ検出計が取着された配管の拡大断面図で、図18(a)は測定点Aでの断面図、図18(b)は測定点Bでの断面図である。
【図19】図13に示す表面ひずみ検出計を配管に取着した状態を示す上面図である。
【図20】図17に示す状態で計測した変形量、変形方向の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施形態を図1乃至図6により説明する。また、本実施形態における第1の変形形態を図7及び図8により説明し、第2の変形形態を図9及び図10により説明し、第3の変形形態を図11及び図12によりそれぞれ説明する。
【0016】
図1乃至図6に示すように、表面ひずみ検出計1は、例えば方形状に高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属板によって形成された計測体2に、例えば辺方向に平行な1点鎖線で示す+Y,−Y方向に、貫通するよう細長く切り込むことによって形成された紡錘形状の開口部3を設けて構成されている。形成された開口部3の両端は、互いに逆となる+Y,−Y方向を指向する、応力集中が著しくなるよう鋭く尖る鋭角形状に形成した略同形の尖鋭開口端4となっている。
【0017】
また、計測体2の表面には、両尖鋭開口端4らそれぞれの指向方向(+Y,−Y方向)に、亀裂進展量を計測するための計測目盛5が設けられている。さらに、計測体2には、その側縁部分に両尖鋭開口端4が指向する+Y,−Y方向に平行な方向に沿って、計測体2と同様に、高温の使用部位温度に耐え得る金属等の材料でなる棒状の取付台座6が、両尖鋭開口端4を両側から挟むように取り付けられている。なお、取付台座6を棒状のものとしたが、複数のピン状の構造体を計測体2の+Y,−Y方向に平行な両側縁部分に立設してもよい。
【0018】
このように形成された表面ひずみ検出計1は、取付台座6が取り付けられた両側縁に、+Y,−Y方向に直交するそれぞれ逆方向の+X,−X方向の引張力が加わると、計測体2が+X,−X方向に広がり塑性変形し、変形後の図3に示す表面ひずみ検出計1aの計測体2aのように、初期状態の2点鎖線で示す紡錘形状開口部3よりも大きく開口した開口部3aとなる。この塑性変形に対応して紡錘形状開口部3の両尖鋭開口端4の先端部分に応力が集中して亀裂7が生じ、亀裂7は+Y,−Y方向に進展し、両尖鋭開口端4も進展した両尖鋭開口端4aとなり、その後、さらに大きな引張力が加わって、計測体2の変形後の+X,−X方向の幅が初期状態より大寸法になり、亀裂7もさらに成長する。そして、生じた亀裂7の長さは、計測体2の表面に設けられた計測目盛5で計測でき、計測期間中の最大の引張力による+X,−X方向の最終塑性変形量に対応する亀裂進展量L1,L2を得ることができる。
【0019】
一方、表面ひずみ検出計1について、予め+X,−X方向の種々の塑性変形量、すなわち発生ひずみ量εと亀裂進展量L1,L2との相関関係を、例えば図5に示すように得ておく。このようにすることで、表面ひずみ検出計1に記録された亀裂進展量L1,L2から、それまでに加わった最大発生ひずみ量(最大塑性変形量)を知ることができる。なお、図5では両尖鋭開口端4は略同形状で亀裂7の進展が等しく、亀裂進展量L1,L2も等しいものとして示したが、必ずしも同形状でなくてもよい。
【0020】
また、表面ひずみ検出計1による被計測物8表面の発生ひずみ量の計測は、次のように行なわれる。すなわち、表面ひずみ検出計1を、例えば原子力発電プラントの機器である配管等の被計測物8の表面に、取付台座6を固着することにより取り付ける。これにより表面ひずみ検出計1は、開口部3を被計測物8の表面から浮かせた状態で、計測目盛5が設けられた面を上側にするようにして取着されることになる。
【0021】
そして、原子力発電プラントが地震により運転を停止すると、地震後の発電プラントの再起動に際し、配管や各種ポンプ等の機器の点検作業を開始する。点検作業では、被計測物8の表面に取着されている表面ひずみ検出計1に記録された亀裂進展量L1,L2を、計測目盛5を使って読み取り、個々の機器に生じたひずみの計測を行う。読み取った亀裂進展量L1,L2の値から、予め得ておいた発生ひずみ量εと亀裂進展量L1,L2との相関関係により、表面ひずみ検出計1が取着されていた被計測物8の表面が経験した+X,−X方向の最大発生ひずみ量εの値を得ることができる。
【0022】
また、表面ひずみ検出計1により外力、例えば地震などによる外力を受けて被計測物8に生じた永久ひずみ量(永久変形量)の計測する場合、図6に示すように、先ず初期状態における開口部3の+X,−X方向の幅寸法w1を測定しておく。その後、外力を受けて被計測物8に永久変形が生じたら、その時の開口部3aの+X,−X方向の幅寸法w2を測定する。測定した開口部3,3aの永久変形後の幅寸法w2と初期幅寸法w1とから差δ(δ=w2−w1)を算出し、+X,−X方向の永久変形量δを得ることができる。なお、図示しないが開口部3,3aの幅寸法の測定は、直接定規を用いる方法、あるいは光学的な手段を用いる方法により測定してもよい。また、上述の計測体2に設けた計測目盛5で読み取った亀裂進展量L1,L2と塑性変形量(発生ひずみ量ε)との相関関係から求めてもよい。
【0023】
以上の通り、本実施形態によれば、表面ひずみ検出計1は、計測体2や取付台座6が高温の使用部位温度に耐え得る金属材料で形成されているので、被計測物8の表面に強固に取着でき、被計測物8が高温となる機器であってもひずみ計測を行うことができ、また、地震等の外力が加わることで計測体2の開口部3の両尖鋭開口端4から亀裂7が進展するという単純なメカニズムを用い、さらに、計測目盛5を読み取って計測した亀裂進展量L1,L2と発生歪み量εとの相関関係から、簡単に経験した最大発生歪み量εを求めることができ、適正に被計測物8のひずみ量の検出を行うことができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、計測体2を被計測物8に取付台座6を介して取着するようにしたが、図7及び図8に示す第1の変形形態のように計測体2の両側縁部分に取付台座6を設けなくてもよい。
【0025】
すなわち、図7及び図8に示すように、表面ひずみ検出計1bは、開口部3と計測目盛5を設けた計測体2により形成されており、表面ひずみ検出計1bによる被計測物8表面の発生ひずみ量の計測に際し、計測体2を計測目盛5が設けられた面を上側にして被計測物8の表面に直接固着する。計測体2の固着は、例えば+Y,−Y方向に平行な方向の両側縁部分を直接固着し、開口部3、両尖鋭開口端4から亀裂7が進展する方向の部分を固着しないようにして行われている。
【0026】
このような構成により、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、計測体2の両側縁部分のみを直接固着するようにしたが、被計測物8によって、全面あるいは側縁部分全周、あるいはまた側縁部分の複数箇所を直接固着するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、計測体2に設けた計測目盛5により亀裂進展量L1,L2を計測したが、図9及び図10に示す第2の変形形態のような構成として計測するようにしてもよい。
【0028】
すなわち、図9及び図10に示すように、表面ひずみ検出計1cは、計測体2bの表面部分に、例えば開口部3の両尖鋭開口端4から亀裂7が進展する亀裂進展方向(+Y,−Y方向)に、導電材料により形成された複数本の計測線9が、計測体2bとは電気絶縁した状態で、計測目盛を形成するように一定の間隔を開けるようにして設けられている。また、各計測線9は図示しない計測装置に、個々の計測線9の電気抵抗変化を検出することができるように接続されている。
【0029】
このため、表面ひずみ検出計1cに+X,−X方向の引張力が加わると、計測体2bは+X,−X方向に広がり塑性変形し、開口部3も大きく開口して両尖鋭開口端4に亀裂7が生じ、+Y,−Y方向に進展する。亀裂7が進展することによって、亀裂7が生じた部分の計測線9が途中で切断される。この切断は計測装置により電気抵抗の変化を計測することで検出でき、初期状態の各尖鋭開口端4位置から進展してどこの計測線9までが切断されたかで、亀裂進展量L1,L2を読み取ることができ、それによって塑性変形量を計測することができる。
【0030】
このような構成により、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができると共に、遠隔地で監視する場合でも亀裂進展量L1,L2を読み取ることができ、それによって塑性変形量を計測することができ、また、直接計測目盛を形成する計測線9を目視により読み取り確認することによっても、亀裂進展量L1,L2を計測することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、計測体2に開口部3を1つ形成したが、図11及び図12に示す第3の変形形態のような構成として計測するようにしてもよい。
【0032】
すなわち、図11及び図12に示すように、表面ひずみ検出計1dは、例えば方形状に高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属板によって形成された計測体2cに、それぞれの尖鋭開口端4の指向方向が異なるようにして複数の細長い紡錘状の開口部3が形成されている。また、計測体2cには、本実施形態と同様に、各開口部3のそれぞれの尖鋭開口端4に対応して、それらが指向方向する亀裂進展方向に計測目盛(不図示)が設けられている。そして、表面ひずみ検出計1dによる被計測物8表面の発生ひずみ量の計測に際しては、計測体2cを計測目盛が設けられた面を上側にして、被計測物8の表面に全面を直接固着する。なお、計測体2cの全面を直接固着するようにしたが、側縁部分全周あるいは複数箇所を直接固着するようにしてもよい。
【0033】
このような構成により、各開口部3の亀裂進展量L1,L2を計測することで、ひずみ量(塑性変形量)を計測することができ、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができると共に、各開口部3の亀裂進展量L1,L2の違いからひずみ(変形)の方向を特定することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を図13乃至図20により説明する。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
【0035】
図13乃至図16に示すように、表面ひずみ検出計11は、高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属円板によって形成された計測体12に、例えば中心から放射方向に8つの略同形の腕状部分を設けた星形状の開口部13を形成して構成されている。すなわち、各腕状部分の8つの頂点は、正八角形をなすように配置されている。また、開口部13に設けられた各腕状部分の8つの頂点は、それぞれ放射方向に外方に向け指向する、鋭く尖る鋭角形状に切り込み応力集中が著しくなるよう形成された略同形の尖鋭開口端14となっている。また、計測体12の表面には、各尖鋭開口端14からそれぞれの指向する外方向に、亀裂進展量Lを計測するための計測目盛15が、同心円状に設けられている。
【0036】
このように形成された表面ひずみ検出計11は、計測体12に引張力が加わり塑性変形すると、開口部13も引張力に対応して広がり、各尖鋭開口端14のうち、引張力に基づいて応力が集中した尖鋭開口端14の先端部分に亀裂17が生じ、第1の実施形態におけると同様に、亀裂17は尖鋭開口端14の指向する方向に進展する。また、亀裂17が進展して到達した位置、すなわち亀裂進展量Lは、同心円状に設けられた計測目盛15によって計測することができ、予め発生ひずみ量ε(変形量)と亀裂進展量Lとの相関関係を得ておくことによって、計測した亀裂進展量Lから発生ひずみ量εを計測することができる。
【0037】
さらに、8つの放射方向のうち、例えば互いに逆を向く(方向3)と(方向7)の各方向に引張力が加わっていたとすると、初期状態における計測体12、開口部13を2点鎖線で示し、実線で引張後の計測体12a、開口部13a、尖鋭開口端14aを示す図15のように、計測体12が引張力に対応して(方向3−方向7)の方向に広がり塑性変形し、(方向3−方向7)の方向に直交する(方向1−方向5)の方向の各尖鋭開口端14からは亀裂17が指向する方向に形成される。このことから、逆に計測体12に形成された亀裂17の方向から、計測対象に生じているひずみ(塑性変形)の方向を特定することができる。例えば(方向1−方向5)の方向と(方向2−方向6)の方向の各尖鋭開口端14から亀裂17が形成されているとした場合には、各方向の亀裂進展量Lと亀裂進展量Lのバランスから、(方向2)と(方向5)の間の方向と(方向1)と(方向6)の間の方向にひずみの方向があることが推定できることになる。
【0038】
そして、上述の表面ひずみ検出計11による被計測物8表面の発生ひずみ量を計測する場合、次のように計測は行なわれる。すなわち、表面ひずみ検出計11を、例えば原子力発電プラントの機器である配管等の被計測物8の表面に、計測目盛15が設けられた面を上側にするようにして計測体12の全面を固着するようにして取着する。
【0039】
そして、原子力発電プラントが地震により運転を停止すると、地震後の発電プラントの再起動に際し、配管や各種ポンプ等の機器の点検作業を開始する。点検作業では、被計測物8の表面に取着されている表面ひずみ検出計11に記録された亀裂進展量Lを、計測目盛15を使って読み取り、個々の機器に生じた最大発生ひずみ量の計測を行う。
【0040】
ひずみ量の計測は、例えば8つの放射方向のうち、(方向1−方向5)の方向の各尖鋭開口端14からは亀裂17が指向する方向に形成されているとする。このとき、(方向1−方向5)の方向に形成されている各亀裂17について、その亀裂進展量Lを計測目盛15で計測し、予め求めておいた発生ひずみ量εと亀裂進展量Lとの相関関係に基づいて、経験した最大発生ひずみ量εを計測する。また、各亀裂17が指向する(方向1−方向5)の方向から、この方向に直交する(方向3−方向7)の方向をひずみの方向と判断、特定する。
【0041】
次に、表面ひずみ検出計11を用いた表面ひずみ分布の計測方法を説明する。
【0042】
図17乃至図19に示すように、例えば計測対象の配管18は円管状のもので、水平直管部18aと垂直直管部18bの間に曲管部18cを有する形状となっており、水平直管部18aと垂直直管部18bを、2つの配管支持サポート19によりそれぞれ支持されることによって、床面20と壁面21に固定されている。また、このように固定された配管18における水平直管部18aと曲管部18cを、例えば計測箇所とした場合、計測箇所の水平直管部18aと曲管部18cに測定点A,Bを設定し、各管部18a,18cの測定点A,Bおける管外壁面の同一外周上を、例えば4等分し、4等分した各位置にそれぞれ表面ひずみ検出計11を取着する。
【0043】
そして、このように表面ひずみ検出計11が取着された配管18が地震動を受けた後、測定点A,Bの各位置における表面ひずみ検出計11が記録しているそれぞれにおける亀裂の進展方向と、亀裂進展量を得、相関関係から各方向の変形量a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4を得ることができる。さらに、得られた測定点A,Bの亀裂の進展方向と亀裂進展量とから、配管18の水平直管部18aと曲管部18cにおける最大ひずみ量(変形量)分布及び変形方向のデータベースを、図20に示すものと同様、作成することができる。なお、図20は、表面ひずみ検出計をN個の頂点を有する星形状の開口部を有するものとし、測定点をXXヶ所とした場合のデータベースを示しており、計測箇所を適正な複数箇所に設定して計測を行えば、配管18全体について、配管18の最大ひずみ量分布及び変形方向のデータベースを作成することができることになる。
【0044】
以上の通り、本実施形態によれば、表面ひずみ検出計11は、第1の実施形態と同様に、計測体12が高温の使用部位温度に耐え得る金属材料で形成されているので、被計測物8の表面に強固に取着でき、被計測物8が高温となる機器であってもひずみ計測を行うことができ、また、地震等の外力が加わることで計測体12の開口部13の尖鋭開口端14から亀裂17が進展するという単純なメカニズムを用い、さらに、計測目盛15を読み取って計測した亀裂進展量Lと発生ひずみ量εとの相関関係から、簡単に経験した最大発生ひずみ量εを求めることができ、適正に被計測物8のひずみ量の検出を行うことができる。また、亀裂17が指向する方向から外力が加わった方向が判断でき、ひずみの方向特定することができ、ひずみが複雑に生じる場合でも適正に変形量、変形方向等を検出、計測することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、計測体12の開口部13を8つの腕状部分、頂点を有し、8つの頂点が正8角形の各頂点に位置する星形状のものとしたが、これに限るものではなく、計測対象や計測内容に応じた3つ以上の複数の腕状部分、頂点を備える正多角形等の多角形状のものでもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、1枚の表面ひずみ検出計11を被計測物8の表面に取着するようにしたが、図示しないが、複数枚の第1の実施形態における表面ひずみ検出計1を、被計測物8の表面に、開口部3の尖鋭開口端4における亀裂進展方向(+Y,−Y方向)が異なる方向となるように、それぞれの角度を変えて積層、取着するようにしてもよい。このようにすることで、本実施形態と同様に、亀裂進展量を計測することで発生ひずみ量εを計測することができ、また亀裂の進展する方向からひずみの方向が判断でき、特定することができる。
【0047】
なお、上記の各実施形態において、表面ひずみ検出計を、予め張力を付加した状態で被計測物8の表面に取着するようにしてもよく、予め張力を与えることで表面ひずみ検出計の計測感度を高くすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1a,1b,1c,1d,11…表面ひずみ検出計、2,2a,2b,2c,12,12a…計測体、3,3a,13,13a…開口部、4,4a,14,14a…尖鋭開口端、5,15…計測目盛、6…取付台座、7,17…亀裂、8…被計測物、9…計測線、18…配管、18a…水平直管部、18b…垂直直管部、18c…曲管部、19…配管支持サポート、20…床面、21…壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地震動により原子力プラントの配管や各種ポンプ等の機器の各部位に生じたひずみ量を検出、計測する表面ひずみ検出計及びひずみ計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力プラントの耐震設計は、日本の定めた耐震設計審査指針に従って行なわれる。原子力プラントの耐震設計においては、将来起きる可能性のある地震に対しても原子力プラントの安全が確保されるように予め十分な配慮がなされている。従って、原子力発電プラントの対震安全性は十分に確保されており、巨大地震に対しても、原子炉を安全に停止させることができる。
【0003】
そして、地震後に停止した発電プラントの再起動にあたっては、プラント内の配管や各種ポンプ等の膨大な機器の点検作業が不可欠であり、多くの人員と時間を必要とする。このような膨大な機器の点検作業を支援する方法として、地震時に、プラント内の個々のポンプ等に取り付けられたセンサで計測された振動応答出力を基に、ポンプ等の地震後の健全性を評価する方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に示された方法では、評価対象の機器にそれぞれセンサを設置する必要があり、プラントの小配管など全ての機器に適用することは大掛かりなことになり難しい状況にある。このため、全ての機器に適用可能であって、簡便に適正な機器のひずみ量を検出し損傷判断を行える方法の登場が切望されている。
【0004】
また、建築物等の構造体に取り付ける耐力要素表面に塗装された塗料の剥離量から累積損傷量を求める方法がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2に示された方法では、例えば原子力発電プラント内の機器等のように高温などの厳しい環境にさらされる多くの機器においては、塗装した塗料の劣化などの影響を受ける問題があり、簡便ではあるが適正な損傷判断を行うことが難しい。
【0005】
さらに、被計測物である建築物の鉄骨部材の損傷判定に、ひずみ特性の異なる複数の線材の両端を、同一長さで2つの端部材に共通に固定し、端部材を鉄骨部材のひずみ発生方向に固定し、線材の破断から鉄骨部材が被ったひずみ履歴を判断する方法がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、特許文献3に示された方法では、線材の材質を選ぶことで高温環境に耐えることができるが、荷重方向がある程度予想できる場合には有効であるものの、地震時に三次元的な動的挙動を示す配管系などの機器においては、ひずみ履歴を適正に検知することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−232508号公報
【特許文献2】特開2005−351742号公報
【特許文献3】特開平11−118624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、例えば地震で停止した原子力発電プラントの再起動の際、配管や各種ポンプ等の膨大な機器の点検作業が不可欠である。点検作業では膨大な機器が被った損傷の判断を適正に行わなければならないが、一方、点検作業に要する人員、時間も膨大となるため、これが軽減できるように機器の損傷判断が簡便に行えるようにする必要がある。塗膜の剥離量による損傷判断の方法は、簡便ではあるが原子力発電プラントの配管などの高温となる機器には適用が難しく、また、ひずみ特性の異なる複数の線材をひずみ発生方向に固定する方法は、簡便ではあるが原子力発電プラントの配管系などの地震時に三次元的な動的挙動を示す機器には適用が難しい。
【0008】
こうした状況に鑑みて本発明はなされたもので、その目的とするところは、高温となる機器や地震時に三次元的な動的挙動を示す機器等を含む多くの機器に適用可能であって、簡便かつ適正に機器に発生したひずみ量を検出し損傷判断を行うことができ、例えば地震で停止した原子力発電プラントを再起動するに際しても、膨大な機器の点検作業を軽減することができる表面ひずみ検出計及びひずみ計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記目的を達成するものであって、金属板でなり、被計測物の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有し、該被計測物に生じたひずみを前記開口部の前記尖鋭開口端に生じた亀裂を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする表面ひずみ検出計である。
【0010】
また、金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着し、該被計測物に生じた変形量を、前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量に基づいて計測することを特徴とするひずみ計測方法である。
【0011】
また、金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面の複数の測定箇所に取着し、前記測定個所のそれぞれにおいて各表面ひずみ検出計が計測した前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量と亀裂進展方向に基づいて、前記被計測物に生じた変形量分布、変形方向のデータを得るようにしたことを特徴とするひずみ計測方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多くの機器に適用することが可能で、簡便かつ適正に機器のひずみ量を検出することができ、機器の損傷判断を行えるようにしてその点検作業を軽減させることができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計を示す上面図である。
【図2】図1に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図3】図1に示す表面ひずみ検出計に変形が生じた状態を示す上面図である。
【図4】図3に示す表面ひずみ検出計の側面図である。
【図5】図1に示す表面ひずみ検出計における亀裂進展量と最大ひずみ量の相関関係図である。
【図6】図1に示す表面ひずみ検出計による永久変形量の計測方法の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第1の変形形態を示す上面図である。
【図8】図7に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第2の変形形態を示す上面図である。
【図10】図9に示す表面ひずみ検出計による永久変形量の計測方法の説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る表面ひずみ検出計の第3の変形形態を示す上面図である。
【図12】図11に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る表面ひずみ検出計を示す上面図である。
【図14】図13に示す表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着した状態を示す側面図である。
【図15】図13に示す表面ひずみ検出計に変形が生じた状態を示す上面図である。
【図16】図15に示す表面ひずみ検出計の側面図である。
【図17】図13に示す表面ひずみ検出計を配管に取着した状態を示す側面図である。
【図18】図17に示す表面ひずみ検出計が取着された配管の拡大断面図で、図18(a)は測定点Aでの断面図、図18(b)は測定点Bでの断面図である。
【図19】図13に示す表面ひずみ検出計を配管に取着した状態を示す上面図である。
【図20】図17に示す状態で計測した変形量、変形方向の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施形態を図1乃至図6により説明する。また、本実施形態における第1の変形形態を図7及び図8により説明し、第2の変形形態を図9及び図10により説明し、第3の変形形態を図11及び図12によりそれぞれ説明する。
【0016】
図1乃至図6に示すように、表面ひずみ検出計1は、例えば方形状に高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属板によって形成された計測体2に、例えば辺方向に平行な1点鎖線で示す+Y,−Y方向に、貫通するよう細長く切り込むことによって形成された紡錘形状の開口部3を設けて構成されている。形成された開口部3の両端は、互いに逆となる+Y,−Y方向を指向する、応力集中が著しくなるよう鋭く尖る鋭角形状に形成した略同形の尖鋭開口端4となっている。
【0017】
また、計測体2の表面には、両尖鋭開口端4らそれぞれの指向方向(+Y,−Y方向)に、亀裂進展量を計測するための計測目盛5が設けられている。さらに、計測体2には、その側縁部分に両尖鋭開口端4が指向する+Y,−Y方向に平行な方向に沿って、計測体2と同様に、高温の使用部位温度に耐え得る金属等の材料でなる棒状の取付台座6が、両尖鋭開口端4を両側から挟むように取り付けられている。なお、取付台座6を棒状のものとしたが、複数のピン状の構造体を計測体2の+Y,−Y方向に平行な両側縁部分に立設してもよい。
【0018】
このように形成された表面ひずみ検出計1は、取付台座6が取り付けられた両側縁に、+Y,−Y方向に直交するそれぞれ逆方向の+X,−X方向の引張力が加わると、計測体2が+X,−X方向に広がり塑性変形し、変形後の図3に示す表面ひずみ検出計1aの計測体2aのように、初期状態の2点鎖線で示す紡錘形状開口部3よりも大きく開口した開口部3aとなる。この塑性変形に対応して紡錘形状開口部3の両尖鋭開口端4の先端部分に応力が集中して亀裂7が生じ、亀裂7は+Y,−Y方向に進展し、両尖鋭開口端4も進展した両尖鋭開口端4aとなり、その後、さらに大きな引張力が加わって、計測体2の変形後の+X,−X方向の幅が初期状態より大寸法になり、亀裂7もさらに成長する。そして、生じた亀裂7の長さは、計測体2の表面に設けられた計測目盛5で計測でき、計測期間中の最大の引張力による+X,−X方向の最終塑性変形量に対応する亀裂進展量L1,L2を得ることができる。
【0019】
一方、表面ひずみ検出計1について、予め+X,−X方向の種々の塑性変形量、すなわち発生ひずみ量εと亀裂進展量L1,L2との相関関係を、例えば図5に示すように得ておく。このようにすることで、表面ひずみ検出計1に記録された亀裂進展量L1,L2から、それまでに加わった最大発生ひずみ量(最大塑性変形量)を知ることができる。なお、図5では両尖鋭開口端4は略同形状で亀裂7の進展が等しく、亀裂進展量L1,L2も等しいものとして示したが、必ずしも同形状でなくてもよい。
【0020】
また、表面ひずみ検出計1による被計測物8表面の発生ひずみ量の計測は、次のように行なわれる。すなわち、表面ひずみ検出計1を、例えば原子力発電プラントの機器である配管等の被計測物8の表面に、取付台座6を固着することにより取り付ける。これにより表面ひずみ検出計1は、開口部3を被計測物8の表面から浮かせた状態で、計測目盛5が設けられた面を上側にするようにして取着されることになる。
【0021】
そして、原子力発電プラントが地震により運転を停止すると、地震後の発電プラントの再起動に際し、配管や各種ポンプ等の機器の点検作業を開始する。点検作業では、被計測物8の表面に取着されている表面ひずみ検出計1に記録された亀裂進展量L1,L2を、計測目盛5を使って読み取り、個々の機器に生じたひずみの計測を行う。読み取った亀裂進展量L1,L2の値から、予め得ておいた発生ひずみ量εと亀裂進展量L1,L2との相関関係により、表面ひずみ検出計1が取着されていた被計測物8の表面が経験した+X,−X方向の最大発生ひずみ量εの値を得ることができる。
【0022】
また、表面ひずみ検出計1により外力、例えば地震などによる外力を受けて被計測物8に生じた永久ひずみ量(永久変形量)の計測する場合、図6に示すように、先ず初期状態における開口部3の+X,−X方向の幅寸法w1を測定しておく。その後、外力を受けて被計測物8に永久変形が生じたら、その時の開口部3aの+X,−X方向の幅寸法w2を測定する。測定した開口部3,3aの永久変形後の幅寸法w2と初期幅寸法w1とから差δ(δ=w2−w1)を算出し、+X,−X方向の永久変形量δを得ることができる。なお、図示しないが開口部3,3aの幅寸法の測定は、直接定規を用いる方法、あるいは光学的な手段を用いる方法により測定してもよい。また、上述の計測体2に設けた計測目盛5で読み取った亀裂進展量L1,L2と塑性変形量(発生ひずみ量ε)との相関関係から求めてもよい。
【0023】
以上の通り、本実施形態によれば、表面ひずみ検出計1は、計測体2や取付台座6が高温の使用部位温度に耐え得る金属材料で形成されているので、被計測物8の表面に強固に取着でき、被計測物8が高温となる機器であってもひずみ計測を行うことができ、また、地震等の外力が加わることで計測体2の開口部3の両尖鋭開口端4から亀裂7が進展するという単純なメカニズムを用い、さらに、計測目盛5を読み取って計測した亀裂進展量L1,L2と発生歪み量εとの相関関係から、簡単に経験した最大発生歪み量εを求めることができ、適正に被計測物8のひずみ量の検出を行うことができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、計測体2を被計測物8に取付台座6を介して取着するようにしたが、図7及び図8に示す第1の変形形態のように計測体2の両側縁部分に取付台座6を設けなくてもよい。
【0025】
すなわち、図7及び図8に示すように、表面ひずみ検出計1bは、開口部3と計測目盛5を設けた計測体2により形成されており、表面ひずみ検出計1bによる被計測物8表面の発生ひずみ量の計測に際し、計測体2を計測目盛5が設けられた面を上側にして被計測物8の表面に直接固着する。計測体2の固着は、例えば+Y,−Y方向に平行な方向の両側縁部分を直接固着し、開口部3、両尖鋭開口端4から亀裂7が進展する方向の部分を固着しないようにして行われている。
【0026】
このような構成により、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、計測体2の両側縁部分のみを直接固着するようにしたが、被計測物8によって、全面あるいは側縁部分全周、あるいはまた側縁部分の複数箇所を直接固着するようにしてもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、計測体2に設けた計測目盛5により亀裂進展量L1,L2を計測したが、図9及び図10に示す第2の変形形態のような構成として計測するようにしてもよい。
【0028】
すなわち、図9及び図10に示すように、表面ひずみ検出計1cは、計測体2bの表面部分に、例えば開口部3の両尖鋭開口端4から亀裂7が進展する亀裂進展方向(+Y,−Y方向)に、導電材料により形成された複数本の計測線9が、計測体2bとは電気絶縁した状態で、計測目盛を形成するように一定の間隔を開けるようにして設けられている。また、各計測線9は図示しない計測装置に、個々の計測線9の電気抵抗変化を検出することができるように接続されている。
【0029】
このため、表面ひずみ検出計1cに+X,−X方向の引張力が加わると、計測体2bは+X,−X方向に広がり塑性変形し、開口部3も大きく開口して両尖鋭開口端4に亀裂7が生じ、+Y,−Y方向に進展する。亀裂7が進展することによって、亀裂7が生じた部分の計測線9が途中で切断される。この切断は計測装置により電気抵抗の変化を計測することで検出でき、初期状態の各尖鋭開口端4位置から進展してどこの計測線9までが切断されたかで、亀裂進展量L1,L2を読み取ることができ、それによって塑性変形量を計測することができる。
【0030】
このような構成により、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができると共に、遠隔地で監視する場合でも亀裂進展量L1,L2を読み取ることができ、それによって塑性変形量を計測することができ、また、直接計測目盛を形成する計測線9を目視により読み取り確認することによっても、亀裂進展量L1,L2を計測することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、計測体2に開口部3を1つ形成したが、図11及び図12に示す第3の変形形態のような構成として計測するようにしてもよい。
【0032】
すなわち、図11及び図12に示すように、表面ひずみ検出計1dは、例えば方形状に高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属板によって形成された計測体2cに、それぞれの尖鋭開口端4の指向方向が異なるようにして複数の細長い紡錘状の開口部3が形成されている。また、計測体2cには、本実施形態と同様に、各開口部3のそれぞれの尖鋭開口端4に対応して、それらが指向方向する亀裂進展方向に計測目盛(不図示)が設けられている。そして、表面ひずみ検出計1dによる被計測物8表面の発生ひずみ量の計測に際しては、計測体2cを計測目盛が設けられた面を上側にして、被計測物8の表面に全面を直接固着する。なお、計測体2cの全面を直接固着するようにしたが、側縁部分全周あるいは複数箇所を直接固着するようにしてもよい。
【0033】
このような構成により、各開口部3の亀裂進展量L1,L2を計測することで、ひずみ量(塑性変形量)を計測することができ、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができると共に、各開口部3の亀裂進展量L1,L2の違いからひずみ(変形)の方向を特定することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を図13乃至図20により説明する。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
【0035】
図13乃至図16に示すように、表面ひずみ検出計11は、高温の使用部位温度に耐え得るよう箔状または薄板状の金属円板によって形成された計測体12に、例えば中心から放射方向に8つの略同形の腕状部分を設けた星形状の開口部13を形成して構成されている。すなわち、各腕状部分の8つの頂点は、正八角形をなすように配置されている。また、開口部13に設けられた各腕状部分の8つの頂点は、それぞれ放射方向に外方に向け指向する、鋭く尖る鋭角形状に切り込み応力集中が著しくなるよう形成された略同形の尖鋭開口端14となっている。また、計測体12の表面には、各尖鋭開口端14からそれぞれの指向する外方向に、亀裂進展量Lを計測するための計測目盛15が、同心円状に設けられている。
【0036】
このように形成された表面ひずみ検出計11は、計測体12に引張力が加わり塑性変形すると、開口部13も引張力に対応して広がり、各尖鋭開口端14のうち、引張力に基づいて応力が集中した尖鋭開口端14の先端部分に亀裂17が生じ、第1の実施形態におけると同様に、亀裂17は尖鋭開口端14の指向する方向に進展する。また、亀裂17が進展して到達した位置、すなわち亀裂進展量Lは、同心円状に設けられた計測目盛15によって計測することができ、予め発生ひずみ量ε(変形量)と亀裂進展量Lとの相関関係を得ておくことによって、計測した亀裂進展量Lから発生ひずみ量εを計測することができる。
【0037】
さらに、8つの放射方向のうち、例えば互いに逆を向く(方向3)と(方向7)の各方向に引張力が加わっていたとすると、初期状態における計測体12、開口部13を2点鎖線で示し、実線で引張後の計測体12a、開口部13a、尖鋭開口端14aを示す図15のように、計測体12が引張力に対応して(方向3−方向7)の方向に広がり塑性変形し、(方向3−方向7)の方向に直交する(方向1−方向5)の方向の各尖鋭開口端14からは亀裂17が指向する方向に形成される。このことから、逆に計測体12に形成された亀裂17の方向から、計測対象に生じているひずみ(塑性変形)の方向を特定することができる。例えば(方向1−方向5)の方向と(方向2−方向6)の方向の各尖鋭開口端14から亀裂17が形成されているとした場合には、各方向の亀裂進展量Lと亀裂進展量Lのバランスから、(方向2)と(方向5)の間の方向と(方向1)と(方向6)の間の方向にひずみの方向があることが推定できることになる。
【0038】
そして、上述の表面ひずみ検出計11による被計測物8表面の発生ひずみ量を計測する場合、次のように計測は行なわれる。すなわち、表面ひずみ検出計11を、例えば原子力発電プラントの機器である配管等の被計測物8の表面に、計測目盛15が設けられた面を上側にするようにして計測体12の全面を固着するようにして取着する。
【0039】
そして、原子力発電プラントが地震により運転を停止すると、地震後の発電プラントの再起動に際し、配管や各種ポンプ等の機器の点検作業を開始する。点検作業では、被計測物8の表面に取着されている表面ひずみ検出計11に記録された亀裂進展量Lを、計測目盛15を使って読み取り、個々の機器に生じた最大発生ひずみ量の計測を行う。
【0040】
ひずみ量の計測は、例えば8つの放射方向のうち、(方向1−方向5)の方向の各尖鋭開口端14からは亀裂17が指向する方向に形成されているとする。このとき、(方向1−方向5)の方向に形成されている各亀裂17について、その亀裂進展量Lを計測目盛15で計測し、予め求めておいた発生ひずみ量εと亀裂進展量Lとの相関関係に基づいて、経験した最大発生ひずみ量εを計測する。また、各亀裂17が指向する(方向1−方向5)の方向から、この方向に直交する(方向3−方向7)の方向をひずみの方向と判断、特定する。
【0041】
次に、表面ひずみ検出計11を用いた表面ひずみ分布の計測方法を説明する。
【0042】
図17乃至図19に示すように、例えば計測対象の配管18は円管状のもので、水平直管部18aと垂直直管部18bの間に曲管部18cを有する形状となっており、水平直管部18aと垂直直管部18bを、2つの配管支持サポート19によりそれぞれ支持されることによって、床面20と壁面21に固定されている。また、このように固定された配管18における水平直管部18aと曲管部18cを、例えば計測箇所とした場合、計測箇所の水平直管部18aと曲管部18cに測定点A,Bを設定し、各管部18a,18cの測定点A,Bおける管外壁面の同一外周上を、例えば4等分し、4等分した各位置にそれぞれ表面ひずみ検出計11を取着する。
【0043】
そして、このように表面ひずみ検出計11が取着された配管18が地震動を受けた後、測定点A,Bの各位置における表面ひずみ検出計11が記録しているそれぞれにおける亀裂の進展方向と、亀裂進展量を得、相関関係から各方向の変形量a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4を得ることができる。さらに、得られた測定点A,Bの亀裂の進展方向と亀裂進展量とから、配管18の水平直管部18aと曲管部18cにおける最大ひずみ量(変形量)分布及び変形方向のデータベースを、図20に示すものと同様、作成することができる。なお、図20は、表面ひずみ検出計をN個の頂点を有する星形状の開口部を有するものとし、測定点をXXヶ所とした場合のデータベースを示しており、計測箇所を適正な複数箇所に設定して計測を行えば、配管18全体について、配管18の最大ひずみ量分布及び変形方向のデータベースを作成することができることになる。
【0044】
以上の通り、本実施形態によれば、表面ひずみ検出計11は、第1の実施形態と同様に、計測体12が高温の使用部位温度に耐え得る金属材料で形成されているので、被計測物8の表面に強固に取着でき、被計測物8が高温となる機器であってもひずみ計測を行うことができ、また、地震等の外力が加わることで計測体12の開口部13の尖鋭開口端14から亀裂17が進展するという単純なメカニズムを用い、さらに、計測目盛15を読み取って計測した亀裂進展量Lと発生ひずみ量εとの相関関係から、簡単に経験した最大発生ひずみ量εを求めることができ、適正に被計測物8のひずみ量の検出を行うことができる。また、亀裂17が指向する方向から外力が加わった方向が判断でき、ひずみの方向特定することができ、ひずみが複雑に生じる場合でも適正に変形量、変形方向等を検出、計測することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、計測体12の開口部13を8つの腕状部分、頂点を有し、8つの頂点が正8角形の各頂点に位置する星形状のものとしたが、これに限るものではなく、計測対象や計測内容に応じた3つ以上の複数の腕状部分、頂点を備える正多角形等の多角形状のものでもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、1枚の表面ひずみ検出計11を被計測物8の表面に取着するようにしたが、図示しないが、複数枚の第1の実施形態における表面ひずみ検出計1を、被計測物8の表面に、開口部3の尖鋭開口端4における亀裂進展方向(+Y,−Y方向)が異なる方向となるように、それぞれの角度を変えて積層、取着するようにしてもよい。このようにすることで、本実施形態と同様に、亀裂進展量を計測することで発生ひずみ量εを計測することができ、また亀裂の進展する方向からひずみの方向が判断でき、特定することができる。
【0047】
なお、上記の各実施形態において、表面ひずみ検出計を、予め張力を付加した状態で被計測物8の表面に取着するようにしてもよく、予め張力を与えることで表面ひずみ検出計の計測感度を高くすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1,1a,1b,1c,1d,11…表面ひずみ検出計、2,2a,2b,2c,12,12a…計測体、3,3a,13,13a…開口部、4,4a,14,14a…尖鋭開口端、5,15…計測目盛、6…取付台座、7,17…亀裂、8…被計測物、9…計測線、18…配管、18a…水平直管部、18b…垂直直管部、18c…曲管部、19…配管支持サポート、20…床面、21…壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板でなり、被計測物の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有し、該被計測物に生じたひずみを前記開口部の前記尖鋭開口端に生じた亀裂を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする表面ひずみ検出計。
【請求項2】
前記計測体を、前記被計測物の表面に直接固着してひずみ検出を行うことを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項3】
前記計測体が、前記尖鋭開口端の両側方に該尖鋭開口端の指向方向に平行となるように取付台座を備え、前記被計測物の表面に前記取付台座を介して前記計測体を固着することによりひずみ検出を行うことを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項4】
前記計測体を前記被計測物の表面に取着する際、該計測体に予め張力を付加することを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項5】
前記開口部が、それぞれ異なる方向を指向する複数の前記尖鋭開口端を有するものであることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項6】
前記開口部は前記尖鋭開口端を3個以上有し、前記尖鋭開口端は、前記尖鋭開口端の各々を頂点とする正多角形をなすよう配置されていることを特徴とする請求項5記載の表面ひずみ検出計。
【請求項7】
前記開口部の変形量を計測する目盛が、前記尖鋭開口端の指向方向に目盛られていることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項8】
前記計測体が、複数個の前記開口部を備えていることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項9】
金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着し、該被計測物に生じた変形量を、前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量に基づいて計測することを特徴とするひずみ計測方法。
【請求項10】
金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面の複数の測定箇所に取着し、前記測定個所のそれぞれにおいて各表面ひずみ検出計が計測した前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量と亀裂進展方向に基づいて、前記被計測物に生じた変形量分布、変形方向のデータを得るようにしたことを特徴とするひずみ計測方法。
【請求項1】
金属板でなり、被計測物の表面に取着され、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有し、該被計測物に生じたひずみを前記開口部の前記尖鋭開口端に生じた亀裂を計測することによって検出するよう構成したことを特徴とする表面ひずみ検出計。
【請求項2】
前記計測体を、前記被計測物の表面に直接固着してひずみ検出を行うことを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項3】
前記計測体が、前記尖鋭開口端の両側方に該尖鋭開口端の指向方向に平行となるように取付台座を備え、前記被計測物の表面に前記取付台座を介して前記計測体を固着することによりひずみ検出を行うことを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項4】
前記計測体を前記被計測物の表面に取着する際、該計測体に予め張力を付加することを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項5】
前記開口部が、それぞれ異なる方向を指向する複数の前記尖鋭開口端を有するものであることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項6】
前記開口部は前記尖鋭開口端を3個以上有し、前記尖鋭開口端は、前記尖鋭開口端の各々を頂点とする正多角形をなすよう配置されていることを特徴とする請求項5記載の表面ひずみ検出計。
【請求項7】
前記開口部の変形量を計測する目盛が、前記尖鋭開口端の指向方向に目盛られていることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項8】
前記計測体が、複数個の前記開口部を備えていることを特徴とする請求項1記載の表面ひずみ検出計。
【請求項9】
金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面に取着し、該被計測物に生じた変形量を、前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量に基づいて計測することを特徴とするひずみ計測方法。
【請求項10】
金属板でなり、少なくとも1つの尖鋭開口端を有するよう形成された開口部を備えた計測体を有する表面ひずみ検出計を被計測物表面の複数の測定箇所に取着し、前記測定個所のそれぞれにおいて各表面ひずみ検出計が計測した前記開口部の尖鋭開口端からの亀裂進展量と亀裂進展方向に基づいて、前記被計測物に生じた変形量分布、変形方向のデータを得るようにしたことを特徴とするひずみ計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−256212(P2010−256212A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107675(P2009−107675)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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