説明

表面への分子の結合

本発明は、例えば、生体分子例えば核酸及びタンパク質を固定することができる方法、試薬及び基材に関する。1実施態様では、本発明は、本発明に従うポリマーによってコーティングした表面に関する、1実施態様では、本発明は、高密度で表面に分子を熱化学的及び/又は光化学的に結合させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、例えば、生体分子、例えば核酸及びタンパク質を固定するために用いることができる方法、試薬及び基材に関する。1実施態様では、本発明は、本発明に従うポリマーでコーティングされた表面に関する。1実施態様では、本発明は、表面に分子を高密度で熱化学的及び/又は光化学的に結合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
デオキシリボ核酸(DNA)の基材への固定は、DNA型アッセイ系の開発において及びDNA解析用のマイクロ加工アレイの開発を含む他の目的のために重要な局面となっている。
固定のための基材は、マイクロウェルプレート、試験管、ビーズ、顕微鏡スライド、シリコン・ウエハー又は膜を含む。
【0003】
ハイブリダイゼーションは、固体支持体上に固定されたプローブに塩基をペアリングすることによって、生体分子、例えば核酸を測定するために最も一般的に使用される方法である。増幅方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はリガーゼ連鎖反応(LCR)と組み合わせると、ハイブリダイゼーションアッセイは、診断又は研究の強力なツールである。
【0004】
現在のDNAマイクロアレイの所望の目標は、1チップ上に全種類のゲノムを置けることである。また、1チップ上での小集団の遺伝子の複製を置けることも望ましい。目標後の別の探求は、当該チップが、試料中の特定の核酸の具体的集団を示す結果を与える、ことである。
【0005】
工業的には一般的であるが、より疎水性表面がその表面付近のハイブリダイゼーションを妨害する、という証拠がある(Hughes他, Nature Biotechnology 19 (4): p342-347 April, 2001)。譲受人の米国特許第6,465,178号明細書は、マイクロアッセイ形式での、バイオアッセイ用のポリアクリルアミドコポリマーでコーティングしたスライドの有用性を証明した。ポリアクリルアミド骨格の親水性は、表面反応が溶液相の反応速度論及び熱力学を模倣する環境を提供する(Dorris他, BMC Biotechnology June 11 2003)。しかしながら、親水性表面は、スポットサイズを大きくする。より大きなスポットサイズは、表面上のアレイ内に置けるスポットの数を制限する。
【0006】
より高密度のスポットを提供し、水溶性の環境内で十分に親水性を維持し、表面上の液相反応速度論を提供する、改良表面が求められている。
【発明の開示】
【0007】
概要
本発明は、例えば、生体分子例えば核酸及びタンパク質を固定するために用いられる方法、組成物及び基材に関する。本発明は、第一アミド以外の非荷電極性部分を含有するモノマー(複数)の相当量を含むポリマー例えば、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物、を含む又は採用することができる。
【0008】
1実施態様では、本発明は基材を含む。基材は表面及びポリマーを含む。ポリマーは表面の少なくとも一部分をコーティングする。ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの有効量、生体分子との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基の有効量を含む。1実施態様では、有効量は、ポリマー中に少なくとも約40 mol%のモノマーである。1実施態様では、ポリマーコーティングは、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効である。
【0009】
1実施態様では、本発明は基材を含む。基材は、支持体表面及び当該支持体表面に結合するポリマーを含む。ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの有効量、及び1以上の反応性基の有効量を含む。1実施態様では、ポリマーは、生体分子との共有結合を形成するように構成される。
【0010】
1実施態様では、本発明は、ポリマーを含む組成物を含む。ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの有効量、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上の反応性基の有効量を含む。1実施態様では、ポリマーは表面に共有結合的に結合するように構成することができる。1実施態様では、本発明は、基材表面への生体分子の結合方法を含む。本方法は、ポリマーを含む組成物を提供することを含むことができる。ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの有効量、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基の有効量を含むことができる。ポリマーは、表面に共有結合的に結合されるように構成することができる。本方法はまた、以下の1以上のステップを含むことができる:基材表面上に組成物をコーティングかつ固定するステップ;反応性基と反応する1以上の官能基を含有する生体分子を含む溶液を提供するステップ;基材表面に当該溶液のアリコートを適用するステップ;及び生体分子上の反応性基と官能基との間に共有結合を形成するステップ。
【0011】
1実施態様では、本発明は、マイクロアレイを含む。マイクロアレイは、支持体表面、当該支持体表面に共有結合的に結合したポリマー、及び離れたスポットでポリマーに共有結合的に結合した生体分子を含むことができる。ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの有効量、及び1以上の反応性基の有効量を含むことができる。
【0012】
詳細な説明
定義
本明細書で用いる語句「第一アミド」とは、式-CONH2によって表されるアミド部分を言う。第一アミドは無置換アミドとも言われる。それは、アミドの窒素原子上の置換を含まない。それは、アミドの窒素原子に結合した2つの水素原子を含む。
【0013】
本明細書で用いる、本発明の組成物中又は本発明の方法で採用される成分量を変更する用語「約」は、例えば、実際に、ポリマー組成物、コーティング基材及びマクロアレイの典型的な測定及び試薬操作方法を通して起こる得る多数の変更;これらの方法での不注意によるエラー;組成物の製造又は当該方法を実行するために採用される成分の製造、資源又は純度の相違を通して起こる得る多数の変更などを言う。用語「約」によって変更されようが又は変更されまいが、請求項は等価な量を含む。
【0014】
本発明のポリマー
本発明は、例えば、生体分子例えば核酸及びタンパク質を固定するために用いることができる方法、試薬及び基材に関する。本発明の方法、試薬及び基材は、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)の相当量を含むポリマーを含む。1実施態様では、本ポリマーは、小スポットサイズを有利に提供し及び/又は表面上にスポットされる物質の大きな接触角を有利に提供する基材上で採用することができる。本発明を限定するものではないが、1実施態様では、本ポリマーは、より高いスポット密度を提供することができ、同時に、液相反応速度論を与える水溶性環境において親水性を維持することができる。
【0015】
本ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)の相当量を含むことができる。第一アミド以外の非荷電極性部分は、ポリマー骨格又はポリマー骨格由来にペンダント基内にあればよい。1実施態様では、ポリマーは、追加のモノマーを含むコポリマーであればよい。1実施態様では、ポリマーは、1以上の反応性基、例えば熱化学的反応性、光化学的反応性等を有する1以上のモノマーを含むことができる。
【0016】
以下のポリマー:第一アミド以外の非荷電部分を含むモノマー(複数)の相当量;場合により追加のモノマー(第一アミド以外の非荷電部分を含まない);及び、1以上の反応性基、例えば熱化学的反応性、光化学的反応性等を有するモノマー、を含む1実施態様を提供する。例えば下記式A:
【0017】
【化1】

【0018】
式Aにおいて、各[ ]部分は、ポリマー中に、任意の順序で、無作為に又はブロックとして存在するモノマーを示す。各Rsは独立に、H又はCH3である。各a、b、c、d、e及びfは独立に1〜6、1〜3又は2又3を示す。
【0019】
各及びZは独立に、第一アミド以外の非荷電極性部分である。
【0020】
Xは例えば、-CO-NHR、-CO-NR1R2、-COOR、-OR、-S(O)(O)(R)、-R1R2N-O、-NR1R2、-R1CO(N-)R2、-NCOOR、ポリエチレングリコール等であり;ここで、各R、R1又はR2は独立に、アルキル又は置換アルキル(例えば低級アルキル又は置換低級アルキル)、環状アルキル、置換環状アルキル、ヘテロ環状アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール等でよい。R1及びR2は一緒になって環状アルキル又はアリール部分を形成する。例えば各R、R1又はR2は独立に、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、オクチル、-CH20C4H9、-CH2CH20H、-CH20H、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル等でよい。NR1R2は、環状アミド例えばモルホリン、芳香族アミン例えばピリジン、ラクタム例えばカプロラクタム又はピロリジン等でよい。
【0021】
Zは例えばO、NH、NR等でよい。
【0022】
各Yは独立に、第一アミドであるか又は極性の非荷電部分でない基である。Yは例えば、アルキル、アリール、メチレン、第一アミド等でよい。
【0023】
各Aは独立に、反応性基(例えば、熱化学的反応性基又は光化学的反応性基)である。好適な反応性基は本明細書の以下に記載する。例えば表面上に分子を固定するために、1以上の反応性基を採用することができる。
【0024】
式Aでは、各m、n、o、p、q及びrは、ポリマー中の対応するモノマーのモル分率を示し、及びm+nは、実質的モル分率を示す。例えば、m+nは、約40〜約99 mol%、約40〜約90 mol%、約40〜約85 mol%、約60〜約99 mol%、約60〜約90 mol%、約60〜約85 mol%、約75〜約99 mol%、約75〜約90 mol%、約75〜約85 mol%、約85〜約99 mol%、又は約85〜約90 mol%でよい。更なる例としては、m+nは、第一アミド以外の非荷電部分を含む、約40 mol%、約45 mol%、約50 mol%、約55 mol%、約60mol%、約65 mol%、約70 mol%、約75mol%、約80 mol%、約85 mol%、約90 mol%、又は約95 mol%モノマーでよい。本ポリマーは、これらの量のおおよそ又は任意のこれらの量各々によって変更されない、任意の範囲又は量を含む。
【0025】
o、p又はqの1以上はゼロである。
【0026】
ある実施態様では、rは、約0.2〜約30 mol%、約1〜約25 mol%、約2.5〜約25 mol%、約5〜約20 mol%、又は約5〜約15 mol%でよい。本ポリマーは、これらの量のおおよそ又は任意のこれらの量各々によって変更されない、任意の範囲又は量を含む。
【0027】
第一アミド以外の非荷電部分を含む好適なポリマー骨格は、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、置換ポリアルキレンイミン(例えば、置換ポリエチレンイミン)等を含む。
【0028】
第一アミド以外の好適なペンダント非荷電極性部分は、例えば、置換アミド、エステル、エーテル、スルホン、アミンオキシド等を含む。第一アミド以外のペンダント非荷電極性部分のための好適な骨格は、アルキル、分枝アルキル、ポリエーテル及びポリアミン骨格であり、モノマー例えばビニルモノマー、アクリル酸エステルモノマー、第二及び第三アクリルアミドモノマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、置換ポリエチレンイミン等から形成される。
【0029】
1実施態様では、本ポリマーは、以下の第一アミド以外の非荷電極性部分を含む1以上のモノマーの相当量を含む:N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-(CH2OC4H9)アクリルアミド、N-CH2CH20H)アクリルアミド、N-(CH20H)アクリルアミド、N-(CH2CH2CH20H)アクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-(CH20C4H9)メタクリルアミド、N-(CH2CH20H)メタクリルアミド、N-(CH20H)メタクリルアミド、又はそれらの混合物等;ヒドロキシアルキルアクリル酸(例えばヒドロキシエチルアクリル酸)、ヒドロキシアルキルメタクリル酸(例えばヒドロキシエチルメタクリル酸)、アルキル又はアリールアクリル酸な、アルキル又はアリールメタクリル酸、エトキシエトキシエチルアクリル酸、ポリプロピレングリコーモノメタクリル酸、又はそれらの混合物等;ビニルピロリジン、ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン、又はそれらの混合物等;エチレングリコール、エチレンイミン、モノメタクリル酸エステルのPEG誘導体(例えばPEG 200、400又は1000)、又はそれらの混合物等;任意の様々なアミンイミド又はそれらの混合物;それらの混合物など。
【0030】
1実施態様では、本ポリマーは、以下の第一アミド以外の非荷電極性部分を含む1以上のモノマーの相当量を含む:N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-(CH2OC4H9)アクリルアミド、N-CH2CH20H)アクリルアミド、N-(CH20H)アクリルアミド、N-(CH2CH2CH20H)アクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-(CH20C4H9)メタクリルアミド、N-(CH2CH20H)メタクリルアミド、N-(CH20H)メタクリルアミド、又はそれらの混合物等;アルキル又はアリールアクリル酸、アルキル又はアリールメタクリル酸、エトキシエトキシエチルアクリル酸、ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、又はそれらの混合物等;ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン、又はそれらの混合物等;エチレンイミン、モノメタクリル酸エステルのPEG誘導体(例えばPEG 200、400又は1000)、又はそれらの混合物等;任意の様々なアミンイミド又はそれらの混合物;それらの混合物など。
【0031】
1実施態様では、本ポリマーは、ポリ-(2-エチルオキサゾレン)(すなわち、アセチル化ポリエチレンイミン)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルカプロラクタム、PVP-ビニル酢酸の共重合体、ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸等を含む。
【0032】
1実施態様では、本ポリマーは、相当量のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド、又はそれらの混合物を含む。このような置換アクリルアミドは、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-(CH2OC4H9)アクリルアミド、N-(CH2CH20H)アクリルアミド、N-(CH20H)アクリルアミド、N-(CH2CH2CH20H)アクリルアミド、N-メタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)を含むことができる。1実施態様では、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)は、1以上の熱化学的反応性基、1以上の光化学的反応性基又はその両方を有するモノマーを含むコポリマーである。1実施態様では、ポリマーを含む本ジメチルアクリルアミドは、1以上の熱化学的反応性基、1以上の光化学的反応性基又はその両方を含むこともできる。熱化学的反応性基は、例えば生体分子の対応する官能基との共有結合を形成するために好適であればよい。光化学的反応性基は、例えば表面へのポリマーの結合に好適であればよい。ポリマーを含む本ジメチルアクリルアミドは、コポリマーでよい。
【0033】
本ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーの相当量を含む。1実施態様では、本ポリマーは、少なくとも約40 mol%の、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを含む。例えば、本ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを、約40〜約99 mol%、約40〜約90 mol%、約40〜約85 mol%、約60〜約99 mol%、約60〜約90 mol%、約60〜約85 mol%、約75〜約99 mol%、約75〜約90 mol%、約75〜約85 mol%、約85〜約99 mol%又は約85〜約90 mol%で含むことができる。更なる例としては、本ポリマーは、約40 mol%、約45 mol%、約50 mol%、約55 mol%、約60 mol%、約65 mol%、約70 mol%、約75 mol%、約80 mol%、約85 mol%、約90 mol%又は約95 mol%の、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを含むことができる。
【0034】
本ポリマーは、これらの量それぞれのおおよそ又は任意のそれらの量のそれぞれによって変更されない、任意の範囲又は量を含む。
【0035】
1実施態様では、本ポリマーは、ポリマーによってコーティングされる表面上の水滴によって形成される接触角によって説明することができる。本ポリマーにおける第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)の特定及びモル分率は、特定の又は有利な接触角を提供するように選択される。
【0036】
接触角は表面上の液体を表現する公知の方法を示す。例えば、接触角は、湿潤性、透明度、疎水性、親水性等の表面の特性を示すことができる。接触角は、任意の様々な公知の方法及び器具によって測定及び計算することができる。例えば、本ポリマーについての接触角は、Kruss DSA10 MK 2角度計(Kriiss, Hamburg, Germany)を用いて測定した。
【0037】
角度計によって提供される測定から、接触角は、例えば、Fowkes法を用いて計算できる。これは、ソフトウェアパッケージを用いて、例えば、Kruss角度計を含む、達成することができる。接触角の測定は、例えば、表面に付着しかつ20秒間拡散する、3 μL液滴を採用することができる。
【0038】
1実施態様では、本ポリマーは、ある種の第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)を、表面を形成するようにコーティングする場合に、液滴について約30°〜約60°の接触角を有する表面を提供するために有効な量で含む。1実施態様では、本ポリマーは、約35°〜約55°、又は約40°〜約50°の接触角を提供するために有効である。一般的に、これらの接触角の数値は、表面にコーティングされた透明ポリマー上の接触角を言う。1実施態様では、本ポリマーは、相当量のN,N-ジメチルアクリルアミドを含む。
【0039】
1実施態様において、本発明は、ポリマーでコーティングされた表面上の液滴に対して、30°〜60°の接触角を与える親水性コポリマー組成物を含む。この親水性ポリマーは、表面に共有結合的に結合されるように構成することができる。親水性コポリマーは、1以上の熱化学反応性基を含むことができ、これは、生体分子上の対応する官能基と共有結合を形成するように構成することができる。
【0040】
1実施態様では、本ポリマーは、ポリマーでコーティングされた表面上の水滴によって形成されるスポットサイズによって表現することができる。本ポリマーにおける第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)の同定及びモル分率は、小さなスポットサイズを有利に提供するように選択される。
【0041】
液体は、例えばスポットのアレイ又はマイクロアレイを形成する任意の様々な方法により、表面上にスポットすることができる。スポットは、公知の印刷方法、例えば接触印刷法又はピエゾ印刷法によって形成することができる。スポットサイズが小さければ、表面上の単位面積当たり多くのスポットを許容することができる。
【0042】
1実施態様では、本ポリマーは、ある種の第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)を、表面を形成するようにコーティングされる場合に、約100 μm、約20〜約100 μm、又は約40〜約80 μm未満のスポットサイズを提供するために有効な量で含む。1実施態様では、本ポリマーは、約2,500スポット/cm2より大きいスポット密度、又は約 20,000スポット/cm2より大きいスポット密度の表面を提供するために有効である。1実施態様では、本ポリマーは、慣用的なより親水性のポリマー表面上にスポットされた同一試薬のスポットサイズの約70 %又は更に約60 %のスポットサイズを有する表面を提供するために有効である。1実施態様では、本ポリマーは、より小さなスポットを形成するために有効であり、慣用的なより親水性のポリマー表面上にスポットされた試薬に比べて、ノイズ比に対する増加シグナル又は許容されるシグナルを維持するために有効である。例えば、本ポリマーは、同一のバックグランドを有する増加シグナルを提供することができる。1実施態様では、本ポリマーは、N,N-ジメチルアクリルアミドの相当量を含む。
【0043】
1実施態様では、本ポリマーは、1以上の有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)又はアルコール及び場合により水におけるその溶解性によって記載される。1実施態様では、本ポリマーは、ある種の第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)を、THF又はアルコール(例えばメタノール、エタノール又はイソプロパノール)及び場合により水における溶解性を提供するために有効な量で含む。1実施態様では、本ポリマーは、ある種の第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー(複数)を、THFにおける溶解性を提供するために有効な量で含む。1実施態様では、本ポリマーは、アルコール、例えばイソプロパノール、メタノール又はエタノール等に溶解性である。反対に、慣用的ポリアクリルアミド系ポリマーは、特にTHFには溶解しない。溶解性は、任意の様々な公知の方法、例えば特定の体積の溶媒に特定量のポリマーを溶解する方法によって決定される。
【0044】
ポリマーに関する更なる追加
本ポリマーは、合成ポリマー、例えば付加、縮合又はフリーラジカルポリマー化から得られるコポリマーでよい。本発明に従うポリマーは、1以上の反応性基、例えば熱化学的反応性、光化学的反応性等の反応性基、又はそれらの混合物を有する、1以上のモノマーを含んでもよい。好適な追加のモノマー及び反応性基は、米国特許第5,858,653号及び同6,465,178号、及び米国特許出願第20030113792(シリアル番号09/521,545号)に記載されている。これらは参考文献として本明細書に組み込まれている。
【0045】
1実施態様では、本ポリマーは、選択される試薬によって、熱化学的反応性基及び場合により光化学的反応性基、その組み合わせの所望の数及び種類を有することができる。ポリマー性骨格は、表面と熱化学的反応性基との間のスペーサーを提供するように選択される。この方法では、試薬は、表面又は隣接試薬分子に結合され、及び好適な活性を証明するための、十分な動作自由度を有する他の基を提供することができる。1実施態様では、ポリマーは生物学的に不活性であり、例えば、記載の方法での使用に適合しない又は有害な生物学的機能を提供しない。
【0046】
本発明の組成物は、ポリマー骨格に共有結合した1以上のペンダント潜在的反応性基を有することができる。光反応性基は本明細書では定義されており、具体的基は、米国特許第5,002,582号(本明細書に参考文献として組み込まれている)に記載の性質を保持する条件下で保存できるくらい十分に安定である。電磁波スペクトルの様々な部分、及び典型的なスペクトルの紫外線及び可視部分に反応する潜在的反応性基(本明細書では「光反応性」と称される)が選ばれる。
【0047】
光反応性基は、特定の適用外部刺激に反応して、活性種を生成する。これは、例えば同一又は異なった分子によって提供されるような、隣接化学構造への共有結合を有する。光反応性基は、保存条件下では変化しない共有結合を保持しないが、外部エネルギー源(例えば光)による活性下では、他の分子と共有結合を形成する、分子内の反応性基である。反応性基は、活性種、例えばフリーラジカル及び特に、二トレン、カルベン及び電磁波エネルギーの吸収による励起状態のケトンを生じることができる。光反応性基は、電磁波スペクトルの様々な部分に反応するように選択され、例えばスペクトルの紫外線及び可視部分に反応する光反応性基は、典型的であり、本明細書では場合により「光化学性基」又は「光性基」と称される。
【0048】
光反応性アリールケトン、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェン、キノン、アントラキノン、アントロン及びアントロン様複素環(すなわち、アントロンのヘテロ環状アナローグ、例えば10位にN、O又はSを有するアナローグ)、又はそれらの置換(例えば環置換)誘導体を使用することができる。1実施態様では、このようなケトンの官能基は、本明細書に記載の活性化/不活性化/再活性化サイクルを容易に受けることができるため、使用される。1実施態様では、ベンゾフェノンは、光反応性部分として使用される。それは、光化学的に励起することができ、三重項状態に対して項間交差を受ける励起一重項状態を最初に形成することができるからである。当該励起三重項状態は、(例えば基材からの)水素原子の抽出による炭素-水素結合に挿入することができ、その結果ラジカルペアを生成する。ラジカルペアの次に起こる開裂は、新規な炭素-炭素結合の形成をもたらす。反応結合(例えば炭素-水素)が結合に使用できない場合には、ベンゾフェノン基の紫外線によって起こる励起は可逆的であり、分子はエネルギー源を取り除いた時に基底状態エネルギーに戻る。光活性化アリールケトン、例えばベンゾフェノン及びアセトフェノンは、これら基が水中での複数の再活性化に供され、その結果コーティング効率を向上させるため、使用できる。
【0049】
アジドは、ある種の光反応性基を構成し、アリールアジド(--C6R5N3)、例えばフェニルアジド及び特に4-フルオロ-3-ニトロフェニルアジド、アシルアジド(--CO-N3)、例えばベンゾイルアジド及びp-メチルベンゾイルアジド、ギ酸アジド(--O-CO-N3)、例えばギ酸エチルアジド、ギ酸フェニルアジド、スルホニルアジド(--SO2-N3)、例えばベンゼンスルホニルアジド、及びホスホリルアジド(--RO)2PON3)、例えばジフェニルホスホリルアジド及びジエチルホスホリルアジドを含む。ジアゾ化合物は、別の種の光反応性基を構成し、ジアゾアルカン(--CHN2)、例えばジアゾメタン及びジフェニルジアゾメタン、ジアゾケトン(--CO-CHN2)、例えばジアゾアセトフェノン及び1-トリフルオロメチル-1-ジアゾ-2-ペンタノン、ジアゾ酢酸エステル(--O-CO-CHN2)、例えばt-ブチルジアゾ酢酸エステル及びフェニルジアゾ酢酸エステル、及びβ-ケト-α-ジアゾ酢酸エステル(-CO-N2-CO-0-)、例えばt-ブチル-α-ジアゾアセト酢酸エステルを含む。他の光反応性基は、ジアジリン(--CHN2)、例えば3-トリフルオロメチル-3-フェニルジアジリン、及びケテン(--CH=C=O)、例えばケテン及びジフェニルケテンを含む。1実施態様では、光化学的反応性基は、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、アントラキノン、アントロン、アントロンの複素環アナローグ、又はこれらの混合物を含む。1実施態様では、光化学的反応性基は、光反応アリールケトンを含む。
【0050】
光反応性基の活性化に際し、ポリマー組成物は、光反応性基の残基を介して共有結合により材料表面に共有結合的に結合する。具体的な光反応性基及び活性化におけるそれらの残基を表Aに掲載する。
【0051】
【表1】

【0052】
任意の様々な公知の熱化学的反応性基は、生体分子、例えば好適に誘導化された核酸の共有結合的固定化を提供するために好適である。例えば、アミノ誘導化核酸配列は、活性化エステル例えばN-オキシスクシンイミド(NOS)エステルとの共有結合反応を受け、アミド結合基を提供することができる。類似の活性化エステル、例えばp-ニトロフェニル及びペンタフルオロフェニルエステルも、アミン基と反応する場合にアミドを提供することができる。本発明はまた、任意の多数の他のアミン反応官能基、例えばイソシアナート、チオイソシアナート、カルボン酸クロリド、エポキシド、アルデヒド、アルキルハライド及びスルホン酸エステル、例えばメシレート、トシレート及びトレシレート(tresylate)を採用することができる。これらの各々は、熱化学的反応性基として働くことができる。好適な熱化学的反応性基は、エステル(例えばNOS)、エポキシド、アズラクトン、活性化ヒドロキシル及びマレイミド基を含む。1実施態様では、熱化学的反応性基は、NOS、エポキシド、アルデヒド、イソシアナート、又はそれらの混合物を含む。
【0053】
1実施態様では、生体分子(例えば核酸)は、当該分野で周知の技術を用いてスルフヒドリル基で誘導化することができる。対応する熱化学的反応性基は、例えばマレイミド環構造又はα-ヨードアセトアミドでよい。これらの構造の各々は、容易に反応して、スルフヒドリル誘導化核酸配列との共有結合を提供することができる。
【0054】
別の実施態様では、ポリマー組成物は、熱化学的反応性基として、エポキシド基、例えばグリシジルメタクリル酸を含むことができる。この実施態様では、生体分子(例えばDNA)は、対応する官能基で誘導化される必要がない。
【0055】
本発明の官能基化ポリマーは、予備形成ポリマーの好適な誘導化によって、又は一群のコモノマーのポリマー化によって調製され、所望の置換形式を与えることができる。後者のアプローチは、様々なコモノマーの比率及びポリマーへの取り込みレベルを制御する能力を容易に変更する。これらの2種のアプローチの組み合わせも、有利な構造を提供するために使用することができる。
【0056】
1実施態様では、例えば分子の一末端にポリマー化基を有するモノマーを調製することができるが、これは、スペーサー基によって、他の末端の光反応性基又は熱化学的反応性基から区別される。例えば、ポリマー化ビニル基、例えばアクリルアミド、アクリレート又はマレイミドは、短い炭化水素スペーサーを介して、活性化エステル例えばNOSエステル及び光反応性基例えば置換ベンゾフェノンに結合することができる。これらの化合物は、有機合成の公知の技術を用いて調製かつ精製することができる。
【0057】
ポリマー及びコポリマーも、公知の技術を用いて、上記のモノマーから調製することができる。例えば、これらのモノマー及びコモノマーは、公知のアゾ開始剤例えばアゾビス(2-メチル-ブチロニトリル) (Vazo-67)、又は公知のレドックス試薬を用いる開始のためのレドックス試薬、例えばN,N-ジエチルアニリン及びベンゾイルペルオキシド等を用いて、フリーラジカルポリマー化を受け、所望のコポリマーをつくる。他のフリーラジカル生成法も知られており、使用することができる。ポリマー化のために選ばれるモノマーは、最終ポリマー生成物の性質に基づいて選ばれる。例えば、NOS基を有する光反応性ポリマーは、光反応性基を含むモノマー及び活性化NOSエステルを含む第二モノマーから調製することができる。
【0058】
最終ポリマー組成は、ポリマー化反応に使用されるモノマーのモル比によって制御することができる。典型的には、反応性基を有するモノマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーよりも、より低い総モノマーのモル比率で使用される。使用されるモノマーの相対的反応に基づいて、モノマーの骨格に対する分布はかなり無作為でよい。
【0059】
本ポリマーは、1以上の熱化学的反応性基、1以上の光反応性基又はそれらの混合物を含むことができる。ある実施態様では、本ポリマーは、熱化学的反応性基及び/又は光反応性基を、約0.2〜約 30 mol%、約1〜約 25mol%、約2.5〜約 25 mol%、約5〜約 20 mol%又は約5〜約15 mol%で含む。本ポリマーは、これらの量のおおよそ又は任意のこれらの量各々によって変更されない、任意のこれらの範囲又は量を含むことができる。
【0060】
ポリマーコーティング表面
1実施態様では、本発明は、生体分子例えば核酸を固定するために好適な表面を提供することができる。生体分子の固定は、反応性基、例えばポリマーの熱化学的反応性基を採用することができる。例えば、コーティングされる材料表面は、1以上の熱化学的反応性基を含むことができる。これは、1以上の熱化学的反応性基を含む本ポリマーの実施態様を固定するために使用することができる。好適な熱化学的反応性基は、活性化エステル(例えばNOS)、エポキシド、アズラクトン、活性化ヒドロキシル及びマレイミド基を含む。
【0061】
表面は、任意の様々な公知の方法によってポリマー基を受け入れるように処理することができる。例えば、表面は、アンモニアプラズマで処理して、表面上に反応性アミンを導入することができる。1実施態様では、アミン表面は、例えば熱化学的反応性基(例えばNOS基)を含む、本ポリマーの実施態様で処理することができる。ポリマーは、表面上に対応するアミン基とNOS基との反応を介して固定することができる。ポリマー上の反応性基は、表面上の反応性基に比較して過剰でよい。このような過剰は、確実に、非常に多数の熱化学的反応性基が固定したまま、生体分子への結合を可能にすることができる。
【0062】
1実施態様では、生体分子の表面上への固定は、反応性基、例えばポリマーの熱化学的反応性基を採用することができる。例えば、コーティングされる材料表面は、ポリマー上の光化学的反応性基と反応できる1以上の基を含むことができる。好適な光化学基は、本明細書の上に記載されている。
【0063】
本ポリマー組成は、スライド表面上に固定することができる。このスライドは、安定に保存でき、後日、マイクロアレイを製造するために使用することができる。1実施態様では、生体分子の表面上への結合は、小スポットの形態でDNA溶液を印刷する後の湿度の高い環境で、pH 7〜9で起こり得る。
【0064】
本発明のスライド又は活性化スライドは、公知の製造又は処理プロトコール、試薬又は装置を用いるマイクロアレイの製造において、慣用的(例えばシリル化)ガラススライドに代わるには特に好適である。好適な商業的に入手可能な装置及びプロトコールは、マイクロ-スポッティングロボット(例えば、Apogent Discoveries, Hudson, NHから入手可能)、チップメーカーのマイクロスポッティング装置(例えば、TeleChem International, Sunnyvale, CAから入手可能)を含む。
【0065】
本発明の方法及び組成物は、基材、例えばガラススライド(例えば活性化ガラススライド)を提供することができる。このようなスライドは、マイクロアレイを含む又は加工するために構成することができる。基材は、1以上のマイクロアレイを含む表面を有することができる。各マイクロアレイは、少なくとも約100/cm2(及び好ましくは少なくとも約2,500/cm2)の明らかに結合した生体分子(例えばポリヌクレオチド又はポリペプチド)を含むことができる。明らかに結合した生体分子それぞれは、アレイ内の離れた特定の位置に配置し、ある体積、例えば、約 0.01 nL〜約 100 nLの範囲で添加することができる。例えば、スライドは、20ナノリットル以下の量で試料を受け入れるように構成することができる。
【0066】
アレイ内の領域(例えば離れたスポット)は、一般的に円形の形状でよく、例えば最大の直径程度に互いに離れていてよい。多数の結合生体分子は、各領域が単一、好ましくは異なった結合生体分子を含むように、提供することができる。1実施態様では、スポットは、一般的に、円形の形状であり、約20ミクロン〜約100ミクロンの直径を有し、アレイ内では中心から中心までが約40ミクロン〜約120ミクロンの間隔で、他のスポットと離れている。
【0067】
1実施態様では、生体分子は核酸を含む。核酸は、基材例えばプラスチック、水素化ケイ素又は有機ケイ素で予備処理したガラス又はシリコンスライドの表面上に固定することができる。
【0068】
本ポリマーは、任意の様々な生体分子を固定するために採用することができる。生体分子は、固定化を促進するために、官能基で修飾しても又はしなくてもよい。好適な生体分子は、修飾又は修飾されていないオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド(例えばDNA又はRNA)、例えばプラスミドDNA、コスミドDNA、バクテリオファージDNA、ゲノムDNA(酵母、ウイルス、細菌、哺乳動物、昆虫等のゲノムDNAを含む)、cDNA、ペプチド核酸、タンパク質、糖類、ペプチド、細胞、組織等を含む。1実施態様では、生体分子はポリペプチド又は核酸を含む。
【0069】
生体分子は、場合により、任意の様々な公知の方法により官能基化又は修飾することができる。例えば、合成では、生体分子例えばオリゴヌクレオチド又は核酸は、ポリマー組成物中のNOS基と反応性であるために、官能基例えばアミン又はスルフヒドリル基により調製することができる。1実施態様では、生体分子は、アミン基、スルフヒドリル基又はそれらの混合物を含む核酸を含む。
【0070】
本発明は、基材、例えば有機ケイ素で予備処理されたガラス、有機ケイ素で予備処理されたシリコン、水素化ケイ素又はプラスチックから形成されるスライドの表面上への生体分子又は他の分子の共有結合方法及び当該共有結合のためのポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物を適用する前の基材表面のシリコン処理は、当該分野で周知の任意の方法に従うことができる。1実施態様では、本方法及びポリマー組成物は、プラスチック材料例えばマイクロウェルプレート上に、例えばハイブリダイゼーションアッセイでの使用のために、核酸プローブを固定することができる。1実施態様では、本方法及びポリマー組成物は、実質的に平面又は成形面、例えば有機ケイ素で予備処理されたガラス、有機ケイ素で予備処理されたシリコン、水素化ケイ素又はプラスチック(例えばポリメチルメタクリル酸、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン又はポリプロピレン)によって提供される表面についての使用に適する。次に、ポリマー組成物は、プローブ分子例えば生体分子(例えば核酸)に共有結合的に結合させるために使用し、次いで、特異的結合反応(例えば核酸を生体分子にハイブリダイズする)に使用することができる。
【0071】
基材(例えばスライド、ミクロ球体、マイクロビーズ及びポリマー膜)は、様々な材料から調製することができる。これは、例えば、結晶性熱可塑性プラスチックス(例えば高密度及び低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アセタール樹脂、ナイロン、及び熱可塑性ポリエステル)及び無定形熱可塑性プラスチックス(例えばポリカーボネート、ポリスチレン、及びポリ(メチルメタクリル酸))及びガラスからなる群より選ばれるプラスチック材料を含むが、これらには限定されない。1実施態様では、好適なプラスチック又はガラス材料は、剛性、表面一様性、長期間変形に対する抵抗性及び熱分解に対する抵抗性のような性質の所望の組み合わせを提供することができる。
【0072】
本発明は、ポリマー組成物、ポリマー組成物でコーティングされた基材、このコーティング基材上のマイクロアレイの製造法及び使用方法を含む。ポリマー組成物の製造法は、任意の様々な慣用的ポリマー合成法を含むことができる。本方法は、典型的には、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー及び反応性基を含むモノマーを採用する。本ポリマー組成物の製造法の具体的実施態様は、「実施例」に詳述する。
【0073】
本ポリマー組成物の基材上へのコーティングは、任意の様々な公知のコーティング技術を採用することができる。コーティング中又はコーティング後に、ポリマー組成物を基材上に固定することができる。例えば、熱化学的反応性基を用いて、本ポリマー組成物は、加熱により基材上に固定できる。例えば、光化学的反応性基を用いて、本ポリマー組成物は、電磁放射例えば光に曝露することによって基材上に固定できる。熱化学的反応性基又は光化学的反応性基を用いてポリマーを基材上に固定する方法は、知られている。
【0074】
ポリマーコーティング基材は、生体分子で処理することができる。生体分子は、例えば熱化学的反応性基又は光化学的反応性基を用いて及び修飾又は非修飾生体分子を用いて、基材上にスポットとして固定できる。固定は、典型的には、反応性基と生体分子上の1以上の官能基との間の共有結合を含む。
【0075】
本発明は、以下の「実施例」を参照することにより理解することができる。これらの実施例は、本発明の代表的な具体的実施態様に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0076】
他に断らない限り、全てのパーセンテージは重量基準である。これらの実施例によって特定される様々な「化合物」の構造は以下の表1に見られる。NMR分析は他に断らない限り、80 MHz分光計で実施した。
【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
【表7】

【0083】
実施例 1--4-ベンゾイルベンゾイルクロリド(BBA-C1) (化合物I)の調製
4-ベンゾイル安息香酸(BBA) 1.0 kg (4.42 moles)を、リフラックスコンデンサー及びオーバーヘッドスターラーを備えた乾燥5リットルフラスコに加えた後、645 ml (8.84 moles)の塩化チオニル及び725 mlのトルエンを加えた。次いで、ジメチルホルムアミド 3.5 mlを加え、混合物を4時間リフラックス温度で加熱した。冷却後、溶媒を減圧下で留去し、残渣の塩化チオニルを3 x 500 mlのトルエンを用いて3回の濃縮により除いた。生成物を1:4のトルエン:ヘキサンから再結晶し、真空オーブンで乾燥後、988 g (収率91 %)を得た。生成物の融点は92〜94℃であった。核磁気共鳴(NMR)分析(1H NMR(CDCl3))は、所望の生成物と一致した:芳香族プロトン7.20-8.25 (m, 9H)。全ての化学シフト値は、テトラメチルシラン内部標準からppmでダウンフィールドした。最終化合物は、化合物IIIの合成に使用するモノマーの調製の使用のために保存した。
【0084】
実施例 2--N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(APMA-HCL)(化合物II)の調製
1,3-ジアミノプロパン 1910 g (25.77 moles)の1000 ml CH2Cl2溶液を、12リットルモートンフラスコに加え、氷浴で冷却した。次いで、t-ブチルフェニルカーボネート1000 g (5.15 moles)の250 ml CH2C12溶液を滴下速度で加え、反応温度を15℃未満に保持した。添加後、混合物を室温まで暖め、2時間攪拌した。反応混合物を900 mlのCH2C12及び500 gの氷で希釈し、2500 mlの2.2 N NaOHをゆっくりと加えた。溶液が塩基性になったのを確認するために試験した後、生成物を分液漏斗に移し、有機層を除き、抽出物#1として取っておいた。水層を次いで、3 x 1250 mlのCH2C12で抽出し、各抽出物を別分画として取っておいた。次いで、4つの有機抽出物を分画#1〜分画#4まで、連続的に、一回1250 mlの0.6 N NaOHで洗浄した。この洗浄操作を1250 mlの0.6 N NaOHで二回繰り返した。次に、有機抽出物を併せ、Na2SO4で乾燥した。濾過及び一定の重量までの溶媒の濃縮により、825 gのN-モノ-t-BOC-1,3-ジアミノプロパンを得た。これは更に精製することなく使用した。
【0085】
無水メタクリル酸 806 g (5.23 moles)の1020 mlのCHC13溶液を、オーバーヘッドスターラーを備えた12リットルのモートンフラスコに入れ、氷浴で冷却した。フェノチアジン 60 mgをインヒビターとして加え、N-モノ-t-BOC-1,3-ジアミノプロパン 825 g (4.73 moles)の825 ml CHC13溶液を滴下した。常時10℃未満に反応混合物を維持するように、滴下速度を調節した。滴下が完了した後、氷浴を除き、混合物を終夜攪拌した。生成物を2400 mlの水で希釈し、分液漏斗に移した。混合後、水層を除き、有機層を2400 mlの2 N NaOHで洗浄し、水層が塩基性であることを確かにした。有機層を次いでNa2S04で乾燥し、乾燥剤を濾過して除いた。生成物及び溶媒の混合物重量が約3000 gになるまで、減圧下で、CHC13溶媒の一部を除いた。次いで、11.0リットルのヘキサンを攪拌CHCl3溶液にゆっくり加えて、所望の生成物を沈殿させた後、4℃で終夜保存した。生成物を濾過により単離し、固体を900 mlのヘキサン及び150 mlのCHCl3の混合溶媒で洗浄した。固体の乾燥により、900 gのN-[3-(N-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)-プロピル]-メタクリルアミドを得た。DSC(示差走査熱量計)により、m. p. 85.8℃。
【0086】
NMR分光計での分析は、所望の生成物と一致した:1H NMR(CDC13) アミド NH 6.30-6.80, 4.55-5.10 (m, 2H)、ビニルプロトン 5.65, 5.20 (m, 2H)、Nの隣接メチレン 2.90-3.45 (m, 4H)、メチル 1.95 (m, 3H)、残りのメチレン 1.50-1.90 (m, 2H)、及びt-ブチル 1.40 (s, 9H)。
【0087】
3口の2リットル丸底フラスコにオーバーヘッドスターラー及びガス噴霧チューブを付けた。メタノール700 mlをスラスコに加え、氷浴で冷却した。攪拌しながら、HClガスを約5リットル/分の速度で全40分間、溶媒にバブルした。最終HCl/MeOH溶液のモル濃度は、指示薬としてフェノーフタレインを用いる1 N NaOHによる滴定により、8.5 Mと決定した。N-[3-(N-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)-プロピル]-メタクリルアミド 900 g (3.71 moles)を、オーバーヘッドスターラー及びガス流出アダプターを付けた5リットルモートンフラスコに加えた後、1150 mlのメタノール溶媒を加えた。フラスコには、この体積の溶媒の他に、固体が残った。フェノチアジン 30 mgをインヒビターとして加えた後、655 ml (5.57 moles)の8.5 M HCl/MeOH溶液を加えた。ガスの発生により、固体をゆっくりと溶解したが、反応は発熱性ではなかった。混合物を室温で終夜攪拌し、反応を確実に完了させた。次いで、濾過によって固体を除き、30 mgのフェノチアジンを加えた。次いで、溶媒を減圧下に除き、得られた固体残渣を減圧下で濃縮しながら、3 x 1000 mlのイソプロパノールで共沸した。最後に、生成物を2000 mlのリフラックスイソプロパノールに溶解し、4000 mlの酢酸エチルを攪拌しながらゆっくり加えた。混合物をゆっくり冷却し、4℃で終夜保存した。化合物IIを濾過により単離し、一定重量まで乾燥し、630 g の収率、DSCによる融点124.7℃で与えた。NMR分光計による分析は、所望の生成物と一致した。:1H NMR(D2O) ビニルプロトン 5.60, 5.30 (m, 2H)、アミドNに隣接するメチレン 3.30 (t, 2H)、アミンNに隣接するメチレン N 2.95 (t, 2H)、メチル 1.90 (m, 3H)、及び残メチレン 1.65-2.10 (m, 2H)。最終化合物を化合物IIIの調製に使用するために保存した。
【0088】
実施例 3--N-[3-(4-ベンゾイルベンズアミド)プロピル]メタクリルアミド(BBA-APMA) (化合物III)の調製
実施例2に記載の一般的方法に従って調製し化合物II 120 g (0.672 moles)を、オーバーヘッドスターラーを付けた乾燥リットル3口丸底フラスコに加えた。フェノチアジン 23〜25 mgをインヒビターとして加えた後、800 mlのクロロホルムを加えた。懸濁液を氷浴で10℃未満に冷却し、実施例1に記載の一般的方法に従って調製した172.5 g (0.705 moles)の化合物Iを固体で加えた。トリエチルアミン 207 ml (1.485 moles)の50 mlクロロホルムを1〜1.5時間かけて滴下した。氷浴を除き、周囲温度で2.5時間攪拌した。次いで、生成物を600 mlの0.3 N HCl及び2 x 300 mlの0.07 N HCIで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、クロロホルムを減圧下で除き、そして、ポリマー化を防ぐために各再結晶化に23〜25 mgのフェノチアジンを用いて、生成物を4:1のトルエン:クロロホルムから2回再結晶した。化合物IIIの典型的収率は90 %であり、融点は147〜151℃であった。NMR分光計による分析は、所望の生成物と一致した:1H NMR (CDC13) 芳香族プロトン 7.20-7 95 (m,9H)、アミドNH 6.55 (broad t, 1H)、ビニルプロトン 5.65, 5.25(m, 2H)、アミドNに隣接するメチレン 3.20-3.60 (m, 4H)、メチル 1.95 (s, 3H)、及び残メチレン 1.50-2.00 (m, 2H)。最終化合物を例えば実施例5及び6に記載の光活性ポリマーの合成に使用するために保存した。
【0089】
実施例 4--N-スクシンイミジル 6-マレイミドヘキサノエート(MAL-EAC-NOS) (化合物IV)の調製
官能基化モノマーを以下の方法で調製し、実施例5及び6に記載のように使用し、ポリマー骨格に活性エステル基を導入した。オーバーへッドスターラー及び乾燥チューブを付けた3口の3リットルフラスコ中で、6-アミノヘキサン酸 100 g (0.762 moles)を300 mlの酢酸に溶解した。無水マレイン酸 78.5 g (0.801 moles)を200mlの酢酸に溶解し、6-アミノへキサン酸溶液に加えた。沸騰水浴で加熱しながら混合物を1時間攪拌し、白色固体を得た。室温で終夜冷却した後で、固体を濾過によって回収し、2 x 50 mlのヘキサンで洗浄した。乾燥後、(Z)-4-オキソ-5-アザウンデク-2-エンジオイックアシッドの典型的収率は158〜165 g (90〜95%)であり、融点は160〜165℃であった。NMR分光計による分析は所望の生成物と一致した:1H NMR (DMSO-d6) アミドプロトン 8.65-9.05 (m, 1H)、ビニルプロトン 6.10, 6.30 (d, 2H)、窒素に隣接するメチレン 2.85-3.25 (m, 2H)、カルボニルに隣接するメチレン 2.15 (t, 2H)、及び残メチレン 1.00-1.75 (m, 6H)。
【0090】
(Z)-4-オキソ-5-アザウンデク-2-エンジオイックアシッド 150.0 g (0.654 moles)、無水酢酸、68 ml (73.5 g, 0.721 moles)及びフェノチアジン 500 mgを、オーバーへッドスターラーを付けた2リットル3口丸底フラスコに加えた。トリエチルアミン 91ml (0.653 moles)及び600 mlのTHFを加え、攪拌しながら、混合物をリフラックスするまで加熱した。全4時間リフラックスした後、黒っぽい混合物を約60℃まで冷却し、3リットルの水中に25 0mlの12 N HClを含む溶液に注いだ。混合物を室温で3時間攪拌し、次いで濾過パッド(セライト545, J. T. Baker, Jackson, Tenn.)で濾過し、固体を除いた。濾液を4 x 500 mlのクロロホルムで抽出し、併せた抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。15 mgのフェノチアジンをポリマー化を防止するために加えた後、溶媒減圧下に除いた。6-マレイミドヘキサン酸を2:1のヘキサン:クロロホルムから再結晶し、典型的収率76〜83 g(55〜60 %)で、融点81〜85℃で得た。NMR分光計による分析は所望の生成物と一致した:1H NMR (CDC13) マレイミドプロトン 6.55 (s, 2H)、窒素原子に隣接するメチレン 3.40 (t, 2H)、カルボニルに隣接するメチレン 2.30 (t, 2H)、及び残メチレン 1.05-1.85 (m, 6H)。
【0091】
アルゴン雰囲気下、6-マレイミドヘキサン酸 20.0 g (94.7 mmol)を100 mlのクロロホルムに溶解した後、41 ml (0.47 mol)のオキサリルクロリドを加えた。室温で2時間攪拌後、溶媒を減圧下に除き、4 x 25 ml追加のクロロホルムを添加し、過剰のオキサリルクロリドの残りを除いた。酸クロリドを100 mlのクロロホルムに溶解後、12 g (0.104 mol)のN-ヒドロキシスクシシンイミド及び16 ml (0.114 mol)のトリエチルアミンを加えた。室温で終夜攪拌後、生成物を4 x 100 mlの水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去により、24 gの生成物(82 %)を得た。これは更に精製することなく使用した。NMR分光計による分析は所望の生成物と一致した:1H NMR(CDC13) マレイミドプロトン 6.60 (s, 2H)、窒素原子に隣接するメチレン 3.45 (t, 2H)、スクシンイミジルプロトン 2.80 (s, 4H)。カルボニルに隣接するメチレン 2.55 (t, 2H)、残メチレン 1.15-2.00 (m, 6H)。最終化合物を例えば実施例5及び6に記載の光活性ポリマーの合成に使用するために保存した。
【0092】
実施例 5--N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、BBA-APMA及びMAL-EAC-NOS(光DMS-NOS)のコポリマー(化合物VA) (アゾ)の調製
光活性コポリマーを以下の方法により調製した。DMA41.46 g(416 mmol)、実施例3に記載の一般的方法に従って調製した化合物III 1.56 g(4.5mmol)、実施例4に記載の一般的方法に従って調製した化合物IV 6.88 g(22.3 mmol)及びアゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)(Vazo-67)1.4 g(7.3 mmol)を200 mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。THF溶液を不活性雰囲気下で、Vazo 67 0.34 g(1.8 mmol)のTHF(50 ml)の第二攪拌リフラックス溶液に1時間に渡って加えた。THF溶液の激しく攪拌したヘキサン(2500 ml)へのゆっくりした添加により、ポリマーを単離した。沈殿したポリマー生成物を濾過により単離し、フィルタケーキを200 mlのヘキサンで洗浄した。生成物を30℃で減圧下に乾燥し、51.7 gの白色固体を得た。
【0093】
上記方法を以下の表2に示す化合物VB〜VIを調製するために使用し、50〜52 gのポリマー生成物を得た。
【0094】
【表8】

【0095】
実施例 6--N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、BBA-APMA及びMAL-EAC-NOS(光DMA-NOS)コポリマー(化合物V) (Redox)の調製
光活性コポリマーを以下の方法で調製した。DMA 38.65 g (390 mmole);実施例3に記載の一般的方法に従って調製した化合物III 1.5 g (4.3 mmol); 実施例4に記載の一般的方法に従って調製した化合物IV 9.9 g (32.1 mmol); 及びベンゾイルペルオキシド 3.1 g (13.0 mmol)をTHF (200 ml)に溶解した。THF溶液を不活性雰囲気下で、1.9 g(13.0 mmol)のN,N-ジエチルアニリンを含むTHF(50 ml)の第二攪拌リフラックス溶液に1時間に渡って加えた。この溶液を不活性ガス雰囲気下で室温で終夜攪拌した。THF溶液の激しく攪拌したヘキサン(2500 ml)へのゆっくりした添加により、ポリマーを単離した。沈殿したポリマー生成物を濾過により単離し、フィルタケーキを200 mlのヘキサンで洗浄した。生成物を30℃で減圧下に乾燥し、43 gのグレイ固体を得た。
【0096】
実施例 7--ポリマー(光DMA-NOS)(化合物V)でコーティングしたスライドの製造
N-デシルジメチルクロロシラン及びp-トリルジメチルクロロシラン(United Chemical Technologies, Bristol, Pennsylvania)の各1 %アセトンの混合物中に1分間浸漬することにより、ソーダ石灰ガラススライド(Erie Scientific, Portsmouth, NH)をシランで処理した。風乾後、スライドを最小30分間、110℃のオーブンで養生した。スライドを次いで、アセトンで洗浄し、脱イオン(DI)水中に浸漬した。最後に、スライドを更に110℃で10分間、オーブン中で更に乾燥させた。
【0097】
次いで、シラン処理スライドを公知の方法の変更によりポリマー組成物でコーティングした。例えば、化合物Vを2 mg/mlでシランコーティングスライドに噴霧し、その後、湿っている間、Dymax Lamp (25 mjoule/cm2、国際光線ラジオメーターで10 nmの帯域通過フィルタを用い、335 nmで測定)を用いて照射し、脱イオン水で洗浄し、乾燥した。MicroGrid IIアレイヤー(Apogent Discoveries, Hudson, New Hampshire)を用いて、オリゴヌクレオチドをこれらのスライド上に印刷した。2種のオリゴヌクレオチドをコーティングスライドに固定した。オリゴ1の配列は、GCC ATG TGC AGT CTG GTT CAG GTT CAT AAAであり、3’末端をTAMRA (カルボキシテトラメチルローダミン, Integrated DNA Technologies, Inc., Coralville, IA)色素で、5’末端をC6アミノリンカーで標識した。オリゴ2は、3’末端がビオチンで標識されていることを除いて、オリゴ1と同一の配列であった。両オリゴは、50 mMリン酸ナトリウム緩衝液及び0.001 %ドデシル硫酸ナトリウム中に10 μM濃度で印刷した。印刷後直ちに、スライドを遮蔽塩化ナトリウムチャンバーに終夜置き、75 %の相対湿度を保持した。次いで、予め暖めた50 mM エタノールアミンの0.1 M Tris pH 9.0 (Sigma, St. Louis, MO)で、45℃で30分間、印刷スライドを洗浄後、予め暖めた0.1% N-ラウリルサルコシン(Sigma, St. Louis, MO)の5X SSC (75 mMクエンナトリウム、0.75 M塩化ナトリウム)で45℃で1.5時間、更に洗浄した。最後に、スライドを10 mMクエン酸緩衝液中に室温で15分間浸漬し、乾燥するまで遠心した。オリゴ1が結合したスライドをGenePix 4000Bマイクロアレイスキャナ(Axon Instruments, Union City, California)でスキャンした。オリゴ2が結合したスライドを、TNB (10 mM Tris pH 8, 150 mM塩化ナトリウム, 5 % w/vブロッキング試薬)で調製したストレプトアビジン-Cy5 (Amersham Biosciences, Piscataway, New Jersey)の1:500溶液中で、室温で30分間展開した。次に、スライドをTNT (10 mM Tris pH 8,150 mM塩化ナトリウム, 0.05 % v/v Tween 20)で3回、それぞれ5分間洗浄後、脱イオン水で同様な回数洗浄した。スライドを遠心しながら乾燥し、GenePix 4000Bスキャナでスキャンした。
【0098】
加えて、基材上のスポットの接触角を測定した。3 μLのDI液滴についての接触角のデータを表面に接触させ、20秒間広げた。接触角データをKriiss DSA MK2角度計(Kruss, Hamburg, Germany)で集め、Fowkes法で計算した。
【0099】
表3に掲載の結果は、種々の化合物Vの組成物(表2)によるコーティングが、オリゴ固定では55〜58ミクロンの直径、及びオリゴ1では0,672〜29,753の蛍光単位強度のスポットを生じた(図1)、ことを示す。オリゴ2で印刷したスライドから測定したスポットサイズは、63〜69ミクロンであり、9,938〜12,277の蛍光単位強度であった。これらのスライドの接触角は41°〜44°で変動した。慣用的スライド、例えばCodeLink活性化スライド (Amersham Biosciences, Piscataway, New Jersey)は、同一の条件下で、オリゴ1及びオリゴ2について各々、99及び102ミクロンの直径のスポットを生じた。これらのスポットのシグナル強度は、オリゴ1及びオリゴ2について各々、21,293及び6,760の蛍光単位であった。接触角は19.8°であった。これらの結果は、DMAポリマー骨格が高密度マイクロアレイの印刷のために高い所望の表面を製造する、ことを例証するものである。
【0100】
【表9】

【0101】
実施例 8--N-(3-イソチオシアネートプロピル)-2-メチルアクリルアミド(APMA-NCS (化合物VI)の調製
オーバーヘッドスターラー、熱電対、乾燥チューブ及び滴下漏斗を付けた500 ml丸底フラスコ中に、APMA-HCl (20.0 g, 112 mmole; 化合物II)及びクロロホルム(100 ml; CHCl3)を入れた。次いで、二硫化炭素(9.84 g [7.46 ml], 19.2 mmole; CS2)を約5分で加えた後、トリエチルアミン(11.32 g [15.6 ml], 111.8 mmole)を加えた。反応を氷浴で3〜8℃に冷却した。この冷溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.8 g, 125.0 mmole ; DCC)のCHC13 (40 ml)溶液を滴下漏斗を使って30分かけて加えた。添加が完了した後、反応を1時間氷浴中で攪拌した。次いで、反応を終夜室温で攪拌した。溶媒をエア抜きしながら、回転エバポレータで除いた。75.6 g残渣を、直径76.2 mm (3インチ)、長さ215.9 mm (8.5インチ)の長いシリカカラムを用い、アセトン/クロロホルム-4/96〜6/94で溶出し、2回フラッシュ精製した。各カラムから92〜50 ml分画を集めた。
【0102】
生成物は、TLC(薄層クロマトグラフィー)(アセトン/クロロホルム-10/90)により、分画39〜92に見出だされた。併せた分画を濃縮し、3 x 5 0mlのヘキサンで抽出した。溶媒を除き、直径76.2 mm (3インチ)、長さ203.2 mm (8インチ)の長いシリカゲルカラムを再度用いてフラッシュ精製したところ、12.5 gの残渣を得た。カラムは、72 x 25 mlのアセトン/クロロホルム-5/95により溶出後、アセトン/クロロホルム-10/90を用いて分画73〜145(25 ml)を溶出した。分画73〜140の濃縮により、11.5 gの化合物VIを得、これはTLCで単一スポットであった。また、400 MHz NMR分光計による分析は、所望の生成物と一致した:1H NMR(CDCl3) アミドプロトン 6.37 (broad s, 1H)、ビニルプロトン 5.70 (s, 1H)及び5.34 (s, 1H)、窒素原子に隣接するメチレン 3.60及び3.42 (m, 4H)、及び中央のメチレンプロトンと併せた残メチルプロトン 1.95 (m, 5H)。化合物VIを化合物VII、比較化合物VIII及び化合物XIを調製するために使用した。
【0103】
実施例 9--N-[3-({[(2,2-ジメトキシエチル)アミノ]カルボノチエニル} アミノプロピン-2-メチルアクリルアミド(DME-APMA) (化合物VII)の調製
20 mlのバイアルに、APMA-NCS (化合物VI) 1.93 g, 10.5 mmole; (2,2-ジメトキシエチル)アミン 1.06 g, 10.0 mmole; 及びクロロホルム7 mlを入れた。反応は室温で終夜攪拌した。TLCは、出発物質の存在を示した。反応は50℃で4時間加熱した。反応はほとんど終了し、50℃で終夜攪拌した。溶媒を濃縮し、3.07 gの白色固体を得た。粗生成物を、直径41.3 mm (15/8)で152 mm (6インチ)長のシリカゲルカラムでフラッシュ精製した。カラムを3Lのアセトン/クロロホルム-30/70で、33 ml分画で溶出した。分画26〜78を併せ、濃縮し、2.73 g (理論値94 %)化合物VIIを得た。400 MHz NMR分光計による分析は、所望のジメトキシエチル-APMAに一致した:1H NMR(CDCl3) アミドプロトン 7.23, 7.02及び6.5 (broads, 3H); ビニルプロトン 5.81 (s, 1H)及び5.37 (s, 1H); メチンプロトン 4.47 (t, 1H); メチレンプロトン 3.7 (m, 2H), 3.62 (m, 2H)及び3.36 (m, 2H); メトキシプロトン 3.42 (s, 6H); メチルプロトン 1.99 (m, 3H); 及び中央のメチレン 1.75 (m, 2H)。化合物VIIは、比較化合物XII及び化合物XIIIを調製するために使用した。
【0104】
実施例 10--アクリルアミド、BBA-APMA及びAPMA-NCS(光-PA-NCS)のコポリマー(比較化合物VIII)の調製
光活性コポリマーは以下の方法で調製した。アクリルアミド 0.42 g (5.92 mmol)、実施例3に記載の一般的方法に従って調製した化合物III 0.016 g (0.046 mmol)、化合物VI 0.064 g (0.347 mmol)及びVazo-67 0.014 g (0.073 mmol)を5.5 mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。THF溶液をヘリウムで4分間噴霧し、次いで、反応溶液を窒素でシールし、50〜55℃で終夜オーブン内に置いた。ポリマーを濾過により単離した。固体を2 x 5 mlのTHFで洗浄した。生成物を30℃で減圧下に乾燥し、0.44 gの白色固体(比較化合物VIII)を得た。上記と同様な方法を使用して、以下の表4に示す比較化合物XIIを調製した。
【0105】
実施例 11--アクリルアミド、BBA-APMA及びグリシジルメタクリレート(GMA)(光-PA-エポキシド)のコポリマー(比較化合物IX)の調製
光活性コポリマーを以下の方法で調製した。アクリルアミド 14.1 g (199mmol)、実施例3に記載の一般的方法に従い調製した化合物III 0.829 g (2.37 mmol)、GMA 5.04 g (35.5 mmol)及びVazo-67 0.43 g (2.24 mmol)を200 mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。THF溶液を、不活性雰囲気下で1時間かけて、Vazo-67 0.116g (0.60 mmol)のTHF (50 ml)の第二攪拌リフラックス溶液に加えた。溶液を不活性雰囲気下で攪拌しながら4時間リフラックスした。ポリマーを濾過により単離した。固体を2 x 80 mlのTHFで洗浄した。生成物を30℃で減圧下に乾燥し、19.6 gの白色固体(比較化合物IX)を得た。
【0106】
実施例 12--(DMA)、BBA-APMA及び(GMA)(光-DMA-エポキシド)のコポリマー(化合物X)の調製
光活性コポリマーを以下の方法で調製した。DMA 7.70 g (77.7mmol)、実施例3に記載の一般的方法に従って調製した化合物III 0.324 g (0.925 mmol)、GMA (Sigma, St. Louis, MO) 1.97 g (13.9 mmol)、Vazo-67 0.189 g (0.983 mmol)を68. mlのTHFに溶解した。THF溶液をヘリウムで4分間噴霧し、次いで、反応溶液を窒素でシールし、50〜55℃で終夜オーブン内に置いた。THF溶液を激しく攪拌したジエチルエーテル(500 ml)にゆっくりと添加することにより、ポリマーを濾過により単離した。沈殿ポリマー生成物を濾過により単離し、フィルタケーキを2 x 50 mlのエーテルで洗浄した。生成物を30℃で減圧で乾燥し、9.6 gの白色固体(化合物X)を得た。上記と同様の方法を用いて、以下の表4及び5に示す、化合物XI、化合物XIII及び化合物XIV(アクリロイルモルホリンはSigma Aldrich, St. Louis, MOから購入可能)を調製した。
【0107】
実施例 13--代りの反応化学を用いる、ジメチルアクリルアミドポリマーでコーティングしたスライドの製造
N-デシルジメチルクロロシラン及びp-トリルジメチルクロロシラン(United Chemical Technologies, Bristol, Pennsylvania)の各1 %アセトンの混合物中に1分間浸漬することにより、ソーダ石灰ガラススライド(Erie Scientific, Portsmouth, NH)をシランで処理した。風乾後、スライドを最小30分間、110℃のオーブンで養生した。スライドを次いで、アセトンで洗浄し、DI水中に浸漬した。最後に、スライドを更に110℃で10分間、オーブン中で更に乾燥させた。
【0108】
次いで、シラン処理スライドを公知の方法の変更によりポリマー組成物でコーティングした。例えば表4の6種の化合物を2 mg/mlでシランコーティングスライドに噴霧し、その後、湿っている間、Dymax Lamp (25 mjoule/cm2、国際光線ラジオメーターで10 nmの帯域通過フィルタを用い、335 nmで測定)を用いて照射し、脱イオン水で洗浄し、乾燥した。キャピラリー調合ピン(0.004" i.d.)(Norlico Corporation)を使用した自家製アレイヤーを用いて、このスライド上にオリゴヌクレオチドを印刷した。5'にアミン、3'にTAMRA色素を有するオリゴヌクレオチドを印刷した。配列は、GCC ATG TGC AGT CTG GTT CAG GTT CAT AAAであった。オリゴは、pH 8.5の50 mMリン酸ナトリウム緩衝液に20 μM濃度で調製した。印刷後直ちに、スライドを遮蔽塩化ナトリウムチャンバーに終夜置き、75 %の相対湿度を保持した。次いで、予め暖めた50 mM エタノールアミンの0.1 M Tris pH 9.0 (Sigma, St. Louis, MO)で、45℃で30分間、印刷スライドを洗浄し、予め暖めた0.1 % N-ラウリルサルコシン(Sigma, St. Louis, MO)の5X SSC (75 mMクエンナトリウム、0.75 M塩化ナトリウム)で45℃で1.5時間、更に洗浄した。最後に、スライドを10 mMクエン酸緩衝液中に室温で15分間浸漬し、乾燥するまで遠心した。スライドをGenePix 4000Bマイクロアレイスキャナ(Axon Instruments, Union City, California)でスキャンした。表4に結果を纏めた。
【0109】
【表10】

【0110】
実施例 14--アクリロイルモルホリン骨格を用いる、ポリマーでコーティングしたスライドの製造
N-デシルジメチルクロロシラン及びp-トリルジメチルクロロシラン(United Chemical Technologies, Bristol, Pennsylvania)の各1 %アセトンの混合物中に1分間浸漬することにより、ソーダ石灰ガラススライド(Erie Scientific, Portsmouth, NH)をシランで処理した。風乾後、スライドを最小30分間、110℃のオーブンで養生した。スライドを次いで、アセトンで洗浄し、DI水中に浸漬した。最後に、スライドを更に110℃で10分間、オーブン中で更に乾燥させた。
【0111】
次いで、シラン処理スライドを公知の方法の変更によりポリマー組成物でコーティングした。化合物XIVを2 mg/mlでシランコーティングスライドに噴霧し、その後、湿っている間、Dymax Lamp (25 mjoule/cm2、国際光線ラジオメーターで10 nmの帯域通過フィルタを用い、335 nmで測定)を用いて照射し、脱イオン水で洗浄し、乾燥した。キャピラリー調合ピン0.152 mm (0.006") i.d.(Norlico Corporation)を使用した自家製アレイヤーを用いて、このスライド上にオリゴヌクレオチドを印刷した。3'にアミン、5'にCy3色素を有するオリゴヌクレオチドを印刷した。配列は、GTC TGA GTC GGA GCC AGG GCG GCC GCC AACであった。オリゴは、pH 8.5の50 mMリン酸ナトリウム緩衝液に20 μM濃度で調製した。印刷後直ちに、スライドを遮蔽塩化ナトリウムチャンバーに終夜置き、75 %の相対湿度を保持した。次いで、予め暖めた50 mM エタノールアミンの0.1 M Tris pH 9.0 (Sigma, St. Louis, MO)で、45℃で30分間、印刷スライドを洗浄し、予め暖めた0.1 % N-ラウリルサルコシン(Sigma, St. Louis, MO)の5X SSC (75 mMクエンナトリウム、0.75 M塩化ナトリウム)で45℃で1.5時間、更に洗浄した。最後に、スライドを10 mMクエン酸緩衝液中に室温で15分間浸漬し、乾燥するまで遠心した。スライドをGenePix 4000Bマイクロアレイスキャナ(Axon Instruments, Union City, California)でスキャンした。加えて、基材上のスポットの接触角を測定した。接触角のデータをKriiss DSA MK2角度計(Kriiss, Hamburg, Germany)に集め、Fowkes法により計算した。表5に結果を纏めた。
【0112】
【表11】

【0113】
本明細書及び添付クレームに用いられる、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」は、明らかに他の意味を示さない限り、複数形を含む、ことに留意されたい。従って、例えば「1つの化合物」を含む組成物については、2以上の化合物の混合物を含む。用語「又は」は、明らかに他の意味を示さない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で使用される、ことに留意されたい。
【0114】
本明細書及び添付クレームに用いられる、語句「適応する(adapted)及び構成される(configured)」は、特定の操作を行う又は特定の配置を採用するために構築され又は構成される、装置、機器又は他の構造を意味する、ことにも留意されたい。語句「適応する及び構成される」は、他の類似の語句、例えば配置される(arranged)及び構成される;構築される(constructed)及び配置される;適応する、構成される、製造される及び配置される;等と交互に使用される。
【0115】
本明細書中の全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する当業者のレベルの指標である。
【0116】
本発明を様々な具体的及び好ましい実施態様及び技術を参考に記載してきたが、多くの変更及び修飾が可能であり同時に、本発明の精神及び範囲内に含まれる、ことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、慣用的表面及び本発明に従うポリマー(化合物VB)でコーティングした表面上に印刷されたスポット画像を示す。スライドをオリゴ1及び2で印刷し、実施例7に記載のように処理した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及びポリマーを含む基材であって、
当該ポリマーは当該表面の少なくとも一部分をコーティングし及び当該表面に結合し、そして
当該ポリマーは、少なくとも約40 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド、又はそれらの混合物;及び、生体分子と共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含む、前記基材。
【請求項2】
前記ポリマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-(CH20C4H9)アクリルアミド、N-(CH2CH2OH)アクリルアミド、N-(CH20H)アクリルアミド、N-(CH2CH2CH20H)アクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-(CH20C4H9)メタクリルアミド、N-(CH2CH2OH)メタクリルアミド、N-(CH20H)メタクリルアミド又はそれらの混合物を含む、請求項1記載の基材。
【請求項3】
前記ポリマーが、N,N-ジメチルアクリルアミドを含む、請求項2記載の基材。
【請求項4】
前記ポリマーが、約85〜約95 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物を含む、請求項1記載の基材。
【請求項5】
前記ポリマーコーティングが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物を、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項1記載の基材。
【請求項6】
前記1以上の反応性基が、熱化学的反応性基、光化学的反応性基又はそれらの混合物を含む、請求項1記載の基材。
【請求項7】
前記1以上の反応性基が熱化学的反応性基を含み、当該熱化学的反応性基が、NOS、エポキシド、アルデヒド、イソチオシアネート又はそれらの混合物を含む、請求項6記載の基材。
【請求項8】
前記1以上の反応性基が光化学的反応性基を含み、当該化学的反応性基が、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、アントラキノン、アントロン、アントロンヘテロ環状アナローグ又はそれらの混合物を含む、請求項6記載の基材。
【請求項9】
前記1以上の反応性基が光化学的反応性基を含み、当該光化学的反応性基が、光反応性アリールケトンを含み、そして前記生体分子が核酸を含む、請求項6記載の基材。
【請求項10】
前記基材が活性化スライドを含む、請求項1記載の基材。
【請求項11】
前記スライドはマイクロアレイを加工するために構成され;
前記生体分子は核酸を含み;そして
前記表面はプラスチック、水素化ケイ素、又は有機ケイ素化合物で予備処理されたガラスもしくはシリコンスライドを含む、請求項10記載の基材。
【請求項12】
前記スライドが、20ナノリットル以下の量で試料を受けるよう構成される、請求項10記載の基材。
【請求項13】
前記生体分子がポリペプチド又は核酸を含む、請求項1記載の基材。
【請求項14】
前記生体分子が核酸を含み、そして、当該核酸がアミン基、スルフヒドリル基又はそれらの混合物を含む、請求項13記載の基材。
【請求項15】
表面支持体及び当該表面支持体に結合するポリマーを含む基材であって、
当該ポリマーは、少なくとも約40 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物、及び1以上の反応性基を含み、そして
当該ポリマーは生体分子と共有結合を形成するように構成される、前記基材。
【請求項16】
ポリマーを含む組成物であって、
当該ポリマーは、少なくとも約40 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;及び
生体分子上の対応する官能基と共有結合を形成するように構成される1以上の反応性基を含み;そして
当該ポリマーは表面に共有結合的に結合するように構成される、前記基材。
【請求項17】
前記ポリマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-(CH20C4H9)アクリルアミド、N-(CH2CH2OH)アクリルアミド、N-(CH20H)アクリルアミド、N-(CH2CH2CH20H)アクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-(CH20C4H9)メタクリルアミド、N-(CH2CH2OH)メタクリルアミド、N-(CH20H)メタクリルアミド又はそれらの混合物を含む請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリマーが、N,N-ジメチルアクリルアミドを含む、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリマーが、約85〜約95 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマーコーティングが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物を、基材表面をコーティングした時に、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項16記載の組成物。
【請求項21】
前記1以上の反応性基が、熱化学的反応性基、光化学的反応性基又はそれらの混合物を含む、請求項16記載の組成物。
【請求項22】
熱化学的反応性基を含み、そして、当該熱化学的反応性基がNOS、エポキシド、アルデヒド、イソチオシアネート又はそれらの混合物を含む、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記1以上の反応性基が光化学的反応性基を含み、そして、当該光化学的反応性基がアセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、アントラキノン、アントロン、アントロンのヘテロ環状アナローグ又はそれらの混合物を含む、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
前記1以上の反応性基が光化学的反応性基を含み、そして、当該光化学的反応性基が光反応性アリールケトンを含み、そして前記生体分子が核酸を含む、請求項21記載の組成物。
【請求項25】
前記生体分子が核酸を含み、そして、前記表面が、有機ケイ素化合物で予備処理されたガラス、有機ケイ素化合物で予備処理されたシリコン、水素化ケイ素又はプラスチックを含む、請求項16記載の組成物。
【請求項26】
基材表面に生体分子を結合する方法であって、
ポリマーを含む組成物を提供するステップ、
ここで、当該ポリマーは、少なくとも約40 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物、及び生体分子上の対応する官能基と共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含み、
ここで、当該ポリマーは、表面に共有結合的に結合するように構成される;
基材表面上の組成物をコーティングしかつ固定するステップ;
反応性基と反応する1以上の官能基を含む生体分子を含む溶液を提供するステップ;
当該溶液のアリコートを基材表面に適用するステップ;並びに
生体分子の反応性基と官能基との共有結合を形成するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項27】
支持体表面;
支持体表面に共有結合したポリマー、
ここで、当該ポリマーは、少なくとも約40 mol%のN-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物、及び1以上の反応性基を含有する;及び
離れたスポットで当該ポリマーに共有結合する生体分子、
を含むマイクロアレイ。
【請求項28】
前記スポットが、一般的に円形状であり、約20ミクロン〜約100ミクロンの直径を有し、そして中心から中心までが約40ミクロン〜約120ミクロンの間隔で、アレイ上の他のスポットと離れている、請求項27記載のマイクロアレイ。
【請求項29】
前記ポリマーコーティングが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物を、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項28記載のマイクロアレイ。
【請求項30】
表面及びポリマーを含む基材であって、
当該ポリマーは表面の少なくとも一部分をコーティングし;そして
当該ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含む、少なくとも約40 mol%のモノマー、及び生体分子との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含む、前記基材。
【請求項31】
前記ポリマーが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アルキルもしくはアリールアクリレート、アルキルもしくはアリールメタクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、又はそれらの混合物;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン又はそれらの混合物;エチレングリコール、エチレンイミン、モノメタクリレートのPEG誘導体又はそれらの混合物;アミンイミド;あるいはそれらの混合物を含む、請求項30記載の基材。
【請求項32】
支持体表面;及び
支持体表面に結合したポリマー、
ここで、当該ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含む、少なくとも約40 mol%のモノマー、及び2以上の反応性基を含有する、
を含む基材であって、
当該ポリマーは、生体分子との共有結合を形成するように構成される、前記基材。
【請求項33】
ポリマーを含む組成物であって、
当該ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含む、少なくとも約40 mol%のモノマー、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上の反応性基を含み;そして
当該ポリマーは、表面と共有結合的に結合するように設計される、前記組成物。
【請求項34】
前記ポリマーが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アルキルもしくはアリールアクリレート、アルキルもしくはアリールメタクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、又はそれらの混合物;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン又はそれらの混合物;エチレングリコール、エチレンイミン、モノメタクリレートのPEG誘導体又はそれらの混合物;アミンイミド;あるいはそれらの混合物を含む、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリマーコーティングが、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを、基材表面をコーティングした時に、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項33記載の組成物。
【請求項36】
基材表面への生体分子の結合方法であって、
ポリマー含む組成物を提供するステップ、
ここで、当該ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含む、少なくとも約40 mol%のモノマー、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含み、
ここで、当該ポリマーは、表面に共有結合的に結合するように構成される;
当該基材表面上に当該組成物をコーティングしかつ固定するステップ;
反応性基と反応する1以上の官能基を含む生体分子を含む溶液を提供するステップ;
基材表面上に当該溶液のアリコートを適用するステップ;並びに
生体分子の反応性基と官能基との共有結合を形成するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項37】
前記ポリマーが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アルキルもしくはアリールアクリレート、アルキルもしくはアリールメタクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、又はそれらの混合物;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン又はそれらの混合物;エチレングリコール、エチレンイミン、モノメタクリレートのPEG誘導体又はそれらの混合物;アミンイミド;あるいはそれらの混合物を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマーコーティングが、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
支持体表面;
支持体表面に共有結合するポリマー、
ここで、当該ポリマーは、第一アミド以外の非荷電極性部分を含む、少なくとも約40 mol%のモノマー、及び1以上の反応性基を含み;及び
離れたスポットで当該ポリマーに共有結合する生体分子、
を含むマイクロアレイ。
【請求項40】
前記ポリマーが、N-置換アクリルアミド、N,N-二置換アクリルアミド、N-置換メタクリルアミド、N,N-二置換メタクリルアミド又はそれらの混合物;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アルキルもしくはアリールアクリレート、アルキルもしくはアリールメタクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、又はそれらの混合物;ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、ビニルメチルエーテル、2-ビニルピリジン-N-オキシド、ビニルメチルスルホン又はそれらの混合物;エチレングリコール、エチレンイミン、モノメタクリレートのPEG誘導体又はそれらの混合物;アミンイミド;あるいはそれらの混合物を含む、請求項39記載のマイクロアレイ。
【請求項41】
前記ポリマーコーティングが、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマーを、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な量で含む、請求項39記載のマイクロアレイ。
【請求項42】
表面及びポリマーを含む基材であって、
当該ポリマーは表面の少なくとも一部分をコーティングし;
当該ポリマーは、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー量、及び生体分子との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含む、前記基材。
【請求項43】
ポリマーを含む組成物であって、
当該ポリマーは、表面をコーティングする時に、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー量、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上の反応性基を含み、
当該ポリマーは、表面に共有結合的に結合されるように構成される、前記組成物。
【請求項44】
基材表面への生体分子の結合方法であって、
ポリマーを含む組成物を提供するステップ、
ここで、当該ポリマーは、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー量、及び生体分子上の対応する官能基との共有結合を形成するように構成される1以上のペンダント反応性基を含み、
ここで、当該ポリマーは、表面に共有結合的に結合するように構成され;
当該基材表面上に当該組成物をコーティングしかつ固定するステップ;
反応性基と反応する1以上の官能基を含む生体分子を含む溶液を提供するステップ;
基材表面上に当該溶液のアリコートを適用するステップ;並びに
生体分子の反応性基と官能基との共有結合を形成するステップ、
を含む、前記方法。
【請求項45】
支持体表面;
支持体表面に共有結合的に結合するポリマー、
ここで、当該ポリマーは、液滴のための約30°〜約60°の接触角を提供するために有効な、第一アミド以外の非荷電極性部分を含むモノマー量、及び1以上の反応性基を含有する;及び
離れたスポットで当該ポリマーに共有結合する生体分子、
を含むマイクロアレイ。

【図1】
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【公表番号】特表2007−510889(P2007−510889A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534165(P2006−534165)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032443
【国際公開番号】WO2005/033158
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506112683)サーモディクス,インコーポレイティド (50)
【Fターム(参考)】